桃とセロリのスープ、待ちに待ったこの季節 : パトゥ

昨年の今頃、オープンしたてのこちらにお邪魔し、

そのときにいただいた、桃とセロリのスープに

忘れられないほど、ゾッコンになってしまいました。


季節は巡り、待ちに待った桃の季節。

早速予約をし、お邪魔することに。

今回は、ランチに。

6000円と10000円で、10000円のコースをお願いしました。

やはり、安定感抜群のクラシックフレンチの技。

それに加え、山口シェフのお人柄を反映して、

なんとも、優しさを感じる料理です。

今回、このスープのことを詳しく、シェフに伺うことが

でき、温度管理にかなり細心の気を遣っていらっしゃる

ことがわかりました。

甘すぎてもいけない、なおかつ桃らしさを表現しつつ、

きっちりスープという領域に収めるための

試行錯誤の末に、これが誕生しているのでした。

感動は、昨年よりさらに上回りました。


それでは、コースの内容です。

１，赤ピーマンのムース　トマトクーリとジュレ
　　「コートドール」の卒業生が皆さん、お出しになる
　　　一品。
　　トマトのクーリとジュレが、山口シェフのオリジナル。

２，鱧と北海しまえび、メロン、きゅうり、ういきょう
　　淡路産の鱧
　　艶々で新鮮そのものな北海しまえび
　　そして、夏野菜の旨味が重層的に
　　しかし、軽やかに押し寄せます。

３，山口県産瀬付き鯵　燻製バターと黒トリュフ
　　これには、また驚かされました。
　　鯵に、厚切り燻製バターを合わせ、
　　豪産黒トリュフとサマートリュフを。

　　バターの溶ける温度まで緻密に計算され、
　　厚切りでも、口の中で、すっと溶け、
　　鯵とのマリアージュが完璧になります。
　　2種のトリュフの立ち上る芳香に
　　酔います。

４，大分の関いさきのポワレ
　　スペインのパドロンというしし唐のような
　　野菜と、そのソースで。
　　上質ないさきで、しっとりとした火入れ。

５，岡山産清水白桃とセロリの冷たいスープ
　　これです。
　　待ちに待った一品。
　　セロリは、葉の部分も使うことで、
　　濃い緑を出しています。
　　この一皿に、なんという細かい技が
　　隠されていることか。

６，フランス産小鴨のロースト
　　小鴨の火入れの完璧さは言うまでもない
　　のですが、
　　ガルニの野菜の旨味に驚嘆しました。

７，クレームキャラメル
　　バニラアイス
　　ミルクキャラメルのソース

　　クラシックで、落ち着けるデセールです。

８，ハーブティー


お供は、ガス入りミネラルウォーター。

食後は、シェフとマダムと楽しい会話を。

夏の昼。

なんといういい時間だったことか。


　　

飯倉片町から徒歩数分。

かつて「オー・グルマン」があったところに、

神戸からこちらのお店が移転してきました。

熟練のオーナーシェフ、山口義照さんは、

「コートドール」で修行後、渡仏。

帰国して、神戸に同名のお店を開業後、惜しまれつつ、

今年東京に移転。

もう今を去ることかなり昔ですが、たぶん、

私が「コートドール」に行き始めたころなので、

お会いしていたかもしれません

とても気さくで、やさしいお人柄。

料理を一通り終えると、シェフからいろいろ質問されて

しまいました。

この日、最も感動したのは、

桃とセロリの冷たいスープ。

一口いただいた瞬間、衝撃が走りました。

桃だけの冷製スープは、他でもありますが、

セロリとのマリアージュがえもいわれぬコクを醸し、

口福が広がります。

後で聞くと、神戸時代の常連さんからも圧倒的な支持だったそう。

残念ながら、9月初めで、今年は終了。

これは来年の夏、またぜひいただきたいです。


ディナーコースは15000円。

この日の内容です。

１、赤ピーマンのムース　トマトクーリ
　　言わずもなが、「コートドール」の定番で、
　　卒業生のほとんどがやっています。
　　こちらのは、トマトクーリを合わせ、
　　より複雑みを。
　　トマトの品種を決定するのも苦労したそう。

２、焼きなすと、瞬間燻製の穴子とほたて
　　野菜サラダ
　　パクチー、紫蘇、ライム、青唐辛子のソース
　　さくらのチップで燻した穴子の燻製香も
　　ほどよく、素晴らしい仕上がり。
　　2品目からボリューミーでテンションがあがります。

３、毛蟹とコンソメジュレ
　　とうもろこしのスープ
　　とうもろこしの品のいい甘みが
　　あふれます。

４、のどぐろのポアレ　アンチョビソース
　　皮目がパリっと焼けて、中はとろとろ。
　　ケッパーの酸味が活かされています。
　　ポテトピュレの造りも丁寧。

５、桃とセロリの冷たいスープ
　　前述のとおり。

６、蝦夷仔鹿の炭火焼
　　腿肉の赤身
　　千葉の茹でピーナッツなど
　　野菜添え
　　完璧な火入れです。
　　なんとも柔らかな仕上げ。

７、いちじくのコンポート
　　スモモのソルベ

８、ジャスミンティーのブラマンジェ
　　バラのソース
　　これも「コートドール」を彷彿とさせますが、
　　しっかりシェフのオリジナリティを。
　　ほのかなバラの香りが、贅沢な気分に
　　させてくれます。

９、ハーブティ

10、ミニャルディーズ
　　・くるみのケーキ
　　・生チョコ
　　・カヌレ

自家製パンは、焼きたてでアツアツ。


お供は、赤ワインをグラスで。
Chateau de Cointes
Clemence Malepere 2015
カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、
グルナッシュ、メルロー
適度な重さで、飲みやすい赤でした。


マダムのつかず離れずの接客も

とても好ましい印象です。

とても気に入りました。

再訪したいと思います。