行列のできるさんのマイ★ベストレストラン 2012

きっと明日いいことが。

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行列のできる (70代以上・千葉県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年も数多くのレストランを訪れて、さまざまな出会いがありました。作り手と食べ手。われわれ素人レビュアーでは、作り手の方とはわずかな時間で少しの会話しかできませんが、それでも十分に料理を提供する情熱のようなものを感じ、食べるシアワセがより深く感じることができました。

今年も1年を通じてレビューを上げることができましたのも、大勢のかたの励ましや後押しがあったからです。感謝しきれません。それに、健康。ありがたいことだと思っております。

しかし今年は人生で一番悲しい思いもしました。これからの人生でもこれ以上の悲しみは考えられません。この間の2週間だけはレビューも出来ませんでした。悲しんでばかりではいられません。その後は以前にもまして元気な姿を見せることが一番だと思ってがんばってきました。

さて、恒例のベストレストラン。本年は大晦日の今日までと締切日が延長されたため、すっきりとしたベストを選べるようになりました。なりましたが、相変わらずどのお店を入れるかは非常に難しい問題ですし、ベストテンのなかの上下も悩ましいところです。実際は、ベスト30くらいはどのお店からも同じくらいの感動をいただいた、というのが本音です。

金沢の料亭つる幸さんのお料理には大変感激しました。日本料理の基本をきっちりと守りながらも、それまで絶対に使うことのない素材を合わせて、更に味の追求をする。この強い意志の元で昇華されたお料理。考えも及ばないおいしいものでした。

仙台の弘寿司さんのお寿司も素晴らしかったです。ある面、つる幸さんの料理長のチャレンジ精神と相通ずるものがありますね。お寿司の中でこれほどの独創性を生かして、しかも普通のお寿司よりおいしいなんて、想像もできませんでした。

浅草のフレンチ、オマージュさんはミシュランの扉を開けてくれた恩人でもあります。初ミシュランが、度肝を抜くおいしさで、4000円以下。そのお料理がおいしいだけでなく、アート。この体験から、一気にミシュランの一つ星を食べ歩きたいという気持ちにさせられました。入門の最初がすごかった、ということです。ジブンには縁がないと思っていたハレのお店を一気に引き寄せてくれた恩人なのです。

湯島の日本料理一つ星のくろぎさん。幸運にも声を掛けていただき、おいしいお料理をいただきました。ちょうど蟹の季節に当たり、それまでのお料理にはない新鮮な切り口で蟹を楽しむことが出来ました。これがトリガーとなり、冬の金沢能登旅行を敢行。やっぱり恩人なんです。

今年はナポリピザに嵌った年でもありました。ナポリ協会認定のお店を訪ねて各所にいきました。広島、大阪、新潟、山形、宮城、岩手。その代表で鶴岡の緑のイスキアさんを入れさせていただきました。あいにくオーナーピザイオーロさんに会えませんでしたが、次回の楽しみにしております。20軒近く行きましたので、来年はトータル30軒くらいまで伸ばしたいですね。

そのあと、イタリアンの人気店が続きました。ウシマルさん、アルベロさん、ラ・チャウさん、オストゥさん。どのお店からも幸せをいただきました。この分野のお店は、もっともっと攻めていきたいと思います。ベストには入ってませんが、千葉のゴッサムさんからも同レベルの幸せをいただきました。

そして、最後は棚倉町というカントリーサイドにあるラーメン屋、かなざわ亭さん。自家の畑で小麦を栽培し、製粉、手打ちと全行程をこなすラーメン店です。とびきり旨いラーメンが500円。ラーメン店の代表になってもらいました。

毎年必ず1軒以上入れている日本蕎麦屋さんが、今年は入れませんでした。おいしいお蕎麦のための工夫。これがなかなか感じられませんでしたが、中では、牛久にある新進気鋭の季よりさんが、基本を押さえながらもよく考えた独創的な手挽き手打ち蕎麦とお料理を提供していて、ここに名前を挙げさせていただきます。来年のベスト入りを期待いたします。

2012.12.31 
行列

マイ★ベストレストラン

1位

つる幸 (北鉄金沢、金沢 / 日本料理)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥4,000~¥4,999

2013/05訪問 2013/05/26

正統派日本料理をベースにした味のマジック。今回もまた感銘を受けた千枚田の器。

(2013年5月 再訪)

富山・金沢旅行の3日目。最大の楽しみであったつる幸さんでのランチです。

今回予約をお願いしたのは2か月前。つる幸さんの予約を軸に旅行の計画を立てます。

既報のように駅前を出発し、ウォーキングでひがし茶屋街をぐるっと周ってからつる幸さんにやってきました。深呼吸をひとつしてから入口の戸を開けて、凛とした空気の中に入っていきます。通されたのは前回と同じ2人用のテーブルが入った個室。テーブル席でのランチコースをお願いしてあります。

まず、今回もっとも河田料理長の持味が出ていたと思いました、お造りの画像をご覧ください。一番最初に貼りつけました。最初、何事が始まったかと思うじゃないですか。まず、お造りであることすら気がつかず、何か野菜を使った郷土料理のようなものかなと思いました。なんですかこれ~~。

今回は最後まで奥様がお相手をしてくださいました。奥様に、何ですか、とお訊きすると料理長が能登の千枚田のテレビを見ていて思いついたと説明していただきました。すごい発想ですね。こういう流れで千枚田の器を作ろうと思う料理人って、日本に何人いるでしょう。河田さん、お一人でしょうね。非常に柔軟な考えであり、シャープなセンスも持ち主であると、今回もまた料理人としての魅力に惚れ込んでしまいました。

簡単に説明しますと、太きゅうりをつかって棚を作るわけです。そして、棚にするために、後ろ側には細いキュウリで作った足場があるんです。足場の高さを変えて千枚田にしているのです。足場のキュウリはちょうどいい太さでしたので、しっかりいただきました(笑)。

お造りの内容は、さわら、まぐろづけ、がすえび、かつお、さば、たい、など。本当においしいお造りでしたが、この演出でおいしさが倍増しましたよ。

部屋に通されると、まずはあられ茶で気持ちと口をすっきりするんですね。この日は結構気温の高い日でしたので、冷たいビールで口に中をすっきりさせました(笑)。

そして、最初のお皿からおいしいものが並べられ。なんと、いかのるいべですね。烏賊のお腹に緑のものが入っていてるいべにし、ごくごく薄くスライスしてるんです。緑は何かの野菜でしょうか。料理長のことですから、ジェノベーゼソース、なんて答えが返って来ても驚きませんよ。

このるいべが先付だとすると、次のお盆はお凌ぎから向付の前の中間に位置するものですが、日本食にも疎いワタクシ。呼び名が分かりません。オードブル、前菜盛り合わせ、などと呼ばせてくださいませ。お盆には6種類のお料理が並んでいます。どれも手が込んだ料理で、つる幸さんでは一体一日に何種類のお料理を作るんだろうと思ってしまいますね。100種類位になるんでしょうか。それを毎日毎日ですから、料理人の方はものすごい重労働なんですね。いくら好きとは言え。

はたはた、白ずいき、レーズンとフォアグラのにこごり、ごまどうふ、インカのめざめ、穴子寿司、笹鰈一夜干し。レーズンとフォアグラを煮こごりに入れてしまう河田マジック。

その次が向付にあたるお造りなのでした。そして次に続いたのがふぐの白子ソースがからんださくらますの粕漬けと筍とやまいも。これが旨かった。和食であまり使わない食材でサプライズがあったかと思うと、このようなガチな正統派がサーブされたり、こんな楽しい食事はありません。

そして目でも楽しませてくれる九谷焼の数々。このブルーの器も素敵でした。次は、餡蒸しです。餡のなかに宝ものがいっぱい入っています。白身の魚、うに、ぎんなん、キノコ、くわい、イモ。出汁がたっぷりきいたこの餡。大好きです。

そして最後の料理が運ばれて来ます。大きな毛ガニ、いちじく、たけのこ、いか、そらまめ。これもまた前のお料理とは違い味の変化も楽しめます。素材と調理法、味のバラエティ指数が高いんです。

ここでお食事となり、今回は筍と烏賊のごはんでした。お椀はじゅんさい。もちろんお代りしました。デザートはフルーツのゼリー寄せ。そして、お抹茶には諸江屋さんのからまつせんべい。

こうして、再び大興奮の中食事をいただきました。やっぱりすごいお店です。今回は奥様がずっとお相手をしてくださり、いろいろお話を聞くことができました。また最後に河田料理長とも話をすることができ、たいへん心の籠ったお料理のお礼を言うことが出来ました。季節季節の食材でこんなすばらしい日本食がいただけるお店。遠いのでそう簡単には行けませんが、元気なうちは1年に2回ぐらいはおじゃましたいですね。

この日いただいたランチコースは4000円。すごいことです。


(2012年12月 初稿)

キリ番22回目レビュー2200件目は金沢の料亭つる幸さん。正統派日本料理をベースにした味のマジック。

金沢に来ております。

金沢でキリ番レビューを書くことになりました。お店は、老舗の料亭つる幸さん。そして、今回の金沢・能登旅行の組立の要となったお店がつる幸さんだったのです。食べログで人気上位なことは毎回金沢訪問時に気がついていましたが、食べログで全国トップ10に入っているお店とは今回レビューするに当たって、初めて知ることになります。相変わらずの暢気レビュアーです。

お昼の予約をお願いしますが、満席であるとの丁寧な文面のメールが届きました。書き方からして、ひとつひとつのリクエストに対して真摯に回答していることを感じます。これならなんとかなりそうだ。5回もリクエストすれば、その心情を斟酌してくれるのではないか。手ごたえを感じて、次の日をリクエストします。

『お日にちをご変更して頂きまして、誠に恐縮でございます。「つる幸」河田と申します。…』

そのようなメールを頂戴し、お昼のミニ懐石コースの予約がとれました。申し訳ないくらい、想像した通り、すっごいホスピタリティを感じるメールです。こうして今回の旅行のスケジュールはつる幸さんの予約日を軸に決めました。金沢、能登七尾でおいしいものを食べ、そして金沢に戻ってきて、つる幸さんにお伺いすることになりました。

お店は、格式がありそうな大きな料亭です。開店時間前ですが、お客さんが次々入って来ます。車の中で開店時間まで待機してましたが、あわてて店の中に入りました。和服姿の仲居さんに案内され、入口に近いところにある二人部屋に通されました。こじんまりとしてますが、窓の外には雪が見えていて落ち着いた感じの部屋でした。二人用の個室です。

頼んでおいた料理がミニ懐石であることを確認され、コースがスタートとなります。

最初にお茶が出されました。ぶぶあられが入った白湯ですね。これで気持ちと舌が切り替わって。

御凌ぎ:しゅうまいです。蟹のしゅうまいで、今が旬と言う香箱の内子と蟹の身が入った、しゅうまい。熱々を食べる、ということでこのようなスタイルにしたのでしょうか。最初から不思議の扉を感じます。伝統的な調理法をしながらのチャレンジ、という感じがしました。

八寸:これがすごかった。いっぺんで、つる幸さんの力量を見ることになります。むかご、アンチョビ、チーズ、ブルーベリー、くわいのせんべい、きぬかつぎ、しらあえ。なんという組み合わせなんだろう、と。アンチョビやブルーチーズを和食に取り入れ、味わいをより深く、たのしさ一杯の和食にまで昇華させています。すごいなあ。和食の基本はきっちりと守り、新しさに挑む姿に驚きました。予備知識を持っていなかったため、強烈なインパクトがありました。

向付:おつくりはすだれで覆われていて、中身は見えません。へ~え、とおもいながらすだれを取ると、中から出てきたのは、新鮮なお造り。すずき、まぐろづけ、かんぱち、あまえびラー油、バイ貝、たこ。づけで巻かれているものは、アボガド。ラー油とアボガド。ここでも新しい和食です。

蒸しもの:九谷焼の鮮やかな黄色い器でいただきます。茶わん蒸しかと思って蓋を開けると、まったく違いますね。あんかけ、でしょうか。いろんな食材が入っていて、アツアツを食べる楽しさです。出汁が利いていてうまい。なまうに、えび、キノコ、ぎんなん、うなぎ、白身魚、ゆりね、くわい、蓮根。これも印象に残るお椀でした。

揚げもの:彩りがすばらしいです。白玉、白身魚かきもち揚げ、アスパラ、パプリカ、かぼちゃ。白玉の天ぷら、初です。うまいです。かきもちもうまくて魚が目立ちます。。

鰤のるいべ:これまた意表をつく食べ方です。酢味噌とホースラディッシュで食べるんです。この口どけとか食感とか、まあどうしてこんなこと思いつくんだろう、とここでもサプライズ。料理長はきっと若い方に違いない!と思ったのでした。ちょうど部屋に来られた女性の方に、料理長さんのお歳は幾つくらいですか、と尋ねます。

え~っと、息子なんですけど、いくつだったかしら。46歳かな(聞き違いかもしれません。すみません。)

はああ、おかみさんでした。菊の花が添えられていました。

お食事:香箱ごはんでした。うれしいですねえ。本当においしいです。香箱の内子、外子、蟹の身がたっぷりと入って、まずかろうわけがありませんが、とにかくめっちゃうまし、です。お代わりしてください、と部屋に入って来た女性に言われお代わりをお願いしました。お椀、香の物もさすがです。

あのお、丁寧なメールをいただきました。差出人の方のお名前が河田さんという方でしたが、お店ではどのようなことをされている方なんですか?

はい、私の主人ですが、料理長をしております。

うあああ、若おかみでした。そして、料理長自らがあのメールを出していることのオドロキ。やっぱりすごいお店です。このあと、レビューするときに先行レビューに目を通すと、28歳で和の鉄人道場六三郎さんに勝ったという伝説の料理人だったのですね。何にも知らずにねえ、ワタクシ。 

そして、デザートは、白玉、そるべ、黒豆、果物。最後はお抹茶と金沢の銘菓。名前をお聞きしましたが、知識がないため記憶に残りませんでした。おいしいことだけは分かります。以上が、4000円のミニ懐石です。何皿ありましたでしょうか。10皿ですね。すると平均して1皿いくらでしょうか!?信じられないCPの高さ、と至高のホスピタリティ。

お勘定をするとお店で使っているお醤油をおみやげにいただきました。そして、いつのまにか、おかみさんと料理長の河田さんが見送りに店の外まで出ていらっしゃいました。このとき、何にも知らないワタクシ。河田料理長に、北陸版のミシュランがあったら絶対間違いないですね。この前湯島のくろぎさんでいただき感激しましたが、今日のお料理はそれを超えた驚きとシアワセな気持ちにさせていただきました、ととんちんかんなことを申し上げました。

伝統的本格的な和食とシャープに切り込む斬新な味への挑戦。忘れられない食事になりました。

  • 太きゅうりで作った”千枚田”の器でお造り。
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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2位

弘寿司 (愛宕橋、河原町、五橋 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/08訪問 2013/08/03

仙台の鬼才と呼ぶには人柄がよすぎる職人のアーティスティックSUSHI弘寿司。再訪。

(2013年8月 再訪)

決めていた日程で弘寿司の予約が取れず、弘寿司に合わせてリスケジューリング(笑)。

仙台に行ったらどうしても弘寿司がはずせなくて。2日目の夜に伺いました。この日は、本当にお客さんが少なくて、カウンター席を埋めたのは5人だけ。こういう日もあるそうです。お蔭で、ご主人とゆっくり話ができました。裏表のない気さくな人柄で、話を聞いていてもほっとします。

この日も雨でしたが、雨の日が続いて魚が沖に行ってしまい不漁になるんだそうです。ぼつぼつ養殖ものが混じりはじめたなあ、とかいうことでした。この日のおつまみ。

*蛸の卵、湯葉
ねっとりとしていて、味はこのわたみたい。お酒のアテには最高でしょう。湯葉、はずしません。

*がぜ雲丹、くじら、生蛸、まこ鰈
さしみの盛り合わせといいますか。このビューティフルな盛り付け。テンション上がっちゃいます。がぜ雲丹は二晩連続。多分、今日が最後かなあ、って昨日の江なみさんと同じことを言われます。突っ込みました。

『何故、最後なんですか?』

雲丹が卵を持ち始めると、味が急変してしまい食べられないそうなんです。海水の温度があがり、旬の季節がどんどん短くなっていくとか。開けてみないと卵があるかどうか分からないので、この時期だと雲丹の返品可の卸もあるそうです。どれも最高にうまい。量がいい。

*サメの心臓、マンボウの卵巣
サメはこりこりで旨い。ごま油をちょこっと垂らしてあるので、違うものを食べているみたい。そうそう、牛レバーです。マンボウは前回よりもずっとおいしく感じました。ははん。今回は炙ってますね。旨味が膨らんでました。

*赤海鞘と蝦夷海鞘
海鞘大好きです。楽しみにしてました。む!赤海鞘はこのわたと和えて、蝦夷海鞘は白味噌を混ぜて。どちらも大変おいしゅうございますが、何もせず、そのままが喰いて~。しかも、まるまる2個とか。ちょっと上品すぎるのが残念。←うるさい。

*鯨の潮吹き
潮を吹く器官のお肉。とろとろに煮込まれていて、絶のピン。

そして、握り。

この日も味が冴えわたってました。

*とろ 大根おろし
*こち ブルーベリー
*ほっき貝 山芋
*ずわい蟹 アスパラガス
*海老 干し海老
*鯛 雲丹
*鯵 薬味
*ごま鯖 山芋

こうしてみると、8貫も食べてたんだね。おなか、いっぱい。そして、この日もお金、そんだけでいいの?ってくらい。もうしわけない気持ちです。

やっぱり天才やね。

(2012年7月 初稿)

1900軒目です。初レビューをUPしてから1397日目に当たるおめでたい日です。食べスギ良太郎です。

今回の仙台行。いつも寿司を食べに行く塩竈はスルーにして、仙台でうまい寿司を食べようと計画しました。さて、どの店さ行こうか。このとき閃いたのが、仙台でたくさんのお店をレビューしているゴマピイさんの存在です。ええい、直接訊いちゃおう。訊きました。で、教えていただいたのは、ここ、弘寿司。

先行レビューを見ると、まあ何というアートな寿司なんでしょう。江戸前寿司の上を行く?芸術寿司。食べてみたい、もそうですが、どんな人物がどのようにしてかような寿司をつくるのか目の前で見たい!好奇心がめらめら燃え始めます。その後、仙台X寿司で人気店をチェックすると、この弘寿司の他に、小判寿司も食べてみたい。じゃあ、こうすっか。

ランチは、小判寿司。
ディナーは、弘寿司。

こうして、仙台行き初日の骨子がかたまります。それに朝ら~の長浜ラーメンを足せば、3件のレビューを読んだ人は絶対にこのコースで追体験したくなるはず。えいちあいしーも旅プランとして商品にするはず。我ながら、非の打ちどころのない計画に満足であります。あとは、行って食べて確認するだけ。

お店の予約が取れて、18時半に来るように言われました。直前に訪問した甘味処の彦いちで、思いもよらぬづんだ餅のヘビーな歓迎を受けましたが、ここを楽しみに来てますからそんなことは言っておれません。仙台駅から地下鉄に乗り、愛宕橋という駅で降りててくてく歩いてお店に向かいます。

このお店?あなたも、このお店の評判を知っていて最初お店を見たらびっくりすることでしょう。こじんまりとしている、もそうなんですが、大繁盛店らしからぬ少々鉄錆が浮いているような古い感じの外観にサプライズ。表には、準備中の札が出てます。店内を覗くと2組4人のお客さんがカウンター席で食事をしてますね。準備中ではないやん、と思いながら、予約していた行列ですが、と入店。カウンター席に招じ入れられます。

この日は、このあとしばらくして予約のご夫婦が到着。結局カウンターに座れる7人だけが入店できて、その他の人には準備中という意味だったようです。我々が出た後はどうなるか知りませんが。予約、必要です。

席に座って、先ずは生で。この方がご主人ですね。そして生を出してくれたのが奥様でしょうか。ご主人は、人懐っこい笑顔でお客さんと話をしてます。へ~、この人があのようなアートを演出するのですか。鬼才、とか先行レビューで見ましたが、鬼才のイメージとはまったく別次元の柔和なお顔を見て、話を耳にして、お人柄がだんだん分かってくると、寿司からは鬼才と呼びたくなっても、ちょっと違うなあ、と思ったことでした。

お通しは、ゆば。うまい、ですが、寿司屋のお通しでは初めていただき何が始まるのやら、徐々にテンションがあがってきます。

あのお、この方たちと同じものでお願いします。すべておまかせいたします。嫌いなものはございません。

1組は男同士。風体はサラリーマンで、目の前には舟盛でおいしそうな肴が満載です。もう1組はご夫婦で、同じ舟盛を食べてます。こっちも、あれがいい、とお願いしたわけです。

丁寧に包丁を入れながら舟盛を完成させていくご主人。仕事をしながらもお客さんから振られた質問に答え、話題に入って行くタイミングはさすがです。話がしたくなってしまうタイプの方です。最初、勝手が分からず先客とご主人とのやり取りを聞く側にまわっていたジブンですが、徐々に中に入り込んでいました。そうそう、ご主人はちゃんとネクタイをしていて、これは江戸前寿司屋の基本である、と納得しました。とても気さく、とても謙虚な方です。

きれいに盛られたうまそうな肴。大根で作ったタワーが変化を与えています。新芽の若木、蘭の花が華やかさを演出。肴は、赤いかの沖漬け風、石鯛、タコ、アジ、赤いか刺身、さざえ刺し。それぞれに説明していただき、納得のおいしさです。産地にこだわり、手を入れるところはきっちり仕事して。残念なのは、ジブンで書いたメモの字がきたなくて判読不能なこと。ネタには有名処の冠がつくブランドものばかり。

舟盛、前菜の1点1点をじっくりと楽しみながらいただいたあと、おお、来ましたよ。先客のご夫妻と話をして、うっかりご主人の仕込みに目を離した瞬間、提供されたのはきれいな青色模様の蚊取り線香を入れる陶器。蚊やり豚のおしゃれ版です。こいつを渡されるわけです。なになになに?前後をひっくり返すと、中に肴が収めてありました。

やってくれますねえ。これ、とってもおいしかった。まんぼうと炙った卵巣。食感がおもしろく、味がないと聞いたことがあるまんぼうを絶品の味に仕上げてきました。

ネクストも青色のホイルを帆にみたてての派手なお皿の登場です。どこからこのような発想が出てくるのでしょうか、ごまふぐの白子。そして、今度は何とまあ肴の入った皿に籠が被せてあって涼しげな一品。中身は、さえずりでした。クジラのタンですね。演出だけでなく、料理としても最高の味わいに簡単至極です。この辺から直前に食べたづんだ餅のボディブローが利いて、肴の方はここまでにしていただきました。もう少し余裕があれば、次のサプライズも食べれたのですが、寿司、そりゃあ食べたいでしょう。

大とろから始まりました。行者にんにくが乗せてあります。いやあ、実に深く、うまい。まぐろだって驚いていることでしょう。まさか自分が行者にんにくと一緒に天国に行けるなんて。石鯛はあらためてシャリのおいしさを教えてくれました。ミニトマト、ブルーベリー!!添え。南蛮海老には風味のいい桜えびがオンされていて、これがまたますますうまさが増すのが不思議です。

北寄貝には炙りが入ってヒマラヤの岩塩合わせ。あいなめには雲丹が乗せられてます。このような組み合わせが、本当に次なる旨さを引き出し、セカンドテーストと呼んで新しいジャンルに加えたいくらいでした。赤貝は閖上(ゆりあげ)産とのことで、日本一の称号を与えられている赤貝とききました。そのような枕を聞かなくても、こんなにおいしい赤貝を食べたのは初めてです。

もうおなか一杯です。ここで無理に食べるとなんだかご主人にも魚にも失礼なような気がして、最後にあと2貫だけくださいとお願いしました。おいしいものをいただきながら、他のお客さんとも話が弾み、こういうのが外食の最高の楽しみなんだなあ、と思いました。

最後にふたつ、と切ったのは、突然ここまでと言ったのではご主人が用意していたベストオブSUSHIの機会損失を避けるためです。

一つ目は、きっちりと仕事がしてあったこはだ。二つ目は濃厚なたれで供された穴子。思わず、もう2貫、と言いそうになりました。

区切りとして、こんなに豊かな気持ちにさせてくれたこのお店の紹介ができることは、本当に幸せなことです。途中で裏方にまわっているご子息がご主人との打ち合わせをしたり、ほのぼのいい家庭の空気にも触れました。奥様からお勘定のメモをいただいたときは、目を疑いました。万の位の数字を書き忘れてませんか。失礼ですが、お店を拡充したり新装したり新店舗を出したり、そんなお金もお客さんから受け取らず、この最高のネタを使ったNEXT寿司を提供するご主人の心意気。こういうお店が日本にはあるんですね。大衆的な海鮮居酒屋で食べるより安い値段で、この幸せです。本当にいいお店を紹介していただきました。

Special thanks to ゴマピイさん。

  • とろ 大根おろし
  • こち ブルーベリー
  • ほっき貝 山芋

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3位

オマージュ (浅草(つくばEXP)、浅草(東武・都営・メトロ) / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2015/04訪問 2015/04/27

浅草にあるフレンチのオマージュ。6つの難関をクリアするポテンシャルの高さで2015年度も★獲得。

(2015年4月 再訪)

10か月ぶりのオマージュです。マイレビュアーさんのハッピーバースデーのリクエストを訊いたら、オマージュと言うことでしたので予約して行ってきました。マイレビュアーさん二人との3人で浅草フレンチ。

また一段とパワーアップしたと感じた料理の数々。オマージュが初めてと言うお二人が喜んでいたのも分かりますね。2時間半の大満足なランチでした。

かんぱ~い、の後はアミューズから幕が上がり。

*パプリカとあおさ海苔のサブレ エルダーフラワーが味の変化をもたらすクリームで。

*クロケット、サラミ、いわし、春巻風、田楽風 最初の前菜は小品をちょっとずつ。コースによってポンデケージョとクロケットが変わる?こんな細かい作業を毎日毎日続けるシェフって。前菜の一皿をボンと置く店とは一線を画し。そう言えばオリーブもなかったな。

*生うにジュレ この日のスペシャルティで追加料金。ウニが大好きと言うマイレビュアーさんで、一も二もなくオーダー。これが大当たりでした。うにを引き立たせるジュレがまた秀逸。シェフの感性をまざまざと感じる皿でした。

*フルートトマト、黒トリュフ、ケッパー、生クリーム 飴の円盤の上には野菜、それを割りながらいただく中はフルーツトマトをメインに生クリーム仕立てのソースで食べる。マイレビュアーさんはトマトが苦手ということで代わりに出てきた1皿。上にはラディッシュのサラダになっていて、中は生からすみ。こっちがよかった、両方食べたいなど議論百出。

*新玉ねぎ 同じ素材で調理方法を変えてその味わい、風味を楽しむ趣向。玉ねぎの七変化には驚きました。皿にペイントしてるのはヨーグルトソース。黒く見えるのは、玉ねぎのグリル。

*宮城産鮎魚女(あいなめ) 鮎魚女ももちろんおいしいですが、付け合わせのブイヤベースソースで煮込んだスペルト小麦のリゾット風が旨い。パンには上質なオリーブオイルを合わせたり、リゾット風が出てきたり、イタリアンとの接近もダイスキ。

*天草梅ポーク、フォアグラ、うるい うるいの葉をめくるとフォアグラソテーが見えてテンションマックス。ソースの力もありますが、こうなるとビーフ<ポークになりますね。きょういちでした。

*バースデープレート 喜んでいただけました。

*デセール、イチゴ
*小菓子 フィナンシェ、ミニマカロン
*コーヒー、ハーブティー

また明日にでも行きたくなるシアワセ時間。あれ?このコースには小桜のかりんとうが出ませんね。じゃあ、帰りに寄って買って行きましょう。

(2014年6月 再訪)

今回はオマージュデビューの女性おふたりとステキ浅草の散策&食べ&呑み&カラオケ(笑)。

まずは浅草駅から出発して仲見世に。ジブンは少し早く来て0次会がありましたが、それはまた次で。この日も仲見世は世界からの観光客や修学旅行生で溢れてました。浅草寺の常香炉で煙をかぶり、そこから左に舵を切って花やしきに向かいます。

花やしきでゴンドラを見上げたのちに5656会館を横目で見てオマージュに到着。珍しく一番乗りで左奥のテーブルに案内されます。こちらに座るのは初めてですので、うれしくて記念撮影。

お二人はお酒を呑まれない方と酒豪の方の組合せ。申し訳ありませんと言いながら、酒豪さんにワインの選択をお願いします。いいワインでした。1本では足りないお顔でしたが、ここでは我慢していただき、このあとホッピー通りへご案内しました(笑)。

たいていお料理の名前があやふやで内容が分かるジブンネーミングもありますが、今回はこの後すぐに大阪に飛び、リアルタイムでレビューしたためこのレビューが遅れに遅れました。従いまして、既にレビューされている酒豪さんのブログをコピペでごめんなさいです(笑)。こんど、お酒で穴埋めさせていただきます。

まずはカンパイの後、定番のオリーブをアテにしばし談笑で。

今回は趣向が変わって、ずらずらアミューズが繰り出せれます。これがとても新鮮で、おいしくて、にこにこが止まりません。

赤ピーマンのムースと豆乳のブランマンジェ。こちらは写真で緑の方ですが、上には枝豆と枝豆のソースがかけられてます。豆乳と枝豆、相性がよくないわけがありませんね。でも手間がかかりますから、オマージュのシェフ以外手を出す人はいないでしょう(笑)。とことんやり遂げるシェフの姿勢に惚れてます。

定番のポンデケージョには生ハムが乗ってますね。お初です。お二人の歓迎でしょう。そしてライスコロッケまでも。温かい料理がありがたいです。サラミの上にはヘーゼルナッツを乗せて。

とうもろこしのスープです。甘くてとてもおいしいスープです。が、そこはオマージュ。それだけでは終わらせない。スープは2層になっていて、上はトウモロコシスープ、下は黒ゴマのジュレ。そしてトウモロコシスープの上からはヘーゼルナッツクリームが。もうすごい、としか言いようがありません。

ランチはダブルメインで、魚の方はイサキ。上には海老のトースト。帆立と芝海老の上に新じゃがを乗せてローストする手間が入ってますが、それだけに旨さも格別。泡状のソースはウイキョウとアサリでとったソースから。

肉の方は、鶏肉のバロンティーヌ。鶏肉に詰め物をした料理という意味だそうです。詰め物はフォアグラとあおさのり。下町フレンチの面目躍如です。これらの手の込んだ料理が一皿いくらだと思いますか。

デザートは、雷おこし風味のブラマンジェ、レモンクリームクレープと金柑アイス、小桜さんのかりんとう、生チョコでした。

まあ、三人とも大満足。ワタクシが何故か鼻高々で(笑)。

お店を出るときにシェフと奥様とで話ができました。そして、記念写真をパチリ。

かくして、浅草ジャーニーは次のお店へGO。


(2013年8月 再訪)

久々となったオマージュ。マイレビュアーさんと待ち合わせて行ってきました。

初めてですね。同行の方がジブンよりもずっと浅草にくわしいことって。いろいろ教えていただきました。いろいろ知っているとその土地がずっとジブンに近づいて来て、いつもと違った景色に見える。そんなこと、サン・テグジュペリが言ってませんでしたか。

“愛、それはただ互いに見つめ合うことではなく、ふたりが同じ方向を見つめることである。”とか言っているでしょ。どうも待ち合わせからサン・テグジュペリが回想されていたんですよ。

“きみが夕方の四時に来るなら、ぼくは三時から嬉しくなってくる。そこから時間が進めば進むほど、どんどん嬉しくなってくる。そうしてとうとう四時になるともう、そわそわしたり、どきどきしたり。こうして、幸福のありがたさを身にしみて思う。”

オマージュに着いたのが開店1分前。おしゃべりしながらも、帳尻はぴったり合わせてきました。この日まさかの予約が取れて、ランチの3800円のコースをお願いしてました。1か月前のことですけど。

今回もまあ出て来る料理、全部が全部、めちゃめちゃおいしかったです。料理の名前を聞いて想像する味を見事に超えてくるシェフの独創性。調理の細やかさ。純フレンチではなく、和15%仏50%オリジン35%みたいな。技はフレンチですが、この豊かな独創性ってすごい。

料理の度にあまりのおいしさにおもわず目と目を合わせて何回にんまりしたことか。帰りに出口で見送ってくださったシェフと奥様には、料理のおいしさへのお礼を申し上げると同時に、同行の女性との距離がぐんと縮まってこれからそれを確かめに行ってきます、と言ったくらい。浅草でいとは、このお店の予約を取ることから始められたほうがよろしいと。

*アミューズ・ブーシュ
カンパイをして、いつもの熱々ポンデケージョをいただきます。何回食べても絶品ですね。そして、フォアグラのフラン。料理は仕掛けがいろいろあります。スプーンで宝物をさがしつつ。うめええ、と山羊になって合唱。

*ビシソワーズ
地鶏のコンソメのジュレ
奥様から丁寧な説明を受けますが、聞いているときは100%理解していても、紙に書こうと思った瞬間、聞いたことが霧散してしまいます。おいしければいいよね、って二人で言い訳のしあっこ。

*高知産金目鯛松笠焼き
ムールのジュと枝豆のクーリー
めっちゃおいしい金目でした。うろこを逆立ててかりかりに。ここでテンションマックスに。枝豆のクーリーもばっちり効いてました。

*岩手産地養鶏のロティ
ローリエのジュ
おいおい、どこからこの木株の皿持ってきたんだ、とまず器のインパクトですね。やってくれます。これもたくさん説明をいただきました。メモしてありますが、まちがったこと書くよりも書かない方がいいかなって。

*デザート
最後まで喜ばせていただきました。3年連続★ですが、どこまで進化していくんでしょうか。人の良さがお顔に出ているシェフを見ていると、無限大の可能性を感じます。ごちそうさまでした。


(2013年2月 再訪)

ランチの予約が取れましたので、再訪しました。

お店に入ったのは正午。マダム、スタッフのみなさまに温かく迎えられて2階へ。テーブルはすべて埋まってます。予約していたのでそこだけは空いています。二人で着席。テーブルの上には既に用意されていたこの日のメニューが置かれていました。魚と肉も含んだプリフィックスランチです。

飲み物のメニューを持ってきたのはマダム。ご一緒した女性は飲めないということでソフトドリンクを、ジブンはオマージュでビールいいですか?あわてて急いで来ましたので。理由を知っているので温かいほほえみ返しです。

ソフトドリンクとビールという不思議組み合わせでようやく乾杯までこぎつけました。経緯は最後で。つきだしのオリーブとポンデゲージョを間に置いてアイスブレーク。話が弾みます。このオリーブの産地はラングドック。へ~え、そうなんですか。アミューズブーシュは2品。

フルーツトマトとコンソメジュレを合わせ、上にお化粧でカリカリな板状のキャラメライズされたものを乗せ。もうひとつが、フォアグラのフラン。このあたりからオマージュの世界にどんどん引き込まれていきます。

トピナンブール(菊芋)のヴルーテは、思わず目と目を合わすほっこりふわふわな味。思わず笑いが出てしまうおいしさって。前回来た時も、お~し、オイラも自作してみよう、と思って絶対近づけなかったヴルーテ。ここに来てシェフのをいただくのが一番やね。自家製のクルトンだって、この味、この大きさ、この数がピンポイントなんでしょ。

銚子産ホウボウのポアレ ジュ・ド・ポアソンでは、ホウボウの味が際立ってました。魚のポアレ、そんなに多くの経験はありませんが、ここまでのは初めて。焼きはもちろん完璧でしょうし、ソースがどれだけ主役を引き立たせるかしみじみ思ったことでした。フレンチはソースなんて聞いたことはありますが、実感。つぼみ菜、自家製のセミドライトマト、プチベールが更に料理に凄みを与えてました。

春菊のソース。魚の骨のソースは、まったく塩を入れていないというのが不思議な塩梅のいい味に驚嘆するばかり。手が込んで、手が入って。どれだけ根気が続くシェフなんでしょう、と今回も性格判断したくなりますよ。

イモ豚肩ロースのロースト、のほうは逆に魚に株を奪われた感じで肉の旨味やNA醤の味わいがホウボウの余韻を消すのに難しいくらいでした。これだけ高いポテンシャルの肉料理が前の皿の引きずりを許すという魚料理の素晴らしさを特記しておきたいと思いました。

デザートはリンゴのデクリネゾン。変化、と意味だそうです。リンゴチップを天使の羽根のように使い、その下にアイスクリーム、その下にクリームケーキと焼きリンゴ。リンゴ尽くしです。そして最後は、小菓子。小桜のかりんとう、人形焼フィギュアマドレーヌ、やげんぼりの乗ったチョコ。

シアワセ時間をいただきました。1人前でよかったあ。

待ち合わせを決めていた場所にご一緒する人が現れないというハプニング。携帯、ははん、家に忘れているな。連絡が取れないのでとりあえずお店には30分遅れると連絡しておきます。もうあきらめて、今日は2人分食べれるな、しめしめと思って店に向かって歩きはじめます。間もなく携帯が震え、お連れの方がお見えになったます。え~~~!急いで、速歩でお店に向かったため、いやあ、喉が渇きました。

お料理、ちゃんと満足できるように1人前は1人前なんですね。帰り際、シェフのお見送り。この方が、あの繊細で手の込んだ料理を、毎日毎日作っているんですね。

『とってもおいしくて。また幸せな時間をいただきました。あの手のかかるお料理。シェフはご自身ではSではなくてMと考えることありませんか?』究極のインタビューです。まあ、答えがすばらしい。けど、公にしないほうがいいような直截的ワードで。絶対的ファンになりました。


(2012年11月 初稿)

キリ番レビューの21回目。2100軒目のお店になりました。

ここまでレビューしたお店の数が増えてくると、書き手、読み手にとってキリ番の緊張感がゆるみがちだと思いますが、少なくとも書き手であるジブンは特別なお店を特別な思いで書く、ということには変わりありません。100軒目、500軒目、1000軒目、2000軒目と同じように、

熱い気持ちをお店に、読み手に伝えたい。

キリ番レビューの歴史がジブンの食べログ史であると思っております。いつもは行けないところやお店、いつもは食べられないお料理。

夢枕に閻魔大王が登場。
なあオマエ、オマエの命もあと21日。一日一食だけ好きなものを食べさせてあげよう。命が尽きる前に。どこで何が食べたいか申せ。

と言われたら、間違いなく食べログで刻んできたキリ番のお店21軒で食事をさせてくれえ、と言います。それだけ、自分にとってキリ番のお店はスペシャルなものなんです。今回も素敵な出会いがありました。

浅草には永年通い続けているアドバンテージを生かして、最近、浅草の美味しい店シリーズを走らせております。洋食、天麩羅、大学芋、肉まん、粟ぜんざい、とまずは目玉のお店を取り上げて、浅草通のはしくれであるアピールをしていたのが、ここオマージュとの出会いの伏線になったのでは、と今思ってます。浅草案内ならジブンにまかせなさい、みたいな。

ある日、毎回千葉オフ会UB会でお世話になっているうめばらももさんからランチのお誘いが。お店の名前がオマージュ、場所が浅草。あれま、やだよ。オマージュという名前のレストランが浅草にあることを知らないワタクス。これじゃあ、浅草通ライクも返上だし。いやあ、とってもうれしいお誘いですから万難を排して行くのは当然でありましょう。

行けなくなる可能性もありますよ、と脅かされましたが、それはこっちではなく向こうのこと。都合が悪くなったらドタキャンしますから、とも言われました。オマージュのことをすぐさま調べたら、ミシュランの一つ星。これは、ドタキャンはないな。絶対に行くはず、のつもりで浅草ガイドツアーのことも少し考えておかなきゃあ。浅草に行ってオマージュで食べて、はい、解散、という場所ではありません。時間の許す限り、お腹の許す限り、浅草の魅力を伝えましょう。

浅草駅での待ち合わせ時間が、予約してあると言う時間の直前です。ものすごい早歩きで行くような時間を言われました。これも、ただお店に行けばいいっつうもんでもありませぬ。お店に行く道中で何軒か紹介もしたい。浅草寺に来て、常香爐の煙を頭や顔にかけないとか、お賽銭をあげてお祈りしないとか、それはもう、ありえません。どんなに急いでいても、浅草ではやっていただきたい。

約束に時間に首尾よく会えました。そんなわけで、行きすがら何軒かのお店を紹介します。もちろん外観をみて、ガイドするだけです。雷門をくぐると人が多過ぎて歩くにも歩けませんから、雷門をくぐってすぐ脇道に入り、宝蔵門のところまで来て門をくぐります。こうすれば、常香爐で煙をかけられますし、お賽銭もあげられる。その後は一直線でお店を急襲。

ジブン、お誘いを受けてから1度オマージュの前に来てます。本番の日には道を間違えず、一発で来る必要がありますので、できたら下見をすると。機会があって、そうすることができました。お店は周囲の様子とは異質の外観を誇るコンクリ打ちっぱなしのモダンクール。ふたりでその前に立ちました。ドタキャン、ないない。

1階のクロークで荷物を預けて2階に案内されます。13時を少しまわってました。ラストオーダーまで20分。余裕でした?2階は外観とは異質な木を使った温かな空間が用意されてました。L字型に配置されたテーブル席。既にわれわれ以外は食事をスタートさせています。静かです。話をするよりも食べる方に専念しているかのような雰囲気。おれらも早く仲間入りしたい。

手わたされたメニュー。3800円!!か6300円ですよ。6300円になると魚と肉の両方が出てきますが、二人いることだし、3800円のコースでそれぞれ肉と魚をチョイスして半分ずつ食べることに。このランチのあとも控えてますので、少ないくらいがいいんです。お飲み物はと訊かれ、2種類の赤ワインを頼みました。

◎突出し的アミューズブーシュ
お店の定番だそうですが、オリーブが素敵スティックに刺さって。ポンデケージョをうめえうめえと食べていよいよ始まるなあ的気分になります。もちもち好きのももさんが、スマイルすることすること。このあとも、スマイルしっぱなしで、二人でうめえうめえを連呼してます。二人とも、初オマージュ、初ミシュラン。ワインが食欲を引き上げてきて。

◎アミューズ2種
フォアグラのフラン 葡萄のジュレ
茄子のピュレ 秋鮭のリエット

とってもシンプルに見えるのですが、作るのは大変だろうな。そんな思いを起こさせるアミューズ。既に素材の種類は両手で数えられないほどでしょう。フォアグラのフラン。

フランがいい。田舎者ですから、もっとくれ~的発想しかできませんが、これひとつとってもシェフのすごさが伝わってきます。あとでミシュランの採点の項目を調べると、なるほど、それぞれの項目で高い完成度を感じました。

◎マッシュルームのヴルーテ フランス産栗とノワゼットのクリーム
これが今日一だったかなあ。ヴルーテの旨味とクリームの濃厚さ。マッシュルームの風味。栗とヘーゼルナッツの刺激。こういう料理が出来るんですねえ。これはびっくらぽんのおいしさでした。ここ何年のベストワンと言ってもいいくらいの出色の出来。あまりに感激して、直後にマッシュルームスープを自作したくらい。もっと旨くするために、フードプロセッサーも買ったくらい(日記参照)。

マッシュルームクリームスープが、泡とともにふわとろ。ふわふわとろとろ。いやだなあ、もう、の逸品でした。フレンチトーストが箸休めの豪華さ。

◎冷製奥美濃古地鶏のドーブ セップ茸のクリーム
このテリーヌも複雑な味でこれだけの旨味を出すための苦労が、労力が透けて見えてきます。フレンチってすごい。セップ茸ってポルチーニですよね。濃厚なクリームで、この変化の山谷や味の深さには驚嘆です。

◎スパイシーなパン粉を纏った蝦夷鹿シンタマ ソース・ポワヴラード
メインの肉は蝦夷鹿でした。ちょっとジミな外見。目の前で食べている魚が豪華なセッティングゥに比べれば、メインらしからぬジミー大西。シンタマってもも肉の種類で、ウチモモの下にあって球状なので芯玉って言うそうです。肉肉してて、いい味してますね。しかし、魚の勝ち。

◎洋梨のイル・フロッタント スパイシーなキャラメルのスープ仕立て
フレンチの定番デザート。島、浮いている、ということで、スープがまわりを囲んでます。言ってしまえば大人の味。おいしいですが、これも目の前で食べているデザートの勝ち。この日はチョイスは全敗でした。ま、ガイドはでしゃばっちゃあいけませんぜ。

珈琲と小菓子。このスプーンがほしい。人形焼のマドレーヌは店のスペシャリティ。これから訪問する小桜のかりんとうも登場でした。

これで、全幕の終了。お客さんは二人だけで全員退場してます。余韻を味わい。お料理の素晴らしさ、というより、凄み。ミシュランが評価するという、「素材の鮮度と品質」「調理技術の高さ」「オリジナリティー」「コストパフォーマンス」「常にクオリティーを保つ料理全体の一貫性」「味付けの完成度」。この6項目クリアはもちろんのこと、深く印象に残ったのは、美意識。食の感性とアートなこころ。

選び抜かれた食材。完成度の高い調理技術。それを美的に見せる、魅せる。満足なランチでした。

ひとつだけココロ残りがありました。何であのとき、次回の予約を入れなかったのか。

これが、2100軒目に選ばれたオマージュです。いつもレビューを応援していただき、感謝いたします。また、2200件に向かってがんばっていきたいと考えます。

                            2012.11.4
                                   (G)

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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4位

くろぎ (湯島、上野広小路、上野御徒町 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥1,000~¥1,999

2012/11訪問 2013/02/19

初くろぎ。そして、間髪を入れずまさかの夜くろぎ。二度と味わえない・・・・。で、三度目・・・・・。

(2013年2月 再訪)

牛若丸黒木さん。お元気ですねえ。

『お久しぶりです。あれ、行列さん、XXX替えましたか?』

『え~、何で分かるんですか!?』

のっけからココロを鷲掴みされ、お料理のスタート。テーマは、開運絵馬。ちゃんとくろぎさんの紋が入ってますよ。そして、“おいしく食べられる”いわし。この日のメニュー。

先附  蕗の薹豆腐 山葵
凌ぎ  鯖棒寿司
椀物  酒粕椀 鰤 大根 人参
進肴  白子天ぷら 
箸休  寒ひらめ 九条葱 ごまだれ
玉締  鴨肉
八寸  絵馬 鰯 ばち子 柚べし 
お造  鯛 魚素麺 あしらい色々
焼物  牡蠣照焼 酢蓮根
蒸し物 蕪蒸し 木耳 銀杏 百合根
香の物 丹波京漬物盛り合わせ
食事  うすい豆ご飯
留め椀 赤出汁 九条葱 揚げ 豆腐 なめこ
甘味  葛切り

トロケル棒寿司。酒粕がうまい。魚素麺の味と食感に驚く。鯛が旨い。こんなに味っぽい鯛は初めて。牡蠣の照り焼きは家で挑戦したい。うすい豆ごはんは、もち米が入っているような食感で、極めて美味。お店で使っているのと同型の土鍋を持っているので、これまた再現できるか試行錯誤する価値のあるおいしさ。書ききれない旨さの饗宴にすっかり酔いしれた3時間でありました。 

(2012年11月 再訪)

夜くろぎです。

お誘いを受けました。まさかの夜くろぎ。どうしてジブンを誘っていただいたのですか、とお訊きすると、昼くろぎのレビューの中で一番夜に行きたいようなことが書いてあったから、と。

ですよね。夜、行きたかったのは事実ですし、予約しても入らないのも事実ですし。もし万一予約が取れたら一緒に行きましょう、と声を掛けていた方に、誘われたので、お先に行って来ますとお断りしてから。遠慮なく席に入れていただきました。

蟹づくしな夜。

ジブンは鳥取の生まれで、松葉ガニ(ずわい蟹)や親蟹(せいこ蟹)には慣れ親しんで、ずっと食べてきましたが、この日食べたずわいやせいこは別物でしたね。ここまでおいしく茹でる、調理する。もちろん素材も特級品なんでしょう。ばちこ(くちこ)にしても、しかり。

この日いただいたお料理はその日限りの品書きに印刷されて手渡されます。

いまその品書きを見て、当日の息をのむようなお料理の数々を思い出します。よくぞここまでラインナップを揃えたものだと。そして、どれもこれもがその食材の最高の味を引き出してシアワセを感じたのですが、この夜限りなんだなとも思いながら、しみじみ味わったことでした。もう2度目はないでしょう、夜くろぎ。

お声を掛けていただいたEricさん、そしてご一緒に楽しい時間を過ごさせていただいた自称独り者グルメさん、本当にありがとうございました。

この日家を出るときは台風のような横殴りの強い雨。湯島では小雨。お店の入口で、傘をお預かりします、でお願いします。帰りは雨があがって。くろぎさんと握手をして別れて、しばらくして、あれ?傘を渡されなかったな。戻れる距離でしたが、また戻って来るまでお預かりしてます、って言うことなのかもしれないな。それじゃあ、預けることにしてと。そのまま傘なしで夜の街に消えていきました。

この日のお品書き

*先付 
 背子蟹土佐酢
 焼き胡麻豆腐 山葵
 あん肝ちり酢
 秋鮭いくらの蒸し寿司

*お椀
 海老真丈椀 芽かぶ

*八寸
 自家製からすみ
 鴨ロース ばち子
 銀杏翡翠揚げ

*焼き物
 寒鰤照り焼き

*お造り
 紅葉鯛 鮪 妻もの色々

*焚合わせ
 京蕪煮 京菊菜

*香の物
 丹波京漬物盛り合わせ

*食事
 丹波栗の焚き込み御飯
 せいこ蟹の焚き込み御飯

*止め椀
 蟹出汁味噌汁 九条葱 揚げ 豆腐

*甘味
 葛切り
 

(2012年 11月 初稿)

先だってかりんとうの花月さんを訪れたとき、たしかくろぎさんもこの辺だったなあ、とお店の前まで行きます。ここに間違いなさそうだけど、なにせ看板がありませんので、特定できません。スマホを取り出してめくってみると、やっぱりここ。思い切って電話をしてみると、この日のランチなら空いてますと言うことで予約をお願いしました。

で、この日、初くろぎ。ランチから始めないと本丸はますます遠くなってしまったアイアンシェフ。定刻に店の人が出てきて、誰何を問われながら入店していきます。

通されたカウンター席。こじんまりしていて、くろぎさんとの会話にはちょうどいい距離感。この日のランチの同組に定連さんが入っていたため、くろぎさんは定連さんとの会話に終始。しょうがないね、初くろぎの初心者は。おし黙ってお料理を待つだけでありました。

お弟子さんと出来ていたお料理をお盆に乗せていきます。出来上がったものを順番にお客さんの前に並べて。お弟子さんが、今日のランチは鯛茶漬けですと、説明開始。ごはんと鯛はお代わりできますので、1杯目はそのまま召し上がっていただき、2杯目はお茶漬けにしたらよろしいかと思います。

それじゃあ、いただきますよ。鯛は濃厚なクルミ味のような胡麻ペーストに身を纏い、切り身が大きくて分厚いものです。味もいいし食べごたえありますね。ご飯はかために炊かれ、噛むほどに美味しくなる特選ごはん。玉子焼きや青菜の煮びたしにかすかな片鱗を感じながら、おいしくいただきました。

お代わりしましょうか、と言われ。2杯目は鯛茶で。1杯目とほぼ同量のご飯に鯛。これで1000円と言うのは、いかにも名刺代わりのご挨拶ランチですね。鯛をごはんに並べていたら、お茶の温度が低くなっちゃいました。切り身が熱湯で色が変わり、食感が変わり、味が変わる、その醍醐味は逃しましたが、十分おいしくいただきました。最後に、アイスとお茶。

昼と夜では値段も違いますし、全く別の顔を持つお店ですから夜の予約をして帰りたいと思い。

くろぎさんが、お茶漬けが終わった食器を下げに目の前に来たとき、話しかけました。

夜の予約をしたいのですが、今できますか?

11月は4月分の予約ができるんだそうですが、4月はすでに満杯。12月から次の月の予約開始だそうで。

そうですか。じゃあ頑張って予約を取りに行きますよ。

いやあ、がんばらなくても、とれますよ。だいじょうぶですから。

う~ん、とてもそんな感じではありませんが。一歩は踏み出しましたが、やはりあと千里ぐらいありそうですね。

ランチ、おいしかったですよ。


  • 絵馬 鰯 ばち子 柚べし
  • 蕗の薹豆腐 山葵
  • 鯖棒寿司

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5位

緑のイスキア (鶴岡 / カフェ、ピザ、イタリアン)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2012/09訪問 2012/09/08

2000件目レビューに選んだのは、庄内平野の田園の中熱く燃える青年の焼くナポリピッツァ緑のイスキア。

山形県鶴岡市に来ています。

食べログに投稿を始めて4年1か月。1496日目。2000件目のレビューをUPする段になりました。この間、全国の大勢の方から叱咤激励をちょうだいし、ジブンでも信じられない2000件という数のレビューを綴ることができました。感謝以外にありません。今回どのお店に登場していただくか、考えた末、今もっとも自分の興味のあるナポリピザの中からお店を選ばせていただきました。

お店があるのは、山形県鶴岡市。庄内平野という食材の宝庫を背景に、奥田シェフのアル・ケッチャーノの登場で全国に名前が知られるようになった小さなカントリータウンです。この鶴岡にあった農家レストラン穂波街道が今回訪問した緑のイスキアの前身。庄司ピッツァイオーロの誕生は、このお店でおいしい本物のナポリピザを食べてほしい、との思いからナポリのイスキア島まで修業に行ったことから始まります。穂波街道に、本物のピザを持ってくる。ナポリから。

その思いは、2009年、イタリアナポリの真のナポリピッツァ協会から世界で296番目の認定を受けることで成就します。このようなヒストリーがあって当時は東北で初めてで唯一の認定を受けることになります。(その後仙台のお店が東北2番目の認定を受けました。)

どうしても鶴岡に行きたい。思いは募るばかりです。つくばにあるナポリピザ認定店アミーチでいつも旨い旨いってピザを食べていますが、認定店って本当にすごいや、と思ったのは福井県の認定店バードランドで食べたときです。ナポリにある真のナポリピッツァ協会認定店の凄みを実感しました。現在認定されているお店は全国で39店舗。仕事で行く機会がありませんので、時間はかかります。何年かかっても全店行って食べてみたいと秘かに全店制覇を目論んでおります。

アミーチ(NO269)、バードランド(NO185)の他では、栃木県宇都宮市にあるピッツェリア トラットリア アルマデルソーレ(NO270)に行ってます。ナポリピザの旅、先ずは東京から順番に攻めていきましょう。ということでその後、東京で3店訪問。パルテノぺ広尾店(NO165)、パルテノぺ恵比寿店(NO166)、そしてトラットリア ピッツェリア ラルテ(NO377)がそれらです。

緑のイスキアが認定39店舗中の7番目の訪問。いままさに旅が始まったばかりというステージです。鶴岡に行くには幾通りかの行き方がありますが、今回選んだのは山形新幹線で山形駅まで行き、そこからレンタカーで行くと言う方法です。鶴岡市内にはこの他にも行きたいお店がありますし、鶴岡のあと日本海まで行って酒田に泊まる計画を立てていました。

定刻に山形駅到着。朝の9時です。レンタカーを借りて一路鶴岡、緑のイスキア目指して出発です。事前に2時間半くらい時間を要すときいておりましたので、イスキアの予約も11時半。深い緑の中をわくわくしながらお店に向かいます。興奮します。高速道路に乗ったつもりでしたが途中でいつの間にか一般道路を走っていて、その後再び高速に乗るという日本の背骨を横断する難儀を体験します。そして、いよいよあと1km。胸の高鳴り。わくわくして、運転ももどかしく。

ありました。最初にお店の看板を見つけました。この通って来た道が穂波街道なんでしょうか。そこに、突如、あたりの田園風景を背景にまぶしい看板が路傍に立っていました。

真っ赤な看板に白抜きの文字。穂波街道 緑のイスキア そして、農場レストラン ピッツェリアと旧のお客さんに馴染んだ名前も入ってます。ピザの写真が貼られ、その脇には誇らしく、

真のナポリピッツァ協会東北初認定店

の文字が。やっとここまで来ました。その看板に従って細い道に入ると、田園の中に佇むイスキアの威容が見えました。周りは収穫前の稲がたわわになった田んぼ。店の前に車をとめて、いよいよの入店。うあああ、いいお店ですねえ。店内は広くて、明るくて、本当にナポリのイスキア島に行ったみたい。行ったことありませんが。今まで行ったピッツェリアのどこの店とも似てません。南イタリアの風が吹いています。

あらかじめ予約をしていたので、入口で名前を告げます。案内してくださったのは、庄司イオーロのおかあさま、つまり穂波街道を始めた先代です。先代と言うと年寄りに聞こえますが、素敵なまだ若いマダムさんです。

ようこそいらしゃいました。焼けるところがいいと思って、どうぞここに座ってご覧になってください。

薪窯の真ん前にショートカウンター席があって、その中でも窯に一番近い席を指定していただきました。

今日はあいにく息子は楽天の方に行っているので、代わりに高橋が心を込めて作らせていただきます。

そうでしたか。気持ちは残念ですが、また次回の楽しみが残りましたし、高橋イオーロにお会いできたのもご縁ですから。よろしくお願いいたします。

緑のイスキアは宮城県のKスタジアムに赤のイスキアというお店を出しているんです。もちろん試合のある時だけの営業ですが、ちゃんと手でこねる本店と変わらぬピザが食べられるんです。そのお店に行っていて不在であるとのことです。

さて、メニューを拝見し、オーダーしたのはもちろんD.O.C.です。このお店では、マルゲリータエクストラという別称を与えて、オーダーしやすいようにしていました。説明も一般に分かりやすく、定番マルゲリータの上質を極めたピッツァ。水牛のモッツァレラ、農場のつみたてトマトなど。なんとDOCが1100円。都会の半額です。ランチセットとして、4種の前菜とデザートとカフェのセットをおねがいしました。これは、+800円です。

この日、お客さんがどんどん押し寄せて、またたくまに満席になりました。やはり本物を食べたい!のは皆が思うところです。お忙しい中、おかあさんもイオーロさんも気を遣っていただき、いろいろ話をさせていただきました。温かいファミリーのお店です。かわいいい店員さんもいましたよ。

前菜です。豪華ですね。説明していただきましたが、何せ知識がありませんので一度聞いても頭に入りません。体が受け付けません。侵入を防ぐ白血球のようなものです。メニューで見ると、ポルペットーネ、カプレーゼ、カポナーヌ、+本日の一品となってました。ポルペットーネはミートローフのことだそうです。カプレーゼはカプリ島風のサラダ、カポナーヌは煮込みでラタトゥイユのようなもの、なんですって。言えるのは、どれもチョー旨かったっつうことかな。

レンタカーで来てますので、アルコールなしでがんばりました。本日の一品は、プロシュートといちぢく。申し訳ありません。旨すぎです。同じ組み合わせでミラノ郊外の小さなお店で食べたときの感激を思い出しました。プロシュートにはメロン、とバカの一つ覚えが、いちぢくとの組み合わせがいかに衝撃的だったか。

高橋イオーロが生地を伸ばし始めます。鮮やかな手つきは、まあ速い速い。赤穂市のさくらぐみさんの紹介を得て、ナポリで修業してきたとか。庄司さんがまかせられるのも分かります。窯の写真とパーラを操る写真の撮影をお願いしてあります。まあ、パーラの動きもまた速いこと!写真が撮れません。撮ろうと思った時にはもう終わっていて、パーラをくるっと回して涼しい顔。お見事!と言うしかありません。

焼き加減のお好みはありますか、と訊かれました。今までそんなことは考えたこともありません。イオーロさんがベストと思うものをいただいていただけで。高橋イオーロの話では、ナポリでは結構しっかり目に焼き上げるということでした。

慎重に焼け具合を確認し、パーラを使って回して回して熱を均等に入れていきます。本当に鮮やかでした。

さ、できあがり。おっと、このDOCはモッツァレラもたっぷり、フレッシュトマトもたっぷりです。もう見るからにうまそうです。たまらず、ワンピースをいただきます。うううまあああ。めっちゃ旨いっす。どちらかと言えば、先ほど話に出ていたようにややしっかり目に焼き上げ、それが旨い。こういう食感のピザ、初めて?かも。とってもおいしいです。生地の食感が旨さをワンランク上げている感じですね。

ホール全部をいただくのに、そんなに時間はかかりませんでした。うまいうまいであっというま。来た甲斐がありました。おいしいピザ、素敵な雰囲気、ナイスなサービス。これはすべてに満点だと思いました。庄司さんの代役という格好だったイオーロの実力もすごい。今度庄司さんにお会いした時はそのことを伝えなければ。おかあさまとイオーロに感謝の言葉を述べ、席を立ちます。

まだですよ。デザートがありますよ。

そうでした。興奮のあまり、席を立ってしまいました。デザートはふわとろのレアチーズのムース。これ、大好きなんです。

家業を継ぐ。すでにして評判を取っている農家レストランを継ぐ。そのとき、自分が感激した本当の本物のピザをお店に出そう、と考え。ナポリで修業するために海を渡る。思いや夢や希望を努力して実現していく。そういうお店で、かつてこれをお客さんに提供して喜んでもらおう、と思ったものをそのままいただくシアワセ。庄司青年の夢は実現し、こうやってワタクシまでもご相伴にあずかって。

このお店のこと、まだご存じないあなたに紹介させていただきます。ワタシが庄内の素敵な店で感激したことを分けてさしあげたい。そういう思いで、このお店のことをレビューさせていただきました。ありがとうございました。

  • 庄内平野の田園に。
  • D.O.C
  • 4種の前菜

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6位

ウシマル (松尾 / イタリアン)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.7
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2013/02訪問 2013/02/01

シャル ウィー ダンス? あなたと一緒に。

(2013年2月 再訪)

ランチのおまかせコースを予約して行ってきました。

この日もまた、素晴らしい食材と調理の妙、マネージャーのホスピタリティで完全リラックス、癒しの3時間でした。

用意されていた食材は、

*片貝産朝どりのアンコウ
*いすみ産孟宗竹
*山武産天然網取りマガモ
*房州仔猪ロース
*地場野菜
*自家製カラスミ、自家製生ハム、自家製牛乳
*手打ちタリオリーニ

柚子のジュースで乾杯。そして、看板の大フォカッチャを切り分け、湯気がもわ~。いつにもまして今日のフォカッチャはうめえぞ。そのあと、出されてものを見てびっくり。まさに、アミューズメントです。大きな車海老と大きな赤貝を串焼きにしたもの。それを、まあ。飴細工のデコのように串に刺して紫大根にぶっさし。車海老の頭をつぶして、チーズと一緒にぱりぱりにフライド。香ばしくて旨いよお。赤貝も生っぽくて、その上熱を入れて味を膨らませ。技あり!

アンコウの肝と刺身。スガハラガラスの特製お皿に乗って登場。特製の柚子胡椒でいただく朝捕りのアンコウ。身がぷりぷりでいとあはれなり。

そのアンコウのかまの部分をスパイス焼きにしたのが、次のお皿です。このスパイスが絶妙でしたね。あんこうも、骨にくっ付いている部分です。手で持ってむしゃぶりつきました。添えられていたのは、蕗の薹。春は確実にやって来てます。

引き続きアンコウ料理。アンコウの皮と内臓をソテー。その上には自家製モッツァレラ。その下には大根を鮟鱇出汁で炊いたもの。周りに鮟鱇出汁がかけられています。これをぐちゅぐちゅって混ぜて食べると、ホントこの世は天国。ちょっとピリ辛にして、味の輪郭を出しています。鮟鱇鍋が旨いはずです。出汁感が強いです。

ここで、雰囲気を一変する孟宗竹と自家製生ハム。竹の皮でカバーされてサーブされます。その皮をのけてやると、筍の濃厚な香りが一気に噴出してきます。これがまた、甘くて絶品でしたね。房総は筍がたくさん採れるんです。初物。春は確実にやってきています。

地場野菜のサラダ。野菜の種類が半端じゃないです。10種類?いえいえ、そんなもんじゃないです。トマトを専門に育てている農家からの甘いトマト。ゼブラトマト、って初めて食べました。大根だけでも3、4種類。トマトが3種類。ブロッコリーはちゃんと茹でたて。食べ進めると下からまた違う種類の野菜登場。自家菜園からの贈り物です。

ここで、変化球が。いかすみのソーセージ。なんじゃい、これ?羊腸の中に仕込まれているには烏賊と芋とイカスミ。ちょっと温かくて、めちゃめちゃうまいっす。ま、全部ワインレスでは信じられない食事です。お泊りか電車が鉄則だなあ。車だと便利なんですけどねえ。イカスミの嫌な臭いは全くせず。旨味だけが襲って来ます。

本日のパスタ。手打ちのタリオリーニ。上に乗っているのは自家製カラスミがこれでもかのうれしいたっぷり贅沢感。うまいねえ、ったく。パスタはパンと同じ小麦を使用しているとかで、もっちりがすごい。カラスミのスティックを齧りながらいただく王様喰いでした。

ここで口直しのグラニテ。ゆず味で、上から柚子をおろしてかけてます。さっぱりしたところで、じゃ~ん、ジビエ。

山武産天然網取りマガモと房州仔猪ロースのツートップ炙りで。鴨は定番の山ブドウのソースで。このばっちりとついた脂が絶品です。肉は繊維が細かく、繊維の間から肉汁が。猪はあばらのところの一番おいしい部位。これも脂の口どけがすばらしい。シンプルにあぶり焼きが一番うまいですね。熟成によって旨味を最高レベルまで引き上げ。これぞウシマルの真骨頂でありましょう。こっちはシアワセの絶頂。

そして、自家製牛乳。うまいのなんの。ここでチーズセレクションのサーブを訊かれました。おいしいのは、前回の経験で十分分かっておりますが、これはまた次回のお楽しみにとっておいて。お腹いっぱいになってますから。デザートは、自家製牛乳で作るジェラートとヨーグルト。どんだけおいしいか、まさにこれは、筆舌に尽くし難し、と。

いやあ、またまた大大満足のお料理でした。

あれま?まだありましたか。マネージャーが、“変なモノ”を運んで来ました。なんですかこれ?

え~っと驚くシナモン、桂皮ですね。木をそのまま輪切りにして温めて。シナモンの汁を作って、それを大きな苺にかけて。これも、すばらしくおいしいサプライズでした。コーヒーで興奮を鎮めて。

毎回すばらしい時間をいただいてます。マネージャーとシェフに巡り合えたシアワセ。この場所にずっといたい、と思いながらもお二人にお礼を申し述べて、下界へ降りて行きました。


(2012年9月 再訪)

オフ会に声を掛けていただきました(ぎょ)です。(G)です。

2回目のUSHIMARUさん訪問でした。初訪は1300件目の記念レビューでした。トップページで足跡をたぐると、2011年6月にレビューを上げていて採点は★5。今回店内に入ってからお店を出るまでのすべての、総合的な点数をつけるとすれば、★5++ですね。正直驚きました。お料理ももちろん★5++。初回で出会ったUSHIMARUとは全く別の顔を見せてくれたUSHIMARU。真の打矢シェフを見せていただきました。打矢ワールド、すごいです。

個々のお料理の内容については、この日ご一緒させていただいた他のレビュアーさんに報告を託したいと思います。すでに本会の会長殿が子細なレビューを上げていて、いつもながら完璧な内容で屋上屋を重ねる愚はやめておく、ということで。感想?ニアリーイコールということで。

ジブンは以下の点のみ言及したいと考えます。

1. 千葉の食材の豊かさ、バラエティの幅広さ、に、驚愕。それをシェフマジックで、更に深化させる稀有なレストラン。

 
そもそも、この牛丸のキャッチは、“あなたの知らない千葉がここにあります。”というものでした。

“オーナー宅で朝搾ったばかりの牛乳。地場の減農薬野菜、地元九十九里浜の朝取り鮮魚、千葉県が誇るトップブランド豚富里産“ダイアモンドポーク”、そして千葉で取れる天然のシカやイノシシ達・・・“ HPにあるお店の紹介です。

今回、まったくのシェフのおまかせということで、思う存分実力を発揮されたのではなかったと思います。定番の自家牛乳やチーズ、冨里産のゴールデンポークと言ったお店では聞きなれた食材を、大きく上回る種類と内容のものを用意してくださいました。食材のみを書き出してみると、どれだけ手を尽くしていただいたかよく分かります。

*九十九里産海取り天然うなぎ
*作田産岩牡蠣
*いすみ産房総地鶏
*いすみ産ジャージー仔牛モモ
*冨里産三元豚仔豚モモ
*千葉県産鹿(雄)ロース、フィレ
*横芝産山羊チーズ
*自家菜園シークワーサー
*山武産黒ゴマ、銚子産トマト、自家菜園かぼちゃ

どうでしょうか。全部千葉県産。ほとんど知らない食材です。お店が言う、ワタシタチが知らない千葉。本当にここにありました。

これだけの食材を使ってどんなコース料理を組み立てますか?どんなプレゼンテーションをしますか?料理が先にあるのではなく、あくまで先にあるのは、食べて欲しい、紹介したい千葉の食材。このことを知っただけでも、シェフやマネージャーの緻密な作戦が見えてきます。

2. 1皿1皿に渾身の勝負。

コースとして徐々に盛り上がっていくような料理の見せ方。工夫を感じます。そして、素材を生かすベストの調理法をあくまでつらぬき、手抜きやショートカットなし。おそらく、最後の1皿を厨房から送り出したあとは、シェフ、マネージャー、スタッフに大きな達成感があったのではないでしょうか。

地粉を使ったパイで包んだフリット。トマトとシークワーサーを使った冷製カッペリーニ。圧巻だった地鶏の藁焼き。黒ゴマはニョッキに。そして、肉類はスペシャリティの炭火焼。

あらためてお料理の写真を見ただけでも、どれだけのエネルギーと集中力を要したか想像できるというものです。調理人が大勢いるようなお店ではありませんから。調理中の様子を見ることはありませんでしたが、おそらく大変なことになっていたのでは思います。

3. 自家酪農園の製品が要所を締める。シェフが収穫してきた朝どり、野生のきのこの味の濃さ。

オーナーのご実家が酪農家ということで、牛乳はおろか、珍しいチーズも登場。これがコースにとても豊かなふくらみを与えてました。やっぱり自家の強みにはいかなる世界の有名ブランドもかなわないでしょう。シェフが自ら収穫してくるというきのこ。まるで作り物のような美しさと野生の持つ力強さ。こんなレストラン、どこにあるでしょう。

4. 評価

このレビューUP前で、お店の評価は★3.55。決して低い点数ではありませんが、お店の実力からすれば★4以上でしょう。東京の集票力のあるレビュアーさんが数名このお店を訪問すれば、かなり実力に近づく★になると思います。是非ご来店を。

5. お店の方へ

こんなに素晴らしい料理を、お時間を提供くださいましたマネージャー、シェフ、そしてスタッフの皆様に心からのお礼を申し上げます。寿命が10年伸びた気持ちでございます。


(ご参考:この日のメニュー)(会長のレビューをコピー貼り付け、誤変換があってもままで。)

自家菜園かぼちゃのアイス
横芝産山羊チーズと茹で落花生
作田産岩ガキと地粉のパイ包み
銚子産トマトと自家菜園シークワァーサーの冷製カッペリーニ
いすみ産房総地鶏のわら焼き(国産飼料のみ使用)
山武産黒胡麻のニョッキ
九十九里産海取り天然ウナギ炭火
地場野菜のサラダ
いすみ産ジャージー仔牛モモ
富里産三元豚仔豚モモ(2ヵ月半)
千葉県産鹿(雄)ロース・フィレ
搾りたて牛乳
ヨーグルトと牛乳アイス
ハーブティー


(2011年6月 初訪)

1300件目記念レビューは、ここUshimaru。九十九里の魚をはじめ打矢シェフの技が冴える。


物語の発端は、ある料理番組を見ているところから始まります。九十九里浜の沖合いで釣れた、釣りキンメを調理している道場六三郎の姿が映っています。とても80歳に見えないエネルギッシュな動きで、見事なキンメ棒寿司を完成させました。キンメ鯛というのは、うろこがおいしい魚なんです、と六三郎のコメントが入ります。そうなんだ。

次に紹介されたシェフも、釣りキンメの料理を作ります。彼の専門は、イタリアンですね。キンメのうろこを全部とり、うろこ“だけ”を油で揚げて、その揚げたうろこをスパゲッティに乗せてます。そんな料理って、あるんかい。そのウロコの乗ったスパゲッティを食べたい。このシェフが、後にお店でお会いした打矢さんだったのです。

映し出されたお店の名前を書き取り、PCの前に座って検索すると、あるある。県内の山武市というところにありました。早速予約しようと電話しますが、お話中。30分後、ようやく繋がりました。

予約をしたいのですが・・・。

テレビをご覧になったのですか?

電話の向こうでご婦人に訊かれました。そうでしょうね。おそらく電話が鳴りっぱなしだったのでしょう。今日の晩はお席ありますか?の欲張りな問いかけにちょっと難しいとの回答でしたので、翌週末のランチに予約を入れていただきました。

さ、どんなところなんでしょうか。聞いたことがほとんどない地名でしたが、九十九里の近くなんですね。地図ソフトでは自宅から60km。海がそんなに近くにあるなんて認識しておりません。久しぶりに海でも見てくるか。

あっという間に当日になり。この日は、Cさんの記念日だったので4人で出発しました。途中から田舎の一本道をどんどん海に向って走りますが、この道、はにわ街道と名前がつけられていて何kmごとに人の背丈ほどもありそうなはにわが、路傍に立っているのです。これが、可愛い、と言うより、案外不気味な感じがします。かわいいようにモディファイしてなくて、出土品をそのまま大きくしたみたい。忠実だけに、古代人の声が聞こえてくるようで。

最後の角を曲がってからは農道のようで、案内標識に従ってとろとろ行くと、じゃ~ん、ありました。田畑にそぐわない南欧風の瀟洒な建物が忽然と現れます。時計を見ると開店30分前。早すぎました。駐車場でどうしようか考えていると、中からスタッフの男性が出てきて、ごあいさつされます。5分前には開けられるとのことでしたので、海に行く方法を訊きました。途中に道の駅もあるって。じゃあ、大好きなお買い物と海を見て待ちましょうか。

九十九里の砂浜、どこまでも、どこまでも続いてます。ながいなあ~、っていつも同じ感想。風が強く高い波が打ち寄せています。これじゃあ、漁はなかったね、多分、とキンメ危うし。砂浜を離れてレストランに戻る途中に、道の駅オライはすぬまがありました。あじ丼、食いて~、ってだめに決まってます。あと5分でランチですよ。ソフトクリーム、だめだめ。結局、生のヤングコーンを買って、建物の写真を撮って。ヤングコーン、うまかったけど、食べログに載せられないもんね。

お店に戻ると車が何台かとまってました。開店時間ちょうど、でした。お店の中に入ると、先客が4組で、それぞれメニューを見ていましたね。天井を高く取った店内はオープンキッチン仕様で、その前にはカウンター席があります。そしてその後方にテーブルが並べられ、入り口からは奥のほうのテーブルに案内されました。その奥には個室もありますね。スタッフが忙しそうに準備してます。テレビで拝見した打矢シェフの姿もありました。さあ、始まります。

休日のランチですから、コースだとpranzo Aが2300円。前菜3皿、本日のパスタ、フォカッチャ、デザート、そして最後の一杯。pranzo Bになると、3500円でAに本日のchefの一皿と呼んでいる魚か肉のメインが加わります。pranzo Cはすべておまかせで6000円。あわよくば、釣りキンメを狙ってますので、Bのメインは今日は何なのか、これはお訊きするしかありません。と思ったら、メニュー別紙に出てました。

ダイヤモンドポーク(富里産純血ヨークシャー豚)
千葉袖ヶ浦産黒毛和牛(+1000円)
千葉県香取産F1フィレ(+1000円)
いすみ産房総地鶏の炭火焼
千葉県産イノシシの炭火焼
房総鹿ハンバーグ
横芝産山羊炭火焼
ホウボウのアクアパッツァ

魚はほうぼう、でした。キンメ漁は時化でなかったとのことです。次回の楽しみができました。それと、このお店、ジビエでも有名なんですね。どの材料も千葉県産です。肉も野菜も魚も。このために、この不便な土地に引っ越してきたイタリアンシェフ、たしかテレビではそのような紹介がありました。どのメイン料理もおいしそうなので、結局4人ともBにして、メインを別々にオーダーすることにしました。ジビエは4人全員が食べたいというわけではない、という理由で却下され、決まったのは、2人前ずつゴールデンポークとアクアパッツァ。パスタも2人前ずつ、

銚子産フルーツトマトのケッカソース
自家製ベーコンのカルボナーラ

最初に運ばれてきたのが、前菜の片貝漁港産スズキのカルパッチョ。片貝漁港はお店から近い九十九里海岸にあります。シェフはここから魚を仕入れ千産の材料にするわけです。このカルパッチョ、見た目も爽やかだし、さっぱりとうまいスズキでした。スズキの旬は夏とされてますが、この時期のもおいしい。

次の前菜が、春子と自家ごぼうのプリン。春子は、この時期の鯛の子供。稚鯛です。ごぼうのプリン食べたことありますか?とっても微妙です。お酒があればずっとおいしくなるかもしれません。3品目は、Ushimaru畑と地場農家の野菜サラダ。これはとってもおいしくて、野菜のクオリティの高さをしみじみ感じました。千産千消を標榜するUshimaruの面目躍如ですね。季節の珠玉、こごみもありました。ドレッシングもうまい。なんだか、楽しいですね。ここが、シティーのレストランとの違いでしょうか。

ここで、じゃ~ん、でっかいフォカッチャ登場。大きく焼いておいて、各テーブルを廻りながらカットしてサーブするイベントとしてこのフォカッチャを使ってました。うまいです。焼き上がり。出来たてです。このフォカッチャを食べているとメインがやってきました。まず食べたのは、ホウボウのアクアパッツァ。キンメがなかったのは残念ですが、この上品な味はなかなか他では味わえない貴重なものでした。角ばったこの魚がこんな奥深い味をたたえているとは、驚きでした。やはり味付けが決めてでしょう。

オープンキッチンの前の方に火鉢があって、いろいろ炙ってました。次に食べたゴールデンポークは、その火鉢で炙られての登場です。これが、この日一番のおいしさでしたね。調理法もよかったし、このポークは名前負けしてませんね。実に旨み成分が多い豚肉でした。

このあと、まっくろに焦げた皮ごとの筍が出てきました。これが甘くておいしい。皮は自分で剥くんです。

パスタはさすがのイタリアンシェフ。完璧ですね。ケッカソースはフレッシュトマトを贅沢に使い、まんまのトマトとチーズの相性、悪いわけないですよね。カルボナーラのベーコンも食べさせてあげたい、あなたに。

いやあ、もうおなか一杯です。ですが、ドルチェは別バラで。スプーンに乗った栗クリームがうまい。コーヒーを含め、ドルチェまで完璧なお料理でした。お食事の後、忙しくててきぱき調理していた打矢シェフにひとことお礼を申し述べて、この物語の終末としました。すっかり堪能させていただきました。ディナーのお任せが7000円という価格。おいしいワインをたっぷりいただいて、シェフのお任せ料理をいただき、そのままレストランに泊まりたいのですが。どうでしょうか、ご検討ください、打矢シェフ。

  • 山武産天然網取りマガモと房州仔猪ロース
  • 地場野菜のサラダ
  • アンコウのスパイス焼き

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7位

トラットリア・アルベロ (みつわ台 / イタリアン、ワインバー)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 ¥5,000~¥5,999

2012/08訪問 2012/08/07

支配人の総合力とシェフの感性で、頭3つも4つもリードするトラットリアアルベロ。感動の波が押し寄せて。

(2012年8月 再訪)

アルベロでオフ会です。

千葉のランキング1位に躍り出ましたね。全国のレストランランキングでもトップ100位に入ってきました。レビューの数が増え、レビュアーさんの獲得する投票の合計数もぐ~~んと増えてますので、実力とランキングがだんだん接近してきて誠にご同慶の至りです。

アルベロでのオフ会に声を掛けていただきました。今回のオフ会の幹事さんも敬老精神がおありのようで、行列に声を掛けただけでも相当シアワセな人生が送れることでしょう。敬老精神とは、たいへんいい心がけです。ジブンは2度目のアルベロで、お酒をいただけるように車を置いて千葉まで行ってまいりました。

今回、オフ会でご一緒させていただいたかたは半数以上が初対面の方々でして、それだけでも興奮いたします。定刻には全員の参加者が集合し、華やかな幕開けとなりました。

今日のお料理はオフ会のための特別コース。実は、こういうコース料理が食べたかったんですよ。個人的に(予約が取れたとして)アルベロにくると、フィックスされたコースをいただくしかなく。過去UPされたお料理をつぶさに見てまいりますと、オフ会の特別料理のユニークさが目を引くんです。イケメンシェフの力量もここで発揮されるわけです。

その特別料理がいただきたくて、食べログ千葉第二支部を立ち上げようと試みたくらいですから。ま、今夜は渡りに船、月世界旅行にアポロでしょうか。

お店の入り口には、当然のごとくと思いたくなるほど、ぴったりとお店の看板であるイケメン支配人がお出迎えです。ここから既にしてホスピタリティ ビギンズ。今回は参加人数にちょうどいい個室が用意されていていつもながら、地中海や山梨で活発に醸造されているお酒の原料になるつる性植物党の幹事長さんの手配には完璧という言葉以外あてはまる言葉がございません。

着席してしばしご歓談。自己紹介やらなんやら、でムードが盛り上がったところで支配人登場です。役者です。ウェルカムグリーティングの後、本日のお料理の説明がございました。食材の一部も登場です。まだ呼吸をしていて暴れている伊勢海老。ごめんね~ごめんね~、と思わずにはいられません。両手のしわとしわを合わせてな~む~。

さ、飲物ですね。これはソムリエとしても名の通った支配人がお料理にピッタリのものをサーブしてくださいますから、もう安心のビッグシップに乗った気持ちです。じゃあ、泡でとりあえず乾杯のご発声を。ロゼの泡でした。

最初のお料理。
ハタのスープです。まあ濃厚でコク味のスープです。ハタからかような濃厚なスープが出来るんですね。鍋料理にも使う高級魚ですので、それをイタリアンに使われたのでしょう。ハタのご出身をご自身に訊こうと思いましたら、既に口は他部署に行ってしまって訊くことができませんでした。代って支配人が、鹿児島であることを代弁されました。自家製パンを摘みながら。懇親のほうは順調に進み、こんなんなら毎週やりたいね。

地蛤と自家農園のネギを詰めたトルテリーニ。
出ましたよ、九十九里産はまぐり。トルテリーニももちろん手打ですから、やわっこくてうんまいし、たっぷりなネギはお店の畑からと言うことです。何とか何とかという赤ワインの写真が残っておりますので、この辺で1杯いってるのでしょう。話とお料理とワインが同時進行してますから、こんなに興奮することはないですね by 伊達みきお。

白浜房州海老とそのミソのバターソテー ピエモンテサマートリュフ
さ、主役登場です。海老さんです。変わり果てたお姿ですが、その上から支配人がトリュフをこれでもかってスライスオンしてくれます。

ああ、そこまで。

写真を撮ろうとすると、今日は3枚までです。すでに3枚終わってます。

また、イケメン支配人にいじられてます。快感だなあ。いつまでも会社勤めをしていると、いじりにくいポジションになって、いじってもらった最後はもう忘れチャウほどむか~しのこと。

まあ、このお料理の旨いこと旨いこと。あっというまになくなっちゃいました。ああ、そのワイン飲んでねえ、とか、ワインの瓶もだんだん増えてまいりまして、どこまでいただいているのか。ダイジョウブ。支配人がちゃんと公平に注いでくれてます。写真を撮ったかどうかも不明になり、獅子てんやわんやです。

まあ、こんなペースでオフ会の報告をしていると20000文字までいきますので、途中は省略して。お料理だけUPしましょう。

和牛舌のスチーム 静岡産生わさび
タンが贅沢にカットされ、わさびでいただきます。思ったよりも量がありましたがああ。実は前回、このカットしたタン全部を集めて元々の1枚とすると、3枚もメインでいただきました。これ、多すぎやろ、と思いながら食べた記憶が蘇ってまいります。

そしてお次のお料理です。

千葉枝豆を練りこんだニョッキ 芋豚のビール煮込みラグー
うまいよ、1ニョッキ。

鹿児島ハタとゼブラナスのフリット

で、ドルチェは
スイカのグラニラとホワイトチョコレートムース

というのが全貌でございます。まずは、みなさまご自身でみつわ台までご足労いただき、イケメン支配人と会話をしながら、千葉の枠を超えた全国区のお味を確かめるのがよろしいかと思います、ってしめておくかな。まあ、どれを食べてもうめ~し、オリジナリティがすごいし。地元千葉の食材にこだわり、最高のホスピタリティの中味わうお料理の数々。絶対また行きたくなります。

たいへん楽しいオフ会でした。今回は席固定で、半分の方とはあまり話が出来ませんでしたので、是非もう1回。シャッフル席でもよろしいですから、地中海や山梨で活発に醸造されているお酒の原料になるつる性植物党の幹事長さんには、もう一度敬老精神を発揮いただきまして全員の方と再会できましたら、何も言わずに心置きなく三途の川をスイミングいたしますので、そこんところは、ひとつ夜露死苦です。


(2012年2月 初稿)

このような素晴らしいレストランだったのですね。久しぶりに味わう、胸キュンの感激イタリアン。幸運にもジビエまでいただきました。

この稿は1699件目。内容からして、自分が一番大切にしている100件ごとのキリ番レビューにふさわしいお店であることはマチガイありません。既に39件の先行レビューを得て、本日現在★4.10。全国TOP500に入っている押しも押されもせぬ千葉県の名店です。その名店をキリ番に据えて、いいよいいよってご紹介するのは当たり前過ぎて自分のスタイルにはふさわしくないと考え、アルベロにはキリ番前夜祭レビューの重責を担っていただくことにしました。

もちろんずっと以前から気になるレストラン、というか、行ってみたいレストランでした。ただ、いかんせん遠い。レビューも読むと行きたくなるので、見ないようにしていました。それでも千葉県のページには必ず出てきますので、薄目を開けてタイトルだけは追っていたのです。そんなある日、

“”もっと早く襲撃するんだったああああ!とあなたも後悔するはず!のアルベロ!“”

こんなタイトルのレビューがUPされたのです。この主は、すいかすきさん。このタイトル、絶対にジブンに言ってるよね。ここまでイワレタラ、どんなに遠かろうと行くしかないでしょ。折りしも、柏地区のフレンチ、イタリアンのお店を次々襲撃中でしたから、みつわ台だって襲撃だああああ。

我孫子から国道16号線を使ってお店があるみつわ台に向うと、千葉北IC手前からモノレールが見える部分まではいつも渋滞です。まあ、だから行きたくない・・・行けばまた行きたくなりそうだから。今回は不退転の決意。予約が取れたので、家を開店2時間前に出発します。あろうことか、この日に限って菜美が初対面以来初めての快挙で、佐倉を目指すルートを取ったため、何の渋滞もなく、開店40分前にはアルベロの駐車場に入っていました。

お店は想像していたよりも大きいです。白壁が美しい外観までもイタリアン。入り口の前に2月のディナーメニューが出されてました。どれもおいしそう。こういうコース料理が食べたいんだよな。ランチタイムにディナーメニューを作ってもらえるか、あとで訊いてみよう。

定刻オープン。既に10人以上集まっているお客さんの先頭で入店します。入口で誰何を問われ行列と名乗って(ウソです)案内されました。ほほお、お店はワンフロアで全員一緒ではなくて部屋に分かれるのですね。

案内されたのは、正面すすんで1段レベルが落ちたところ。仲間で集まるなら、15,6人入れそうな部屋ですね。黄土色の壁には西洋人の落書きがあって、英語をまともに書けない日本人にはちょっと荷が重いというか、デザイン的にペケかな。テーブル席に落ち着きました。

ランチメニューは、基本が1000円でサラダ、パスタまたはリゾットそして飲み物です。アルベロで1000円ですよ。これでは予約が取れないのも無理ありません。あのパスタが1000円とな!そして、前菜がついてピッコロスープがついてデザートがつくコースが1600円。そしてお二人様コースがいいですね。4000円ですが、内容はお得感があります。

なかなか来れる場所でもないので、ディナーコース(5000円。。。安!)が食べられないか訊いてみました。

ご用意させていただきます。

うれしいですね。こういう柔軟な対応も人気の要因の一つだと思います。

最初に出されたのは、アンティパスト・フレッド。

長崎産ヤガラのカルパッチョいちごソース。ヤガラづいてます。先日いただいたヤガラはポアレにして熱が入っていましたが、ここではカルパッチョでいただきます。ソースはいちごとバルサミコの2種類。ヤガラの上品な白身にこのソースがあってますねえ。実にうまいし。ここは、ぶどうの発酵アルコールがほしい。このときから、サーブは女性から男性に代わります。

このサーブしてくれる男性。こっちはお一人様で話し相手も居りませんが、実にタイミングよく、ピンポイントの話題を提供してくれるのです。

失礼ですけど、支配人ですか?やはりそうでした。これだけのホスピタリティは、うわさの支配人をおいて他にいないでしょう。

そして、アンティパスト・カルド。アスパラのソテー ポーチドエッグ添え アンチョビバターソース。温かいアンティパストですが、これも旨かったなあ。これはパクッて自作しようと思いました。アイデアさえいただければ、調理は簡単です。ソースが春っぽくていいですね。

プリモピアットは、カカオを練りこんだタリアテッレ、芋豚の赤ワインラグーソース。その前振りで支配人が席に持って来られたのは、お店が打っているパスタ見本でした。ディナーではお客様のリクエストで打ち分けているとの説明で、そのままテーブルに見本を置いていきます。タリアテッレ、喰いてえ、なんて見本を見て思っていたところでした。

見た目も大迫力のココア色したタリアテッレ。ラグーソースが濃厚で、溶けたチーズが糸を引いてますよ。良く煮込まれた肉がおいしくて、最初牛シチューをソースに使っていると思ったくらいです。タリアテッレはさすがに手打ちのうまさを発揮して、出色の出来でしたね。もちろん今年一番の、近年で一番旨いタリアテッレでありました。だから、ランチの基本が1000円なの、って。

ペッシュは、ほうぼうと山菜のフリット。まあ、いろんなこと考えますね。メニューの斬新さに感心してしまいます。ほうぼうが実にうまい。山菜はこごみとたらの芽。これがイタリアンでいただけるとは思いませんでした。

ここで、支配人より耳寄りなことを伝えられます。実は、大多喜産の猪が入手できたので、特別に1皿ご用意できますが、いかがいたしましょうか。もしご希望ならカルネの後にお持ちいたしますが。

おおおお、本当ですか。それは是非お願いいたします。よく入手できましたね。

カルネは、牛舌のボリートサルサヴュルデ。牛タンを低温の出汁でゆっくり煮込み、とろりん状態になっています。考えられないほど厚切りで、これだけでもおなかが一杯になりそう。牛タンの上には香草を細かく刻んで作ったサルサベルデが乗せられていて、かつて1ヶ月ほど仕事で滞在したことがあるフィレンツェのレストランを思い出しました。サルサベルデの主役はイタリアンパセリだそうです。ここまでのレパートリーで楽しませていただけるとは、正直思っておりませんでした。感激です。

そして、第二のカルネとも言うべき、大多喜産猪の炙り焼きが提供されました。コースメニューにはない、サービスの一皿です。脂が口どけして甘美のうまさ。肉質は上等でしみじみとジビエのありがたさを味わいました。いままで我慢していたご褒美だったのでしょうか。不思議なめぐり合わせです。

ドルチェは、チョコレートプディング ブラッドオレンジのグラニラ。オレンジを氷にしてクラッシュしたものが乗ってます。ここまでやるか、と思ったのはワタクシ一人だけではないと思います。

いやあ、想像を超える引き出しの多さ。光る料理のセンスと技。料理が文字通りエンターテイメントにまで昇華する支配人の力量と心配り。すばらしい時間があっというまに過ぎ去った2時間でありました。

さ、次回は待ちに待った2ヶ月ぶりのキリ番レビューです。とっておきのお店のご紹介です。ご期待ください。

  • 白浜房州海老とそのミソのバターソテー ピエモンテサマートリュフ
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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8位

リストランテ ラ チャウ (田町、三田、芝浦ふ頭 / イタリアン、フレンチ、ワインバー)

2回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2017/07訪問 2017/09/05

ピエモンテの風は吹いていたかって?もちろん、吹いていましたぜ、ラ・チャウ。

マイレビュアーさんのお誕生会をラチャウで行いました。

料理、接客、雰囲気と三拍子そろった店ですので、ここなら絶対に安心です。絶対にゲストが喜んでくれます。自信があります。今回も料理はおまかせで、ワインは料理に合わせたペアリングでお願いしました。

終わってみれば何と3時間半のお誕生会。よく食べてよく呑んでよく笑って。お疲れさまでした。

そして、この後、馬渡さんが修業したピエモンテ州のラ・チャウ・デル・トルナヴェントへワタクシはるばる日本から食べにいたときに、偶然ラチャウから派遣されていたアヤさんと現地でお会いして。彼女が数年ぶり?に帰国してラチャウの第二ブランド店のマネージャーをしていると聞いて、会いに行きました。

という二部制のお誕生会でありました。

*泡でカンパイ

*チーズ、生ハムの前菜
ブラータチーズと熟成14か月のサンダニエーレプロシュートの組み合わせ。黄金率です。
一気に心はピエモンテへぶっ飛んで。

*自家製パン

*白ワイン ランゲ ピエモンテのDOCG

*仔牛のもも肉 鶏レバー アンチョビソース、玉子ソース
ちゃんと合う白ワインがサーブされていて、さすがです。

*白ワイン ランゲ ラルトロ2015

*チッポラ リピエーナ ピエモンテ郷土料理でラチャウのスペシャルテ
玉ねぎの中にサルシッチャが入っている料理。馬渡さんがお出まししてポルチーニをぶっかけます。
数年前は通いすぎてすっかり味に飽きてしまい、しばらくはパスさせてもらってました。
久しぶりでいただいたら、うまい(笑)。

チーズはウォッシュのタレッジョとゴルゴンゾーラ。聞いただけでもその濃厚な味わいが。
トップにはヘーゼルなどのナッツ類。

*パスタ サルシッチャ、茄子
ラチャウのスパゲッティ、最高!って吠えたくなります。
これが食べたくてラチャウに通っているようなもの。

*赤ワイン ドルチェット・ダルバ2013

*リゾット ポルチーニ
ラチャウのリゾット、最高!って吠えたくなります。
これが食べたくてラチャウに通っているようなもの。

*赤ワイン バルバレスコ サント・ステファノ2012

*アニョロッティ デル プリン
鳥の巣に模した藁の器の上に肉詰めのラビオリが乗ってます。馬渡さんの修業先であるピエモンテ州にある本家ラチャウのスペシャルティで、現地では藁ではなく、ヘイ(干し草)を使って、その香りが強烈でした。
肉ラビオリ、うまし。

*メイン 霧島牛のロースト 岩手めんこい黒毛牛いちぼ ナッツ 
アートな一皿。うまさに思わず顔を見合わせる瞬間。

*デザートワイン

*お誕生プレート
おめでとうございます。
しゅわしゅわでカンパイ

*ドルチェ盛り合わせ

っつう誕生会でした。



(2016年8月 再訪)

マイレビュアーさんのハッピーバースデー。ピエモンテ料理と江戸前寿司のどちらがいいですかと訊いたところ、おまかせしますとの答え。それでは、両方しましょうと言うことで予約の関係から

最初に ラチャウで 1日空けて
2回目は 鮨あらい

と言うことになりました。

ラチャウは前回もマイレビュアーさんの誕生会でそれからまだ日数もそれほど経ってなく、ほぼ同じ内容でした。が、マイレビュアーさんは大満足でしたのでやはりラチャウにしてよかったなと。この日いただいたものを記します。

*アミューズ ホワイトレディ―種とうもろこしのパンナコッタ

*パプリカのローストのポテサラ包み アンチョビ&ケッパー、仔牛のもも肉のツナソース包み、タラとジャガイモのサラダ

*キジ肉のアンチョビソース&卵ソース

*第一のパスタ 桃とマリネ野菜のカッペリーニ

*第二のパスタ フレッシュポルチーニのタリオリーニ

*第三のパスタ ヤリイカ、枝豆、からすみのリゾット

*メイン 蝦夷鹿のサマートリュフ ジャガイモのピューレ添え

店内の照明が少し暗くなって ハッピーバースデーツーユー♪

*バースデープレート

*デザート オールスター 内容は、マンゴーアイス、レモンソルベ、パンナコッタ、エスプレッソプリン、ガトーショコラ。

と、今回の方がメニューの内容が詳細なのは、一部マイレビュアーさんのをコピペしてるので。さすが、ちゃんとメモしてますね。

と言うことで、またまたラチャウでワタシもハッピーな時間でした。


(2016年7月 再訪)

マイレビュアーさんのハッピーバースデーをラチャウで行いました。

おいしい料理とおいしいワイン。何よりもマイレビュアーさんが超弩気に入ってくれてよかったです。

馬渡シェフの料理、久しぶりになってしまいましたが、どれも本当においしい。クセになります。後をひきます。ということで、マイレビュアーさんの中で誕生月の人がいなかったか懸命に思い出して。あっ、いた~。早速誕生祝に予約をいれました(笑)。この日いただいたものを列記します。ワインはペアリングでお願いしました。

*アミューズ ホワイトレディ―種とうもろこしのパンナコッタ

*前菜 牛肉のパテの上に玉ねぎ乗せ、仔牛肉サラダ、イタリアンポテサラ

*きじ肉トリュフ乗せ

*第一のパスタ するめ味の冷製魚介カッペリーニ

*第二のパスタ サルシッチャラグーソースの温製パスタ

*第三のパスタ  枝豆のリゾット

*メイン サマーエゾジカ

店内の照明が少し暗くなって ハッピーバースデーツーユー♪

*バースデープレート

*デザート オールスター

馬渡シェフ、スタッフの皆さま、ありがとうございました。

あやさんが帰国すると聞いて、また楽しみがひとつ増えます。

(2015年9月 再訪)

マイレビュアーさんのハッピーバースデイにラチャウにお呼びしました。

この日のランチの予約が満席だったために、馬渡さんに相談して、13時に店に入ってカウンター席に空きができるまで呑む計画でしたが到着した時には既にテーブル席を空けて待っていてくれました。

料理はお任せで、ワインは料理とのペアリングといつもと同様です。泡をのんでいるとソムリエさんが来て、この日の料理の内容を最初から最後までメモを見ながらスラスラと説明してくれます。

『ブログに載せないから、そのメモ見せてくださいよ。』

もう顔なじみのソムリエさんにおねだり。そのメモの秘密分かりました(笑)。シェフがイタリア語で書いてあるんですね。

突き出しは、ジャガイモスープと夏トリュフ。こういうものも得意な馬渡シェフ。久しぶりにイタリアに行って帰って来たばかりです。修業時代の常連さんやら村の歓迎やらで、ピエモンテ ラチャウで4日間食事したそうですが。

『他の店にも行きたかったあ(笑)。』

もうあちらでは、モテモテなんで仕方ないですね。

*アミューズ トリュフ、ジャガイモ

*前菜 生ハム、パテ、コンフィ、リエットなど競演

*フォアグラ、リンゴ、ルッコラ

*旬の野菜のバーニャカウダ

*最初のパスタ、ラムのラグーのタリオリーニ。完璧。

*2番目のパスタ。数種類のチーズのニョッキ。今まで経験したことがない味と食感。ヘーゼルナッツもいいね。お代わりしたかった。

*魚のメインは、真鯛。アメリケーヌソースをじゃぶじゃぶつけて。いつものようにシェフ登場でトリュフかけ。いいんですかって思うほどすってすってすって。いつもありがとうございます。

*肉のメインは、霧島豚トリュフ乗せと牛のほほ肉パイ包み。

*そして、突然ホールの照明が落とされてハッピーバースデーツーユー。

マイレビュアーさんの誕生日祝い。ワイン呑みが止まらないので時間がかかり、飴細工が湿気を吸ってダウン(笑)。

*最後のデザートはこの日のオールスター、ちょっとずつ。

*カプチーノもちゃんとハッピーバースデイ。

長時間にわたり、おいしい料理とワイン。お店のホスピタルティとシェフの心遣いに感謝の言葉しかありませんでした。


(2014年11月 再訪)

マイレビュアーさんにハッピーバースデーをしていただきました。

何歳になってもうれしいものです。

この日のお料理もすばらしいものの連続で、楽しい、おいしい時間は3時間半も続きました。マイレビュアーさん、馬渡シェフ、ソムリエさん、そして同じ時間に居合わせたお客様、たいへんありがとうございました。

マイレビュアーさんお二人の内、一人は呑める女性の典型酒豪、もうひとかたは呑めない女性の典型下戸。申し訳ありませんでしたが、ノンアルを呑んでいる彼女を横目に二人で料理に合わせてもらったワインを最初から最後まで楽しんで。

最初の皿は、生ハム、サラミ、コッパ盛り合わせ。毎回、どんどんおいしくなるような感じです。

前菜のあでやかさは毎回感心します。へしこいわしのマリネ、仔牛モモ肉ツナソース、鱈のミルク煮、鶏レバー・フォアグラテリーヌ、トマトのマリネなど。トリュフがけのチポラリピーナをいただいたあとは、パスタ2種とリゾットで。シアワセ時間がずっと続きます。

ポルチーニ茸とうさぎのラグーのタリオニーニ。スルメイカ、いいだこ、海老のタリアテッレ。グラナパダーノ、タレッジョ、ゴルゴンゾーラのリゾット。いつもながら、ラチャウのパスタ、リゾットはめちゃうまですね。そしてメインは鹿肉でした。それから、バースデーの式典が始まります(笑)。

飴を糸状に伸ばして作ったタワー。グラスの中にはベリーのソルベが入っていて、シャンパンをつぎます。きれいな色に変わったところでかんぱ~い、おめでとう。そして、デザート盛り合わせにローソクを立ててふ~。ぱちぱちぱち。お客さんからも温かい声をかけていただきました。

(2014年7月 再訪)

この日はマイレビュアーさんお二人にピエモンテ料理を楽しんでいただこうと。

三人で食事するのは、浅草のオマージュ、本郷の蕎麦切森のに続いて3回目です。ワタクシにとってフレンチのオマージュとイタリアンのラ・チャウは絶対に喜んでいただける鉄板ですので。

田町駅で落ち合ってぶらぶら歩き。情報交換をしながら店へ向かいます。この日も暑かったですね。二人の女性同様ワタクシまでが傘をさしてましたから。

お店に入って。今日はグループ客が二組入るセッティングになってました。メニューは、絶対におすすめのシェフのおまかせ(3980円)。

この日のコースは、今までいただいてきたコースでは質量ともに最高でしたね。あくまでおまかせですから、その日によっていろいろありますが、とにかくすごいと思いました。お二人も十分満足されたようで何よりよかった。

ソムリエ君から好き嫌いやリクエストを訊かれますが、ここで一言言ったためにシェフの闘争心に火をつけたかな(笑)。前回いただいた中で、ちょっとこれはと言うのがありました、って正直に伝えました。もちろんお店のためにですが。

そしてこの日は食事の前にシェフがテーブルまで来てくださいました。ソムリエ君から話を聞いたかもしれませんね。

コースには一杯つきますので、泡、泡、ブラッドオレンジジュースでかんぱ~い。OJが入ると画がきれいです。今写真を見ると、まさに両手に花の座るポジションだったんですね。

二人のうちのひとりはお酒を召し上がらず、もうひとかたはめっぽうお酒好き(笑)です。白のボトルを選んでもらいました。

話をしているとソムリエ君がキッチンから食材を持ってきました。

『生のポルチーニです。』

うああ、でっかい。前回来たときにマイレビュアーさんと生ポルチーニのサラダが食べたいね、って話をしてました。彼女がいたら、サラダにしてくださいって絶対に言ってたでしょう。

さて、最初の前菜。うあ~、すっげえ。華やかなデザインと選りすぐりの食材。サラミ、プロシュート、天使の海老、真鯛、蛸、帆立。これだけでもう大満足です。まあ3万円のコース相当ですね。お二人にはいい日に来てもらいました。

そして、ジャージー牛のカルパッチョ。あれれ、また馬渡シェフがキッチンから出てきましたと。ああ、手にはトリュフ。カルパッチョのサマートリュフ掛けですね。いっぱいかけてもらいました。この肉の旨さは破格ですね。

そして、最初のパスタです。桃の冷製カッペリーニ。ジブン、冷製パスタっておいしいと思ったことがなかったのですが、初めて旨い!と思ったのがラ・チャウでした。まだ移転する前のことですね。その時、馬渡シェフの感性に惚れて、2013年には馬渡さんの修業先であるピエモンテのラ・チャウまで行ったくらいです。

この桃のカッペリーニも最高でした。桃がおいしいのは当然ですが、フレッシュトマトと完璧に融合してますね。この組み合わせでこんな味が創出できるなんて。ジブンにはとうてい不可能な味の創出と思いました。

まだ続きます。

ボトルが空いたのでソムリエ君おすすめの赤をいただきます。これもおいしかった。

2番目のパスタは、アニョロッティ・デル・プリン。これも、今までで一番旨かったと思いました。藁を使いながらピエモンテのヘイ(干し草)の香しさを彷彿させると言うアイデア。風味にパンチがあってアニョロッティ自体もうまかったです。

そろそろメインかなと思っていると、またまたソムリエ君がキッチンから何か持って来ました。おおお。

オーブン焼きにした羊肉ですね。まあ見事です。ああ、ポルチーニもここで使うんですね。すごいことになってきました。これをもう一度キッチンにもどして切り分け、ウツクシイお姿で登場です。もう見ただけでテンション上がりますね。肉は大きい塊を焼くと本当にうまい。ポルチーニ、ごっつあんです。シェブールまで添えてあります。この皿の満足度も極限近く。

おなかいっぱいになりました。ベツバラデザートへ突入。デザートもオールスターラインナップ。至れり尽くせりでした。また誰か誘って来よう、とすぐに思いました。しあわせ~なひととき。楽しい会話がはずみ、至福の時間。シェフ、いつもありがとうございます。

そしてオナカイッパイになったワタシタチ。次の店へレッツGO。

後日談。

ご一緒したマイレビュアーさんから連絡が入り、

ありがとうございました。
ラグーサマーポルチーニのタリオリーニが抜けてます。

って。ジブンも食べたのかなあ(笑)。写真がありません。
彼女がUPしたら写真を拝借して追加します。


(2014年6月 再訪)

ラチャウも久しぶりになっちゃいました。

そう言えば、ピエモンテ州で会ったAyaさんはそろそろ帰国してるんじゃないかな。店の予約を入れてからAyaさんにメール。返信が来て、まだイタリアで頑張っていることが分かりました。ピエモンテでお待ちしてます、なんて言われると本気にしますよ。

馬渡さんに会うのが1年ぶりになっちゃったとは。マイレビュアーさんを誘っていそいそと出かけます。ピエモンテで撮った写真も焼き増しをして携行することに。話が早いですからね。

実に気分のいいシェフ、馬渡さんは何も変わってなく歓迎されます。食事の前にいろいろ話をしました。Ayaさんが一時帰国したときの彼女のイタリア語の上達にはびっくりしたそうです。そして、彼女の将来のこともきっちりと考えていることを話していただきました。そういう信頼関係でおいしい時間をお客さんに提供し続けていくんですね。

馬渡さんの指導を受けたシェフが会津若松でお店をやっていることを教えていただき、機会があれば是非ご挨拶に伺いたいと思ってます。

さて、料理はシェフおまかせコース(3980円)。ワンドリンク付きですが、二人ともスプマンテで。他にリクエストがありますかと訊かれ、

チーズを詰めたアニョロッティデルプリン 藁の香りと共に

を入れてください、と。最後のラテアートは、彼女にはハートを、ジブンには馬渡シェフのイラストをお願いしました。

カンパイの後、前菜1はハム、ソーセージの盛り合わせ。いつ来てもビューティフルな前菜仕立てで。続いて前菜2。更に華やかさを増して。少しずつですが、めっちゃ楽しめます。岩手産の帆立が一番かな。

3番目の皿が、ピエモンテの郷土料理チポラリピーナ。この中に入っている玉葱とパンチェッタの組合せがばつぐんですね。

次の皿は、岩手産ジャージー牛の炙り。これがメインでもおかしくないな、なんて言いながら。どうしてこんなおいしい楽しい料理が4000円で食べられるのに、足が遠ざかっていたのか。とても悔やまれます。

1番目のパスタ。蛸とオクラのペペロンチーニ。蛸からこんなコクのあるスープがとれるんですか?ラチャウのパスタはどれもおいしい。パスタランチ1300円。こいつでパスタをごっつりと食べる手はありますね。頻繁に来て。

そして2番目のパスタが、アニョロッティデルプリン。ピエモンテの郷土料理で、やはり現地仕様のヘイの巣の匂いが強烈なやつをもう一度食べたい。パスタは繊細でこっちのほうが好きかな。

リゾットは、うああ、ピエモンテ産生ポルチーニ入り。香りが強烈で、ピエモンテで食べたポルチーニ茸のサラダを思い出します。前回食べたチーズリゾットもおいしいですが、これも最高です。

メインは豚肉。脂身がおいしいいい肉です。味付けにヴィネガーが使われていて、こういう味は初めてでした。

最後のデザートもがっつり。

このクオリティと値段。また会いに行かなくっちゃ。


(2013年6月 再訪)

イタリア・ピエモンテ州にあるラチャウ・トルナヴェント。ミラノ旅行の最大の楽しみだったトルナヴェントでのディナー。実際行ってみると、それは想像以上にすばらしいものでした。ミラノに出発する前にラチャウで食事をして馬渡シェフに今度行きます、と告げていました。

この日は、行ってきたことの報告の日。実際同行した方と一緒に予約をしての訪問です。席に着いて、すぐに馬渡さんがテーブルに来てくださいました。スタッフが言ってくれたのでしょう。

じゃ~ん。トルナヴェントで馬渡さんが修業といいますか、一緒にお店を立ち上げた盟友、今でも一線で頑張っているオーナーシェフのマウリさん(Maurilio Garolaさん)。マウリさんとスタッフ全員で厨房での記念撮影が、翌朝のハプニングでした。ラチャウ田町からトルナヴェントで現在修業しているアヤさんからのサプライズプレゼントです。その写真を馬渡さんに渡しました。アヤさんの気持ちも入っている全員での記念写真。

受け取った馬渡さん、一瞬沈黙があってしばし写真に見入ってました。

『いやあ、懐かしいです。なんだか、うるうるしちゃいます。』

当時、マウリさんと苦労しながら店を立ち上げていったのでしょう。その時の苦労を思い出したのか。誰も分からないご本人の苦労。マウリさんも、何かとZIOCHI、ZIOCHIとワタシタチに話しかけてきたのです。思いは繋がっています。馬渡さんの本名は、TSUYOSHIです。しばし、馬渡さんを囲んで話をしました。その訪問時のことを記した食べログの日記をコピーして持参しようと思いながら、前の日のオフ会で飲みすぎ、忘れました。次回、お渡しします。

さて、この日のお料理。いつものCコースですが、スタッフから何か注文はありますか、と訊かれ、そりゃあもう食べたいのは、

チーズを詰めたアニョロッティデルプリン 藁の香りと共に

この料理のオリジンをトルナヴェントで食べて来ましたから、比べて食べたくなるのは人情でしょう。ランチですから、出来るかどうかはシェフに訊いてくださいと言います。前段のシェフとの話の中で、トルナヴェントで食べた

Plin di Seirass raviori stuffed with ricotta cheese surrounded by a nest of hay of May
5月の干し草の巣で囲まれたリコッタチーズ入りのラヴィオリ

このお料理の素晴らしさ、感激したことは伝えてあります。

さて、スプマンテで食事のスタートです。

先ずは、前菜。いつもながらきれいですね。生ハム、ジェリー寄せがおいしいです。そして、この日は短角牛のモモ肉でした。添えてあるチーズは、グラナ・パダーノという名前だそうでピエモンテ産。塩気が効果的でした。

続いては前回もいただいてとってもおいしかったロースト玉ねぎの詰め物チーズ掛けです。チポラリピーナと言うんだそうです。

次に出てきたのが最初のパスタ。

ピエモンテ州クーネオ産ポルチーニ茸とウサギのタリオリーニ 

このタリオリーニがめちゃめちゃ旨いです。パスタの旨さは随一ですね。大好きです。ポルチーニも生きてましたし、これウサギなんですね。居ながらにしてピエモンテの風が味わえる。

そして、じゃ~ん、藁に囲まれたアニョロッティデルプリンです。

藁と干し草。これはもう干し草の勝ちです。しょうがありません。あっちは正真正銘の田舎ですから。ラヴィオリはラチャウ田町の勝ちです。断然うまいです。風味、柔らかさ、食感、味とどれをとっても田町馬渡シェフの勝ち。よかったです、食べることが出来て。

そして、メインはキジの肉でした。これまた絶品です。フォアグラと一緒に食べると天国に行けます。量がいですねえ。ピエモンテだったらこの3倍でてくるでしょう。そして、デザートのダブルヘッダー。何もかも大満足なランチでありました。

馬渡シェフを描いたラテアート。同行者はさすがに飲めませんでしたね。サンキュウでした。

ピエモンテ日記をコピーして、また訪問しましょ。


(2013年4月 再訪)

ラチャウが移転して初めての訪問。同じ田町駅からすぐの場所に移転したんですね。以前は駅前からちょっと歩いて右に行ったのが今度は左に。東京で何軒かイタリアンの人気店に行きましたが、もっとも好きな味のラチャウ。予約した時から楽しみでした。

田町駅で首尾よく落ち合ってお店に向かいます。川を越えて左折、また川を越えて右折。すぐに見つけました、ブルーのシェードにラチャウの文字も鮮やかなお店の入口。ここから地下に降りて行き重厚な扉を開けると天国が待ってます。

今までのお店と雰囲気がガラリ変わりましたね。そっか、グループ客が一緒でなくなり、大勢様は別室になったのですね。マダムさんのはしゃいだ笑い声が聞けなくなり、カップルには朗報でしょう。さて、今日のお料理はどんなのが用意されているでしょう。

前回めちゃめちゃおいしかったランチのおまかせコース。でもオナカイッパイだったので、軽いパスタコースというのもあります。しかし、あの盛り沢山なCコースが4000円しませんから。食べられるかなあという同行の方の心配はご無用。絶対にここではCコースでシェフの料理を堪能しましょうよ。食べられない分は助けますから、と後押しして馬渡ワールドに突入します。絶対に後悔させませんから。

元気のいいスタッフ。元気はいいのですが、お料理の説明になると途端にトーンを落として秘密めいた話し方をします。ので、だめだめ。今日は全部聞こえるまで何回でも質問します。さいわいマダムさんの嬌声も聞こえませんので。前回はすごかったねえ。

Cコースは飲み物付き。ソフトドリンクとジブンはスパークリングで乾杯です。楽しみだなあ。

前菜。ここからが素晴らしいコースの全開ですね。同じような価格設定のお店に行っても、ここまでのクオリティとクウォンティティの前菜ってそうはないですよ。一番目立つ大判のソーセージがラチャウでは一番好きなモルタデッラ。これピスタチオが入っているソーセージでめちゃめちゃ旨いっす。ね、ちゃんと説明聞いているでしょ。他省略ですが、パテも気合入ってますね。バルサミコで味付けした玉ねぎが乗ってました。

いやあ、今日は馬渡シェフの登場が早いです。どうもどうも。今日もおいしくいただいてます。スマイルがステキなこの方がめっちゃおいしい料理を作るんです。

『馬渡さん。へへ。今度、ラチャウTornaventoに行くんですよ。予約が取れたんです。』

La Ciau Tornaventoはピエモンテ州にある一つ星レストランで馬渡さんの修業先。La Ciauのレストラン名もここから来ています。多分、4冬か5冬過ごした想い出の土地。絶対にうらやましがると思って、へへ、言ってしまいました。少しその話をして。今度帰って来たらまた報告にきますよ。

次のお料理がまた訊かないと分からない一品です。なんですか、これ?これ、中にローストした玉ねぎとかサルシッチャとかが入っていて、グラナ・バターノチーズとかゴルゴンゾーラとかかけられているんだそうです。まあこれがうまいのなんの。この位の量ならいいのですが、本家ではどうなんでしょう。心配がよぎります。

パスタはタリオリーニ。駿河湾の桜海老とドライトマトが入ってます。またこれも旨さにしびれてしまいます。パスタランチのメニューを見てもこれは入っておりませんので、やっぱりここではCコースだね、と顔を見合わせほくそ笑んでいました。

そして、リゾット。赤ワインで煮たリゾットで牛肉のラグーソースがかけられてます。スタッフはこのへんから分量を聞いてくれますので、食べたいだけの量をリクエスト。ジブンはノーマルに、同行の方は少な目で。まだメインを食べていないのに、めっちゃおなか一杯ですが、ノーマルにしてよかった。パスタもおいしいですが、リゾットも最高やね。

そして、メイン。量のリクエストは二人とも、リゾットと同じで。鹿肉肩ロースの赤ワインマスタード粒ソース、バルサミコソース。イタリア直輸入ホワイトアスパラ。同行の方が半分にした量がそのままこっちに来たようで。肉は当然として、アスパラがめっちゃうまいね。東京の有名スーパーならイタリア産売っているんかな。フランスに行ったときアスパラが出始めだったので、季節が巡って来たことを実感します。

デザートは完璧ですね。もう食べられない、とおっしゃっていた目の前に座っている方はぺろりと完食。デザートの量を訊かれたときにノーマルにして正解でしたね。カプチーノはラテアートのハート。このハート、ピエモンテで再会できるでしょうか。いやあ旨かった。La Ciau Tornaventoでのディナー楽しみです。


(2012年8月 初稿)

東京田町に来ています。

キリ番レビューにリキムほど力を入れているワタクシ。100軒ごと、と言いますとだいたい2ヶ月ピッチになりますので、もっとお楽しみを増やそうぜ、って毎月イベントをしたいと。なら、50件区切りでやればいいじゃん、ということで、本稿が1950件目。

前から襲撃したかったこのイタリアン。引き金は、東京でイタリアン、フレンチをはじめ旨いところばっか行っている仲良し6人がこのお店をターゲットにしたことです。行って食べておいいしい、という事実よりももっと注目したのは、このお店に行こう、と決めたこと。

イナカから東京の動向を見ていると、レビュー数がめっちゃ多い店がたくさんあって、どうして多いのかがいつも気になります。たいていは、(当然ですが)行き易い!このお店も200件以上のレビューがありますが、斜めヨミで50件くらいスキャンすると、お店の魅力は、

①うまい
②CPのよさ、接客のよさ
③シェフひむせるふ

そうなんだ。まあ、そのうちに、と思っていたら、あららら、有名なレビュアーさんが6人で仲良く行っているじゃあありませんか。その方たちが行くお店、必ずしもワタクシ、全部が全部行きたいと思いませんが。むしろ値段や場所を考えると興味のないお店のほうが多いです。このお店に集合とは、ナニカアル。ニオッテ来ました。じゃあおいらにも行かせろ、って予約の電話を入れて、その日まで待っておりました。はい、特別レビューと銘打っておりますので、食べるまでが長いイントロです。まだまだ、食べさせませんよ。

で、やっぱり予約の時には、人数は2人で、と言いますな。そんで、今回もMさんにお相手をしていただきました。ありがとうございました。

ちょっと雨交じりのこの日。何とか首尾よく二人でお店にやって来ました。お店は準備中ですね。テラス席のシェードの下であまやどり、兼開店待ちをしております。するとですなあ、マダム6人がぺちゃくちゃやりながらお店のほうにやってきて、ドアの前に来ましたよ。

まだ開店時間前だべ。おいらのほうが先に来ちょるけい、割り込みはいかんよ、と熱波光線を送っていたところ、あれま、ドアを開けて入っていっちゃいました。まあ、さすがマダムパワーですね。まだ時間前でしたが、じゃあこっちも入ろうか、ってゆっくりとライスシャワーなしのリーディングロードを進みます。

いい感じの店内です。そうですね、イタリアやフランスの田舎にあるレストランのような居心地のいい空気感があります。イタリアの田舎ってシエナやピサくらいしか行ったことありませんが、プロバンスではこのお店と良く似た食堂は何軒か行ったことがあります。お店の魅力④には、“雰囲気”をアッドしたい。

接客の男子もイケメンを揃えておりますので、マダムがはしゃいでいる気持ちが分かります。奥の方の二人用のテーブルに案内されます。壁側の席にMさんに座ってもらいましたが、ジブンが座ったほうからはジブンが影になって写真がNGになってしまいます。で、場所交換。写真が一番大事な食べログレビューであります。

メニューはもう頭に入ってます。パスタランチのほか、A,B,Cコースがあって狙いはやっぱり馬渡シェフおまかせコースのCでしょう。3780円ですが、みなさんが口を揃えてCPバツグンなんて言っているコースです。このCコースだけは、ワンドリンクがサービスとなりますので、ラ・チャウでの記念すべき一口目はただドリンクになるわけですね。二人ともCコースでお願いしました。さっそく、ビール、いただきました。

うっめ~し、ってギンヒエのグラスビール。店内を見渡すと9分の入り。先ほどのマダム連合はテンション高くいいですねえ。

料理の前にビールがなくなりました。ちゃんと訊きに来てくれます。泡のあとですが、泡が飲みたい、と申し上げて、泡の種類は問わず。セレクションの中から選んでいただいたものでスタートです。

1皿目から大好きなものが出て来ましたよ。サンダニエーレ・プロシュートと真鯛のカルパッチョ。トマトとチーズが添えられていて、濃厚プロシュートを引き立たせています。泡に手を伸ばしながらいただくサンダニエーレ。いつの日か、この生ハムを10枚くらいいちどきにがっついてみたい。少ないからおいしいのではなく、おいしからおいしい、の証明がしたい。

自家製のパンもきっちりうまい。さて、次に登場は豚ヒレ肉のコンフィのサマートリュフ添えと高松から参戦のヒシコイワシ。ちょっと前にラーメンを食べたときにコンフィのチャーシューを食べてことがありますが、低温調理って味が新鮮ですね。噛み応えとじゅわ~っと出てくる旨みジュースがとっても新鮮。こんな簡単な調理法が普及しないのが不思議ちゃんです。

白ワインのチョー詳しい説明をしてくれます。へ~え、と思いながらもお店から出るとすべて記憶喪失するという特技を持ち合わせていて、ここで披露できないのが残念であります。このお店の唯一の短所は料理間のインターバル時間が永い、とここは評判がいまいちでしたが、ここまではそんなことは全く感じませんでした。お店から出るまで、ストレスフリーでしたよ。

次の皿がまたまた楽しませてくれましたよ。コーンスープのサマートリュフ添え。コーンだけの甘味がすばらしいスープなんですが、これなんかは絶対に自作したいですね。トリュフも大活躍。コーンスープの中にいろいろな分析不能なものが入っていてこれが味を引き締めているんです。うまいなあ。あと3倍くらいほしいよ。

お次は、Mさんがいつも一番大好きだと言っている冷製カッペリーニでした。これ、二人で顔を見合わせたくらい、まじ旨なカッペリーニで、ワタクシも過去こんなに旨いものを食べたことはありません。ワレワレが来ると知っていて出してきたような。食べるのがもったいないほど旨い。オクラやトマトも丁度良い味、丁度良い量で参戦してますよ。この辺が調理する人の感性なんでしょう。まあこの細さでこの食感は感動ものでした。

なんて噂をしていたら、なんてこったい。馬渡シェフがご挨拶に来るではありませんか。へ~え、こんな方だったんですか。親しみ易くとても腰の低い方です。街ですれ違っても絶対に分からないでしょうね。人のよさそ~な笑顔でお客さんに挨拶されてますが、厨房ではさぞかし厳しいシェフなんでしょうね。今日のお料理は、ピエモンテの風がびゅんびゅん吹いてますよ、って感想を述べました。これから、ですって、もっとすごくなるのは。

それじゃあ、赤ワインもお願いして。このワインも数奇な運命を背負って生まれたワインですが、それがナンなのか、訊かないでください。忘れてます。

お料理の方は続きまして、タリオリーニです。ピエモンテで人気のパスタだそうですよ。手打平打ち麺です。ソースがうさぎ肉のラグーソース。薄めの味付けで、パスタの小麦の風味を楽しめるように設計されているかのよう。こういう料理なんですね、ピエモンテ。絶対に行きたくなっちゃいました。豊かな食材でシンプルな料理、という印象を受けました。プロバンスの12ヶ月というピーター・メイルのイタリア版で、ピエモンテの12ヶ月 by 行列、 というのはどうなんだろう。各出版社からのお申し出を受付中です。ここまででは、二人ともカッペリーニが今日一です。

お次は、リゾットです。これもピエモンテで典型的な、と言われるリゾットだそうですが、使われているチーズがゴルゴンゾーラとピエモンテのチーズ。このリゾット、初めて食べる濃厚な味のリゾットにまたまた二人で顔を見合わせちゃいます。旨すぎる。お米が微妙に食感が残っていて、米とチーズがこれほど合うとは初めての実感です。このリゾットで、ジブンの今日一はリゾットに栄誉が。Mさんは、依然カッペリーニのままです。

まあ、なんというお店でしょう。ここまでで、まだメイン料理が出ていないんですよ。スタッフの接客のよさやシェフがやりくりをして2度目のご挨拶にいらしたり。なんて気持ちよく食事が出来るお店なんでしょうね。スタッフから次の料理がアナウンスされました。

シャラン鴨とフォアグラのフィナンツアーラソース

なんですか、それって。内臓を煮込んだソースで、とさか、が入ってましたよ。こんなに柔らかくてゼラチン質なんですね。見た目は、まんまの鶏のとさか。どうする?食べたらうめ~よ。内臓やソースもおいしゅうございましたが、鴨やフォアグラがやっぱり主役の味してますね。最後までテンションを下げない料理の連続でございました。料理にうるさい食いしん坊ばんざいさんたちをストーカーして、ずばりいかったです。思惑通りと申しますか。

しめの5点盛りデザート。飲物。

これがラ・チャウでいただいたすべてです。3780円です。とうてい信じられません。感謝の気持ちをこめて精算しておりましたら、馬渡シェフと本日2度目のご対面。どう見ても隣に住んでいるおっちゃんにしか見えない馬渡シェフが繰り出すイタリアンマジック。

ピエモンテの風、びゅんびゅん吹いてました。


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9位

Ostu (代々木八幡、代々木公園、参宮橋 / イタリアン、パスタ)

1回

  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 4.1
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2012/12訪問 2012/12/31

誕生日祝いをしてもらいました。代々木公園のオストゥ。★1つ星イタリアンレストラン。さすがの実力。

代々木公園に来ています。

何回も申し訳ありません。誕生日会です。今回はジブンで指名したお店です。2012年イタリアンで一つ星に輝いたオストゥ。どんなお店でどんなお料理でどんなサービスが★として評価されるのか、とても興味がありました。予約が取れて行ってきました。

最寄駅は代々木公園か小田急の代々木八幡。代々木公園なら常磐線直通の千代田線で1本で行けますので、今回はラクチンなアクセス。正午オープンに合わせて家を出ます。代々木公園駅で今回祝ってくれる二人に合流して店に向かいます。代々木公園沿いの道を進めばお店はあるはず、と思いながらてくてく。

この辺りには素敵なお店が点在してるんですね。ここもよさげだし、ここもいいなあ。そう思いながら店の小さな看板を見ると、OSTÜ。ここでした。こじんまりした、かわいらしい外観。立ち止まっていると中からお店の方が出てきましたので、予約の行列ですと名乗って入店です。地図で見るよりずっと駅に近いですね。案内にあった10分なんて歩きません。

店内も外観同様にかわいらしい感じで、開放的な明るさがあるビストロのようです。へ~え、そうなんだ。何がそうなのか分かりませんが、とてもカジュアルで落ち着いた感じですね。ここはミシュラン獲得のお店です、みたいなものは欠片も見つかりません。入店した時からフレンドリーな会話で迎えられました。

この日は、コース料理も予約してます。シェフおまかせのランチコース(4500円)です。この他、プリフィックスのランチコースがメインディッシュつきで2800円でした。お店のスペシャルティはピエモンテの郷土料理。アラカルトも用意されてます。飲み物は最初にライトな赤ワイン、次にフルなものとお願いしました。

おめでとう。乾杯です。こんなに大勢の方にお祝いしてもらったこと、もちろん過去にないですよ。ありがたいことです。

フォカッチャ、おいしいねえ、なんて話していたら最初のお皿。ミネストローネ。苦手です。ミネストローネ。アメリカの学食で食べたミネストローネのまずさを引きずってます。ところが、まあ、おいしいこと。トマト味ではない、のが良かったです。いろんな豆類がおいしい。きのこのスープを期待しておりましたが、これもなかなかでしたよ。

次に出てきた前菜は牡蠣の料理です。牡蠣をラルドで巻いてソテーしたもの。ラルドって、豚の背脂に塩とスパイスをまぶして熟成させたものだそうですが、この牡蠣はめっちゃうまかったです。表面はかりかりに焼いて、ここまで焼いちゃうと牡蠣が縮む恐れもあると思いますが、いえいえ、ぷっくらして旨かったです。ヴィンコットソース、サフランソースでいただきました。サラダはマーシュ。おいしいです。

パスタは、自家製手打ちで細麺。ピエモンテの名物だそうですが、タリヤンという名称とのことです。楽しみに待ってます。厨房もよくこのサイズで可能なんだと思えるような大きさです。すごいね!

タリヤン。ソースはラグーで、入っているものは伊那産のイノシシとポルチーニ茸。この細打ちのパスタ、大好きです。旨いんだもん。稲庭うどんライクですよ、言ってしまえば。手打ちっぽく、太さも不揃いのも少しあって、ますます気に入りました。ソースもおいしいし、パスタの量も結構ありましたね。

本当なら、パスタは2種類食べたかったです。おいしさが違うんですもん。パスタランチだけでもいいなあ。次回は夜に来て、望みを叶えますか。

メインは、十勝産短角牛の内モモ肉。90日間のドライエージングしたものをローストしたものです。お店でエージングの肉を出すのは本当に稀だそうです。今回入手した肉がドライエージング向きだったということで、専門の業者さんにエージングを頼んだとか。この辺のお話は、ブッパにおよばれで行きましたので、よく頭に入ります。

お肉、めっちゃ旨かったです。このローストがもう、すごいね。これはちょっと真似できない、って当たり前ですが。お手本になります。もも肉で脂肪が少なく、エージングで旨味たっぷり。ちょっと参りましたよ。

デザートはマスカットルージュのグラニタン。そして、じゃ~ん、サプライズプレート。

ありがとう。いい思い出になりました。お料理には派手さはありませんが、実力でぐいぐい来るタイプ。とってもおいしかったです。夜はもっとお楽しみいただけます、というお店の方の言葉に、絶対そうに違いない、と思ったことでした。

  • ラルドを巻いた牡蠣のソテー
  • 十勝短角牛内モモ肉のロースト
  • 伊那産イノシシとポルチーニのタリヤン。

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10位

かなざわ亭 (磐城棚倉 / 食堂、ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/06訪問 2016/09/18

自家の畑で小麦を栽培。製粉後手打麺にして、これがめちゃめちゃ旨い日本珍百景もびっくりの優良店、かなざわ亭。

クロアチア日記⑨をUPしました。

カラダのでっかいクロアチア人が食べるハンバーグの件。


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(2012年6月 初稿)

福島県棚倉に来ています。

この日の午前中は土建屋@まささんとの2人オフ会。矢祭のさがわ食堂で1食目。いやあ、びっくりしました。こんなうまい手打ちタンメンが大大どんぶりで出てきて600円。まさに食堂名店の醍醐味でしょう。ということで、2軒目。

進む場所は棚倉ということです。こっちも福島県ですね。棚倉は、むか~~~し棚倉田舎倶楽部というゴルフ場に行ったことがあり名前は知ってますが、それ以外は何も知りません。道中、まささんからお店の内容が知らされます。それって本当ですか?

自分の畑で小麦を栽培し、製粉後手打ちラーメンにする店。

なんとまあ、小説、映画の世界ですよ。ああ、それで名優佐田啓二似の行列がその店によく似合う、と。分かりました。納得です。今日もまた名演技をご披露いたしましょう。

さがわ食堂から再び延々とカントリーロードをひた走ります。車の通行量も極少で、余生はこういうカントリーライフもいいなあ、なんて。引退後は6ヶ月ごとにいろんな地方に住んでみたい、という夢があります。漁師町もよさそうだし、山あいもいいねえ。椎名誠が小樽に住処をつくってましたけど、どうしましたかねえ。秋田とか沖縄とか利尻島とか。ブルガリアやフィンランド、それに一度住んだことがあるボストンやマニラや中国なんかにもセンチメンタルな気分で住んでみたい。

なんて白日夢を見ていたらお店の前に到着しました。棚倉役場の前ですね。外観はなかなか近代的です。店に入ると、いやあきれいにしてますね。入口にちょっとしたスペースを設けているのは、寒さ対策なんでしょうか。外気と店内がダイレクトに接していない構造です。そのスペースには写真が展示されていました。千葉から定期的に来るお客さんの傑作だそうです。

店内もきれいです。カウンター、大テーブル、小上がり。どうしてもこの小上がりか座敷がないと福島県民は寛げない人が多いんでしょうねえ。2人は大テーブルにこしをおろします。もう1軒目でキャパシティを超えたかと思いましたが、車で揺られている間に胃にスペースが出来たようです。喰いて~感が戻ってきました。オーダーはもちろんラーメン(500円)で。このお店は地方の食堂ですので、定食物もぬかりなくちゃんと揃ってます。もしラーメンがなかりせば、そうですねえ、鶏の唐揚定食(785円)かなあ、やっぱ。

およそ7分で配膳。きれいです。美しいです。これ、500円ですか??そう思うとすっごい。厚めのうまそうなロースチャーシューが2枚ですよ。脂がよく入り込んでいて、肩か腕の部分でしょうか。めんま、のり、なると、刻み葱。いい感じでバランスよく置かれてます。うまそうなスープですねえ。ちょっと試飲させていただきますよ。

おお、飲む前に煮干のいい匂いがほわ~んと漂ってきます。そして飲んでみると、しっかりした動物系に支えられた醤油味がうまいスープです。動物と魚介をじょうずにバランスしていて、これはスープだけでも相当レベルの高いお店であると思います。やっぱり、センスなんですよね。それを500円の中でやろうとするところがすごいじゃないですか。たいしたお店です。それでは、自家栽培、栃木産小麦をそのまま手打ちにした麺をいただいてみましょうか。

こういうときにこそ言うんです、稲妻が走ったって。この麺のうまさ、どう説明すんのよ、って言うくらい、旨さの正確な報告に自身がありません。麺の形状はやや中太のかなりちぢれた麺です。その麺がふわって膨らんだような感じで、噛むとぱつぱつ気持ちよく歯切れが実にいい麺です。これかああ。まささんが絶賛するのも無理ありません。もちろん風味もよろし。こんな麺、初めて食べましたよ。めちゃめちゃうまい。そんな麺にこのスープですから。相性、バツグンですよ。

これ、あんまり旨いんでおみやげに買うことにしました。2人前で180gx2で、醤油だれがついて、500円。買わないわけないですよね。実食して、こんなにうまいんだから。ちょうど夜は8人のオフ会なんで、このシアワセのおすそわけで8個買いましょう。

トッピングのチャーシュー。これだって実力のある、とろとろの味っぽいチャーシューでした。どうしてこの値段でできるの、って。まあ、サービス精神も旺盛な優良店であることは間違いありません。

どうなんですかね。小麦粉は市販のを使って手打ちで作ったら、やっぱり違いますかねえ。もちろんこの風味は絶対にありえませんが、言いたいのは、麺作りの技術も相当高いと思ったことです。自家栽培小麦で安全安心なものを、というのはよく耳にしますが、それが、めちゃめちゃおいしいんだよ。奇跡の500円ラーメンです。満点です。おそれいりました。

お土産を受け取って帰ろうとしたら、ちょっとこれ、食べて言ってくださいよ。少しですからって。ええええ。ラーメンを絶賛し、おみやげも買いましたが、そこまで・・・。すごいサービス精神、がここにも。食事が終わって店外の車の中で待っているまささんを呼びに行きます。

まささ~ん、助けてよ。たいへんなことになっちゃって。

提供されたのは、ざるラーメン。もうおなか一杯の一杯ですが、ここまでしていただいたら。

麺を手繰ってつゆにつけ、いただきま~す。おおお、この食感は同じ麺のラーメンとは全く違いますねえ。うまい。コシがぷりぷりでセクシーさを感じる歯応え。いやあ、こっちもうまい。

またまた奇跡をごちそうになりました。日本、広いです。

  • ラーメン500円。
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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