行列のできるさんのマイ★ベストレストラン 2011

きっと明日いいことが。

メッセージを送る

行列のできる (70代以上・千葉県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

本年もまた多くの読者の方々に声をかけていただき、どうやら無事完走できそうな気配であります。多大なご支援、誠にありがとうございました。

年の途中で人間ドックの結果黄色信号が一時点燈しましたが、大好きなラーメンをいっとき我慢したお蔭でまた完全復帰を果たしております。と言う、小さな出来事はありましたがほぼ1年を通してレビュー出来ましたことは、まさに健康に感謝です。

さて本年は昨年に比べて旅行する機会になかなか恵まれず、年初に秋田旅行を敢行したくらいでした。代わりということもございませんが仕事がらみで4ヶ月ほど栃木県に長期滞在しまして、栃木県のレビューも170件以上となりました。東京を越えて3位に上がったことが自分史では大きな出来事でした。

さて恒例のマイベスト10ですが、これがまたなかなか決めることができず、どのお店も楽しませていただいたことには変わりはございません。ほんのちょっとしたことで順位を決めざるを得なかったことを記しておきます。その中で首位はここ、慈久庵を指名しました。

前述のごとく、それまで走っていたラーメン行脚に終止符を打って、代わりにのめりこんで行ったのが日本蕎麦であります。蕎麦には大変感謝しております。楽しみが増えたことと、そして健康が取り戻せたこと。そんな事情から、蕎麦店を代表して慈久庵をトップに据えました。ほんのわずかですが、ここで蕎麦をいただくことの意味は他店を圧倒している気がします。

そしてもう1軒、蕎麦店から地元の湖庵を選びました。素朴な空間でいただく蕎麦店の中で一番おいしいと感じました。小さな町の小さな手打蕎麦店ですが、これからも一番数多く通うと思います。

栃木県の宇都宮、那須にわずかですが土地勘ができて、その成果が那須のガーデンレストランと矢板市にありますダッタン蕎麦寿庵です。ガーデンレストランは宿泊した二期倶楽部でのホスピタリティや森のコンシェルジェと歩いた邸内の自然も含めてのピックアップです。どこにでもありそうなフレンチを、収穫して数時間の新鮮野菜でブラッシュアップするところが秀逸な味を生み出すシステムの勝利のように思いました。

韃靼蕎麦の寿庵は本当のカントリーサイドにある、しかし意識が高い店です。韃靼蕎麦をオリジナリティあふれるミニコースに仕立て、その味と接客はいつまでも記憶に残りました。

西洋料理からは、桐生にありますフレンチのシュマンドールと房総のイタリアンウシマル、それにつくばのアミーチを選びました。それぞれ個性的なお店で、いずれも人気店です。本当においしい西洋料理をリーズナブルな値段で堪能させていただきました。3万円、5万円を出して、おいしいを連発しているような人がまだいることが信じられません。この3店は普通の人が最大限楽しめるように、最高の料理とサービスでもてなしてくれる佳店であると思います。

大好きなラーメンからは、秋田角館のいとう、松戸の中華蕎麦とみ田を選びました。いま東京で角館ラーメンが大人気ですが、その源流、ルーツである角館のいとうで食べることが積年の夢でした。雪の降る角館でたべたいとうのラーメンの味は、想像を超えたそれはそれは深い味でした。感動しました。とみ田にはいつも食べる喜びも一緒にもらってます。研究を怠らず、常に日本一を突っ走る富田店主には頭がさがります。今後も楽しませていただきたく思います。

そして、居酒屋からは勝田台の角一。これは最近のことですので、レビューを読んでいただいたほうが自分の気持ちが伝わると思います。

ということで、今日現在の2011年度訪問した店は516軒と表示されていますので、月末までにはもう少し増えるでしょう。今年もこの500軒のお店に楽しませていただき、あらためまして感謝いたします。また来年もすばらしいお店、すばらしい料理と料理人に出会えますように。

2011年11月吉日

行列のできる
               

マイ★ベストレストラン

1位

慈久庵 (常陸太田市その他 / そば)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2011/10訪問 2011/10/04

里の秋を疾走し、茨城県水府村の慈久庵に。日本の素晴らしい秋の景色の中でいただく蕎麦三昧。

(2011年10月 再訪)
2年ぶりとなりましたか。慈久庵が、最初に蕎麦のうまさを教えてくれたと思ってます。蕎麦の魅力を教えてくれたと言い換えてもいいかもしれません。蕎麦店で★を5つつけたのは、ここだけ。

やっぱり秋にきました。紅葉にはまだ1ヶ月あります。里山では、もう柿が色づいてました。ほうぼうで煙があがり、何を燃やしているのでしょう。慈久庵の場合、どのくらいの行列ができるのか、まだ予測できません。行列の後ろになれば間違いなく2時間待ち。そう思って早めに家を出て、お店の前に着いたら開店2時間前。いくらなんでも早すぎました。竜神大吊橋まで行って紅葉の進み具合でも見てこようかな。

それでも少し黄色や赤が混じり始めてます。確実に季節が動いていました。お客さんのいない売店に入り、時間をつぶします。しみこんにゃくがあったので買いました。この地方独特のこんにゃくの冷凍乾燥品です。慈久庵にもどり、いつもの縁側に座って時間が経つのを待ちました。手にしているのは蕎麦本。いろんな店に行きたくなります。

定刻前に店主の小川さんが店から出てきました。招じ入れられます。靴を脱いで、入り口で小川さんからおしぼりと品書きを受け取り、お好きな席へ、といつものルーチンです。座るのは、厨房に一番近いテーブル。ここからですと、厨房で働く店主の姿が格子窓越しに見えるのです。

今日は、3点セットをやめて、葱天せいろ(1700円)にしました。魂胆があるのです。もう1軒、なかなか行けなかったお店に行こうかなと。店主の小川さんがこわそうだというレビューを散見します。忙しいと怒っているように見えると。違うと思います。真剣になったときの表情かな。それと、まず無口です。でも、こちらから話しかけると、いろいろ教えてくれます。この日は、とてもおだやかなお顔でした。今月末にひかえている蕎麦の収穫のことを考えているのかなあ。蕎麦が満開な畑を見ました。

どうしてかなあ。慈久庵のこの部屋に入ると落ち着くんです。この椅子やテーブルのデザインもいいなあ。1番目に入店したので1番目に調理してくれます。2番目が同じオーダーなら一緒に調理。違うなら、1番を配膳するまで2番を始めません。2時間待ちの理由です。小川さんの手で配膳されたのは20分後でした。

いつ見ても迫力ある蕎麦です。なんでしょう、この星は。殻の黒や甘皮の茶色は分かりますが、黒、茶、黄が七色になって透明な蕎麦の中に点在しています。粗挽きです。芳しい蕎麦の香りにくらくらします。江戸蕎麦細打ち。蕎麦の豊かさが匂いにも味にも。どうやって閉じ込めたのか、どうやって開かせたのか。つゆは濃厚な辛め出汁。ほんのさきっちょにつけて、一気にすすります。やっぱり慈久庵だなあ。大げさに言えば、胸が熱くなって・・。だめですね、フォールインラブです。夢中でいただきました。2分で蒸篭が空に。

地葱の天ぷらは、岩塩でいただきます。蕎麦と一緒には食べません。葱の天ぷらを自宅でもしようと思って勉強のためにいただきました。な~んだ、目からうろこの天ぷらでした。

この日も忙しい時間の中で少し話ができました。前を向いて歩き続ける人です。里の再生ももう次の段階に入って来ていると感じました。小川さんの熱意が地域を動かしてます。今月末収穫する蕎麦が食べられるころ、来年初頭かなあ、またこの部屋に戻ってきたいとおもいました。


(2009年10月再訪)
約1年ぶりの訪問です。同じ季節での訪問ですが、里山で感じる秋はごくわずか。紅葉もまだまだのようです。

小川さんのご活躍はこの1年も目をみはるものがありました。相変わらずマスメディアからは好意的に取り上げられ、里の再生運動も順調に推移しているような記事も拝見しました。千葉に帰ってきて短期間での自宅滞在ですが、どうしても慈久庵でお蕎麦が食べたくて、小川さんの仕事振りを拝見したくて自宅から120kmかなたの山里にある慈久庵を訪れました。

見覚えのあるフランスのカントリーハウスと日本の曲がり家を融合させたデザインの家が登山道に突然現れます。実家に帰って来たようなふっと安堵感を感じました。同時に、あのお蕎麦を食べられる、というわくわくした高揚感。

定刻、小川さんが営業中という看板を持って中から出てきます。そこで、外で待っていた客が中に招き入れられます。物静かで余計なことは言わない話し方。華奢な体躯のどこにあれだけのエネルギーが潜んでいるか不思議な思いです。

今回オーダーしたのも慈久庵コース4品(3100円)。こんにゃく、そばがき、せいろ、デザート。この日は前回と違い、Bさんも同行してます。二人でひとつ、地葱の天ぷら(600円)を追加しました。

窓の外に広がる里山を見ながら、お料理を待ちました。小川さんが一人でオーダー取りから後片付けまでスタイルは同じですから、このお店に入ったら時間の流れをすべてお任せします。その時間の流れを楽しみます。

さあ、お料理が順番に出てくる時間が来ました。最初はこんにゃくからです。本当にうまい、味があるぷよぷよのこんにゃくに感激もあらたに。この続くお料理はどれもすばらしく旨さにふるえましたが、初稿ですでに8000文字を使い切っていて、それぞれの評を載録するスペースがありません。評は初稿にゆずるとして、地葱のてんぷらだけ。葱の食べ方で、初めての経験でした。そぎ切りにしたネギを天ぷらに。衣を薄くして、パリッと揚げてます。南米の海の塩が添えられました。この爽やかな天ぷら。絶対自作しよう。蕎麦には、えびでもいかでもなく、このような素材の天ぷらだけが蕎麦を生かすんだなあ、とあらためて思いました。


(2008年11月初稿)
慈久庵のことを初めて食べログで知ったのは、およそ3か月前のこと。庵の主小川宣夫さんのことがだんだん分かるにつれ、慈久庵でお蕎麦を食べたいとずっと焦がれていました。

ご自身でお生まれになった古里である茨城県水府村(現在は、常陸太田市)に慈久庵を創設、理想の蕎麦処にしようと近在の蕎麦農家に声をかけて。いい蕎麦を手に入れるべく伝説では農家から手に入れた玄蕎麦すべてを粉にして吟味したとか。
かつて蕎麦の一大産地だった水府から、一軒また一軒と蕎麦農家が消えていき、良質な蕎麦を手に入れようとしたとき、その事実が重くのしかかる。しかし、小川さんは持ち前のバイタリティで2つの解決法を見出し、成功の道を大きく歩み始める。

ひとつは、大きなテーマになった里山の再生。蕎麦の生産だけでは生計が立てられないが、裏作に小麦を栽培することで成り立つ道を柱とした里山の再生。近在の農家に熱く訴え二毛作の裏表、蕎麦、小麦の生産量を徐々に増やしていく。そうなると、蕎麦と小麦の消費増大の道筋をつけなければならない。

良質な小麦の消費を目的に、常陸太田に粗挽き蕎麦と石臼うどんの慈久庵鯨荘塩町館を開店させた。さらに小麦の消費を伸ばすため、乾うどんの生産を昨年2007年から始めて運動を加速させる。

2つ目の解決法は、一度荒れた畑はもとに戻らないと言われているのを焼畑農業の手法で見事に再生させ蕎麦を収穫できるようにする。そこでご自身のホームページでは、“幻の焼畑そばを食しませんか!”とズバリ呼びかけている。焼畑をすることで畑からストレスがなくなる、と。

常磐道那珂インターをおりて1時間、どんどん都会から離れて山と畑と農家が主役になる里へと走り進んで行きます。この日も、まさに日本の正しい秋晴れ。綿雲がひとつふたつ浮かぶ透きとおった青い空。窓から入って来る空気が冷たくて、気持ちがいい。農家には必需品の柿の木が、どの家のも柿の実をたわわにみのらせ、平和な光景が広がっています。さすがの、晴天の連休日。常陸太田を抜ければ名所袋田の滝もすぐそこなので、紅葉狩りが目的の人も一緒に北へ北へと向い、里は1年ぶりの活気にあふれています。

開店60分前。2番目のお客さん到着。40分前、突然小川さんがお店の外へ。縁側でまつお客さんが座る座布団を持っての登場でした。縁側に座れるだけの座布団を抱えて。おお、これで、100%食べられる。5分前、開店。

この日のオーダーは、慈久庵コース5品で。5人掛けのテーブルで、ひとり。贅沢を堪能させていただきます。このとき、お店のそとで待っていた人は1時間以上は待ったのかもしれません。相席はなし。相席の雰囲気ではない、真剣な場所。だから、1時間前に来て待っていたほうがずっと楽しいのに。

1品目。こんにゃくです。もちろん自家製のさしみこんにゃく。この辺一帯はコンニャクイモの生産が盛んで、さしみこんにゃくが名産品になってます。小川さんがお盆に乗せて運んできます。なにしろ、お店は小川さんひとり。オーダーとり、調理、配膳、片付け、レジまで全部一人でやります。普通のお店の感覚とは全く違います。わたしは待つあいだも、慈久庵がでている雑誌、本を読んで外の景色を見て、ものすごく楽しかったのですが。

素敵なお皿にそぎ切りされたこんにゃくがのってます。小川さんは、お料理を持ってきてお料理の説明をしてくれますが、こっちは初老のビューアーなので小川さんの小さな声では聞き取れませんでした。わさびを付けて召し上がって、とかそのような事をおっしゃってたのか、と。小川さんは、むだなことは言わず、必要以上の大きな声は出さない、あるいはシャイ?なのかも知れません。

何もつけないこんにゃく。うまい。こんなさしみこんにゃく、初めてです。ぶりっとした食感にうまみがあるこんにゃく。むかしは、みんなこんなおいしいこんにゃく食べていたんだ。大量生産で道を踏み外した、のか。次に、すったばかりのわさびをちょい乗せて。これも、いい。おいしい。でも、何もつけないほうがおいしい。ぺろっと、あっという間に全部なくなりました。食べた後のお皿もかわいいので、記念撮影しましょう。そば湯と一緒にいただきました。そば湯は、最後まで熱いのが出されます。途中、一回そば湯ポットごと新しいものに交換されました。

2品目。そばがき。結構な量です。湯気が立ってます。小川さんからは、“はじめは何もつけずに・・・・・・”。あとは、わかりませんでしたが、ねぎと味噌が別のお皿で来ましたので、お好みでつけたら、とか言ったのでしょう。

このそばがき。本日一番でした。あつあつ、ほふほふ、ふくよか、なめらか、もっちり、あまさが、蕎麦そのものの香りのなかにあるんですよ。このそばがきは、いままでのどれとも違いました。うんまい。もう、いや、うますぎる。くろい点々があって、これは粗挽の特徴ですね。ねぎをちょっと、みそをちょっと、で試しましたが、これも何もつけないほうが格段においしい。量もたっぷりで、しあわせな時間もたっぷり。

ちょっとベランダに出てみます。まあ、なんと目の前はずーと秋たけなわの里の風景が広がっています。景色を楽しめ、とはこのことだったのですね。テーブルもあり、そとでも食事、お茶ができます。風景の記念撮影を。

3、4品目。粗挽きせいろ蕎麦と野草の天ぷら。きれいな色のお蕎麦です。そばがきと同様、黒のてんてんが多く、食欲をそそります。この蕎麦こそが、焼畑農法で自家栽培し手刈り天日乾燥したものを石臼で粗挽に自家製粉した蕎麦粉から打ったものです。野草の天ぷらは全部説明していただきましたが、聞き取れたのは、たんぽぽだけ。知識のなさで、すみません。お塩の説明がありましたが、これもわからず。

おそばを何もつけず、ひとくち。うーん、さわやかなうまさ。不思議なさわやかさ。細いけどこしがあります。ホントにおいしいお蕎麦です。そばの香りが高く、こんなしあわせあっていいんかい、と思えるうんまいお蕎麦です。くちの中でふあっと一瞬の香りを残して、すうっとのどを通り過ぎて行きます。

“蕎麦も饂飩もめんを打つだけでは未完成。おいしいつゆと出会って、はじめてその真価を発揮する。”小川さんは著でそのような発言をしていますので、それではめんつゆにつけて食べてみましょう。

うあー、やっぱりおいしいですね。つゆは、こいくちであまみは少ない。きりりとした味で節のかおりが立っています。結局、お蕎麦だけをそのまま食べたのが半分、残りの半分だけがつゆと一緒にいただきました。おそばも過去最高点。残りのつゆは、お約束のそば湯に。しあわせすぎる。

5品目。もう最後になってしまいました。本日のデザート。いちじくのふろふき。いろんな料理を考えだすものです。いちじくの上に味噌がのっています。

いちじくのうまみがすごい。久しぶりに食べるいちじくでしたが、こんなおいしかったっけ、というぐらい、うんまい。ただ、かわをむいて、なにかシロップのようなものに漬けただけ?煮た感じはしません。とにかく、うんまい。味噌は控えめでインパクトではなく味のひろがりのためか、いちじくのあまさをより引き出すためか。文句のつけようなし。いや、むしろ大絶賛のデザートで雄大な舞台の一幕の終了です。

  • 葱天せいろ
  • 黒、茶、七色の星
  • 葱天

もっと見る

2位

ガーデンレストラン (那須町その他 / ヨーロッパ料理、創作料理、レストラン)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2011/07訪問 2011/08/08

レビュー1400件目のレストランは盛夏の那須高原まで足をのばして。自家菜園のいきいき野菜に感動です。

キリ番レビューに熱心な行列です。普段なかなか行けないお店に行く動機付けにキリ番を利用しているからです。今回、またやっと99軒で食事を終えてキリ番がやってきました。どのお店にするか二転三転した今回、金的を射止めたのはゆっくり1泊して温泉と食事を楽しむというプランです。それこそ、このような温泉は星の数ほどありますが、決め手になったのは、翌朝森のコンシェルジェと早朝の散歩ができるというプラン。場所は、那須高原にある二期倶楽部。ここには温泉も引かれているし、12万坪の森があるし、フレンチのガーデンレストランがある。Bさんの慰労も兼ねて行ってきました。

盛夏の那須高原。自宅からは180kmの行程でしたがさしたるトラブルもなく、計画通りに15時にチェックイン。宿泊の二期倶楽部にはガーデンレストランでの夕食付きのプランもありましたが、夕食の選択の余地を残すために朝食付きのプランで予約。ガーデンレストランの夕食は単独で予約を入れました。チェックイン後は、早速の森の散歩と露天風呂でのリラックス。森の中にも露天風呂がありましたが、このとき雨が降り始め。ま、傘差して入るのも乙ですけど、明日もありますから。

さて、お腹をすかしてガーデンレストランに向いました。オフシーズンでもありませんが、8分の入りでしたね。思ったよりお客さんは少ないようです。中央付近の窓側のテーブルに案内されます。レストランは東館のメイン棟の2階にあります。窓はすべてガラス張りでちょうど階下が風呂になっている関係上、縦長のレストランになってます。黒服がたくさんいますね。落ち度があってはいかん、のオーラが出てますよ。こっちはたいした客ではありませんので、うるさい客についてくださいよ。

メニューが配られ、メニューの説明をしてくれます。分かり難い、のも当然でしょうね。知らない未知の言葉がどんどん入ってくるので、田舎者の二人はついていけません。じゃあ、ちょっと時間ください、って二人で作戦会議を挙行。そしたら、ソムリエがやってきて、%&#!‘・・・。はあ。二人とも赤ワインで、どれがおススメですか、と訊いたところ宇宙語が始まっちゃいました。タザキシンヤがコンテストで答えているみたい。こんなとき、千葉から葡萄党幹事長を連れてくればよかった。じゃあ、日本のワインで。

メニューの検討をいろいろしましたが、このレストランはアラカルトよりコースのほうが何かよさそうです。で、二人ともコースにしました。チョイスのみに集中します。

また黒服が説明してくれます。当レストランは、自家農園であるキッチンガーデンで育てた無農薬野菜やハーブ、地元の卵、チーズや肉、魚介、穀物、海草がバランスよく組み合わせたスパキュイジーヌだとか。スパとの相乗効果があるとのことです。コースでも980kcalなんですって。

決めた料理は、

ガーデンレストラン 夏のスパ・キュイジーヌ ディナーコース
 “那須高原の安心安全で身体に優しく新鮮なおいしい料理”

・アミューズ 食前に優しい一口を

・“南仏の太陽の味”竹田産サフランの薫る本日の旬鮮魚のブイヤベースジュレ
 菜園のハーブとクリュディテ ラベンダーの氷菓と共に

・穴子の自家製スモーク 二期滋養卵“純”とルッコラを添えた高原産甘熟トマト ケッパーとバジル風味の冷たい天使のヘアーパスタ

・有機栽培のえごまオイルの香るかさごと高原野菜の備長炭グリル 和ハーブのヴィネグレットと夏野菜のクーリーと共に

・(行列の選択)ポルチーニの香りを詰めた北海道産仔牛フィレ肉の木の実焼き へーゼルナッツとポルチーニの軽いジュとそのチュイル 那須高原産唐もろこしのフランと彩り夏野菜と共に

・(Bさんの選択)“秋田比内地鶏キュイジーヌ 2つの味わい”ヨーグルト 蜂蜜とカレー風味の胸肉とカルダモンの香るモモ肉の串焼き 五穀米のピロー 那須高原産唐もろこしのフランと彩り夏野菜

・アンデスのキヌア入りぶどう酵母パン

・“夏のスパ・スイーツアンサンブル”

・紅茶 コーヒー

おまちかねのワイン。二期倶楽部のソムリエがワイナリーを訪れテイスティングのすえ選んだという日本のワインです。へ~え、うまいじゃないの。輸入ワインより高い値段設定です。どれどれ。ラベルを見せてもらいました。キュヴェ三澤。山梨のワイナリーですね。

アミューズでは、スイカの冷製スープがなかなかよい。子羊のワンタンもナンプラーが利いてます。ここはさっと通り越し。

ブイヤベースのジュレ。それぞれの単品はすごくおいしい。自家菜園朝取りの野菜は本当に素晴らしいうまさ。でもひとつの料理になると、どうもしっくりこない感じで、これだけがちょっと合いませんでした。そもそも冷製自体が難しい料理だと思いますし、最初から3点連続で冷製料理が並び、いくら夏とは言えうまさを披露するには難しい道を選んだなと思いました。

ヘアーパスタの冷製を初めていただきましたが、トマト味のそうめんのようで、ここは冷製でなく進みたかったと思います。スイカ、ブイヤベースと冷たく来てますので、ここは一度ふくよかな料理でリセットしたい気分でしたね。あなごの燻製が一人浮くほどうまい。次の朝、燻製室を見せてもらい、あなごのうまさを思い出したくらいです。

魚のメインはかさごの備長炭焼き。これは、香ばしくて味が膨らみ、魚とは思えない旨みいっぱいの焼き物でしたね。単純な味付けなのが自分達向きだったのかもしれません。こういうメインにたっぷりな新鮮野菜で、うまさを互いに補間し合い助長し合い。なんだか、二人ともやっとエンジンがかかってきたみたいで。どうも、手が込んだ味よりもストレートな味に好みが変わって来ていることがはっきりと自覚します。だからアルケッチャーノがうまい。

行列の肉のメインは仔牛の焼き物。これもたっぷりな野菜と一緒にシンプルな味付けで、肉もうまし。量もちょうどいいね。Bさんのメインは比内地鶏の焼き物2点。ひとつはカレー味の胸肉で、クミンがばっちり利いていて、これも塩胡椒が好みなんだなあ。一生懸命作ったスタッフぅには申し訳ないですけど。カルダモンの串焼きはうまい。これだと、比内地鶏という味に感じますが、カレー味にしちゃっては比内地鶏に申し訳ないような。

パンとスイーツは出色のうまさ。ここは、さすがでした。ふたりで、いろいろ褒めたり注文をつけたりの楽しい食事でした。あくる朝も雨の予報とのことですが、森のコンシェルジェにくっついて森の散歩が楽しみです。森のコンシェルジェの話は100%理解できるでしょう。結構知識がありますからね。楽しみにしていたガーデンレストランでのディナー。満足な気分で終了しました。

話はもう少し続きます。このあと、

お夜食がありますが、お届けしますか?って訊かれます。

はいはい、是非お願いします。

そして22時。スタッフが部屋まで夜食を持ってきてくれました。竹かごに入っていたのは、いなり寿司がふたつ。それがまあ、うまいのなんの。ディナーよりもうまい、ことは内緒ですよ。同じ厨房で作ったのだから、どっちがおいしくてもいいでしょう、ね。

  • “南仏の太陽の味”竹田産サフランの薫る本日の旬鮮魚のブイヤベースジュレ
  • 穴子の自家製スモーク 二期滋養卵“純”とルッコラを添えた高原産甘熟トマト ケッパーとバジル風味の冷たい天使のヘアーパスタ
  • 有機栽培のえごまオイルの香るかさごと高原野菜の備長炭グリル 和ハーブのヴィネグレットと夏野菜のクーリーと共に

もっと見る

3位

シュマンドール (桐生、西桐生、新桐生 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥4,000~¥4,999

2011/09訪問 2011/10/08

レビュー1500軒目は、ノスタルジック桐生市で見つけた前菜8点、デザート3点のフレンチなランチ。

群馬県桐生市に来ています。

かつて日本の基幹産業のひとつが織物インダストリだった頃栄えた町です。ずっと行きたいと思いながら、やっと桐生への小さな旅が実現しました。

ランチも大きな楽しみのひとつです。フレンチのレストランで前菜が8皿、デザートが3皿のランチを見つけました。ちょっとずつ、という副題がついたこのランチのことは実写で各皿ごとをお店のHPで紹介していました。どれもが、その量を別にすれば決して簡便な前菜ではなく、普通にお店でサーブされる手の込んだ前菜です。どれもが美しい。

桐生です。町のシンボルは、当時の面影を残しているノコギリ屋根の古い工場。ほとんどは既に工場としての役目を終えてます。ノコギリ屋根の工場、と言えば桐生に限らず日本の全国の工場で屋根を三角にしていましたが、ここ桐生で見かける以外は既に建築費の安い平らな屋根にとってかわりました。この桐生では文化財を残すという観点からもまだノコギリ屋根が残存していて、小さなものを含めると最近のある時点では、まだ200箇所以上もあるそうです。

何箇所か周りました。郷愁を感じます。ノコギリ屋根の辺の一辺はガラスが嵌められていて採光できるようになってます。織物工場が何故ノコギリ屋根を採用したのか複数の理由がありますが、最も感心したのは。この採光側は北を向いていて北の穏やかな光は織物の色と糸を見るのにベストな光だというのです。それに、三角の構造は工場内の操業機械の騒音を分散させてローノイズ化する働きも確認されています。

織物工業の衰退で取り残されてしまったノコギリ屋根の工場。町の再生に役立てようと建屋の利用が進み、現在最も観光客を集めているのが旧金谷レース工場を使ったベーカリーカフェれんが。大勢の人が集まってました。もう一工夫あれば、更に雰囲気が盛り上がることでしょう。

そして、時間になり、ランチの予約を入れていたシュマンドールに向います。

一度通り過ぎてしまったくらい、入り口は目立ちません。一周して無事にお店の前の駐車場に入ります。レストランは広葉樹の林の中にあるイメージで作られ、これは昼間の方がこの木々を観賞できるメリットがあります。そのくらい、店のアプローチは上手に設計されていました。

店内は外観同様に洋館の作りになっていて、調度品や飾ってある花など外の植栽からすべて統一された手抜きのない本格的なものを感じます。入り口で予約している行列だと名乗るとすでにセッティングされているテーブルに案内されます。広い空間はオープンキッチンになっていて、このときのテーブル数はたったの4つ。それだけでもちょっと贅沢な気分になります。

早速メニューを確認。ランチコースが2つ用意されていて、3150円と5250円。お目当ての3150円には副題がついていて、

~少しずつ、いろいろなお料理を~

8種類の前菜、3種類のデザートです。オーダーする時に、写真撮影の許可をいただきました。4テーブルともすぐに埋まりました。後から来たお客さんは、キッチンが目の前に見えるカウンター席に案内されます。

さ、鈴木シェフの登場です。おだやかなお顔のベテランシェフですね。若いときからこのお店でずっと調理してきたとブログで拝見しました。そして、アシスタントを務めるのが瀬谷シェフ。二人で料理を次々作り始めます。お二人の手際のよさにはうっとりとしてしまいます。まったく無駄のない動き。この日の前菜はこんなものでした。9月限定とのHPでの紹介でしたが、どうやら毎月料理を変えて提供されているようです。

1.フランス産山栗のヴィシソワーズ風
2.茄子とトマトのプロヴァンス風、バジル風味
3.海老のカネロニ、キャベツのブレゼとともに
4.榛名鶏のポピエット、ルビーポートのソース添え
5.ウニのブルイエ“シュマンドール風”
6.フォアグラのムース(またはフラン)、プルーンの赤ワイン煮添え
7.仔羊もも肉のクッション、マスタード入りソース添え
8.つぶ貝とシメジのココット焼き

このあと、選択する

9.メインディッシュ

そして、デザートの3点は

10.巨峰のゼリー寄せ
11.とうもろこしのアイスクリーム、蜂蜜の香り
12.チョコレートのパヴェ

メインディッシュは、同行したBさんと相談して

榛名鶏のコンフィ
イベリコべジョータ・ロース肉の香り焼き(+2625円)。

最初のお皿が出てきました。

フランス産山栗のヴィシソワーズ風です。このレベルが8点も食べられると思うと、してやったりの気分です。とってもおいしい。これはポタージュなんですね。濃厚で栗のうまさが突出してます。海老のカネロニもすばらしい逸品でした。確かにどの皿も分量は少なくておいしいおいしいって言っている間にあっという間になくなってしまいますが、不満感はないです。次のお皿はどんなのか、っていう期待感のほうが大きい。内容は全く違いますが、鶴岡のアルケッチャーノのディナーのようでした。ちょっとずつで、全皿おいしい。

その後もうれしい前菜が次々と完成しては運ばれ、これだけの種類を一度に食べれるっていうことは、お店に3,4回来たことと同じ価値ですね。サービス担当の二人の男性も丁寧な仕事をして実に気分のいいお店です。フレンチは聞き慣れないカタカナがたくさん出てくるので、何ですかのおのぼりさん質問を連発しても実に丁寧に答えていただきました。

さ、メインです。ここでは、鶏と豚を選んでみました。どちらも魚類と違って安定した味が望めるからです。榛名鶏のコンフィは伝統的な調理法らしくしっとりとした肉に仕上がっていて、これほど旨くなるなら自分でも挑戦してみたくなりました。低温の油を使ってじっくり煮込めばいいんでしょ。肉は硬くならずジュースもそのまま内部にキープされるはずです。

イベリコべジョータ・ロース肉の香り焼きは、焼きの微妙さを見事に克服し香ばしくて肉の旨みたっぷりでした。まったく上手に焼くもんです。このお店はパンは自家で焼かずにあるパン屋に依頼して焼いてもらっているそうです。うまいパンです。このお店のあと、そのパン屋に行きました。レストランからそう遠くない桐生市内にありました。

メインでぐっと盛り上がった気分は、デザートでしめます。ここまでもシェフは丁寧な手仕事を次々とこなし、それを盛り付け完成させるのは助手にまかせます。スピード感があって見ていてもたのしい。これも撮影させていただきました。

デザートも手が込んでます。3種類のうちでは、二人ともとうもろこしのアイスクリーム、蜂蜜の香りがイチオシでした。HPの実写版では、蜂蜜をとろ~りと垂らす動画が貼り付けてあって、実にうまそうでした。実物は、とろ~りがなされた完成形でサーブされました。とうもろこしの旬の時期だけの貴重なアイスでした。

すっかりと堪能させていただきました。スタッフのみなさまにお礼を申しあげてお店を出たのは食事開始から2時間後。どれだけ楽しんだか想像いただけると思います。お勧めのレストランにまた1軒追加させていただきます。

さ、気分を変えて今度は桐生の山のほうに向いましょう。ここには、わたらせ渓谷鉄道というマニアの間で大人気の路線があって、桐生市大間々を始発としています。伝統を楽しんだ後は自然を見に行きましょうか。

  • フォアグラのムース、プルーンの赤ワイン煮添え
  • 海老のカネロニ、キャベツのブレゼとともに
  • 榛名鶏のポピエット、ルビーポートのソース添え

もっと見る

4位

ウシマル (松尾 / イタリアン)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.7
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2013/02訪問 2013/02/01

シャル ウィー ダンス? あなたと一緒に。

(2013年2月 再訪)

ランチのおまかせコースを予約して行ってきました。

この日もまた、素晴らしい食材と調理の妙、マネージャーのホスピタリティで完全リラックス、癒しの3時間でした。

用意されていた食材は、

*片貝産朝どりのアンコウ
*いすみ産孟宗竹
*山武産天然網取りマガモ
*房州仔猪ロース
*地場野菜
*自家製カラスミ、自家製生ハム、自家製牛乳
*手打ちタリオリーニ

柚子のジュースで乾杯。そして、看板の大フォカッチャを切り分け、湯気がもわ~。いつにもまして今日のフォカッチャはうめえぞ。そのあと、出されてものを見てびっくり。まさに、アミューズメントです。大きな車海老と大きな赤貝を串焼きにしたもの。それを、まあ。飴細工のデコのように串に刺して紫大根にぶっさし。車海老の頭をつぶして、チーズと一緒にぱりぱりにフライド。香ばしくて旨いよお。赤貝も生っぽくて、その上熱を入れて味を膨らませ。技あり!

アンコウの肝と刺身。スガハラガラスの特製お皿に乗って登場。特製の柚子胡椒でいただく朝捕りのアンコウ。身がぷりぷりでいとあはれなり。

そのアンコウのかまの部分をスパイス焼きにしたのが、次のお皿です。このスパイスが絶妙でしたね。あんこうも、骨にくっ付いている部分です。手で持ってむしゃぶりつきました。添えられていたのは、蕗の薹。春は確実にやって来てます。

引き続きアンコウ料理。アンコウの皮と内臓をソテー。その上には自家製モッツァレラ。その下には大根を鮟鱇出汁で炊いたもの。周りに鮟鱇出汁がかけられています。これをぐちゅぐちゅって混ぜて食べると、ホントこの世は天国。ちょっとピリ辛にして、味の輪郭を出しています。鮟鱇鍋が旨いはずです。出汁感が強いです。

ここで、雰囲気を一変する孟宗竹と自家製生ハム。竹の皮でカバーされてサーブされます。その皮をのけてやると、筍の濃厚な香りが一気に噴出してきます。これがまた、甘くて絶品でしたね。房総は筍がたくさん採れるんです。初物。春は確実にやってきています。

地場野菜のサラダ。野菜の種類が半端じゃないです。10種類?いえいえ、そんなもんじゃないです。トマトを専門に育てている農家からの甘いトマト。ゼブラトマト、って初めて食べました。大根だけでも3、4種類。トマトが3種類。ブロッコリーはちゃんと茹でたて。食べ進めると下からまた違う種類の野菜登場。自家菜園からの贈り物です。

ここで、変化球が。いかすみのソーセージ。なんじゃい、これ?羊腸の中に仕込まれているには烏賊と芋とイカスミ。ちょっと温かくて、めちゃめちゃうまいっす。ま、全部ワインレスでは信じられない食事です。お泊りか電車が鉄則だなあ。車だと便利なんですけどねえ。イカスミの嫌な臭いは全くせず。旨味だけが襲って来ます。

本日のパスタ。手打ちのタリオリーニ。上に乗っているのは自家製カラスミがこれでもかのうれしいたっぷり贅沢感。うまいねえ、ったく。パスタはパンと同じ小麦を使用しているとかで、もっちりがすごい。カラスミのスティックを齧りながらいただく王様喰いでした。

ここで口直しのグラニテ。ゆず味で、上から柚子をおろしてかけてます。さっぱりしたところで、じゃ~ん、ジビエ。

山武産天然網取りマガモと房州仔猪ロースのツートップ炙りで。鴨は定番の山ブドウのソースで。このばっちりとついた脂が絶品です。肉は繊維が細かく、繊維の間から肉汁が。猪はあばらのところの一番おいしい部位。これも脂の口どけがすばらしい。シンプルにあぶり焼きが一番うまいですね。熟成によって旨味を最高レベルまで引き上げ。これぞウシマルの真骨頂でありましょう。こっちはシアワセの絶頂。

そして、自家製牛乳。うまいのなんの。ここでチーズセレクションのサーブを訊かれました。おいしいのは、前回の経験で十分分かっておりますが、これはまた次回のお楽しみにとっておいて。お腹いっぱいになってますから。デザートは、自家製牛乳で作るジェラートとヨーグルト。どんだけおいしいか、まさにこれは、筆舌に尽くし難し、と。

いやあ、またまた大大満足のお料理でした。

あれま?まだありましたか。マネージャーが、“変なモノ”を運んで来ました。なんですかこれ?

え~っと驚くシナモン、桂皮ですね。木をそのまま輪切りにして温めて。シナモンの汁を作って、それを大きな苺にかけて。これも、すばらしくおいしいサプライズでした。コーヒーで興奮を鎮めて。

毎回すばらしい時間をいただいてます。マネージャーとシェフに巡り合えたシアワセ。この場所にずっといたい、と思いながらもお二人にお礼を申し述べて、下界へ降りて行きました。


(2012年9月 再訪)

オフ会に声を掛けていただきました(ぎょ)です。(G)です。

2回目のUSHIMARUさん訪問でした。初訪は1300件目の記念レビューでした。トップページで足跡をたぐると、2011年6月にレビューを上げていて採点は★5。今回店内に入ってからお店を出るまでのすべての、総合的な点数をつけるとすれば、★5++ですね。正直驚きました。お料理ももちろん★5++。初回で出会ったUSHIMARUとは全く別の顔を見せてくれたUSHIMARU。真の打矢シェフを見せていただきました。打矢ワールド、すごいです。

個々のお料理の内容については、この日ご一緒させていただいた他のレビュアーさんに報告を託したいと思います。すでに本会の会長殿が子細なレビューを上げていて、いつもながら完璧な内容で屋上屋を重ねる愚はやめておく、ということで。感想?ニアリーイコールということで。

ジブンは以下の点のみ言及したいと考えます。

1. 千葉の食材の豊かさ、バラエティの幅広さ、に、驚愕。それをシェフマジックで、更に深化させる稀有なレストラン。

 
そもそも、この牛丸のキャッチは、“あなたの知らない千葉がここにあります。”というものでした。

“オーナー宅で朝搾ったばかりの牛乳。地場の減農薬野菜、地元九十九里浜の朝取り鮮魚、千葉県が誇るトップブランド豚富里産“ダイアモンドポーク”、そして千葉で取れる天然のシカやイノシシ達・・・“ HPにあるお店の紹介です。

今回、まったくのシェフのおまかせということで、思う存分実力を発揮されたのではなかったと思います。定番の自家牛乳やチーズ、冨里産のゴールデンポークと言ったお店では聞きなれた食材を、大きく上回る種類と内容のものを用意してくださいました。食材のみを書き出してみると、どれだけ手を尽くしていただいたかよく分かります。

*九十九里産海取り天然うなぎ
*作田産岩牡蠣
*いすみ産房総地鶏
*いすみ産ジャージー仔牛モモ
*冨里産三元豚仔豚モモ
*千葉県産鹿(雄)ロース、フィレ
*横芝産山羊チーズ
*自家菜園シークワーサー
*山武産黒ゴマ、銚子産トマト、自家菜園かぼちゃ

どうでしょうか。全部千葉県産。ほとんど知らない食材です。お店が言う、ワタシタチが知らない千葉。本当にここにありました。

これだけの食材を使ってどんなコース料理を組み立てますか?どんなプレゼンテーションをしますか?料理が先にあるのではなく、あくまで先にあるのは、食べて欲しい、紹介したい千葉の食材。このことを知っただけでも、シェフやマネージャーの緻密な作戦が見えてきます。

2. 1皿1皿に渾身の勝負。

コースとして徐々に盛り上がっていくような料理の見せ方。工夫を感じます。そして、素材を生かすベストの調理法をあくまでつらぬき、手抜きやショートカットなし。おそらく、最後の1皿を厨房から送り出したあとは、シェフ、マネージャー、スタッフに大きな達成感があったのではないでしょうか。

地粉を使ったパイで包んだフリット。トマトとシークワーサーを使った冷製カッペリーニ。圧巻だった地鶏の藁焼き。黒ゴマはニョッキに。そして、肉類はスペシャリティの炭火焼。

あらためてお料理の写真を見ただけでも、どれだけのエネルギーと集中力を要したか想像できるというものです。調理人が大勢いるようなお店ではありませんから。調理中の様子を見ることはありませんでしたが、おそらく大変なことになっていたのでは思います。

3. 自家酪農園の製品が要所を締める。シェフが収穫してきた朝どり、野生のきのこの味の濃さ。

オーナーのご実家が酪農家ということで、牛乳はおろか、珍しいチーズも登場。これがコースにとても豊かなふくらみを与えてました。やっぱり自家の強みにはいかなる世界の有名ブランドもかなわないでしょう。シェフが自ら収穫してくるというきのこ。まるで作り物のような美しさと野生の持つ力強さ。こんなレストラン、どこにあるでしょう。

4. 評価

このレビューUP前で、お店の評価は★3.55。決して低い点数ではありませんが、お店の実力からすれば★4以上でしょう。東京の集票力のあるレビュアーさんが数名このお店を訪問すれば、かなり実力に近づく★になると思います。是非ご来店を。

5. お店の方へ

こんなに素晴らしい料理を、お時間を提供くださいましたマネージャー、シェフ、そしてスタッフの皆様に心からのお礼を申し上げます。寿命が10年伸びた気持ちでございます。


(ご参考:この日のメニュー)(会長のレビューをコピー貼り付け、誤変換があってもままで。)

自家菜園かぼちゃのアイス
横芝産山羊チーズと茹で落花生
作田産岩ガキと地粉のパイ包み
銚子産トマトと自家菜園シークワァーサーの冷製カッペリーニ
いすみ産房総地鶏のわら焼き(国産飼料のみ使用)
山武産黒胡麻のニョッキ
九十九里産海取り天然ウナギ炭火
地場野菜のサラダ
いすみ産ジャージー仔牛モモ
富里産三元豚仔豚モモ(2ヵ月半)
千葉県産鹿(雄)ロース・フィレ
搾りたて牛乳
ヨーグルトと牛乳アイス
ハーブティー


(2011年6月 初訪)

1300件目記念レビューは、ここUshimaru。九十九里の魚をはじめ打矢シェフの技が冴える。


物語の発端は、ある料理番組を見ているところから始まります。九十九里浜の沖合いで釣れた、釣りキンメを調理している道場六三郎の姿が映っています。とても80歳に見えないエネルギッシュな動きで、見事なキンメ棒寿司を完成させました。キンメ鯛というのは、うろこがおいしい魚なんです、と六三郎のコメントが入ります。そうなんだ。

次に紹介されたシェフも、釣りキンメの料理を作ります。彼の専門は、イタリアンですね。キンメのうろこを全部とり、うろこ“だけ”を油で揚げて、その揚げたうろこをスパゲッティに乗せてます。そんな料理って、あるんかい。そのウロコの乗ったスパゲッティを食べたい。このシェフが、後にお店でお会いした打矢さんだったのです。

映し出されたお店の名前を書き取り、PCの前に座って検索すると、あるある。県内の山武市というところにありました。早速予約しようと電話しますが、お話中。30分後、ようやく繋がりました。

予約をしたいのですが・・・。

テレビをご覧になったのですか?

電話の向こうでご婦人に訊かれました。そうでしょうね。おそらく電話が鳴りっぱなしだったのでしょう。今日の晩はお席ありますか?の欲張りな問いかけにちょっと難しいとの回答でしたので、翌週末のランチに予約を入れていただきました。

さ、どんなところなんでしょうか。聞いたことがほとんどない地名でしたが、九十九里の近くなんですね。地図ソフトでは自宅から60km。海がそんなに近くにあるなんて認識しておりません。久しぶりに海でも見てくるか。

あっという間に当日になり。この日は、Cさんの記念日だったので4人で出発しました。途中から田舎の一本道をどんどん海に向って走りますが、この道、はにわ街道と名前がつけられていて何kmごとに人の背丈ほどもありそうなはにわが、路傍に立っているのです。これが、可愛い、と言うより、案外不気味な感じがします。かわいいようにモディファイしてなくて、出土品をそのまま大きくしたみたい。忠実だけに、古代人の声が聞こえてくるようで。

最後の角を曲がってからは農道のようで、案内標識に従ってとろとろ行くと、じゃ~ん、ありました。田畑にそぐわない南欧風の瀟洒な建物が忽然と現れます。時計を見ると開店30分前。早すぎました。駐車場でどうしようか考えていると、中からスタッフの男性が出てきて、ごあいさつされます。5分前には開けられるとのことでしたので、海に行く方法を訊きました。途中に道の駅もあるって。じゃあ、大好きなお買い物と海を見て待ちましょうか。

九十九里の砂浜、どこまでも、どこまでも続いてます。ながいなあ~、っていつも同じ感想。風が強く高い波が打ち寄せています。これじゃあ、漁はなかったね、多分、とキンメ危うし。砂浜を離れてレストランに戻る途中に、道の駅オライはすぬまがありました。あじ丼、食いて~、ってだめに決まってます。あと5分でランチですよ。ソフトクリーム、だめだめ。結局、生のヤングコーンを買って、建物の写真を撮って。ヤングコーン、うまかったけど、食べログに載せられないもんね。

お店に戻ると車が何台かとまってました。開店時間ちょうど、でした。お店の中に入ると、先客が4組で、それぞれメニューを見ていましたね。天井を高く取った店内はオープンキッチン仕様で、その前にはカウンター席があります。そしてその後方にテーブルが並べられ、入り口からは奥のほうのテーブルに案内されました。その奥には個室もありますね。スタッフが忙しそうに準備してます。テレビで拝見した打矢シェフの姿もありました。さあ、始まります。

休日のランチですから、コースだとpranzo Aが2300円。前菜3皿、本日のパスタ、フォカッチャ、デザート、そして最後の一杯。pranzo Bになると、3500円でAに本日のchefの一皿と呼んでいる魚か肉のメインが加わります。pranzo Cはすべておまかせで6000円。あわよくば、釣りキンメを狙ってますので、Bのメインは今日は何なのか、これはお訊きするしかありません。と思ったら、メニュー別紙に出てました。

ダイヤモンドポーク(富里産純血ヨークシャー豚)
千葉袖ヶ浦産黒毛和牛(+1000円)
千葉県香取産F1フィレ(+1000円)
いすみ産房総地鶏の炭火焼
千葉県産イノシシの炭火焼
房総鹿ハンバーグ
横芝産山羊炭火焼
ホウボウのアクアパッツァ

魚はほうぼう、でした。キンメ漁は時化でなかったとのことです。次回の楽しみができました。それと、このお店、ジビエでも有名なんですね。どの材料も千葉県産です。肉も野菜も魚も。このために、この不便な土地に引っ越してきたイタリアンシェフ、たしかテレビではそのような紹介がありました。どのメイン料理もおいしそうなので、結局4人ともBにして、メインを別々にオーダーすることにしました。ジビエは4人全員が食べたいというわけではない、という理由で却下され、決まったのは、2人前ずつゴールデンポークとアクアパッツァ。パスタも2人前ずつ、

銚子産フルーツトマトのケッカソース
自家製ベーコンのカルボナーラ

最初に運ばれてきたのが、前菜の片貝漁港産スズキのカルパッチョ。片貝漁港はお店から近い九十九里海岸にあります。シェフはここから魚を仕入れ千産の材料にするわけです。このカルパッチョ、見た目も爽やかだし、さっぱりとうまいスズキでした。スズキの旬は夏とされてますが、この時期のもおいしい。

次の前菜が、春子と自家ごぼうのプリン。春子は、この時期の鯛の子供。稚鯛です。ごぼうのプリン食べたことありますか?とっても微妙です。お酒があればずっとおいしくなるかもしれません。3品目は、Ushimaru畑と地場農家の野菜サラダ。これはとってもおいしくて、野菜のクオリティの高さをしみじみ感じました。千産千消を標榜するUshimaruの面目躍如ですね。季節の珠玉、こごみもありました。ドレッシングもうまい。なんだか、楽しいですね。ここが、シティーのレストランとの違いでしょうか。

ここで、じゃ~ん、でっかいフォカッチャ登場。大きく焼いておいて、各テーブルを廻りながらカットしてサーブするイベントとしてこのフォカッチャを使ってました。うまいです。焼き上がり。出来たてです。このフォカッチャを食べているとメインがやってきました。まず食べたのは、ホウボウのアクアパッツァ。キンメがなかったのは残念ですが、この上品な味はなかなか他では味わえない貴重なものでした。角ばったこの魚がこんな奥深い味をたたえているとは、驚きでした。やはり味付けが決めてでしょう。

オープンキッチンの前の方に火鉢があって、いろいろ炙ってました。次に食べたゴールデンポークは、その火鉢で炙られての登場です。これが、この日一番のおいしさでしたね。調理法もよかったし、このポークは名前負けしてませんね。実に旨み成分が多い豚肉でした。

このあと、まっくろに焦げた皮ごとの筍が出てきました。これが甘くておいしい。皮は自分で剥くんです。

パスタはさすがのイタリアンシェフ。完璧ですね。ケッカソースはフレッシュトマトを贅沢に使い、まんまのトマトとチーズの相性、悪いわけないですよね。カルボナーラのベーコンも食べさせてあげたい、あなたに。

いやあ、もうおなか一杯です。ですが、ドルチェは別バラで。スプーンに乗った栗クリームがうまい。コーヒーを含め、ドルチェまで完璧なお料理でした。お食事の後、忙しくててきぱき調理していた打矢シェフにひとことお礼を申し述べて、この物語の終末としました。すっかり堪能させていただきました。ディナーのお任せが7000円という価格。おいしいワインをたっぷりいただいて、シェフのお任せ料理をいただき、そのままレストランに泊まりたいのですが。どうでしょうか、ご検討ください、打矢シェフ。

  • 山武産天然網取りマガモと房州仔猪ロース
  • 地場野菜のサラダ
  • アンコウのスパイス焼き

もっと見る

5位

ダッタン蕎麦 寿庵 (片岡 / そば)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2011/03訪問 2011/04/01

レストランレビューの1200回目記念レビューに選ばれたのは、栃木県矢板市にある、韃靼蕎麦寿庵。

レビューをこつこつと書き続けてとうとう1200回目を迎えました。100回ごとの記念レビューには、今までもずっと特別な思いを込めて、特別なお店を取り上げてきました。そしてこの1200回目の前後は栃木県に滞在中でしたので、滞在する中で最も感銘を受けたお店を選ぶことにしました。お店の名前は、韃靼蕎麦処寿庵。栃木県矢板市のはずれにあります。

韃靼蕎麦って、よく耳にしますが、一体どんな蕎麦なのか今回はちゃんと調べました。体にいい、とか言われてますが、蕎麦なのか蕎麦じゃないのか。体にいいと聞きますが、どういう風に?とか。体にはいいけど、おいしくないとか。調べると、韃靼蕎麦って結構いいやつみたいなんです。

世界中で栽培されているソバは普通種と韃靼種の二種類あるそうです。普通種って普段食べている蕎麦でして。一方、韃靼種は特有の苦味を持っているそうで苦ソバとも呼ばれているんですって。中国南西部の雲南省、四川省、チベット、ネパールなどの2000m以上の山岳地帯で多く栽培されているそうですよ。韃靼蕎麦の韃靼とは、中国で8世紀の頃に現れたロシアのウラル山脈西方タタール地区のモンゴル人の一部部族名韃靼人から来ているそうです。その韃靼部族の間で栄養源として生産されていたのが、この韃靼蕎麦だった、と

よく血液がサラサラになると言われている栄養価の高いおそばです。韃靼蕎麦を常食している韃靼人達は昔から病気が非常に少なく不老長寿だそうですが、その秘密がこの韃靼蕎麦だそうですよ。韃靼蕎麦の苦味成分は、ケルセチンと言う成分の苦味でケルセチンは血液をサラサラにする作用・免疫力強化作用があるそうです。日本蕎麦の約100倍近くもあるルチンと言う成分は幻のビタミンPと呼ばれ、毛細血管強化・修復作用があるそうです。すっげえ。100倍ですか。

ここまでは、レビューの前振りですが、お店に行く前に調べたのでお店にいつ行けるのかじっとチャンスを窺っていました。そして、その日がやってきます。

宇都宮を出発して国道4号線を北上します。さくら市の氏家を通過して4号のバイパスに入ります。この辺は市街地から離れた郊外で丘陵地帯を切り開いて最近バイパスを作ったようです。したがって、ロードサイドにはお店は1軒もありません。こんなところに韃靼蕎麦屋さんがあるのかなあ。ようやく菜美はバイパスを右折してその先を左折するように運転の指示を出してきました。いつもながらの、スマシタ声に、もっと感情が入らんかね。

指示通りに進むともうそこは完全にカントリーの世界です。あと300mで目的地付近です、とまたしても曖昧な表現を繰り返します。目的地“付近”に到着しました。これで案内を終了します、って勝手に終了し。カントリーロードですから家もまばらなので、間違いようもなく、すぐに寿庵の看板を見つけました。菜美の顔が見えたら、ほ~らあったでしょう、って自慢そうな顔してるんだろうな、と思いながら店の前の空き地っぽい駐車場に車を入れます。

韃靼蕎麦寿庵と歌舞伎文字で書かれた看板があります。お店は平屋の一軒家。かわいいサイズの家です。塀と看板を兼ねたところには、そば専門店ダッタンそば寿庵(じゅあん)と書かれてました。駐車場の前は藤棚があってその下にテーブルと椅子が置いてあり、テラス席ですね。開店時間より7,8分到着しましたので古木の看板は準備中と書かれた面が見えています。

入り口に向かい、ちょっと店内を覗きました。奥様でしょうか。開店の準備をしていましたが中に入ってお待ちくださいと言われます。ありがたい。いやあこんな素敵な空間だったのですか。お店の中には、草木染の作品や凝った器類が並べられ、ちょっと民芸調な趣です。奥にある丸テーブルが感じよかったので、そこに腰掛けます。この和風にしつらえたお店って何故か落ち着くんですよね。いつか訪問したことがあるようなデジャヴ感。

壁にはメニューや効能なんかが書かれています。たんぽぽコーヒーがありました。前から一度飲んでみたかったのです。小倉アイスのガレットなんかも食べたいし。鳥インフルの関係で鴨の入手が困難ですとあります。これは残念ですね。韃靼蕎麦は北海道産のようです。メニューに書かれてました。いいメニューがありました。韃靼蕎麦を使ったいろんなお料理が食べてみたいと思ってましたので、まさにピッタリのメニューがありました。

薬膳ダッタン ミニコース(2650円)。写真が載ってました。説明はありませんでしたが、どれもおいしそうです。奥様にオーダーを入れます。このあと3組のお客さんが入ってきました。ダッタン蕎麦って、どんなのですか?グループで必ず出る質問です。皆さん、初めての来店のようです。ダッタン蕎麦のこと、このアタシに訊いてよ。奥様の答えは、薬膳がちょっと強いお蕎麦ですよ。

座ったテーブルの横に草木染の作品が展示されてました。告知をみると、春彩展と称して小口慶子さんという作家の草木染、織の作品展を3月一杯やっているとのことです。どの作品もすばらしい色合いですね。お店を出るときに入り口を振り返りましたら、この草木染ののれんが出ていました。草木染の色って素晴らしいです。鮮やかな色もあるし、落ち着いた中間色もあるし。暖簾を1枚欲しくなりましたが、値段を見てあきらめます。でも、値段相応の素晴らしさですし、もしかしたらうんと安いのかもしれません。

片岡鶴太郎さんも訪問されているようですね。はがきが飾ってありましたし、ご夫妻と1枚の写真に納まってました。そうこうしているうちに、サラダそばが配膳されました。

まずもってその華やかさに感心してしまいます。レタス、トマト、オニオンスライス、貝割れだいこん、それと葉肉の厚い葉。奥様に名前をおききして、またすっかり忘れてます。瑞々しくておいしい葉です。初めて食べました。ドレッシングもさっぱりしてとてもおいしい。

このサラダの下に韃靼蕎麦が隠れてました。ドレッシングいただく蕎麦っておいしいですね。ドレッシングがおいしいから、もあるんでしょうが。蕎麦は細切りの江戸前。歯応えも十分で、うまい。蕎麦の風味なんかはドレッシングにオーバーラップされて弱められていましたが、うまい蕎麦であることは十分分かりました。

このサラダそばが乗せられていた皿も含めて、お店で使っている器がとても素敵なんです。おききしたところ、宇都宮在住の作家さんの作品だそうで、こちらの器も定期的な展示を店内でやるそうです。器の方も欲しくなっちゃいました。

サラダ蕎麦が終わって、今度はつけ汁のようなものが出てきました。これは、鴨汁の中に韃靼蕎麦の蕎麦搔きが入っているものでした。最初それが分からずに、せいろそばと鴨汁で食べるのかと思ってせいろそばを待っていました。来ないので、汁を飲んでまっていようか。コースには、少ししか入手できなかった鴨を使ってくれるようです。鴨肉の脂で汁が濃厚になっていて、こいつはうまい。鴨も柔らかく調理が上手に決まってます。その中に、蕎麦掻きが入っているのを見つけ、そういう仕組みだったのだなって。

もともと蕎麦掻きは大好きですが、こういう食べ方は初めてです。もともと蕎麦は現在のように細い麺状ではなく蕎麦掻きを食べていたということですので、元祖蕎麦の食べ方と言えるでしょう。ほどよい噛み応えが充実した気分にさせられ、鴨のつゆと相まって極上のお料理に昇華しています。このお料理だけをランチとして食べるにはちょっと物足りない感じですが、コースに入ってくると俄然存在感を現すお料理と言えるでしょう。

さ、どんどん出てきますよ。次に出てきたお料理もまた素敵なお皿に乗ってます。天麩羅です。大きな海老、ふきのとう、そして蕎麦掻きの天麩羅です。ぷりぷりの大海老はせいろそばで食べたいと思いました。何しろでかい。添えられた香辛料は、岩塩、抹茶塩とカレーパウダー。どちらも十分機能してます。ふきのとうも自然の息吹を感じてすばらしいアクセント。またまた初めて食べる蕎麦掻きの天麩羅です。鴨汁に入っているものより入熱量が少ないのか、ややかための食感でうまい。こちらの方がいつも食べている蕎麦掻きに近い感じです。

そして、メインの最後はおろし蕎麦でした。これが一番普段の蕎麦らしい食べ方です。鉢の美しさに目を奪われます。このお店では、今日お料理が乗っていた器を作った作家の作品が買えます。家庭で使いたい器が目白押しです。さて、おろし蕎麦ですが、細身の手打ち韃靼蕎麦につゆを少しかけ、大根おろし、わさび、刻みネギとかいわれが乗せられています。

いやあ、うまい。もう相当おなかが一杯になってますが、この蕎麦のうまさはそんなの関係ないですね。すすっと入っていきます。ご主人が厨房から出てこられ、よろしかったらお代わりしてください。いやあ、お代わりできますが、おいしいところでやめておきましょう。鄭重にお断りしましたよ。だって、デザートも来ますから。

さ、ファイナルのデザートです。蕎麦まんじゅうとたんぽぽコーヒー。たんぽぽコーヒーは薬膳効果があるということですが、飲んでもおいしいものなんですね。コーヒーに近くはない感じですが、独特の風味がいい。まんじゅうはもう一つ食べたくなるようなうまさでした。餡がおいしい。

というのが、この寿庵でいただいたすべてです。お料理のこと、器のこと、空気感、接客、インテリアのこと全部お伝えしたくなる素敵なお店です。機会があったらまたここに戻ってきたいと思いました。

  • サラダ韃靼蕎麦
  • 鴨汁韃靼蕎麦搔き
  • 天麩羅韃靼蕎麦搔き

もっと見る

6位

自家製麺 伊藤 (角館 / ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2011/01訪問 2011/01/22

厳冬の角館に手打ち伊藤を訪ねる。深い雪に包まれた角館に突如現れたラーメン桃源郷も23年目を迎えた。

秋田に来ています。大雪です。

ということで、秋田市に入る前に角館で途中下車。現在公開中の2軒の武家屋敷を見て、武家屋敷内でスイーツを食べ、伊藤でラーメンを食べる。この日の午前中の計画です。我孫子を6時に出発して角館に着いたのが午前10時。この雪の中で10分しか遅れなかったのはありがたいことです。途中の田沢湖当たりからは人の身長ほどもある積雪を見て、徐々に気分が盛り上がっていきます。今年は昨年夏の猛暑の反動でしょうか。島根から始まった猛烈な雪は未だ衰えを知りません。

角館駅で降ります。同じ列車に乗っていた観光客らしき人は10人前後。空気は冷たく、細かな雪が降っています。一面の雪景色。ええど、ええど。事前に電話をしておいた駅前にある観光協会の建屋に寄って、観光のポイントを伝授してもらいます。武家屋敷には歩いて行けるのか、途中でタクシーを呼んでもらえるのか、手打ち伊藤は今日営業するのか。まあ、どんなわがままなこともこの観光協会の二人の女性は何でもかなえてくれますね。プロだと思いました。

伊藤さんに電話をしてくれて、今日は11時15分前後にお店を開けることを教えてもらいました。武家屋敷を堪能し、タクシーで伊藤に着いたのが12時20分。あれほどどかどか降っていた雪も小雪に変わり、風情ある景色の中に写真で見慣れた手打ち伊藤がありました。おそるおそる雪道を進みお店の入り口の戸を開けます。お店には看板も何の目印もありませんが、店の外に流れてくる煮干の匂いが何よりの印です。

この空間ですね。来たかった。入り口から見て右手にストーブが置かれていて、左手にカウンター席があります。2人の男が黙々とラーメンをすすっていました。ほほう、超大盛りですね。スープがなくなって油そば状態になってます。気配を察したのか、曇ガラス戸を開けて、店主の伊藤さんが店に出て来ました。

挨拶をして注文をすると食券を買うように指示されます。ストーブに気に取られていて券売機の横を通ってきたのに気がつきませんでした。Bさんは、そば(500円)、自分は肉そば(650円)。食券を店主に渡します。どこから来たの?千葉からです。東北人のステレオタイプ、職人のステレオタイプを感じる寡黙そうな印象の店主が話しかけて来ました。これが伏線となり、その後会話させていただきました。

店主はガラス戸の向こうの厨房に消えて調理を開始したようです。調理中の姿は誰にも見せません。ガラス戸がちょっとでも開いていると丁寧に閉めなおすくらいです。隣の男どもも完食して店を出て行きました。店内にはBさんと自分の二人だけ。角館の観光用ポスター以外に装飾のない店内で光るものは、化学調味料無添加、と素朴な手書きで書かれた張り紙だけ。う~~ん、ラーメン道場かラーメン修行場に来たような錯覚に。ガラス戸を開けて店主がラーメンを持ってきたのは、厨房に消えてから5分後でした。

これかあ。食べたい、と思ってから既に数年。ずっと思い続けてきたラーメンです。透明な醤油スープは醤油色が薄くてうまさのオーラを感じます。どんぶりに鼻を近づけるとさすがに煮干の匂いが立ち上がってきますが、決して誇張した使い方をしているわけではないことに気がつきます。出汁をとるひとつの材料としての煮干、そんな感じです。ざっくり切ったねぎの匂いの方がむしろ新鮮です。裏で切ったばかりなんでしょうか。

麺は思ったよりも太くて断面丸のストレート麺。麺がどんぶりの中で踊ってます。これは、鶯谷の遊で最初に麺を見たときの印象と同じです。チャーシューは、薄くスライスされた小型のロース肉が4枚ほど。スープの中には煮込まれたタマネギの小片が多数。

さ、見て惚れ込んでばかりいないで、食べましょう。ずっしりと重いどんぶりを持ち上げてスープをいただきます。ふ~~う、うめ~。魚だしのスープのお手本という感じで、でしゃばらずひっこまずの魚の味、魚のエキスの抽出は日本有数の名手であることは誰も認めるところでしょう。塩分もちょうどいい。鶏出汁がコクを与え、魚が風味を出す、そんな図式通りのラーメンですね。欲張りにスープを大盛りにすることなく、与えられた分量でいかに楽しむかを考えた方が楽しい。本当にうまいねえ。当然飲み干しました。脂分はほとんど感じません。

麺の食感はぼっきぼっきでさくさく。茹ではかためで、麺の特質を十分出しています。これ以上茹ではだめ。以下もだめ。小麦の風味を感じるできばえのいい麺で、このスープにはこの麺以外考えられない、と思うほど相性の良さを感じます。うまい麺です。大盛りにしたくなる気持ち、分かります。100円で買える追加の幸せ。

甥っこさんにラーメンの作り方教えたんですか?

そうだよ。赤羽にいったことあるの?

赤羽はまだ行ってませんが、鶯谷には何回か行きました。

あそことは、麺が違うだろ。

その通りで、太さは全く違いますが、麺の性質や麺の種類でいったら同じだと思いました。強靭な針金のようなスプリング感がある麺で、口の中で踊りだす強い麺です。それがいい風味といい味をしているんですから、どれだけうまいことか。

肉は小型のロース。当然うまいチャーシューでしたが、ない方が良かったかな。なにしろスープと麺が断然うまいので、チャーシューに頼る必要はなし。バランスからも食べるリズムからも、次回はなしでいこう。葱はしびれるうまさ。

ひとつのドラマが終わったあとのむなしさはなく、満足感だけがいつまでも残りました。またこの空間に戻ってくることでしょう。そう思いながら新幹線に乗り込むためにお店をあとにしました。

  • 肉そば
  • そば
  • (説明なし)

もっと見る

7位

中華蕎麦 とみ田 (松戸 / ラーメン、つけ麺)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2010/12訪問 2010/12/31

2時間の行列の先で待っていたつけ麺。山岸神様の世紀の大発明を進化させたのは、笑顔の孫弟子だった。

(2010年12月 再訪)
今年最後のとみ田です。

この日は、久しぶりにつくばにある喜乃壷に行って来ました。最近何度か昼飯時にお店の前を通ったのですが、車が1,2台置けそうな感じでそろそろ落ち着いてきたのかな、的な空気感が漂っていまして。

いやあ、うまかった。煮干、塩、細めんでいきましたけど、死ぬほどうまい。大感激してお店を出ました。ここからの自分の行動が理解できません。なんと、松戸の中華蕎麦とみ田に向かって車を走らせます。喜乃壷の麺量はたっぷりあって、しかもスープの最後の1滴までいただき、満腹の満腹なのに、どうして?とみ田?。。。。。。食べたいから。

行き先が松戸駅であることを菜美に伝えます。あかん、終了時間に間に合わない。そこでトライアンドエラー。帰りも便利なように、車で我孫子駅まで行き、駅前の駐車場に車を置いて電車で松戸に行けば余裕であることが分かりました。喜乃壷からとみ田か。まあ、一燈、トニー、トミーには負けるけど、自分の年齢ではええほうやろ。まだ現役やさかい。

とみ田に着いたのが余裕の14時35分。ちょっと早すぎるわ。外待ちを数えてみたら23人か。この日はめっちゃ寒くてそれが幸いしたな。15分後には、長椅子に昇格。それから10分後には、座布団付き椅子に昇格、とスピード出世で店内に入ったのが到着して38分。ええやんか。この日は、ちょっと少なめで、つけそば+半熟玉子(900円)で。300gも要らないので、麺少なめにしてもらい、代わりにチャーシューを1枚プラスしてもらいました。

店内へ。調理場のだぼシャツ姿のトミーにご挨拶。案内されたのは、前回に引き続き元テーブルがあったところで、道をみるサイド。またトミーの調理が見えんがな。

およそ5分で配膳。これや。多分、今年最後のとみ田やね。星の入った全粒粉の麺はエッジが立ちまくり、眉目秀麗や。2本つまんで、いただきます。まあ、うみゃあことうみゃあこと。これ、蕎麦つゆでもいけますね。久しぶりですが、また、うまくなったようです。どうしてこんな麺が作れるのか?不思議です。他の店はどうしてまずく作れるのか。

硬い食感を残し、しめ、水切りともにパーフェクト。いつもながら、天才の仕事に凄さを感じます。少し麺を楽しんだあと、いよいよつけ汁。れんげですくい、いただきます。なんじゃいこれは、って思うテンションの高いうまみ。またまたこいつも進化しちょる。豚骨の濃度が一段と上がったンちゃう?魚節のインパクトも、世の中これだけ豚骨魚介が蔓延して猫も杓子もメニューにしてる時代に、全く次元の違う豚骨魚介のインパクトを追求している巨人。うまいまずいのチンケなレベルじゃないね。うますぎる。

麺を浸して食べると、小麦も魚介も一気に一段高みの風味が引き出されてきましたね。まったく、凄みまででてきたつけそばを、一気呵成にいただきました。チャーシュー、半熟玉子、なんのコメントも出来ないパーフェクトな仕上がりでした。割りスープもこれだけで400円取れるね。ありがとう、トミー。


(2010年9月再訪)
通算4回目のとみ田です。ようやく時間のやり繰りがついて、とみ田に行くことが出来ました。

なまじ、つくばの活龍に行ってつけ麺を食べたことから、麺休前の総決算、つけ麺の口直しにとみ田に行かないわけにはいかなくなっちゃいました。また、折りしも浜松町の大つけ博でとみ田の出番が近づいていて、つけ博出店期間中は当然臨時休業ですから。もうこの日しかない、という日に何時間でも行列待ち覚悟で行ってきました。食べられればいい。

事情から車で行かざるを得ないことになりまして、それじゃあヨーカドーの立駐がいいでしょう。とみ田の斜め後ろ30mにあって、3000円のお買い物で2時間まで無料。ビールをまとめて買えばいいので、助かります。首尾よく立駐に置けて、すっと行列の最後尾に並びます。

ざっと待ちは20人。この程度なら1時間位経てば、あの神聖なとみ田の店内に入れるはずです。待ちはほとんどが学生風、ときどきラヲタさん風。ら~のことを1時間しゃべりっぱなしのラヲタさん風には、こちらにはもうすっかり消え去った情熱と言うものを感じます。全く周囲が見えなくなるほどのあっぱっぱ~のしゃべりが、うらやましい。途中で若い店員から食券を買うようコールがあり。かねてから決めていた、特製つけそば(950円)の麺少な目、おまけが味玉でお願いしました。

さあ、徐々に列が短くなって、いよいよ入店です。列にジョインしてから55分後でした。いつもの店員Aが店内の先導役で、あれええ、そっち?テーブル席を取り除いて作った窓側のカウンター席の最左翼へ。つまり、製麺所の隣。やむなく座ったが、そうそう、店主にご挨拶やと思って振り向いたら、にこっと笑顔でこっちを向いた富田店長がいたわ。入店のときこちらに挨拶しようと待ち受けていたのかもね。相変わらずの気配りの店主に心がなごみます。

またしばらく来れないので、店主の芸術的な所作をこの瞳にしっかり焼き付けようと思っていたのにいい。ま、仕方ないね。それから4分ほどで配膳となりました。さ、ここからは、目の前のつけそばと自分だけがこの世に存在する時間の始まり。

すごいオーラやね。どうよ、この麺とつけ汁の存在感は。麺は角断面の太麺でつやつやしていて、凝視すると星が入っているのが見えます。これが風味をよくしているんですね。全粒粉を使いこなしてつけ麺の最高峰に挑戦する意欲。それ以前も日本一、麺を改良しても日本一。麺をつかんでそのまま食べてみます。このこしが強靭でそのうえでもっちりとした食感を出す。ここがすごい。時間前には弟子がふたりで粉だらけになって製麺しているのを目撃しますが、そこからすでに勝負が始まっていて。

仕上げは店主による茹であげと〆。どれかの段階かがだめなら当然このクオリティは生まれない。真剣勝負そのものを毎日連続して継続し、営業時間も緊張の糸を張り詰めたまま。富田店主の哲学そのものの気がします。

大つけ博で、オーバーボイルした麺のレビがありましたが、そんなあふぉなことはとみ田の名前にかけて絶対しない、できないから、店主以下全員でイベントに参加する。すべてやることに筋が通っていて、そんじょのぽっと出とは格段の差を感じます。

麺のクオリティを確認して、安心したところでつけ汁。箸でかき回しましたが、このつけ汁の粘度は他のとみ田ライクのお店のつけ汁と全然違いますね。全くの別物。箸でかき混ぜてふと表面を見ると、もう既に表面に膜が張っています。すかさずに麺をつかんで、さっと汁をつけて、わっせわっせ。うま~~。

濃厚な味に強靭な麺が受けて立つ。魚が先行して、ここまでやるかの濃厚な豚鶏のコク味がフォローしていく唯一無二のドロドロ汁のうまさよ。山岸翁の世紀の大発明である酸味を入れる、手法を極限まで追求してこういうふうに酸味を使うというお手本のような汁。う~ん、記憶にあるとみ田のつけ麺よりずっとうまい。汁はもちろん熱々。その熱で麺が息をふきかえすのがまた興味深い。ゆずの爽やかさ。ゆずの風が味蕾と鼻腔をくすぐる。まったくこの店だけが、雲の上に一軒あるような実力の違いを感じました。

バラ巻きチャーシューと味玉のうまさ。もう教えたくない、ってほどうまい。チャーシューをどのような味の設計にするのか。この汁とこの麺の世界で存在価値のあるチャーシューはどうあるべきか。そのような疑問に対して、このチャーシュー以外の答えを思いつきません。味玉のうまさよ。熱々です。おまけのハーフ味玉とは全く別物。せめて味玉はトッピングしたほうがいいですよ。そんじょの味玉と同じ値段とは思えない感激が待ってます。

う~んう~んうなりながら、一気にいただきました。麺が少なかった?それも事実ですが、その分大切に気持ちを込めて、一箸ごとに愛情をもっていただきました。いとおしみながら、いただきました。麺少なめ、これでいい。あっけなく自分たちだけの世界は終焉を向かえ、あっさり割りスープで一幕のドラマが終わりました。

ったく、富田店主って男は。席を立って振り向くとまた店主の笑顔がありました。ごちそうさまでした、断然うまいなあ。声を掛けて店から出て行きました。


(2009年12月再訪)

開店時間定刻の11時になりました。店内から出てきた店員さんから、大変お待たせいたしました。さあどうぞ、の声が掛かります。

2時間座っていた椅子から1つ背伸びをして立ち上がり、店内に向かいます。待ち行列の先頭でしたから、当然入場の列の先頭に立って、店内へ行進を開始します。さあ、ここから特別な場所、特別な空間に入って行きます。今から、壮大なギャラクシーオペラの第二幕が始まります。興奮を押させ切れません。

厨房にはすでに調理を開始している富田店主トミーがいてちょうどおたまでスープをどんぶりに移しているところです。それでも、きっちりこちらを見て笑みの交換を。できた天才です。一番奥のカウンター席に座り、長い時間待っていて乾いた喉に冷たいお水を供給してあげます。注文はすでに券売機で食券を渡した段階で言ってありますので、それをもとに調理が始まっているわけです。厨房にはトミーとベテランの補佐のふたり。フロアは愛嬌のあるひげが出てきて面倒を見てくれます。

この日は、今年最後の行列に並ぼうと決めてました。だんだん日程がなくなってくるし、寒さも厳しくなるんで2時間の行列ができるのはこの日が最後だな、と。ところが起きてみると、ものすごく寒い日で風も冷たく、試練という言葉がうかんだくらいです。いっぱい重ね着をしてお店に到着したのが09時丁度。一番端の椅子に腰掛けて読書開始。2番手は15分後に接続してきました。

店内ではもうスケジュール通りの麺製作。フードをかぶった2人の若手が製麺機と格闘しながら桜ROZEOのお客さんのために奮闘してます。やがて予定の分量がすべて完成され、麺箱に詰められた自家製麺が軽トラックいっぱいになって出発していきました。

10時半。スケジュール通り、食券買ってくださいのコールがかかりました。店内に入ってもう決めていた特製つけそば(950円)の食券を購入。券売機の横に立っている店員さんに渡します。

麺量を250gにしてください。(デフォルトで300gあり、減量中なので少し少なめをお願いしました。)

麺少な目でだいたい250gぐらいになりますが、それでいいですか。

いいです。そうしてください。

そのときは、トッピングののりかめんまが増量になりますが。

それでは、めんまでお願いします。

そんなやりとりがあったので、店内に入ればもう席に座ってつけそばの出来上がりをひたすら待っているだけです。前回も同じ席。席の目の前には、山岸神様が天才トミーのご子息をひざの上にのせている写真が飾られています。写真のなかで、神様も天才ジュニアも心から笑っているいいショットです。

お店の中にはクリスマスソングが流れてますね。うきうきの2乗になりました。

お待たせいたしました。背中から声が聞こえたので、あわてて体をずらしてこの日の主役をカウンターの上に置いてもらいました。

これだあ。やっと食べれる2009年年末のつけそば。8ヶ月ぶりになります。明らかに違うのは麺とめんま。これ増量の分です、と別皿に入っためんまが枕木から一般形に変わってました。麺は聞いていた通りの全粒粉を使った自家製麺で色がちがいますし、反射する光も違いますし、全粒ですから星もはいってます。でも見るからにうまそう。最近うまい麺を立て続けに食べて、うまいうまいと言ってますが、更に上を行くような風貌にまた一段とテンションがあがります。

麺の上のは分厚いバラ巻きチャーシューを乗せ、これも食いつきたくなるルックスです。一方つけ汁のほうは、見るからに粘度の高そうな汁の上に、のり、刻みネギ、なるとが乗ってます。味玉とめんまは沈んでました。

2時間並ぶだけでこれを食べることができる仕合せ。トミーが心をこめて作ってくれた一杯。

麺を2,3本つかんで試食してみましたが、こんな麺は初めてです。全粒粉でどうしてこんなコシのある麺が作れるのか。硬いくらいのコシでありながら、口の中で反発する弾力も兼ね備えている。そして、全粒にしたことで、麺の風味が強烈に伝わってきます。穀物が太陽から受けたちょっと枯れ草のような匂いがします。すごいなあ。今まで食べてきた全粒粉のラーメンは、風味を第一義にしているのだから食感はしょうがないな、と思っていましたが、天才にかかると、食感も風味もどちらも非の打ち所がない麺に仕上げてしまうのですね。

その麺をつけ汁に漬けてみると、麺が肩の力が抜けたようにすっと弾力が増して、歯の噛み応えもさっと変わっていくのが分かります。こっちのほうが麺のうまみをより強く感じます。温度なのかなあ。ここまで変わるとは思っていませんでしたので、おどろきました。そして、変わったことで麺の魅力がぐんと増します。この変化を読んで麺を作っているんでしょう。逆算をして製麺の諸元を決める。トミーは絶対そうしているはずです。出来成りじゃあない。計算して作る。

つけ汁のこの味はどうだ、と思うくらいもう完成された特濃トンコツ魚介です。この日も食べていてあまりのうまさに鳥肌が立ちました。バランスがどうだとかそんなレベルのつけ汁じゃあないですね。まさにゴッドハンドから創造された芸術品。この才能をラーメンの世界で生かすのがもったいない。イタリアンとかフレンチならもっと幅広く評価する機関やシステムがあるし、世界のグルメ富豪が自家用ジェット機で食べに来る料理も脱ラーメンとなれば、可能なんじゃないか。そんな才能の片鱗が見えるつけ麺です。びっくりしました。

計算と感性と努力、だと思いますが、ちょっとトミーは抜きに出ているどころか、断然他とは次元を超えた料理人だと思います。それが、チャーシューや味玉にもちゃんと気を抜かずに完成品の中のパーツとしてどうなんだ、取り出しての単体パーツとしてはどうなんだ。料理の全体を俯瞰視野でサーベイできるんだと思います。ご本人は、他の料理人と同じことをしていると思っているんでしょうが、実は全然違う世界で料理しているんです。

一杯のつけそばを食べながら、いろいろ考えていました。もしあなたが今年未だとみ田のつけそばを食べていないなら、どんな苦労をしても松戸に食べに行くべきだと思います。ここのつけそばは、いままでの自分の過去のつけ麺の概念が全部こわれて新しく生まれ変わる、と断言いたします。


(2009年4月初稿)
http://u.tabelog.com/000088607/r/rvwdtl/950962/

  • つけそば+半熟玉子
  • (説明なし)
  • 2010年9月の特製つけそば

もっと見る

8位

トラットリア エ ピッツェリア アミーチ (つくば、研究学園 / イタリアン、ピザ、パスタ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 ¥1,000~¥1,999

2012/06訪問 2012/06/26

これが本当のナポリピザの味。ピザ土手とピザ台は軽く、チーズの溶け具合、味加減も最高。パスタもお見事。

(2012年6月 再訪)

ツイートしようかな、って開くとあれま、アミーチさんからフォローが入っていました。そろそろアミーチのピザが恋しくなって食べに行こうかな、と思っておりましたのでまさにグッドタイミングぅではありましたが。フォローをよく見ると、かなやさんのアドが入ってます。ははん、仕掛けてくれたのはかなやさんですね、多分。

ココロの熱い人です。ずっと昼夜を分かたずボランティアに奔走していて、お体が心配です。多分、を確定、に変えるためフィッシングしてみようかな、と思いツイートします。

明日行きたいんたけど、明日って休みじゃないよね、ツイート。

すぐにつぶやきが戻ってきます。年中無休ですよ、お楽しみください。大物が釣れました。

で、翌日アミーチを訪問。エントランスに、告知がありました。

統括ピッツァイオーロ 鈴川高充 日本代表にて出場 ナポリピッツァ世界オリンピック

日本大会で優勝したのですね。おめでとうございます。一緒にナポリまで応援に行っちゃおうかな。

ホールの奥の席に案内されます。案内してくれたスタッフも実に感じのいい若者で、いつ来てもどのスタッフからも同じようなフレンドリーな対応を受けます。味も特級ですが、サービスも特級のお店ですね。

お楽しみのメニュー。まじっすか。今日は3種類の本日のピザの中に、白いピザが含まれてます。食べたかったんだ~。

ルスティカ(ベーコン、リコッタチーズ、ほうれんそう)*トマトソースなし

これですよ。今日も、Aセットで。(前菜、ピザ、飲み物)(1365円)

元気のいいスタッフに、ツイッターあけたらアミーチさんからフォローされててびっくりしました。仕掛け人はかなやさんしかおりませんものねえ。と、話すと、ええ、宣伝本部長さんみたいな方ですからね、と。

前菜。きれいですね。趣向を凝らした小品が並びます。お客さんが次々に押し寄せて来ます。あっという間に満席になりました。スタッフの方も気を遣ってくれて、いろいろ話しかけてくれます。アミーチ、とはいいネーミングですね。名は体を表す。

さ、いよいよピザの登場です。

カットいたしますか?お店では目の前でカットしてくれるんです。

カットされたピザをしげしげと観察。いい焼きしてますねえ。ベーコンとほうれん草がいい具合に散りばめられ、リコッタチーズがたっぷり。

ワンピースをつかんで、いただきます。アチチ、ハフハフで、うま~。リコッタチーズの旨さがダイレクトに伝わるこの白いピザは、絶品ですね。これが食べたかったんですよ。まったく偶然で食べられましたが、考えてみると、なんだか必然のような気もしてきて。ほうれんそう、ベーコンもチーズの味の引き立て役にまわり、本当に幸せな気持ちになります。

生地のおいしさは今更言うまでもありませんが、半年ぶりに食べてみるといかにこのお店のピザが他店を圧倒していることが分かります。それで、前菜、飲み物がついて1365円。毎日でも食べたいですよ。楽しくて、おいしくて、おなか一杯。スタッフのみなさん、セコンドシェフのSさん、かなやさん、ありがとうございました。


(2012年1月 再訪)

名案が浮かびました。

夕食はお家パスタ。そのとき、ピザを一緒に食べたい。そして、食べるなら一番うまいピザをお持ち帰りしようじゃないの。だったら、アミーチに行こうじゃないの。名案でしょ?

アミーチの開店前に駐車場に入りました。定刻にオープン。先頭をきって入店します。その後続々お客さんが集まり20分後にはほぼ席が埋まりました。

いつものことですが、ここのスタッフは全員若いですが、全員気持ちのいい接客をしますね。もう天性と言いますか、話をしているだけで気持ちがいい。

あの、今日はピザをお持ち帰りしたいのですが、可能ですか?

はい、対応させていただきます。

じゃあ、持ち帰りはマルゲリータにしてください。お店ではAランチでパスタをいただきます。

かしこまりました。それでは、ピザはAランチのマルゲリータにしたほうが単品より安くなりますので、Aランチを2人前承ります。それで、前菜の3種盛りは多目にして。お飲み物は2杯ということでいかがでしょうか。

これはまたうれしい提案でした。この日のAランチのパスタは次の3種類。

①浅利とマグロのからすみのナポリ風 太目のスパゲッティーで
②スモークサーモンと木の子のクリーム 自家製タリアテッレ
③豚ほほ肉とトマトと茄子のノルマ風 ナポリのショートパスタで

何を選ぶか。スタッフが横で待っていてくれるのに、さんざん迷います。どれも食べてみたい。さすがアミーチで、引き出しの多いこと。太目のスパゲッティーも自家製タリアテッレもナポリのショートパスタも食べたい。え~い、と思って決めたのは、流れから言ってここは自家製タリアテッレかなあ。飲み物はグレープフルーツジュースとコーヒーで。2杯いただけると、ちょっと贅沢な気分になります。

ジュースを飲んでいると前菜が運ばれてきました。おっと、こうきましたか。3種盛りがそれぞれ大盛りで来るかと思いきや、ポーションは3種盛りと同じで種類を多くしてくれたのですね。こういうところがすごくうれしい気持ちにさせられます。1つ1つ何であるか説明してくれました。

アミーチはこういった小料理も上手ですね。さんまのパン粉焼はよくぶつかりますが、こっちの引き出しも相当なものです。楽しみながらひとつずついただいました。食べ終わる頃合を計ったように、厨房からパスタが届きました。

クリームがたっぷりかけられたタリアテッレが見えてます。これはうまそう。さっそくスプーンとフォークでいただきます。う~ん、さすがアミーチのタリアテッレはうまさが違う。真打登場といったところでしょうか。もっちりパスタで最近食べまくりの幸せ人生を送っておりますが、クリームのおいしさもあってやっぱりここが抜けている感じです。うまさが、突き抜ける。

スモークサーモンのスモーク味がめりはりをつけていてうまい。木の子も何種類か入ってましたが、そのなかのなめこがおいしかった。あっというまに食べきりました。ああ、満足した、と思っていたら、ピザを席までもってきてくれました。これはオーダーの時に、

箱に入れる前に出来たら写真を撮りたいのです。家に帰って撮ると道中で崩れたらおいしそうに写らないので。

手間を惜しまず、リクエストを聞いてくださいました。どうですか、家で撮った写真と比べてみると。やっぱり焼き立てで撮った方がピザもうれしいに違いありません。

夜がきて。おうちパスタは、またしてもクリーム系で。フィットチーネでした。お供のアミーチピザ、うまかったなあ。オーブンを200度とちょっと低めに設定し、パスタと同時に完成するように。こうやって、昼も夜もアミーチで幸せにしてもらった一日でした。


(2011年4月 再訪)

この日はBさんと二人アミーチ。二人だと、パスタとピッツァが食べれるのですごぶる具合がいいです。ランチのオーダーストップ15分前に着席。店内8、9分の入りで、皆様食後のべしゃりお楽しみ中。

パスタ:シチリア風ソーセージとそら豆のスパゲッティ
ピッツァ:マリナーラ(トマトソース、にんにく、オレガノ、アンチョビ、オイル)
デザート:そら豆とピスタチオのトルタ(珍しいですよ!)・・・原文のまま

前菜三種盛り、いつもながら感心。うまかったパプリカの一品、真似できないかなあ。この魚は秋刀魚っぽくおいしいけど、何ものなんやろ。パスタはいつも味わったことのないものが出されるのですっごく楽しみなんです。この味も初めてだなあ。実にうまい。ピッツァは濃厚トマトソース。グランドメニューからは絶対にオーダーしないでしょう。ナイスアシスト!

(2011年2月 再訪)

あのお、いまお店にかなやさん、来てますか?

いえ、今はおみえではありませんが、お知り合いですか?

そんな会話で始まったアミーチ・ランチ。この日、イタリアンを食べにつくばに遠征し、前から気になっていたお店に行きました。まあ、おいしかったのですが、何かもの足りないなあ。イタリアンって、もっとうまいはずだよ、ってアミーチまで移動。生まれてはじめてのパスタ連食です。もうおなか一杯ですが、このまま家に帰れないだだっこになってます。

つくば内での移動ですがおよそ8km。時計を見ると14時20分前。たしかアミーチのラストオーダーは14時だったので、なんとか間に合いそうです。13時ごろアミーチに着いて、順番待ちだったと考えれば、同じような時間にランチスタートとなるでしょう。

と言うことで、おなじみのカップル席に案内されます。お~、お客さんは全員マダムの二人連れ。お見事!メニューもいつもと同じAランチ(1365円)で、パスタをチョイス。この日も凝ってますねえ。

①アンチョビとブロッコリーのスパゲッティ~自家製まぐろの燻製をのせて~
②いか墨の練りこんだ自家製細めん 魚貝のソース
③ナポリの下町トラットリアより じゃが芋と燻製チーズのパスタ

どうですか。絶対迷うでしょ。③は多分以前食べたような。①か②かさんざん迷って、今スパゲッティを食べてきたばかりということから、かぶらないように、細めんで。

さっそく、前菜の3種盛が配膳されます。このお店はスタッフが皆若くて、皆気分のいい会話ができます。すごいことです。三種盛の説明をきっちりしていただきました。問題がひとつあって、自分、聞いてもお店から出ると全部忘れてるんです。年寄りですので許してください。パプリカ、しめじ、わかめを練りこんだフリッター、秋刀魚の香草焼き。

さて、次なんですよ。生ハムなんですが、食べたことのないうまさでした。どこかの三角の部分なんですが、どこだっけ。首の近くだったかなあ。それと、何かのソーセージ。フォカッチャ、自家製パン。フォカッチャに合わせながらいただきました。

これだけの前菜をいつもさりげなく出すお店って。フリッターなんかもめちゃめちゃうまいし。香草焼き、もっと食べたい、ので、やっぱりディナーだな。絶対飲みたいよね~、ってサーブしてくれた彼にうらめしや~。もう前菜を食べただけで、一気にアミーチモードに。やっぱり違う。格が違う。レベルが違う。世界が違う。調理場の料理長に熱い視線を送りました。メッセージですよ、送ったのは。ぐら~ちぇ。

これです。なんじゃああああ、このパスタは。ものすごくいい貝の匂い、にんにくの匂いがストームのように立ち上がってきます。見た目のインパクト。写真写真ってあわてて写して、早く食べたい。

想像して食べますよね。食材と匂いから類推して。違うんです、本物の味は。もっともっとうまい。つまり、今まで食べたことにないうまさ、なんですね。ま、自分の経験なんてないに等しいですが。ここに、いか墨パスタをもってきましたか。食感が実にいいし、細いのでスープをよく拾います。贅沢に貝を使い、これで前菜とコーヒーで1365円。次回、ランチなら13時45分に来てまた待たずに食べたい。

このスパゲッティには、参りました。極上のコーヒーで興奮を鎮めてお店を後にしました。


(2009年12月再訪)

この日は、Bさんの誕生日です。どこに食事に行こうか、本人に聞くと、イタリアンをランチで、というリクエストでした。夜はゆっくり過ごしたい。なるほどね。

イタリアンで絶対間違いなく満足してもらうなら、つくばのトラットリア エ ピッツエリア アミーチしか近隣にはありませんので、早速電話しました。丁寧な応対でさすがのアミーチです。ランチの予約は受け付けていませんので、ということでしたので、それじゃあ早めに行って一番いい席を取ろう。

出発の時間が迫り、家のかわいいこを呼んでいい子でお留守番をするように言い聞かせます。
「あやしいやつが来たら、ほえていいんだよ。う~~、わん、だよ。しっぽをふっちゃあいけないよ。」

誰にでもなついて行くので、よ~く釘をさします。さ、火の元の確認よし。出発の号令とともに、あれえ、電話がなり始めました。忙しいのに、ぶつぶつぶつ、と言いながら電話に出ると、なんとCさんからの電話。Bさんのバースデイ食事に付き合うので、これからこっちに向かうという電話でした。それは、うれしいことです。そんじゃあ、って、アミーチにAさん含めた4人分の席を予約して。危機一髪でした。そして、かわいいこがもうお昼寝してるのを起こして、昼のお出かけがなくなり、夜になった旨を伝えます。聞いてません。寝てます。

お店に着いたのが予約した時間の5分過ぎ。ま、優等生でしょう。予約席に案内されました。開店時間でしたのでお客さんはそれでも5分の入り。まもなく満席になりました。

ささ、今日は帰りも行列が責任を持って運転するので、何でも好きなものを注文して。さんざん検討の末、次の皿をオーダーしました。

前菜
アミーチ風前菜の盛り合わせ(1575円)
パルマ産生ハム(24ヶ月熟成)と自家製ピクルス(1575円)
とろけるタラの白子とズッキーニのフリット(1575円)
パスタ
サルデーニャ島のカラスミとにんにくのスパゲティ(1575円)
お肉、野菜、お米を詰めたラビオリ、きのこラグー(1785円)
ピザ
ピッツァ・オーロ(水牛のモッツァレラ、バジリコ、パッキーノ種セミドライトマト。グラナパダーノ・オイル)(2520円)

テーブル担当は性格まで全く明るい若いイケメンで、飲み物もそれぞれオーダーします。イケメンがオーダーを繰り返してテーブルから離れていったのを見届けてから、イケメンを追いかけます。ちょっとトイレに、と皆には言って。

あのお、今日一緒に来ている者の誕生日なんですが、それらしいドルチェとかありますか。

あ、はい。ドルチェを何点か並べてチョコレートでデザインしたものがありますが、いかがですか?

ああ、じゃあそれを最後に出してください。

食事前にサプライズを仕込みます。

しばらくお料理が出てきませんでしたが、しょうがないですね。満席の人で、自分たちより前に来た隣もその隣も未だのようですから。

さ、ようやく、アミーチ風前菜の盛り合わせが来ました。これは、皆が予想したとおり、お店の顔ですから、おいしいものがちょっとずつ。見た目ルックスも万全でしたね。これからもお客さんを呼んだときは、これをスターターにしましょう。

冬場のタラの白子はうまいですね。これ、イタリアンでいただけるとは思いませんでした。フリッターも天ぷらも同じなんで、これも定番にしましょう。ズッキーニが予想外にうまかったのは、ちょっともうかった気分でした。

生ハムも、しみじみうまいですね。ピクルスが売り切れということで、野菜が乗って来ましたが、何が一緒でもうまい。ミラノの裏通りで食べたときはイチジクと合わせてましたが、これが一番刺激的でした。

アミーチのピザは、めちゃめちゃうまいんです。こんな食感の生地はここだけ。ふわふわ柔らかくて、もっちりうまい。軽いんです。不思議な発酵なんです。最初の一口目は誰もが目をまんまるにしますね。なんじゃ、このうまさは!って、経験したことのない食感にびっくりします。この日はスペシャルなので、水牛まで登場しました。高い分だけは確実にうまい。安いがおいしくないので不満を残すより、ここで大満足な1枚を食べたほうが経済的ですね。

ラビオリはお店の手打ちで、柔らかく生地がそのままおいしいです。そのラビオリのなかに具を仕込んでいて、これはアリだと思いました。ラグーと合わせて一緒に食べます。

カラスミとにんにくのスパゲッティは、茹でも完璧でにんにくがたっぷり。ぺペロンチーノの応用版ですね。4人で少しずつだったので、余計にうまさが引き立ちました。

飲みながら、食べながら、おしゃべりしながら、随分と長時間になっていました。そろそろ帰ろうか、どうもありがとう、ってBさんが言ってます。

あの、デザートを食べないの?コーヒーは?

もうおなか一杯だから、今日はこれでいい。(が~~ん。ケーキ、まだかいな。)

あ、っそう。ちょっとトイレに行ってくる、って厨房の方に行き、

あのお、バースデーケーキをオーダーしてるんですけど。

はい、もうすぐ準備が終わりますから。

席に戻って、なんとなく、変な空気に。と、思っていたら、急に天井の明かりが消えます。

バースデーケーキにぱちぱち燃えるローソクを乗せ、おお、なんと6,7人のスタッフが歌を歌いながらこっちに歩いてきます。と、思ったら、壁で半分仕切られた隣の部屋に全員入っていきました。あれえ?こっちなのに。と、思ったら、バースデーケーキがわれわれのテーブルに運ばれて来ました。と、思ったら、あの最初にオーダーをとりに来たイケメンが、全員の歌を止め、

さてみなさま。本日、当店にご来店のお客様お二人が偶然にも今日が誕生日でございます。われわれから歌をプレゼントさせていただきます。と、思ったら、スタッフ全員はとなりのテーブルに移動。歌を歌って、ぱちぱちぱち。こんどは、こっちのテーブルにやってきました。イケメンが指揮を執るようです。

ハッピバースデイ・ツーユーじゃないんです。イタリア語で大きな声で一生懸命歌ってくれました。ハッピバースデイ・ツーユーの曲を。Bさんの顔を見ると、うれしいというより、びっくりした顔をしています。曲が終わってぱちぱちぱち。燃えているローソクを消して、ドルチェをみんなで食べました。Bさんに聞いたら、生涯で一番驚いた誕生日だったとか。サプライズは、大成功で終わりました。スタッフの方、ありがとうございました。また、行きますよ。


(2008年10月初稿
http://r.tabelog.com/ibaraki/A0802/A080201/8000842/dtlrvwlst/682030/

  • ルスティカ
  • 前菜盛り合わせ
  • (説明なし)

もっと見る

9位

手打ち蕎麦 湖庵 (我孫子 / そば、天ぷら)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2011/09訪問 2011/09/26

自宅から最も近い手打ち蕎麦屋はここ湖庵。駐車問題も解決しようやくの出陣。しなやかな蕎麦はさすがやね。

(2011年9月 再訪)

湖庵の店内にいます。

どうしてこのお店の中にいると落ち着くのかなあ。気持ちが癒されるというか。お店自体は何の変哲もないさっぱりとした清潔な店内で、奥様もご主人もごく自然体。この普通のことがとても貴重なことのように思えます。

お店の外には、今日使われている蕎麦が掲げられていました。

新そば
北海道雨竜郡雨竜町産
元気クローラ組合
キタワセ

奥様に、せいろ(700円)をお願いして静かに待ちます。この日、2枚目のせいろです。

蕎麦の魅力に取り憑かれてます。先日のメディカルチェックでそれまで赤字で書かれていた規定値オーバーだった肝機能もすべて黒い字に改善されました。厳しい自己管理と節制のたまものです??晴れてラーメンも解禁になりましたが、どうもあれほど食べたかったラーメンも、一歩離れて眺めると魅力あるラーメンがうんと少なくなってしまったことに気がつきます。楽しみにして見ていたラーメンサイトのレビューも、つまらないレビューばかりが目につき、早く大型新人が出現しないか待つ日が続いてます。

この日は蕎麦本で見た石臼挽きのお店に行きました。ずっと楽しみにしていて、この日の休日にあてていました。いただいた蕎麦はごく普通の蕎麦と何も変わりなく、何のために毎日石臼挽きをするのか全く分かっていないような蕎麦でした。つゆをいただいたときに、このお店には何を言っても無駄なような気がしました。プロなのになあ。これがおいしいと思うのかなあ。蕎麦本で取りあげたのが不思議です。無念でなりません。せっかくの貴重な休みだったのに。

どうしても我慢できず、そのまま湖庵にやってきました。おいしい蕎麦が食べたい。

お客さんは最初1組だけでしたが、その後3組ほど入店が続き、店内もざわざわしはじめたところに、せいろが到着しました。よかったあ。

蕎麦の姿の美しいこと!蕎麦ってこういうもんだよな。また、新そばの緑が実に輝いて見えます。ふわっと丸笊の盛られた手打蕎麦。つゆを最初にそのままちょっと飲んでみました。この深みのある旨さ。濃厚でありながらきりっと出汁がふんばって。

蕎麦を手繰り寄せ。軽い。つつっと食べてみます。ふわっと蕎麦の風が吹き、香りが運ばれてきました。そして極上の食感。ふた手繰り目にはつゆをちょんとつけて。蕎麦の甘みが一層深くなって、これが蕎麦だよ。気持ちが高揚する一方ではずっと癒されます。キテヨカッタ。

蕎麦湯も調整されてとろとろになった白濁のポタージュ。強いつゆが受け止め、たっぷりいただいた蕎麦湯も最後の1滴までおいしくいただけました。感謝の気持ちでお店をあとにしました。


(2011年8月 初稿)


自宅からは車で5分。歩いても行ける距離にある湖庵。お店は手賀沼通りに沿ってあります。お店が出来たのは2008年と比較的新しい手打ち蕎麦屋です。ご主人は森下の京金で修行されたとかで、評判が評判を呼んでプロのお蕎麦屋さんの間でも話題になったお店と聞いてました。

頻繁にお店の前は通るのですが、お店の駐車場が見当たりません。お店の周辺には路上駐車の車が多く通行するたびにモラルに欠けた悪質ドライバーの車に非難光線を目から発してました。ときどき取り締まりをしているのですが、毎日のように違反者が跡を断ちません。ある日いつものようにお店の前を通ったら、お店の車庫の前に1台とめられるスーペースが確保されていることがわかり、翌日湖庵に行ってきました。

今さらですが、仔細にお店を見ると道側は大きなガラス戸で採光していて、入り口はその二つのガラス戸の間に作られてます。シンプルな外観である種の蕎麦屋が醸し出す情緒っぽいデザインではありません。都会的なシックさえ感じます。周囲に大きな建物がありますので、何となくこじんまりとした印象です。お店まで5分ですから開店10分前に出てきましたが、5分かかりませんでした。予定通り、車庫の前に車をとめます。定刻、お店の中から奥様が出てきました。

ごあいさつをしながらお店に入ります。なかなかいい感じ。店内も外観同様にすっきりとしたデザインで、ごてごてとしたものは一切ありません。左手にテーブル席。右手に小上がり。小上がりで1杯飲むのもいいですねえ。ゆったり寛げそうな小上がりです。お店に入る前に、本日の玄蕎麦の情報が書かれた案内をチェックしておりました。

本日の蕎麦
生産地:福井県福井市寺前町産
品種:在来種

ひとりですのでテーブル席を選び、窓に一番近いテーブル席に落ち着きました。奥様がお茶とお手拭を持ってきてくださいます。お品書きを広げて。

せいろ
辛味大根せいろ
つけとろ
薬味おろし(ぶっかけ)
天せいろ
あなご天せいろ
鴨汁せいろ

迷います。お蕎麦に使う蕎麦粉はすべて自家製粉とのことですので、蕎麦の風味を楽しみたい。となると、せいろか天せいろ。お店は蕎麦の評判だけでなく蕎麦前のお料理がおいしいとの評判ですので、それでは、ということでお願いしたのは天せいろ(1500円)。

壁には、新ごぼうの天ぷらという品書きが貼られてます。蕎麦の前のあてにはこういうのも食べてみたいです。お蕎麦が出てくる間、ガラスを通して道の往来を見てました。なんだかガラス1枚が日常と非日常を分断しているようで不思議な感じがします。

さあ、奥様の手でおそばが届けられました。

天ぷらには天ぷら用のおつゆと粒子の粗い塩が供されます。薬味はわさびと辛味だいこん。そばは長角のせいろに盛られていて、ほんのりと緑がかった透明感ある蕎麦が美しい。天ぷらは海老が2本に大きさが揃えられた野菜たち。天ぷらは塩でいただき、辛味だいこんはそのまま直接口に含んでいただきます。わさびは蕎麦の上に塗っていただきましょう。

蕎麦のうつくしさにうっとりする癖がついてしまい、困ったものです。きりりとエッジの立った蕎麦はよく見ると蕎麦の粒がぎっしり。箸で手繰ってみると、これが思いのほか実にかろやか。こういう蕎麦が一番好きです。そのままいただきます。これが自家製粉の強みなんですが、蕎麦の風味が実に強く感じます。蕎麦が天日干しで得たお日様の匂いをそのまま蕎麦にしても保ち続けている。まじめな技術がこうした感動を与えてくれます。

噛んでみると蕎麦独特の甘みがほわっと膨らみます。これなら、と思って次に手繰った蕎麦には下3分につゆをつけて一気にすすりあげ。予想が当たって蕎麦の甘みがつゆによって一層引き立てられます。つゆは、濃い目の辛口目。ほんの少しつけるだけでもいい。つゆの出汁感が強く、つゆのおかげで蕎麦の風味が更に複雑になってうまさの底上げをしているかのよう。

軽いし風味が良くて、一番家から近い手打ち蕎麦屋で、自分の一番の好みをいただけるとは。こんなことなら、歩いてでももっと早く来るべきでした。

天ぷらは衣の加減がいい。見るからにからっと揚がり。薄い衣を見ていると、いかにも洗練されている天ぷらだという思いが。食べてみても同じ感想です。さくさくでうまい。高温でからっと揚がり、油っぽさが最小に抑えられてますね。谷中しょうががうまい。

仕上げは蕎麦湯で。そばちょこに蕎麦湯を注ぎます。おっと。どろっとした粘度の高い蕎麦湯がとろとろとでてきました。つゆが均一に混ざらないほどの粘度もある蕎麦湯です。蛸唐草の素敵な蕎麦猪口を持ち上げてつつつっと。これが、蕎麦を食べている時に感じる至福と種類は違いますが。同じ強さの至福がこの蕎麦湯をいただいているときに再び訪れ。

今度は歩いていきましょう。お酒もいただきたいし、もっと長時間あの場所にいたい。それに、あのつゆからして、かけも食べたいし。地元のお店を大切にすることが、そのままおいしいものをいただけることと同意義になってしまう湖庵。外を歩ける気温になったら出かけ始めますかな。

  • せいろ
  • (説明なし)
  • (説明なし)

もっと見る

10位

角一 (勝田台、東葉勝田台 / もつ焼き、居酒屋、海鮮)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2011/11訪問 2011/11/09

もつ焼きの最高峰、千葉勝田台の角一に接近。しろくまさんの案内で永年の夢叶うの巻。大感激、撃沈す。

これほど、うまかったのか。角一のもつ焼き。焼き、たれ、素材、サービス、価格、空気、すべて五重丸だった。あの日のこと、あれは本当にあったことなのか。夢だったのか。

2009年6月18日。この日、しろくま1124さんがUPされた角一のレビューを発見してコメントしました。オフ会しましょうか。記録に残っております。史実です。それから光陰矢のごとし、2年を経過して、この日時間が空いて急遽角一を訪問する、と硬い決意を固めます。いくらなんでも事後にしろくまさんにご報告するのは礼を失っするというもの。朝一番でしろくまさんに本日お店に行って参ります、とメッセージを送っておきました。

あろうことか、返信が舞い込み。たまたま本日時間有り。ご案内します、と。しろくまさんらしい心の籠ったメッセージが。これには仰天びっくりでした。いつものように甘えてしまいました。

角一、どんなに行きたかった時期があったでしょうか。文章から、写真から漂ってくるお店のイメージ、もつ焼きの味と匂い。いきいきと描写するしろくまさんの手腕、言わせていただければしろくまマジックに金縛りにあいます。このようなお店が日本にあるんだろうか。しかも千葉に。

実はこのあとの2009年7月、実際にしろくまさんと二人オフ会を敢行し、そのときのメイン会場は船橋の一平でした。行列のレビュー数はまだ400件程度のういういしい時代。一平もしろくまさんが掘り当てた名店です。一平に決めた理由は、行列の家からの接近性がいいから。一平、それはまさに自分にとって初めての極楽居酒屋でした。で、物語は完結し、裏では角一が積み残ったわけです。そしてこの日、やっと積み残しが解消でき、しかも、しろくまさんと会える、飲める、愉快に過ごせる。

約束の時間にピタリ落ち合います。ついこの前、南インドカレーの葉菜に行って、讃岐うどんのさぬきで生醤油うどんを食べて、そして次に計画していたのがここ角一でした。黄色いこぶたさんも、ここは想像できなかったでしょう。車を置いて、電車で70分ほどかけての再参上です。

角一は葉菜と同じ路地にあります。角一に着きましたが準備中。カオであるしろくまさんは、一周してきますので、とお店の方と話してます。そのまま入店しても出来る状況でしたが、さすが商売のじゃまはしません。きっちりと準備をしていただき、その時気分よく先頭で入店する。それまでふたりでぶらぶら歩き。勝田台の路地裏探検です。次回訪問の参考となるでしょう。適当な時間に再びお店に戻ると、ピタリ開店の営業開始です。

入店します。おおおおお。すごい!お店の空気までもおいしいもつ焼きの老舗。老舗が持つ永い時間に洗われていい感じに落ち着いた店内。興奮します。しろくまさん、再度お店の方とご挨拶。紹介していただきます。撮影許可をいただきます。この辺の流れはよどみがありません。

何から飲みますか?

お店の雰囲気に感動してぼけっとしている行列に声をかけていただきます。気が利く方と気が利かぬぼけの組み合わせです。ホッピーをいただきます。そして、嫌いなものはありませんので、どうかオーダーのほうはよろしくちゃ~ん、です。インスタントジョンソンになってます。しろくまさんのUPした写真の美味しそうなイメージが頭をよぎります。とってもあのようなオーダーは自分にはできないな。いつもそう思いながら見ていましたから。

さ、ここからは、怒涛の喰い、飲み、愉快な笑い。どんどん食べます。どんどん、説明をしていただき、これはこぶくろで、・・・・・。うまいうまい、で今写真を見返しても正確に何が何であるか思い出せません。申し訳ないことです。

調味料のおいしさが鮮明に脳の傷として残ってます。塩、しょうが、にんにく醤油。絶妙な焼きの名わき役。アブラ、しろ、かしら、レバー、コブクロ、そのような名前をお聞きしました。ぬか漬けもいただきました。

お店の方にお礼を申し述べて満席のお店から退場いたします。こんな幸福感、満足感ってあるでしょうか。もつ焼きが1本100円ですって!

と、いま、あの時間を振り返って、本当に正夢だったのか、幻だったのか。幻のはずがないな。あんなにおいしかったし、あんなに楽しかったのだから。また機会があったら何回でも訪問したくなるもつ焼きの名店でした。

Special thanks to Shirokuma 1124 –san, once again.

  • 絶品!
  • 絶品!
  • 絶品!

もっと見る

ページの先頭へ