改札出たら、2分でナカジマ : ナカジマ会館

不定期の、長野出張。
長野に来たらば、素通りはできないナカジマ会館。
この日も、新幹線の改札を出て回れ右で、ナカジマ会館へ直行。

味については、何も新たに書くことがないものの、
持ち重りのするぶ厚い磁器の丼を持ち上げツユをすすると、
ああ戻ってきたナ、なんて感慨を覚える。
天ぷらのネギが所々焦げているのも、もはや愛嬌とすら感じる。

食べ終わったら、さあ仕事。では職場に向かうとするか。

普段から、長野に来たらばまずはナカジマ会館のソバ、と心に決めていますが、
帰りも寄ることになるとは思っていませんでした。
ま、好きだから全然イイのですが。
シャシン撮っているそばから崩壊を始める天ぷらは、焦げたネギが香ばしく。
前よりも気持ち暗黒度が上がった？ツユのコンディションも上々。
そこにね、シャッキリ感のあるおソバを絡めながらいただくわけですよ。
もう最っ高です。
隣のお客なんか、月見ソバを食べている最中にかけソバを追加していました。
これにはちょっとビックリしてしまいましたが、見て見ぬふり。
帰りの新幹線の時刻を気にしていると、次から次にお客が来て、ほぼ満員。
こんなに盛況な立ち食いソバ屋は、長野では他にありませんよね。
長野に来たら、また必ず寄ると思います！

約三年ぶりの、ご対麺。
本当は朝イチに寄りたかったけど、帰りの新幹線乗車15分前に訪問。
ありゃ、天ぷら売り切れとる…。
普段なら天ぷらがない時点で店を出るのですが、せっかくきたからねぇ…と月見そばを。
おや、おツユがおだやかになってる。もう少しカエシは強かった気が。
まあ、これはたまたまかも。おソバがシャキッとしてたのが意外。
月見だからこうなのか、それとも天ぷらそばじゃないからこうなのか…検証が必要ダ！

出張ついでに、久しぶりのナカジマ会館。
無事に営業している模様で、ホッとします。
値段も変わっていない様子。今回は天玉そばにしましょう。
店内は仕切り板のようなアクリル板が設置されているのも時節柄。
おっと、天ぷらがふやけ切らないうちにいただきましょう。

ツユは見まごうことなき、暗黒醤油。結構濃い部類に入ります。
ダシの香りは、前回ほどは感じませんでしたが、濃密な味わい。
このすぐふやける天ぷらとのギャップがイイね。
昔はもうちょっとガマンできた天ぷらだったンだけどね。
まあでも、懐かしさ一杯の暗黒醤油ソバを味わえました。

長野駅に来たら、やはりナカジマ会館の一杯は欠かせないね。善き哉。

とにかく、懐かしい屋号である。かつて、とにかく世話になった。
私にとって、現在の暗黒醤油ソバ摂取の伏線というか地ならしというか、そんな貴重な存在である。
そんなことを言いつつ、濃い味だった、という朧気な記憶しか持ち合わせていないのだが。
しかしそうであっても、当店の事業撤退には非常にショックを受けた。
もう、あの味は味わえないのか――そう思うと、大切な存在を失った喪失感というか、
俗に言う“心にポッカリ穴が空いたような”感覚を覚えたのは事実だ。

その後、ナカジマ会館の血統がどこかに継がれていないか、系譜など追ってみたが、
どうも決め手を欠き、今日に至っていた。

ところが、である。
在りし日のソバが華やかに復活したとの情報を、某御方のレビューで知ることになる。
知ったからには、何はともあれ試したくなるのが人情である。
されども、場所が場所だけになかなか機会が訪れなかった。
そしてようやく、訪問が叶った。立喰いソバの神様に感謝。

つい前置きがつい長くなってしまったが、長野駅の在来線の改札を出た同じフロアに、当店は在る。
屋号は堂々と、ナカジマ会館。かつて慣れ親しんだ、あの蟹のシンボルマークは健在である。
すっかり小綺麗になった店内に入り、かつては存在しなかった券売機にて、天ぷらそばを選択する。
他にもっと種類があったように記憶しているが、いつも天ぷらか天玉ばかり食べていたように思う。

天ぷらそば。器が変わって、見た感じコンパクトになった。
ツユをひと口、あれ？こんなにカツオが香ったかしら？というほど、ツユが香る。
そういえばかつては「枯節を使っています」などと書かれていたっけな。
口中に拡がるダシのフレーバー、かつてとは多少違うかもしれないが、決して悪くない。
ウンウン、なかなかの暗黒っぷりだ。
次いで、天ぷら。最初はカリカリ。しかしサーブされた瞬間から時々刻々とツユを吸い込み、
サア食べようかという段になるとすでにブヨブヨに膨らんでるという、ナイスなかき揚げ。
そうそう、コレコレ。コレでなくっては、ダメなンである！
このブヨブヨになる天ぷらが、好きだった幼い頃の天ぷらうどんの天ぷらを彷彿とさせるのだ。
そしてその天ぷらと暗黒醤油のツユのソバとの組合せこそが、
現在のワタクシの暗黒醤油ソバ摂取生活の礎となっていることに疑いはない。

ツユの方向性は、かつてとは少し変わったかもしれない。でも、いンだよ細けぇ事は！
ワタクシにとってひとつの重大なエポックを象徴する
このナカジマ会館のソバがめでたく復活したこと、そのことにこそ、意味があるのだ。

体には悪いと自覚しながらも、ツユを全部飲み干す。
まるでナカジマ会館を失っていた、自分の中の空白の時間を埋めるように。
そして、何事もなかったように、「ごちそうさん」と告げて、店を出た。

本当は、いろいろと店員に尋ねてみたかった。
でもそれをグッと堪え、惜しみつつ店を後にしたのだった。

とにかく、Welcome back！