浜田 岳文さんの行った（口コミ）お店一覧

Chugoku Ryori Masuki | Hiroshima, Japan 広島「中国料理MASUKI」 旬の食材を生かした、才気溢れるイノベーティブ中華料理。 河豚の白子の唐辛子煮込みは、アヒージョ風に仕上がっているが、唐辛子の辛味を強調することなく、独特の爽やかな香りを活かすことに成功している。個人的に、唐辛子の魅力は辛味ではなく香りにあると思っているので、この活かし方は嬉しい。 平目とハンバーグを一緒に盛り付け、コラトゥーラのソースを添えた一品も、出色。広東料理や福建料理の流れを感じさせつつ、どこかコラトゥーラを使うイタリア料理や肉と魚を合わせるカタルーニャ料理の気配も漂わせる。 更に印象に残ったのが、酢豚。バラ肉だと思われるが、表面をカリカリに揚げつつ、中は脂身をジューシーに仕上げている。これほど食感のコントラストがダイナミックな酢豚は初めて。味付けも、日本風のケチャップを使った甘酢餡が好みでない私にとって、申し分ない。 わざわざ広島まで食べに行く価値がある、独創的な一軒。 2020年3月 ノレソレ（アナゴの稚魚）、紹興酒と卵黄のソース 鮪、木の芽のソース 蛍烏賊の粽 チャーシュー 河豚の白子の唐辛子煮込み 甘鯛、蕗の薹のソース アオザメのフカヒレ 酢豚 平目とハンバーグ、コラトゥーラのソース 炒飯 杏仁豆腐

ShinoiS | Shirokanedai, Tokyo 白金台「シノワ」 日本人でありながら、上海の中国料理店でシェフを務めた篠原シェフが凱旋帰国し、2019年12月、オーナーとして自らの店をオープンさせた。 篠原シェフとは、西麻布「海鮮名菜 香宮」の料理長時代にRed U-35で参加若手料理人の頂点に立った頃からの付き合い。その頃は王道の日本の中華料理に郷土色を加味した料理だった記憶があるが、中国に渡ったことで、郷土料理への理解が更に深まったと同時に、イノベーティブな方向性が強まったように感じる。 言い換えるならば、本場中国の料理を深く掘り下げたからこそ可能な、篠原シェフならではの独創的な料理。日本の四季折々の食材をどう解釈していくか、今後も楽しみな一軒。 2020年3月 菜譜 芝士春卷 杏仁豆腐 醉蘿白高 三種の前菜 ヨシキリザメとモウカザメのヒレの春巻き、燻製キャビア、24ヶ月熟成のコンテ 鶏と浅蜊のスープと葛粉の焼き杏仁豆腐、醤油、海苔 大根餅、甘海老の紹興酒着け、蕗の薹のペースト 干鍋墨魚 烏賊 四川干鍋仕立て 障泥烏賊の炒り焼き、干し鍋風味、浅蜊とトマトのコンソメ。 齊灌湯餃 vegi トロ蕪 野菜コンソメ 蕪の餃子、トリュフ。 トロトロとした食感を残した蕪、5種類の野菜の出汁。調味料は塩のみで、甘くて濃厚な旨味が感じられる。 等待春天 鰤 ヤーコンの沢庵 蕾菜 春巻き、鰤のコンフィ、揚げ葱、揚げ干し貝柱。 真味干鮑 水仕込みの吉浜産干鲍 戻し汁のみで調味料を使わず仕上げた鮑。 麻醬脆鳥 ホロホロ鳥 里芋 葱 ホロホロ鳥腿肉のパリパリ焼き、里芋の葱煮込み、芝麻醤と腐乳のソース。 芳香鮮魚 宮崎ねこや商店より本日の鮮魚 香菜 富士酢 ゴマハタの広東風蒸し物。 雲南水煮牛肉 なにわ黒牛 雲南の薫り なにわ黒牛ミスジのステーキ、雲南豆鼓のペースト、水煮のソース。 今天麵飯 妙飯 ラーメンお好きな量をお好みで 土鍋ご飯のチャーハン、イクラの紹興酒漬け シノワ風味ワンタン入り胡麻そば、牡蠣・太刀魚・ハタ・豚・鶏の出汁。 鯖寿司 四川人が鯖寿司を作ったとしたら、という空想の一品。 熊肉のシュウマイ 甜品 酒醸のプリン 紀州原農園より数種の柑橘 5種類の柑橘のデザート：八朔のソルベ、春峰のブリュレ、三宝柑のジュレ、せとかと晩白柚の果肉、酒醸（チューニャン）のプリン。 生月餅 金柑のジャム、カスタードクリーム

Momonoki | Akasaka, Tokyo 「赤坂 桃の木」 ミシュラン二つ星を獲得する中華料理店「桃の木」が三田から東京ガーデンテラス紀尾井町に移転し、リニューアルオープン。レセプションに招待いただき、正式オープンの前に訪問することができた。 日本人のシェフによる、丁寧かつ繊細な中華料理。名物のフカヒレは、本場のように繊維の太さを際立たせるのではなく、細かく割いて供される。優しく儚い食感が、新鮮。 ゴルゴンゾーラの水餃子は、赤坂に移転後にメニューに加わったそう。個性の強いゴルゴンゾーラの存在感は感じるが、小林シェフの手に掛かるとその癖も突出することなく、穏やかにまとまる。 2020年2月 ナッツの飴煮 真鯛の広東風お刺身サラダ 五島列島産鯛、揚げワンタン、パクチー、イクラ、フランス産キャビア 前菜3種盛り合わせ 鯛の衣揚げ、甘酢ソース つぶ貝の醤油煮込み、地蛤の葱ソース いんげん豆、空豆、百合根の醤油炒め 茄子の唐揚げ 山椒唐辛子風味 辣子鶏の茄子バージョン。 ゴルゴンゾーラの水餃子 ほうれん草のペースト・ブラックタイガー・豚の背脂入り水餃子、金華ハムのみじん切り、トリュフオイル。 フカヒレの醤油煮込み パイタンソース、岩手産ホワイトアスパラガス。 台湾A菜と自家製干し肉の炒め物 干し肉は、5日間醤油ダレに漬けたもの。 茨城県産いも豚 豚の肩ロースの黒酢の酢豚 長崎県五島列島天然のクエ 広東風蒸し魚 赤生唐辛子、パクチー、醤油のソース。 干し貝柱のチャーハン デザート： 杏仁豆腐 マンゴープリン 亀ゼリー タピオカ ココナッツミルク 老酒アイス

Ajibo | Kanda, Tokyo 神田「味坊」 本格的な中国東北部の料理を供する中国料理店。 羊肉を使った料理が目白押しで、ラム好きとしては興奮する。また、日本の春雨とは異なる、もちもちした食感の板春雨も出色。 その中でも感動したのが、豚バラ肉と白菜漬け煮。日本人にとっては、六本木一丁目「華都飯店」の酸菜火鍋や台北「圍爐」の酸菜白肉火鍋で馴染みがあるかもしれないが、中国東北部の名物である酸菜（白菜の漬物）と豚バラ肉を煮込んだ一品。酸菜の癖のない酸味が豚肉を脂分を中和してくれるので、いくらでも食べられそう。 ここ数年、東京では中国の地方料理が盛り上がっているが、その中でもお勧めの一軒。 2020年1月 ラム肉のクミン炒め 香菜と青唐辛子のサラダ 板春雨の冷菜 ラム肉の串焼き ラム肉の水餃子 ラム肉のおやき 豚バラ肉と白菜漬け煮

Shinpuku Saikan | Azabu Juban, Tokyo 麻布十番「新福菜館 麻布十番店」 1938年の創業以来、京都で長年愛される、老舗ラーメン店。 京都といえば繊細な味付けの日本料理のイメージが強いが、濃厚でパンチの強いＢ級グルメも、京都の食を語る上で欠かせない。 当店のラーメンの特徴は、真っ黒いスープとたっぷりの九条葱。見た目ほどではないが、塩分と旨味が濃い。ヤキメシも、負けずと黒いのが個性的。 関西出身者としては、このノスタルジーたっぷりの味を東京で楽しめるのが嬉しい。 2020年1月 中華そば ヤキメシ

Kiraku | Shibuya, Tokyo 渋谷「喜楽」 渋谷の百軒店の入り口に位置する、老舗の中華料理店。 20年ほど前の私は、当店でランチをしてから「名曲喫茶ライオン」で時間を過ごすのが、予定がない休日の日課だった。 その当時もランチタイムは待ち時間が発生する人気店だったが、ここ数年は更に行列が長くなっている気がする。 当店でいつも注文するのが、ワンタン麺と炒飯。 ワンタン麺は、焦がし葱が香るスープが特徴。目当てのワンタンは、とろとろの皮が艶かしく、するりと喉を通る。 完全に中まで火が通った煮卵やチャーシューは、最近のラーメンのトレンドとは無縁で、懐かしい。 炒飯も、旨味と塩味たっぷりの濃い味付けが懐かしい。これぞ、正しい日本の中華の炒飯と言えるかもしれない。 ＜2019年6月＞ ワンタン麺 炒飯

TexturA | Marunouchi, Tokyo 丸の内「テクストゥーラ」 鎌倉「イチリンハナレ」の斎藤シェフがプロデュースする、中華とスペイン料理の融合。プレオープンで訪問した。 その後、オープン直後から話題を呼び、なかなか予約できない人気店に成長した。改めて訪問したいと思って何度か予約を試みたが、まだ再訪できずにいる。 料理については既に多く語られているので詳説しないが、スペイン料理の中でも中華に親和性の高い食材や料理を中華料理の流れの中に上手く取り入れている。ハモン・イベリコしかり、ニンニク・唐辛子・油を大量に使ったアヒージョしかり、米料理のパエリアしかり、今まで意識したことがなかったスペイン料理と中華料理の共通点が浮かび上がる。垣間見える和の要素が双方の橋渡し的役割を果たしていることもあって、コースとしての統一感がある。 丸の内や大手町界隈は、長い間美食不毛の地だった。最近はそれも少しずつは変わりつつあるが、フーディーがわざわざ訪れる店は未だに少ない。そんな状況を、当店が一変させつつある。大げさかもしれないが、レストランが一軒できるだけで街のイメージが変わるくらいのインパクトが作り出せるという良い例ではないかと思う。 〈2019年4月〉 ジャスミン CHN ジャスミンライスのお粥の上澄み、魚介の出汁 イベリコ ESP パン・デ・クリスタル、ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ 髙坂鶏 CHN を、三段活用 よだれ鶏 餃子 山椒麺 豆乳 干し貝柱とムール貝のパエリア 海老 ESP アヒージョ、桜海老の肝 マナガツオ CHN 素揚げ、大根おろし 文旦 ESP ジャスミン茶でのばした文旦のガスパチョ 百合根 CHN 仔羊と百合根の唐辛子炒め 五島列島 CHN ハタ、乳酸発酵した蕪と唐辛子 蛍烏賊 ESP 烏賊墨のメロッソ、アリオリソース 最中 茶菓子

Liao Fan Hawker Chan | Singapore シンガポール「香港油鶏飯麺」 世界で最も安いミシュラン一つ星に輝いた屋台が、同じチャイナタウンにオープンした大型店。 オリジナルの屋台よりもメニューの幅が広く、かつ空調の効いた屋内で座って食べられるので、蒸し暑い日には快適。 Crispy Pork Noodle クリスピーポークの麺 Roast Chicken Rice ローストチキンのご飯 醤油ベースのタレが素晴らしい。若干の燻製香を感じさせつつ、コクと深みがある。このタレが当店を有名にしたのではないかと思う。

マカオで最も有名なシェフ、Tam Kwok Fung（タム・クオック・ファン）氏を迎い入れた、新生「Wing Lei Palace」。 タムシェフの料理は、前年まで腕を揮っていた「Jade Dragon」で頂いて以来となる。移籍後、初めての訪問。 今回は、マカオで開催された「アジアのベストレストラン50」授賞式を記念したコースを頂いた。タムシェフのシグニチャーともいえる、創作広東料理が少量ずつ盛り込まれている。 次回はアラカルトで伝統料理もトライしてみたい。 魚子芋角，蟹皇切肉燒賣，翡翠龍蝦餃 Crispy taro puff top with caviar, steamed shrimp dumpling with crab roe, steamed lobster dumpling 海參魚蓉羹 Braised fish broth with sea cucumber and vegetables 紅燒太子鴿拼蜜汁黑豚肉叉燒 Deep-fried crispy baby pigeon served with barbecued black Iberian pork glazed with honey 胡椒湯蘿蔔和牛臉頰 Stewed Wagyu beef cheek with turnip in pepper broth 海龍皇鴛鴦米 Stir-fried seafood with vermicelli and kuzukiri 花旗參紅棗雙色湯丸 Double-boiled red dates and ginseng with glutinous rice dumplings

ミシュラン三つ星を獲得する、グランド・リズボア・ホテルのメインダイニング。 絢爛豪華できらびやかな空間がマカオらしい。 料理は、アラカルトに加えてテイスティングメニューがある。ただ、後者を注文すると高級食材目白押し、かつメインはワギューになってしまうので、個人的にはあまり魅力を感じない。よって、事前にシェフと打ち合わせ、伝統的な調理技術が盛り込まれた皿を中心にコースを組んでもらった。 フォトジェニックな点心に加え、事前オーダーが必須となる乞食鶏と小豚の丸焼きが素晴らしい。地味だが、アーモンドのスープに燕の巣を加えた伝統的デザートも印象的で、体に染み渡るよう。 当店を訪れる際は、少なくとも4人で訪問し、小豚の丸焼きを楽しむことをお勧めしたい。 Abalone, bamboo pith 鮑、衣笠茸 Cucumber, pomelo 胡瓜、ポメロ 藍天使蝦金魚餃 黑松露翡翠龍蝦餃 Steamed Crystal Blue Shrimp Dumplings in Goldfish Shape Steamed Dumplings with Lobster and Black Truffle 金魚を象ったニューカレドニア産天使の海老の餃子 ロブスターと黒トリュフの翡翠餃子 当店名物、アニマル点心。点心としての完成度も高い。 脆香叉燒包 河蝦肉鬆手袋酥 Crispy Barbecued Pork Buns with Preserved Vegetables Puff Pastry with River Shrimp in Purse Shape ハリネズミを象ったクリスピー叉燒包（チャーシューバオ） ハンドバッグを象った川海老入りパフ こちらも細かい仕事が美しい。 特色八寶富貴雞 Our Special Recipe "Beggar Chicken" 特製富貴鶏（乞食鶏） 豚バラ肉、卵黄、漬物、トリュフ詰め。見た目は全く映えないが、滋味深い。 原隻乳豬焗飯 Suckling Pig Filled with Fried Rice and Preserved Meat 乳飲み仔豚の丸焼き、ハム入り炒飯詰め 当店の看板メニュー。カリカリの子豚の皮としっとり旨味が浸透した餅米を同時に楽しめる、華やかな一品。 燕液蛋白杏仁茶 Almond Sweet Soup with Bird's Nest アーモンドスープ、燕の巣 Portuguese egg tart Milk tea ポルトガル風エッグタルト 香港式ミルクティー

ミシュラン二つ星を獲得する、ウィン・マカオのメインダイニング。 滞在したウィン・パレスからは30分おきにシャトルバスが運行しているので、タイパ側から訪問する際は便利。 「アジアのベストレストラン50」出席者向けテイスティングメニューが用意されていたが、メインが鹿児島産A5和牛だったので、海老に変更してもらった。 キャビア、フォアグラ、魚の浮き袋など高級食材を盛り込んだ、豪華絢爛なメニュー。顧客の大半を占める中国大陸からのゲストの好みを反映し、伝統料理よりも創作色の強い料理が中心となる。 金華ハムや雲南ハムの代わりにパルマハムを用いたり、ペルー産アスパラガスを取り寄せたり、農業がないマカオの弱点を逆手に取って、世界中から選りすぐった食材を盛り込んでいる。 クレーム・ブリュレをテーブルの上でフランベするパフォーマンスなど、エンタテインメント性もある。サービススタッフも教育が行き届いていて、心地良く過ごせた。 Pear, sweet and sour abalone, wolfberry 梨、鮑の甘酢風味、クコの実 Garoupa skin, Russian crab leg ハタの皮、ロシア産蟹 北海道海膽及卡露伽鱘魚子配海藻布甸 帝王蟹伴薑蓉鱖魚 Sea urchin and "Kaluga Queen" Beluga caviar with seaweed pudding Tossed royal king crab and mandarin fish fillet with minced ginger 北海道産ウニ、「カルーガ・クイーン」ベルーガキャビア、海藻のプリン タラバガニ、マンダリンフィッシュ（ケツギョ）、刻み葱のソース 清湯法國鵝肝及豌豆苗 French foie gras and pea sprout in chicken soup フランス産フォアグラ、豆苗の芽、鶏のスープ 黃燜龍躉魚衣伴花膠 Braised giant grouper skin and fish maw with chicken broth ジャイアントガルーバ（タマカイ）の皮の蒸し煮、魚の浮き袋、鶏の出汁、パルマ産生ハム Stir-fried kung pao prawn, macademina nuts, cucumber, pan-fried egg, leeks, eggplant 車海老の甘辛炒め、マカデミアナッツ 付け合せは、胡瓜、玉子焼き、葱、茄子のタルト仕立て。 香糟春筍衣及秘魯白蘆筍 Braised spring bamboo shoots and Peru white asparagus in fermented rice wine 春筍の蒸し煮、ペルー産ホワイトアスパラガス、紹興酒の酒粕と鶏の出汁のソース 紅油花竹蝦抄手 Kuruma prawn wonton served in Sichuan spicy sauce 車海老のワンタン、四川ソース 焦糖燉紐西蘭有機蛋伴鮮果 Caramel sugar and New Zealand organic egg custard accompanied with fresh fruits ニュージーランド産有機卵のクレームブリュレ、フレッシュフルーツ（ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー）、緑豆と小豆のケーキ

Genuine Lamma Hilton Fishing Village Restaurant | Lamma Island, Hong Kong 香港 ラマ島「南丫島漁村酒家」 香港「Neighborhood」のオーナーシェフDavid Laiの引率で、ラマ島へピクニック。 まず鴨脷洲（アプレイチャウ）で集合し、魚市場を見学。Davidが魚介を選んでくれる。その後、チャーターしたプライベート・ボートに乗り込み、ラマ島へ。 ラマ島は15年以上前に訪れたことがあるが、フェリーではなくモーターボートで行くのは初めて。フェリー乗り場ではなく、目的のレストランに直接乗り付ける形となる。 到着したのは、「南丫島漁村酒家」。一見、ラマ島に立ち並ぶ観光客向け魚介レストランのひとつに思えるが、地元の食通に愛される名店とのこと。また、オーナー夫婦の娘さんが海外で勉強したソムリエなので、ワインも楽しめる。外見からは全く想像できず、そのギャップが面白い。 持ち込んだ海老や鯛を中心に頂いたが、食材をシンプルに調理するだけでなく、スープや鳩のローストに調理技術の高さも垣間見える。 ラマ島に行くならお勧めの一軒。 35年物の普洱茶 5 kinds of local shrimp 5種類の地元産海老 Steamed wild spotted tail morwong 鷹の羽鯛の蒸し物 Salt and pepper calamari 烏賊の塩胡椒フライ Deep fried mantis shrimps 蝦蛄のフライ Local lobsters ロブスター Locally grown papaya with abalone and chicken soup 地元産パパイヤ、鮑、鶏のスープ Pea shoots 豆苗 Rosted pigeons 鳩のロースト Apple fritters with molasses 林檎のフリット、糖蜜

福建省の省都、福州。昔ながらの街並みを復元した三坊七巷と呼ばれるエリアには、多くの飲食店が立ち並ぶ。その中でも、政府公認の「老字号」を掲げる老舗。 店名にもある通り、福州名物の肉燕を供する。肉燕の巣をとは、燕の巣を使っているわけではなく、燕に形状が似た福州風ワンタンを指す。 もう一つの名物は、魚丸。挽肉を包んだ魚のすり身団子。 この二つに、ワンタンの皮を麺状に切ったものも盛り込んだ三合一を注文した。 特に素晴らしいのが、魚丸。表面はもちもちした食感で、魚臭さは一切ない。中には挽肉が詰められていて、ジューシー。すり身だけだと単調で味気ないところ、味と食感の変化を楽しめる。 魚の練り物は、個人的にあまり好んで食べないが、この魚丸は例外。日本でももし見かけたら積極的に食べたいと思える一品。 三合一 肉燕、燕皮、魚丸

台北随一の酸菜白肉火鍋の老舗。 日曜の夜ということもあってか、店内は満席で賑わっている。予約してあることを伝えると5分ほどでテーブルに案内してくれたが、店から溢れるようにして待っているお客さんも居たので、事前に予約した方が良さそう。 酸菜は発酵白菜、白肉は豚バラ肉を指す。酸菜や酸菜白肉火鍋は中国東北地方発祥だが、黒龍江省ハルビンの出身者が移住して台湾に持ち込んだとされていて、人気を博している。 東京でいうと冬場限定で食べられる六本木「華都飯店」の酸菜鍋が一昔前から有名だが、日本で食べられる店は未だに少ない。 鍋は大きさが三種類あるので、一番小さい小鍋（3人以下用）を選択。 Pickled Chinese cabbage hotpot 酸菜白肉火鍋 樂鍋底內含酸菜，凍豆腐，白肉，螃蟹，鮮蚵，香菇，蝦米等湯料 Broth includes pickled cabbage, frozen tofu, pork, crab, mushroom, dried shrimp, etc. 鍋底：白菜の酢漬け、凍豆腐，豚バラ肉，カニ、牡蠣、椎茸、干し海老、スープ タレと薬味は追加料金となり、自分の好みで調合する。私は醤油ベースに辣油、麻油、パクチーなどを加えた。 当店の鍋は、長い煙突型。中に炭が入っているようで、最後までぐつぐつと熱い状態で頂ける。今回は具を追加しなかったので、全ての具材は鍋の中に入っている状態で登場する。 店によっては酸菜の酸味が強いが、当店はマイルド。薄くスライスしたバラ肉と一体になって、癖がないのでいくらでも食べられそう。 入店して15分で鍋が出てきて、更に15分で完食。具材を追加で投入したり一品料理も注文してもっとゆっくり楽しむのもありだし、夜市や他のストリートフードをはしごするのもあり。 いずれにしても、台北を食べ歩く上でのローテーションに加えたい、使い勝手の良い一軒。

台北唯一のミシュラン三つ星を誇る広東料理店。 中華圏で中華料理を楽しむにあたって大事なのは、人数を揃えること。その店の本領を知るためには、6人〜8人集める必要がある。私房菜（プライベート・キッチン）の場合、10名からという店もざらにある。元々中華の高級料理は宴会料理なので大人数を前提としているし、鶏丸ごと一匹、魚丸ごと一匹平らげるためには大人数必要という現実もある。 近年、外国人のゲストが多い香港やその他都市部の高級レストランでは、ゲストの食事スタイルに合わせて4人や2人、場合によっては1人でも楽しめるコースを用意するケースが増えてきた。かといって、それがその店の実力をフルに発揮する料理かといえば、鶏丸ごと一匹の例を引くまでもなく、必ずしもそうではない。 当店も、コースは複数用意されている。ただ、それらはロブスター、南半球の鮑、米国やオーストラリア産ワギューなど高価な食材を盛り込んだものとなる。広東料理の本場である香港に行く機会がある方であれば、敢えて台湾の当店で食べる必要はないのではないかと思う。それよりも、少なくとも2人揃うのであれば、アラカルトが断然お勧め。 また、もう一つの本場の中華料理を楽しむコツでもあるが、事前オーダーが必要なスペシャリテこそ本当に食べるべき料理であることが多い。当店の場合でいうと、チャーシューと乳飲み家鴨のローストがそれに当たり、2日前までの注文が必要となる。 ちなみに、以下の料理を2人でオーダーしたが、皿数が少ないこともあって、多過ぎずに適量だった。 台湾はどちらかと言うとB級グルメやカジュアルな郷土料理が中心だが、高級料理も食べてみたいという方には、以下の献立をお勧めしたい。 頤宮叉燒皇 Le Palais Signature Barbecue Pork ル・パレ特製チャーシュー：2日前までにオーダーする必要がある、豚肩肉のチャーシュー。チャーシューには表面がかりかりで比較的ドライなタイプと全体がしっとり柔らかいタイプがあるが、こちらは後者。しっかり中まで火が入っているが、ジューシー。香港の名店の多くがイベリコ豚を使ったりより現代的な火入れを取り入れたりする中で、懐かしさを感じる。 春風得意腸 Steamed Rice Rolls with Shrimp and Chinese Doughnuts 海老と揚げパンの中華風ライスロール：海老のすり身を網状の米粉の生地で包んで揚げたものを、更に腸粉で巻いた一品。香港でも食べたことのある料理だが、日本では稀だと思われる。米粉に米粉を重ねるという、栄養学的には意味のない組み合わせだが、日本のそば飯同様、食感のコントラストを作り出す上で極めて効果的。揚げたかりかりの生地をもちもちの生地で包んでおり、かつ中の生地の方が熱いので、温度のコントラストもある。単純に海老のすり身の揚げ物だけなら印象に残るものではないが、腸粉で包むことで記憶に残る一品となる。 先知鴨二吃 包含：二吃 鴨架粥 或 酸菜鴨架湯 或 避風塘鴨架 擇一 Crispy Roast Baby Duck: Includes your choice of Duck Porridge or Duck Soup or Spicy Wok-Fried Duck Bone with Garlic. 乳飲み家鴨のロースト：生後一ヶ月の先知鴨と呼ばれる家鴨のロースト。北京ダックと同じ品種の家鴨だそう。皮目はパリッとしているが、極薄なので、北京ダックのかりかりした食感とは異なる。広東風ダックと同様、皮目と身を一緒に頂く。部位によっては生後一ヶ月とは思えないくらい脂が乗っているが、この脂が雑味が一切なく上質。 ローストに続いて、家鴨のガラを使った料理三種類（家鴨の粥、家鴨のスープ、家鴨の辛味ニンニク炒め）から、家鴨のスープを選択。スープには酸菜（中国東北地方の発酵白菜）が入っており、前日に台北「圍爐」で食べたものより酸味が強い。脂の乗った鴨の後の口直しにぴったり。 強哥炒米粉 Wok-Fried Rice Noodles with Crab Meat and Eggs シェフ特製炒めビーフン：葱、もやし、卵、生のカニのほぐし身入り。ビーフンは、短い上に極細。締めに炭水化物を食べているというより、ビーフンが具の一つとして入っている炒め物を食べているという印象。重たくならないので、箸が進む。

雲南料理、湖南料理、台南料理をコンセプトとしたレストラン。 本来、この3つの地方は地理的にも文化的にも離れていて、敢えてくくるだけの共通項はないように思われる。それが、水岡シェフの手にかかると、全く違和感なしにまとまったコースとして成立する。 日本にしかない、唯一無二の中華料理店。 ＜2019年3月＞ 冷菜： 芽キャベツ、家鴨の卵の塩漬け 台湾緑竹の唐墨マヨネーズ和え よだれナマコ、ピリ辛ソース 牡蠣のスモーク、発酵パイナップル 菜の花ピータン豆腐 酔っぱらい海老：甘海老の紹興酒漬け、ハイビスカスの甘酢漬け 珍味盛り： 鴨舌 パリパリ大腸 ウイグルソーセージ 季節の野菜料理 ポロ葱と海老の卵・海老・オマール海老味噌の春巻き 鰆の蒸しもの、塩レモン 猪頬肉のビール煮込み 蛍烏賊と桜海老の台湾おこわ 林檎のシャーベットと桃の樹液の杏仁豆腐