【あべの・天王寺】料亭の系譜を受け継ぐよそ行きの日本料理

出典: kurodaさん

【あべの・天王寺】料亭の系譜を受け継ぐよそ行きの日本料理

あべの・天王寺周辺で、昔ながらの伝統や格式を残しつつも、それほど高くない値段で利用できる料亭をセレクトしました。たまに奮発して、料亭の優れた味や盛り付け、上品なサービス、器や調度の妙に触れてみませんか?

キーワード
ランチ
個室

記事作成日:2018/11/28

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時代に合わせて変化する料亭

 企業の接待、宴会や商談、要人や政治家の密談等に使われることが多い料亭は、高級日本料理店の代表格で、今までは、いわゆる「一見さんお断り」の、未知で閉ざされた空間とされてきました。
 しかし、バブル崩壊や官官接待の激減など、それまでのスタイルでは立ち行かなくなり、21世紀以降、一般に利用しやすい価格にし、様々なプランやイベントを行ったりし、結婚式・披露宴に力を注ぎ、新たな顧客の誘致を図っています。
 あべの・天王寺周辺で、昔ながらの伝統や格式を残しつつも、それほど高くない値段で利用できる料亭をセレクトしました。たまに奮発して、料亭の優れた味や盛り付け、上品なサービス、器や調度の妙に触れてみませんか?

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花外楼 あべのハルカスダイニング店

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 近鉄・大阪阿部野橋駅の直上。「あべのハルカス」14階レストラン街にある日本料理のお店です。この花外楼は北浜に本店があり、創業は天保年間というからかなりの老舗。
 維新の元勲たちが明治8年に大阪に集まって立憲政体の樹立を諮った、いわゆる「大阪会議」の成功を祝い、この「花外楼」の屋号が木戸孝允より給われたとのこと。

老舗料亭の矜持を見せる「志野」

 会席料理の中の最もリーズナブルな「志野」(6,300円)では、「先付」として毛蟹寄山の芋・生海胆・鱧が出されます。

 「煮物椀」は蓮餅と鰻です。実に上品な味わいながら、風味に主張が感じられます。

 「造り」は蛸、鮪、鯛です。素材は当然ながら上質の物を使っています。

 「八寸」は実に美しい盛り付け。焼肴のクエも合わせています。美しさもさることながら、味にも拘りが感じられます。

 「強肴」は揚げた鮎を出汁に浸しています。手が込んでいますね。

 「焚合せ」は豚角煮です。白味噌でホワイトソース風にしています。肉はトロトロ!玉葱が実に甘い。
 手間を惜しまず、上質のものを提供する姿勢は、料亭の矜持を感じさせますね。そう考えるとこのコストパフォーマンスは実に優れているといえます。

春帆楼 あべのハルカスダイニング店

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 近鉄・大阪阿部野橋駅の直上。「あべのハルカス」14階レストラン街にある、創業明治21年、初代総理大臣伊藤博文公により河豚料理公許一号店として認定されたお店として知られる下関の老舗の支店です。
 春帆楼を有名にしたのが当時の二階大広間を会場に、日清戦争の講和会議が繰り返し開かれたのちに日清講和条約(下関条約)が締結されることとなったからです。

歴史の舞台となった春帆楼の料理を大阪で味わう

 店内は手前右側がオープンなテーブル席、左側が半個室のテーブル席、奥がお座敷といった構成で、50席ちょっとのキャパシティ。明るい和風のインテリアデザインで、青海波のような塗り壁が古風かつモダン。
 会席料理のの「月波」(5,400円)では、食前酒と「先附」に続き、季節の五種盛りの「前菜」が運ばれてきます。人参カステラ、手長海老、煮こごり等々。煮こごりは生姜が効いていてスパイシー。人参カステラは伊達巻のように甘いがニンジンの風味がしっかり主張しています。

 「椀物」は雲丹豆腐のお汁です。上品な味付けで出汁の香りが実に豊か。舞茸があしらわれています。

 「造り」はふく刺しです。一人用のミニサイズで、お皿の上の河豚をお箸で一枚めくってチャイブみたいな極細のネギを巻いていただきます。ネギの強い香味と、それに負けない河豚の旨みのハーモニーがいい。
 湯引きは柔らかく仕上がっているが、弾力も結構残っています。

「焚合」せは小芋や生麩など。「揚物」はふく唐揚げです。身がふっくらしていて、衣がカリカリ。これも美味しいですね。

 「ふくちり小鍋」は身が大きく食べ応えがある。河豚もさることながら、豆腐がふっくらして美味しい。また、ポン酢が芳醇でいいですね。
 鍋の後は雑炊です。旨みの凝縮したお出汁を吸ったお米がふんわりとなっています。玉子と相俟って優しい味わいに仕上がっています。

阪口楼

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 JR・地下鉄の天王寺駅から歩いて5分ぐらいのところ、天王寺公園の横手、統国寺の並びにあるお寺のような門構を持った料亭です。
 ここは明治時代からミナミの随一の芸妓を抱えていた「南地・大和屋」の分家筋。はんなりとした上方文化の色香を残しています。
 ここは普茶料理をいただけることでも知られています。「普茶」とは「普(あまね)く衆人に茶を施す」という意味で、江戸時代初期に隠元禅師が中国から黄檗宗とともに日本へもたらされた精進料理です。

食べ応えのある精進料理

 「麻腐」は黒胡麻豆腐です。酒粕風味の灘味噌の上にはクコの実とマタタビの甘露煮が乗っています。胡麻の香ばしさが際立ちますね。
 「特菜」は湯葉の長芋巻きです。濃厚でトロっとした風味の湯葉の中に食感の異なる長芋がコントラストです。

 「澄免」は精進清汁のにう麺仕立てになっています。素麺の他、エノキと銀杏が入っていて、酢橘が爽やかな風味を出しています。

 「温菜」は茄子の赤味噌田楽です。茄子と油は相性がいいですね。濃厚な赤味噌に柚子の風味がマッチします。

 「笋羹(しゅんかん)」は粟麩の木の芽味噌和え、普茶巻き寿司、椎茸の南蛮煮、みぞれマスカット、昆布の八幡巻き、栗煎餅、柿白和えです。マスカットをみぞれにするのはユニーク。栗も包丁で薄切りにして揚げたそうです。これぞプロの技!

 「油磁」は揚げもの。蓮根南瓜、寄せ百合根、紀州梅蜜煮、おくら東寺、金時草です。辛子蓮根かと思って食べたら甘いので少し驚いた。甘い梅干しが丸ごと揚がっているとは…

 「雲片」とは野菜の切れ端を炒め、葛寄せにしたものだそうで、揚げ海老芋やの餡かけとともに、蕪や人参が添えられています。しっかりした味付けです。
 さすが精進料理、動物性のものは一切入ってないが、中国風なだけあって、しっかりとメリハリが効いていてボリウムもある。この内容で、しかも天王寺公園の借景があって一人4,500円(税・サービス別)なら、コストパフォーマンスは高いと思います。

日本料理 大乃や

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 近鉄・大阪阿部野橋駅の直上。「あべのハルカス」13階レストラン街にある、大阪・天満橋にの料亭旅館「大乃や」の支店です。
 1914(大正3)年に大阪・三休橋の南詰に開業した仕出し弁当店「魚国商店」を発祥とし、現在、社員食堂や病院食など、コントラクトフードサービスを主な業務とする株式会社魚国総本社が、1951年に、大阪・天満橋に料亭旅館「大乃や」を開業したのが創始 だそうです。

落ち着いた雰囲気でいただく上質な和膳

 店内は和モダンのしっとり落ちついた雰囲気です。席数は50席ほど、個室になっているお座敷もあるようです。坪庭の様な設えがあったり、テーブルがゆったりと配置されるなど、贅沢な空間構成になっています。
 ランチメニューは5種類ほどの和風の御膳のみ。さまざまな和の小品をコンパクトにまとめた「飛雲」(2,400円)は、やや大きめのトレイに、魚、焚合せ、大阪しろな浸し、ちりめん山椒、麩田楽、村雨玉子、大阪合鴨と野菜のテリーヌなどが並び、その横には揚げ物のお皿が居座っています。

 中央にあるのは茶碗蒸しと思いきや、南京クリーム蒸しなるもの。コーンクリームスープを濃厚にしたような蒸し物でピンクペッパーがアクセントになっています。焼魚はサワラかな?

 揚げ物は野菜の天ぷらと、海老の変り揚げだそうで、エビフライのような変わった食感。変化球の一品です。

 お料理は程よく上品にまとまっていて、器にも趣向が凝らされている。さすが天満橋で大きな料亭を盛業されているだけのことはありますね。落ち着いた雰囲気で、ゆったり食事をするにはいいお店です。

料亭 まつむら

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 各線・天王寺駅から北方向、悲田院町の街中にひっそりと佇んでいる会席料理の料亭です。
 ここは住友家本家の大阪別邸として建てられた数寄屋建築のお屋敷を、昭和34年に料亭として改装したもので、大ターミナル天王寺…都心のど真ん中にあるのが嘘のような、老舗の料亭です。

季節感こそ日本料理の神髄

 会席料理(6,480 円サービス料別)では、和装の仲居さんが離れの個室・芙蓉の間に案内してくださいます。6畳間ぐらいの広さで、茶室というか、書斎のような落ちついた空間になっています。
 「先付」は玉子豆腐、前菜の桜海老真 蒸、ホワイトアスパラ桜花焼き、こごみ白和え、一寸豆蜜煮、サーモン蕗味噌田楽です。春らしい華やかな色合いで、薄味の上品な仕上がりが好ましい。

 「造り」は五種盛となっていて、穂紫蘇、ペリーラが添えられています。初鰹は縁起物。鯛は適度な熟成で旨みが著しい。サヨリは甘みが際立っています。

 「吸物」は蓋を開けるとふわっといい匂い。薄葛仕立てになっていて、桜饅頭が沈んでいます。一輪の桜花に金箔が散らされ実に華やか。出汁の美味さが光ります。

 「凌ぎ」としてお寿司が出されました。一口サイズのイカの押し寿司です。もっちりしたイカのテクスチャーを楽しみます。

 「炊合」は鱸の山菜巻きやワカメ、タケノコ、長芋、桜蛸など。うすいえんどうが散らされています。出汁を活かした風味だが、タコだけはしっかりとした味付けで、これが柔らかくて実に美味しい。

 「焼物」は鰆の若草焼きです蝶型に抜かれたサツマイモが甘くて特徴的。揚物はすべて山菜。こごみ、ゼンマイ、ふきのとう。ほのかな苦味がまさしく春の味です。
 離れから窓の外に目をやれば、今まさに満開の八重桜が咲き誇っています。静寂の中、小鳥の囀りに交じって、ときおりポチャンと鯉の跳ねる水音が風情を感じさせます。

敷居は意外に低い

いかがでしたか?敷居の高そうな料亭でも、ランチなら意外にリーズナブル。ほんの少し贅沢して、上質の空間に身を置いてみるのもいいと思います。

※本記事は、2018/11/28に作成されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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