【芥子】堺の老舗和菓子店・6選【肉桂】

出典:tabelog.com

【芥子】堺の老舗和菓子店・6選【肉桂】

千利休に縁する堺の和菓子は、刃物、線香などと並ぶ伝統産業のひとつです。お気に入りのお菓子を見つけに、堺の旧市街地をのんびり走るちん電・阪堺電車に乗って、堺の街を探訪してみませんか?

更新日:2021/09/15 (2018/09/14作成)

11733view

このまとめ記事は食べログレビュアーによる1550の口コミを参考にまとめました。

ちん電de和菓子

 堺の旧市街地をのんびり走るちん電・阪堺線の沿線には、さすがに京都程ではないが老舗和菓子店が多く見られます。千利休に縁する堺の和菓子は、刃物、線香などと並ぶ伝統産業のひとつです。
 堺は中世より「東洋のベニス」と称されるなど、交易の盛んな商業都市として栄え、海外からの珍しいものがここに運ばれてきました。
 芥子や肉桂などは漢方薬としてこの堺に集積されるとともに、裕福な商人が当時貴重であった砂糖をふんだんに使えたことなどから、堺の和菓子文化が栄えました。
 京都の和菓子は朝廷への献上品として発展したことから、その美しさも重視されているが、ここ堺では庶民文化に支えられた味重視の質実剛健な和菓子となっているのが特徴です。
 お気に入りのお菓子を見つけに、ちんちん電車に乗って堺の街を探訪してみませんか?

【花田口】八百源来弘堂

八百源来弘堂

 阪堺電車・花田口電停から東側。閑静な住宅街の中に佇む和菓子屋さんです。
 ここは創業200有余年の老舗で、その旧家の建物からも歴史を感じさせます。
 暖簾をくぐると、一面に様々な和菓子が並ぶとともに、一角にお茶の道具も飾られている。多くの茶人に重用されてきた風格を感じさせます。

肉桂の香りがさわやかな和菓子

八百源来弘堂

 こちらの看板商品である「肉桂餅」(200円)は、小袋を開けるフワーっと肉桂の香りが立ってきます。
 お餅は漉し餡を実に柔らかい求肥で包み込んでいるもので、この求肥に桂皮が練りこまれていて肉桂の風味を立たせています。

八百源来弘堂

 ほんのりと甘い漉し餡と、ちょっと辛みの感じられる肉桂の求肥との対比がこの極上の風味を織り成しているようです。
 上品な茶菓子というより、ちょっと傾いた味わいは、この菓子を扱い得る茶人の技量が問われるのかもしれません。

【大小路】丸市菓子舗

丸市菓子舗

 阪堺電車・大小路電停からすぐ近く、山之口商店街から電車通りに近づいた場所にある、創業が明治28年(1895年)という老舗の和菓子店です。お店の佇まいからもその老舗感が伝わってきます。
 店内も歴史を感じさせる趣で、古びたショーケースには色とりどりの和菓子がならんでいます。

伝統の鮎菓子は涼やかな姿

丸市菓子舗 - 鮎菓子

 鮎菓子(1個194円)は、上品な甘さの求肥が玉子風味のほんのり甘い皮に包まれて鮎を形づくっています。
 もちもちした求肥とふんわりした皮の食感の対比が楽しいですね。京菓子のような色の華やかさはないが、味を重視した仕上りです。

丸市菓子舗

 「あんみつ」(432円)は、寒天、求肥、さくらんぼ、みかん、パイナップル、あんこ。実に彩り豊かです。
 白蜜を掛けていただくと、フルーツの爽やかさと、餡と白蜜の上品な甘さが掛け合わされて実に美味しい。夏場だけの楽しみです。

【宿院】本家小嶋

本家小嶋

 阪堺電車・宿院電停から北西方向にすぐのところ、電車通りのひと筋西側の筋にある和菓子店です。
 ここは創業がなんと1532年という超老舗。和菓子屋さんらしくないお店の外観は、暖簾がなければ見過ごしてしまう、知る人ぞ知る…といった佇まいです。

堺ならではの伝統の味「芥子餅」

本家小嶋

 「芥子餅」(135円)は柔らかな求肥にたっぷりの芥子が均一にまぶされていて、口に含むと芥子の持つプチプチしたテクスチャーと独特の香ばしさ、そして漉し餡の上品な甘さが絶妙のハーモニーを奏でています。
 さすが伝統の味わいです。

本家小嶋

 「ニッキ」(135円)は芥子餅に伍しての人気商品。ニッキによる独特の 風味が癖になりそう。
 有名な八百源来弘堂のそれよりニッキがマイルドなので、スパイス系の苦手な方にはこちらの方が喜ばれそうです。

【寺地町】かん袋

かん袋

 阪堺電車・寺地町電停近く、紀州街道の1本東側の通りの角にある甘味のお店です。 創業は鎌倉時代末期の1329年というから超老舗。「かん袋」の命名は豊臣秀吉とのことです。
 お店自体の意匠には全く意を払われていない、場末のお店といった感だが、いつも賑わっています。

ひんやりさっぱり「氷くるみ餅」

かん袋

 「氷くるみ餅」(350円)は、名物のくるみ餅にカキ氷を盛ったものです。
 上の氷には味は無く、お皿の底に緑のずんだ餡で包まれたくるみ餅が潜んでいて、これと混ぜながらいただきます。

かん袋

 明治時代、氷が簡単に作れるようになってから、今の氷くるみ餅が人気になったとか。
 くるみ餅自体の甘みが強いので、氷と合わさってすっきりした甘さになります。こんなに冷たくなっても餅が硬くならないのがいいですね。

【寺地町】大寺餅河合堂

大寺餅河合堂

 阪堺線・寺地町電停から西方向に歩いて5分ほどのところ、事業所や住宅が雑多に入り組んでいる、いかにも堺らしい町並みの中にある老舗です。
 創業が慶長元年(1596年)というから時代は豊臣秀吉の世。エントランスの頭上には木製の立派な看板が掲げられていて、歴史的な看板商品の名『餅寺大』と記されています。

大寺餅河合堂

 看板商品「大寺餅」(6個入・550円税別)は、漉し餡ときな粉が3つずつ綺麗に並んでいます。
 各お餅は紙の小分けパックに収まっています。

大寺餅河合堂

 先ずは漉し餡の方を…餡は実にクリーミーで甘みはしっかり。中のお餅はしっとり柔らかく搗きあがっています。
 いつかどこかで食べたことのあるような味わい…あ、そうか!赤福や!

大寺餅河合堂

 きな粉は…こちらはほんのり甘くてあっさりと。
 あんこが無い分、しっとり柔らかいお餅の美味しさが強調されます。

【浜寺駅前】福栄堂

福栄堂

 阪堺電車の終点、浜寺駅前電停の目の前、南海本線・浜寺公園駅からもすぐ近く。創業が1907年という老舗の和菓子店です。
 2012年に区画整理による移転があったので建物は新しいが、軒に掲げられた開業当初からの看板が歴史を感じさせます。
 店内も新しいものの、丁度や暖簾などから歴史を感じさせる趣き。ショーケースには色とりどりの和菓子がならんでいます。

福栄堂

 「松露だんご」の4個入りパック(325円)は漉餡と白餡のお団子がふたつずつ詰められています。
 米粉と上質のお砂糖だけで作られた団子を、漉餡、白餡でまん丸く包んだ、明治40年の創業時より変わらぬ味という「松露だんご」。その名前の由来は小さくて丸い茸の一種である松露に似せているからですね。

福栄堂

 口に入れると、ぷりぷりでもっちりした団子が、きめ細やかでなめらかに炊きあがった餡との邂逅を得て、実に格調高いお団子に仕上がっていると感じます。
 控えめな甘さにより、小豆や白インゲンといった素材の味を感じさせる風合いです。なるほど、千利休に縁があり、茶の湯が盛んな堺のこと、お茶席には絶好のお菓子なのかもしれません。

※本記事は、2021/09/15に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

ページの先頭へ