2009年オープンで11周年。人気・実力ともに鎌倉でもトップクラスの和食店。 : 坂ノ下　田茂戸

この日はかみさんとディナー。

やって来たのがこちらの和食店。

場所は、鎌倉市坂ノ下というエリアの住宅街の一角。
江ノ電長谷駅から徒歩1分少々というロケーション。

食べログデビュー前（一ユーザーとして参考にはしていました）から気にしていた、
人気・実力ともに鎌倉でもトップクラスの和食店の一つ。

2015年まではミシュランの☆を獲得し続けていました。
2016年以降はミシュランが横浜・川崎・鎌倉・湘南の評価をしなくなったので、
結果的にはミシュラン☆ホルダーのままだと私は思っています。
評価をしないのはミシュラン側の勝手であり、☆を落としたわけでは無いので。
あくまでも私見であり、そうじゃない考えの方も実際にはいますけどね。

まあそんなことはどうでも良くて、とにかく美味しそうなオーラが漂ってんすよ。
そこが一番重要なところ。

ご主人は15歳から現・和さびのご主人が経営していた寿司店で修業をし、
その後は、道場六三郎氏に師事されたという経歴の持ち主。

私と年代は近いのですが、既に料理人歴40年近くになろうかという実績。

なぜに今まで訪問しなかったかというと予約困難店だからです・・・
3か月間のみ予約可能で、例えば8月に予約を入れれるのは10月まで。
その8月1日に予約の電話をし、その時点で取れたのが10月下旬（＾＾；
おそらく常連枠というものがあって、一見はその隙間を縫うように
潜り込むしか無いんでしょうね。

それでも何とか予約が取れたのは幸いでしたよ（＾＾）

夜のコースは、

・田茂戸コース　8000円（税抜）

の1本勝負。

3ヶ月近く待ちましたが、その間にも美味しいお店に訪問していますので、
それほど待ちくたびれた感も無かったですね。

予約時間となる18時少し前にお店に到着。
夜の表情を初めて見ましたが、凛とした雰囲気のいいお店ですね。

引戸を開けて靴を脱いで上がるスタイルです。

店内は厨房を囲むようにL字カウンターがあり、掘りごたつ式の座卓が1卓。
カウンターはMAX8名くらい座れますが、この日は5名で利用しました。
座卓はMAX6名くらい座れますが、この日は3名で利用していましたね。

たまたまカウンターは予約時間が同じだったこともあり、
同時スタートになり、料理も同じタイミングで出されることになりました。

お店は、くだんのご主人と女将さん、そして奥の厨房にも女性がお一人。

BGMはありません。ご主人と常連さんの会話のみです。

ということで、この日に頂いた内容は以下になります。

・楯野川 純米大吟醸 源流冷卸 山形　1300円？(税抜)
　　私のオーダーです。メニューに記載が無いので価格は予想です。
　　山形県酒田市に蔵を構える楯の川酒造の造る純米大吟醸。
　　季節は秋。ひやおろしの季節（＾＾）
　　ひやおろしの特徴は、火入れを一度行ってから貯蔵したお酒。
　　飲んでみると甘みが印象的です。嫌味な甘みでは有りません。
　　同時に米の旨味もしっかりとあります。これは旨いなあ。
　　かみさんもこれは旨いと感動していました。

・一根六菜ソーダ割り　800円(税抜)
　　かみさんのオーダーです。
　　梅酒と人参などの野菜も加えたお酒だそうで。
　　それをソーダ割りにしてもらいました。
　　梅酒の風味、酸味、人参などの野菜の甘み、風味もあり、
　　これは旨いですよ。私なんかゴクゴクいけちゃいそうですもん。
　　かみさんも大事に飲んでいましたね。

・前菜
　　銀杏、根セルフィーユ、きぬかつぎ、あんぽ柿のクリームチーズ和え、
　　子持ち昆布、秋刀魚生姜煮、菊花と春菊のお浸しになります。
　　いやあ、ウキウキしますね（＾＾）
　　ミニ八寸のような酒のススム品揃えで。
　　根セルフィーユって初めて食べましたが、ホクホクした甘みのある芋ですよ。
　　葉っぱしか食べたことが無いので貴重な経験です。
　　秋刀魚生姜煮は骨が有るのかな？と思うくらいに柔らかく煮込まれて。
　　あんぽ柿のクリームチーズ和えにはいぶりがっこがアクセントに。

・御椀
　　甘鯛の柿見立て椀です。
　　甘鯛の身を柿色に染めた餅生地で包み込んで、
　　小さな椎茸で柿のへたを表現。
　　そして秋の味覚松茸を浮かべ、柚子を添えて。
　　好みとしては餅生地で包まずに甘鯛の身をそのまま頂きたいのですが、
　　それだと高額な材料費になってしまうのと、季節を表現したかったんでしょうね。
　　あくまでも私があまり餅を好まないだけの話ですので料理は美味しいです。
　　吸い地は鰹出汁の効いたもので美味しかったですからね（＾＾）

・刈穂 純米吟醸 秋kawasemi 秋田　1300円？(税抜)
　　私のオーダーです。
　　秋田県大仙市に蔵を構える秋田清酒の造る純米吟醸。
　　こちらもひやおろし。
　　楯野川 純米大吟醸 源流冷卸よりも少しだけすっきりテイスト。
　　これも旨いわ。

・造り
　　メニューには真鯛と記載されていましたが、この日はコチが提供。
　　ある意味、真鯛よりもコチの方が嬉しかったりして（＾＾）
　　常連さんも私と同じ感想をご主人に伝えていましたね。
　　コチのえびすめ和えです。えびすめとは昆布のことだそうで。
　　コチを塩昆布で和えて、いくら、菊花、茗荷、三つ葉をあしらったもの。
　　コチの身がコリコリで、良く噛むと白身特有の淡白な旨味がじゅわっと。
　　そこに塩昆布の旨味と塩味、いくらの旨味と塩味、茗荷、三つ葉の香りが加わり、
　　最高ですね（＾＾）

・揚物
　　安納芋、胡麻豆腐、もみじ麩、舞茸の天婦羅 出汁餡がけです。
　　安納芋はホクホクとした甘み。胡麻豆腐は胡麻の香ばしさがしっかりと。
　　添えられた山葵も活用しながら頂きました。
　　舞茸は天婦羅にすると余計に香りが立って旨いよね（＾＾）
　　出汁餡は関東風の鰹出汁が濃いめの味付けでしたね。

・和三盆梅酒ソーダ割り　800円(税抜)
　　かみさんのオーダーです。
　　まさに和三盆らしいスッキリとした甘さ。くどく無いです。
　　梅の風味も塩梅が良く旨い。

・鍋島 特別純米酒 クラッシック 白菊 佐賀　1300円？(税抜)
　　私のオーダーです。
　　佐賀県鹿島市に蔵を構える富久千代酒造の造る特別純米酒。
　　岡山県の白菊酒造の強い思いと情熱から、僅か55粒の種籾から
　　蘇らせた酒米である白菊を100％使っているのが特徴。
　　そういう意味合いからクラシックなんですね。
　　飲んでみるとフルーティーだけど辛口という不思議な味わい。
　　なんというかいいとこ取りのような。
　　とにかく旨いのは確かであり、かみさんも同じ意見。
　　日本酒はこれで〆ましたが、今回飲んだ3銘柄は全部旨かったです（＾＾）
　　料理もだけど、酒も美味しくないとトータルな満足度が違うもんね。

・蒸物
　　二味茶碗蒸し。
　　一つめが、蟹醍醐玉地蒸し。
　　茶碗蒸しの生地に蟹の出汁とモッツァレラチーズを合わせたものをかけ、
　　青ねぎを散らしたものです。
　　これが濃厚な蟹の風味が出ていて旨いのなんの（＾＾）
　　青ねぎがこれまたいい役割をはたしてくれるんですよ。これは必然です。
　　二つ目が、いくら豆乳蒸し。
　　自家製豆乳といくらを蒸して銀餡をかけたものです。
　　豆乳を蒸していますのでいわゆる豆腐のように固まっています。
　　いくらだけが余るので、蟹醍醐玉地蒸しにぶちこんで混ぜて食べると最強！

・強肴
　　名残り惜しいですが料理としてはラスト。
　　牛ローストと焼たまねぎ。ベビーリーフサラダと自家製柚子胡椒を添えて。
　　焼たまねぎはじっくりと火を入れたものを食べる直前に半分にカット。
　　たまねぎの甘みをストレートに味わえます。柚子胡椒で味変しながら。
　　牛ローストはいわゆるローストビーフ。大きめのが3切れ乗って（＾＾）
　　食事の後半ですが、すっきりとした肉質ですのでパクパク食えますね。
　　もちろん柚子胡椒との相性は鉄板です。
　　道場六三郎氏の影響？なのか、強肴に牛肉を持ってくることが多いようです。

・食事
　　1組ずつ釜で炊いてくれます。
　　この日は五目炊き込みご飯。赤出汁と大根の柚香漬けを添えて。
　　五目炊き込みご飯の具材は、きぬかつぎ、しめじ、舞茸、蓮根、牛蒡、
　　油揚げ、山椒、ねぎと五目どころでは無いです。他にも入っていました。
　　久しぶりに食べる炊き込みご飯。
　　私は和食店の最後の食事は炊き込みご飯系が大好きで（＾＾）
　　正直、雑炊系、麺類だと残念な気持ちに。それぞれ美味しいのですが。
　　かみさんも同様で、お互い1杯ずつお代わりをして釜は空っぽに。

・デザート
　　栗のムース リンゴのコンポートと無花果添えです。
　　ムース部分はわりとしっかりと固めで、栗の風味が濃厚。
　　なかなか栗の風味を出すのって難しいと思うのですが。
　　これまたボリュームもけち臭く無くてたっぷり入ってましたよ。

これで消費税10％ 2150円を加えて、〆て23650円。一人当たり11825円。

なんと11周年記念とのことで自家製ポン酢を頂きました（＾＾）
前菜のお浸しのポン酢が旨かったなあとかみさんと話していたところに、
まさかのそのポン酢のプレゼントに笑みがこぼれましたよ。

2009年オープンで11周年。まだまだお若いご主人ですので、
これからもお店の歴史を刻み続けていくんでしょうね。最低でも35周年！

それにしても前菜の時点で期待通りの美味しさで嬉しかったです。
その上、メニューに記載のない日本酒もあって、それらが全て美味しいと。

ご主人も女将さんも物腰が柔らかくて、一見の我々でも緊張は一切せず、
美味しい料理と酒を存分に堪能することが出来ました。

足元はヒーターになっていますので、これからの季節は特に女性は嬉しいかも。
まあ男性の私も足元が暖かいのはウェルカムですけどね（＾＾）

予約困難店ですので「来週行くか！」という感じでは訪問出来ませんが、
またいつかは再訪したいお店の一つになったのは確か。

そもそも美味しいだけでは無くて安いですもん。月一通える価格帯。
大船にあれば間違いなくリピーターになっているでしょうね（＾＾）
帰るときに次の予約を入れて。

ご馳走様です！（2020/11現在、3.63ポイント、ミシュラン☆）