【1012】北京宮廷料理の一端を垣間見る : 涵梅舫 銀座店

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北京宮廷料理 銀座 涵梅舫（かんめいほう）。
1999年（平成11年）にはフジテレビ「料理の鉄人」に出演し、
中華の鉄人陳健一氏を破って優勝したそうです。
名古屋駅の近くに名鉄 涵梅舫も展開しています。

事前申し込みで満漢全席（54,000円）も楽しめるようなのですが、
今回は初訪問ということで飲み放題付き6,000円のコースで小手調べ。
友人のお祝いの席だったのでジャンボ桃饅（3,240円）も追加で予約。

三井不動産の「銀座ベルビア館」8階レストラン街にお店。
店内はテーブル席と個室で66席あるようです。
空いていることもあってか8名個室を4人で利用していました。

ホールのスタッフは中国人でしょうか。
チャイナドレスの女性や男性スタッフが給仕してくれます。
銀座ベルビア館だけあって店内の意匠はスタイリッシュなのですが、
床におしぼりの袋が落ちていたりテーブルクロスに染みがあったり。
高級店にしては抜けている部分があるように思いました。

前述の通りコースには飲み放題（2時間）付き。
最初の1杯はとりあえずのビール。
生ビールではなく瓶ビールなのですがプレミアムモルツの中瓶。
紹興酒は女児紅をボトルでリクエストすることも可能でした。

安い居酒屋の飲み放題のようにグラス交換制では無いですし、
プレモル中瓶と女児紅のボトル（中瓶サイズぐらい）があるので、
遅延行為でテーブルにドリンクが無いという事態もあり得ません。
この飲み放題はなかなか気に入りました。

6,000円（税込）の2時間飲み放題付プランの料理内容は以下の通り。

1 三種冷菜の盛り合わせ
2 フカヒレスープ
3 牛肉の黒胡椒炒め
4 大海老のマヨネーズ炒めと唐辛子炒め
5 特製椎茸とガーリックの炒め
6 チャーハン
7 杏仁豆腐

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点。
表示価格は内税です。

【3.4】三種冷菜の盛り合わせ

クラゲ、紅糟（ホンツァオ）で周りが赤くなったチャーシュー、
黄身入りのハム（のような豚肉）、キュウリ、ニンジンも添えられて。

鳥の形に切り抜いたニンジンはなかなかのアイディア商品。
黒胡麻で「目」まで演出しています。
甘酢で味付けしてあって味も悪くないです。

クラゲは普通、飛び抜けて美味しかったのがチャーシュー。
肉がジューシーで深みのあるタレの味わいも気に入りました。
黄身入りの豚肉のほうは肉の臭みが少し気になりました。

【3.3】フカヒレスープ

レンコンかクワイかシャキシャキした細かい野菜入り。
フカヒレより野菜や卵が多いですがこの値段で文句も言えません。

鶏なのか豚なのか動物系の清湯スープといった味わいで、
獣臭くも感じるのですが薄めで上品な「湯」は美味しいです。
同席者からは豚足やガツも出汁に入れているのではないかとの意見。

【3.6】ジャンボ桃饅（3,240円）

飲み放題の肴にすることを画策して先に出して貰いました。
桃に見立てたジャンボ饅頭には大きく「壽」の一字。
寒天のような緑色の個体にラップを敷いてその上にジャンボ桃饅が鎮座。
しかし飾り付けがパセリだけと少し寂しい。
お店のホームページ掲載のジャンボ桃饅ほど豪華では無かったです。

ジャンボ桃饅の皮は中力粉なのか肉まんの生地のよう。
チャイナドレスの女性スタッフが入刀して桃を割ります。
桃太郎ではなく人数分（4個）のミニ桃饅が中に隠れていました。

ハチミツのようなバターのようなカスタードクリームのような、
凄く甘くて濃厚な餡がミニ桃饅の中に入っていて美味しいです。
中華のスイーツって美味しいと思うことが少ないのですが、
このミニ桃饅は皮も美味しければ餡も美味しかったです。

残った皮はフレンチにおけるバゲットのように料理のソースを掬う役目に。
男性スタッフによれば下の緑色の個体は杏仁豆腐と同じとのことでしたが、
味の無い寒天のようで美味しくないので食べるのは断念。

皮のクオリティが高いのでジャンボ桃饅の皮も食べるに値するのですが、
実質的に食べられるのはミニ桃饅だけでしょうか。
1個800円と考えると割高ですが全体としての演出効果は高いです。
美味しいイベントアイテムとして注文しても損は無さそう。

【3.5】牛肉の黒胡椒炒め

重曹でやわらかくしたのか牛肉を黒胡椒とオイスターソースで炒めています。
横浜中華街の萬珍樓で食べた牛肉もこんな風にやわらかかったです。
中華料理ならではの食感の肉料理。

【3.7】大海老のマヨネーズ炒めと唐辛子炒め

北京宮廷料理というより日式中華のような海老マヨですが、
フレンチの「カダイフ巻き」のように周りがパリパリ。
食感のアクセントもあってか、美味しくてこの日の一番でした。

唐辛子炒めはクワイ、銀杏、カシューナッツ、唐辛子、パプリカ、
ピーマン、フクロダケのようなキノコとオイスターソース炒めに。
油通しした唐辛子のブツ切りが入っていて一緒に食べるとかなりの辛さ。
マイルド濃厚な海老マヨとはまた違う方向性のこれも良し。

【3.6】特製椎茸とガーリックの炒め

シイタケに衣を付けてカリカリに揚げています。
ニンニクの香りとカリッとした食感が非常に良いです。
油と粉とニンニクでシイタケの美味しさを昇華。
味付けは相変わらずのオイスターソース系ですがこれも美味しい。

【3.3】チャーハン

ハーフサイズというかクオーターサイズのようなミニチャーハン。
ミックスベジタブル入りの安っぽい五目チャーハンですが、
大衆中華の安っぽいチャーハンよりはスキルを感じます。

【3.7】杏仁豆腐

杏の香りをしっかり感じられて、フルフルとろとろな食感。
濃厚さには欠けるので4.0級とまでは言えないのですが、
官能的にも感じるこの杏仁豆腐の食感は気に入りました。

お店のホームページを見ると料理内容が3,800円のコースに酷似。
料理3,800円＋飲み放題2,200円と考えれば妥当なところでしょうか。
全体的に料理のボリュームは物足りなかったのですが、
随所にシェフのテクニックのようなものは感じられました。
凡百の中華料理店とはやはりセンスが違うのでしょう。

北京「宮廷料理」のお店なので、本当は散財覚悟で挑むべきでしょうか。
グランドメニューを見ると単品で5,000円を超えるメニューが多数。
今回の飲み放題付きコースと同じ値段のメニューがゴロゴロあるのです。
満漢全席などの高級料理にこそお店の真価があるのかも知れません。