良い意味での変態ぶりは感じました。コース料理としては不協和音も個人的には感じますが、興味深い、良いお店だと思います。 : LOOP TOKYO

コロナ禍前から行きたいと思っていたお店が関東には2件ありました。
一件は当店。もう一件は東京国領のドンブラボー様でした。
どちらのお店からも直感的に良い意味での変態ぶりを感じていました。
お値段も良心的ということも頭には入っていました。
本当は移転前にお邪魔したかったのですが、コロナで延び延びとなってしまい、
昨年末にようやく訪問できました。

結論から申し上げると、どの品も一定レベル以上で、中には「おっ!」と
思う品もあり、思考の果ての作品だとは感じました。ただし、
一品、一品料理を極めようとしている感じがあり、コース料理としては
若干、流れ的、あるいはトータル的にそぐわないと感じたものもあります。
ただし、題名にも書きましたが、考えに考えて、より良い品をとの思いを
感じ、良い意味での変態ぶりを感じ、訪問して良かったと思います。
お値段も良心的で、多少の引っかかる点はありますが、満足度は高かったです。
コース料理は少量多皿の色彩が強いです。


3ヶ月くらい経ちましたが、全品資料がありますので、記憶が割と鮮明ですが、
時間の関係上、いくつかの品のコメントにとどめさせていただきます。
大体の雰囲気は捉えられるかと思います。

最初の品は生牡蠣。産地は厚岸。左はレモンで、右は赤ワインビネガーで。
牡蠣特有の味というよりも素直なさらっとした味で食べやすいものでした。
新鮮そのもの。レモンの方が食べやすく、赤ワインビネガーの方は
多少赤ワインビネガーの味がどうしても目立つので、
レモンの方が良く感じました。

次はカブのブルーテ。この品はかなり印象に残りましたし、家で真似したいと
思いました。ブイヨンがすごく効いているという品ではなく、さらっとしたもので、
マスカルポーネが使われており、私の記憶ではお米でとろみをつけており、
和洋折衷で非常に美味しく、また飲みやすいものでした。玉ねぎの存在感も
目立ったものではなく、心地良かったです。上のオリーブオイルはクロアチアのオリーブオイルで
あまり記憶にないのですが、Extraバージンオイルのクセのあるものではなかったと
思います。(記憶違いでしたら、すいません。)
少量の胡椒の振り方にも細心の注意が感じられ、胡椒ふり過ぎで胡椒が目立つもの
ではなく、胡椒の味も自然に感じました。全体的にはカブ自体よりもマスカルポーネの味が
目立ち、マスカルポーネを使うことが肝となっている、非常に良い品と感じました。

一品飛ばして、次に印象に残ったのは下仁田ネギと黒毛和牛の一品。
全体的にはすき焼きとイメージしました。ネギは本当の旬ではない季節でしたが、
火を通すことによって、ネギ特有の甘美味い味になり、非常に美味しかったです。
黒毛和牛はあまり印象にありませんが、すき焼きで美味しくないはずがなく、
全体的には良い意味で普通に美味しかったです。確か、七味もふられていたと
思いますが、どこに七味という感じの刺激的でないものでした。
全体として、ネギの旨味が中心にあるものでした。

次は菜脯蛋（ツァイプタン）。切り干し大根を入れた卵焼き。
母がよく似た料理を作ってくれましたが、
久しぶりにいただきました。台湾では一般的な料理であることを
初めて知りました。大根の甘みが卵焼きの中で感じられますが、
私はあまり美味しいお料理とは感じません。個人的経験からすると、
かなり卵は硬めに焼いているとの印象は受けました。
こちらの方が一般的なのでしょうね。

次は常陸牛のワサビ乗せのお寿司ですが、普段常陸牛を主に食べている
印象としてはお肉の味がしなかったですし、和牛香も感じませんでした。
やはり、お肉は通常焼いてナンボだと思います。これはスペシャリテだそうですが、
私は疑問に感じました。シャリは硬めです。塩胡椒もなく、本当に
肉の味がしませんでした。昔20年前くらいに、伊勢神宮の近くで同様の寿司
(多分、松坂牛、A4かA5か記憶薄れ)をいただきましたが、
その時はかなり肉の味を感じたことを覚えていて、その時はこういう
料理もあるのかと感動したことは未だに覚えています。

こんな調子で書いていると延々と終わらず、その時間ももったいなく、
また、いくら書いてもほとんど報いがないでの、あと2品のコメントだけを
書いて止めたいと思います。

食パンのトースト。中身はなんとレタスのみ。マヨネーズあったかなあ？
あったとしても少量。
寿司とパンが一つのコースに出て、相当違和感を
感じました。フレンチでもお米を使うことはもちろんありますが、
その立ち位置は完全に野菜ですので、日本のようなお米の使い方は
しません。それは置いといて、この一品は「おっ！」とと思いました。
中にレタスしかないので、パンの生地の旨味、甘味、焦げが相当目立ちます。
食パンは自家製。レタスも非常にみずみずしく、生きがよかったです。
マヨネーズの味は記憶に薄いです。
単体で食べれば、美味しい一品だとは思いますが、華道で言うと、
基本を無視し、徹底的に除けるものを除いても生花として成立している
感じのものです。美味しいことは美味しいのですが、無条件に美味しいとは
言い切れない何かを個人的には感じます。幾つかのレビューで書いているように
2より3を目立たせ、調和させた方が食べ物を美味しくすると思います。
例えば、ロブションのじゃがいものピューレのように。


最後に、ブラウニー。これは失礼ながら、素人さんレベルでした。
この品は全品の中で一番良くなかったです。
ケンズカフェ東京様のレシピで食材を選び、ブラウニーよりも
テリーヌショコラ(ケンズカフェ様の呼び名ではガトーショコラ)を
自分で作った方が断然美味しいです。あるいはロブションのレシピで
ガトーショコラを作った方が普通に美味しいです。

以上、手厳しいコメントが多くなりましたが、点数が示すように、良い印象です。
全体的には良いお店ですので、訪問して、後悔はしないと思います。
何よりも店主の方がお料理好きなことを
感じ、このような個人店は私は好みです。ただ、超ハイレベルのお料理の連続とは
言い難いとは思います。いずれ、コメントを書いたいですが、もう一件訪問したかった
ドンブラボー様は超ハイレベルでした。

浅草に用事がありましたら、また、訪問したいとは思っています。