葡萄党幹事長さんのマイ★ベストレストラン 2014

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葡萄党活動レポート

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葡萄党幹事長 (60代後半・男性・東京都) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

この一年もエクアトゥールやルマンジュトゥーと、以前から最も好きだったフレンチが特に印象に残っている。新たに加ったエスキスはタテルヨシノの総支配人が事実上独立した店でもあり、ワールドワイドな若きシェフの繰り出す料理に魅了された。日本料理では、幸村、松川、青草窠が、それぞれ花山椒しゃぶしゃぶ、松茸、海老しんじょと、特出したスペシャリテを持つ店でもあり、その味わいが世間の評判通りの感動的なものだったことに感激。emuNの美し過ぎる料理のビジュアルが、店の印象や若きマダムの心温まるサービスと重なる。パレスホテルのメインダイニングであるCROWNのトータルな完成度の高さとバランスの良さにも、東京駅前を代表するレストランの誕生を感じた。カンテサンスを居抜きで引き継いだTIRPSEは、シェフやサービス陣のやる気が初々しく、誰もが応援したくなる雰囲気。タテルヨシノが西日本に唯一展開するオテルドヨシノも、地の食材と独自の調理法に拘り、既に西日本を代表するフレンチとなっていた。想像を超える自然災害の続発、経済の低迷が続いたこの一年。締めくくりも政府主導の解散、選挙に、想定を遥かに超える円安という波乱の状況下、せめて僅かに上がった株価の含み益を根拠に、美味しいものを食べ歩くことで活力を補給していきたい。先日発売されたミシュラン東京2015の編集内容が一新され、全体的な印象としては、ミシュランも食べログと、その掲載店、評価結果はもとより、評価の対象やジャンル分けが似て来たように感じた。ある意味、日本の食文化の醸成が進み、飲食業界、広告業界、マスコミなどの食に対する今の日本らしい価値観が、ようやく統合化されつつあるように思われる。そんな新たな日本食文化のスタートを感じたこの一年に、今夜も乾杯。

マイ★ベストレストラン

1位

エクアトゥール (麻布十番、六本木、広尾 / イノベーティブ、フレンチ)

5回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥100,000~ ¥15,000~¥19,999

2020/09訪問 2020/09/28

天国に1番近いレストラン

南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
今回のヴィアンドはラカン産のピジョンラミエ。窒息森鳩の胸、腿、首の真っ赤な色が印象的。ジビエでありながら臭みのない旨みの固まりような鳩には、この店が開業した10年前の衝撃的なシェフの日本デビューの面影を感じる。鳩の骨、肉のジュと赤ワインのソースも鳩の旨みを見事に引き立てている。伝統的なフレンチから始まり、モダン、イノベーティブ、中華、日本料理を取り入れて来たシェフの11年目の集大成は、それらの実績の全てを注ぎ込んで行き着いたモダンやイノベーティブを超えた新クラシックフレンチ。

アミューズはリドヴォ。これも開業時のスペシャリテ。フカヒレの餡かけが新しい。クラシックとイノベーティブのバランスが絶妙な味わい。美味しいところの良いとこ取りとなっている。房総千倉産の黒アワビが飛び抜けて柔らかい。アワビの旨みと椎茸の旨みの競演。牛蒡のポタージュには穴子のフリットが浮いている。これこそまさにこの10年の集大成と言える組合せ。牛蒡と穴子は相性抜群。豚足のクロケットも食感が良く素晴らしく美味しい。

開業直後のスペシャリテはウニと甲殻類のムースのカクテル仕立て。10年振りの復活が嬉しい。以前のクラシックな味わいが、回り回って全く新しい味わいに進化している。美味しさもかつての倍返し。ポアソンはカマス。豚トロとの組合せが絶妙な食感と味わい。豚の旨みで食べるあっさりした白身魚の美味しさは得も言えない。西京味噌を使うところが面白い。単なるフレンチのクラシックやモダンを超えた新しい日本フレンチの完成形。

シャンパーニュはアンリオのミレジメ。完成されたシェフの料理の露払いとしては十分に繊細な泡立ち。クラシックな造りが瓶内熟成により複雑さを増している。黒アワビや穴子、カマスにはジャンクロードラモネ、シャサーニュの人気畑、モルジョを開ける。この白ワインに合わない魚介はない。最高のピジョンラミエには最高のブルゴーニュ、ドメーヌドラロマネコンティ。今回はこの店が開業したバースデーヴィンテージ2009年のエシェゾー。天国に近付くどころか、天国まで来てしまった。

南麻布で開業して11年目にして、今や全国トップクラスの人気を誇る日本を代表するフレンチ。フランスで独自の経験を重ねたシェフが、中華や日本料理まで取り入れて完成させた完璧な日本フレンチという世界。何より食材や生産者を愛する気持が、シンプルに食材を引き立たせる料理になっているところが素晴らしい店。いつまでも若い美人オーナーマダムのコレクションとも言える、膨大なシャンパーニュとワインのストックも素晴らしい。天国に1番近いレストランは、既に天国そのものになっているように思えてならない。

お任せコース 28000円
アミューズ リドヴォ
 フカヒレの餡かけ
アミューズ 黒アワビと椎茸
 黒アワビの肝のジュレ
ポタージュ 牛蒡のスープ仕立て
 穴子のフリット
オードブル 豚肉と豚足のクロケット
 ラビゴットソース
オードブル ウニ 甲殻類のムース
 コンソメのジュレ
ポアソン カマスと豚トロ
 西京味噌のソース
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
 赤ワインのソース
パン 自家製米粉のプレーンパン
 バター
デセールに替わってフロマージュ
カフェ エスプレッソ

2008 BRUT CHAMPAGNE
 Millesime
 HENRIOT
 26900円/750mlボトル
2015 CHASSAGNE-MONTRACHET
 Premier Cru "Morgeot"
 Jean-Claude RAMONET
 32800円/750mlボトル
2009 ECHEZEAUX
 DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI
 時価/750mlボトル

別途消費税・サービス料10%



南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。

料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性が、この孤高の天才シェフを支えている。日本らしいフレンチの最先端と言えるシェフと、新たな食文化の担い手でもあるマダムによる全く新しいフレンチ。伝統的なフレンチ、モダンフレンチ、イタリアン、中華、懐石料理のエスプリを吸収し、誰も知らない領域を目指して進化してきたこの2年、いよいよこの店の天国への階段も、完成が近づきつつあるように思える。

今回のヴィアンドは北海道産の蝦夷鹿。冬の蝦夷鹿の旨みを活かす低温ローストが素晴らしい。申し分のない食材と火入れの組合せ。均一な柔らかさは、ナイフを落とすだけでしんなりと切れてしまう。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鹿のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。

アミューズから和洋中、クラシックとモダンの融合が完成に近づきつつあることを伺わせる。和を代表する旬の菊芋が滑らかなブルーテとなり、菊芋を含む野菜のオーケストラのような複雑な味わいが美味しい。オマール海老にはタラの燻製を合わせている。黒トリュフと燻製の香りのハーモニーが素晴らしい。フォアグラは軽いソテー。フカヒレと生ハムとの組合せも、フレンチ、イタリアン、中華を極めたからこその発見に基づく1つの回答と思われる。

ウニとハマグリ、フキの組合せも懐石料理のようでもあり、モダンフレンチのようでもある。ハマグリのジュは旨みが凝縮している。子持ちヤリイカはトマトのコンソメを使ったソースにぴったり。添えらた蕗味噌が和洋を一体的に味わうポイント。カサゴのフリットは薄い衣と揚げ方が絶妙。繊細な白身の味わいをそのまま活かしている。ポアソンは世界に誇る千倉の黒アワビ。ふわふわの柔らかさ。アワビの肝のソースに合わせる空豆のエスプーマも組合せの妙。

北海道産の蝦夷鹿に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。今回は冷たいパスタ。旬の真っ盛り、蛍烏賊と春キャベツが春の訪れをストレートに伝えている。デセールのフォンダンショラやアイスに替えて今回はデザートワイン。こともあろうに1996のシャトーデュケムを惜しみなく注ぐマダムの笑顔が、天使にも、女神にも、観音様にさえ見えてくる。

シャンパーニュはその美人マダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はヴィルマール。レコルタンマニュピランのクリュッグと呼ばれるフランスでの人気ナンバーワンシャンパーニュ。最新のミレジムは泡の勢いも繊細。シャサーニュは超有名3ドメーヌの飲み比べ。ニュイサンも2ドメーヌの対比。楽し過ぎるバリエーション。女神のようなマダムと2人で乾杯を繰り返し、2人ともかなり酔っ払ってしまった。

あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を吸収し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい世界を創り続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエでもある美人マダムのために、人生の全てを掛けたシェフの料理と、いつまでも若い魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに天国に1番近いレストラン。オープンから11年通い続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。

料理とワインのお任せコース
 40000円/人
アミューズ 菊芋のブルーテ
 ウナギの炭火焼き マデラ酒のソース
アミューズ オマール海老のフラン
 タラの燻製 黒トリュフ
フォアグラ フォアグラのソテー
 フカヒレ 生ハム
オードブル 大ハマグリ
 ハマグリのジュレ 北海道産ウニ フキ
オードブル 子持ちヤリイカ
 トマトとイカ墨のソース
 ホワイトアスパラ グリーンアスパラ
 蕗味噌 穂紫蘇
オードブル カサゴのフリット
 若筍 花山椒の葉と茎
 生姜の皮 木の芽
ポアソン 千倉産黒アワビのリゾット仕立て
 空豆のエスプーマ アワビの肝のソース
 柚子の香り
ヴィアンド 北海道産蝦夷鹿の低温火入れ
 フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン
 ミルクパン ミニバケット バター
特製麺 冷たいパスタ
 カンスイの配合率を指定した麺
 蛍烏賊 春キャベツ 芽葱
デセール フォンダンショコラに替えて
 デザートワイン
 1996 Chateau d'Yquem
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ

2019 CHAMPAGNE BRUT
 GRAND RESERVE Vilmart & Cie
 120mlグラス
2011 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES VERGERS
 DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
 120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES CHENEVOTTES
 DOMAINE JEAN-MARC PILLOT
 120mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES VERGERS
 Domaine Marc Morey
 120mlグラス
2011 NUITTS-SAINT-GEORGES
 Premier Cru "Les Prulieers"
 DOMAINE LECHENEAUT
 120mlグラス
1999 NUITTS-SAINT-GEORGES
 Domaine ANTNNIN RODET
 120mlグラス
1996 Chateau d'Yquem
 60mlグラス

南麻布に開業して10年目、元麻布に移転してからでも7年となる今や知らない人のいない、日本に合った日本らしいモダンフレンチ。開業直後の無名時代から通って10年目となる。パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う日本の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。

料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインたちが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったソムリエでもあるマダムの感性が、シェフの日本フレンチを支えている。日本らしいフレンチの最高峰と言えるシェフと、新たな食文化の担い手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店では完成されている。にもかかわらずシェフの料理は、本場フレンチ、日本フレンチ、イタリアン、中華、和食のエスプリを吸収し、今もまだ誰も知らない領域を目指して進化し続けている。

今回のヴィアンドはルーアン鴨。食材そのものの鴨とは思えぬ凝縮された旨みと、低温調理による万遍のない柔らかさ。申し分のない食材と火入れの組合せ。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鴨のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。

アミューズは京懐石のようなスタート。トラフグの白子を葛で寄せて毛蟹の餡かけにしている。美味しさも桁違いだが、今日のコースの構成を予測できなくされた驚きが衝撃的。続くアミューズも京懐石。佐島の真蛸のふわふわな茹で加減。山葵の葉の心地良い辛さと旬の海老芋も文句無しに美味しい。ようやくフレンチらしいオマール。合わせるのは新筍とアワビ。フランスと日本の旬の競演。アメリケーヌソースとオランデースソースのダブルソースが絶妙なコンビネーション。

フォアグラに合わせる酸味の利いた赤ワインソースも上品。ふんだんに使われた黒トリュフの香りは器の蓋を閉めたままでも香ばしく上がってくる。オードブルは大ハマグリと蕗、ウニ、紫蘇の穂。再び京懐石との融合。スッポンのつくねも和の真骨頂。スッポンの背骨から取るソースと卵黄も完成された和の世界。ポアソンは皮だけカリッと仕上げられた松毬焼きを思わせるグジ、アマダイのポアレ。白味噌と白ワインのソースのバランスは、あたかも今回のコースのテーマを見るよう。

フランス産のルーアン鴨に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。豚肉のミンチ、ラー油、パクチーの組合せは坦々麺に近い印象。しかし白子のソースが濃厚で、今までに経験したことの無い麺となっている。デセールのフォンダンショラとマンゴーのアイス、プチフールの自家製カヌレがフレンチであることを思い出させてくれる。

シャンパーニュはオーナーソムリエのマダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はベレッシュエフィス。伝統的な造りのシャンパーニュとしてはコストパフォーマンス抜群のレアキャラ。白子や真蛸にぴったり。オマール、筍、フォアグラにはシャサーニュ。ハマグリとスッポンにグロフィエのパストゥーグラン。そしてグジにマルクモレ、ルーアン鴨にドニモルテのジュヴレ。仕上げに89のジャンマルクボワイヨ。素晴らし過ぎて笑いが止まらない。

あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を理解し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい食の世界を探求し続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエのマダムのために人生を掛けたシェフの料理と、いつまでも若く美しい魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに今の日本で一番天国に近い店。それでもなお、進化を続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。

料理とワインのお任せコース
 40000円/1人
アミューズ 虎河豚白子の葛寄せ
 毛蟹 葛餡掛け
アミューズ 佐島の真蛸
 山葵葉 海老芋
アミューズ オマール海老
 アワビ 新筍
 アメリケーヌソースとオランデーズソース
 キャビア
フォアグラ フォアグラのフラン
 赤ワインのソース 黒トリュフ
オードブル 大ハマグリと蕗
 ウニ乗せ ハマグリのジュレ 穂紫蘇
オードブル スッポンのつくね
 スッポン背骨のソース 卵黄
ポアソン グジのポアレ
 牛蒡と独活 菜の花
 白味噌と白ワインのソース
ヴィアンド フランス産ルーアン鴨の低温火入れ
 フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン ミルク ミニバケット
 バター
特製麺 カンスイの配合率を指定した麺
 豚肉のミンチ 白子と辣油のソース
 パクチー
デセール フォンダンショコラ
 マンゴーのアイスクリーム
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ

NM CHAMPAGNE BRUT RESERVE
 Bereche & Fils
 120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LA GRANDE MONTAGNE
 DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
 90mlグラス
2009 BOURGOGNE PASSETOUTGRAN
 Domaine Robert GROFFIER Pere & Fils
 90mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES VERGERS
 Domaine Marc Morey
 90mlグラス
2011 Gevrey-Chambertin
 DOMAINE DENIS MORTET
 90mlグラス
1989 Pommard LA POMMARDIERD
 Domaine Jean-marc BOILLOT
 90mlグラス

初めてこの店を訪れてから7年目となる。南麻布からこの元麻布に移転した初日も、夏限定イタリアンを始めた初日も、いつもこの店に来ることができたのは幸運だったのかもしれない。7年前、南麻布のデザイナーズマンション最上階2層を使った1日1組限定のプライベートレストランとの出会いは衝撃的だった。全く無名でほとんど知られていなかったレストラン。しかしそれは日本に合った日本らしいフレンチ、今までずっと求めていた夢のようなフレンチとの始めての出会いだった。

パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り続け、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた、まさに孤高のシェフ。その料理は日本の心をパリに伝える現代の伝道師だったのかもしれない。そんなシェフのこだわりは日本的な素材への愛と、素材を丁寧に扱う日本料理の心。どの皿にもシェフの思いを感じることができるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。

その料理を支えるマダムのシャンパーニュとワインたち。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性は、シェフの日本的フレンチの心の支えともなっている。日本における日本フレンチの旗手として最高峰のシェフと、日本における新たな食文化の作り手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店において今まさに完成されつつある。この店が日本の食文化のイノベーター、インキュベーターたらん食通たちのメッカとなっているのも当然の結果かもしれない。

今回も鳩が素晴らしく美味しかった。真っ赤な肉の色が、その素材の持つ秘められたパフォーマンスを醸し出しているラカン産のピジョンラミエ。濃厚なジビエらしい味わいを、均一で丁寧な火入れで柔らかく慈愛に満ちた仕上がりにしている。とにかくシンプルな肉の塊が、ラカンピジョンの良さを余すところなく引き出す。鳩の内臓を使ったソースも軽いスモークが完璧に効いていて、全く内臓の嫌な部分が消え去り、肉を盛り立てている。全てがバランス良くまとまり、この皿の向こうには美しさを超えて後光が差していた。

ピジョンラミエまでの8皿のアミューズ、オードブルも、どれも美しく美味しい。タラバとウニはカニ味噌がポイントとなり、黒アワビも肝との取り合わせが絶妙。イイダコとキャビアにダブルコンソメも文句の付けようがない。魚は金目にタイラ貝。まさに日本料理の世界。そして和牛とトリュフ、フカヒレとフォアグラ、虎河豚の白子にオマール海老と続く。しかしその全てがシンプルなピジョンラミエの露払いだったことを知り愕然とすることになる。

合わせるワインも凄い。シャンパーニュマニアのマダムのコレクションから、まずはこの店オリジナルシャンパーニュ。次々に食に関する新事業を立ち上げるマダムだから出来る神業。続いてもシャンパーニュ。しかもドラピエのミレジメ。2008年らしい上品な泡立ちと味わい。熟成ブルゴーニュが続くと、マダムがフランスの友人から直輸入するフロマージュに合わせてオリヴィエルフレーヴのムルソープルミエクリュ。楽しくて仕方がなくなる。

場所は元麻布の閑静な住宅街。中国大使館やブラジル公使館が並ぶ一角。東京メトロ日比谷線、都営大江戸線の六本木駅から六本木ヒルズに入り、六本木通りの反対側にあるレジデンス棟の間を抜けて行くのが一番の近道。

フランス料理と日本料理を、今最も融合させることができる、料理以外にはマダムにしか興味のない職人のなかの日本一の職人シェフと、何一つ苦労なく育った美しい新進気鋭の実業家、かつシャンパーニュマニアのマダムの織り成す奇跡的な店。この店との運命のような7年間を神に感謝するとともに、あらためてこの店が天国に一番近い店と思わざるを得ない。

料理とワインのお任せコース 35000円
アミューズ タラバ蟹とウニのフラン
 タラバ蟹のカニ味噌とともに
前菜1 三陸産黒アワビ
 アワビの肝のソースと米のソース
前菜2 明石産イイダコとキャビア
 セリと生キクラゲ
 ダブルコンソメジュレ
 柚子のヴィネグレット
前菜3 伊豆産金目鯛のスモークミキュイ
 タラの白子ソース 自家製カラスミ
前菜4 徳島産筍とタイラ貝
 和牛の炙り 黒トリュフソース
前菜5 フカヒレとフォアグラ
 自家製干し椎茸のスープ
前菜6 直火焼きした虎河豚の白子
 ベアルネーズソース
 オマール海老のポシェ
 アメリケーヌソース
口直し ヴィシソワーズ
 ホタルイカのソース
 自家製カラスミの冷製パスタ
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
 鳩内臓のスモークソース
アヴァンデセール キルシュのアイス
 黒トリュフ 蜂蜜とポアブルジャバ
 薔薇のヨーグルト
グランデセール ブルードオーベルニュ
 洋梨 クルミとレーズンのプレッセ
 コンフィした2種類のッグレープフルーツ
 ハーブティーのソルベ
 カモミールの炭酸ジュレ
フロマージュ フランス産
 マダムの友人から直輸入した盛合せ
ミニャルディーズ
カフェ エスプレッソ

NM CHAMPAGNE Le Belle Bleue
 Restaurant l'equateur
 BLIARD-MORISET
2008 CHAMPAGNE BRUT
 DRAPPIER Grande Sendree
2011 Alsace Grand Cru
 Wineck Schlossberg
2014 Domaine Romaneaux-Desteyet
1995 BEAUNE
 DOMAINE MICHEL GAUNOUX
1990 POMMARD VIEILLES VIGNES
 COCHE-BOUILLOT
2000 Moursault 1er Cru
 LES PORUZOTS Olivier Leflaive

パリのレストランでシェフをつとめたあと帰国したこのシェフの料理は、素材の選択とそれらの組合せが素晴らしい。各皿のビジュアルの完成度も際立っている。元麻布の閑静な大使館街にひっそりと佇む高級マンションにあるレストランは、お洒落と寛ぎの究極コラボレーション。若き美人オーナーと、控え目で優しいイケメンシェフは、2人揃ってソムリエ資格も持つ。シェフのフランス時代の思い入れは今のレストランの形態に続くものがある。パリの星付きレストランからの誘いをことごとく断り、自分の腕を試し、現地の評価を受けたいがために、敢えて頼まれたレストランのシェフを務めていた。そのシェフの思い入れは、最新のパリの流れを汲みつつ、あくまでオリジナリティ豊かな表現に力を入れる、この店の美しく美味しい皿の数々に丁寧に込められている。南麻布に開業して4年。この元麻布に移転してから2年が経過し、シェフの腕はますます円熟味を帯びてきている。料理のコースは、アミューズ、フォアグラ料理を含むオードブルが数皿出た後、旬の魚料理、フランスを中心としたジビエ料理のメインが続くという構成。それに持ち込みワインのコースと、素晴らしいお勧めワインをセットにしたコースが加わる。アミューズやオードブルから美しいビジュアルに感動できる。カトラリーもガラスや石の皿も素晴らしい感性で統一されていて、一分の隙も無い。

今回はフランス、ラカン産の鳩のローストがいつにも増して素晴らしい火入れと味わいだった。シェフのジビエへの思い入れは、今や巨匠の域に達している。オードブルで最高のピュレニーに合わせた大トロが感涙物だった。樽を微かに感じる艶かしいほどのピュレニーにぴったりの大トロは、ホワイトアスパラガスとグレープフルーツ、バルサミコとのアンサンブル。フォアグラのポアレが地鶏黄卵のラビオリと共鳴し、4種類の旬の貝類の競演に感動の嵐。合わせるワインが凄過ぎる。2008ミレジメのブランドノワールに始まり、エティエンヌソゼの1996熟成ピュリニー、エシュゾーにトラペの1981熟成シャンベルタン。料理も凄さを増しているが、マダムの繰り出すワインは、既に世界最高峰に届いてしまう勢いを感じる。

場所は各国の大使館がひしめく元麻布の住宅街。消防署の脇の小道を下り、突き当たりを道なりに左手に。その先の右へ曲がる突き当たりの右側、角のマンション2階に在る。1階はミシュランの星の付く日本料理店。階段を上がるとステンレスの名盤にエクアトゥ-ルと文字のみのエントランスが、料理同様に奥ゆかしい。友達のマンションに入るようにドアを開けると小じんまりしたエントランスホール。すぐにマダムが迎えに出る。入ってすぐに6人用の個室。大抵は2人客用に贅沢に使っている。オープンなL字のカウンターには、ゆったりとしたソファタイプのチェアが6席。バックバーも美しい。インテリアの絵はシェフが自ら書いている。料理、ワイン、サービス、インテリアと、全てに統一されたオーナー夫妻のセンスは他のどこの店も適わない。ゆったりしたカウンターも、2人なら2組しか取らない。3人以上なら、相変わらず1組しか取らない時が多い。とにかく何を置いてもサービスの質と顧客満足に拘っている。従って1人客は取らない。開業して4年が経過しても進化を続けるシェフの料理と、若く美しいマダムのワインサービス。心許せる家族や仲間との食事の場として、これ以上ない最高の舞台が用意されている。ここは天国に一番近いレストラン。これからも食事を心から楽しみたい人のためだけに、さらなる進化を続けて欲しい。

シェフお任せ料理とマダム秘蔵ワインのコース 30000円(時価)
アミューズ 蛍烏賊のカダイフ包み ジャガイモのエスプーマを添えて
オードブル 7時間煮た活き蛸のスモークとウニ 浅利と芹 生木耳の黄柚子ヴィネグレット添え 昆布と牛スネ肉のダブルコンソメ
オードブル 地鶏黄卵のラビオリ フォアグラのポアレ 京都山城の筍と菜の花 トリュフソース
オードブル 佐賀県産ホワイトアスパラガスと大トロ グレープフルーツとバルサミコ クミンと木の芽 クレソン マーシュのサラダ
ポアソン トコブシ ハマグリ ミル貝 タイラ貝 貝のジュと独活 ハーブの香り
ヴィアンド フランスラカン産鳩のロースト
自家製パン
フロマージュ 3種類の盛合せ
デセール 蜂蜜ヨーグルトの黒トリュフ添え バニラアイスクリームと金柑に詰めて焼いたクレームダマンド アニスショコラ添え
カフェ エスプレッソ
プチフール

2008 CHAMPAGNE BLANC de NOIRS BRUT Frederic MALETREZ 120mlグラス
NM CHAMPAGNE Cuvee no.737 JACQUESSON 750mlボトル/4人
1996 Puligny-Montrache Le Referts Domaine Etienne Sauzet 750mlボトル/4人
2007 Echezeaux DOMAINE J,CACHEUX 750mlボトル/4人
1981 CHAMBERTIN DOMAINE LOUIS TRAPET 750mlボトル/4人

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今回もビュルゴー家ルーアン鴨のロティが素晴らしい出来だった。火入れの丁寧さによる全体的な柔らかさも良いが、ソースがビュルゴー家のルーアン風とぴったり合っている。赤ワインのソースには香草を効かせ、濃厚な鴨自体の味わいをピリッと引き立てる。研究熱心なシェフの技を感じる。今回は、ホタテもマナガツオも、ルーアン鴨以上の火入れ具合に感動する。フワフワに仕上げるシェフの火入れに対する拘りは相当なもの。マダムのお奨めワインはロゼのシャンパーニュが待ち遠しい春の訪れを感じさせるセレクト。ジョバールのムルソーが素晴らしい口当たりで、ホタテとのマリアージュに涙が出る。マナガツオとルーアン鴨にはグロのヴォーヌロマネ。仕上げは昨秋早世したパトリックビーズに敬意を表して、シモンビーズのサヴィニーオーヴェルジュレス。なんと言う組合せと演出だろうと、ただただ感激する。

シェフにお任せコース 14200円 別途サービス料10%
アミューズ  温かい甲殻類のフラン 
アミューズ タスマニアサーモンのマリネ 燻製ジャガイモのムース
オードブル オマール海老と活ホタテのポアレ フォンダンエシャロットとハーブのヴィネグレット
 有機野菜とトリュフのサラダ添え
オードブル スープドポワソン カニ味噌とズワイガニのガレット 赤穂産牡蠣のポアレ
フォアグラ
ポアソン マナガツオの直火焼き スミイカとインゲンのソテー ソースヴィエルジュ
グラニテ ウェルベーヌ
ヴィアンド ビュルゴー家ルーアン鴨のロティ 赤ワインと香草を使ったソース
パン 4種類の自家製パン
フロマージュ 5種の盛合せ
デセール 
カフェ エスプレッソダブル
プティフール カヌレ マカロン他

各皿に合せたマダムにお任せのボトル 33600円/4本 別途サービス料10%
NM CHAMPAGNE MONOPOLE ROSE TOP BRUT HEIDOSIECK
2007 Meursault "Les Grands Charrons” JOBARD-CHABLOZ
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS
2001 Savigny-les-Beaune Aux Vergelesses 1er CRU Simon Bize & Fils

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移転前の店では、1日1組限定で、魂のフレンチを作っていた。新店舗では、1日3組までに拡大し、しかし同じような強い思い入れのフレンチを作り続けている。また個室とカウンターに分かれ、広くなった店内を若く美しいマダムが蝶のように舞っている。やはりここは、未だ天国に一番近いレストラン。今回も旬のジビエ、夏蝦夷鹿が素晴らしい出来。素材の熟成度も理想的なら、合わせるソースが夏鹿仕様。黒胡麻に赤ワインとフランボワーズを合わせたソース。どっしりとしたジュヴレシャンベルタンに何と合うことか。感動する。ポアソンの萩の甘鯛の絶妙な火入れもさることながら、いつもながらのオードブルの美しい旋律のような流れが、今回も際立っている。アミューズは西瓜の甘みとエストラゴン、泡の淡い苦味が舌の上で3重奏を奏でる。抜群の火入れの帆立にラングスティーヌと甲殻類のギリシャバロックなソース。堪らない。フォアグラがルーアン鴨、サマートリュフと共に国旗のようにデザインされた皿。白烏賊には北海道産牛のトリッパ。もう何も言うことは無い。今回の乾杯はミレジメも2005年。真夏の夜のブランドブランは酸味がきっと効いている。西瓜のアミューズに合い過ぎて怖い。サンセール、ムルソーがオードブル、甘鯛に合わせて次々に開けられる。ルーアン鴨とフォアグラにはサヴィニーの熟成赤ワイン。しかも日本人妻を娶ったシモンビーズ。奥が深いセレクションに驚く。主役の夏鹿には熟成ジュヴレシャンベルタン。ワインと料理のマリアージュに、マダムの天才的なセンスを感じる。ワイン持込みコースは、何本持ち込んでも構わない。これまでの5人以下7万円から、6人以下7万8千円に。6人なら1人あたり1万3千円となる。移転して、バージョンアップした上に値下げとは、どこまで顧客の想像を超えるホスピタリティを目指しているのだろう。驚きとしか言いようがない。

シェフにお任せ コースA 9950円 別途サービス料10%
アミューズ 若鮎のムースと西瓜のムース エストラゴンのジュレ
オードブル ラングスティーヌとスモークした帆立のポアレ ギリシャ風ソース
オードブル ルーアン鴨とフォアグラのユール仕立て
オードブル 白烏賊と仔牛のトリッパ 肝に見立てた豚足と烏賊墨の煮込み
ポアソン 自家製塩麹に漬けた萩甘鯛 大蒜とパセリのソース サザエのガレット添え
グラニテ グレープフルーツとウォッカのグラニテ
ヴィアンド 蝦夷夏鹿のロースト 黒胡麻のソース
フロマージュ 5種の盛合せ
18ヶ月熟成コンテ フルムダンベール シャンパーニュ地方のウォッシュ他

各皿に合わせたマダムのお任せワイン
2005 CHAMPAGNE BRUT GRAND CRU MALLOL-GANTOIS 1750円/120mlグラス
2010 SANCERRE La Bourgeoise HENRI BOURGEOIS 1700円/120mlグラス
2001 Savigny-les-Beaune 1er CRU Aux Vergelesses Simon Bize & Fils 1850円/120mlグラス
2010 MEURSALT Le Limozin SYLVAIN DUSSORT 1800円/120mlグラス
1996 Gevrey-Chambertin 1er CRU "LE GORBEAUX” PHILIPPE ROSSIGNOL 時価/120mlグラス

別途サービス料10%

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今回は牛肉を使った料理のコースB。アミューズの春独活と菜の花のエスプーマが季節感たっぷり。前菜の3皿は、アスパラガス、蛍烏賊、地蛸に始まり、64℃で64分火入れした地鶏卵、オマール海老にトリュフ、フォアグラ、モリーユ茸と続く夢の共演。松笠焼きの金目鯛も素晴らしい火入れ。しかし一番はやはり牛肉。北海道みついし牛のヒレが、均一に柔らかく、温かく、しっとりと火入れされ、ネセロリと赤ワインをベースにした、複雑かつ繊細なソースに絡みつく。今回も乾杯のシャンパーニュはミレジメ。暖かな春の訪れを喜ぶようにブランドブランが用意されている。シャンパーニュの造り手もコストパフォーマンスを考えたセレクト。しかし白、赤の造り手、産地は、さらにコストパフォーマンスの優れたものを揃えていて、ブルゴーニュ好きには堪えられない。至福の時を満たす料理の数々には、至福の時を支えるブルゴーニュが欠かせない。

ディナーB スペシャル 14200円 別途サービス料10%
アミューズブーシュ 磯ツブ貝と春独活 絹サヤ豆の和え物 菜の花のエスプーマ
オードブル アスパラガスのデグネリゾン 生蛍烏賊と青柳の小柱 スモークした久里浜の地蛸 甲殻類のエマルジョン
オードブル 64℃で64分火入れした地鶏卵 自家製コンソメドゥ-ブルとトリュフのチネリ オマール海老を添えて
オードブル おやきとサンジャック フォアグラのポアレ モリーユ茸とコニャックのソース
ポアソン 下田産金目鯛の松笠焼きと赤穂の牡蠣 山菜のソース
グラニテ パンプルムースのグラニテ
ヴィアンデ 北海道産みついし牛のロティ ネセロリと赤ワインのソース
フランスとルクセンブルグから4種のパン
フロマージュ 各種盛合せ
デセール ブルボンルージュのプティポー 生姜とカルダモンのアイスクリーム
カフェ マリアージュフレールのハーブティー
プティフール カヌレ 鬼灯 クレームショコラ

2004 CHAMPAGNE BRUT BLANC DE BLANCS Nicolas Feuillatte 1本
2007 PULIGNY-MONTRACHET DOMAINE ALAIN CHAVY 1本
2009 SANCERRE Monts Damne's GERARD BOULAY 1本
2001 Savigny-les-Beaune "Aux Grands Lirds” Simon Bize & Fils 1本

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今回の新ジャガとアーティチョーク、黒トリュフのグラタンが素晴らしい。フォアグラのポアレと牡蠣のソースのコンビネーションになっている。トリュフとフォアグラを見事にマリアージュさせ、グラタンとポアレの組合せがリズミカル。ビジュアルと香り、味わい、全てに計算されつくした理想のコンビ。楽し過ぎて笑さえこぼれてしまう。阿蘇山から来た馬肉ハラミのローストも珍しい。馬肉を赤ワインと燻製にしたエシャロットソースに合わせる。今回の特別過ぎるワインとの相性を考え抜いた究極のセレクション。今回のスペシャルワインはシャトーオーゾンヌ。5大シャトーと並ぶボルドーの9大シャトー、サンテミリオンの主。どんな考え抜いたワインも、全て露払いとしてしまう。そんなワインに合わせる料理を作るシェフの腕は神技とも思える。

ワインコース 78000円/6人 税・サービス料込み ワイン持ち込みは何本でも可
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ トマトとライチ 
前菜 マリネしたホタテのミキュイ ハマグリと毛ガニのコンビネーション 
レモングラスのジュレとコブミカンオイル 自家製生アンチョビ添え 
前菜 白子のフラン 白子とオマール海老のポアレ塩漬けした鱈のソース 
前菜 新ジャガとアーティチョーク 黒トリュフのグラタン モリーユ茸 
フォアグラのポアレと牡蠣のソース
お魚料理 北海道産カスベのロティ ケッパーとハーブの香り 
グラニテ りんごのグラニテ
お肉料理 阿蘇山から来た馬肉ハラミのロースト 赤ワインと燻製したエシャロットソース 
自家製パン
デセール ブルボンバニラのプティポーとカルダモンと生姜のアイス アルマニュアック香るイチゴミルク 
プティフール カヌレとクレームショコラ 金柑とラズベリーの水まんじゅう
カフェ マリアージュフレール

ワインコース 持ち込みワイン
NV CHAMPAGNE “Le DRAPPIER” Special Cuvee DRAPPIER
2009 PERNAND-VERGELESSES “LES COMBOTTES” Domaine Rapet Pere & Fils
2011 MEURSAUT “LES VIREUILS” Domaine des Hospitalieres
2010 ALSACEl GEWURZTRAMINER Domaine Paul Zinck
2007 CHAMBERTIN Grand Cru Domaine Jean Claude Belland
2008 CHATEAU LAFON ROCHET Grand Cru Classe du Medoc

スペシャルワイン
2003 CHATEAU AUSONE Saint-Emilion Premier Grand Cru Clsse “A”

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今回のリードボーとフォアグラの組合せも繊細にして大胆。トピナンプールとトリュフの香りが全身を包み、甘口のワインが喉を潤す。ジビエ料理はウズラとラングスティーヌのファルシ。軽い味付けと柔らかな火入れ、ジビエとは思えぬ、軽いながらも幾重にも複雑に重なる味わいは、グロのヴォーヌロマネに合わせての絶妙なマリアージュ。複雑さと複雑さの出会い。まさに天国への階段を昇る思い。各皿に合わせるお任せワインが素晴らしい。シャンパーニュはアンリジローのエスプリから。〆のヴォーヌロマネまで、料理とのマリアージュは完璧。文句の付けようがない。そしてワインンサービスをする若く美しいマダムの、ワインを愛する思いが伝わるトークに酔うこともできる。

コースA 9950円
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ
オードブル 真鱈の白子プリン その白子とオマール海老のソテー 塩漬けした真鱈のソース
フォアグラ リードヴォーとフォアグラのフリカッセ トピナンプールとトリュフ
ポアソン 五島列島産カサゴのポアレ その出汁で取ったブイヤベース
グラニテ リンゴのグラニテ
ヴィアンド 国産ウズラとラングスティーヌのファルシ コニャックと赤ワインのソース
自家製パン
デセール ライチと苺のアイスマカロン ショコラブランとミントのソース 
14種類の香辛料のジュレで合わせたフレッシュライチ 苺 ラズベリー
カフェ マリアージュフレールの紅茶各種
プティフール カヌレ
クマの縫いぐるみが好きな妻のためのクマちゃんのチョコレートと食用花

NV CHAMPAGNE ESPRIT DE GIRAUD BRUT HENRI GIRAUD 1700円/120mlグラス
2008 ALSACE GRAND CRU RIESLING GEISBERG KIENTZLER 1500円/120mlグラス
2009 SANCERRE GERARD BOULAY 1600円/120mlグラス
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS 1800円/120mlグラス

別途サービス料10%

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1日数人だけに振舞われる極上料理の数々は、連夜享楽の極み。ここはワイン好きにとって天国に一番近い部屋。これまでの南麻布を後にして、12月からこの元麻布に移転して来た。広尾、六本木、麻布十番の三角地帯の真ん中。カウンター6席と個室6席と少し規模を拡張した。しかし、サービスの質を落としたくないと、1日2組、合わせて5、6人程度という方針は変えないと言う。

ワインコース 78000円/6人
アミューズ 毛蟹のプチタルト キャビア添え
オードブル 赤穂牡蠣と蛤 ホッキ貝のミキュイ 帆立のブイヨンで作った海藻ジュレ ラングスティーヌのクリームとベルガモットのエスプーマ 黄柚子風味
オードブル テットドフロマージュとラングスティーヌのポアレ ポアブロンルージュのクーリと秋トリュフ
フォアグラ 鹿児島県産筍とフォアグラのカネロニ仕立て ブルーチーズとフォアグラのソース
ポアソン クミンを塗した北海道産鮟鱇のロースト ココナッツソースと昆布蜜柑オイル
グラニテ 5種類のベリーのクラニテ 苺 ブルーベリー ラズベリー ブラックベリー 黒スグリ
ヴィアンド ペルドローのロースト モリーユ茸とコニャックのクレーム
デセール 桂花陳酒のジュレ ソルベアマンド マンゴープリン 金柑と苺
カフェ エスプレッソダブル
プチフール カヌレ クレームショコラ

NV CHAMPAGNE GRAND CRU Brut Tradition RM PIERSON-CUVELIER EARL
2010 PULIGNY-MONTRACHET "LES ENSEIGNERES” Domaine Sylvain Cholet
NV CREMANT D'ALSACE BRUT "Cuvee Manekineko” Clement KLUR
SOLERA RATAFIA DE CHAMPAGNE HENRI GIRAUD
2007 MEURSAULT DOMAINE MICHEL CAILLOT
2009 GEVREY-CHAMBERTIN "VIEILLES VIGNES Age 55” FREDERIC MAGNAEN
2002 GEVREY-CHAMBERTIN "CLOS DES ISSARTS” PREMIER CRU DOMAINE FAIVELEY

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ワインコース 70000円/5人
ワインは事前に自分で持込んで、料理をワインに合わせてもらうというコース。
アミューズ 帆立のプリン 紫雲丹と毛蟹のカクテル
オードブル 駿河湾産天然真鯛のクリュ 長崎県産地蛸と勝浦産雌貝鮑にその肝のソース ポアブルベールの香り
オードブル ローストした和牛ハツとゼストオレンジのコンフィ フォアグラのソテーとトリュフ風味コンソメジュレ
オードブル トピナンプールのクリームとラングスティーヌのポアレ スモークした黒胡椒とベーコンのエマルジョン
ポアソン アズキハタのロティ 江戸前アサリと黄柚子のナージュ
桃のグラニテ
ヴィアンド 青首鴨のロースト 生姜とエシャロットのソース
デセール 丹波産 石鎚の渋皮煮を包んだ焼きモンブランと五香粉のアイスクリーム ピスタチオソース
プチフール
カフェ マリアージュフレージュ

持込みワイン 7本/5人

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場所は南麻布の住宅街の真ん中にあるデザイナースマンション。エントランスは裏側に回ったところにあり、オートロックで部屋番号を押す時点で、特別感はトップギアに入る。最上階に上がると、ホールではうら若き美人オーナーがにこやかに迎える。玄関ドアを開けて招き入れられると、そこは東京タワーのライトアップを目の前に見渡すリビングルーム。スケルトンのインドア階段を上がると、目前に現れる寛ぎのダイニングキッチン。オープンカウンター5席だけの極上空間。テーブルセッティングは季節の設え。春夏秋冬の飾り付けに惚れぼれする。料理は素材を活かし、なお且つワインに合わせることを最優先する。季節の素材は欠かさない。日本各地、フランス各地の旬の組合せはバランス感覚の妙。ワインには北から南まで、例えばブルゴーニュにはブルゴーニュに合う、ボルドーにはボルドーに合う料理が用意される。フォアグラひとつとっても、そのアレンジは多様な切り口。カウンターでのサービスのパフォーマンスも、オーナーの美しい動きを見ているだけで楽しい。ワインはシャンパーニュ、ブルゴーニュを中心に、何でも揃っている。オーナー、シェフの2人がソムリエ資格を持っているので、ワインのセレクトは阿吽の呼吸。持込みコースもお奨め。5人貸切、料理と持込み料を含んで7万円。何本でも持ち込める気軽なコース。

持込みワインに合わせるお任せコース 70000円/5人
アミューズ 鮎のリエット コンソメのジュレとジャガイモのムース
オードブル 冷製フォアグラのカルパッチョ 杏とセロリのピューレ 長野パープル
オードブル 紫ウニ イクラ キャビア リコッタチーズ グリンピースのスープ掛け
オードブル リードヴォーとスモークしたオマール海老のポワレ グリーンアスパラガスとフォンドヴォーのソース
ポアソン 日向灘のヒラスズキの鱗焼き ツブ貝と白ウド ジュンサイの軽いソース 海葡萄のアクセント
グラニテ ミントと青りんご
ヴィアンド 2週間熟成させた北海道産の夏雌鹿のロティ フランボワーズと黒胡椒のソース
デセール 桃のコンポート ブランマンジェ トロピカルフルーツの炭酸ムース
カフェ ハーブティー
プティフール チョコレートのガナッシュ エピスのクランブルとグレープフルーツとローズマリーのコンフィ ローズのマカロン ブラックオリーブのコンフィ

Degrege2010 CHAMPAGNE BRUT NATURE Sans Ajout De Soufre DRAPPIER
2010 Alsace Grand Cru Gewurztraminer Altenberg de Bergbieten DOMAINE ROLAND SCHMITT
2002 MEURSAULT CLOS DU CROMIN JEAN LEFORT
1998 MAZOYERES-CHAMBERTIN GRAND CRU DOMAINE CAMUS PERE ET FILS
1999 ECHEZEAUX GRAND CRU LIGER BELAIR

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南麻布の閑静な住宅街の一角に、築数年のお洒落なマンション。最上階のペントハウスは、吹き抜け階段のあるスキップフロア。玄関を入るとゆったりソファーのリビングでウェイティング。吹き抜けの階段を上がると、そこはカウンター5席、極上のダイニング空間。1日5人限定の超こだわりダイニング「エクアトゥール」。本日は「葡萄党港支部新春ワイン会」。葡萄党の党首、その他党員合せて5名。エクアトゥールでの「葡萄党食べログ支部」結成式のレビューを、食べログで見た党首のリクエストによりこの店で開催。1週間前に届けて置いた持ち込みワインは、「1995 ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ・レ・コンベット」、「1997 ブシャール シュバリエ・モンラッシェ」、「1987 ルモワスネ グラン・エシェゾー」、「1994 マルタン・ノブレ エシェゾー」など6本。いずれ劣らぬ最高レベルの飲み頃バックヴィンテ-ジ。さすが党首が来る時の気合いの入り方。 

コースは前回同様、「持込ワインに合せたお任せコース 新春バージョン 70000円/5人 
アミューズ レンズ豆とトリュフのスープ
こんなに美味しくレンズ豆を仕上げるシェフはそういない。トリュフの香りと絡み合って、シャンパーニュのための完璧な皿。いきなり素晴らしい。 
オードブル 毛蟹のエフィロッシュとホッキ貝のマリネ、赤ピーマンのクーリ 
ほぐした毛蟹の蟹肉とホッキ貝が交互に丸く並び、上には可愛らしい野菜にイクラとキャビア。見た目の美しさにうっとり。ホッキ貝が美味しく、あっと言う間にシャンパーニュから白ワインに交代。シュバリエ・モンラッシェからとはあまりに贅沢。 
オードブル オマール海老のラビオリとそのエッセンスを使ったソース、マテ貝とともに
濃厚なオマールの味わいがラビオリの食感の中から。美味しい。オマールのソースとマテ貝が絡み合って、舌の上で踊る。合せるワインはルフレーヴの熟成プルミエ・クリュ。この世の快楽の頂点を極めた感。 
ポアソン オウモンハタのロースト ドライノイリー酒とブールノワゼットの香り 
これは今日一番印象に残る料理。オウモンハタってこんなに美味しいのかと驚く。初めての体験。皮はかりっと、白身は柔らかく、あっさりした味わいの中にも旨味が凝縮され、ほんのり甘みさえも感じられる。さすが刺身でも、ぷりっぷりな高級魚のオウモンハタ。ドライノイリー酒が効いているのか。こんなに狭いマンションのキッチンで、どうしたらこんなに素晴らしい火入れと味付けができるのだろう。流石と唸る。それにしても、こんなに美味しい魚。ルフレーヴ飲みながら食べるとは、バチでも当たらないと良いが。  
フォアグラ スモークしたフォアグラロールキャベツとトリュフのエマンセ 
今流行りの草食系に見せかけた肉食系女子の様相のフォアグラ。たっぷり黒トリュフの香りを楽しみながら、柔らかで軽い甘みのキャベツの中から絶品フォアグラが美味しい。合わせるのはロワールの生原酒のような白濁した白ワイン。こんな面白い甘口ワインが世の中にあるのだろうか。この珍しいワインにフォアグラを合せるため、わざわざ甘みを感じるキャベツで巻いたのだおうか。だとしたら凄過ぎる。 
グラニテ ベルベーヌとライムのグラニテ 
ヴィヤンド 穀物飼育のプレミアム仔羊のロティ ジュードアニョーとニンニクのピュレ ヴィネグレットエルブと春野菜 
仔羊の肉が珍しい味わい。穀物飼育というのは肉の味を濃厚にするのだろうか。全く臭みのない仔羊。軽くニンニクを効かせた仔羊のジュで柔らかい肉が引き立つ。回りにちりばめられた春野菜も季節を感じさせてくれる。飲み頃バックヴィンテージ、グラン・エシェゾーとエシェゾーのための料理。仔羊で何の不足もない。ワインの美味しさが、何倍にも増幅された感じで、感謝、感謝。 
デセール あまおうとブラックベリーのスープ仕立て 4種のベリーソルベとアプリコットの炭酸ムース 
こんな素敵なデセールを、これだけワインを飲んだ後に見せられるとは。勿体ないとしかいいようがない。 
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ この店、お決まりのパターン。 
プティフール 金柑のパスティス漬けと三河のホオズキ そして金柑で〆め。 

またも素敵なワインたちに合せた完璧なマリアージュ。素晴らしい料理を小さなキッチンから次々繰り出すシェフと、うら若き美人オーナーのコンビネーション。この特別感は他では味わえないフルオーダー感覚。今宵も素敵な宴の場をありがとう。 

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最近ワイン仲間になった方の誘いで、いつもの仲良し5人組みが集まった。ワインは持込。泡、白、赤2本、飲み頃を選んで2週間前に自宅からお店に宅急便で送ってある。さながら葡萄党食べログ支部の結成式。お店にも大きなセラーと奥にサブのセラーがあり、ソムリエ資格を持つ若く美しい女性オーナーが厳選したブルゴーニュ中心のワインが沢山揃っている。従ってわざわざ持ち込む必要はない。今回は幹事より、是非、葡萄党幹事長厳選のワインとこの店の料理を合わせたいとリクエストがあり、恐縮ながらワインは全て持ち込みでお願いした。 

持込みワインに合せたお任せコース 70000円/5人 
ワインは何本持ち込んでも構わない。今回は事前に送ってあったワインに合せた特別コースを、オーナーとシェフで演出してくれた。感謝に堪えない。まずは泡から。 

2002 クリスチャン・エティエンヌ シャンパーニュ・ミレジム 
NMなら、コスパ・ナンバーワン・シャンパーニュとして有名な泡。そのミレジム。しかも希少な2002年。これに合せる料理がスタート。 

美食へのいざない 
砂糖を一切使わない人参のスープ カカオの香り 白身魚と小海老の焼きサンドウィッチ トリュフ添え 
人参とココア味の組合せでシャンパーニュ。いきなり来たという感じ。あっさりと美味しい、人参とは思えぬスープ。ちっちゃな焼きサンドもぷりっと美味しい。おまけにトリュフの香り、複雑な香りが絡み合う幸せな一瞬。 
季節のアントレ 
マグレ鴨のスモークで巻いたマンゴーとネセロリのプレスオマール 春野菜のサラダ バニラドレッシング 
マグレ鴨とオマール海老の折り重なる味わいが素晴らしい。これで一気にシャンパーニュが無くなりますね~。この美味しいミルフィーユを乗せられたキャビアが引きたて、添えられた秋なのに春野菜の甘みがまた、たまりませんね。熟成ムルソーを開けて合わせる。ソムリエールでもあるオーナーが、素敵な手さばきでコルクを抜く。グラスの長い足も、オーナー同様に美しい。今日は酔い過ぎそう。 

1985 ドメーヌ・ジャン・デュポン ムルソー・クロズリー・デ・ザリジエ 
1985年のムルソーも稀少価値狙い。シナモンと蜂蜜香が熟成の極みで見せる軽い酸味。合せる料理は何か。 

熟成ムルソーのためのアントレ 
豚の3種の部位を使った島根産白烏賊のポアレ 万願寺唐辛子とカレー風味のカリフラワーピュレ 蛤のチップ 
温かくて甘い白烏賊が美味しい。豚足や豚耳などを合せている。万願寺唐辛子の泡仕立ても面白く、添えられたジロール茸が、なんともムルソー。 
フォアグラ 
スモークした牡蠣とフォアグラ ジロール茸のソテー マッシュルームスープ仕立て 
秋の夜長のジロール茸攻め。牡蠣とフォアグラを同時に同じ皿で食べるのも初体験。ムルソーのためのフォアグラ。 順調なワイン会、この結婚式のような皿がその象徴。続いて本日3組目のマリアージュへと。 

1999 ドメーヌ・カミュ マゾワイエール・シャンベルタン 
これは何度も飲んでる鉄板のグラン・クリュ、マゾワイエール。シャルムを名乗れる畑で敢えてマゾワイエールに拘るカミュ爺渾身のワイン。1999年も残り少なくなってきたと言われるが。 

熟成赤ワインのための海の恵み 
長崎産カサゴのポアレ チョリソーとキャベツ レモンと生姜のナージュ仕立て 
なんと魚を合わせて来た。これは驚く。チョリソーと甘いキャベツを使うことで、赤の熟成グラン・クリュに合せたとのこと。レモンと生姜の海を泳ぐ長崎のカサゴ。
カクテル仕立ての口直し
これなら口直しなしでも、肉に行けてしまう。本日のメイン・イベントはヴォーヌ・ロマネの巨匠。 

2005 ドメーヌ・プリューレ・ロック ヴォーヌ・ロマネ・レ・クルー 
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの共同経営者で有名な元祖自然派、プリューレ・ロック。その最もコスパの優れたレ・クルー。そして近年最良の2005年。メイン・イベントに合わせる料理は何か。その前にサブ・イベント。使うナイフを自分で選ぶ。ラギオールの6色のナイフ。好きな色を。 

ヴォーヌロマネに合わせたお任せ肉料理 
フランス産ピジョンラミエのロティ 赤ワインソースとネセロリのピュレ 内臓のパテ添え 
フランスの山鳩。自然派ヴォーヌ・ロマネとピジョンラミエ。嬉し過ぎるマリアージュ。材料費、いったいいくら掛けたのか。内臓のパテも美味しい。これだけで飲めてしまう。 
デセール 
とろける焼きモンブランのキャラメリゼ サンクエピスのアイスクリーム ピスタチオクーリ 
そびえるモンブランの頂上にアイスが乗っている。 
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ 
紅茶はマリアージュフレール各種の缶の香りを楽しんで、好きな缶を選べる。楽しい演出。シェフが大好きと言うブルボンバニラで全員決定。オーナー曰く、初めて出たとのこと。 

しめて4組の完璧なマリアージュ。オーナーのみならず、シェフまでソムリエ資格を持つ完璧なワインのためのレストラン。心を奪われる。また来たいと誰もが思う。素晴らしいインテリアと、ワインに合わせた最高の料理、美しいオーナーの肌理の細かい心使い、そして何より気心の知れた身内だけでのゆったりとした時間。一昔前に流行った会員制レストランのお洒落コンパクト版。このお店のコンセプトにもやられてしまった。蛇足だがオーナーと名刺交換をすると、オーナーとシェフがビックリして目を丸くしていた。何かあるのか。先日、御社の会長と社長、グループ会社の役員たちが来て、マンションの下の路上に黒塗りをずらっと並べ、運転手を待たせて食事会をしてくれた。社長夫妻はその後も来ているとのこと。こっちこそビックリ仰天。  

  • ラカン産ピジョンラミエ 赤ワインのソース
  • 黒アワビと椎茸 黒アワビの肝のジュレ
  • ウニ 甲殻類のムース コンソメのジュレ

もっと見る

2位

麻布 幸村 (麻布十番、六本木、六本木一丁目 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥30,000~¥39,999 -

2014/04訪問 2019/01/29

麻布でミシュラン3つ星の花山椒しゃぶしゃぶ

京都で四半世紀に渡り修行した大将の料理は旬の素材への拘りと、その素材を最大限に活かす創意工夫の賜物と言える極上の味わい。伝統の味を噛み砕いて自らの言葉に置き換え、より新しい心境を切り開いている。ミシュランの3つ星を取り続ける美味しさの源泉は、この飽くなき探究心ゆえと思わせる。4月の10日間程しか採れないという山椒の花を、これだけ贅沢に使う料理も他に類を見ない。ほんの一握りで数千円はするという希少価値の山椒の花を、これでもかと鍋に投入して柔らかな牛肉で巻いて頂く幸せは言語に尽くせない。

今回は先付から春の終わり、初夏の訪れを感じる美味しさ。蛤の煮凝りは白いジュレとなって春の山菜を覆っている。時間と共に白から透明に変わる軽い味わいの蛤出汁の中から、春の名残りが次々に現れてくる楽しさが何とも言えない。凌ぎのカラスミ蕎麦も、この店のスペシャリテ。丁寧に作られたカラスミが肌理細やかに削られて、蕎麦の上に掛けられている。こんな上品な蕎麦には出会ったことがない。椀物の白身魚が鯉であることにも驚かされた。川魚独特の生々しい脂の感覚は皆無。さっぱりと透明感のある白身の味わいにうっとりする。川魚らしさでもある脂感を落とすために、じっくりと焼いているからとのこと。手間隙かけただけの極上のお椀となっている。

この時期しか食べられない花山椒しゃぶしゃぶは、この店の名物となっている。希少な丹波産の山椒の花をどんぶりいっぱい、惜しげもなく鍋に投入する。刺しのたっぷり入った山形牛で、この花山椒を巻いて口に方張ると、牛肉の脂が山椒の花の柔らかさでまどろみを得て広がり、やがて山椒の僅かな辛味の片鱗が後を引く美味しさとして、いつまでも左右の頬の内側に残る。文句なしに美味しい。食事は2種類の土鍋炊込みご飯。一つは旬のうすい豆。紀州産らしい甘みの強いエンドウマメ。もう一方は焼物でも堪能した物集女の筍。2種類の炊き込みご飯をほんの一口づつ食べ比べる贅沢。おまけに花山椒が添えられて、最後まで感動できる。

日本酒は1種類のみ。この日の日本酒は新潟県の大吟醸、鄙願。新潟らしいすっきりとした口当たりと喉越し、淡白な味わいが、京料理らしい繊細な料理の味わいと良く合っていて飲み過ぎる。日本酒は1合づつの片口で出されるので、あっという間に空いてしまい、何合飲んだのか記憶に残らない。皿ごとに軽く1合は飲んでしまう。

場所は六本木ヒルズから麻布十番交差点に下る鳥居坂下交差点の手前。最寄り駅は東京メトロ南北線、都営大江戸線の麻布十番駅。麻布十番交差点から鳥居坂の信号を超えた左手に在る。通りからはビルの1階にも関わらず一軒家風のファサード。表札まで掲げていて芸が細かい。エレベーターは2階からとなり3階の店へは階段の方が早い。

店は3階に10席のカウンターと4人テーブルが1卓と言うコンパクトさ。花山椒の季節には予約が殺到するため、6階で経営しているカウンター8席のビストロを、2ヶ月間だけ別館として利用している。大将には、4階のミシュランの星を持つ居酒屋と共に、このビル一棟を丸ごと傘下に収める勢いを感じる。

大将は気さくで話も面白い。昔は職人気質で気難しかったが、この歳になって色々悩み始め、だからこその成長を感じると笑う。花山椒への拘りも、季節ごとに旬の素材を使った旬の料理とも言えるスペシャリテを持つことも、長年かけて最高と思える料理を完成させた上で、さらに工夫をし続けることで始めて最高の料理に近づくのではとも言う。いくつになっても成長を貪欲に求める大将の話を心地よく聞きながら、日本酒を飲み過ぎて記憶が薄れていく余韻を楽しめる。

≪今回の料理≫
お任せコース 23760円 別途サービス料10%

蛤の煮凝りと春野菜
カラスミ蕎麦

薇の白和えとコゴミの胡麻和え
白魚とタラノメの天婦羅
菜花の海苔巻き

鯉と丁子麩の椀物
串打ちした琵琶湖の稚鮎塩焼き
物集女の筍とコノコ焼き
赤貝とトリ貝の酢味噌和え

花山椒しゃぶしゃぶ 丹波産の花山椒と山形牛
香物 白菜の新香

うすい豆の土鍋炊込みご飯
物集女の筍土鍋炊込みご飯
花山椒添え

水物 にごり酒のアイスクリーム
金平糖

≪今回の日本酒≫
鄙願 大吟醸 大洋酒造 新潟県 1合片口

別途サービス料10%

  • 花山椒しゃぶしゃぶ
  • 蛤の煮凝りと春野菜
  • カラスミ蕎麦
  • 鯉と丁子麩の椀物

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3位

ル・マンジュ・トゥー (牛込神楽坂、牛込柳町、神楽坂 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2017/11訪問 2017/11/27

神楽坂のナンバーワンフレンチ

今や神楽坂フレンチの代名詞となっているシェフの店。日本のフレンチを牽引してきたベテランシェフの中では若手だったシェフも、そろそろ名実ともにベテランの大物シェフ筆頭クラスとなっている。アスリートのように料理と真摯に向き合うシェフの料理は微塵の隙もない完成度。じっくり時間を掛けて丁寧に丁寧に作られた料理の数々は、ブルゴーニュやボルドーのワインと共に、じっくりと時間を掛けて味わいたい。

今回のヴィアンドはシェフ得意のジビエではなく仔羊。北海道の茶路からこのシンタマを取るために1頭丸ごと仕入れたとのこと。シンタマの中心、シンシンが柔らかく、目に見えないくらいのうっすらとしたサシと赤身部分のバランスが素晴らしい。このシンシンのために買った1頭の肉をふんだんに使った羊肉のジュのソースも素材の味わいを引き出している。こんなに美味しい仔羊にはそうは巡り合うことはできない。

お任せコースはトマトのコンソメジュレから始まる。どれだけ手間を掛けたのかというような透き通るトマトコンソメ。これだけで満足できてしまう。細かく切られた野菜がラタトゥイユとなっている。オードブル1皿目はサーモンの燻製。軽い桜チップの香りがシャルドネを飲みたくさせる。マナガツオの西京焼きは西京味噌とコリアンダーのバランスが驚きのコンビネーション。ブールブランソースはシェフの真骨頂でもある。

大仙鶏のガランティーヌの表面は紅葉から取ったコラーゲンで覆われている。さっぱりした鶏肉と紅葉にはキャビアがワンポイント。添えられたスティックセニョールのほろ苦さも良く合っている。ポアソンのオマール海老にはオマールの殻の香り漂うソースが美味しく絡む。添えられた半熟玉子はシェフの長年のノウハウである63.5℃90分の火入れ。これが最高の半熟玉子の条件らしい。アヴァンデセールのメロン、グランデセールのショコラとブラックチェリーまで息をも付かせぬ完全無欠の構成。

乾杯のシャンパーニュはダニエルデュモン。クラシックなシャンパーニュらしい造りが、基本のしっかりとしたオリジナルフレンチにぴったり。桜チップの燻製にはアンリブルジョワのサンセール。西京焼きにはサヴィニーのピノノワール。軽い赤が何とマナガツオと合うことか。そしてオマール海老にシモンビーズのサヴィニー、シャルドネ。〆の赤はシンタマのシンシンに2002年のサンテミリオン。熟成したタンニンの具合がシンシンに染み渡るマリアージュ。

場所は都営大江戸線の牛込神楽坂駅。大久保通りの一番新宿寄りに出て新宿方面へ歩いて直ぐの牛込北町交差点。信号を左へ曲がり細工町と納戸町の間、2本目の路地を右に入る。古くからの神楽坂の住宅街にある中学校の手前右手に静かに佇んでいる。1階がオープンキッチン。カウンターの中からはシェフが微笑んで会釈してくれる。こんなに人懐っこい、優しいシェフであったかと驚く腰の低さ。2階がメインダイニング。比較的コンパクトな白い空間が流行のフレンチの元祖らしい雰囲気。

ミシェラン東京初版以来、2つ星を取り続けるシェフの実力は誰もが認めるもの。日本の食材を愛し、客に寄り添い、喜んでくれる客のためにオリジナルなフレンチを追及する徹底した姿勢に感動できる。合わせるワインはシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ボルドーを厳選。料理とワインのコストパフォーマンスは他の店にはない驚異のレベルを実現している。神楽坂という伝統と新しさ、日本とフランスが同居する地で、いつまでもトップを走り続けて欲しいと願わずにはいられない店となっている。

シェフのお任せコース 15000円
アミューズ トマトのコンソメジュレ
 ラタトゥイユとトマトのエスプーマ
オードブル 北海道産サーモン
 桜チップの燻製 ビーツソース ディル
 ホワイトクリームチーズのパンナコッタ
オードブル 山口県産マナガツオの西京焼き
 茄子 味噌とコリアンダーのブールブラン
オードブル 大山鶏のガランティーヌ
 紅葉のコラーゲン キャビア
 スティックセニョール ニンジン
 ニンニクのピュレ敷き
ポアソン オマール海老とサマートリュフ
 63.5℃で90分の半熟玉子
 オマール海老の殻と身のソース
ヴィアンド 北海道白糖町茶路産仔羊
 1頭買いのシンタマ アンディーブのソテー
 フランス産ジャガイモ ラットのピュレ
アヴァンデセール ヨーグルトのソルベ
 メロンとメロンソーダ
グランデセール ショコラムース
 ブラックチェリー
カフェ エスプレッソ
プティフール フロランタン メレンゲ

NM CHAMPAGNE BRUT Daniel Dumont
 1380円/120mlグラス
2014 SANCERRE La Bourgeoise
 HENRI BOURGEOIS 1280円/120mlグラス
2007 Savigny-les-Beaune 1er Cru
 Aux Serpentieres Jean Michel GIBOULOT
 1400円/120mlグラス
2014 Savigny-les-Beaune Simon Bize
 1280円/120mlグラス
2002 Chateau Soutard SAINT-EMILION
 1400円/120mlグラス

別途消費税・サービス料10%

神楽坂に開業して今年で20周年を迎えた老舗中の老舗。フレンチ激戦区でトップの座を守り続け、ミシュランの星を維持し続ける王道フレンチ。シェフのこだわりは、クラシックとはあくまで進化し続けることにあると最近マスコミでも語っていた。店の小屋裏部屋に寝泊りし、家に帰る時間を惜しんで料理のことだけを考え続けるシェフ。今や神楽坂に留まらず、東京、日本のフレンチを支える存在と言っても過言ではない。料理はどれもクラシックの範疇にありながら、どこか新しさが漂う他に無い仕上がり。素材のパフォーマンスを最大限に活かしつつ、少しづつ進化し続けることにこだわった、シェフの思いを楽しめる店となっている。

今回はフランス産、仔鳩のロティが素晴らしかった。赤身を帯びた胸肉の柔らかさと、鳩らしくない肉そのものの濃厚でしっかりとした味わいの組合せ。まさに素材が活かされた典型パターン。首や腿肉との食べ比べも楽しく、鳩肉のジュのソースが堪らなく美味しい。合わせるピノノワールの雄、マゾワイエールシャンベルタンと奏でる協奏曲は、心を芯から振るわせる料理の力を感じさせてくれる。

夏らしいガスパチョからのスタートも楽しい。甘みのあるトマトの味わいが季節感を漂わせる。軽い酸味漂うシャンパーニュに合うことこの上ない。白ワインに合わせるのは、ぷりっとしたツブ貝。冬瓜との組合せが夏らしさを演出し、白ワイン煮のしみじみとした味わいが、どんなワインにでも合いそうな軽快な仕上がりで素晴らしい。

セップ茸は初物。もう秋の香りを漂わせる。まるで日本料理のような旬の走り、盛り、名残りの競演。これぞ日本の心を持ったフレンチの真髄。トリップのガランティーヌは始めて見る代物。あっさりした味わいと、ぷりぷりの食感のコントラストが見事に共鳴する。淡路産のグジもクラシックとは言え、その火入れは完璧に近いふわふわ感。流行の焼き加減をいかにも簡単にこなしているように見える。豆のソースの緑色が鮮やか。

ワインは在庫の幅広さが20年間の歴史を垣間見せている。高評価で有名なジョスマイヤーが日本向けに造る蓮と言う名のワイン。言われなければシャルドネと勘違いする芳醇な香りと滑らかな舌触り。アルザスのピノグリとはとても思えない面白さ。最後の鳩にはマゾワイエールシャンベルタン。嬉し過ぎて言葉も出ない。料理に合わせ次々に最高のマリアージュを演出するシェフソムリエ兼メートルドテルが、笑顔の可愛らしい女性であることにも驚かされる。

場所は都営大江戸線の牛込神楽坂駅。大久保通りの一番新宿寄りに出て新宿方面へ歩いて1分。牛込北町の信号を左へ曲がり、細工町と納戸町の間、2本目の路地を右に入る昔からの神楽坂の住宅街。交差点からさらに1分。牛込第3中学校の手前、右手に在る1戸建フレンチ。女性スタッフがドアを開けて向かい入れてくれる。1階はオープンキッチン。シェフが微笑んで会釈する。こんなに人懐っこい、優しいシェフであったかと驚く腰の低さ。2階がメインダイニング。比較的コンパクトな白い空間が流行のフレンチの元祖であることを匂わせている。

コースはお任せの1本のみと言う潔さとこだわりが素晴らしい。3年前からは東日本大震災の復興のために一部の土曜日のみランチを始め、売上から義援金を送り続けているシェフ。7年連続でミシュランの2つ星を取り続ける実力と評価の背景には、国を思い、人を思うシェフの、見た目からはちょっと想像できない優しい心を感じることができる。シェフと心を一つにするスタッフたちを含め、日本におけるあるべきフレンチの姿を一生懸命追い続ける店。食事をすると、心が洗われ癒される店でもある。


≪今回の料理≫
シェフお任せコース 12960円 別途サービス料10%

アミューズ ガスパチョ
オードブル ツブ貝と冬瓜の白ワイン煮込み サマートリュフ

オードブル セップ茸のソテー 生クリームのエスプーマ仕立て
オードブル トリップのガランティーヌ

ポアソン 淡路産グジのポワレ エンドウマメのソース
ヴィアンド フランス産仔鳩のロティ 胸肉 首 腿肉
パン ミニバケットとプレーンパン

アヴァンデセール 無花果のコンポート
グランデセール チョコレートアイスクリーム

プチフール 5種類のミニャルデューズ
カフェ エスプレッソダブル

フロマージュ
ACQUA PARADISO 1000円/1本


≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BRUT Daniel Dumont 1490円/90mlグラス

2011 Fleur de Lotus ALSACE 蓮 JOSMEYER 1280円/120mlグラス
2009 Beaune Clos Des Monsniered CHATEAU DE LA VELLE 1280円/120mlグラス
2012 La Lune La Ferme de la Sansonniere 1280円/120mlグラス
2010 Chablis Premier Cru FOURCHAUME CHATEAU DE MALIGNY 1280円/120mlグラス

2011 CHEVERN Y Les Ardilles Herve VILLEMADE 1400円/120mlグラス
2001 MAZOYERES-CHAMBERTIN GRAND CRU CAMUS PERE & FILS 1400円/120mlグラス

別途サービス料10%

  • 北海道白糖町茶路産仔羊
 1頭買いのシンタマ アンディーブのソテー
 フランス産ジャガイモ ラットのピュレ
  • 北海道産サーモン
 桜チップの燻製 ビーツソース ディル
 ホワイトクリームチーズのパンナコッタ
  • 山口県産マナガツオの西京焼き
 茄子 味噌とコリアンダーのブールブラン

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4位

松川 (六本木一丁目、虎ノ門ヒルズ、神谷町 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥50,000~¥59,999 -

2014/09訪問 2019/01/29

赤坂で至高の松茸尽くし

この日が初物初日の丹波の松茸。一足早い岩手の松茸、信州の松茸、3種の旬の走りの国産松茸をこれでもかと次々に繰り出す。旬の走り、盛り、名残りを縦横無尽に松茸と組み合わせ、濃厚にトロ味をつけたジュレのような出汁から、酢橘を加えた酢の物のような出汁に、ハモの骨の上品で軽やかな出汁まで使い、あたかも出汁の魔術師のような料理の構成。ある意味、日本料理を極めていると言っても過言ではないように感じる。焼いた香りが素晴らしい丁度良い開き具合の岩手産松茸は、近江牛ヒレステーキと組み合わせている。細かいサシが入って甘さを感じるほどの柔らかさとなっている牛ヒレ肉と、これでもかと香りの上がる松茸の相性は抜群。笠のやや開いた信州産松茸は、紅ズワイのシンジョのお椀にさり気なく浮かんでいる。この蟹肉の塊は、シンジョと呼ぶにはあまりに贅沢で美味しい。そのお椀に松茸の香りが加われば、最高の椀物になるのも明らか。生でも美味しいこの日が初日の丹波産の松茸。ハモと交互にしゃぶしゃぶにして、松茸自体の味わいを楽しむ。ほんの数秒で頬が落ちるほど柔らかく美味しくなったハモと、プリっとした丹波の松茸。文句の付けようがない。大将のハモの骨切りも名人芸。手打ち蕎麦の出汁には酢橘を使い酢の物替わり。食事はお決まりのイクラ、生カラスミ、雑魚山椒の前に、何と丹波の生松茸御飯。澄んだ白さで軽い味わいの鳥取産の米と、最高に美味しい生松茸の組み合わせは思わず声を失う。松茸尽くしのこの時期には、これ以上ない至高の料理の数々。〆の蕩けるような水羊羹やゼリーまで、全てが完璧と言える。日本酒は燗酒が北陸の立山。冷酒は岐阜の三千盛など、日本料理の名店が選ぶ銘柄が並んでいる。シャンパーニュや白赤のワインも充実。飲む物の選択に悩む。大将は滋賀の会席料理の名店で修業を積み、12年前の丸ビル竣工時、その名店の丸ビル店で初代料理長に就任。ミシュラン1つ星を獲得。その後、広尾の名店の料理長となりミシュラン2つ星。その店のスペシャリテは今でも蟹のシンジョ。3年前に独立してこの店を開業した。場所は赤坂1丁目。最寄りは南北線の六本木1丁目駅。アメリカ大使館の裏側の寺社に囲まれた路地の途中のビル1階に静かに在る。松茸を始め旬の最高の素材に拘り、これ以上無いと思える味わいを引き出す。まさに至高の日本料理と呼ぶに相応しい店となっている。


松茸尽くしのお任せコース 41040円 別途サービス料10%
白湯
殻ごと焼いた伊勢海老と海老味噌の先付
アワビともち米
信州産松茸と新湊産紅ズワイ蟹のシンジョ
淡路島産鯛の造り
烏賊のルイベ
唐津産赤ウニと加賀蓮根
和歌山産子持ち鮎の炭火焼き
岩手産松茸と近江牛ヒレステーキ 銀杏 無花果
岩手産松茸を裂いて乗せた手打ち蕎麦
丹波産松茸とハモのしゃぶしゃぶ
丹波産松茸御飯
湯葉の赤出汁
水茄子と胡瓜の香物
鳥取産白米 イクラ 生カラスミ 海苔 雑魚山椒
水羊羮
抹茶
グレープフルーツゼリーとルビーロマン
煎茶


三千盛 本醸造 三千盛 岐阜県 3240円/2合徳利 別途サービス料10%


  • 岩手産松茸と近江牛ヒレステーキ    銀杏    無花果
  • 信州産松茸と新湊産紅ズワイ蟹のシンジョ
  • 丹波産松茸とハモのしゃぶしゃぶ

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5位

エスキス (銀座、有楽町、東銀座 / フレンチ)

5回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥40,000~¥49,999 ¥30,000~¥39,999

2022/02訪問 2022/02/21

銀座フレンチ人気ナンバーワン

日本を代表するモダンフレンチの店。世界的な店で腕を磨き、世界中を歩いて食材を見て来たフランス人シェフによる、日本や世界のテロワールを大切にする店でもある。開業以来ミシュラン2つ星を維持する名店。痒いところに手が届く付かず離れずのプロフェッショナルなサービスと、日本一の人気ソムリエ総支配人によるワインのマリアージュに酔いしれることができる。2019年にインテリアをリニューアルし、人員も新体制でスタート。今や押しも押されぬ銀座フレンチ人気ナンバーワン。グランメゾンとしての知名度も、すっかり定着したように思える。
今回のヴィアンドはフランス、ラカン産のピジョンラミエ。小鳩の胸肉は、皮はカリッと、旨味が凝縮された赤身はふわっと柔らかに火入れされ、小鳩のジュの赤ワインソースが完璧な仕上がりとなっている。添えられた内臓も、クラシック、モダンを熟知した上で、見事にオリジナリティを表現している。

冬らしいジビエの代表を、完璧に味わった気持ちになる。合わせるワインはルイラトゥールのコルトンペリエール、グランクリュ2010年。もう思い残すことは何もない。

限りなく微細な揺るぎと名付けられた今回のコースは、鯖と姫レモンから始まる。合わせるシャンパーニュはルイナール。スタートからテンションはマックスに近づく。シャンパーニュと鯖が合っていて驚く。

オードブル1皿目は貝、金柑、セリ。貝にサンセールが寄り添う。オードブル2皿目は舞茸、猪、トリュフ。小鳩の露払いが猪という発想が痺れる。合わせるのはプロヴァンスの赤。ポアソンは真魚鰹。しっかりした火入れにもかかわらず、満遍なく柔らかい完璧な仕上がり。ポアソンはこうでなければいけない。ヌフデュパプの白を合わせる支配人の感性にも感激する。

ピジョンラミエとコルトンのあとは、デセールのココナッツに、新政の陽の鳥。全く隙がない。最後はアマゾンカカオにポートで締め。グラハムを惜しげもなく出してくれる。

日本や世界のテロワールを大切にしながら、全く新しい食材の組み合わせに、食材が秘めるパフォーマンスを存分に引き出すシェフの感性が素晴らしい。理想的な火入れにこだわり、ソースは食材の引き立て役に徹している。合わせるワインが文句なし。世界中の食材を知り尽くした上で、日本の食材に精通するシェフと、ソムリエ界のレジェンド支配人の組み合わせこそが、この店の最高のマリアージュかもしれない。
今回のヴィアンドは北海道産の鹿。この時期の鹿はやはり蝦夷鹿の脂を全く感じない赤身が素晴らしい。仕入れの目利きも生産者との強い結びつきを感じる。これだけ上質な蝦夷鹿を銀座で食べられることに感激できる。さすが日本のテロワールを重視するシェフの真骨頂。均一にフワっとするほどの柔らかいフィレ肉へのベストな火入れも相変わらず。鹿肉のジュを使ったソースも赤身の肉自体を引き立てる完璧な仕上がり。これだけでもこの店に来る価値を見出すことができる。

コースのスタートは帆立貝。昆布〆の味わいは懐かしさを感じる。仄かな甘みのコウイカとツブ貝はイクラと合わせる。宮崎が大好きなシェフは九州蜜柑へのこだわりがあり、この甘さと柑橘の軽い酸味との組合せは、まさにシェフのスペシャリテと言える技。真鱈の白子は日本料理のような焼き加減と中のトロトロさ加減が美味しい。ローリエ、ガルム、フロマージュブランを使っても、やはり白子にはこの火入れが一番と思われる。これもテロワールを重視した表現。

蕪を柔らかく焼いて熟成ミモレットと合わせている。全く違う2種類のソースの対比も蕪を2倍楽しむ仕掛け。蕪がこんなにも美味しく食べられるとは、表参道にある今回新たに3つ星に昇格したフレンチのスペシャリテの蕪にも負けていない。ポアソンは勝浦産の金目鯛。この火入れも文句の付けようがない。後から総支配人がテーブルで掛ける麦味噌と柚子、コウイカのソースとの組合せは天にも昇るほどの美味しさ。

乾杯のシャンパーニュはドスーザのグランクリュ。ブランドブランとは思えぬクラシカルな味わい。真冬にも持って来い。コウイカにはアンリブルジョワのサンセール、白子にバンジャマンルルーの1級ムルソーと鉄板のマリアージュ。素晴らし過ぎて申し訳なくなる展開。蕪にボンヌマールのグランクリュ、金目鯛にシャンパーニュのミレジメ。そして蝦夷鹿にポムロール。さらにフロマージュに2013のデュケム。まるで天国にいるようなペアリング。

テロワールを大切にするフランス人シェフの素晴らしい食材の目利きと完璧な火入れ、食材を引き立てる控えめなソース。この店の料理は日本におけるモダンフレンチの教科書のような完成度となっている。付かず離れずの日本的なサービスも居心地満点で申し分がない。テレビ番組にもレギュラー出演する日本一の人気ソムリエが総支配人として店中に目を光らせ、どのテーブルも幸せオーラに包み込まれている。銀座ナンバーワン人気も当然と思える店ではないだろうか。

冬の王国 20000円
アミューズ 邂逅
 帆立貝の昆布〆
 セロリ 蓮根
オードブル 紡ぐ
 コウイカ ツブ貝 イクラ
 蜜柑 烏賊と帆立のジュ
 ハーブのペースト
オードブル ファド
 真鱈の白子 ローリエ ガルム
 自家製フロマージュブラン
 カリフラワー イタリアンパセリ
オードブル 親密
 蕪 24ヶ月熟成ミモレット
 レフォール アサリ
 小松菜 鶏肉とコンソメ
ポサソン 傾聴
 勝浦産金目鯛 春菊 豚足の脂
 コウイカのソース 麦味噌と柚子
ヴィアンド 浸透
 蝦夷鹿のフィレ 鹿の背脂
 燻製茶 菊芋 根セロリ
 鹿肉ジュのソース
パン 自家製カンパーニュ
 バターナッツ南瓜
 イチジク ライ麦
口替り 国産ハーブ茶
 愛媛県産レモンのハーブティー
フロマージュ 直感
 羊乳 イチゴ
 コリアンダーシード
デセール 冬の情緒
 カルバドスの林檎 蜂蜜
 甘草 ガレットブルトンヌ
カフェ
 エスプレッソダブル
プチフール タルトシュクレ
 トンカ豆のタルト
お土産

NM CHAMPAGNE RESERVE
 BRUT GRAND CRU
 BLANC DE BLANCS
 De Sousa
 120mlグラス

ワインペアリング
 15000円/90mlグラス×6杯
2015 Sancerre
 HENRI BOURGEOIS
2015 MEURSAULT
 1er Cru GENEVRIERES-DESOUS
 BENJAMIN LEROUX
2007 BONNES MARES
 GRAND CRU
 DOMAINE DROUHIN-LAROZE
2002 CHAMPAGNE MILLESIME
 BRUT GRAND CRU
 EGLY-OURIET
2007 PROVIDENCE
 POMEROL
2013 Chateau d'Yquem
 SAUTERNES

別途消費税・サービス料12%

日本を代表するモダンフレンチの店。世界的な店で腕を磨き、世界中を歩いて食材を見て来たフランス人シェフによる、開業以来ミシュラン2つ星を維持する名店。痒いところに手が届く付かず離れずのプロフェッショナルなサービスと、日本一の人気ソムリエ総支配人によるワインのマリアージュに酔いしれることができる。昨年リニューアルし新体制でスタートしてからは、グランメゾンの雰囲気も今まで以上に漂うようになっている。

今回のヴィアンドは仔羊をローストではなくブレゼにしている。全く新しい仔羊の味わい。ブレゼによる香りも素晴らしく、ブレゼらしい柔らかな食感と仔羊の肉の味そのものを楽しめる仕上がりは、仔羊がこんなにも旨みの塊であったことへの驚きと美味しさにただただ感激できる。仄かに漂うヨモギの香りはシェフの生まれ故郷の香りの記憶でもあるとのこと。シェフの思い入れの詰まった渾身の一皿は、食べる側にも忘れることの出来ない記憶となっている。

アミューズは天竜川の稚鮎からスタートする。こんがり焼かれた稚鮎と蓼の組み合わせはオーソドックスでありながら、あっさりしていて斬新。牡丹海老とビーツ、紫蘇というピンクのグラデュエーションもある意味新鮮な美しさ。銀座界隈のシェフお気に入りの豆乳を使い、ラビオリのように大豆や卵黄のコンフィを包んだ一皿も美味しい。ハモはオーブンで焼いた石に乗せて現代風石焼きにしている。絶妙な火入れはハモの甘さを引き出し、イヌハッカや桃との組合せも文句なし。

白烏賊には玉蜀黍を組合せた北海道の味わい。テーブルで掛ける鶏出汁と烏賊のスープも素晴らしい日本の香り。柔らかな白烏賊との相性ぴったり。ポアソンは根室のキンキ。白身を最高に引き立てる火入れが完璧。松毬焼きのようでもある皮目は、存在を感じさせないほど薄くかりっと焼かれていて驚く。花ズッキーニとトマトの泡の組合せも絶妙。肝のソースもキンキそのものを活かしている。

乾杯のシャンパーニュはシャルトーニュタイユのマグナムボトル。マグナムによる瓶熟はやはり最高。全ての皿に完璧な1杯を合わせるのは、今や日本一の人気を誇るソムリエとも言える総支配人。鮎には日本酒のスパークリング。牡丹海老にラディコンのメルロー。あとはもう身も心も任せて安心という流れ。絶品の仔羊にはコルトンシャルルマーニュを合わせる。仔羊のブレゼの味わいをシェフと同じように理解する総支配人の為せる技が凄過ぎる。

銀座の一等地に燦然と光り輝く金字塔のようなモダンフレンチ。世界を知り、日本を愛するフランス人シェフの料理は、日本の食材を知るほどに輝きを増している。この数年の進化を目の当たりにして、何と素晴らしいシェフが日本を愛してくれたのだろうと感謝の念さえ溢れてくる。そしてシェフの全てを理解する総支配人による天才的なワインサービスも素晴らしい。この店がやがて日本フレンチの伝説となっていくのは間違いないと思われる。

Regain 蘇り 25000円
火 天竜川の稚鮎
 マッシュルームと蓼のソース
押韻 牡丹海老
 ビーツ 紫蘇
約束 大豆
 トリュフ 卵黄のコンフィ ゴーヤ
仕草 ハモの石焼き
 イヌハッカ 黄トマトと桃
幾何学 白烏賊
 玉蜀黍 ピンクペッパー
 鶏出汁と烏賊のスープ
儚さ 根室のキンキ
 花ズッキーニ ウリと梅 加賀野菜
 トマトの泡 キンキの肝と鰯のソース
香りの記憶 シストロン産仔羊のブレゼ
 ヒヨコ豆 よもぎ
パン フーガス
 カンパーニュ チーズサクレ
グラニテ レモンと甘夏
 よもぎ
直感 フロマージュ
 醸し
安穏 ルバーブ
 ココナッツ
愉しみ バナナ
 ピーナッツ
プチフール
カフェ エスプレッソダブル

ワインペアリング 23000円
NM CHAMPAGNE BRUT
 CHARTOGNE-TAILLET
 Sainte Anne 120mlグラス
2018 8000 DRY SPARKLING
 八戸酒造 青森県 90mlグラス
2004 Merlot Venezia Giulia
 RADIKON 90mlグラス
2009 CHABLIS GRAND CRU
 BOUGROS
 Patrick Piuze 90mlグラス
2011 Coume Gineste
 Cotes Catalanes
 DOMAINE GAUBY 90mlグラス
2016 CLOS SAINT JEAN
 CHATEAU NEUF-DU-PAPE
 90mlグラス
2011 CORTON CHARLEMAGNE
 GRAND CRU
 BENJAMIN LEROUX 90mlグラス
2014 POMEROL
 Domaine de Compostelle
 90mlグラス
40 YEARS OLD TAWNY PORT
 GRAHAM"S 60mlグラス

別途消費税・サービス料12%

世界中を回ってきたシェフが、愛する日本のテロワールをフレンチに融合する、オリジナリティ豊かな銀座のグランメゾン。3ヶ月前にリニューアルし、南仏らしいシンプルな白い箱から、厚い塗り壁によるエレガントなインテリア空間に生まれ変わっている。総支配人によるワインのペアリングと、痒いところに手が届くサービスは相変わらず。開業以来、7年連続でミシュランの2つ星を取り続けるのも当然の結果と思われる。

今回の鴨肉は酒粕で数日マリネにされた、まさに日本とフランスの良いところ取り。柔らかな火入れと皮のパリパリ感は美しいと言える技術の領域。酒粕と鴨の味わいが目くるめくように舌の上を踊る。鴨の内臓を使う鴨肉と赤ワインのオーソドックスとも言えるソースの軽さは、鴨肉そのものと酒粕の香りを最大限に引き出す絶妙なバランスとなっている。

アミューズは稚鮎から。マンゴーと蓼酢の組み合わせに驚かされるが、文句なしに美味しい。グリーンアスパラガスにはホッキ貝とハマグリが後からテーブルで一緒に並べられるプレゼンテーションが楽しい。ホタテ貝は殻ごと火入れして素晴らしい香りを放っている。モリーユ茸は3日間干して、旨み成分を十分溜め込んでいる。蕗と味噌にはウズラの卵黄が合う。太刀魚に豚の背脂、葛粉、パルメザンチーズ。もう予測できる範囲を超えた全く新しい味わいに、ただただ感動してしまう。

総支配人が合わせるワインが予想を超える料理を、さらに超える組合せとしている。香りたっぷりのホタテにはマルクコラン、モリーユ茸に2007年のポイヤック、そして太刀魚にクリュッグ。鴨の酒粕漬けに合わせてランブレイのモレサンドニが出るころには、もう何も言うことがなくなっている。

銀座の一等地で日本らしさを満載する全く新しいフレンチ。日本とフランスの食材を、日本とフランスの伝統を大切にしながら、世界で唯一の料理に昇華させ、さらに新しさを産み出し続けている。料理に合わせる総支配人のワインの、料理を引き立てるセレクトは神業に近い。インテリアもエレガントに一新した銀座を代表するレストランは、今や日本を代表するフレンチと言って良いのではないだろうか。

LUNCH 15200円
稚鮎 マンゴー
 ウイキョー
グリーンアスパラガス
 ホッキ貝 ハマグリ セロリの糠漬け
殻ごと焼いたホタテ貝
 蕗 マッシュルーム マコモ茸と湯葉
 ホタテの出汁のスープ 生姜バター
3日間干したモリーユ茸
 アスパラガス 蕗味噌 ウズラの黄身
 アプリコット 枝豆 枝豆のピュレ
 シャトーシャロンを煮詰めたホワイトソース
太刀魚 ナスとウイキョウ
 豚の背脂 葛粉とパルメザンチース
 茄子のロメインレタス巻き
 パセリとルッコラの野菜ソース
鴨 酒粕のマリネ 牛蒡 蕪
 鴨肉と内臓の赤ワインソース
自家製パン 2種
 チーズとバターのホイップクリーム
サクランボのクレープ
 ウイキョウのアイスクリーム サフラン
バナナ ピーナッツ
 チョコレート アンディーブのチュイル
エスプレッソダブル
プチフール

総支配人にお任せのワインペアリング
 14000円
NM CHAMPAGNE BRUT
 1er Cru Cuvee Adele
 Virginie BERGERONNEAU
2018 El Mar Fermier
2011 Chassagne-Monrachet
 LES CHENEVOTTES
 MARC COLIN
2007 CHATEAU GRAND-PUY-LACOSTE
NM CHAMPAGNE BRUT
 GRANDE CUVEE
 KRUG
2011 MOREY-ST-DENIS
 DOMAINE DES LAMBRAYS
2014 Heita Blanc moelleux
 Moncaut

別途消費税・サービス料12%

開業わずか1年でミシュラン2つ星を獲得した銀座の一等地ビル最上階にあるフレンチ。元2つ星の総支配人が立ち上げから支配人兼シュフソムリエとなり、昨秋からは老舗フレンチの支配人暦20年で3年前にこの近くにフレンチを独立開業していた有名人も、新たにサービス陣に加わり日本最強のダブルキャストとなっている。シチリア生まれの母親をもつフランス人シェフは、今、日本のフレンチ、日本料理の世界で最も活躍する若手世代と同じ年齢。美し過ぎるビジュアルと塩を感じない手間隙掛けた料理に合わせて日本最高峰のワインサービスを楽しめる、新たな伝説となること必至な銀座フレンチ。

ランチでもディナーと同じお任せコースを頼むことができる。アミューズ2皿、オードブル3皿、ポアソン2皿、ヴィアンド、デセール2皿とプチフール、計11皿のお任せコース。そして何より、各皿に合わせるワインのデギュスタシオンコースが圧巻。ブルゴーニュのグランクリュ、ボルドー格付けクラスの新ボトルを次々に抜栓していく支配人は、かつての2つ星総支配人時代より、はるかに自由奔放で楽しそうにしている。本人も好きな通りにやれる今は、シェフやスタッフと共に全てを決められることが楽しくてしょうがないと微笑んでいる。

今回は専門料理最新号の表紙を飾ったホワイトアスパラガスと本ミル貝に感動した。あっさりした味わいのクリームソースが美味し過ぎる。このソースは、何とあのシャトーシャンソン2004年を7ケース買い、その全てをつぎ込んで煮詰めて作っていると言う。今年は注文した7ケースが既に底を突きそうなので、来年用は10ケースを予約済みとのこと。日本中のシャンソンが買い占められていると言える。美味しくないわけがない。

鴨肉のソースを掛けられたフォアグラとモリーユ茸も、素材の味わいをしっかりと感じる不思議な出来。恐らくは野菜や果実を大量に使って味付けを行っているのではないかと思わせる。カエルはかなり大きな食用蛙の腿肉を使ったグルヌイユ。骨付きのフリットが軽い味わいの上品過ぎる唐揚げと言う様相。豆と山菜で上品さに輪を掛けている。

アマダイの火入れが素晴らしい。皮のいかにも松笠風なカリカリ加減と言い、身の均一なフワフワ感と言い完璧と言える。添えられた蛍烏賊は日本酒を飲みたくなる。しかし合せるワインが国産の赤。これがまた不思議に驚異的なマリアージュ。トマトソースと黄色いズッキーニ、更には朧昆布の組合せが味噌なのかもしれない。とにかく考えて考え抜いた素材の組み合わせと、手間隙かけた料理を、ビジュアルと香りと味わいの全てで堪能できる。

ワインは各皿に合せるデギュスタシオンコースが素晴らしい。2万円で8種類、合せてボトル1本分の量を心行くまで楽しめる。シャンパーニュはドスーザのグランクリュ畑、ブランドブラン。なんと初夏らしいセレクト。プーリア州のチーズに合せるのはボーマールのサンカトリーヌ09。初めから楽し過ぎる。シャトーシャンソン04を煮詰めた究極のソースには、パプクレマン95。フォアグラには2000年のポイヤック。カエルにはピュリニー07、しかもエティエンヌソゼ。よくぞここまで続けられるもの。支配人、流石。

しかし極め付きは何と言ってもオスピスのコルトン01、造り手はルイジャド。コルトン最高の飲み頃を迎えている。フランス産の乳飲み仔牛の味わいも霞む。アマダイには添えられた蛍烏賊のために国産メルロ。今最も手に入り難い国産ワインの一つであるツガネ。メルロらしい強めの果実味はゼロ。やはり日本の食材には日本の土壌で育った葡萄が合うのか。団扇海老にはコンドリュー。支配人、完全にやりたい放題。

場所は数寄屋橋交差点の直ぐ近くと言う一等地。有楽町駅前、晴海通り、銀座4丁目交差点と数寄屋橋交差点の中間。ソニービルの2本裏の通りに入って直ぐ右手。銀座ロイヤルクリスタルビル最上階の9階に在る。エレベーターを降りるとエステティシャンのようなユニホームの女性スタッフ達に迎えられる。隣には支配人や見たことのある顔。白を基調にしたインテリアとシンプルな空間。通されたのは、先日のオバマ大統領の騒ぎを見降ろすコーナーとなる席。

フランス、イタリア、アラブ、アジアを旅したシェフが最後に行き着いたのが宮崎県。そこで出会った海と大地の食材と人懐っこい人間性。若きシェフはここを第2の故郷と心に決め、銀座で2つ星を獲得した今でも、宮崎県産の食材に拘りを持っている。塩を感じないのにしっかりした味わいを作り出す、手間を惜しまないシェフの心意気も宮崎の県民性に由来しているらしい。

店名のエスキスとは画家の下絵であり、建築家が図面を書く前にボリウムやゾーニングをスケッチすること。作図に取り掛かる前のプロセスを示す。絵画や建築物の出来は全てエスキスで決まってしまうとも聞く。無限の可能性を秘めたプロセスでありながら、完璧な完成品を思い起こさせる料理、ワイン、サービス。この店にはそんなエスキスが溢れている。


≪今回の料理≫
お任せコース 19200円 別途サービス料12%

アミューズ オマール海老とパプリカ 蜂蜜のチュール
 稚鮎の串揚げと新玉葱
アミューズ プーリア州産ブッラータ 潰した苺とセロリのジュレ

オードブル フランス産ホワイトアスパラガスと本ミル貝 鰹出汁のボイル ウイキョウのジュレ
 2004年シャトーシャンソンを煮詰めたソース ヘーゼルナッツ掛け 
オードブル フォアグラのブランマンジェとモリーユ茸 グラニースミス 鴨肉とコンソメのソース 
オードブル グルヌイユのフリット アスパラガスのソバージュ 豆のピュレとオゼイユのソース

ポアソン 甘鯛と蛍烏賊 ドライトマトと黄色いズッキーニ トマトソース 朧昆布乗せ 春の山菜添え
ポアソン 宮崎県産の団扇海老 日向夏とサフランの香り コンソメのジュレ

ヴィアンド フランス産乳飲み仔牛 仔牛肉のソース 京人参のムース エシャロットとアプリコット

アヴァンデセール メレンゲの浮島 野苺とラズベリー バニラアイスクリーム
グランデセール ピスタチオと空豆 ミルクプリンとミルクアイスクリーム 安納芋 ダークチェリー

カフェ エスプレッソダブル
プチフール カヌレ フィナンシェ オリジナルチョコレート

お土産 箱入りプチフールのセット


≪今回のワイン≫
ワインのデギュスタシオンコース 20000円 別途サービス料12%

NM CHAMPAGNE GRAND CRU RESERVE BRUT De Sousa & Fils 120mlグラス
2009 CLOS DE SAINTE CATHERINE DOMAINE DES BAUMARD 90mlグラス

1995 CHATEAU PAPE CLEMENT GRAND CRU DE GRAVES 90mlグラス
2000 CHATEAU Haut-Bataille 90mlグラス
2007 Puligny-Montrachet LA GARENNE Etienne Sauzet 90mlグラス

2010 BEAU PAYSAGE TSUGANE la montagne trance 90mlグラス
2007 La Loye CONDRIEU JEAN MICHEL GERIN 90mlグラス

2001 Hospices de Beaune CORTON Grand Cru LOUIS JADOT 90mlグラス

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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6位

青草窠 (広尾、白金高輪 / 日本料理)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2014/02訪問 2014/02/28

天現寺境内にミシュラン2つ星の京料理

ミシュランの2つ星も当然と思える素晴らしい京料理店。天現寺の敷地内に建つ真新しいオフィスビル、天現寺スケア。その1階に大通りから隠れるようにある店。天現寺境内との間は洒落た照明が点々とする美しいアプローチ。初めからわくわくする演出が楽しい。出汁に手間を掛けた京料理らしい京料理の美味しさも申し分ないが、室町や桃山の本物が散りばめられたインテリア、食器、酒器の全てが感激できる拘りの逸品。3畳台目の茶室も本格的な数奇屋造りで、天現寺という由緒ある寺社との組合せが、今都内で最も粋な店の雰囲気を醸し出す。

料理はお任せのコース。昼は6千円から用意され、コストパフォーマンスの良さには驚きさえ覚える。冬季は例え昼でも、初めての客であればこの店のスペシャリテ、松葉蟹の団子を赤字覚悟で出している。この椀物が絶句するほど素晴らしい。蓋を開けると一瞬、松葉蟹の真薯かと見間違える。箸を入れると団子が全て蟹の身でできていることが分かり驚く。さらに口に運ぶと、素晴らしい出汁の香りと共に、旨みの凝縮した松葉蟹の味わいに全てを忘れる。こんない美味しい椀物を食べたことがない。

先付から柔らかい氷見の寒鰤の身と、ほとんど醤油を感じない酢橘醤油の組合せに感激する。凌ぎのもっちりした餅米に乗る鰯の焼き加減も香ばしい。節分の大豆に柊の飾りが新春の名残を感じさせる。八寸には酢味噌和えに湯葉巻き揚げ、揚物に焼物と一通りが揃い、日本酒が止まらなくなる。長芋は昆布〆するために細長く刻まれている。ねっとりと柔らかい甘海老との組合せが、黄身酢と共に美味しいハーモニーを奏でる。四万十の海苔の香りと味わいもピュアで素晴らしい。

本日の日本酒は2種類。純米大吟醸は富山の米の芯。すっきりした口当たりでありながら、しっかり米の味のする素晴らしい出来の日本酒。何合でも飲めてしまう。北陸の食材をふんだんに使う京料理に合わせ、北陸の銘酒を飲む幸せ。ここが東京であることを完全に忘れる。本醸造も富山の立山。常温でもぬる燗でも、日本料理に合う日本酒の代表。

場所は外苑西通りと明治通りの天現寺橋交差点。東京メトロ日比谷線、広尾駅から外苑西通りを下り、天現寺橋交差点を左の明治通りに曲がって直ぐの左手。広尾駅から徒歩10分が天現寺の寺社。その境内、明治通り沿いに出来た真新しいオフィスビルが天現寺スケア。その向かって右端から裏側の境内寄りに回り込んだところにこの店が在る。

エントランスは寺側の目立たぬ入り口。近づくと板場のスタッフが迎え入れてくれる。入り口右手に数人用の個室、左手に数人のカウンター席と10人用テーブル席。カウンターを背にして茶室の水屋口となっている。インテリアは白を基調に白木とのマッチングが上質。カウンターでの大将との会話も弾むが、3畳台目の本格茶室は雰囲気が素晴らしい。

天現寺と言う寺社と京料理の相性も素晴らしいが、とにもかくにも丁寧な出汁が前面に押し出された美味しい京料理が文句なしと言える店。季節の素材、旬への拘りは言うまでもないが、北陸から西日本にかけての食材を重視し、その蟹や海老を惜しげもなく使い、丁寧に丁寧に仕事をしている。塩を感じない完璧に近い出汁の料理にここが東京であることを忘れさせてくれる店。癖になること請け合いの店とも言える。

≪今回の料理≫
昼のお任せコース 6300円 別途サービス料10%

白湯
先付 氷見寒鰤のコロ 鬼おろし 酢橘醤油

椀物 松葉蟹の団子 柚子乗せ
凌ぎ 鰯の飯蒸し 節分の豆と柊
八寸
 分葱と菊菜の酢味噌和え松の味の香り 
 海老の湯葉巻き揚げ
 たらの芽と炊き上げた堀川牛蒡の天婦羅と揚げ麩
 桜鱒焼きと銀杏

蓋物 昆布〆の長芋 甘海老の黄身酢掛け 四万十の海苔
強肴 焼き胡麻豆腐入り京蕪蒸し

食事 昆布〆した小鯛と大場の鯛茶 山葵乗せ
香物 4種の漬物

水物 粟善哉 抹茶
煎茶

≪今回の日本酒≫
米の芯 純米大吟醸 超特選 銀盤酒造 富山県 2500円/1合徳利
銀嶺立山 本醸造 立山酒造 富山県 1000円/1合徳利

別途サービス料10%

  • 昆布〆した小鯛と大場の鯛茶 山葵乗せ
  • 椀物 松葉蟹の団子 柚子乗せ
  • 鰯の飯蒸し 節分の豆と柊
  • 昆布〆の長芋 甘海老 黄身酢 四万十の海苔

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7位

emuN (代々木上原、東北沢、代々木八幡 / フレンチ、野菜料理)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2014/10訪問 2014/10/30

恵比寿のエレガントフレンチ

フレンチ名店がひしめく恵比寿駅周辺にあって、コンパクトな設えながらそのエレガントさにおいて、3つ星にも負けないミシュラン1つ星の店。神楽坂でも腕を磨いたシェフの料理は美しくエレガントなビジュアルと野菜への拘り、繊細な味わいが特徴となっている。29種類の野菜のエクスポジションがスペシャリテ。白と緑を基調にしたインテリアも料理同様にエレガント。2階にありながら高い天井と大きな窓が開放感を感じさせている。シェフとは歳の離れた可愛らしいマダムの真心溢れるサービスに感激する。作り物ではない本物の笑顔がこの店にはある。野菜のエクスポジションは、豆乳の泡が乗せられ、カリフラワーと自家製マヨネーズのピュレが添えられている。何れも軽い味わいが今風。野菜自体にも瞬間冷却した後、それぞれに合う調理をしていて十分な味が付けられている。能登島産の加賀人参や蕪が甘くて美味しい。洋野菜の中ではビーツやモロッコ隠元豆の味わいが濃厚で素晴らしい。茨城県土浦産の完全無農薬野菜は、大根、胡瓜、ブロッコリーにカリフラワーと野菜の標本のような品揃え。紫キャベツや紫芋、真ん中には南瓜のポタージュ、仕上げに真っ赤なイベリコ豚のチョリソーと彩りも多彩であざやかなビジュアルとなっている。アミューズから手が込んでいて驚かされる。秋田県産のバルバリー鴨はローストしてから軽い燻製にしている。鴨肉だけでも美味しいが、手間を掛けたコンソメジュレが添えられ、鴨のパテのバジルソースの組合せ。これだけでもメインの料理と成り得る皿の構成。シャンパーニュの供として申し分のないアミューズと言える。椎茸のタルトもオードブルとは思えぬ手間の掛け方。椎茸をパイ生地にして皿に敷き、その上にタルトにした椎茸、その周りに椎茸を薄く切って軽い燻製を掛けて張り付けている。仕上げにはイベリコ豚の背油を乗せ、じわじわと豚肉の味わいが染み入っている。まさに繊細さの真骨頂。添えられた生タコには鶏肉のジュのソース。こんな素敵な素材の協奏曲には早々出会えない。この皿のビジュアルも息を飲む美しさ。黒鶏のバロティーヌも丹波産黒鶏の旨みを凝縮している。白菜と白菜のソース、白菜の泡に囲まれ、白菜のリズミカルな甘さを楽しみながら、バロティーヌを噛み締めれば、この世の幸せを実感することができる。グラスのシャンパーニュはダニエルデュモン。秋らしいしっかりとした色調と味わいに、夏の終わり、冬の訪れを感じる。シャルドネはリュリーにサンヴェランとマニアックな造り手を探し出している。ピノノワールはポールレイツ。コストパフォーマンスも忘れていない。場所はJR山手線、東京メトロ日比谷線の恵比寿駅近く。西口から左手の坂を登るか、ガーデンプレイスから橋を渡った信号を右に曲がり恵比寿駅方向に戻るバス通りの中間左側。通り沿いのビルの2階に在る。コンパクトな設えの店でありながら、料理、インテリア、サービスのエレガントさは完璧に近く、女性心をがっちり掴んで離さない店。記念日のアニバーサリープレートも料理同様に美しいビジュアルで、デセールとは別に用意してくれる。普段使いにも、記念日使いにも嵌る、使い勝手抜群、居心地満点の店となっている。

MENU TREFLE 4500円
アミューズ 秋田県産バルバリー鴨ロースト軽い燻製 コンソメジュレ 鴨のパテ バジルソース
オードブル 29種類の野菜のエクスポジション 石川県能登島産の赤土野菜と茨城県土浦産の完全無農薬野菜
オードブル 石川県産椎茸のタルト 生蛸の軽い燻製風味
自家製パン 14種類の雑穀米を練り込んだライ麦パン
ヴィアンド 京都府丹波産黒鶏のバロティーヌ仕立て 白菜のクリーム煮
 軽く仕上げたシュークレームソース 2種の白菜の泡
アニバーサリープレート
デセール 柿のリオレ 濃厚なミルクソルベ添え オレンジ風味のキャラメルソース
カフェ エスプレッソダブル
プチフール クレームブリュレとフィナンシェ

NM シャンパーニュ ブリュット ダニエルデュモン 1500円/120mlグラス
2012 リュリー ジョゼフドルーアン 1300円/120mlグラス
2012 サンヴェラン ドメーヌドドゥーロシェ 1400円/120mlグラス
2007 ブルゴーニュ ポールレイツ 1300円/120mlグラス

  • オードブル 29種類の野菜のエクスポジション 石川県能登島産の赤土野菜と茨城県土浦産の完全無農薬野菜
  • アミューズ 秋田県産バルバリー鴨ロースト軽い燻製 コンソメジュレ 鴨のパテ バジルソース
  • オードブル 石川県産椎茸のタルト 生蛸の軽い燻製風味

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8位

CROWN (大手町、二重橋前、東京 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2014/08訪問 2014/08/17

皇居を見渡すホテルフレンチ

大手町連鎖型再開発の先陣を切って建て替えられたパレスホテル。江戸城内堀と外堀の間、内堀側から皇居を見渡す絶好のロケーション。新しく建て替えられたホテルの6階にあるこのレストランからの景色は、かつての歴史ある建物の最上階客室からの景色に近い眺めが楽しめる。30年前に初めてこのホテルに宿泊した時の最上階客室から見た、数10年に一度の大雪の日の一面真っ白な皇居を思い出す。料理はどの皿も美しいビジュアルが特徴。野菜に拘りがあり、味付けは流行の塩分控えめ。女性に受けが良いのも良く分かる。ポアソンは本日の築地からの魚を使い、火入れが優しく何とも言えず美味しい。

今回のポアソンは黒ムツのパイ包み焼き。ほうれん草との組合せが、あっさりした白身と甘みさえ感じるほうれん草との目くるめくハーモニー。こんがり焼かれたパイの中で香りと共に閉じ込められた複雑な味わいが、素晴らしく美味しく仕上がっている。茄子を薄く切ってカネロニ仕立てで巻くのは赤パプリカ。濃厚なハーブのソースに赤パプリカのソースも添えられていて、美しいビジュアルもさることながら、味わいのコントラストがリズミカルに舌の上で踊る。

アミューズの大根のムースに乗ったサーモンがシャンパーニュに素晴らしく合う味わい。夏らしい爽やかなムースと淡い甘みのサーモンがぴったりと息を合わせて、夏らしい低めの温度のシャンパーニュの細やかな泡と見事に折り重なって舌の上を転がって行く。ラパンの背肉を使ったテリーヌも、兎のあっさりした肉の味わいとギュウギュウに詰まった拘り野菜の組み合わせが素晴らしい。テリーヌを巻く人参がそれらを甘く包み込んでいる。添えられた兎肉のコロッケが子供の頃を思い出す懐かしい香りと食感。あっさりした兎の肉とコロッケの組合せが良く合っている。全体を包み込むサマートリュフの香りも秀逸。

乾杯のシャンパーニュはルイロデレール他3種類がグラスで用意されている。いずれ劣らぬ、夏らしい爽やかな肌理の細かい泡のシャンパーニュ。白、赤のワインはフランスを中心に一通りがグラスで用意されていて驚く。見ていると、グラスでありながらほとんどその場で新しいボトルのコルクを抜き、客にテイスティングまでさせている。贅沢なまでに豊富なグラスワインのラインナップ。しかし本日のシェフソムリエ一押しは、何と白、赤共にイタリア。白が2012のグレコ。赤は2009のサンジョベーゼ。意外にもかなり美味しい。料理とのマリアージュを熟考したセレクションに感心する。

場所は東京メトロ千代田線、都営三田線、大手町駅C13b出口直結パレスビルの隣り。パレスホテルの6階に在る。エレベーターを降りたホール左手が日本料理、右手にこの店。アプローチの廊下突き当りの壁は、タイルでシャンパングラスのデザイン。メインダイニングに通されると一面、日比谷公園と皇居外苑の緑が広がる。奥のテーブルと個室のみ、皇居に面する位置関係。ゆったりとしたテーブルの配置が天空のグランメゾンと言った雰囲気を醸し出している。

今年で創業50周年を迎えた老舗中の老舗フレンチ。フランスナンバーワンとも言えるフレンチ、ラピラミッドがこの店の料理を監修していることでも有名。日本におけるモダンフレンチの総本山と言っても過言ではない。永年、日本らしいオリジナルなフレンチでこの世界をリードしてきた店が、この店の料理のような真新しいエレガントな箱を得て、次の50年でどう進化していくのか、しないのか。命が続く限り見守っていきたい店の一つであることは間違いない。


≪今回の料理≫
MENU DE LA JOURNEE 6500円 別途サービス料10%

シャンパーニュのお供 アーモンド オリーブ オレンジとマンゴーのケーキ
アミューズ 大根のムースとサーモンのマリネ ハイビスカスのゼリー

オードブル ラパン背肉と夏野菜のミトネ パヌーフルのクロメスキとピクルス
 サマートリュフのヴィネグレット
ポアソン 築地からの本日の魚 黒ムツとほうれん草のショーソン仕立て
 茄子のカネロニ プチトマトのコンフィ ハーブ入りムースリーヌソース

3種類の自家製パン
 キューブのバターロール チャパタ 胡麻ライ麦パン

デセール アナナスのロティとココナッツクリーム ジンジャー風味のシトロンソルベ
カフェ エスプレッソダブル
プチフール マンゴーのロールケーキ 苺のマカロン チョコバナナのタルト


≪今回のワイン≫
NM ROUIS ROEDERER CHAMPAGNE BRUT PREMIER 1900円/120mlグラス

2012 GRECO DI TUFO FEUDI DI SAN GREGORIO 1000円/120mlグラス
2009 Mongrana Agricola Querciabella 1000円/120mlグラス

別途サービス料10%

  • ポアソン 築地からの本日の魚 黒ムツとほうれん草のショーソン仕立て 茄子のカネロニ プチトマトのコンフィ ハーブ入りムースリーヌソース
  • シャンパーニュのお供 アーモンド オリーブ オレンジとマンゴーのケーキ
  • アミューズ 大根のムースとサーモンのマリネ ハイビスカスのゼリー
  • オードブル ラパン背肉と夏野菜のミトネ パヌーフルのクロメスキとピクルス サマートリュフのヴィネグレット

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9位

TIRPSE (白金台、目黒 / イノベーティブ、フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2014/02訪問 2014/02/23

白金台に若さ溢れるミシュランフレンチ

白金の3つ星フレンチ移転後にその店の元ソムリエが居抜きで独立開業した店。バスクやブルゴーニュでも修行したシェフも、同じ店に2年半ほどいたという、あたかもその店が暖簾分けしたような陣容。白金台と恵比寿の中間という決して恵まれた立地ではない代わりに、あまりにも有名な店の跡というアドバンテージが、果たして吉と出るか、凶と出るか。開業4ヶ月が経過し、新たなコンセプトとオペレーションが小慣なれた今、ミシュランの星を世界最速記録を塗り替えて獲得したことで、一気に人気が上昇する気配を感じる。

今回はラカンの仔鳩が素晴らしかった。火入れや軽やかな味付けも申し分ないが、素材の旨みが飛び抜けている。ラカン鳩の美味しさは有名とは言え、これほど美味しいとは思わなかった。柔らかな胸肉は、肉そのもののはっきりした味を持っていて、鴨や他の鶏とは比較しようがない文句のない肉の中の肉。日本的な旨みを感じる火入れも素材との相性がぴったり。ブルゴーニュにこれほど合う料理に、そうは出会わない。

料理はフランスや日本の伝統を紐解き、分解し、新たに自分達の解釈で組み立てることをコンセプトにしている。店名のティルプスはフランス語のエスプリを裏から読んで付けていると言う通り、伝統料理の裏にある本質を日本らしい食材を組合せて実現したいと言う考えとのこと。ビーツとサワークリームを使った蝦夷鹿にはボルシチと名付け、鮟鱇と白菜の組合せは鮟鱇鍋のようでもあり、バスク地方のピルピルのようでもある。

どの料理もビジュアルに拘り、食器のセレクトが美しくかつ食べ易い。料理に合うことを考えたカトラリーも軽くて切り易く、機能とシンプルな美しさを両立させるよう徹底的に追求されている。24.242センチと名付けられた料理は、日本語で八寸。皿の大きさと旬の名残から走りまでの移り変わりの料理と掛けている。枯れた花からマテ貝と茸を通して菜の花まで、カネロニで巻かれたオーブン焼き。チーズの香りも食欲をそそる。

フォアグラが浮かんだ牛蒡のコンソメも素晴らしい味わい。透明な牛蒡はフォアグラとの相性が抜群。カリっと表面が焼かれ、中はフワフワとなっているフォアグラと、丁寧に時間を掛けて作り上げた牛蒡のコンソメ。添えられた大根との組合せは、素材そのものを大切にする日本料理のようでもある。アヴァンデセールは苺とシャンパーニュ、グランデセールはチョコバナナ。それぞれ従来のイメージとは全く異なる美しいビジュアル。

ワインはハウスシャンパーニュがドラモット。蝦夷鹿にはシェリーのように濃厚なジュラを合せる。フォアグラに合せるリースリングも濃厚な甘さ。誰にでも受ける中庸と言う言葉を知らない直球ど真ん中の勝負。潔いくらいに気持ちが良い。最高に美味しい仔鳩にはメルキュレに続いてピノノワール。と思ったらブルゴーニュとしか思えないラングドック。ジビエの鉄則と仔鳩の繊細さの両方を活かす遊び心。ワインのセレクトも楽し過ぎる。

場所は東京メトロ南北線、白金台駅を目黒通りに出て目黒側のT字路をプラチナストリートに右折する。まっすぐ恵比寿方面に坂を折りきる手前、東大医科研の裏門を過ぎて、住宅街を左に入った左手マンションの1階に在る。エントランスも以前の店のままのシンプルなガラス箱風。ウェイティングのソファがなくなり、テーブル数も大幅に減らして、個室も1部屋のみとしたとは言え、空間もインテリアもそのままという割り切り。あくまで3つ星フレンチの後継であることを隠さない。

オーナー、シェフ、スーシェフ、パテシエ、ソムリエの平均年齢は26歳と言う若さ溢れるフレンチ。料理もワインもみんなで議論を尽くし、味覚を尽くして考えていると言う。10月に開業し、直後にミシュランの調査、取材を受け、その日のうちに写真の締め切りと言う、開業から掲載までの世界最速記録を塗り替えたと言う店。誰もがこの店を自分が育てたいと思える、不思議なパワーに溢れる店でもある。

≪今回の料理≫
お任せコース 12600円 別途サービス料10%

アミューズ アールグレイを玉葱で 玉葱のチップスと玉葱のムース アールグレイの葉
オードブル アンティーブとスモークサーモンのムース ディルオイル ディル乗せ

オードブル 鹿のボルシチ 蝦夷鹿ランプ肉のロースト 黄色と赤色のビーツ サワークリームとマスタード添え
自家製パン バケット キャラメルに似た複雑な味わいの自家製バター

オードブル 24.242センチメートル 八寸 冬から春へ 枯れ花と菜の花 マテ貝と茸 カネロニのチーズ焼き
オードブル フォアグラ牛蒡 フォアグラのポアレ 紅芯大根と黒大根添え 牛蒡と野菜だけから作るコンソメ

ポアソン 鮟鱇チョリソー 鮟鱇と白菜の蒸し煮ピルピル風
ヴィアンド ラカンの鳩 ラカン産仔鳩のロースト 杜松の実のソース 鬼浅利添え

アヴァンデセール プリティウーマン 苺のコンポートをシャンパーニュで ラタフィアのムース
グランデセール バナナのキャラメリゼ 大人のチョコバナナ チョコシューアイス 安穏芋のペースト

カフェ エスプレッソダブル
プチフール プチアップルパイと栗のプチケーキ

Acqua Panna 840円/1本

≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BRUT DELAMOTTE 1575円/120mlグラス

各皿に合せたグラスワインのお任せコース 5250円/120mlグラス×4杯
2008 Arbois Saognin Jacques PUFFENEY
2010 BEBLENHEIM RIESLING TRAPET
2010 MERCUREY Lorenzon
2011 CLOS MARIE L'Olivette

Dieux Calvados 15 ans Le Morton 1890円/60mlグラス

  • ヴィアンド ラカンの鳩 ラカン仔鳩のロースト 杜松の実のソース 鬼浅利添え
  • オードブル 鹿のボルシチ 蝦夷鹿ランプ肉のロースト 黄色と赤色のビーツ サワークリームとマスタード添え
  • オードブル フォアグラ牛蒡 フォアグラのポアレ 紅芯大根と黒大根添え 牛蒡と野菜だけから作るコンソメ
  • ポアソン 鮟鱇チョリソー 鮟鱇と白菜の蒸し煮ピルピル風

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10位

オテル・ド・ヨシノ (宮前、田中口 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2014/07訪問 2014/07/27

関西随一の紀伊国フレンチ

文句なしに美味しい。ワインサービスも愉し過ぎる。フランスでミシュラン星付き店を5年間渡り歩いたシェフと、9年振りにパリから戻ったばかりのメートルドテル兼シェフソムリエによる、ほぼ完璧なクラシックフレンチの店。まさに関西随一の完成度を誇っている。月に一度は和歌山に来ていると言う、店名にも名を掲げる師匠とは別の路線を選んだシェフ。師匠から絶対的な信頼を寄せられ、師匠の素材に賭ける心意気を受け継ぎ、料理自体は師匠に比べてかなりクラシックに回帰している。

赤鶏から取るコンソメの出来が素晴らしい。地元和歌山県が誇る赤鶏。シェフ自ら付きっきりで造るコンソメには慈味深さと鶏本来のバランスの取れた旨味が凝縮している。都内で名を馳せる巨匠たちのコンソメに負けていない。間違いなくシェフのスペシャリテと言える。地元和歌山県産の素材に拘るシェフの和歌山ソールの味わいも素晴らしい。日本にも、特に和歌山にはドーバー海峡に勝るとも劣らぬヒラメがいることを実感できる。トマトを使ったソースの掛かるビジュアルも美しい。

今回のヴィアンドは、和歌山県産で良いものが入っていなかったという理由で、宮崎県産の牛ヒレとなった。分厚く切ったフォアグラと大きなフレッシュトリュフのど真ん中をスライスした超贅沢ロッシーニ。ビジュアルに圧倒される。夏冬が日本と逆のオーストラリアは今がフレッシュトリュフの旬とのこと。オーストラリア産フレッシュトリュフの香りも素晴らしいが、赤ワインと牛のジュのソースと、この黒トリュフの目くるめく味わいも言葉を失う美味しさとなっている。

ワインはシェフソムリエのサービスが素晴らしい。和歌山にこんな素敵なメートルドテルがいることに驚く。乾杯のシャンパーニュはドゥーツのタテルヨシノラベル。さすがパリの星付レストランはメゾンとの繋がりも深い。白赤のワインは料理の各皿に合わせた、シェフソムリエお任せグラスワインのデギュスタシオンコースがお勧め。ビオですっかり有名になったマルセルリカールに始まり、ジュラのクールベ、フランソワカリヨンと続き、白の仕上げはボルドー、オーブリオンのセカンド。ピノノワールはドメーヌトロボー。最高の料理と最高のワインたちの組合せ。ここが和歌山であることを完全に忘れる。

場所はJR関西本線、和歌山駅からタクシーでワンメーター。駅の西口ターミナルから40年前の前回国体時に出来た国体通りに出て、駅前メイン交差点を左手に。今年は40年振りの和歌山国体と言うのも何かの縁。クジラをモチーフにした体育館ビックホエールの隣り。和歌山県の施設やホールが集まった官庁のような高層ビル、ビック愛の最上部12階に在る。エレベーターホールに面する同系列のカフェを横目に、カフェの窓側眺望の良いカウンター席の後ろを通り抜けないとダイニングに辿り着けない不思議な動線計画。

インテリアは芝や銀座、汐留同様に一言で言えばシンプルモダン。テーブル周りのエレガントさと室内の何も無さのコントラストがこの店らしい。しかし何と言っても和歌山のこの店は眺望が素晴らし過ぎる。どの席からでも和歌山の市街地を一望に見下ろすことができるテーブル配置と全面のガラス窓。景色を見ているだけでも癒される。ただし夜景は明かりが少ないので、昼景の方が良いとのこと。

パリの星付シェフを師匠としてパリで修業。自らの思いでクラシックでありながら新境地を切り開く和歌山のシェフ。地元の素材に拘り、それを最高に活かす調理を目指している。パリに永住を決意し、9年間もパリで修行したメートルドテル兼シェフソムリエ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのパリのパッサージュでナンバーワンとなった日本人シェフとルームシェアしていたと言うパリ生活。この2人が大勢のスタッフの先頭に立って和歌山のために、和歌山の幸を活かし、和歌山らしいフレンチをあみ出した店。関西ナンバーワンと言っても過言ではないと思う。


≪今回の料理≫
シュフお任せのランチコース 9504円 別途サービス料5%

グジェール 自家製小さなシュー
アミューズ 和歌山産鯖のマリネ

スペシャリテ 和歌山産赤鶏のコンソメ
オードブル 和歌山産岩牡蠣 白ワインのジュレ

ポアソン 和歌山ソール 白ワインとトマトのソース
ヴィアンド 宮崎牛ヒレとフォアグラ オーストラリア産フレッシュ黒トリュフのロッシーニ
焼き立ての自家製ミニバケット

フロマージュ ワゴンサービス エポワスドブルゴーニュ 756円

アヴァンデセール ブラッドグレープフルーツ 柑橘のジュレとブランマンジェ
グランデセール 焼き立てスフレ チョコレートの泡 バニラアイスクリーム

カフェ エスプレッソダブル
プチフール カヌレ マカロン フィナンシェ


≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BRUT Classic -TY Label- Deutz 1944円/90mlグラス

グラスワインのデギュスタシオン 4968円
NV MARCEL Rose MARCEL RICHARD 120mlグラス
2006 Chateau-Chalon DOMAINE COURBET 120mlグラス
2011 BOURGOGNE ALIGOTE FRANCOIS Carillon 120mlグラス
2006 CHATEAU LARRIVET HAUT-BRION 120mlグラス
2011 CHOREY-LES-BEAUNE DOMAINE TOLLOT-BEAUT 120mlグラス

MARC DE BOURGOGNE Domaine Comte Georges de VOGUE 60mlグラス 3024円

別途サービス料5%


  • ヴィアンド 宮崎牛ヒレとフォアグラ オーストラリア産フレッシュ黒トリュフのロッシーニ
  • スペシャリテ 和歌山産赤鶏のコンソメ
  • オードブル 和歌山産岩牡蠣 白ワインのジュレ
  • ポアソン 和歌山ソール 白ワインとトマトのソース

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