【大阪・ミナミ】奥深き中国・麺料理の世界【中国・四千年】

出典:kurodaさん

【大阪・ミナミ】奥深き中国・麺料理の世界【中国・四千年】

漢の時代、中国北部を中心に食べられていた麺はやがて全土に広がり、今や世界各地で愛されています。大阪・ミナミの中国料理店でいただける、本格的な「麵」料理をピックアップしてみました。ヴァリエーションに富んだ中国料理の奥深さを体験してみませんか?

更新日:2025/06/21 (2021/03/14作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる990の口コミを参考にまとめました。

中国・四千年の歴史は麺の進化の歴史

 「麺」とは小麦粉や蕎麦粉、米粉など粉に水と塩などを加えた生地を細く長く延したものと一般的に思われていますが、中華圏での「麵」(ミェン)は小麦粉そのものを指し、小麦粉をこねて細長く加工したものは「麵条」と呼びます。
 米粉やでん粉から作るビーフンや春雨は「麵」ではなく「粉」(フェン)。麦の育つ中国北部や内陸部では「麵」の料理が発達し、米の育つ中国南部では「粉」の料理が発達しました。
 漢の時代、中国北部や内陸部で食べられていた麺は、全土に広がるにつれ、製法や素材の違い、風土や地域性によって実に多種類の麺料理が生み出されてきました。悠久の歴史に育まれてきた麺料理、大阪・ミナミでその一端に触れてみます。

【刀削麺】上海縁

上海縁

 JR難波駅の直上は大阪シティエアターミナル(OCAT)の5階は各種レストランが営業しています。その中から、店頭に賑やかに多彩な料理の数々を掲示している中国料理のお店を訪ねてみました。
 店内は宴会にも対応できそうなテーブル席の並ぶ全70席ほど。中国風の飾り付けがなされていて異国情緒が漂います。

もちもち・ぷるんぷるんの刀削麺

上海縁

 刀削麺は、小麦粉を水で練った生地の塊を板に乗せ、片手に生地、片手にくの字型に曲がった特殊な包丁を持って湯の沸いた鍋の前に立ち、生地を細長く鍋の中に削ぎ落として茹でる麺。
 「牛バラ刀削麺」(980円)は、醤油色のスープに刀削麺が沈み、牛バラ肉とともに白菜、もやし、ネギ、そして中央にワカメが乗せられています。中国料理にワカメは不思議な感じです。
 スープは鶏ガラベースの醤油味。あっさり味ながら出汁の旨みは良好でシンプルにおいしい。

上海縁

 刀削麺は手造り感のある不均等な仕上りで、麺はやや長め。プルンプルンした口当たりでもっちりした食感が好ましい。大きさや太さもバラバラで、それぞれ食感が変化して良いですね。
 牛バラは口の中でホロホロ解れつつ、適度な食感の残る仕上り。醤油の味付けの中にときおり香る八角がいい具合。この八角がスープに浸みだして、徐々にエスニックな香りになってくるのも良いですね。

【ビャンビャン麺】朋友雑穀食府

朋友雑穀食府

 近鉄線、および地下鉄・日本橋駅から北東方向に歩いて7~8分ほどのところ、いわゆる島之内の八幡筋沿い、東横堀川手前のところにある中国・西安料理のお店です。
 恐る恐る中に入ると、まずは兵馬俑の武者の像に迎えられます。この威圧感…そしてその奥は鰻の寝床のような長細いホールにテーブルが並ぶ、全部で30席足らずです。

漢字で書くのが困難なビャンビャン麺

朋友雑穀食府

 ビャンビャン麺は中国の陝西省でよく食べられている幅広の手延麺。こちらの「ビャンビャン麺」(1,080円)は、スープの無いいわゆる和え麺で、器の中に具材がたっぷり盛られ、その下に例の麺が隠れています。
 具材は角煮のような煮豚と、豆もやし、レタス、ネギなど。刻んだ唐辛子によってピリ辛ではあるが、思ったほど辛いわけではない。それより八角の独特の風味が食欲をそそります。

朋友雑穀食府

 「ひもかわ饂飩」のような平べったい麺は、モチモチしてぷるん。独特の食感です。この麺は切って成形するのではなく台の上で伸ばすそうで、このお店では4~5メートルの長さになるそうです。麺の幅は3センチぐらいかな?
 ぷるんとした麺の食感とレタスのシャキシャキ感。抑制的な「麻」と「辣」にほんのり酸味を感じさせるバランス感。本格中華の味わいが楽しめました。

【炸醤麺】鼎泰豐 なんばダイニングメゾン店

鼎泰豐 なんばダイニングメゾン店

 南海・難波駅に直結、各線なんば駅すぐ近く。高島屋大阪店のレストラン街「なんばダイニングメゾン」の7階にある台湾点心のお店です。
 店内はテーブル席と窓際のカウンター席からなる全74席。11時過ぎにもかかわらず、ほとんどの席が埋まっている…人気の程が窺えます。

台湾風に変化した炸醤麺

鼎泰豐 なんばダイニングメゾン店

 炸醤麺は、豚のひき肉や細かく切ったものを豆味噌や甜面醤で炒めて作った肉味噌を茹でた麺の上に乗せた料理。こちらの「ジャージャー麺」(1,320円税別)は台湾風で、白いお椀の中に中細のストレート麺が横たわり、豆乾、枝豆、ひき肉、トマトなどからなる肉味噌がたっぷり乗せられています。味噌の香りが立ち上がってきますね。
 よく混ぜて麺を啜ってみると複雑な旨味が口の中で交錯します。味噌の風味が主流で、八角などのスパイス香は強くない。誰しもが食べやすい味わいです。

鼎泰豐 なんばダイニングメゾン店

 麺は鼎泰豊自家製というたまご麺。意外にしっかりとしたテクスチャーで具材との絡みも良好です。炸醤麺らしい素朴な味わいが楽しめます。

【担担麺】中国料理 梅梅 大丸心斎橋店

中国料理 梅梅 大丸心斎橋店

 地下鉄御堂筋線、長堀鶴見緑地線・心斎橋駅から直結、大丸心斎橋店本館の10階レストラン街にある中国料理店です。
 高級中華を思わせるシックな佇まいのお店は、テーブル席ばかり70席。アンティークの調度品が飾られ、落ち着いた雰囲気です。

発祥の地・成都で主流の汁なし担々麺

中国料理 梅梅 大丸心斎橋店

 担担麺は天秤棒を担いで売り歩いていた温かくて辛い成都発祥の麺料理。スープを持ち歩くのは困難だったので「汁なし」が原型です。
 「正宗担々麺」(980円税別)は、極太の麺が横たわるその上に、肉味噌、ネギ、ニラ、砕いたナッツなどが散らされ、香菜がはらりと乗せられています。
 麺と具材をよく混ぜてみると、麺の下からさらにモヤシが現れました。麺を啜ってみるとピキーンと辣油の辛さがやってきて、じんわり山椒の痺れが襲ってきました。

中国料理 梅梅 大丸心斎橋店

 麺はしっかりとした歯ごたえのあるテクスチャーで具材との絡みも良好。
 ピリ辛の肉味噌に各具材の持つ風味と香味が混じり合って、複雑な味わいを醸しています。モヤシやナッツの食感もいいですね。こういった汁なし担々麺は香りと刺激をストレートに味わえます。

551蓬莱 蓬莱パンチャン551店

551蓬莱 蓬莱パンチャン551店

 各線・なんば駅から南方向、JR難波駅からは南東方向。毎年2月に大阪場所が開かれるエディオンアリーナ大阪にも近いところの四つ橋筋沿いにある、中国料理のお店です。
 ここは今や大阪名物となった豚まんで知られる「551蓬莱」のレストラン業態のお店で、創業者である羅邦強(ロー・パンチャン)の名前を冠した旗艦店です。

「海鮮焼きそば」は551蓬莱のスペシャリテ

551蓬莱 蓬莱パンチャン551店

 「海鮮焼きそば」(1,250円)は中華そばをお鍋でカリカリになるまで焼いた上から、具材のあんを掛けるタイプ。中華の王道です。
 具材の海鮮はエビ、イカ、ホタテ。イカには細かく包丁が入っています。海老はいったん片栗粉をまぶして揚げている…家庭でこんな面倒くさいことできません。

551蓬莱 蓬莱パンチャン551店

 麺は最初がカリカリで、餡を吸って次第にしんなりしてくるテクスチャーの変化を楽しめます。
 野菜は青梗菜や白菜、椎茸など。適度な火入れでシャキシャキとした食感が絶妙。餡の味付けと相俟って実に美味しくいただけます。途中、お酢を回し掛けると、味が引き締まってさらに旨い。

※本記事は、2025/06/21に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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