御年94歳 ”ミスター・バーテンダー” 山崎達郎マスターのお店 : バーやまざき

【夜】[料理・味]2.5*5%+[サービス]3.0*15%+[雰囲気]3.5*10%+[CP]4.0*30%+[酒・ドリンク]3.5*40%=3.53(3.5)


札幌に行く前々日、行きつけの『ネ プラス ウルトラ 銀座』のカウンターでオーナーの古田さんと話している時、ふと思いついて「札幌のおすすめバー」を聞きました。
いくつか名前が挙がりましたが、真っ先に名前が出たのがこちら『バーやまざき』でした。

当日、外出先からホテルに戻って『温味』での会食に向かう前にスマホで食べログのサイトを再チェック。
なんと『温味』と『バーやまざき』はビル2、3件横、距離にして百メートルと離れていないではありませんか。
夕方から生憎の雨模様で、札幌の晩秋の雨は冷たいなぁ…なんて思っていた矢先。
そんな折にこんなことに気が付くなんて、何とラッキーなのでしょう(笑)

早速お店に電話。
19時から近くで会食なので、21時半から22時くらいに4名で予約したい旨を伝えると「4名様ですとカウンターは難しく、ボックス席でのご用意になりますが宜しいですか。」とのこと。
慣れない土地なので、とりあえず予約ができて一安心です。

『温味』での食事が終わった22時少し前。
スタッフの着物女性にビルの出口まで送ってもらいながら、『バーやまざき』の場所を再確認しました。
かなり強い雨が降っている中、50メートルも進むと古いビルの袖看板に『バーやまざき』を見つけることができました。

年季の入ったエレベータで4階へ。
降りて右側に進むと、人の横顔のシルエットを模った丸い照明看板が目に留まります。
この横顔こそ「ミスター・バーテンダー」こと山崎達郎マスター、御年94歳です。
バーテンダーとしては超高齢ですが、今も現役として火水木の20時から21時の1時間だけバーカウンターに立つとのことでした（スタッフ談）。

マホガニー製の入口扉は通常は自動のようですが、この日は故障中との貼り紙があり、手動で横にずらして入店(笑)
想像より明るく、雑然とした雰囲気。
そしてガヤガヤうるさい感じ…。

店内は左側に一直線に長いカウンターが伸びており、十数席あるでしょうか。
入って右側はボックス席で4卓18～20席といったところ。

予約しておいたボックス席に4人で腰を下ろし、あらためて店内を見回してみます。
時の流れを感じさせる作りですが、重厚感というよりはカジュアルな雰囲気ですね。
かなり若い客が多く、横のボックス席は団体で大騒ぎをしています。
またスタッフも白いシャツに赤いチェックのベスト姿。
そこら辺も、この店の雰囲気に大いに影響を与えている気がします。

五十年の歴史を期待して来店した私には、幾分肩透かしでしょうか。

ちなみにこちらのバーは1958年(昭和33年)開業で今年56年目。
紹介してくれた『ネ プラス ウルトラ 銀座』の古田オーナーは、こちらの50周年パーティーに出席したと言っていました。
その後火災で店舗が焼失してしまい、1976年に現在の場所で新装開店したとか。
この場所でも38年になるのですね。スゴイことです。

カジュアルでリーズナブル。
必ずしも私がバーに求める条件と一致する訳ではありませんが、ひとつのバーが半世紀以上も続くにはそれなりの理由(わけ)があるはずです。

思わず「氷雨♪」を口ずさみたくなるような、こんな冷たい雨の夜に満席ですからね。
すすきのの街には余り人も歩いていませんでしたし、タクシーも不景気だった頃の銀座や歌舞伎町のようにあちらこちらで二重駐車。
それでもここ『バーやまざき』には色々な人が集まってくる。

店内を観察していると、老若男女、様々な人が訪れます。
一人客もカップルも男性同士、女性同士…相対的に若い人が多いという傾向以外、何の脈略もない人たちがやって来ますね。

暫く居ると、少しずつ分かってきた気がします。
ホッとするというか、あったかいというか、堅苦しくないですよね…。
”半世紀を超える著名なオーセンティックバー” から連想されるイメージとはある意味程遠いような気もしますが、何だか私のそのイメージそのものが間違っていたようです。
この繁盛ぶりは「こうでなければ半世紀もバーは続かない」と、私に教えてくれているような気がしてなりません。

この店はカクテル主体。
その中でも1981年ジュネーブで特別賞受賞を受賞したサッポロ 1,400円は、多数あるバーやまざきオリジナルカクテルの頂点に君臨しているそうです。

メニューに ”札幌” シリーズとして、

　6月の札幌 1,300円
　7月の札幌 1,100円

があったので、スタッフに聞いてみたところ裏メニューで他にも色々あるとのこと。
他には、5月の札幌、新春の札幌、夏の札幌、冬の札幌があり、オリジナルも含めると7種類になりますね。
当日はこのうち5種類を飲んでみました。

ただカクテルがウリのお店だった尚更ですが、グラスがショボイ。
ホント、ショボイです(笑)
私はこんな安グラスを使ったバーで今まで飲んだことがありませんね。

12時ラストオーダーで12時半閉店とのこと。
結局この日は最後の客となり、12時半過ぎに店を後にしました。

ひとり5～6杯ずつは飲みましたね。
お会計は4名で3万円余り。割と安めな印象です。
ちなみにチャージがお通し付きで1,000円、サービス料10％、消費税も別途ですが、東京に比べるとカクテルはリーズナブルでしょうか。
普段メニューのあるバーに行かないので、あくまでもお会計してのイメージですが。

スタッフの方から「94歳になっても元気に現役をしております、とお伝え下さい。」と古田さんへのメッセージを預かったので、帰りは羽田から銀座までタクシーで直行。
仕事場にちょっと寄ってから、すぐに『ネ プラス ウルトラ 銀座』へ。
やはりマイ・ホーム・バーはいいですね。