日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ : レストラン ラリューム

この口コミは、頑張れ自分さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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5.0

1人
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5.0

1人
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2025/09訪問38回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

9月の土曜日のディナータイムに1名で伺った。いつもどおりカウンター席で、ときおりシェフとお話しさせていただきながら、美味しいひとときを楽しませていただいた。

この日はなんといってもビゴール豚。豚肉が好きなのだが、フレンチのディナーで豚肉を食べる機会はなかなかない。まれに高品質な豚肉を入手するとシェフが連絡してくれるのだが、1週間ほど前にビゴール豚を入手したという話があったので、早速予約した訪問した次第。

そのビゴール豚、赤身部分よりも脂質部分が多いのだが、歯応えもしっかりあり、お味がとても濃厚で、大変美味しかった。

そのほかには秋刀魚も良かった。トマトのピューレのようなものが下に。

ワインはルイ・ラトゥールのコルトン・シャルルマーニュ2019年。予想外に良い飲み頃になっていた。

下記はベース投稿
****
「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。2023年春に頂いたフォアグラ料理も実に秀逸であった。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下に新玉ねぎのクーリ、メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレックを合わせるという感じで、フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるため、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれた。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2025/08訪問37回目

5.0

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通常利用外口コミ

この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。

日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

ラリューム7周年記念ディナーということで、レミー・マルタンのフラッグシップであるルイ13世とのコラボディナーにご招待いただいた。

最初のフィンガーフードにはいつもどおりのレバームースのグジェールに加えて、鰻をカラリと揚げたもの。これがいきなりの美味しさ。そして夏のスペシャリテであるゴールドラッシュのブルーテ。

この日の白眉は鱧のお料理。メニューには「鱧にとろ茄子を射込んでブイヨンで火入れしてベニエに 鱧のソース・ア・ラ・クレームと松茸を乗せて」とある。記憶にある限り、今までに食べたことがないので、最近の新作なのだろうか。淡白な鱧なのに、茄子を入れてブイヨンで火入れしてフリットみたいにしたことによって、実に塩梅の良いお料理になっていた。今年初の松茸も楽しめて満足度の高い一品であった。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。2023年春に頂いたフォアグラ料理も実に秀逸であった。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下に新玉ねぎのクーリ、メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレックを合わせるという感じで、フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるため、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれた。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2024/03訪問36回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

金曜日の午後7時に1名で訪問。いつもどおりカウンター席で。

この日は春満載のメニュー。

◯いつもどおり白レバムースのグジェールからスタート
◯ホタルイカと新じゃが。菜の花ソース、そして蕗味噌のような雰囲気の蕗とマスタードのソース、軽やかに揚げられた蕗の薹とともに
◯新玉葱のムースと新玉葱のローストと新玉葱のチュイル、そしてキャビア。新玉葱をフューチャーした贅沢な前菜
◯タイラガイとホワイトアスパラ。タイラガイには米粉を塗して軽くポワレ、アスパラは根っこと穂先とで少し火の入れ方を変えている。野菜のブイヨンとパセリを使ったバターソースが軽やか、オランデーズソースの爽やかバージョンという感じで、それを駆使してホワイトアスパラをいただく
◯カリフラワーのポタージュ。生ハムと黒トリュフがたっぷり。これと合わせてトリンバックのリースリング・キュヴェ・フレデリック・エミーユ2015年。
◯この日のフォアグラはどちらかというと軽やかでとても好みであった。赤身の強いブラッドオレンジ(モロ)のコンポートと合わせたもの。ソースはスコッチをキャラメリゼしたもの。これと合わせてシャトー・スドゥイロー2013年。
◯スペシャリテの鮑、8時間蒸しあげたもの。タケノコのムニエルが添えてあったのだが、米粉を塗してからムニエルにしたもの。上述のタイラガイも米粉を使っていたので、最近お気に入りのようだ。驚いたのはワカメ。シェフもワカメを使ったのは初めてだったようだが、バターとエシャレットを使ってソテーしたもので、ワカメなんだけどキッチリとフレンチしていた。これと合わせてフィリップ・コランのシャサーニュ・モンラッシェ2020年
◯メインのお魚はサワラ。トマトとペルノー酒のソース。コゴミとツボミナのベニエ、シラウオのフリット、ソラマメとシイタケ。
◯メインのお肉はイベリコ・ベジョータ。実はベジョータのフレッシュが入ったというのをお聞きしたからこその今回の訪問。ハムとしては食べたことはあったけど、生肉のベジョータを焼いていただくというのは初体験。そのベジョータだが、既にハモン・セラーノのようなニュアンスがどこかにある感じで、いかにも融点が低そうな甘い脂が印象的。バンジョーヌのソース、付け合わせはグリーンアスパラ、モリーユ茸、レンコン。
◯チーズ6品盛り。モンドール、エポワス、ロックフォール、コンテ、シャウルス、そしてシェーブル(種類は失念)。
◯デザートはチョコレートのスフレとイチゴ。イチゴ100%のソルベも一緒に。
◯小菓子
◯ハーブティー

ボトルワインはデュクリュ・ボーカイユの1985年をいただいた。

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。2023年春に頂いたフォアグラ料理も実に秀逸であった。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下に新玉ねぎのクーリ、メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレックを合わせるという感じで、フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるため、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれた。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2023/11訪問35回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

11月の祝日のランチタイムに伺った。個室もテーブルも満席でとても賑やかな日であった。もちろんお店の方々も大忙し。オープンキッチンだけに、皆さんがせわしくもキビキビと動いているのをカウンター席から眺めながら、ゆったりと食事させていただいた。

アミューズはこの日は二つ。一つはいつもどおり、レバムースとルバーブのコンフィチュールのグジェール。もう一つは会津若松の馬肉のタルタル、その上に青柚子クリームとキャビア。

続いて、子持ちシシャモと小芋をパートフィロで包んで揚げたもの。その下にラディッシュを細かく刻んだもの

次は野菜と魚介のガトー仕立て。下から順に、ブロッコリー、ホタテ、オシェトラキャビア、ブロッコリーのエスプーマ。お皿には紅葉が散らしてあったりして

北海道のタラの白子のムニエル。ポワロー葱とジャガイモのピューレの上に乗せられていて、トマトなども少し。上から焦がしバターソース。酸味と軽やかなバター感とがいい感じ

定番であるフォアグラのブランシャ焼き。この日は栗をフューチャーしたもの。栗の渋皮煮と木苺のコンフィチュール、そして栗のピューレを使ったソース。添え物として栗のクリームスープまで

シェフのスペシャリテである蒸し鮑。いつもは島根県の黒アワビだけどこの日は山口県の黒アワビ。その下にはナスを揚げたものをアワビの出汁を使って炊いたもの。アワビの肝を使ったバターソースで。付け合わせにマツタケの焼き物

お魚料理はマツカワガレイのムニエル。レンコンのソテーと九条ネギと一緒に。ソースはシャンパンを使ったブールブランソース

お肉料理は仔牛。時間をかけて蒸し焼きにしたもので、とてもジューシーで自分好み。付け合わせにブロッコリー、ジャガイモ、セップ茸、菜の花、そして銀杏。下にセップのピューレ。

デザートに行く前にチーズを頂く。シェーブル、ロックフォール、エポワス、ブリア・サヴァランの4種類。

デザートは葡萄が主役、シャインマスカットに葡萄のジュレ。塩バニラアイスクリーム。シャルトリューズヴェールを使ったクリームがちょこちょことあしらわれていた。

最後にキャラメル、カヌレなど5種類の小菓子とハーブティー。

飲み物は以下のとおり。
◯キュペルリー ブリュット・グラン・レゼルヴ(グラス)
◯ロジェ・ペラン シャトーヌフ・デュ・パプ1986年(ボトル)
◯ドメーヌ・デュ・シャレ・プイィ プイィ・フュイッセ2022年(グラス)
◯ギガル コンドリュー2020年(グラス)

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。2023年春に頂いたフォアグラ料理も実に秀逸であった。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下に新玉ねぎのクーリ、メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレックを合わせるという感じで、フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるため、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれた。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2023/09訪問34回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

9月最初の金曜日のディナーに1名で伺った。いつもどおりカウンター席、お料理をするシェフを眺めてライブ感を楽しみつつ。

★まずはシャンパーニュ。ユグノー・タサンのキュヴェ・シグネーチャー・エクストラ・ブリュットNV。前回訪問時にも飲んだのにすっかり忘れていた。56歳にもなると記憶力の低下が著しい。ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワールで色も濃いめなのだが、お味はシャープでスッキリ。

◯白レバームースとカシスのグジェール。

◯シャンパーニュを使って昆布〆にしたカマスを炙ったもの。上にカボチャを細くスライスしたサラダ。フルーツトマトのソースでサッパリと。

◯シェフの夏のスペシャリテ、ゴールドラッシュの冷製スープ。これを頂くのは今夏2回目だし、後に控えているお料理も多いということで、小振りにしてくださったみたい。ありがたいお心遣い。相変わらずの甘さ。このトウモロコシの旬は、お盆を挟んで6〜7月と8月下旬〜9月上旬の2回あるのだそうだ。

★冷製スープに合わせていただいたのがトリンバックのリースリング・キュヴェ・フレデリック・エミール2015年。トリンバックのラインナップの中でもハイエンドなこのリースリング、その適度な甘さがトウモロコシの甘やかなスープによく寄り添う。

◯続いてこの日の白眉。焼いてほぐした鮎と茶豆をリゾットにして、冷やして、それをまた鮎の切り身に挟んで、パートフィロで包んで揚げたもの。上に乗っている黒いものはタプナード。アンチョビの代わりに鮎の内臓を使い、ニンニクとブラックオリーブで仕上げたもの。ソースは爽やかなキュウリのソース。このお料理は絶品であった。鮎とキュウリの組み合わせにどこか日本らしさを感じるものの、完全なるフレンチ。パートフィロに巻いて揚げる際に旨みを閉じ込めたのか、鮎ってこんなに味が濃いのかと感動的な驚き。

★鮎に合わせていただいワインはメゾン・リケールのシャブリ・プルミエ・クリュ・レ・ヴァイヨン・ヴィエイユ・ ヴィーニュ2020年。少しだけオイリーな、でもサッパリとしたシャブリ。

◯この日のフォアグラは少し甘さ控えめのもので夏向き。ローストしたイチジクが付け合わせ。フォアグラの上にはクルミを和えたジャム、フォアグラの下にはツルムラサキのソテー。

★フォアグラに合わせたワインは王道ソーテルヌ。ディケムの1999年とリューセックのセカンドの2016年。どちらにするかと訊かれたのだが、両方とも頂いた。ディケムはもちろんだが、リューセック・セカンドのクオリティの高さに驚く。

◯続いてアナゴのベニエ。こちらも進藤シェフのスペシャリテになりつつあるかも。サクサク感としっとり感のマッチングの妙。下にはズッキーニ。上にはコールラビ(蕪のようなもの)。

★アナゴに合わせてロゼワイン。モーゼルの大手生産者であるマーカス・モリトールのピノ・ノワール・ロゼ・ハウス・クロスターベルク2021年。ドイツのロゼがこんなにしっかりした酒質で作られていることに少し驚き。ネットで調べたらお値段も合理的だし。たまにはペアリングにしてみるのもいいもんだな。

★アナゴに合わせてもう一つ、シャルドネ。フローラン・ガローデのムルソー・ヴィエイユ・ヴィーニュ2021年。このワインを初めて飲んだのはこちらのお店で、2020年のことだった。その後も何度か出していただいているという印象。高橋シェフソムリエの好みなのかな。安定の美味しさ。

◯アワビのお料理。いつもどおり島根県の黒アワビ。とても大きな個体の半身。日本酒で8時間煮込んだ逸品。赤ナスと万願寺唐辛子、そしてアワビの肝を使ったソース。

★アワビに合わせてワインを二つ。一つ目はフィリップ・シャヴィのムルソー2021年。アナゴに合わせたガローデのムルソーに比べると樽感しっかり。

★もう一つのワインはヴィオニエ。フェラトン・ペール・エ・フィのコンドリュー・レ・マンドゥール2021年。ちょうど2年前の9月にもアワビに合わせる形で同じワインの2019年をいただいていた。ヴィオニエとしては白い花のような甘さが控えめで上品な味わい。このワインは次のお魚料理ともよく寄り添った。

◯メインのお魚料理はマナガツオとシンイカのコンビ。シンイカはイカスミとトマトを使って調理しているので真っ黒。マナガツオの下にワケギと松茸をバターで蒸し煮にしたもの。ソースはオーソドックスにブールブランなのだが、新生姜を使っていて爽やかな感じ。

★ここで赤ワイン。高橋シェフソムリエのお気に入りだというダニエル・リオンのニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ラヴィエール2015年。

◯メインのお肉料理はマダム・ビュルゴーのシャラン鴨。ここ最近は鳥インフルエンザのせいでなかなか入荷されず、スポット的にぽっと入ってきたとのこと。実はその話をお聞きして、この日はこの鴨を食べるためにやってきたのでした。ということで、鴨のロースト。シェリービネガーやタスマニア(?)のペッパーなどを使ってキャラマリゼしたものでお味付け。鴨肉の下にはゴボウのピューレ。付け合わせはグリーンアスパラ、金時草、ジロール、そして山芋。この山芋、ホタテの紐と一緒に炊いたもので、ホタテの薫りのするもので、新鮮であった。

★最後の赤ワインはラリュームにしては珍しくピエモンテ。ソッティマーノという知らない作り手のバルバレスコ・コッティ2013年。

◯デザートの前にチーズをいただいた。ミモレット、ロックフォール、コンテ、ポンレベック、シェーブル(セル・シュール・セール)の5種類。

◯最後は桃尽くしのデザート。お店のインスタやFacebookでのご案内によると「下から赤桃の果汁とベルベーヌのシロップにたっぷり漬けたサバラン 、上には自家製のクリームディプロマットを。そして新潟県産の桃を使い桃のリキュールなどで漬けた非加熱の桃のコンポート。こちらは加熱したコンポートでは味わえない生の桃のフレッシュ感を味わえます! 最後に桃を丸ごと使ったソルベ。アップルミント、チュイルを添えております」とのこと。

最後に小菓子、ブランデー、ハーブティーをいただいて一通り。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。2023年春に頂いたフォアグラ料理も実に秀逸であった。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下に新玉ねぎのクーリ、メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレックを合わせるという感じで、フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるため、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれた。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2023/06訪問33回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
  • 雰囲気-
  • CP-
  • 酒・ドリンク-

日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。2023年春に頂いたフォアグラ料理も実に秀逸であった。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下に新玉ねぎのクーリ、メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレックを合わせるという感じで、フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるため、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれた。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2023/05訪問32回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
  • 雰囲気-
  • CP-
  • 酒・ドリンク-

日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

平日のディナーに1名にて訪問。いつもどおりカウンター席にて。お客さんは他に3組。

まずはシャンパンをグラスで。アンドレ・クルエのグラン・レゼルヴ・ブリュット。ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワールだそうで。

アミューズ一つ目は白レバのグジェール、ルバーブを使ったもの。これはいつも通り。

次のアミューズが実はこの日の白眉。メヒカリのベニエ。メヒカリの繊細な味わいや柔らかい食感を邪魔しない程度にごく軽く揚げられたもの。衣はシェフお得意の黒ビールを使ったもので香り高い。

この日のボトルワインはルモワスネのクロ・ヴージョ1969年。さすがルモワスネ、1969年とは思えない若々しさ。

前菜一皿目はアオリイカのお料理。アオリイカを菜の花と一緒にタルタルにしたもの。その下にルッコラ。上にはキャビア、これらを覆い隠すようにコンソメジュレ。よく混ぜて頂くお料理。彩りで加えられているピンク色のものは花穂紫蘇(はなほじそ)。

続いてロワールのアスパラガス。ソースは王道オランデーズなのだがハーブを少し効かしていて香り高い。合わせられているのはシロミルガイとホッキガイをコンフィ油でサッと加熱したもので、柑橘ではないと思うのだが、それに似た爽快さのあるもの。これに合わせたワインがトリンバックのリースリング・キュヴェ・フレデリック・エミール2015年。

本日のフォアグラ料理も実に秀逸。鉄板で焼き上げたフォアグラ、その下には新玉ねぎのクーリ(ピューレ?)。メインのソースは椎茸と赤ワインを煮込んだものに赤玉ねぎのグレック(ピクルスのようなもの)を合わせている。フレンチらしく味を重ねまくっているのだが、味にまとまりがあるのか、添えられたセリと相まってフォアグラをサッパリと食べさせてくれる。付け合わせに新玉ねぎのロースト。フォアグラに負けない新玉ねぎの甘さ。

そして進藤シェフのスペシャリテである蒸し鮑。鮑はいつも通り島根の漁師さんから直に仕入れたもの。合わせられていたものはタケノコ、ソラマメ、片栗の葉。片栗の葉というのは初めて食べたが、春の山菜のような香り高いもの。ソースはアワビの肝をベースに花山椒を少し。進藤さんらしい季節感のある一品。このお料理に合わせてシャルドネを1杯。フローラン・ガローデのムルソー・ヴィエイユ・ヴィーニュ2021年。ムルソーらしい厚みのあるシャルドネ。

メインのお魚はメヌケ。トマトソース(と言ってもトマトそれ自体のお味を感じられるもの)とホタルイカ。一番下にインゲンとスナップエンドウのリゾット。手の込んだお料理だが、サッパリとしたメヌケのお味を邪魔しない上品な仕上がり。

メインのお肉はシストランの仔羊の背中のロースト。モリーユ茸、ジャガイモなど。サラダとヤングコーンが別皿で提供。ヤングコーンは新物、アルミホイルの中でバターと一緒に15分ほど火を通したもの。

この日はここでほぼお腹がいっぱいになってしまったので、チーズを断念してデザート、そして最後に小菓子(5種類)とハーブティー(この日はアップルミント)。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2023/02訪問31回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
  • 雰囲気-
  • CP-
  • 酒・ドリンク-

日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

平日のディナーに1名にて訪問。いつもどおりカウンター席にて。

まずはシャンパンをグラスで。前回同様、リシャール・シュルランのカルト・ドール。

アミューズは白レバのグジェール、ルバーブを使ったもの。これもいつも通り。

次のお皿も前回とほぼ同じで、ソテーしたアオリイカを、火を通した卵黄、キャビア、そして酢橘で楽しむというもの。よく混ぜて食べると予想外にしつこくなくて美味。

この日のボトルワインはラヤスのシャドーヌフ・デュ・パプ・ブラン2006年を頂いた。

続いて眼に鮮やかな翠色のお料理。ツボミナと平貝を一緒にしてタルタルにしたもの。下にフルーツトマトのムースが潜んでいて、お皿の底からスプーンで掬い上げると少しピンクがかった色合いのムースが現れる。上から細かいクルトン。

写真を撮り忘れたのだが、本日のフォアグラはお得意の金柑と合わせたもの。このお料理に合わせてソーテルヌ、シャトー・リューセックの2018年。

その次にフグの白子のお料理。ホウレンソウのピューレが一番下に、その上にブランダードのフグ版(ブランダードというのは本来はタラとジャガイモを一緒にしてペースト状にしたものなのだそうだが、タラの代わりにフグを使ったもの)、そしてその上にフグのベニエ。黒トリュフもタップリと。多層的に味が重ねられているのだけど、まったくごちゃごちゃしてなくてスッキリと食べることができる。

メインのお魚はサワラ。前回もサワラだったけど、やはりふっくらとしてとても良い火入れ。ソースや付け合わせはもちろん前回とは全然違っていて、京蕪を蒸し焼きのようにしたもの、白魚のフリットなどがサイドにあって、ソースが京蕪のヴルーテ。柚子の香り。

メインはウズラを選択。この日は白ワインをボトルでいくという前提だったので、シェフにその旨を事前にお伝えした上で、お肉のチョイスを相談した結果、ウズラということになったという経緯。タケノコの芽の部分とスナップエンドウを使ったリゾット、その上にウズラ。ジロール茸のソース、シャルドネ・ビネガー(だったかな?)を使って少し甘酢っぱく仕上げたタマネギの炒め物も。ラリヴェ・オー・ブリオンの2015年もグラスで頂いた。

デザートの前にチーズを2種類だけ挟んでもらい、デザートは紅マドンナを使った程よい酸味の爽やかなデザート。

最後に小菓子(5種類)とハーブティー(この日はレモングラス)。

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2022/11訪問30回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
  • 雰囲気-
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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

祝日のランチタイムに1名にて訪問。あいにくの雨模様だというのにテーブル席はすべて埋まっていた。自分はいつもどおりカウンター席にて。

まずはシャンパンをグラスで。前回同様、リシャール・シュルランのカルト・ドール。

アミューズはいつも通り白レバのグジェール、ルバーブを使ったもの。

次のお皿が面白かった。ソテーしたアオリイカ、焼きナスのタルタル、少し火を通した卵黄、キャビア、そして酢橘。かき混ぜてキャビアの塩味で楽しむという感じ。かき混ぜると卵黄がトロリと崩れるのだが、イカにも卵黄にもごく軽く火が通されていることもあってフレッシュでありながら生臭さもなく、とても美味しい。

お味しっかり目のお料理が今日は多くなると進藤シェフがおっしゃったので、この日のボトルワインはヴァランドローの1997年を頂いた。ソムリエの高橋さんのご予想通り、適度に熟成感が出てきていた。

続いて北寄貝のお料理。縮緬キャベツなどの野菜と一緒に。ソースはブールブラン的なもの。これに合わせくれた白ワインがフレデリック・マニャンのモレ・サン・ドニ・ラレ2017年。クールな感じのシャルドネ。

本日のフォアグラは紅玉リンゴと合わせたもの。カルヴァドスとバニラを使って(だったかな?)キャラメリゼされた紅玉リンゴ。新生姜と紅玉リンゴを使ったジャム。このお料理に合わせてソーテルヌ、シャトー・リューセックの2018年。

この日はアワビはなく、代わりに(かどうかは分からないが)牡蠣を軽くフライにしたもの。牡蠣は兵庫の「サムライ」というブランドのもので、クリーミーさはあまりなくてさっぱりとしたもの。牡蠣の下にはポワロー(ポロネギ)のしんなりと火を通したもの、そしてソースはトリュフを使ったもの。ペアリングされたワインはクロティルド・ダヴェンヌのシャブリ・フルショーム(ヴィンテージ失念)。

この日の白眉は鱈の白子の一皿。白子は軽くムニエル、ソースは王道とも言えるブールノワゼットなのだが、バターが軽めなのか、トマトの酸味のおかげなのか、軽やかな口当たり。加賀蓮根のチップスを砕くようにして混ぜ混ぜしていただくと食感も楽しめる。縮みほうれん草などという初めて出会う食材も使われていた。

メインのお魚はサワラ。ふっくらとしてとても良い火入れ。百合根と舞茸ベニエが付属していて、ソースはケーパなどが入った白ワインを使ったバターソースのようなもの。

メインは蝦夷鹿。赤桃(ペッシュ・ド・ヴィーニュというらしい)のジャムを使ったソース。モリーユ茸とシイタケのピューレ、エスプーマはキノコの雰囲気がしっかり。見た目はとても濃厚だけれども、まったくそんなことはなく、甘そうにも見えるのだがそんなことももちろんなく、上品な一皿である。

デザートの前にチーズを挟んでもらう。シェーブル、コンテ、ロックフォール、モンドールの4種類。

デザートは和栗のモンブラン。ほうじ茶のメレンゲとほうじ茶のアイス、そこにカシスのソースで酸味を効かす。ほうじ茶は敢えて苦目に仕立てられていた。

最後に小菓子(5種類)とハーブティー(この日はレモングラス)。

下記はベース投稿
+++
「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2022/09訪問29回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

この日は夜に大型台風がやってきた日。昼間も結構な雨だったが、それでもこちらのお店のテーブル席は満席御礼。自分は一人客、カウンター席を独占させていただいた。

まずはシャンパンをグラスで。リシャール・シュルランのカルト・ドール。

アミューズは二品。一つ目は白レバのグジェール、もう一つはカマスの焼いたもの(上にコールラビーという野菜の細切り)。

この日のボトルワインはシャルドネ。ルフレーヴのビエンヴィニュ・バタール・モンラッシェ2012年。キリッとした酸と適度な果実味のバランスが良い。

写真を撮り忘れた前菜一品目はこの時季の進藤シェフのスペシャリテ、焼き茄子のムース。香ばしい焼き茄子の香り、そこに絡むコンソメジュレとウニ、爽やかな酢橘。

続いてホタテのお料理。ホタテは軽く炙ってあって半生。上に掛けられたクリームは未成熟みかんを使ったもの。キャビアと蓮根スライスの素揚げを添えて。

この日の白眉は鱧と松茸の一皿。典型的な日本料理のお椀の食材だし、鱧には葛打ちがされているものだから食感までがまるで煮物椀のようなのだが、そこに松茸とシャンパンを使ったクリームソースを添えれば完璧なフレンチとして完結。

この日のフォアグラはホワイトポートとマスカットを使ったもので、少しだけ軽やか。

アワビはモリーユ茸を使ったソース。レモングラスから作った泡が爽快感を加える。ここに高橋ソムリエが合わせたのはヴィオニエ。ファラトンというドメーヌのコンドリュー・レ・マンドゥール2019年。知らない作り手だったが、今はシャプティエがオーナーのようである。

写真を撮り忘れたが、メインは鴨、オーソドックスにボルドレーズ。合わせたワインはジュヴレ・シャンベルタン・キュヴェ・アレクシス2019年。ジャン・ミシェル・ギュイヨンというこれまた初めてその名を聞くドメーヌのもの。

チーズを三種類(ロックフォール、ミモレット、コンテ)頂いて、(またまた写真撮影を失念したが)デザートは桃のソルベを主役にしたもの、最後に小菓子とハーブティー。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2022/06訪問28回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

6月下旬に2名にてディナー訪問。いつも通りカウンターに席を取る。

グラス・シャンパンはボードヴァンという知らない作り手のもの。

まずはいつも通りに白レバムースと紅玉リンゴのグジェール。

次いで進藤シェフの夏のスペシャリテ、トウモロコシ(ゴールドラッシュ)の冷製スープ。バターとお水とトウモロコシしか使っていないというのが信じられないほどの上品な甘さ。

次が写真を撮り忘れた一品。グリーンアスパラガスとトマトのタルタル、その上にホタテとキャビア、その上にアスパラガスのムース、さらにその上にはミモレットのチュイール。ムースのホワホワな食感、酸のあるタルタル、適度にクリーミーなホタテ、それらが見事に調和。この料理に合わせたのがジュリアン・ブロカールのシャブリ・ヴォー・ド・ヴェイ2020年。

この日のフォアグラはアメリカンチェリーをフューチャーしたもの。過去にも一度(仕立ては違うけど)アメリカンチェリーを使ったフォアグラ料理をこちらのお店で頂いたことがあるが、味を重ねていくトラディショナルなフレンチらしい手法を維持しながら、味がくどくならない、そんなフォアグラ。ソースはアメリカンチェリー、赤ワイン、オレンジソースを使ったもの。フォアグラの下の白い野菜はコールラビなるもので、爽やかさを加えてくれる。フォアグラに合わせたのはやはりソーテルヌ。シャトー・クロ・オー・ペイラゲイのシンフォニー・ド・オー・ペイラゲイ2016年。

続いてアナゴのベニエ。これも進藤シェフの夏のスペシャリテと言って差し支えなかろう。ズッキーニのタルト、その上にカリッと揚げたアナゴ、上には細かく刻んだキュウリに赤紫蘇。ペルノーを使ったソースで。

このあたりで赤ワインをボトルで。ニコラ・ポテルのラトリシエール・シャンベルタン2005年をオーダー。

シロイカのお料理。新生姜を使ったバターソースはバターと言いながらも少し爽やかな仕上がりで、新生姜そのものも入っていた。

本日の黒アワビはジロール茸のソース、あしらいに軽く素揚げした万願寺唐辛子、アワビの下には赤ナス。アンリ・ブルジョワのサンセール・ダンタン 2017とペアリング。同伴者にはオマール海老のお料理。

メインのお魚は尾長鯛。緑色のソースはパセリとレモンをベースとしたもの。シロバイガイとアスパラソバージュ添え。

メインのお肉は金華豚のロースト。肉厚でお肉をしっかり食べている感がすごい。お肉のお味自体がとても強い。付け合わせはジャガイモのニョッキ、フランス産のセップ茸、マッシュルームの泡など。

鹿児島産マンゴーのデザート。マンゴーの下にはマンゴーのピューレ、マンゴーの上にチョコレートの薄いディスク、真ん中にホールが空いていて、その中に塩キャラメルのアイス。見た目もお味も楽しい一品。

最後に小菓子とハーブティーを頂いた。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2022/04訪問27回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

GW最初の祝日に一人でランチ訪問。12時半に到着すると満員御礼。さすがにカウンターには誰もいなかったのでそこに席を取る。カウンターがあるのでお一人様訪問も気楽だ。

この日のお料理は下記の通り。総じて、春らしい食材を爽やかに仕立てたお料理という印象。

◯白レバのムースのグジェール。この日は紅玉が中に仕込まれていた。
◯稚鮎のカダイフ揚げ。とても軽やかで爽やかな苦味。カダイフなるものは初めての経験だが見た目も美しい。
◯新島の新玉ねぎのムースにコンソメジュレ、そしてタップリのウニ。シッカリと玉ねぎのお味。
◯写真撮影を失念したが、サクラマスのミキュイ。桜チップを使ってごく軽く燻製を効かせてあって、下に爽やかなフルーツトマトソース、上に鎮座していたウォッカクリームはレモンが効かせてあってまたまた爽やか。付け合わせはウルイ、グリーンアスパラ、チーズ(ミモレットだったかな?)で作ったチュイール。フレンチらしく味を重ねていながらもサクラマスの繊細さを無にしない。昨年の今の時期にもサクラマスを使われていたから、もしかしてスペシャリテ入り?
◯アオリイカのソテー。ロワールのホワイトアスパラと。バターソースには新生姜が使われていてやはり爽やか。
◯フォアグラの鉄板焼き。付け合わせにはルバーブのタルト。
◯スペシャリテの鮑、いつもの島根県の漁師さんからのもので、やはりいつも通りじっくり時間を掛けて蒸し上げたもの。熊本の赤茄子、島根県の平茸。ソースは鮑の肝、酢橘、生姜などを使ったもの。
◯お魚は太刀魚とホタルイカを使ったブールノワゼット・ソースのお料理。下にはパスタに見立てた感じにカットされた胡瓜(だったかな?)。太刀魚がとてもふっくらと焼き上げられていてお見事。せっかくパスタに見立てた胡瓜という面白みのあるルックスのお料理だったのに写真撮影を失念してしまった。
◯メインのお肉料理は子羊、鳩、牛肉の選択肢があったので鳩を選択。ランド産の小鳩。筍、80度ほどの低温油の中で3時間掛けてじっくりコンフィにされた新じゃがいも(少しネットリとした食感)、バンジョーヌ(だったかな?)の香りをつけたモリーユ茸のフリカッセ。
◯デザートはマスカルポーネチーズを使ったふわふわなスフレと、とちおとめのアイス。
◯小菓子とハーブティー

お酒は、①スタートのシャンパーニュはジョゼ・ミシェルのスタンダード・キュヴェ、②ボトルでシャトー・ローザン・ガシーの1970年(儚くも美しくとてもいい状態に熟成していた)、③イカとアスパラのお料理に合わせてアンリ・ブルジョワのサンセール2017年、④フォアグラに合わせてアンセルミの貴腐ワイン(初めての経験で、その存在さえ知らなかった)、そして⑤鮑に合わせてシャルドネ(ポール・ガローデのモンテリー・レ・シャン・フュリオ2015年)を頂いた。

満席だったこともあってスタッフ陣が少しだけピリピリしていて適度な緊張感、でも進藤シェフもシェフソムリエの高橋さんも一人客の自分によく話しかけてくださったし、2時間ちょっとで上述の数のお料理を出し切ったのだからさすがとしか言いようがない。

下記はベース投稿
+++
「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2022/03訪問26回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

3月初旬に1名にてディナー訪問。が、たまたま知人も1名で予約していたので、結局カウンターにてディナーをご一緒することとなった。

グラス・シャンパンはボードヴァンという作り手のもの。ブリュット・エヴィデンス。

まずはいつも通りに白レバムースのグジェール。

次いで白子のベニエ。その下に菜の花を湯掻いてエシャロットと合わせたもの、それとトマトのソース。グチャグチャっとしていただく。

アオリイカの一皿は春キャベツと一緒に。柚子の香りをつけたブールブランソース。このお皿に合わせていただいたのはシャルドネ。ヴァンサン・エ・ソフィー・モレのシャサーニュ・モンラッシェ・レ・ボーディーヌ2018年。一級クラスのものをサラリとグラスで出してくれるところがさすが。

フォアグラの鉄板焼き。金柑コンポートと組み合わせたものでシェフの定番フォアグラ料理。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作った細かいクッキーみたいなもの(クランブルというらしい)が散らされて。甘さを重ねるタイプのお料理だけど甘過ぎず、でも王道フレンチらしいフォアグラ料理。これに合わせた一杯はソーテルヌ、シャトー・クーテの2008年。

ロワール産のホワイトアスパラのお料理。ウルイとトマト、そしてモッツァレラチーズ(とあともう一つ何かのチーズ)に軽く火を通したもの。ソースは赤ピーマンとグリーンオリーブを使ったさっぱりとしたもの。ロワール産アスパラにはロワール産ワインということで、これに合わせた一杯はアンリ・ブルジョワのサンセール・ダンタン2016年。意外と熟成していて、ソーヴィニヨン・ブランの干草のような香りは控えめで、少し甘やか。

玉子と新タマネギのお料理。新島の新タマネギを丸ごとピューレにしたもの、ポーチドエッグをカダイフというさくさくの生地で包んで揚げたもの、そしてマディラワインで作った色の濃いソースが掛けられ黒トリュフのスライスがたくさん。

この日の鮑はソラマメ、スナップエンドウとグリーンピースとの競演。軽やかなバターソースと共に。

お魚は千葉県産の金目鯛。その下の鮮やかな碧はセリのリゾット、上には米粉で軽やかに揚げられたシラウオのフリット。

メインのお肉は仔羊。しかも二種類の食べ比べ。一つはいつものシストロン産のもの。もう一つはピレネー産のアニョー・ド・レ(乳飲み仔羊)。シストロン産の仔羊だってもちろん柔らかいけれど、乳飲み仔羊の柔らかさは悶絶もの。とはいえ、味わいはまったく違うもので、羊が食べたいという気分のときにはやはり前者だろうか。カルビーのスナックのような外観を呈した小さなものはなんだろうと思ったら、ヒツジのタンをポトフにしてから焼いて上にチーズの焼いたものを乗せたもの。

デザートは宇和島のブラッドオレンジ(「モロ」という品種とのこと)を使ったアイスクリーム、そしてそのジャム。下にはフロマージュブランの濃厚なムース。上にはパートフィロを使ったヒラヒラしたもの。メープルシロップとアーモンドの香りがしてサクサクな食感を加えてくださる。

この日のボトルワインはアンリ・ペロ・ミノのシャンボール・ミュジニー1992年。野いちごのような甘酸っぱい香り、その反面で古い家屋の屋根裏という感じで、いかにもという感じ。

最後に小菓子とハーブティー。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品。進藤さんのフォアグラは(昨今よく見かけるものとは異なり)プランシャでしっかりと焼いて官能的甘さのソースを重ねていくという王道フレンチなのだが、年末から春先にかけて出されることの多い金冠コンポートとの組み合わせはおそらくスペシャリテといってもいいのではと思う。オレンジベースの軽く甘やかなソース、柔らかく蒸した百合根、紅茶で作ったクランブルが散らされていて、甘さをかさねるタイプのお料理だけど甘過ぎない。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に出して頂いた芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。進藤シェフの鮑は島根県の特定の生産者から購入するものと決まっていて、それを日本酒を使って8時間掛けて蒸し上げると、しっかりした歯応えと柔らかさとが共存する見事なお料理に仕上がる。それを季節に応じてアレンジされるわけだが、初冬に頂いたその一皿は芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりします。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしました。

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2021/12訪問25回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

2021年最後の日曜日。クリスマスの翌日であったが、こちらのお店のクリスマス・ディナーはその日まで。自分が座ったカウンター席は自分だけで占拠したが、他の席は個室まで含めてすべて満席で、しかも8時以降になっても続々とお客さんがやってきていた。

この日も季節感を楽しませてくれる進藤シェフのお料理は絶好調であった。フグの白子に聖護院蕪のエスプーマを合わせた一皿がとても良かった。またフグのお料理も秀逸・・・キチンと火が通されてフグ肉らしい食感を楽しめる一方で、瑞々しくもあるフグ。自分がフグをフレンチで初めて食べたのはこちらのお店で、2019年のことであったが、今年も素晴らしい。

そしてシェフの秋冬のスペシャリテ、ホタテエッグ。ジューシーさを保ちつつ火を入れられたホタテの上に半熟卵、マッシュルーム(だったかな?)から作られた泡クリーム、そして黒トリュフ。

ワインはジャン・グロのヴォーヌ・ロマネ1987年をボトルで。今となっては入手困難なワインだ。その他にグラスでシャンパン(ジャン・ミシェルのヴィンテージもの)、アルザス(ツイント・ウンブレヒトのリースリング)、フォアグラ料理にソーテルヌ(クーテ2009年)、おまけでモンローズの2007年。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしましたね。

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2021/12訪問24回目

5.0

  • 料理・味-
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  • 雰囲気-
  • CP-
  • 酒・ドリンク-

日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

この日は金曜日、午後6時に訪問して、カウンター席を一人で独占する。

シャンパーニュをグラスでいただき、まずはいつも通りグジェールからスタート。

小柱のお料理。こちらのお店ではもちろん、そもそもフレンチで小柱をいただくのは初めてである。フルーツトマトやアンディーブ、ブラッドオレンジなどと共に。二日前に豊洲の仲卸の人と話していて小柱を使うことを思いついたとか。

ボトルワインは白ワイン、バンジャマン・ルルーのコルトン・シャルルマーニュ2011をオーダー。いいタイミングで開けたようで、少しバターのような濃厚な感じがあり、初期の熟成感をしっかりと感じさせてくれる素晴らしいもの。

フォアグラの一皿。洋梨と合わせたもの。白ワインのソースにカーボロネロ(と言っていたような・・・)というイタリア野菜のピューレ。フォアグラの濃厚さに洋梨の適度な甘さが寄り添う。これに合わせるワインとしてソーテルヌ、シャトー・クーテ2009年。

鮑のお料理。鮑の下に熊本の赤茄子、フランスの平茸、葉たまねぎ。

山口県産の鰆のお料理。下に下仁田ネギ、上にシメジとレンコン、ソースは生姜とエシャロットをオリーブオイルで柔らかく似たもの。

鱈の白子のお料理。下に白蕪で作られたピューレ、上にはピーチ蕪のスライスに軽く柚子の香り。

北寄貝のお料理。クリーム系ソースは「シャントレル」とおっしゃっていた。詳しくお聞きするのを忘れたが、ジロール茸を使ったソースなのであろうか。付け合わせの野菜は「ブロッコリーニ」という日本独特のもので、ブロッコリーと何かを掛け合わせてできたものだそうで。

メインは蝦夷鹿。白いソースと黒いソース。白いソースは黒胡椒を使ったもの、その下に根セロリを使った白いソース。これに合わせるワインとして高橋さんがグラスで出してくれたのがトレヴァロンのシラー2016年。こういうワインをグラスで出してくれるところが心憎い。まだ早いと思ったが既に適度に柔らかくなっていて気持ちよく飲むことができた。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしましたね。

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2021/11訪問23回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。この日は自分には珍しく一番お安い11,800円のコースをいただきましたが大満足。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしましたね。

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2021/07訪問22回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

四度目の緊急事態宣言の最中にディナーで訪問。

この日は進藤シェフの夏のスペシャリテであるゴールドラッシュの冷製ポタージュスープからスタート。トウモロコシの甘さが引き立つ大変美味なお料理。

二品目のアジのお料理はサッパリとした仕立て。春の七草の一つであるハコベはフランス料理ではよく使われるものだそうで、それが添えられていた。

鮎のお料理。キュウリとトマトで作ったガスパチョ、枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込む。そしてパートフィロで包んでから揚げたもの。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

この日のフォアグラのお料理もまた新しい。一番下にフレンチトースト(ブリオッシュ生地にサワークリームを合わせて焼き上げたもの)。その上に金時草、そしてその上にフォアグラ。赤ワインで煮込んだアメリカンチェリーと胡桃を添えて。フォアグラの濃厚さが引き立つお料理。

アナゴのお料理。二種類の仕立て。一つは黒ビールでベニエにしたもの、下にズッキーニ、上にキュウリや赤紫蘇などを刻んだもの。ソースはペルノー酒(とおっしゃっていたのでアブサンだと思う)とトマトで作ったもの。もう一つは日本料理の煮穴子をイメージしたもの。煮込んだ穴子の下にほんのりとカレー風味をつけた赤茄子、ソースはしっかりしたバターソース。「フワっとしたものとパリッとしたものの組み合わせ」とは進藤シェフの弁。

続いて進藤シェフの秋のスペシャリテである帆立エッグが登場。帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡むところまではいつも通りだが、白トリュフの代わりにオーストラリア産の黒トリュフ。

島根県の黒鮑。オカワカメ、火を入れるとねっとりした食感が出るのだそうだ。マコモダケと万願寺とうがらしをグリルしたもの、ソースは酢橘を使った鮑の肝のソース。

メインはシャラン鴨。マダム・ビュルゴーのもの。鳥インフルのせいで輸入できていなかったものが1年半ぶりに入ってきたとのこと。広島・三次(みよし)市のグリーンアスパラ、ジロール茸、長野のブロッコリーが添えられて。

桃のデザート。ベルベーヌというレモンハーブを使ったかき氷が掛けられていて、下にピスタチオのプリン。

そして小菓子をハーブティーと一緒に頂いて素晴らしきディナーは終宴。

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニックも。鮎の春巻も絶品であった。枝豆とリゾット、そこに鮎の焼いた身をほぐしたものを加えて、それをさらに鮎の身で挟み込み、それをパートフィロで包んでから揚げたもの。それをキュウリとトマトで作ったガスパチョの上に浮かべる。鮎の香りとガスパチョの酸味とが複雑に交錯する見事なお料理。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったお料理を創作されたりもしましたね。

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2021/04訪問21回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

マンボウなるものが適用されている最中の金曜日、早めのディナーでお邪魔した。この日の主役はバスク豚・・・入荷しました!とのお誘いを受けて。

まずは白レバムースのグジェールからスタート。続いて鳥貝のサラダ仕立て、ルッコラのエスプーマと共に。桜鱒には燻香をつけて柚子クリーム、空豆とタラの芽ベニエを添えたもの。

フォアグラにはリュバーブタルトが添えられ、ハイビスカス・ソースで。

アオリイカのお料理はバンジョーヌ・ベースのソースで。蒸し鮑にはトマトと明日葉、グリーンアスパラと筍を添え、肝ソース。鹿児島の真鯛のグリル。上にパセリ、チーズとパン粉を合わせたものを乗せてからまた火を入れて、下にはキャベツ。

主役はバスク豚の蒸し焼き、モリーユ茸とホワイトアスパラ。

いつも通り季節感を大事にされた芳しいお料理の数々、それが盛り沢山で大満足。バスク豚を思いっきり食べるだけの空間が胃の中に残っていなかったことだけが唯一残念だった・・・。

飲み物は、シャンパンとシャブリの白ワインをグラスで頂き、プリウール・ブルネのネゴシアン部門のコルトン・ブレッサンド1988、その後にシャトーヌフ・デュ・パプをグラスで。

下記はベース投稿
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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2021/03訪問20回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
  • 雰囲気-
  • CP-
  • 酒・ドリンク-

日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

二度目の緊急事態宣言の最中の金曜日、ディナーでの訪問。

まずは久しぶりにグジェール、そしてホタルイカのお料理からスタート。

北海道浜中のウニに新玉ねぎムース。

平貝のお料理。ギョウジャニンニクとバターのソース、つぼみな、菜の花のエスプーマ、ウド、スナップエンドウ。

フォアグラのブラッドオレンジソース。鴨のオレンジソースというトラディショナルな料理があるが、フォアグラは鴨の肝臓なのだから鴨のオレンジソースも合うという前提だったとのこと。その読みはドンピシャで、フォアグラの濃厚さとブラッドオレンジソースの甘さとが見事にマッチング。クルミ、ウッディーナッティーなどと共に。

この日の逸品は子持ちヤリイカの一皿。日本橋蛎殻町の超名店「すぎた」さんでお食べになられた子持ちヤリイカにインスピレーションを受けたとのこと。子持ちヤリイカの中に里芋を詰めてトロトロ、水っぽくないけど瑞々しい。

島根の弾力プリプリなアワビ、ウルイとともに。シェフにしてはバターしっかりめな感じかな。お魚は鹿児島の桜鯛で、こちらもバターしっかりめ。この日は気分的にクラシック寄り?メインはシストロンの仔羊。

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2021/02訪問19回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
  • 雰囲気-
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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

二度目の緊急事態宣言が延長されて間もない祝日にディナーで伺った。時短営業中なので午後5時スタート。いつも通りカウンター席で。他にお客さんは(背後だったのでよく見てなかったが)4人一組と2人一組かな。

前回と同様、この日もスタートがグジェールからではなく、フグの白子のベニエとモロコのベニエのコンビ。今回は下にほうれん草、上にトマトソース。

ホッキガイ、シャンパンバターソース、縮緬など数種類のキャベツの仲間たちの一皿が特に良かった。春の薫りが満載。シャンパンバターソースに合わせるということでシャンパンのお代わりをくださいました。

お決まりのフォアグラ(軽やかに火を通されたホワイトアスパラと)と黒アワビ(芹と熊本の筍と一緒に)はいつも通り薫り高く、ホタテのお料理は菊芋のピューレ、椎茸のエキューム、黒トリュフと共に。お魚は甘鯛(蕨と一緒に)を春らしく。メインのお肉はガッツリとシストロンの仔羊。

ワインはピション・バロンの1985年。ここ数年飲んだなかでもベスト級のボルドー。グラスでバターフィールドのムルソー1級シャルムを開けてくださるという大盤振舞いもございました^_^

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2020/12訪問18回目

5.0

  • 料理・味-
  • サービス-
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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

この日は珍しく(もしかして初めて?)スタートがグジェールではなく、フグの白子のベニエとモロコのベニエのコンビ。モロコは(前回の訪問時に衝撃を受けた)シシャモ春巻の下に添えられていたものと同じ(と思われる)大根などの香草野菜。そしてその次の2品目が新メニュー・・・サヨリ昆布締めと聖護院かぶらという和食のような食材の組み合わせ。野菜のジュレに柚子のクリームと共に頂く。鱈の白子と牛蒡のお料理は進藤シェフの得意とされるところ。鮑は日本酒で8時間以上蒸しあげたものでいつも通り美味。メインは特別にお願いしてイベリコ豚のロース肉にしていただいた。やはり数時間掛けてじっくりと焼き上げたもので、しっとりと瑞々しい。

ワインは1973年のスタッグス・リープなる貴重な存在がリストにあったので思わずオーダーしてしまった。乾杯はシャンシーラのブラン・ド・ブラン・・・しっかりした酒質。途中でイヴ・キュイヨンのコンドリューをグラスで。

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2020/11訪問17回目

5.0

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日本人の感性に訴えかけてくるフレンチ

この日もいつも通りグジェールからスタートしたのだが、その次のお料理でいきなり揺さぶられた。それはシシャモの春巻だ。中華の春巻の代わりにパートブリック(パートフィロ?)を用いているのでとても軽やか。その中に包まれたシシャモはとてもしっとりと仕上げられていて、まるで上質な天ぷらを食べているようだ。それと合わせられていたのが二十日大根などの香り高き野菜たちで、軽やかに仕上げられたシシャモ春巻と一緒に頂くと鼻腔をくすぐるような華やかさ。

ワインはルーミエのレ・クラ2011年。とてもいい状態であった。また、進藤シェフらしく上品に仕上げられたブール・ブラン・ソースとスミイカ、そして白トリュフをふんだんに使ったお料理にはツィント・ウンブレヒトのクロ・サン・テュルバン・リースリング2002を合わせて頂き、またしっかりめなお味に仕上げられた牛肉のメインにはルネ・ロスタンのシュトーヌフ・デュ・パプ2007を合わせて頂くなど、グラスによるマリアージュも充実していた。

今回はカウンターに(自分を含めて)一人客が2名、テーブルは全て埋まっていた。そのせいもあってちょっと慌ただしい感じで、完璧な展開ではなかった気がするが、それでも、進藤シェフも高橋ソムリエも、またその他のスタッフも折りを見て声を掛けてくれたりして、気持ちの良い時間を過ごさせて頂いた。

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我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2020/10訪問16回目

5.0

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旬を感じさせてくれる素晴らしきフレンチ


「日本人の感性をくすぐりつつも王道フレンチ」という進藤シェフのお料理の良さがこの日も爆発。

緑の色合いに海を感じるのは日本人のせいなのか・・・カキフライは(揚げたのではなく)パセリとパン粉をまぶしてフライで焼いたもの。フライして熱を通し過ぎると色が飛ぶこともあって焼いているとのこと。酸味に溢れるトマトベースのソースと合わせて予想外にさっぱりと頂くことができる。

進藤シェフは根菜使いも見事だが、鮑を根菜と合わせてくるというのも進藤シェフならではの創意に違いない。ビーツのソースと一緒に。

甘鯛と松茸のお料理はまさに進藤シェフの真骨頂。下にはロワイヤル。銀杏が入っているので、茶碗蒸しのような雰囲気。松茸と銀杏茶碗蒸しと聞くと我々日本人はすぐに秋を連想するわけだが、それとは異なる感性・文化を持つ人には見事にフレンチとして成立しているに違いない。

メインはシャラン鴨、香茸や松茸など秋の食材とともに。

ボトルワインはミシェル・ノエラという知らない作り手のニュイ・サン・ジョルジュ1988年。安くはないが、ヴィラージュとは思えない長熟ワインでとても楽しめた。

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「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2020/08訪問15回目

5.0

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旬を感じさせてくれる素晴らしきフレンチ


「旬」を感じさせてくれるフレンチという意味では唯一無二の存在です。気に入っているフレンチ・レストランはたくさんありますし、フレンチはかなり食べてきたという自負がありますが、現時点では自分の最も好きなフレンチの一つです。

我々日本人は日常生活のあらゆる面で季節感を重視する国民ですが、とりわけ食事についてはその傾向は顕著でしょう。そんな我々日本人の国民性にピタリと寄り添うのが進藤シェフのお料理です。季節感を大切しているというのは進藤シェフ自らの弁ですが、本当にその通りのお料理。ただ、誤解して欲しくないのですが、和洋折衷な中途半端なお料理ではなく、完全なるフレンチです。伝統的なフランス料理では使わない食材ももちろん使いますが、そういう食材を使っていてもフレンチであることに揺らぎはありません。ジョエル・ロブションの薫陶を受けた進藤シェフは「フランコ・ジャポネになるな」とロブション氏にしつこく言われていたそうです。

進藤シェフは季節感の出し方を食材だけに頼りません。食材は一緒でも、季節によって、仕上げ方が違ったり付け合わせが違ったりするわけですが、そこに「季節感」を常に感じさせてくれます。

春・・・2019年の春に伺ったときに頂いた烏賊に蕗の薹などの春野菜のお料理は鮮烈でした。たまたまその数日前に伺った日本料理店のある一品とほぼほぼ同じ素材を使いながらも完璧なフレンチとして完成しつつ、春を感じさせてくれる瑞々しさが素晴らしい逸品でしたね。

夏・・・進藤シェフの夏のスペシャリテはゴールドラッシュの冷製スープ。これでディナーが始まると気分が盛り上がってきます。また、紫露草とシャインマスカットがフォアグラと絶妙に合わせられたり、穴子のフリットの一番下に賀茂茄子、そしてその茄子と穴子の間にトマトとキュウリをベースに使ったものを挟みこんだりすることで、穴子料理で夏を感じさせてくれたりするという高度テクニック。

秋・・・進藤シェフの秋のスペシャリテといえば、ベーコンエッグならぬ帆立エッグ。瑞々しさを保ちつつ火を入れられた帆立と半熟卵、そこにマッシュルームから作られた泡ソースが絡みつつ、ふわっとした味わいに、贅沢に乗せられた白トリュフの香り。また、ホタテ、レンコン、マツタケ、それをブール・ブラン・ソースで仕上げたものも素晴らしかった。進藤シェフらしく軽やかに仕上げられたブール・ブランで松茸の香りとのバランスが素晴らしい逸品。

冬・・・初冬(11月頃かな)、芹が香ばしくなってきた時期に、芹と柚子をフューチャーした鮑のお料理が良かった。芹と柚子という芳ばしいもの同志が見事に共存する一皿で、奇を衒わずにフレンチの王道を走りながらも高い技術力で瑞々しく新鮮味溢れる一皿に仕立てる技術はさすが。白子も進藤シェフの得意とする食材で、ある年の年末にいただいた白子とゴボウのお料理は特筆に値します。どちらもフレンチの素材としてはあまり使われないものかと思うのですが、ゴボウはピューレにしたものが白子を下支えするソースとして、そして白子の上を飾るフライとして、二度の登場。そこに焦がしバターソース、そして白トリュフ。白子のコッテリ感と相まって冬らしい濃厚な仕立てかと思えば、トマトの酸味でスッキリと仕上げるという意外性もあったりして。研究熱心な進藤シェフ、フグを使ったりもしましたね。

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2020/08訪問14回目

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2020/06訪問13回目

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2020/02訪問12回目

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2019/08訪問8回目

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2019/05訪問6回目

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2019/02訪問4回目

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2018/12訪問3回目

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2018/08訪問1回目

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
レストラン ラリューム
受賞・選出歴
フレンチ 百名店 2025 選出店

食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2025 選出店

フレンチ 百名店 2023 選出店

食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2023 選出店

ジャンル フレンチ、ワインバー
予約・
お問い合わせ

050-5595-9408

予約可否

予約可

▶ 前日までにご予約されてからご来店されることをお勧めいたします。
▶お席のご指定につきましては、ご要望に添えない場合もございますので、予めご了承ください。
▶アレルギーやお苦手な食材がある場合は、ご要望欄にご記入ください。
▶ご予約のお時間30分を過ぎてご連絡が取れない場合はやむを得ずキャンセル扱いとさせていただく場合がございますので、遅れる場合は必ずご連絡下さい。

住所

東京都港区白金台4-9-23 ツツイビル B1F

交通手段

都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩3分
JR山手線・東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩12分
「プラチナ通り」沿いにございます。

白金台駅から246m

営業時間
  • 火・水・木・金・土・日

    • 12:00 - 14:30
    • 18:00 - 22:30
    • 定休日
  • ■ 営業時間
    天候不良や東京都からの要請などにより営業時間が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

    ■ 定休日
    11月 4、5、10、11、12、17、18、19、25日
    12月 1、3、8、15、22、26、29日
    2026
    1月 5、6、7、8、9、13、14、15、19、21、26日
    2月 2、9、12、16、17、18、24日
予算

¥20,000~¥29,999

¥10,000~¥14,999

予算(口コミ集計)
¥20,000~¥29,999 ¥10,000~¥14,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)

電子マネー不可

QRコード決済可

(PayPay)

領収書(適格簡易請求書) 適格請求書(インボイス)対応の領収書発行が可能
登録番号:T7810204559801

※最新の登録状況は国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトをご確認いただくか、店舗にお問い合わせください。

サービス料・
チャージ

チャージ料なし。サービス料10%頂戴致します。10/1より導入される適格請求書(インボイス)制度に対応しております。

席・設備

席数

24席

(テーブル14席・カウンター4席・個室6席)

最大予約可能人数

着席時 24人、立食時 50人

個室

(2人可、4人可、6人可)

個室のご利用につきましては、個室料5,500円頂戴致します。 お子様は個室は乳幼児からお受けできます。詳しくは店舗までお電話にてお問い合わせください。

貸切

(20人以下可)

禁煙・喫煙 全席禁煙
駐車場

近隣のパーキングをご利用ください。

空間・設備

オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり、無料Wi-Fiあり

メニュー

ドリンク

ワインあり、カクテルあり、ワインにこだわる、カクテルにこだわる

料理

野菜料理にこだわる、魚料理にこだわる、ベジタリアンメニューあり

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 接待

こんな時によく使われます。

ロケーション

隠れ家レストラン

サービス

お祝い・サプライズ可、ソムリエがいる

お子様連れ

子供可(乳児可、未就学児可、小学生可)、お子様メニューあり

お子様メニューは事前にご注文になります。当日のご用意は致しまねます。ご予約の際にお申し付けください。(個室のみ注文可能)

ドレスコード

スマートカジュアル
(サンダルやジャージ、不衛生な格好、極端にお店の雰囲気を壊される内容のコスチュームでのご来店は、お断りさせていただく場合がございます。ご了承ください。)

ホームページ

http://restaurant-lallium.jp/

公式アカウント
オープン日

2018年8月1日

電話番号

03-6456-4378

備考

・英語、フランス語、スペイン語、イタリア語など、幅広く外国人のお客様の言語にも対応可能です。また、ヴィーガンやベジタリアンにも御対応いたします。
お気軽にご相談ください。

・貸切の場合は、着席時最大30名様、立食時最大60名様までご利用頂けます。
お気軽にご相談下さい。

《ミシュランガイド、ゴ・エ・ミヨに掲載頂きました。ありがとうございます。》

初投稿者

K.ハミルトンK.ハミルトン(3451)

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