十津川村に行こう・源泉かけ流し温泉と郷土料理が味わえるお宿

十津川村に行こう・源泉かけ流し温泉と郷土料理が味わえるお宿

紀伊半島の秘境・奈良県十津川村は、こんこんと湧きだす極上温泉は当然のこと、温泉清流に育まれたアマゴや鮎、森の精気に培われた雉や猪など、美味しいものに溢れています。 日本一の走行距離を誇る路線バスに乗って、豊かな自然のなかで極上のお湯と料理を味ってみませんか。

更新日:2018/05/24 (2018/02/24作成)

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十津川温泉郷

奈良県吉野郡十津川村。ここは全国で最も広い面積を持つ村としても知られています。紀伊半島の最深部にあり、国道が開通するまでは周囲とは隔絶した地域だったため、独特の文化・気風を持っています。
壬申の乱の頃から幕末までは免租の特権を得ており、南北朝時代や幕末の争乱期に狂言廻しのように現 れる十津川郷士を輩出するなど、日本の歴史形成にも大きく関わっている村です。
この村を語る上で避けて通られないのが1889年(明治22年)の「十津川大水害」です。同年8月に紀伊半島を襲った台風により、十津川村を縦断して流れる熊野川(十津川)流域で大規模な山腹崩壊が1080か所で発生。十津川を土砂がせき止めた後に決壊し、それにともなう洪水により、この村に壊滅的な被害をもたらしました。
地形が大きく変わるほどの災害により、生活の基盤である耕地や山林を損失した被災者2691人が北海道に移住。新十津川村がつくられることになりました。北海道の新十津川町では現在、十津川村を「母村」と呼んで同じ町(村)章を用いるなど、多くの交流があります。
記憶に新しい2011年(平成23年)の台風12号による「紀伊半島豪雨」。この時も「十津川大水害」と同様の土砂災害や氾濫が発生し、十津川村だけでも死者・行方不明者12名という犠牲に加え、折立大橋の落橋、長殿発電所の流出など、大きな被害がありました。
今もなおその爪痕が残る十津川村では、基幹となる国道168号線の改良工事を行うほか、観光振興に力を入れるなど、復旧・復興に努めています。

[八木新宮特急バス]
全長166.9㎞、停留所の数は167、高速道路を使わない路線では、日本一の走行距離を誇る路線バスの八木新宮特急バス。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を駆け抜けることもあり、最近ではマスメディアにも取り上げられ、かなり有名になってきました。
この路線の多くは山岳地域で、その中核こそ全国で最も広い面積を持つ村としても知られている十津川村の村域です。この路線は十津川村の欠くことのできない重要な生活の足でもあるのです。

[十津川温泉郷]
十津川村には十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉からなる温泉があり、それらをまとめて十津川温泉郷と呼ばれており、これらが日本百名湯にも選ばれています。
十津川温泉郷が広く知られるようになったのが2004年、全国に先駆けて「100%源泉掛け流し宣言」を発表したこと。折も折、温泉偽装が世間を賑わせていたときに「掛け流し」の価値を高めたことが全国に波紋を広げました。

「十津川温泉」は、十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉から成る十津川温泉郷の中核で、十津 川村のやや南部、二津野ダム湖畔の平谷集落に10軒足らずの旅館・民宿と村営の入浴施設などが点在する実に静かな温泉街です。
源泉の発見こそ元禄年間という古湯ではあるが、あまりにも秘境にあることから知られることもなかったが、1974年、二津野ダムの完成によって集落が 移転した際に、現在の平谷地区まで源泉を引湯することに成功。これによって温泉街が形成されました。
 ・泉質:ナトリウム炭酸水素塩泉
 ・源泉温度:70℃

「湯泉地温泉」は十津川村のほぼ中央に位置し、十津川村役場の十津川沿いに、数軒の旅館・民宿と2箇所の村営の入浴施設などが点在する、1581年佐久間信盛が訪れたといわれている古い歴史を持つごく小さい温泉です。最近、高級な離れ宿がオープンするなど、注目の温泉です。
 ・泉質:単純硫黄泉
 ・源泉温度:60℃

「神湯温泉」は、十津川の支流、上湯川上流に湧く温泉で、享保年間に里人が見つけたといわれる独特の泉質をもつ秘湯。川の畔にある大自然の中のしっとり落ち着いた一軒宿が人気の温泉です。
 ・泉質:ナトリウム炭酸水素塩泉
 ・源泉温度:85℃

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平谷荘(十津川温泉)

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この小規模な温泉街の南端部、蕨尾地区にある、十津川温泉では老舗旅館のひとつです。

案内された部屋は2階の6畳、窓からはエメラルドブルーの二津野ダム湖が眺められます。

マニア好みの鄙びた岩風呂

この旅館の温泉は玄関のある1階から階段を降りたところにあります。かなり古びた感じがマニア好み。浴場はひとつだけの男女共用で、女性が入るときは鍵を掛けて貸し切りにするようです。
浴槽は岩風呂風に仕立てられ、岩の隙間から新鮮なお湯が掛け流されています。淡麗な色合いにもかかわらず、トロリとした濃厚な浴感。この十津川特有の芳しいアロマとミストのただ中に身を置く幸せに満たされます。

宿の設備やサービスの面、料理の質を客観的に見ればやや時代遅れな点も多々あるが、この上質の温泉がある限り、その全てが味になる…これは何ものにも代えられません。

田花館(十津川温泉)

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この「田花館」は創業が明治42 年と、十津川温泉では最も老舗の旅館です。玄関を入るとすぐに階段となり、2階に上がったところに帳場がある、ちょっと変わった構造の旅館です。

客室は2階と3階に置かれていて、窓からは湖畔の建物越しにエメラルドブルーに輝く二津野湖が眺められます。

芳しいアロマのお湯が満たされる

温泉は2階にあり、内湯には十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯が掛け流されています。鼻腔をくすぐるアロマがアルファー波を発生させ、柔らかな浴感は心を鎮める。泉質は極上です。
この旅館にも貸切の露天風呂もあります。周囲は壁に囲まれていて景色は全く楽しめないが、天井がないので確かに露天には違いない。こんな申し訳程度の露天ではあるが、こちらに注がれているお湯のほうがなんだか濃厚なような気がします。

十津川温泉は湯量が豊富な高温泉なので、すべての旅館が完全放流の掛け流しを達成しています。ただ、熱い源泉を冷ますのにはどこの旅館も苦労しているようで、この旅館では、温泉を送るパイプに湧き水のシャワーを浴びせて温度を下げ、濃厚な湯を楽しめる様になっています。
温泉もさることながら、ご主人自ら釣ってきた鮎料理も極上。冬場は牡丹鍋もいいですね。これぞ日本のジビエ。

やど湯の里(湯泉地温泉)

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吉野建てとは、平地が少ない吉野山に適した建築様式で、道路から見ると2階建に見えても、実は3階建ての2階部分という、山の斜面に合わせた建築様式。十津川に沿った温泉街のさらに上流に、1軒だけひっそりと佇んでいる吉野建てが特徴的な旅館です。

案内された部屋は「太郎」の間。この旅館唯一の二間続きの角部屋です。眼前には十津川の 清流がサラサラ流れています。

紛う事なく今まさに地中から湧き出てきた源泉

ここのお風呂は玄関から1階下のところ、ここが本当の1階の上流寄りのところにあります。内湯はいささか古びた感じではあるが、滔滔と満ちているお湯は、紛う事なく今まさに地中から湧き出てきた源泉です。澄明で無味だが硫化水素臭はかなりある。湯温が熱いので少しばかり加水しているが、濃厚なガツン湯です。
露天は噂に違わぬ絶景です。こちらは少し温めなので長く入っていられます。こちらも濃厚だが、湯の花が目立つ。本物の温泉たる証左です。

雨に打たれ、霧に包まれながら極上の湯に浸かる…これこそが自然と一体になったような感覚を味わえる貴重な体験です。

植田屋(十津川温泉)

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この実に小規模な温泉街の一角にある「植田屋」は、十津川温泉では老舗旅館のひとつで、お隣りの「湖泉閣吉乃屋」とは対照的に庶民的な値段が魅力のお宿。

しかし、お隣りと同様、窓からはエメラルドブルーの二津野ダム湖が眺められます。

まるで自分の田舎に帰ってきたような温かいおもてなし

この旅館の温泉は1階から階段を降りたところにあります。浴室の扉を開けるといささか古びた感じではあるが、ぷうんと漂うアロマの芳しさにまず悩殺される。
浴槽には十津川特有の淡麗な色合いにもかかわらず、トロリとした濃厚な浴感を持つ。まるで上質の白ワインのよう。豊かなお湯と芳しい香りに包まれてゆったり足を延ばす至福。温泉を愛する者にとっては最高の癒しです。

そして老夫婦による、まるで自分の田舎に帰ってきたような温かいおもてなしも、この老舗旅館の魅力のひとつです。

十津川上湯温泉旅館 神湯荘(上湯温泉)

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十津川の支流、上湯川を遡ってしばらく進んだところの渓流の畔、形態の電波も届かない、これぞ秘湯中の秘湯といった趣の旅館です。

客室の窓からは果無山脈が眺められ、奥吉野の雄大な自然との一体感が満喫できます。

奥吉野の雄大な自然との一体感

水害で流される前の「つるつるの湯」

温泉は内風呂の他、 「癒しの湯」と「美肌の湯」の2つの貸切露天風呂、さらに河辺の源泉露天風呂があり、川のせせらぎを聞きながらゆったりと入るお風呂は、源泉の自然な温かさをより感じられ露天風呂に浸かる醍醐味をたっぷりと味わえます。
お湯は僅かに白濁していて、湯の花が多く舞っています。やや硫黄臭はあるが、舐めてみると意外にも無味。しかしこの浴感が特徴的で、ツルツルした肌触りが実にいいですね。

十津川温泉ホテル昴(十津川温泉)

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このホテル昴は、 十津川村、奈良交通、十津川村観光協会の出資によって1988年に開業した第三セクターのホテルで、小規模の旅館が多い十津川温泉の中で、最も規模が大きい十津川を代表するホテルです。

ホテルだけあって、ベッドの備わる洋室も用意されています。別館2階にある特別室は広々とした10畳と6畳の和室に檜風呂を設えていて、大きいベランダから十津川の支流に架かる野猿が望めます。

広大な露天風呂が自慢

十津川では珍しい広い敷地を活かしてお風呂も広々。露天風呂、内湯、サウナ、寝湯、うたせ湯…等々、スーパー銭湯並みのヴァリエーションがあって、家族連れやグループ旅行にはうってつけです。
もちろんお湯は十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯で、泉質も申し分ない。比較的空いている冬場 には、こんな広いお風呂を独り占めすることも…

当初、巨費をかけて設置した循環装置を、2004年に撤去する英断があり、この掛け流しへの移行をもって十津川村全村の掛け流しが実現したのです。

十津川温泉湖泉閣吉乃屋(十津川温泉)

大正13年創業という十津川では老舗となるこの和風旅館では、館内に地元の山で採った花木と野草を活けられていて、十津川温泉では最も格式が感じられる温泉旅館です。

各客室からはエメラルドブルーを湛えた二津野湖と、対岸の山並みが一望でき、自然豊かな十津川の息遣いが満喫できます。

十津川随一の格式を誇る老舗

温泉は内湯と、内湯からつながる露天風呂からなります。十津川温泉は日本で先駆けて全村の温泉で完全放流の掛け流しを達成したところ。これは湯量 が豊富で、かつ湧出温度が高いから成し得たとのこと。
この旅館では源泉を適温にするのに工夫があって、温泉のパイプをダム湖に沈めて冷まし、加水することなく極上のお湯を掛け流しで提供されています。
内湯には十津川温泉独特のやや白濁した、心地よいアロマのお湯が溢れています。この湯をワインに例えるなら、きりりとして、かつ芳醇。フランスを代表する白ワインの「シャブリ」のような感じかな。
しかしこの旅館では露天風呂が特筆ものです。お湯に浸かりながら波穏やかな二津野湖が一望できます。銘木をくりぬいた一人用のお風呂も野趣が溢れます。

露天風呂ではヤマガラを餌付けしていて、雄大な湖面を目にしながら小鳥の囀りも楽しめる。夜になれば空気の澄んだ十津川村ならではの満天の星空を眺めることができる。
そして、突如霧が湧いてきて、一瞬にして幻想的な山容が白く包まれる情景を目の当たりにすることもある。温泉に浸かりながら天候の移り変わり が実感できる…自然と一体となることができる温泉です。

十津川荘(湯泉地温泉)

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十津川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように旅館や民家が十数軒。湯泉地温泉は十津川温泉郷では最も歴史のある温泉です。

ここは大正年間から代々宿屋を営んでいる老舗。1階は帳場と食堂、客室は2階となっていて、古びてはいるものの、部屋には花が活けられ、清掃も行き届いています。

至極の貸切露天

温泉は1階から階段を降りた階下にあり、男女それぞれの内湯と貸切の家族風呂および露天風呂があるほか、玄関を出て道を挟んだ向かいに、かなり広い露天風呂「十六夜の湯」が設置されています。
内湯では湯泉地温泉特有の硫黄臭が満たされ、澄明で僅かに湯の花が漂うお湯が掛け流されています。泉質を愛でるには内湯の方がいい。まとわりつくような上質な肌触りが味わえます。

しかしここの白眉は貸切露天風呂でしょう。十津川の清流が眼前にできる露天ぶろは、さほど広くはないが、日本庭園のように植栽が整えられ、鳥の声、十津川の清流の音に包まれて湯に浸かる至極。ま さに心の解放が得られます。

絶景と美湯と素朴な料理

早起きして豊かなお湯と芳しい香りに包まれてゆったり足を延ばす最高の至福。「やうやう白くなりゆく山際」を眺めつつ、曙の温泉につかる至福がある限り、また十津川に戻ってこようと いう気にさせてくれるのです。

※本記事は、2018/05/24に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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