ほかとは違うスパイスで食べさせるカレー : PULU2

階段を下りて店内に入った瞬間
レゲエミュージックがお出迎え
「これってライブハウスじゃないの？」
そういいたくなるような店内で
えぐいグラスホッパー色のシートが毒々しい
全体的にくたびれたような「かったるい空気」が漂っていた

そう思っていたらお店の女性スタッフは
「何名さまですが？」
「こちらのカウンターへどうぞ」
と軽快な接客

注文はチキンベジタブル
辛さは普通の人ならこのあたりがMAXという20番
ご飯は普通盛り
プラス有料で
ほうれん草のサブジ（スパイス炒め）
アチャール（酢漬けみたいなもの）を注文

昼時間の閉店間際といって良い
2時ごろにもかかわらずほぼ満席
注文を店長が復唱しながらオーダー順にカレーを仕上げてゆく

ご飯担当の若い男子
カレー担当の店長
接客と会計の女子
まるでJAZZバンドのように息が合っている

こういうお店は作業を見ているだけで楽しい
リズムがあり無駄のない動きは美しくすらある
店内に流れるレゲエのリズムともマッチしていた

1０分くらいでカレーが届く
思ったより黄色い
ウコンがたっぷり入ってそうだなんて思った
スプンとフォークを持ってご飯をカレーに浸してパクリ
さらさらスープのスパイスの香りの強さと塩分の少なさに驚いた

スパイスの事は分からないけどスーっきりとしてシャープ
すぐさま辛さも追っかけてくる
欧風カレーや大衆的なスープカレー屋さんにある
「塩分」や「甘味」を極力排除しているよう
ご飯をかんだ甘みとカレーのスパイスで
口中調理することにより旨みが増すかたち

スープカレーの食べ方ではつまらないと思い
ネパールののタルバートやインドのミールスを食べるときのように
アチャールやサブジをご飯に混ぜ
スープをかけながら食べるスタイルに変更した

普通のスープカレーと違い
こちらは野菜もとりも煮込まれるタイプで提供
基本のスープを作るうえでもベースとなっているのだろう
チキンを取り分けナイフとフォークで骨をはずし身を解して混ぜ
野菜も都度スープ皿からご飯皿に取り分け
できるだけご飯と一緒に食べる

素材が変わったりスープの分量がまちまちな状態にして
口にほおりこむ
むしゃむしゃとよく噛んで食べるとここの人気の理由も分かる気がした
あっという間に食べ終えてしまってもスパイスが後をひき
食べ終わった後もその余韻が心地よい

食べやすいぎりぎりのところを突いて来ている
シャバシャバなスパイスカレー
まさにこの店オリジナルなスパイスで食べさせるカレーで
スープカレーのひとつの表現技巧だと感心したし
この食べ物に深みを感じさせるお店だと思う

まずは普通のスープカレーを食べて
それからここに来ると受ける衝撃も大きいと思う
それほど個性的なスープカレーである