経営的な興味 : カニ蟹 crab noodle 三宮

インスタで見てから、経営的に興味があり、妻の許可も出たのでいつものサタデーランチで伺いました。

まず、基本的なことを申し上げるとこの手のラーメンは好きではありません。
私は6億回申し上げているように、握りとラーメンが1番好きな食べ物です。
東京時代に創作寿司的なものやユニーク系ラーメンを何度か頂きましたが、美味しいものは皆無でした。
神戸に来てからも、苦楽園方面のタイヤの寿司屋でも創作的な握りを頂いたことがありますが、卒倒するほど不味かったです。
苦痛。
元町の行列店のラーメンも美味しくなかったです。
インスタ映えがするので経営的にに成功しておられるのかも知れませんが。
私が個人的に食文化として大嫌いということと経営的な視点で考えるということは、全く違う次元のことなので、このような店に伺うという行為には自己矛盾はありません。　
ただ、特に、握りとラーメンは趣味の世界で大切な分野なので、本意ではない店に伺うのは憂鬱です。

このレビューは、家を出る直前に書き始めていますが、まず料金設定から蟹の食材としてのクオリティが高くないことは分かります。　
クリームパスタのようなものに蟹のような風味や蟹のような旨味を加えて、ラーメン的な麺を入れたものだろうと想像がつきます。
そのような食べ物がインスタ戦略でどの程度経営的に成功するのでしょうか？
ウクライナ有事で、ロシアから蟹が手に入らなくなる状況でどのような経営判断をされるのか？
特に仕入れのコストの問題。
このことは今後、全ての飲食店に関わることですが、仕入れ値、光熱費、運送費など全てが激上がりして、世間では多くの業種は給与が上がらず、失業者が増えます。
料金設定が難しくなる上に、アフターコロナの世界はそもそも飲食店にいらっしゃる方々の数が以前の状態には戻りません。
さて、どうされるのか？
それが興味の対象です。

12時ジャストに着きました。
先客は3組。
帰るまでに私たちも含めて5組になりましたが、3連休の初日、人出が多いのにも関わらず来店される方は多くはないようです。

内装はイタリアンの居抜きをそのまま借りたのではと思わせるものです。
実際に席に着くとコンセントの穴が埋められていたので、なんのお店だったかは分かりませんが、居抜きの物件です。
テーブルとカウンターなどを入れ替えたのでしょう。

自販機でラーメンを選びます。
スタンダードな白蟹noodleを頂くつもりでしたが、妻が白蟹noodle蟹味噌バター仕立てのご飯セットを選んだので、ひきづられて、同じものに味玉をトッピングしました。
1450円のセットです。
私の場合は、90円プラスで1540円です。
味玉は90円の価値があるでしょうか？

LINE登録すると黒烏龍茶が貰えると言うので登録しました。
美味しくない黒烏龍茶でした。

最初、ラーメンを間違えて他の席に持って行きました。
同じラーメンだったらそのまま他の席に行ったままだったでしょう。
マニュアル的な接客教育はかなりしておられますが、従業員がお客を全く見ていません。
明らかに時間差があって後に来られたお客の席に私たちのラーメンを持って行きましたから。
テーブル番号が書いてある伝票がないので、お客の流れを見ていないと、このように新しいお客がたった2組しかいないのに提供先を間違えるのです。
あり得ません。
2組。
とても接客に気を遣っておられるオーナーだと思いますが、教育がマニュアルだけで終わってしまっていると感じました。

正に、

画竜点睛を欠く

です。

さて、ラーメンですが、想像通りでした。
スープの味は蟹そのものの味と言うよりは、蟹のような風味を出しています。
味そのものは不味いというものではありません。
万人受けする味付けだと思います。
日本人は蟹＝高級と感じるので、このようなラーメンを考えたのでしょうが、正確にはちゃんとした蟹の旨味があると言う意味での蟹ラーメンではありません。

そもそも蟹の身そのものはどこにあるのでしょうか？

蟹なのに身がないのはどうしてでしょうか？

理由はわかりますが書きません。

どう考えても、この料理がフレンチだとは思えませんが、ある意味フレンチの王道中の王道。

という意味です。

しっかりと時間と手間をかけて出汁を取ったものではなく、マニュアル化されたもののような、変に作られたような味です。
実際に複数店舗ある会社経営なので、誰でもオペレーションできるようにしてあるのでしょう。
いずれにしても料理として価格相応の味と言えるかは、個々によってハッキリと評価が分かれるでしょう。

具に唐揚げがありますが、かなりクオリティの低い鶏の胸肉です。
美味しくありません。

見た目キャビアらしきものがのっていましたが普段口に入れないようなクオリティの低いものなので何かわかりません。

ハムや野菜などの具も劣悪ではありませんが、とても高級ラーメンを謳うようなものでは全くありません。
味玉も普通です。
家で普段使っている卵の方が遥かに原価が高いです。

例えば、時間がある時は、家でシェフとスーシェフを私と妻がその日により立場を入れ替えながら料理を作っています。
この日の夜、シェフは私で、牛タンシチュー担当。
スーシェフの妻は、シャケのムニエル、とろ〜り半熟卵と小松菜とツナのサラダを担当、でディナーとなりましたが、妻が選んだ卵はかなり高価なものでした。
普通のものとは黄身の味が全く違います。
たまたま、今回は私が選んで買った卵ではありませんでしたが、食べればわかります。
一口食べればわかるのです。
実際に結構高い卵だと妻が言っていました。

麺はスープに合っていると思います。
ただ、高級ラーメンの麺ではありません。
このスープに合わせるということが目的ですから、ラーメンの麺として完成しているものではありません。

蟹ご飯ですが、想像した通りちゃんとした蟹の出汁を取ったものではありませんでした。
蟹のような風味の出汁で炊いたご飯です。
そのまま食べるというより、最後ラーメンの汁に入れて、リゾット的に食べるということを前提にしています。
スープは冷めてくるとかなり味が濃く感じるので、ご飯にはあまり味付けをしないということでしょう。
とは言え、最後の方はそもそもマニュアル的な味付けで更に味が濃く感じ過ぎるため、完食するのが苦痛でした。

まあ、いずれにしてもカニカマが蟹として評価されると言うことが世の中で起きるとは想像も出来ませんが、事実は小説より奇なりと言う言葉があることを思い出しました。

あまりにもクオリティが低くて豚肉の味がしない豚肉とか、鶏肉の味がしない鶏肉が世の中に流通していますが、更に次元が異なるのでは？

また、元町のインスタ映え行列店と同様に、オリジナルの器が非常に実用的ではないのです。
インスタ映えでフレンチ的に見せたいが故に、深いどんぶりなのに、広い縁がついていて、箸で麺を掴む時もスプーンでスープを飲む時もそこに指が当たってしまってとても食べにくいです。
機能性がゼロの器です。
インスタ映えのみで、食器としては全く意味をなしません。　

無用の長物。

さて、インスタ映えやLINE活用など今風のラーメン屋の経営戦略ですが、どうなるのでしょうか？
箱の大きさと回転数と家賃、広告宣伝費、バイトの募集とシフトと教育と人件費、食材の消費期限、高騰する仕入れ値、機械の減価償却費、リピート率等、経営センスと何よりも大局観が問われる要素がてんこ盛りです。
ラーメン大戦争と共に経営的な興味があるので、機会があればまた伺うでしょう。

妻は再訪などあり得ないそうです。
夕飯を食べながら、お互いの感想を言いましたが、ほぼ同じ見解でした。
経営的な興味はないので再訪はないとのことです。
妻も日本の食文化の崩壊を肌で感じているのかも知れません。

よって次回は一人です。
一緒に行ってくれる人はいないでしょうね。

追伸
味だけでなく飲食店経営も含めて「チェーン店についての考察」というシリーズをもう少ししたら書かせて頂きます。
数少ない私が使わせて頂いている飲食店のチェーン店、過去に行ったことがあるチェーン店など、意図的に再訪して少し掘り下げたレビューを数店舗書かせて頂く予定です。
数ヶ月に一度のペースですが私たち夫婦が今も行かせて頂くことがあるチェーン店は、ドトール、丸亀製麺、スタバ、タリーズです。
この4店舗は経営戦略も含めてチェーン店としては素晴らしいと思っています。
色々な要素について多くの優秀な方々が知恵を寄せ合い徹底的に考えておられます。
味も安定しています。
味が安定しないチェーン店もあるのです。
理由は後ほど。