再訪　鎌倉で一番オススメのバー : バー　ザ ティップル

あのBANK。今の店は再開したが、まだなにかぎこちない。それにひきかえ、こちらのバーテンダー、以前はBANKにいた。腕前は確か。そしてこの小町通りの脇道に。重厚な、本格派バーをオープン。

いまや鎌倉を代表するオーセンティックなバーに。店は渋い、暗いがシックな雰囲気。でも良い雰囲気なバー。誰を連れて行っても自慢出来るバーとは。こういう店だろう。それが銀座ではなくて。鎌倉にあるのがうれしい。

カクテルの値段は銀座のほぼ半額。観光客が退いた小町通りの一角。これからが鎌倉の魅力発揮とばかり。こういう地元民が愛するバーが本領発揮。先日、平塚の某バーでカクテルを2杯。この店の2倍の支払いだった。

バーの値段はリーズナブルと不可思議の。両方を覚悟する必要があるが。この実力と雰囲気、接客なら。十二分に満足するだろう。それにしても竹鶴17年は美味。生チョコとの相性も申し分ない。

○オレンジのカクテル
ラムベース、レモンで甘さを押さえてエキゾチックな味に
○竹鶴17年
●特製生チョコ

初夏の鎌倉。桜の季節から、ずっと散策で人気を保っている。東京から電車で約1時間。こんな至便な観光地があるだろうか。横浜の元町、中華街には無い魅力。それが古都の佇まい。そして多彩な飲食店の展開。もちろん観光客の知らない店に。

しかも有名なテレビの舞台にも登場している。私は興味が無かったのでその番組は知らないが。バンク、力餅家、鎌倉美学、イワタコーヒー店などが登場したらしい。しかし鎌倉には登場してほしくない店がある。それがバーのティップル。

バーテンダーは元バンクにいたが腕は湘南でもかなり優秀。まずはチャイナブルー。この中国古代の青花（高貴な焼物の色）を表現するカクテル。あの楊貴妃の愛したライチの風味がすがすがしい。玄宗皇帝がはるか離れた広東から早馬で取り寄せた逸話もあるくらい。

そして珍しいリキュールに出会った。ゴードン　シトラスフレーバーウォッカという。英国のアレクサンダー･ゴードン社が生産。35度、ピュアな水とグレーン１００％。レモンとライム、オレンジオイルが香りを引き立てる。

ウォッカマティーニと思ったが。進められてウォッカトニックに。なんという香り高いカクテルだろう。初夏にふさわしい爽快な味わい。

若宮大路の端、スーパーの前の桜が咲き始めた。段葛の桜は数年前に植え替えられて。まだ小さな木々なので趣には欠ける。しかし鎌倉には夜桜が似合う。昼の喧騒が去り、静かな古都の風情が戻ってくるからだろう。湘南のどの街の夜桜より情緒を感じる。

最初のオレンジのカクテルで喉を潤した後で。珍しいい倉吉ウィスキーを頂いた。国内の蒸留所から厳選されたモルト原酒。それを鳥取県倉吉市の大自然の中で。長い年月をかけて湧き出ている。酒造りに良好な地下水で加水調整し絶妙な味わいに仕上げたという。

香ばしさの中にまろやかな甘さや風味が支配する。やはりウィスキーは水も大切の実感する。

そして〆はやはりチェリーブロッサム。日本最古で現在も営業する横浜・関内のパリー。大正時代に創業者の田尾多三郎氏によって考案された不朽の名作。ブランディー、オレンジキュラソー、レモンジュースなど。なにか甘酸っぱい、初春の香り漂う味わい。

○オレンジのカクテル
ジンベース
○倉吉ウイスキー　8年
○チェリーブロッサム
●干し塩辛

フードメニューの例
小さいキュウリのピクルス、豚レバーパテ、生ハムとサラミの盛り合わせ、生チョコレート、
にしんのピクルス

6月になるとミントの季節。夏を間じかに控え。爽やかさからスッキリ感へと心が移る。新緑から、夏の勢いへと。ミントが勢いづく季節。しかしミントは「美徳」という花を持つ。勢いばかりでなく。美しい生き方を学ばねば。

鎌倉で3軒のハシゴ。最後はカクテルにした。今は閉鎖されているが。あのBANKで腕をふるっていた。名バーテンダーが開いたオーセンティックなバー。しばらく会話をしていたが。突然、チャイナブルーを思い出した。

香港を飛び立った飛行機から見下ろすと。眼下にはSouth East China Seaの美しいマリンブルーの世界が。最近はきな臭い政治状況に巻き込まれているが。昔は、静かで美しい海だった。

〆は何時もの通りマティーニで。鎌倉の夜は静かだ。

○緑のカクテル
ラムとミント
○マリンブルーのカクテル
チャイナブルー
○マティーニ

＊最初の3枚が今回のカクテル

2016.4.23
男の止り木とは。ある人は「男は安らげる場所に必ず帰っていく」という。そして男は女性に安らぎと癒しを求めると。だから男性はそういう女性を好むとも言う。はたしてそうだろうか。今どき、そういう優しい女性は多くはない。そう思えるのだが。（あくまで私見。私の周りには優しい女性ばかり）

そこで、女性をバーに置き換えたらどうだろうか。疲れた時にふと立ち寄るだけで元気になれる。そして飲めば癒され安らげるようなバー。それがバーの理想だろう。男は時として1人になりたい。帰宅する前に、嫌なことを忘れたい。家で愚痴をこぼしたくない。たとえ、10分でも良い。

男には止り木が必要だ。しかし女性も同様だろう。特に働く女性、子育て中の母親、孤独感を持つ女性。彼女たちこそ止り木が必要かもしれない。止り木が必要な男には、彼女たちを癒せない。もし、女性が1人でも気軽に利用出来るバーがあれば。多くの女性が救われるかもしれない。

そして、暖かく見守ってくれるバーテンダーがいれば。多くを語ろうとするバーテンダーは辛い。必要な一言、二言。それだけで良い。後は、美味しいカクテルと簡単なつまみ。時にはその静寂感と温かさも癒しとなる。カクテルが揺れれば、なにかが変わり。グラスの影が心模様となる。

鎌倉の源吉兆庵横の路地。ビルの2階にひっそりとこのバーがある。バーテンダーは元BANKで働いていた。渋いが実力のある、いかにもバーテンダーらしい方。しかも、このバーは中の造りが落ち着いていて寛げる。1人で静かにカクテルを傾け。時に心を癒し、ある時には夢を限りなく広げる。そんな空気が漂う。

久しぶりの彼のマティーニはキレがあって美味しかった。

○ソルティードッグ
○マティーニ

○ニシンのピクルス
○小さいキュウリのピクルス

他のつまみ
イベリコ豚のレバーパテ。ドライフルーツ盛り合わせ、ミックスナッツ、オリーブ盛り合わせ、鱈レバーパテ