飽きずにいただける素朴で質実剛健な味 : Takii

2020年2月
　土曜日の正午過ぎ。なかなか趣のある入口である。カウンターだけの店だから混んでいて座れないかもしれないと思いながら入店すると、先客が1名だけで少し拍子抜けした。座ってメニューを探すとカスターセットの手前に小さなメニュースタンドがある。三角柱を横に置いた形で、表と裏にメニューが書かれてある。初見の店のマイルールに従って、メニューの最初にある中華そば700円を注文。裏側にある＋300円の黒やきめしセットにしてもらう。
　提供時間は注文から5分で黒やきめし、6分で中華そば。ゆったりとした動作ながら作業は的確だから早く提供できるのだろう。混んでいても10分くらいで提供されそうだ。
　先ず黒やきめしをいただく。豚バラ肉が入って香ばしく、米がまとまっていて食べやすい。半熟の目玉焼きをレンゲで崩せば、黄身が流れた部分がとても美味しい。レンゲはスプーンみたいなタイプでやきめしを食べるのに丁度いい。
　中華そばはメニュー名の通り、昔ながらの素朴な味である。旨味調味料を感じないから、出汁とタレだけの勝負だ。かなりこだわっていると思える味である。麺はやや固めの細麺で、つるつるとした喉越しがいい。くどくないから飽きずに食べられる。ラーメンはこうでなくてはいけない。
　旨味調味料が蔓延した中華料理店やラーメン店の中で、こういう素朴で質実剛健な味は珍しい。旨味調味料はひと口目だけが美味しくて、後は飽きる味になる。それが好きな客も多いのだろうと思うが、当方はこちらの店のような素材の味と醤油がガツンとくる昔ながらの味が好きだ。素朴な味は飽きない。また来ようと思う。