飾らない手作り感溢れる旨さに浸る : Banwarou

横浜中華街、気になっていた台湾料理の萬和樓、表通りにびっしりと並ぶ派手な外観の中華料理店とは全く異なる、お店のくたびれ感がとてもいい感じ。

店内は表の喧騒とは無縁、なぜかオールディーズのアメリカンミュージックが流れている。入店すると、まずはオトーサンから、まずは「現金しかつかえない」との洗礼を受ける。

メニューは、クリアフォルダに二穴パンチで穴を開け、写真付きの紙のメニューが入った皺々のポケットファイルを紐で留めてあるだけで、かなり年季が入っている。

と思って壁を見ると、SNSアカウントのQRコードが貼ってあるので、アクセスしてみると、オンラインショップまで設けられており、意外にチャッカリしている。

ボロボロのメニューに目を通し、狙っていた牛肉麺と水餃子をお願いすると、「牛肉麺は辛いけど、大丈夫？」と聞かれたので、辛い方が好きと返す。とにかく店内が暑く、テーブルに団扇が置かれていることに納得。

程なく牛肉麺が運ばれてきて、次いで水餃子がやってくる。牛丼麺は牛スネ肉がたっぷり入っていかにも美味しそう。水餃子は、「何もつけなくてよいけど、お客さんの場合は牛肉麺のスープに付けても美味しいよ」と一見無愛想かと思われオトーサン、意外にやさしい。

牛肉は滑らかなストレートの中太麺、牛バラは八角が香り、スープもバランスがよくてとても美味しい。餃子は餡の中に高菜漬が入っており、そのままで十分美味しい。

牛肉麺を食べていると、店内の暑さに辛さが重なって汗が噴き出してくる。するとオトーサン「辛さ大丈夫？牛肉麺はスープに漢方薬が入っているから身体にとても良い。今汗が出てるのは八角のせい、八角は発汗を促すから夏バテ知らず」と話しかけてくる。

八角に発汗作用があるとしても、この汗は店内の熱さとスープに入った豆板醤の辛さだと思うが、なるほどそうなんですねと返す。

手作り感溢れる旨さ、その飾らない雰囲気と相まって、横浜中華街における貴重な存在。

レジでお会計の際には、「おいしかったですか？」とオトーサン、心やさしい台湾の方だった。

牛肉麺 1,540円、水餃子 750円 合計 2,290円