美味しいエアロプレスでまったりタイム : パッセージコーヒー ロースタリー

この日は、御茶ノ水でランチをとった後は、新御茶ノ水駅から直通の祖師ヶ谷大蔵駅まで出てみました。
祖師ヶ谷大蔵駅と言えば、2019年の秋から冬にかけて食べログパン百名店を集中的に攻めていた時に、全国のパンジャンルの評価でNO1に輝く「ラトリエ・ドゥ・プレジール」を利用した時に訪れて以来になりますが、さすがに世田谷区の小田急沿線の駅だけあってカフェについてもなかなか洒落たお店が多く集積している土地柄です。

今回は、それらの中から駅からは多少離れますがコーヒーへのこだわりがかなり高そうな当店をターゲットにしました。

当店のオーナーバリスタは、佐々木修一さんとおっしゃり、三田の慶應義塾大学前で当店の母店にあたる「PASSAGE COFFEE」を経営しています。

佐々木さんは、学生時代のアルバイト先のスターバックスで、コーヒーに開眼したのがこの道に入ったきっかけで、バイト初日に、コーヒーの面白さにハマってしまったそうです。
その後、大手コーヒーチェーンに就職し、ここで店舗経営を学んだ後、より深くコーヒーを掘り下げるために、コーヒーの専門学校に入学しました。
卒業後はバリスタ世界チャンピオンに輝いたオーストラリア人バリスタのポール・バセットの日本店に転職。
バリスタとして豆選びから焙煎まで任せられるまでになり、イタリアで行われた「ワールドエアロプレスチャンピオンシップ2014」で日本人として初優勝の偉業を成し遂げたそうです。
そして、満を持して2017年3月に独立し、開業したのが東京・三田の「PASSAGE COFFEE」です。

因みにワールドエアロプレスチャンピオンシップというのは、2011年にスタートしたエアロプレスの技術を競う世界大会で、2012年からは日本でも国内大会が毎年開催されています。
エアロプレスは、オスロコーヒーなどが日本でも広めた感がありますが、空気圧を使ったコーヒーの抽出器具で、2005年に米フリスビーメーカーのAEROBIE社が、アウトドアでも本格的なコーヒーを楽しめるように開発したものです。
私のエアロプレスとの出会いは、2015年の岡山在勤中で、出張先の山口でのことでした(フットボール&カフェ コラソン)。まだよく覚えているのですが、どうやら閉店してしまったようですね・・

当店は、そのPASSAGE COFFEEが焙煎所を独立させることになり、カフェスペースも備えた店舗として2019年6月にオープンしたものです。
PASSAGE COFFEEの店名は「道」や「通過点」を意味しているそうなので、当店を出店したのもその通過点だったのかもしれませんね。

当店は、祖師ヶ谷大蔵駅から祖師谷通り（ウルトラマン商店街）を進むこと700〜800mほどの場所で営業しています。
通りからちょっとだけ引っ込んだところに立つ建物の1階になります。

一面ガラスの扉を開けて入店します。

店内は入ってすぐ右手が厨房と注文カウンター。
その対面に壁際に小テーブルを設えた長椅子状の客席がズラッと並んでいます。
コーヒーを飲みながら、横の小テーブルで読書やちょっとした作業をするのに適した造りと思われ、スペースを有効に活用しつつなかなかお洒落な雰囲気を醸し出している粋な設計だと思います。
奥にはハイチェア席、ローチェア席入り混じったテーブル席があって、全部で20席程度のイートインスペースになりますが、適度に陽光も差し込む暖かみがあり明るい雰囲気の店内はとても居心地が良いです。

この日は12時半過ぎの訪店でしたが、その店内に先客は2名ほどしかいませんでした。

ですので、特に席取りをする必要性も感じずに注文カウンターに向かいます。
カウンターの上にはドリンクメニューが置かれており、毎週焙煎される新鮮な豆を使用したコーヒーは、抽出方法をペーパードリップとフレンチプレス、エアロプレスから選ぶことができます。
看板のエアロプレスはやや高く@570円で、ペーパードリップが@490円、フレンチプレスは@480円と微妙に10円の差をつけています。
コーヒー豆は横に置かれているボトル入りの豆から選ぶことができ、この日は5種類のシングルオリジンがラインナップしていました。

また、スイーツはカウンターの横にショーケースがあり、ペストリー類が7種類ほど置かれていました。

注文はエアロプレスをケニアでお願いし、スイーツは、最近人気のあんバターサンドを付けることにしました。@570円＋@380円で950円のコーヒータイムになります。
支払いを終えると、席で待つように言われます。
完全セルフスタイルではありません。

席に座って待っていると店内に置かれたギーセン(GIESEN)社製の大型ロースターが目につきます。
これが三田から移設されたのかあるいは新たに導入したのかは分かりませんが、かなりの設備投資だと思われます。

待つこと4〜5分ほどでコーヒーが淹れ上がり、あんバターサンドと一緒に運ばれてきました。

エアロプレスのケニアは見た目からしてエアロプレスらしいちょっと濁った色をしています。
フレンチプレスほどコーヒーオイルの重厚な舌触りはありませんが、ハンドドリップよりも、豆の特性が出てますね。
短時間で抽出するため、甘さと酸味のバランスが良く、スッキリとした仕上がりになっています。
華やかなフレーバーで明るい酸味を楽しみたい銘柄には特におすすめと言われているので、今回の酸味強めのケニアにはぴったりでした。
エアロプレスの良さを十分感じることのできる美味しいコーヒーでした。

あんバターサンドは今やスペシャリティコーヒー専門店のコーヒー受けとしてはおなじみになりつつあるメニューですが、表面がカリッと焼かれサクッとした舌触りの生地にあんとバターが馴染んでとても美味しかったです。

まったりした雰囲気の店内で美味しいコーヒーとスイーツで午後のひと時をまったりと過ごすことが出来ました。
場所が駅からちょっと離れているため人通りもそれほど多いところではありませんが、是非評判を呼んで繁盛してもらいたいと思います。