3回
2023/10 訪問
失われて初めて人は不安を感じるもの。誰かがそれを言葉にしなければならないのなら・・
8月に続き、2ヶ月ぶりの訪問。
今年は松山の鮨屋とこの店にば
かり来てる気がします。。
謎深まる「馳走卒啄一十 別邸」。
どなたか、早くレビュー上げて
ください!
この日、女将さんと弟子くんが
「別邸」へと移ったばかりで、
どうやら新たに2名を補充した
ようでした。
ただ、残念ながら、この2人分
の穴埋めには少し時間がかかる
ように思います。
大将と唎酒師の理恵さんの負担
がかなり増してるように感じま
した。
コースの流れもいつもと違って
て、不足分を補填するための工
夫だったんだろうと思います。
「チーム平野寿将」が繰り出す、
家庭的で機微にあふれる他の店
にはない独自のホスピタリティー。
今は少しだけ翳ってしまった、
と言わざるを得ません。
写真を撮り忘れそうになるほど、
供された瞬間に齧りついた焼き
物もありました。
いりこ、カツオ、サバ、あごな
どの節の旨味が効いた牛肉のし
ゃぶは、いつも通りに出汁、肉
質ともに素晴らしいこの店のス
ペシャリテ。
前半のクライマックス、白甘鯛
の椀は、マグロ節の香りに思わ
ず目をつむってしまうほどに日
本人の細胞に染み入るようでし
た。
でも、刺し身と炙りものの中に
は、大将が手をかける時間が足
りてない品があるように思った
のも事実。
明らかに大将本来の技量ではな
いです。
口直しに出される、女将さん特
性の、氷水で締めた極薄大根の
梅肉載せ。
あれ、見た目、枯れた感があっ
てパサつきそうに見えるけど、
素晴らしい食感で目が覚めるよ
うな影の立役者なんですが、こ
れも姿が変わってしまってまし
た。
ちょっとでない程度に残念。
失われて初めて人は不安を感じ
るもの。
誰かがそれを言葉にしなければ
ならないのなら・・
「チーム平野寿将」の真の実力
を再び体験できる日を心待ちに
しています。
※刺し身2点、ハギの肝、煎茶、
デザートの写真は撮り忘れ。
ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の
主に鮨屋をめぐっています。
まだ食べログを始めたばかりで
すが、いいね、保存、フォロー
いただいた方々、大変、励みに
なります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー
━ バリアフリー情報 ♿ ━
敷地手前に10cm程度が一段。
玄関までのちょっとした石畳の
小道もわずかな段差、そして店
内カウンターの足元に15cm程
度の足場があってこれが車いす
の邪魔になるかも。
カウンターも若干高く、それな
りに苦労するかもしれませんが、
大将も女将さんもスタッフもみ
んな親切なので、心地いい時間
を過ごせることは間違いない。
2023/10/15 更新
2023/08 訪問
『肉の焼き具合はいかがいたしましょう?』『じゃぁ、しょうが焼きで。』
2ヶ月ぶりの馳走 啐啄一十さん。
こんなに短いスパンで再訪する
のは僕にはめずらしいこと。
前回、
シャシーはエンジンよりも速く。
ではなく、サービスは料理よりも
美味しく。
素晴らしいホスピタリティ。
素晴らしいもてなし。
心地いい。
なんて書き出しで、この店のポテ
ンシャルについて綴りましたが、
実は、1つモヤモヤしてしてたこ
とがあったんです。
それは、
「僕にとってどれくらい美味しか
ったのか。」
これがモヤモヤしてて。
前回、お昼に割りとちゃんと食べ
てたせいか、18時には十分にお腹
が減ってなくて万全ではなかった
ことが悔やまれてたんです。
ということで、今回は3日前から
魚断ちし、10時頃、ANAさんの軽
い機内食と小さなワイン2本いただ
いたのち、18時まで一切、摂食せ
ず、万全を期してうかがいました。
結果から言えば、今回も完食なら
ず。
僕くらいの年齢にはちょっと多い
のかなぁ。
レビュアーとしての僕の専門は鮨
ですが、総量として鮨屋よりも多
いようです。
それでも、今回は、ここの料理の
本質を掴めた気がします。
実は今回、他の客とは異なる僕専
用メニューが用意されてたようで
す。
2ヶ月前の初訪問時、肉料理をほ
ぼ残したことを記憶いただいてた
ようで、肉抜きのメニューを用意
くださってました。。
申し訳なく思いながらも、その
気遣いに感謝です。
チーム平野寿将。
リスペクトの気持ちを込めて、こ
の店をこう呼ばせていただきます。
相変わらず、居心地がいい。
大将をセンターに、店に華やかな
にぎわいを添え、サービス全般に
心を配る可憐な女将、毎回、僕ら
素人にもわかりやすく楽しい酒の
知識を与えてくださる国際唎酒師
の理恵さん、そして、車いすの僕
をエントランスから店内までしっ
かりサポートしてくれる弟子くん。
大将が魚の切り身をのせた大きな
皿を持って、最適なタイミングで
その一切れをカウンターの客一人
一人の皿に、説明しながら供して
いく、他ではあまり見ない馳走ス
タイル。
これがなんだか楽しいんです。
時に、余った切り身を、若い客や
食欲が余ってそうな客の前で、
「もう一切れ、いける?」
なんて言いながら、皿の上に乗せ
ていく。
こういう、微笑ましく、客との距
離感がとっても素敵なこの店の風
情がすごく好きです。
本日の、昭和のとーちゃんメシ
(僕が勝手に名付けた、最後に供
される食事のこと)は、どこの家
庭でも作るような、炒り卵の上に
バフンウニの切れ端を何枚も載せ
て、これを魚をほぐしたごはんと
ともにがっつくわけです。
ごはんにのっけてもいいし、別々
に食べてもいい。
ほぐした魚がちょっとパサパサで、
こういうハズしたところもこの店
らしさと思って笑えてしまう、ア
レもコレもが微笑ましい、チーム
平野寿将。
女将が華やかで可憐なら、こちら
は、凛と爽明でジャパニーズビュ
ーティーな理恵さん。
(この女性2名、声もとても素敵
なんです)
今回も、淡麗な地物の酒から、米
香る生酒、燗酒、数種の酒を氷結
させたカクテルまで、彩り豊かな
日本酒で、料理に一層の華やぎを
与えてくれました。
ブランドもんのオンパレードだけ
ど、欠片もペアリングどころか、
まったくのミスマッチでデタラメ
な選別に5,6万円もぶっかけて
くる都内の調子こいた料理屋もめ
ずらしくない中、ローカルで小さ
い規模ながら酒造りに情熱を傾け
る酒蔵に目を向け、応援しながら
客の懐にも優しいに「おまかせ」
に感動です。
いくつ飲んだのか、もう記憶でき
ないくらいに今宵は酔っ払いまし
た。
客への心遣い、料理を供するまで
の細心の気遣い、魚を獲る人、流
通させる人まで含め、それぞれの
研ぎ澄まされた技能をもって、こ
のサプライチェーンを完成させ、
最後に大将がまとめ上げるシンプ
ルなヒトサラこそが、客が目にす
ることのない影の主役にもライト
をあてます。
この店の人たち、人生2周目じゃ
ないの?
と疑ってしまうほどに、この店は
料理屋として卓越しています。
『肉の焼き具合はいかがいたしま
しょう?』
『じゃぁ、しょうが焼きで。』
ガッツ石松さんの名言ですが、
これですよ。
平野寿将の料理も。
カッコなんかつけずに、ただただ
本質的に旨い。
ここのメインディッシュは、間違
いなく椀。
昆布と節とここ広島の軟水で研ぎ
澄ました出汁と適切に手当した魚。
日本人の細胞に染み入るように清
廉で旨い出汁を啜って、旨味最高
潮な魚塊にかぶりつく。
これ以上の愉悦なし。
ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の
主に鮨屋をめぐっています。
まだ食べログを始めたばかりで
すが、いいね、フォローいただ
いた方々、大変、励みになりま
す。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー
━ バリアフリー情報 ♿ ━
敷地手前に10cm程度が一段。
玄関までのちょっとした石畳の
小道もわずかな段差、そして店
内カウンターの足元に15cm程
度の足場があってこれが車いす
の邪魔になるかも。
カウンターも若干高く、それな
りに苦労するかもしれませんが、
大将も女将さんもスタッフもみ
んな親切なので、心地いい時間
を過ごせることは間違いない。
2023/08/21 更新
2023/06 訪問
昔、ある女優さんが言いました。「私の血はワインでできているの」と。
シャシーはエンジンよりも速く。
ではなく、サービスは料理よりも
美味しく。
素晴らしいホスピタリティ。
素晴らしいもてなし。
心地いい。
ずっとダラダラ〜と飲んでいたい。
ってわけにもいきません。
次のお客さんに席を譲らなきゃね。
それにしても、なんですかね、こ
の店の女性陣は。
美しく、親しみやすく、気持ちに
届く心遣い。
居心地がいい。
そして、美しい。
大事なとこなんで、2回言っとき
ました!
それでいて、素晴らしくプロフェ
ショナル。
これじゃぁ、主役の大将、霞んじ
ゃうじゃうんでは?
いえいえ、霞みません。
ちっとも霞みません。
大将もまた、限りなく料理人です。
本日、いただいた料理に使われた
出汁は四種。
北海道のあちこちの厳選された昆
布を福井の蔵で何年寝かしただの、
ボイスレコーダーでもなければ到
底記憶できないくらいに、「昆布」
ネタであふれるところにもってき
て、大将が縁もゆかりもないこの
地、広島に店を開くことになった
最大の理由、「水」ネタが重なり
合って、出汁を全面に、正々堂々、
真っ向勝負に出たのがこの店なん
でしょう。
なるほど、分かりやすすぎる料理
と構成。
日本料理です。
とはいえ、多くの日本料理の名店
とは全くまったく異なる料理。
創作でもなく、ましてやイノベー
ティブでもない、日本人なら誰で
も知ってる、でも、日本料理屋は
どこもやらないような料理と構成。
これは、平野寿将料理。
地元から、日本中から、大将の目
利きに叶った野菜に魚に肉。
ヘタな手数を極力省き、水と昆布
と節類からなる魔法の液体、
「出汁」の力で仕上げる平野寿将
の料理。
僕は、大切な友人、知人にこの店
を紹介すらなら、出汁料理屋だと
伝えたい。
鮨が大好きで、ほぼ、鮨しか語ら
ない僕が、今宵、思い出したんで
す。
僕ら日本人の体には、出汁が染み
込んでることを。
僕の血液はワインでもソースでも
なく、出汁でできてるんだと。
前半は、徹底して、出汁の旨み、
いや違う、出汁が、野菜を、魚を
どれだけ旨くたらしめるかという
ことを、思い知らされる構成。
長くなるし、他のレビュアーさん
たちが十分に書かれてるんで、こ
の店の肉についてはここでは省き
ます。
酒はいつものように、料理に合わ
せておまかせで。
優しい眼差しの可憐な女将に負け
ず劣らずの、話し方がとても魅力
的で日本酒マイスターの女性スタ
ッフがいい酒をセレクトしてくれ
ました。
しかも驚くほど良心的な価格。
カードが使えないので、「お金足
りるんかいな・・」と思いながら
も余計な心配でした。
鮨屋、日本料理屋、フレンチ、イ
タリアン、そしてホテル。
いずれも街の規模に見合わない、
美食不毛の地にあって、わずか8
席を、平和と祈りの彼の地から綺
羅星のことく輝かせる大将を始め
とした4人のプロフェショナルが
静かにも品よく舞うこの店が、我
が故郷、広島にあることを心から
誇りに思う一夜となりました。
雨の中、車いすの僕を親切にサポ
ートいただき、最後まで全員でお
見送りいただいたことと、故郷広
島とは縁が切れつつある僕をつな
ぎとめてくれたことに心から感謝
を。
また来ます。
ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の
主に鮨屋をめぐっています。
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す。
ありがとうございます!
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ーー
━ バリアフリー情報 ♿ ━
敷地手前に10cm程度が一段。
玄関までのちょっとした石畳の小
道もわずかな段差、そして店内カ
ウンターの足元に15cm程度の足
場があってこれが車いすの邪魔し
ます。
カウンターも若干高く、それなり
に苦労するかも。
大将も女将さんもスタッフもみん
な親切なので、心地いい時間を過
ごせることは間違いない。
2023/07/26 更新
カッコつけずに、ただただ本質的に旨い。
2023/09/27 更新