美食と美湯・料理自慢のかけ流し温泉旅館(九州編)

美食と美湯・料理自慢のかけ流し温泉旅館(九州編)

日本に数多ある温泉旅館。そんな中、泉質とともにお料理も上質な温泉旅館は限られます。 その双方を兼ね備えた旅館は、その宿泊料金の多寡にかかわらず、実に贅沢な旅館といえます。 西日本を中心に路線バスでの温泉巡りを実践する「バスde温泉」主宰・kurodaが訪れた、九州の良質温泉旅館をまとめてみました。

記事作成日:2018/04/29

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる323の口コミを参考にまとめました。

九州は温泉の宝庫かつ食材の宝庫

火の国・九州は火山性の温泉に恵まれているとともに、玄界灘や有明、周防灘など周囲を囲む海の幸、温暖な気候から生まれる山の幸、そして焼酎などのお酒など、食べ物にも恵まれています。上質な温泉とともに、美食も楽しめる贅沢な旅が楽しめます。

米屋別荘

米屋別荘

 杖立温泉は筑後川の支流、杖立川が侵食した渓谷の僅かな土地に、大型旅館や小旅館、湯治宿などさまざまな旅館が細長く立ち並び、幾筋もの湯煙が立ちのぼる、昭和の香りを残す温泉街です。
 背戸屋と呼ばれる町並みのある杖立温泉のレトロな街の対岸、温泉街の南端に位置する「米屋別荘」は、現在は7代目の当主が引き継いでいる、創業が天保14年(1843年)という老舗。客室6室、離れ3室に対し 、大浴場、貸切湯合わせて11ヶ所という、温泉と料理にこだわったお宿です。

杖立温泉(熊本県阿蘇郡小国町)

米屋別荘

 メインの浴室は別棟となっています。男性専用浴室「殿の湯」は、半露店状の岩風呂になっているとともに、1人用の石風呂が2つ並んだ「みようと風呂」も設えられています。
 この宿のお風呂はすべて掛け流し。浴槽に満たされている湯は澄明で、41~42℃くらいに調整されています。泉質はナトリウム・塩化物泉。仄かな硫黄の香りとともに僅かに塩気が感じられる、なめらかなでマイルドな浴感のお湯です。
 湧出時の温度が98.3℃というからには、加水で調整するしかないが、多くの浴槽にジャグジーの如く空気の吹き出しが備えてあり、これも温度調整の一環かもしれません。

米屋別荘

 隣の「長寿霊泉」は野趣に あふれる混浴露天です。6畳ぐらいの石組み浴槽に、すぐ横にある米屋二号源泉から噴出してきたお湯が満たされています。周りには庭園のように多種の中・低木が植栽され、どこか幽玄さも感じさせる。3筋の打たせ湯からは勢いよくお湯が落ちていて、その飛沫がミストになって空間全体に靄がかかったようになっています。
 この宿の自慢は5つの貸切家族風呂と女性用露天風呂からなる「不老長屋」。一の湯から五の湯まである5つの貸切風呂は、各室は小さいながら屋根付きと露天の浴槽があって、そのうち140cmもの深さの「立ち湯」や岩を背にして寝ながら浸る「寝湯」など多彩。当初は全室制覇を目論んだが、あほらしくなってふたつで止めました。

米屋別荘

 その理由は、離れのお部屋についている露天 風呂が秀逸だからです。杖立川の流れを眺めながら湯浴みのできるこの露天風呂には深さが二段になった長方形の浴槽と、大人二人がゆったり浸かることができる岩風呂露天。源泉をそのまま流入させているとすぐに熱くなってくる。流量を調節してできるだけ濃厚なお湯に仕立てると、地球の息吹を感じるお湯になります。
・ナトリウム・塩化物泉 98.3度

米屋別荘

 料理は本館の個室に用意されています。まだ若い当主手ずからの料理は気品が漂います。

米屋別荘

 静寂な環境の中での入浴は快適そのもの。肌にまとわりつくような無色の柔らかなお湯が惜しげもなく湯船から溢れだし、新鮮なお湯であることを改めて実感します。温泉力を感じさせる魅力に溢れる旅館です。

旅館 山河

 熊本県の南小国町にある黒川温泉は、田の原川の渓谷の両側にそれぞれ趣のある24軒の旅館が建ち並ぶ温泉街で、TVや旅行雑誌などにも露出の多い、全国屈指の人気温泉地として有名です。
 この黒川温泉を有名にした要素のひとつとして「入湯手形」があります。旅行者はこの手形を購入することにより、各旅館の露天風呂に3カ所まで選んで入浴することができるというシステムで、この黒川を手本として全国の温泉地にも広がっています。 

黒川温泉(熊本県阿蘇郡南小国町)

「旅館 山河」は、黒川の町並みから少し離れたところ、一軒だけぽつんと佇む、「日本秘湯を守る会」のお宿です。
 3,000坪という広大な敷地を持つこの旅館は、 その敷地の大部分が徹底的に手入れがされた雑木林となっていて、ほんの一部が木造2階建ての母屋となっており、その周りに離れ、露天湯などが点在。敷地内に小川が流れる実に贅沢な空間構成です。

旅館 山河

 内湯の「薬師の湯」は、平板な石を敷き詰めた床の中央に岩風呂が設えられています。お湯は赤褐色。2本の源泉のうちの「薬師湯」と呼ばれているお湯が掛け流されています。岩肌に赤褐色な析出物がこびりついていて、舐めてみると強い金気臭と僅かな硫化水素臭が感じられます。湧出の泉温は約49℃。これが薬効高いお湯だそうです。
・ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉 73℃・49℃

旅館 山河

 混浴露天風呂の「もやいの湯」は、この旅館で最も大きなお風呂です。大きな浴槽に掛け流されているお湯はほぼ無臭で、僅かに青白く濁っている麗しい温泉です。ここはもうひとつの源泉、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉の2号源泉と薬師の湯との混合とのこと、2号源泉の泉温は約73℃ということなので、こちらは露天風呂に向いています。周囲の自然と見事に溶け込んでいて爽快な気分で入浴できる。まったりとした浴感は、薬師の湯とは対照的。心が安らぎます。

旅館 山河

 この旅館には、宿泊客のみ利用できる貸切風呂が3か所あり、その一番人気は「六尺桶の湯」だそうです。6尺(約180㎝)の桶の中に、「もやいの湯」と同様、ブレンドされた湯が掛け流されています。浴感は柔らかく て癖がない、肌に馴染むようなマイルドな感覚です。渓流に隣接していて景色もいいし、風も気持ち良い。自然と一体となった素晴らしい雰囲気を醸し出しています。

旅館 山河

 部屋の内風呂も魅力的です。東棟の2階、「吊り花」の部屋には、内湯に切石風呂が設置されています。5尺四方ほどの大きさで石組みの風呂を形作っており、粗く削った石の持つごつごつした手触りが野趣を感じさせています。ここに赤褐色の湯の花が舞うお湯が満たされ、岩肌を黄土色に染めています。
 お湯は薬師の湯。金気臭を帯びた新鮮な温泉が贅沢にもかけ流され、溢れ出たお湯は川へ流れ去ってゆきます。窓を開けると半露天風。渓流のせせらぎが掛け流しの音とハーモニーを織り成すのも風流。木々によって減じられた外 光の元、ゆったりとした湯浴みを満喫することができます。

旅館 山河 - 二日目夕食・前菜

 料理は夕食はお部屋に、朝食は食事処に用意されています。豊かな自然の山里料理は心安らぎます。

旅館 山河

 この旅館、その温泉と料理の質もさることながら、純朴そうなスタッフの皆さんによる心あたたまるおもてなしも魅力のひとつです。

丸長旅館

丸長旅館

 長湯温泉は大分県竹田市直入にある温泉で、世界でも類を見ない炭酸濃度の高さで知られています。芹川の流れに沿って旅館や共同浴場が点在し、温泉街を形成しています。
 ここでは炭酸を多く含んだ適温の湯が大量に湧出しており、入浴時に体 中に大量の泡が付着します。芹川の川原にある石組の露天風呂「ガニ湯」がこの温泉のシンボルとなっています。

長湯温泉(大分県竹田市直入町)

 この「丸長旅館」は、長湯温泉の象徴といえる「ガニ湯」の対岸にある2階建ての和風旅館です。客室は6室の小ぢんまりした旅館ながら、創業100年余りにもなる老舗。とはいえ、最近になって全面的に建替えられていて、玄関から廊下、客室に至るまで上品な和風の内装になっています。特に囲炉裏や生け花が飾られた玄関ロビーにはお香が焚かれていて雰囲気を高めています。

丸長旅館

 ここには大浴場はなく、大・中・小3室の貸し切り専用の内湯があるのみ。収容人数で考えたら必要にして充分。どの浴室も浴槽がひとつと洗い場だけのシンプルなつくり。ここに褐色のお湯がこんこんと掛け流 されています。
 大と中には若干の加温があるみたいで、共同湯にみられるような炭酸の質感はやや希薄になっています。しかし、金気臭と浴感はここでも強力。
 対して小は加温なしの源泉そのまま。温いお湯にじっと浸かっていると、じわじわ体が温まってきます。温浴効果の高い炭酸泉の効能により、加温の必要性を感じません。

丸長旅館

 檜の浴槽は析出物でコーティングされていて木の感触はなくなっているが、砥石程度の滑らかさになっていて肌触りが実にいい。これは独特の気持ちよさです。洗い場にも全面的に木のスノコで覆われているが、これも析出物で石化しています。足が滑らないのもいいですね。
・マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 41.9度

丸長旅館

 料理は客室に用意されます。ご主人手ずからの料理はダイナミックかつ繊細 です。

丸長旅館

 優雅な癒しの時間を過ごすことのできる上品な雰囲気のこの旅館、実に繊細なお料理と、特徴的な温泉に心癒されます。

山荘天水

山荘 天水

 天ヶ瀬温泉は大分県日田市にある温泉で、由布院温泉、別府温泉と共に豊後大分の三大温泉のうちの一つ。玖珠川沿いに約10軒の旅館ホテルがひしめくように建っている温泉地です。
 筑豊の炭鉱が盛んだった頃は、炭鉱関係者の保養地として歓楽温泉地的な賑わいだったとのことだが、今はひっそりとした、落ち着きのある温泉街となっています。
 温泉街の中央を流れる玖珠川の河原は、以前は河川敷を掘ればどこでも温泉が湧いたといわれているが、現在はこの河原の所々に共同露天風呂が整備され、誰でも使用することができます。

天ヶ瀬温泉(大分県日田市天瀬町)

 天ヶ瀬の温泉街から少し離れたところ、合楽川が玖珠川に交わる手前で、豪快に水しぶきを上げる桜滝のすぐ上の川面。ここに静かに構えている一軒宿がこの「山荘天水」です。自然な形に造営された植栽をはじめとする空間構成が見事です。

山荘 天水

 この旅館の温泉は、宿泊者専用の内湯・露天湯が男女それぞれ1か所、立ち寄り入浴の可能な露天湯が男女それぞれ1ヶ所、それに5種類の貸切湯があります。宿泊者専用の内湯は男湯が「竹さんすいの湯」、女湯は「ひびきの湯」と名づけられ、それぞれ少し離れた場所に設えられているが、どちらも合楽川の渓流に面して実 にいい雰囲気になっています。
 内湯の脇に渓流沿いの露天湯があって、ここではせせらぎのミストを浴びながら、ゆったりとお湯に浸かることができます。

山荘 天水

 立ち寄り入浴のできる露天湯の名称は「滝観庵」。ここは文字通り桜滝を観ることができるという滝見湯です。ただ、お湯に浸かりながら眺めるというわけではなく、露天湯の横の展望所から見れるという程度。

山荘 天水

 5種類の貸切湯のうち、「きり湯」と「ひのき湯」はやや大きく、「やま湯」「かわ湯」は小ぶり。「かま湯」には大きな釜が設えられ、これがジャグジーにもなっています。それぞれ渓流のすぐ傍という絶好のロケーション。せせらぎを聞きながらゆっくり温泉を楽しむことができます。
 それぞれもちろん掛け流しの お湯ではあるが、泉質は実にマイルドな単純泉。澄明で無味無臭、肌触りがなめらかでシルクに包まれてるかのような優しい風合いです。
・単純硫黄泉 81.6度

山荘 天水

 この旅館での食事は客室に用意されます。季節感あふれる料理の数々に嘆息します。

山荘 天水 - 館より駐車場へ。風情ある囲炉裏がありました。

 温泉や質の高い料理もさることながら、落ちついたバーラウンジでゆったりグラスを傾けるなど、質の高いサービスと絶好のロケーションを味わいながら、雰囲気を楽しむには実にいい。清流と木立から浴びせられる「気」とともに、上質のリラックスを得ることができます。

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋 - 玄関

 壁湯温泉は宝泉寺温泉郷のはずれ、その先は筑後川となって有明海に流れ至る玖珠川の支流、町田川沿いの渓流にある温泉で、その名前の通り川縁の岩壁をそのまま湯船にした温泉としてつとに知られています。
 温泉 は享保年間(1716~1735年)、猟師が渓谷の中に湯浴みしている鹿を見たことから温泉を発見し、険しい岸壁に道を作って半洞窟の温泉を開いたと伝えられており、その場所にちなんで「壁湯」と名付けられたとのこと。

壁湯温泉(大分県玖珠郡九重町)

 この旅館は明治の初めから湯治客や旅の商人を相手にこの名湯を守ってきた一軒宿。若い館主が自分の好みの田舎屋風に仕上げるべく、僅か8室、20人ほどが宿泊したら満杯になるような小宿に全面改装した母屋は、どこか郷愁をそそる落ち着いた風情で、田舎の家に里帰りしたような気分にさせてくれます。

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋

 母屋の玄関から渓流の小道を恐る恐る進んだところにこの壁湯があり、その先の岩のくぼみに小さな脱衣所が設置されています。男女混浴ながら、女性は湯浴み着の着用が許さ れているのとのこと。
 底まで透みきった澄明のお湯には、僅かに白い湯の花が舞っていて、長く浸かっているうちに体に細かい気泡が付着してくる。泉質は弱アルカリ性の単純温泉。岩の奥から自然湧出する源泉は毎分1300リットルと湯量にも恵まれ、岩に囲まれた険しい空間にもかかわらず、絹のようなや わらかな浴感はいたって女性的。ほんの僅かに硫黄の香りが感じられ、舐めてみると少し甘く感じます。

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋

 岩肌がむき出しになった洞窟の奥にさらに進むと、次第に狭く深くなっていて、湯底は小石と砂になってくる。この岩の隙間から自噴しているようだが、気泡が上がって来る訳でもなく水流も感じられない。それにもかかわらず、掛け流されていく排水は大量。湧出箇所が一点ではなく、多面的に湧出しているのかもしれません。
 ━半刻入らずして壁湯を語るべからず 一刻入って身體に問うべし━
 この壁湯を味わうには半刻(1時間)では足りない。一刻(2時間)ゆっくり入って体に聞きなさい…と表現されるとおり、長時間浸かることによって、心も身体も癒されるのだということが実感できます。
 初夏になるとホタルの乱舞を見ることができるというこの「壁湯」、浸かっている間は寒いようにも感じるが、湯あがりこそ真骨頂。次第にホカホカと温かくなってくるし、しかもなかなか冷めてこない不思議な感覚が訪れます。

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋

 この旅館には宿泊者専用の家族風呂もあり、母屋にある切石のお風呂、「隠り国の湯(こもりくのゆ)」や、別棟には館主自ら切り出した石を「三和土」で固めて造ったという「切り出しの湯」があります。こちらは適温で入浴できるようにもなっているが、やはり 「壁湯」のインパクトにはかなわない。

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋 - 朝食

 料理は食事処でいただくようになっています。田舎屋風の落ちついた空間でいただく山里料理はどこか郷愁を感じさせます。

壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋 - 食事処

 川のせせらぎをBGMに、ぬるめのお湯にゆったりと身を委ねる至福…日頃の細事などすっかり忘れ去ることができるようです。九州の名湯たる底力を感じずにはいられません。

くじゅう飯田高原ボスコ

くじゅう飯田高原ボスコ - エントランス

 大分県の西部、熊 本県との県境が複雑に入り組む久住山北麓一帯は、阿蘇くじゅう国立公園の一部、標高が800~1,200mの飯田高原と呼ばれる高地です。
 ゆるやかな起伏をもって草原のうねりをみせる風光明媚な高原として、別府・由布院と阿蘇とを結ぶやまなみハイウェイ開通を嚆矢として、九酔峡、九重夢大吊橋などの観光開発により、夏は避暑地として人気のエリアとして知られています。

湯坪温泉(大分県玖珠郡九重町)

 この飯田高原の一角、湯坪温泉にほど近い森の中に佇むオーベルジュ。のどかな高原が広がったところに、欧州に来たかと錯覚するような建物が現れます。

くじゅう飯田高原ボスコ

 「Casa Suite Room」は長期の滞在にも向いているという、文字通り「家」として各棟が独立している言わばヴィラ。天井の高い広さ49m2の開放的な部屋にセミダブルのベッドがふたつ、さらに昼寝用のデイベッドが備わっています。
 テラスに出ると、鳥の鳴き声をBGMに美しい山容の涌蓋山が眺められる。ときおり牛の鳴き声が聞こえるので近くに牧場があるんでしょう。アメニティーも充実していて不足はない。またDVDが備わっているとともに、Wi-Fi環境も整えられています。

くじゅう飯田高原ボスコ

 このCasaの白眉はもちろんお風呂。かなり広いバスルームの一角にシャワーブースと、タイル張りのハート型になった大きな浴槽。思いっきり足を延ばしてもまだ余裕のあるこの浴槽には、かけ流しのお湯が絶え間なく流れ込んでいます。

くじゅう飯田高原ボスコ

専用のお風呂があるといっても、大浴場は温泉好きの日本人には必須。このオーベルジュの宿泊棟には男女別の大浴場と家族風呂が設置されています。大浴場は内湯と露天からなり、湯坪温泉から引いたお湯が満たされています。
湯坪温泉は九重九湯のひとつで45~70℃の単純温泉。ここから少し離れたところにある温泉街には約20軒の民宿が並び、民宿が多いことから「湯坪民宿村」とも呼ばれているとのこと。この大浴場は源泉からやや遠いので、温度管理の意味から半循環としているようだが、かなりオーバーフローさせていて、塩素臭もなく、掛け流しに近いお湯の質を保っています。
露天は白い漆喰に明るい色調のタイルが埋め込まれていてやわらかい肌触り。澄明のお湯は無味無臭では あるが、浴槽の底には酸化鉄やカルシウムの沈着が見られるので、単純泉ながら温泉の成分は豊富な様子。湯温がやや低いので、長時間ゆったりと浸かることができます。

くじゅう飯田高原ボスコ - 1日目のパスタ・手長海老

 食事は本館のリストランテでいただきます。洗練されたサービスにより、本格的なイタリア料理とワインを味わうことができます。

くじゅう飯田高原ボスコ - CASA

 草花の花壇に囲まれ、その奥にそびえる涌蓋山の眺めと相まって、見目にも癒されながらの湯浴みは極上の気分です。

界 阿蘇

界 阿蘇

 くじゅう連山の麓、阿蘇五岳と外輪山に広がる大草原を眺望する瀬の本高原に湧き出す瀬の本温泉。この辺りはあの有名な黒川温泉にも近く、大分県と熊本県の県境近くに広がる「COCO VILLAGE(ココヴィラージュ)」と称する高原リゾートを形成しています。
 ここにはフレンチレストランやスパ、ギャラリーなど、安らぎと癒しを与えてくれる個性あふれる施設が集積し、ちょっとリッチなエリアとなっています。

瀬の本温泉(大分県玖珠郡九重町)

 その中で最大の8000坪もの敷地を擁しているリゾートホテルがこの「界 阿蘇」です。このホテルで特筆されるのが、敷地内に点在する12の客室はすべて離れで、しかも全客室に源泉かけ流しの露天風呂がついていること。宿泊費もそれなりに高いが、それ以上の価値を与えてくれるホテルだといえます。

界 阿蘇

 若いスタッフに案内されて離れに入ると、実に広々とした空間。リビングには並んで5人は座れようかとの長いソファと、一人用の深いソファとオットマン。巨大な掃き出し窓の外はテラスになっていて、その向こう側は奥行きの見えない深い森が…
 寝室には琉球畳の上にダブルサイズのベッドが並んでいて、白いふかふかの羽毛布団がふわっと掛かっています。寝室横のクローゼットには外着用の浴衣と、作務衣のような部屋着が用意されています。

界 阿蘇

 内風呂はジャグジーです。普通の家の居間ほどはあろうかという広さのバスルームには、ふたつの洗面もあり、豊富なアメニティー並んでいます。備えられていうバスローブもふんわり柔らか、一刻のセレブリティー気分。
 バスルームから屋外に出たところに肝心の温泉がある。4人は入れそうなぐらいの正方形の浴槽に、湯口から滔々とお湯が掛け流されています。お湯は無味無臭ながら、ほんの少し白濁しているようにも見えます。
 加温しているとのことだが、本物の温泉であることは確かです。肌触りはキリッとした感。ワインに例えるとシャブリのような切れ味のいいお湯です。

界 阿蘇 - 八寸

 食事は本館のレストランでいただきます。洗練されたサービスと地元の食材を活かした和と洋の料理の数々を 楽しむことができます。

界 阿蘇

 朝は鳥の鳴き声とともに、昼は森を吹き抜ける風と共に、夜には篝火の幻想的な明かりの中で…何度も何度もこのお湯を堪能。魂が解放されるようです。

大黒屋

大黒屋

 ここ筋湯温泉は、九重山系・桶蓋山の山麓の標高1000mの山峡に、身を寄せ合うように30軒ほどの旅館が集まっている静かな温泉街です。開湯は958年(天徳2年)ではあるが、温泉地として開かれたのは1658年(明暦4年、万治元年)とされています。
 「日本一の打たせ湯」を謳っており、4軒存在する共同浴場のうち最大規模の「うたせ湯」は、その名の通り浴場に打たせ湯が何本も流れ落ちていて、お湯に浸かるよりも、この打たせ湯に体を打たれることがここの入浴スタイルです。

筋湯温泉(大分県玖珠郡九重町)

 旅館街の中心部にあるこの「大黒屋」は、古民家の造りにリノベーションされているたった6室の小さなお宿。
 この旅館では布団を敷くのはセルフサービス、食事は懐石料理ではなく1階の居酒屋風食堂でお鍋や一品料理をいただくなど、簡素なサービスです。その分、格安な料金という、旅館と民宿と湯治宿のいいとこばかりを合わせたような、ちょっとユニークなシステムです。

大黒屋

 館内に備える4か所の温泉はすべて貸し切りで入浴できるようなっていて、ふたつは屋内の階段から地階に下りていったところ。あとのふたつはいったん屋外に出て、川沿いの階段を降りて使います。
 屋内の「赤石湯」はその名の通り赤い石 をだ円形に積み上げたお風呂。「切石湯」には底に川石が敷き詰められています。どちらも湯口から澄明のお湯が掛け流されていて、舐めてみるとほとんど無味無臭、わずかに鉄の匂いが感じられます。

大黒屋

 屋外から入っていくお風呂はどちらも「石湯」と名付けられています。浴槽も床もすべて砥石のように少しザラついた石なので、足元が滑りにくくていいですね。ここに寝転がると、ちょっとした岩盤浴にもなりそうです。
 泉質は塩化物泉だそうだが、塩辛さはありません。浸かってみると、肌触りが実に滑らか。このトロッとした感触はアルカリ泉なのかな?龍神温泉に似た、いわゆる「美人の湯」だと思います。少し長めに浸かっていたら、肌の表面の薄皮が剥がれてきました。
・ナトリウム-塩化物泉  58~63度

大黒屋

 ここの食事は1階の居酒屋風食堂「やまぼうし」でお鍋をいただくようになっています。
 お鍋は「もち豚ゆめポーク」のしゃぶしゃぶです。このお肉、無菌豚なので、半生でも食べられるとのこと。

大黒屋

時間制限のない貸し切りなので、心おきなくゆったりとすることができます。それにもまして、宿のご主人の朴訥としながらも心温まる「おもてなし」のこころ…実に印象に残る温泉宿です。

忘れの里 雅叙苑

忘れの里 雅叙苑

 妙見温泉は新川渓谷温泉郷の中のひとつで、鹿児島県霧島市隼人町・牧園町の天降川の河畔にある温泉です。ここでは川沿いを掘削すると火山性の炭酸水素塩泉が自噴するという、豊富な源泉に恵まれた温泉地です。
 元々は湯治場で、自炊宿もあるが、離れを持った超高級旅館も点在しています。豊かな自然を活かした露天風呂に力を入れており、鹿児島空港にも近いことから人気の高い温泉地のひとつです。

妙見温泉(鹿児島県霧島市牧園町)

 この「雅叙苑」は古民家を移設した田舎情緒溢れる温泉旅館で、メディアの露出も多い予約困難な有名旅館です。敷地内に入ると人や車より鶏の通行が優先されるとの特異な標識があって、気分を盛り上げますね。
 この旅館の客室は全10室。そのうち8室が露天風呂付きになっていて、スタンダードな部屋でも二間続きで20畳ぐらいの広さをもっています。客室、お風呂、食堂、ロビーなどが、それぞれ独立した建屋になっています。

忘れの里 雅叙苑

 ここの一般浴場「建湯」は、一枚岩をくり貫いた浴槽が特徴、岩の手触りがいいですね。お湯はやや白濁した炭酸水素塩泉で、舐めてみると長湯温泉ほどではないがかなりの金気臭が感じられる。赤茶色の湯の華が舞っていて温度も比較的高めで強力なお湯です。

忘れの里 雅叙苑

 ここの白眉は貸切浴場の「ラムネ湯」。部屋名の入った木札をお風呂の入口に引っ掛けることにより「貸切風呂」となるシステムです。ここには2つの浴槽と打たせ湯があり、入口に近い浴槽は比較的湯温が高い炭酸水素塩泉、建湯と同様の強力さ。
 奥の浴槽は低温の澄明なお湯です。「ラムネ湯」というのはこれのこと。かなり温いがしばらく浸かっているうちにホカホカしてきます。舐めると確かにラムネのような炭酸を感じます。実に優しい浴感、これはひとたび浸かってしまうと時間が止まってしまう…
・ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉49度(ラムネ湯・49度)

忘れの里 雅叙苑

料理は夕食はお部屋に、朝食は食事処に用意されています。豊かな自然の山里料理は心安らぎます。

 「和」の空間構成は、それが作られたものであるとしてもかなり心地よい。これぞ空間デザインの成果。スタッフのみなさんの肩に力の入っていない適度なホスピタリティも心地いいですね。

平山旅館

平山旅館

 玄界灘にぽつんと浮かぶ島、壱岐。壱岐の玄関口、郷ノ浦港から車で20分ほどのところの壱岐島北西岸、壱岐交通・湯ノ本BSのあたり、壱岐湯ノ本温泉一帯には、湯煙の立つ自噴泉がみられ、鄙びた温泉街の風情が漂います。
 神功皇后が三韓出兵の帰路に立ち寄ったときに温泉を発見したと伝えられているこの温泉、かつて温海(あたみ)と呼ばれ、1662年に温泉場として開発されたという歴史を持つ壱岐随一の自噴源泉として知られています。
 湯の本温泉は美しい島々に夕日が映える風光明媚な温泉郷。ここには6軒の旅館と、1軒の国民宿舎が点在し、17ヶ所の源泉から温泉が湧いています。

湯の本温泉(長崎県壱岐市)

 「壱岐島の千年湯」と称される自家源泉の湯宿「平山旅館」は、旅館の規模は決して大きくはなが、「日本秘湯を守る会」の提灯が誇らしげにぶら下がっています。お香の香りが漂う小さいロビーにはセンスよく和風の飾り付けがなされ、モダンな日本旅館の風情を醸成しています。
 案内されは部屋は2階。広々としたお部屋で 窓からは小庭が眺められます。面白いのはテレビが襖の奥に隠されていること。世俗から離れたいときにテレビは無粋な物体でしかありません。

平山旅館

 温泉は帳場の目の前の階段を下りたところの地下1階にあります。男湯の「応神の湯」は、内湯に大人5~6人がゆったり浸かれそうな2つの浴槽があり、それぞれ茶褐色のお湯が掛け流されています。湧出温度66.5℃のナトリウム-塩化物泉で、強い塩味と独特のエグみとともに僅かに鉄の臭いが感じられます。

平山旅館

 扉を開けたところに露店風呂があり、こちらも5~6人が入れそうな大きさ。海べりからやや離れたこの旅館の位置関係から、外の景色は眺められないので開放感は乏しいが、庭園風に丁寧に植栽されていて目にも優しい。浴槽の縁には析出物が著しく堆 積していて、お湯の濃厚さを体現しています。

平山旅館

 この旅館には宿泊者専用の2つの貸切露天風呂があり、無料かつ予約不要で、空いていれば夜中でも利用できます。こちらにも南国風の樹木が植栽され離島ムードを漂わせています。お湯は「熱の湯」とされるナトリウム-塩化物だけあって、夏場は湯当たりに注意が必要。湯上りに脱衣場で体を拭いても拭いても汗が噴き出してきます。真冬にはよく温まっていいでしょうね。

平山旅館 - 朝食:サラダ

 この旅館では壱岐の農産物、海産物をふんだんに使用した絶品のお料理も素晴らしい。

 全国的にも珍しい離島の源泉かけ流し温泉、上質の温泉と上質のお料理、それに加えて本場の麦焼酎も味わえる…実に贅沢は温泉旅を愉しむことができます。

合歓のはな

合歓のはな - エントランス

 北郷温泉(きたごうおんせん)は約30年前に開湯した比較的新しい温泉です。全国的に名高い名産・飫肥杉の山の麓、北郷町の中心部を通る宮崎県道28号日南高岡線沿いに宿泊施設が点在しています。
 その北郷温泉のはずれ、豊かな緑に囲まれた猪八重渓谷の畔に、2008年にオープンした10棟の離れのみの湯宿が「合歓のはな」です。それまで宮崎市内で老舗旅館を経営されていたのだが、現在のニーズに合わせて、この自然に富んだ場所に移転してきたとのこと。

北郷温泉(宮崎県日南市北郷町)

 エントランスから中に進むとレセプション、バーラウンジ、ショップが配置されています。バーに腰掛け、ウエルカムドリンクのサービスを受けたあと、スタッフの案内でビオトープに沿ったプロムナードを進むと、各棟が渓流に沿って建ち並ぶ宿泊棟のエリアです。

合歓のはな

 離れ専用の門をくぐり、様々な低木が植わったアルコーブを抜けると玄関となる。このプレミアムスイート「花」は平屋造りで、広いリビングとキングサイズベッドが置かれた寝室、ダブルベッドが 二つ並んだ第2寝室、バスルーム、パウダールーム、トイレから構成されています。

合歓のはな

 掃き出し窓からは猪八重渓谷を借景にしたこの棟専用のお庭と、何よりものお楽しみ、源泉かけ流しの露天風呂が設えられています。風呂には屋根が造りつけられ、これなら雨の日でも安心して入浴できます。
 渓谷を眺めながら湯浴みのできるこの露天風呂。大人 二人がゆったり浸かることができる広さを持ち、奥側は浅くて寝湯として浸かれるようになっています。ここは24時間、いつでも気兼ね無しに湯あみできる贅沢を味わうことができます。

合歓のはな

 浴槽に満たされている湯は澄明で、掛け流しにはなっているが、加温により40~41℃くらいに調整されています。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。仄かな硫黄の香りとともに僅かに塩気が感じられます。
 北郷温泉は集中配湯で、そこから3kmほど離れたこの旅館までパイプで送られているそうで、なめらかなでマイルドな浴感なのは特徴的。ただし、厳密な意味での掛け流しではないと言えます。
 とはいえ、澄み切った水と空気、さまざまな形や色の植物、鳥やカジカ の鳴き声、どこからともなく現れる虫…こんな大自然に包まれた、清澄な環境の中での入浴は快適そのもの。些細なことは忘却の彼方です。
・ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 35℃

合歓のはな - 1日目夕:進肴

このお宿での食事は食堂棟のレストラン「BASARA」の個室で創作会席をいただくことになります。

合歓のはな - プロムナード

 このお宿は本当に周りに何もない、ただ自然があるのみの一軒宿。湯に浸かる以外は何もしないという実に贅沢な時間を過ごすことにより、深い休息を得ることができます。ここは身も心も癒やす力を持ったお宿といえるでしょう。

※本記事は、2018/04/29に作成されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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