甘味ある母性の味わいを醸すマスターの熟練 : デルムンド

本日は、この後、待ちに待った『旬魚旬菜 まるとび』の宴会が控えている。その前哨戦というわけでもないのだか、『まるとび』宴会お仲間のハックさんから、「高崎パスタ」の大きい盛りを見てみたいとのご要望があり、カオさんと二人で、ハックさんをこちらへとご案内した次第である。


『デルムンド〔DELMUNDO〕』
群馬県高崎市通町141-3
027-325-2314


群馬県高崎市八島町にある「高崎駅」は、JR 高崎線、上越線、信越本線、上越新幹線と北陸新幹線の正式な線路名称上の各路線に加え、JR 八高線〔「倉賀野」から高崎線経由で乗り入れ〕、両毛線〔「新前橋」から上越線経由で乗り入れ〕、吾妻線〔「渋川」から「新前橋」を経て上越線経由で乗り入れ〕の JR 東日本の新幹線・在来線各線と、上信電鉄線 が乗り入れている群馬県鉄道網の拠点駅だ。駅商業施設としては、西口側には、駅西口ビル『高崎モントレー』と、西口を出て直ぐ右手（北西側）には『高崎 OPA』や『高島屋』があり、東口側には『E’site（イーサイト）高崎』がある。
その JR「高崎駅」 西口コンコースを出て、右手（北西方向）にある『高崎 OPA』の直ぐ南の外階段を降り、群馬県道31号高崎停車場線〔起点 : 高崎市矢島町「高崎駅西口」、終点 :「あら町」交差点〕に出る。そのまま 60m 程西進した最初の信号交差点を右折（北折）して「美術館通り」へ進み、この信号を 1つ目 と数えて、そのまま 230ｍ 余り北進した 3つ目 の信号交差点からそのまま更に 30m 程直進（北進）すると、道路左手（道路西側）に、建物 2F にある『デルムンド』の入口がある。そのまま階段を上れば、店舗入口は右手（北側）となる。


金曜日の勤務後から土曜日の夕方までの一泊二日で、車中泊しつつ、日本全国どこかの絶滅しそうなメシを求めて旅をする物語、テレビ東京放映、濱津隆之 主演の『絶メシロード』は、『株式会社博報堂ケトル』〔東京都港区赤坂五丁目3番1号 赤坂Bizタワー〕による群馬県高崎市のローカルグルメサイト「絶メシリスト」が原案となっていた。その、「絶メシリスト高崎」〔URL : https://zetsumeshi-takasaki.jp/〕を代表する店舗が、こちら『デルムンド〔DELMUNDO〕』になる。

2020.1.17 発売開始の『絶やすな！絶品町グルメ 高崎「絶メシリスト」特盛版』には、高崎市内の「絶メシ」店 56店舗 が紹介されている。

「絶メシリスト」とは、長年愛され、失うには惜しすぎる絶品ローカルグルメをまとめたサイトであり、高齢化や後継者不足などで閉店する店が後を絶たない現状にスポットを当てたこの取組みは、高崎市から全国に広がって、現在、柳川、石川、広島でも情熱的に取り組まれている。


そんな地元民から愛されてやまない店舗が「絶飯リスト」掲載店であり、その代表店の一つ、それが、こちら『デルムンド〔DELMUNDO〕』だ。
訪問当日は土曜日、、、平日のそれもさることながら、土日の行列振りは、正に噂に違わないものがあった。並び始めが 12:00 を過ぎていたと言うのもあるのだろうが、並び先頭になったのが 12:55、入店は 13:10、オーダーは並び中に取って戴いたのではあったが、それでも配膳は 13:35、、、調理担当がマスターお一人でもあり、ここは致し方なし。むしろ店が愛されている証と踏まえ、「待ち1時間半を覚悟せよ」との天の声と捉えたい。


ハンチング帽を前後逆さに被り、なかなかヤンチャな感じで粋な体のマスター 高橋康夫 氏 と、ちゃきちゃきにして、かつ、緻密な心配りが嬉しい女将 恵美子 女史の鴛鴦夫婦が、「安くて旨い洋食店」をモットーにして、実直に四十年以上営業し続けてきた。高崎市がパスタの街と呼ばれるきっかけを作った名店「シャンゴ」の系譜店として、その一推しメニュー、『スパゲッティ＋ハンバーグでブルジョア気分』を売り文句にした「ハンブルジョア」を筆頭に、老舗の柔らかな味わいが、訪れる者の舌をふんわりと喜ばせてくれる。


ハックさんのご希望はお二つ！
「高崎パスタを味わってみたい」
「デカ盛を目にしたい」
それを叶えるべく、いくつかの高崎パスタ店を考慮してみたのであるが、高崎パスタの代表店ということでこちらを選択してみた。こちらの Lサイズ の盛りの前評判は先ず先ずなので、それも良しと考えての訪問なのだが、残念ながら、その Lサイズは提供終了。。。これは実に痛かった。
唯だまあ、前もって、Lサイズの盛りは、茹で上げ前の乾麺重量ではなく、茹で上げ後の麺重量で 550g であるとのことは、既に調査済みであったので、左程に馬鹿デカいものを予想していなかったから、諦めの方は早々についた。それならそれで、Mサイズの三杯食いをご覧に入れれば良かろうと切り替え、行列最後尾に並んだ次第だ。


さて、いつもの能書きはこのくらいにしておこう。早速に実食へと移っていきたい。

当日の並び時間等は前述しているので、いきなりの実食レポートと参ろう。


「バジリコ」850円（税込）


この品、紫蘇の風味が大変よく利いて、尚且つ具沢山、実に食べ応えのある味わいの品であった。紫蘇の感覚はいわゆる西洋紫蘇であるバジルのそれよりも、和風紫蘇である大葉の味わいを強く感じた。が、それは「バジリコ」と言うメニュー名からしても、私の感覚的な誤解であろう。

シソ科シソ属の植物で、緑色の葉をした「青じそ」、いわゆる「大葉」と、シソ科メボウキ属の、和名では「メボウキ」と言い、イタリア語名で「バジリコ」と言う植物は、同じシソ科ではあっても物は別物だ。
恐らく、大量ふんだんに使用されてあるが故の香りの強さが、斯様な感覚をもたらしたものと思う。いずれにしても、酔い痴れさせてくれる、香り高い、味わい深い品であった。個人的には大いに気に入った品である。


「ハンブルジョア」1,100円（税込）


5日間掛けて作られる自家製ミートソース。
ソースの持つ甘味は、標題にも記したが、母性を感じさせる味わいで、子供が絶対に好きな味わいと言えよう。言うなれば、お母さんのナポリタン、、、そんな味わいではあるのだが、食せば食すほど、それとは一線を画す味わいを感じずにはいられない。母性を感じさせるシェフの味わい、とでも言えば良かろうか。うむ、そうだ、『デルムンド』ならではの味わいなのだろう。老舗店として『絶メシリスト No.16』に名を連ねるこちらだが、その伝統的な味わいなのに違いない。
旨し！ そこでしか味わえない味に乾杯なのである。

これまた自家製、手捏ねハンバーグは、その重量 Sサイズで 200g、現物の Mサイズ のそれは如何ほどなりやと、比較して見てみると、Sサイズのものよりも確実にデカい。かつて、「大盛」サイズのそれは 300g とのことであったが、「並盛〔Mサイズ〕」のそれは「Sサイズ」のものよりかなり大きく、かつての「大盛」サイズを彷彿とさせるものがあった。普通の方には、相当に食べ応えのあるサイズと言えよう。

兎に角、このハンバーグ、ふんわりとしていて、まったりとする味わいであった。噛み応えはふんわりしている分、弱めに感じられがちだが、絶妙に空気を纏った牛肉の、ふわっとした食感は、家庭料理で作り出すのは難しいに違いない。甘めに仕立てられたソースが、そのふんわりハンバーグに見事にマッチし、口中でともに蕩けていく様は、至福の味わいである。このメニューが一番人気を誇り、大半の顧客がオーダーするのも頷ける。
野菜由来の自然な甘みと肉が醸し出すコクが渾然一体となっている。芳醇なソースとジューシーなハンバーグ、、、この組み合わせは何とも堪らない味わいであった。


ハンバーグとスパゲッティを両方食べられる一皿。その贅沢感を「半分ブルジョア」と称するこの品、残るスパゲッティの味わいや如何に⁈


かつて、こちら『デルムンド〔DELMUNDO〕』パスタの量は、茹で上げ後の麺量で、「Sサイズ」200g、「並盛〔Mサイズ〕」350ｇ、「大盛」550g であったのだが、今は「大盛」はやめてしまったそうである。これもまた、ご高齢のマスターのことを思えば、矢張り致し方なし。まあ、正直、残念至極ではあったのだが、不思議と素直に受容している私がそこにいた。

ナポリタンの麺は中細麺で、横浜は『センターグリル』などで見られるような、ボルカノの極太「スパゲットーニ」とは異なるが、これはこれであり♪ 兎に角、こちらの甘め仕立てのソースには、この中細麺がしっくりくる気がした。更には、かなりの重量のハンバーグでもあり、重めの感覚をもたらす「スパゲットーニ」よりも、お馴染みの太さの麺である「スパゲッティ」の方が落ち着いて食せること請け合いである。

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スパゲッティ〔Spaghetti〕の太さについて
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イタリア名 Spaghetti は、「細い紐（ひも）」を意味するイタリア語 spago に縮小辞のついた spaghetto の複数形である。長さ 20～30cm、太さ 1.0～2.0mm の、断面が円形で紐のように細長いロングパスタを言う。太さによってさらに細かく分類される。諸説あるが、概略は以下の通り。

2.0〜2.2mm ------- スパゲットーニ〔spaghetoini〕「大きい」を意味する「oni」を付加
1.6～1.9mm ------- スパゲッティ〔spaghetti〕
1.2～1.5mm ------- スパゲッティーニ〔spaghettini〕「小さい」を意味する「ini」を付加
1.0～1.5mm ------- フェデリーニ〔fedelini〕「薄い」や「糸」を意味する「fedelini〔フェデリーニ〕」
0.8～0.9mm ------- カッペリーニ〔capellini〕「髪の毛」を意味する「capelli〔カペッリ〕」
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ううむ、ナポリタン&ハンバーグで、半分ブルジョア気分の「ハンブルジョア」、プロの味をしっかりと感じさせてくれる逸品であった。この品、『デルムンド〔DELMUNDO〕』を味わい尽くすには、まさに必須のメニューと言えよう。


「オムライスデル風」1,100円（税込）

トマトライスの上にふわふわの玉子が乗り、その上からデミグラスソースがたっぷりと掛けられている。そのデミグラスソースは、とろみが甘く柔和で、片栗粉でとろみをつけた色味のソースではあるのだが、そこに片栗粉感はほぼなく、これまたまったりとした味わいであった。
こちら『デルムンド〔DELMUNDO〕』オリジナルのデミグラスソースは、不思議と親近感を覚える感があって、兎に角、落ち着く味わいの品である。

中味を満たしているチキンライスは、しっとり系の味付けで、ふんわり玉子と混じり合って濃厚な味わいだ。

「オムライスデル風」の総重量（実測値）755g は、一般店の大盛に近い量がある。小食な方には、「ハンブルジョア」の総重量（実測値）874g とともに、通常サイズ（Mサイズ）ではなく、Sサイズ がお奨めかも知れない。


ううむ、こちら『デルムンド〔DELMUNDO〕』、懐かしき昭和の香りを醸しつつ、令和の荒波をも渡り行く、粘り強さを感じさせてもらった。そこには、鴛鴦夫婦が40年以上に及んでこの地に根付いた歴史があるのだろう。もちろん、マスターの熟練もそこには加わってくる。
「絶メシリスト」に掲載されてはいても、その歴史を、今後も長く刻まんことを祈念せずにはいられない。

いや、実に美味しうござった。


さて、今回の実測値は、

「バジリコ」850円（税込）
総重量（実測値）506g
器サイズ 直径 24.5cm、高さ 2cm、器重量 535g
「ハンブルジョア」1,100円（税込）
総重量（実測値）874g
お二方サルベージ分。総重量（実測値）360g。
器サイズ 直径 24.5cm、高さ 2cm、器重量 553g
「オムライスデル風」1,100円（税込）
総重量（実測値）755g
器サイズ 直径 24.5cm、高さ 2cm、器重量 564g

実食総重量 2,495g
うち固形物重量 2,495g
完食時間 : 計測せず
支払額総額 3,050円（税込）

訪問日 : 2023.2.17（土）


『メガ盛』を求めての訪問で、それが叶わなかった際、大抵の場合はかなり凹むのであるが、今回は何故か左程でもなかった。量と質、量は満たされなかったものの、質の部分に、その良質な味わいばかりでなく、味わいにプラスされる情感のようなものが含まれていたように思う。愛情と熟練と、歴史と、、、表題に示した「甘味ある母性」の根源はその辺りにあるのかも知れない。