Restaurant name |
移転Curry House TIRI TIRI (Curry House TIRI TIRI )
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Awards & Recognitions |
Selected for Tabelog Curry TOKYO "Hyakumeiten" 2019
Selected for Tabelog Curry TOKYO "Hyakumeiten" 2019
Selected for Tabelog Curry "Hyakumeiten" 2018
Selected for Tabelog Curry "Hyakumeiten" 2018
Selected for Tabelog Curry "Hyakumeiten" 2017
Selected for Tabelog Curry "Hyakumeiten" 2017 受賞・選出歴 閉じる
百名店 選出歴
カレー 百名店 2019 選出店
食べログ カレー TOKYO 百名店 2019 選出店
カレー 百名店 2018 選出店
食べログ カレー 百名店 2018 選出店
カレー 百名店 2017 選出店
食べログ カレー 百名店 2017 選出店 |
Categories | Curry |
Address |
東京都渋谷区東1-27-9 |
Transportation |
6 minutes walk from JR Shibuya Station New South Exit 736 meters from Daikan yama. |
Opening hours |
Hours and closed days may change, so please check with the restaurant before visiting. |
Average price(Based on reviews) |
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Payment methods |
Credit cards not accepted Electronic money not accepted QR code payments not accepted |
Number of seats |
11 Seats ( 11 seats at the counter) |
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Private rooms |
Unavailable |
Private use |
Unavailable |
Non-smoking/smoking |
Non smoking |
Parking |
Unavailable |
Space/facilities |
Counter seating |
Food |
Health and wellness menu |
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Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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Service |
Take-out |
Website |
クローヴの香りが好きだった。
渋谷で一人だった。
お散歩がてら恵比寿に向かって歩いている時に見つけたカレースタンドだった。
夏の終わりになるとわたしの身体はカレーを欲する。
迷わず扉を開いた。
かわいいおかあさんにチャナマサラの激辛をお願いした。
素敵なおにいさんがカレーを真剣な表情でつくっていた。
赤い海だった。
トマト、タマネギ。溶け込んだ香辛料の刺激。
その、全てが溶け込み美しく調和した海。
辛さはそこまで感じない。
えっ?次の瞬間、スパイスがきらめき・・
その直後だった。
汗が溢れだした。
驚いた。辛いのは全然平気だから。どこで辛いカレーを食べても汗が流れることはまずなかったから。
全身を浄化するような、新鮮なスパイス。
たくさんのスパイスが溶け込んだ海。
特に響いた弾けるようなクローヴの香り。
その閃光が呼び覚ました。
あの夏の花火の日を・・
まだ二十代前半、失恋直後の土曜日のことを。
ひとりで行った海岸線。
おひるまえ。
由比ヶ浜のビーチで声をかけてきた彼。
洗いざらしのシャツ。半ズボンに麦わら帽子から漂った、ラルフローレンのロマンスの香り。
眩しい笑顔が爽やかで、わたしはいつの間にか彼の手を握っていた。
夕暮れ。
ビーチではしゃぎ、遊び疲れたわたし達はビール片手に夕陽を眺めた。
「ねぇ、どこから来たの?」
わたしは聞いた。
「すぐ近くだよ。」
彼は答えた。
「この辺りの人なの・・?」
わたしの質問に、彼は海岸沿いにある建築物を指差した。
そんなやりとりの最中、遠くから胸震わす音が聞こえてきた。
蒸し暑い闇の向こうが焼けていた。
思いがけず見上げた十号玉、瞬きを忘れた。
その夜ふけ。
ビーチに程近いアパート。
サーフボードとベッドとラジカセしかなかった1LDK。
BGMは、か弱気なラジカセから流れるLLクールJのパラダイス。
全てを終えたあと。
わたしが微睡んでいるうち彼は二本目のクールマイルドを灰皿に沈めた。
「ねぇ、お腹空かない?」
不意にわたしが言うと、右側の彼はニコッと笑ってベッドを抜け出した。
暗い部屋。
ベッドの上。
キッチンからは静かな調理音が聞こえてきた。
「カレーでいいよな?」
そう言いながら長細いお皿に盛られたカレーを差し出してくれた彼。
それは、わたしがはじめて食べたスパイスカレー。
ふんだんなクローヴの香りに酔わされた。
夜空の星を眺めながら二人で食べた彼のカレー。
あのとき魅せられたクローヴの香りにわたしは魅せられた・・
もう何年も前の話。
あの夏の花火の日。
一日かぎりの恋人。
なのにクローヴの匂いを嗅ぐといつも彼の笑顔を思い出す。
いつかの夏に胸を焦がす。
たった一日だけの恋人に今も想いを巡らせる。
ボーイフレンド。