藁で焼かにゃ、いかんぜよ！の巻き : Kuroshio Honjin

2008年の12月です。

松山市で一泊し、当時の週刊文春で紹介されていた港町の湯宿、高知県の黒潮本陣さんにお伺いします。

先っちょ好きの夫婦は道すがら、佐田岬の灯台まで車を走らせます。伊方原発のある半島ですが、四国最西端ですからね、ここは制覇しないと。

そこでわずか12Km先の大分県を望み。海岸線沿いを久礼港まで車で向かいます。

思いのほか時間を要し、久礼港に到着したのは既に夕暮れが迫る中。ところが肝心の湯宿がなかなか見つかりません。ナビでは近くにある筈なのに、周囲を行ったり来たり．．．

『お腹、空いちゃった～』なんて、助手席の家内が呑気に呟きます。空腹になると、それに比例するかのように機嫌が悪くなる可愛い性格。

『看板か何か探してよぉ～』と指図するラッコ。

『地図が読めないんだから仕方ないじゃん』と家内。

剣呑な空気が車中に漂い始めた頃、漸く丘にのぼる坂道に小さな看板を発見。

なんだよぉ〜、丘の上かよ。
ナビだとそりゃあ分かんないよぉ〜！

ともかく、ギリギリ陽の落ちる前に湯宿に到着。

部屋に荷物を預け、温泉に浸かる前に夕食をいただきます。

目玉は、久礼港に水揚げされた太平洋の海の幸。

とりわけ藁焼きの鰹には、目から鱗がポロポロと剥がれ落ちます。

皮目は香ばしく、その裏には溶けた脂が潜み、旨味が瞬間爆発。鮮度が良いので子羊というかフィレ肉のような食感に我儘な舌は深く頷き、冷凍ものに良くある質の悪い臭みも皆無。あまりの香り良さに、鼻腔も興奮します。

ポン酢も良いけど、家内の一押しは粒々の振り塩をかけた逸品でした。

昨日のことのように思い起こされます。

美味い肴と高知の銘酒、そして太平洋を望む湯。
究極の三位一体かも？

そしてご馳走様でした。


追記：
当時はまだ食べログを知らなかったので、料理の写真は有りません。というか、どちらかと言えば食事中の撮影には気が進みませんでした。
料理に無関係な写真ばかりですが、雰囲気は伝わると思います。
高知へのご旅行の際などの情報としてお役立てください。