もうこれが食べ納めかとしみじみいただきましたうな重＠土浦。江戸時代から続いている土用の丑の日も消滅？ : Sugamahambee

茨城県土浦市に来ております。

もうしわけありません。うな重、いただきました。もう一生縁がないメニューだとなるべくうなぎ関係には近寄らないようにしていましたが。

土用の丑の日。今年も例年通り先日過ぎて行きました。うなぎのかば焼き、もうジブンには絶対に食べられないと思いまして、なるべく見ないようにしていました。かば焼きは、買ってきたものを自宅で食べるということはしません。専門店でプロがその場で焼いてくれるかば焼きとスーパーで売っているかば焼きは全く別物と思っていますので、スーパーで一度買って懲りてからは買わない人生を送っております。

稚魚の大不漁が３年連続で続き、それに引きずられてうなぎの取引価格が急騰している。そんなニュースを何回か見ました。深刻なうなぎ離れが進んでいる。そんなニュースも流れています。うなぎ屋さんで食べるうな重の値段が今年もまたぐんと跳ね上がり、お店の方も大変でしょうし、食べる側としても３０００円、３５００円、５０００円といった値段が当たり前のように付けられたうな重は、やはりおいそれとは食べられません。

もともと大好きですが、いくらお金を積んでも食べたい、とまでは思いません。やはりいつもコストパフォーマンスが気になってしまって、という貧乏性です。そうじゃないときももちろんあって、ノリでいけいけになる性癖も併せて持ち備えておりますけど、何かァ。

お金を積んで銀座の牛ヒレステーキ店で、旨い旨い、予約が取れないのよ、なんて自らのレベルを世間に晒すほど勇気はございません。つましい生活で十分です。と言いつつも、過去食べたうな重で唯一４０００円台だった千住の尾花、もう一度食べてＵＰしたい。尾花でオフ会やらないかなあ。うな重、１万円超えでしょうね、知りませんが。

まあ、うな重という食べ物はこの世になかったのだと。江戸時代から土用の丑の日に食べていたのは、何だったのか記憶になくなってしまったのだと。そう思い込んで、これからはうな重とは無縁の人生を送ろう。そう決心しました。今年の丑の日からです。見事くつがえりました、はい。

所用で土浦に来てます。ランチタイム。さて何を食べようか。土浦にもたくさんのＢＭ店があります。土浦のレストランは今までもかなりの数のレビューを上げてきましたが、それでもまだまだまわりきれてません。頭に浮かんだのは洋食と日本蕎麦とラーメン。それに唐突にうなぎの山中。うなぎの山中に行くと、土浦が霞ヶ浦に近かったことを急に思い出させてくれます。はす畑の近くにあります。過去何回か食べたことがありますが、食べログ前史なのでＵＰしてません。思い出のお店ですので、いつか必ず、と思いながら未訪が続いてます。

山中つながりで思い出したのが、東口にあるすがま半兵衛。ここは、お店は知ってますがまだ一度も入ったことはありません。旨いけど安い、という評判は前から聞こえてます。そっか、半兵衛なら２０００円台でうな重が食べられるかもしれないな。３０００円台ならやめよう。とりあえず、行ってみっか。

そんな流れで、この日のランチにうな重を食べる、という快挙を成し遂げてしまいました。うな重をがまんしているみなさん、申し訳ありません。ジブンもこの前まで同じ身でありまして、うな重のレビューでも目に入ろうものなら、このお～、ってやっかみ半分グヤジイです　ｂｙ　ザブングル　していたことでしょう。

半兵衛のすごいところは、うな重の値段がすべてのベースなんです。うな重の値段が決まっているから、それ見合いのうなぎを仕入れる。ついこの前まで、２０００円を超えずに１９００円台で頑張っているお店です。この急騰している市場から、果たしていくらでうな重を提供しているのか、興味深いところです。２０００円以内ということは、まず考えられません。ないです。２０００円台の前半で踏みとどまっていられるか、あるいは、さすがの半兵衛も３０００円を聞かず、２９８０円くらいで何とか、なのか。

土浦駅東口の前を走る県道を神立方面に向かい、駅入口の次の信号を左に曲がるとすぐ店があります。猛暑以外の日でしたら、駅からてくてく歩いて４，５分といったところでしょうか。西口に抜ける道路沿いと言ったほうが分かりやすいかもしれません、もしあなたが土浦市民なら。

お店の前に車が何台か置けるようになっていますので、そろりと駐車。車から降りてみると、店先にメニューが出されていました。じゃ～ん、世紀の一瞬、でもね～か。

うな重　２５２０円
どじょう鍋定食　１５７５円

やったやった、って二人で来ていればハグしあいながら飛び跳ねるシーンですが、相変わらずおひとり様なので一人で小躍りするのもいかがなものかと思いまして。２５２０えんですか。微妙な値段ですが、これも恐らくお店が出した苦悩の末の値段だと信じましょう。とてもこの値段ではやってられませんよ、って訊けばそう言われるかもしれません。中に入ってメニューを見れば、また違う値段のうな重があるのかもしれません。さ、入店。

おお、いいですねえ。老舗のお店だけにプレゼントされる落ち着いた雰囲気。まあお店にはたっぷりと時間が流れていったことでしょう。椅子も藤を使った古いもので、今では買おうと思っても買えませんよ。右手には水槽が並べられていて、小さな川魚が泳いでいます。ご主人が捕ってきたんでしょうねえ。疑似餌なんかもデコしてますもん。その隣には大きな水槽があって、こちらは鰻を入れるのかな。雰囲気のあるお店です。

４人掛けのテーブルに座ります。先客は老夫妻１組。おかみさんが出てきました。お手拭と麦茶を運んできて。挨拶後、

あのお、メニューを見せていただけますか？

はあ。えっと今は、表にだしてあるものだけなんですけど。

ああ、うな重と総理鍋ですね？そうは、いいませんでしたが、
それじゃあ、うな重をお願いします。

接客って大事ですね。やさしく言えばやさしく答える、風に人間同士できているんです。群馬でしたっけ、無言のラーメン店店主、あかんなああ。

しばし待ちます。これぞうな重をおいしくいただく準備なので、時間短縮は困ります。待つことしばし。おかみさんの手で運ばれてきました。いいっすねえ。お椀は肝吸いです。お新香がたっぷり。小鉢は切り干し大根でした。そして、スイカ。さ、いただきますよ。みなさん、ごめんなさい。

テーブルの上にあった山椒をぱらぱらと振って。

一口分の鰻つきご飯を箸に乗せて、いただきま～す。ひゃ～お。うなぎさまさま。お会いできてうれしゅうございます。

身が厚くてかなりしっかり目に焼きが入り、うま～です。やっぱり、このうまさにスーパーの鰻を調理するのは家庭ではできません。専門店ならではだと思います。ほろり、と溶けるウナギかな。脂が乗っていてうまか～。それを引き締めるのが山椒ですね。そして、ときどき肝吸いで脂を流し、たっぷりのお新香でチェンジオブペース。こんなシアワセって。

たれは、べとべとしたこってり系ではなく、むしろきりりとしたさっぱり系。ご飯にもよく沁みこませてあってあって、ぱくぱくいっちゃいます。もううな重は過去のものになって、思い出の中だけの食事かとあきらめていましたが、ここで正夢になりました。ご飯粒の最後の１粒まできれいにいただきました。うまいねえ。