蕎麦と天丼と羊蹄山と…2023夏 : Teuchi Soba Ichimura

羊蹄山周辺でのランチとなれば…　当然候補は蕎麦である。暑い日だったが運良くサクッと入店し、今回は「十割そば」に「ミニ天丼」をチョイスしてみた。


■十割もりそば　900円
■小天丼　　　　500円


やはりここ「いちむら」は田舎細切りの十割が魅力的であり、私としても推すのだが、実はぶっかけタイプの冷たい種物が一番この蕎麦の魅力を感じられると思うので、この店のファーストインプレッションを行う方は是非参考にしてみて頂きたい。

ミニ天丼も素朴ながら上々で、この時季らしい「とうきび」の天ぷらが実に美味しかった。

日差しは柔らかく風は心地良く、残雪の雄大なる羊蹄山を望む事が出来るこの時期のニセコ周辺ドライブは大好きだ。

この日はスタートが少し遅めだったので、中山峠を越えこの店に到着は13時、Lilias氏と数分程ベンチで待ち入店出来たが、お気に入りの十割蕎麦は生憎の品切れ。少しガッカリしたのだが…


◆もりそば　650円
◆ニセコ産野菜天もり 700円
◆天もり 1,500円


二八は王道的で、味香良くコシもしっかり。これもやはり美味い。満足。

野菜天も種類豊富でカラリと揚がっている。サツマイモはしっとりトロり、甘さ濃厚にて個性的だ。お向かいからもう一つ貰い平らげた。

やはりニセコエリアの名店は健在。蕎麦好きドライブの昼食にはマストな存在感だ。

今年初羊蹄山ドライブ。1人でもSNSを活用しながらだとリアルタイムで何だか楽しい場面も。ありがとう。

さて、今回はいちむらの田舎十割細切りの熟成期を是非体感したかったからだ。昨秋のきのこそばが神がかり的な美味しさだったので益々楽しみだ。


■せいろ　十割そば（田舎）800円
■おかわりせいろ　二八（並粉）400円


田舎十割は極粗挽き。もっちりとした適切な弾力のコシで噛み締めると粒子が解けるような心地良さ。新そば期から比べると大人しいが、やはり熟成の深みとコクは増しており、外皮による苦味の縁取りも良いアクセント。但しその存在の強さは汁を弾き、親和性としてはイマイチ。やはり優しいぶっかけ汁向きだろうか。

おかわりせいろ設定が嬉しい。次の二八は究極のスタンダードで特有の香りが立っている。滑らかで喉越しが良くプリっとした弾力コシ、後味にじんわりとした甘味。味の主張は大人しいが、つゆとの親和性が良く万人向けの存在感。

辛汁（冷たいつゆ）は、枯れ節のシャープな旨味と荒節又は鯖宗田系のどっしりしたコクが支え、まったりしつつも奥にスッキリも感じる半生返しのような良く馴染む中濃汁。

蕎麦湯はトロリ釜湯で美味いタイプ。但し今回のネギは良いものの、いちむらの仕事としては少々雑だな。

さて、やはりこちら いちむらも羊蹄山の雄。力強さと華やかさも持ち合わせる素晴らしい蕎麦だ。

「感動した！」 …もうその一言で充分だ。


十年と十日振りの訪問。土曜日の11時半に到着すると、運良く十分程の待ち時間で案内された。あの時と同じ、見晴らしの良いカウンター席にテンションアップ。ほう、やはり水が美味しいな。メニューは「もり」を考えていたが、花番さんに相談しつつ直感で秋らしいものにした…これが今回は大正解だった。


■きのこそば（冷） 十割蕎麦に変更　 1,100円


蕎麦アンテナにビシビシと感じるオーラ。早々に撮影を済ませ手繰る… うわあ！出たのは自然な笑み、この感覚は久しぶりだ。

いちむらの代名詞、黒々しく星が散りばめられた粗挽きの田舎十割は個性派。キュッと詰まってモッチリむっちりの食感、噛むと自然に戻されるような自然なコシが素晴らしい。味わいは蕎麦の滋味が樹液のようにジワリと滴り出るようなイメージ、噛めばその豊かな甘味の余韻がうねるように長い。

種はこのエリアらしいなめこ、舞茸、平茸、椎茸他…どっしりとした出汁感豊かで、程好い主張の返しが融合した飲みやすい汁にトロリと馴染んでいる。そして軽く炙った長ネギがとても甘い！色味鮮やかなほうれん草も良い仕事。

途中、私は酢橘を大根おろしに軽く絞って汁に放つ…きのこと大根おろしは蜜月の関係、全体の味わいがよりスキッと締まってくる新たなるフェーズ。もう幸せ意外の何ものでも無し。


雄大な羊蹄山、大地の滋味のオーケストラ…　顔も心も笑顔、夢中で手繰る。汁の一滴も残さずに…。


ふぅーーーーっ


実りの秋…圧倒的にオススメの一杯。キーワードは冷たいきのこそば、十割蕎麦に変更で…


さあ、貴方も幸せ気分になりましょう。

―――――

変わっていなければ遥か前ではありますが、元々岩内町で人気を得ていた「和吉」のご主人が運営を引き継いでいます。コスパも優れる美味い蕎麦…もうすでに先代の市村さんを越えましたね。

「お盆休み蕎麦紀行」の二軒目はニセコ比羅夫エリアの人気店「いちむら」。

天気の良い休日、12時台とあって店は既に行列。それでも回転が良いせいか、20分程でご案内・・・
「ご自由にお好きな席を・・」と言われたが、混雑の中、一人客でテーブル席を占領する事は気が
引けるので、店外にあるカウンター状の「テラス席」を選択。

これが案外良かった！


「十割せいろ」600円

出されてビックリ黒々しい田舎蕎麦。あれれ？皆様のレビューでは並粉だったはず・・・しかし冷静
に考えると・・・


「十割」は田舎（なるほど、温かい蕎麦にはオススメな訳だ・・）

「二八」が並粉（私はこのタイプが好みであり、食べたかった）

「更科」は更科（当たり前か（笑）これも食べてみたいなあ）


上記の設定・呼称のようだ。これに関しては出来ればメニューにも解りやすく表記して欲しかったな。


蕎麦は、艶のある赤黒の細かい星が綺麗で、見た目はザクリ系だが滑らかでしっとりと繋がっている。
プリっとした穏やかな弾力があり喉越しが良い。新そばの季節らしく、田舎特有の甘味・味わいの他に、
じわりと香る風味も強く感じられ水切り具合も秀逸、そしてボリューム感も良し。

つゆはバランスのとれた旨み系、ややサラっとして節系が香るやや辛口江戸前基調で薬味も中々繊細。
蕎麦湯は白濁サラっと系で旨みあり。この内容で600円という価格、CPも素晴らしい。


普段は冷たい蕎麦での「田舎」はさほど好まないのだが、今回は久しぶりに冷たい蕎麦で美味しい「田舎」
を味わえた。そして「二八（並粉）」にもとても期待が持てるような気がした。


大自然を感じるテラス席も魅力十分・・・紅葉の季節等にも最高ではないだろうか。（寒いかも）