粋なご主人の心遣いと旨い酒肴に満足 : 睦乃家 二代目鉄五郎

（2014.04再訪）

立川・国分寺在住の知人達との会食。立川での仲間呑みであれば前回一人で伺った睦乃家しかないなと思い予約する。久しぶりに日本に帰国することもあり毛蟹や生牡蠣が食べたくリクエスト、それからご主人厳選の日本酒を一本用意してもらう。あとは全てお任せの料理でお願いすることにした。当日約束の6時少し前に到着すると２階のお座敷に通される。やがて皆が揃ったところで生ビールで乾杯、一杯目の冷えたビールの喉越しの良さが格別だ。先付けが三点盛られているが、そのうちの谷中生姜に添えられている蕗味噌が抜群に旨い。後を引く旨さ。それに蛍烏賊の酢味噌も加わり我慢できずに日本酒を頼む。ご主人が用意してくれた酒「玉川（京都）山廃純米・無ろ過生原酒）、蔵付き酵母で醸された山廃仕込みの原酒を無ろ過で味わう通向きの酒。単に名の通ったものでなく料理を邪魔せず旨い酒をというご主人のこだわりが感じられる。吟醸酒がもてはやされる時代だがロングでやっているとだんだん吟醸香ばかりが鼻につき料理を邪魔するきらいがあるので、私にはこういった酒の方が有難い。冷やした状態からスタート。旨い。やがて酒の温度が上がるにつれ山廃独特の味・香りが開いてくる。日本酒をあまり飲まない方には少し抵抗があるかもしれないが、本日はツワモノ揃い、これ位太い酒のほうが都合がいい。やがて刺身の盛り合わせと生牡蠣・毛蟹などが運ばれる。どれも旨い。初ガツオのお造りと山廃の原酒がよく合う・・・至福のひと時。やがて喜知次の煮つけが運ばれる。喜知次とはキンキの地方名のひとつだが、江戸っ子流の語呂合わせでは当て字で「吉次」「喜知次」などと書き縁起がよい。この魚の煮つけを「へい、喜知次の煮つけです！」と出してくるあたり、なんとも粋である。ふっくらとした身の食感に甘すぎない煮汁が旨い。一夜干にしても旨いがやはり私はこの魚を煮つけにして食べるのが一番旨いと思う。その後自家製のつみれ鍋もいただく。荒めのミンチで薄味の鰯団子が柔らかくとても旨い。最後に鍋の鰯と渡り蟹の出汁でつくる雑炊で〆るがこれもまた美味。一同満足で本日はお開き。ご主人に今日のお礼をいい店を後にする。酒・お料理の良さもさることながらやはりご主人の粋な計らい、またそれがもたらす店の粋な雰囲気がこの店の一番の魅力なのだと改めて感じた。


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（2013.04訪問）

金曜日の夕方神田の尾張家で一杯やりながら、さあ次はどうしようか考えるも以前から気になっていた立川の「睦乃家」のことを思い出す。本来なら今宵は神田・日本橋界隈でまとめるところだが立川なら電車で小一時間、思い切ってその場で予約を入れ訪問してみることにした。そうは言うものわざわざ立川に出向くのには理由があって、以前からブログを拝見しご主人の仕事人としてのプライドに魅かれるものがあり一度お会いしてみたいと思っていたことがひとつ。そして今時居酒屋稼業もビジネスライクになり過ぎて何かこう味気ない雰囲気の店が多い中、こういうご主人がいる居酒屋はさぞかし良いのだろう、近々伺って呑んでみたいと思っていたことがひとつ。今晩この希望が成就する。中央線で立川へ移動。思いのほか時間がかかり立川着が予約時間の１０分前。なれない土地ゆえに少々焦ったが何とか遅刻せずに到着。店内に入ると正面のカウンター一番奥の席に通される。先客は常連さんが３組ほど。店内の照明の色が暖かく雰囲気がすこぶる良い。昭和の気の利いた居酒屋店という感じで何とも懐かしさを感じる。昭和の雰囲気といっても作られた感じではなく、ここで仕事をする人達や酒を呑む人達から自然に出ているオーラのようなものがそう感じさせるのだろう。早速オススメの平目のお造りを獺祭の50で流す。旨い。続いて馬刺しには天狗舞の山廃を合わせてみる。これもよい。隣の常連さんに声をかけられ会話がはずむとついつい呑みすぎてしまいこの辺から何の銘柄を呑んだ一部失念・・・住吉と牛蒡のフリットを注文したのは覚えている、牛蒡の下ごしらえがポイントなのだとご主人が説明してくれた。なんだかんだ４時間ほどの長居をしてしまい時計をみると１１時。楽しい時間はあっという間、終電前に浅草橋まで帰らなくては。楽しかったお礼をいいお勘定。立川という場所柄頻繁に行くことはできないが機会があればまた訪れたみたいと思った「睦乃家 二代目鉄五郎」