今年の夏は、ジメっとする東京独特の空気を懐かしく感じた。
つい最近まで、夏が嫌いだった私には考えられない心情の変化だ。
軽井沢の夏は湿気は多く、日照りも強いが
アスファルトが少ないので温度がこもらず、嫌な暑さではないのだと言う。
もう10月になると言うのに、季節は夏を名残惜しんでいるかのようだった。
○Antipasto
野生のセージをで香りつけしたシェリーに、
ロンバルディアのシャルドネ75%
プレステージ(カ・デル・ボスコ)を合せた食前酒。
このシェリーの味、今でも直に甦る・・・
華やかさが口いっぱいに広がる。
その食前酒と合わせるのは、直火で炙った
スカンピ・ポルチーニ・茄子がのった
ホロホロ鶏のストゥファート。
タジャスカーのオリーブオイルとフレッシュのオレガノの葉で
まとめており、、、キレ良く私に吸収していく。
フレッシュのオレガノの葉を初めてみたので
「日本にいるの?」
とお伺いしたところ、長野でハーブを栽培している方が
作っているのだと言う。
このオレガノと直火のほろ苦さとが混ざっているのに、
どこかでさらっとしているのは
生姜がアクセントになっているからか。
○Antipasto
2皿目に合せるワインは白で、少し温度を高めにしたリースリング。
ロンバルディアの仔ウサギのもも肉と、
アーティーチョーク、赤玉葱に
(聞き取れなかったけど)オリジナルのパスタ、
確かフィガリーニをオリーブオイルと合せたって言っていた気がする。
ここで小林さんは、”ぬめる”という表現をしていた。
メモにはこの”ぬめる”という表現を2回繰り返している私がいる。
口の中でぬめらせる為に、リースリングの温度を高めにしたと言うが・・・
まだまだ、私にはその表現が理解できない。
○Zuppa・Pane
待っていたZuppaは、羊の3カ月熟成のミルクのチーズと
野菜のスープと合せたもの。
緑ピーマンのビニエと、アニスの香るカサゴと一緒にいただく。
柔らかい塩味のロンバルディアのオシェトラキャビアも、
ここではZuppaのわき役となり、
ウィキョウの入ったパーネ]、ぬめるリースリングと一緒に
一滴残さず食べ上げる。
2人の作る料理は、魔法ではなかった。
後で書くけれども、
美味しくなる方法論の上に
納得せざるを得ない「へーとえっ」がある。
○Primo Piatto
この日は、ラディキオロッソで巻かれたタリオリーニだった。
クロカンテされたポロねぎ、プロシュート、野生のジロール茸
と合わさっている。
ソースは野生のルッコラって言っていた気がする。
ドルチェットダルバの2005年を、
グラスの中で温度を上げて良く回し
香りを立てながら、あわせていく。
ほろ苦い中にも甘さがある葱は、なんて優秀なんだろうか。。。
○Secondo Piatto
納得せざるを得ない最高潮がここ・・・
美味しくないはずがないメインは鳩。
何枚ものむね肉の下には、砂肝、心臓、レバー、黒イチジク
にチーズと和えた麦。
もも肉も骨つきのまま添えてあり、部位ごとに食感を楽しみながら
鳩まみれになる。
メインにではなくに胡椒を織り込むという憎い演出も
「へー」の1つか。
○Formaggi
ただチーズを出してこないのが2人の方法論。
ロビオラ(?)だったか、4か月熟成のチーズにヴィン・サント
を加えたババレーゼ。
その上には生のアーモンドにトスカーナ産のオリーブオイル
がかかっていた。
ヴィン・サントのアーモンドの香りと、生のアーモンドレフィル
がくちの中でシンクロする。
もう、すごい・・・。
○Dolce
リンドウの根っこや、ラディキオロッソを使ったアマーロ
と一緒にいただくDolceは
オレンジのはちみつ入り、マスカルポーネのソース
がかかった巨峰ゼリー。
ゼリーなのに、果肉がほとんどで葛に近い柔らかいゼリーだった。
○Caffe
皮つきのもものグラニタと、ルバーブや塩、
マスカルポーネが入ったチョコレート。
Caffeで終わる事ができずグラッパ、
最後はハーブティーもいただいて1/4日は過ぎて行った。
目を瞑ると、食前酒で飲んだシェリーの余韻が残っていた。
ずっと、あなたと・・・はこれからも続く。