圧倒的な美味しさ！　パン生地の濃密さからクリームまですべてが完璧☆☆☆ : Kantori Buran

実は吾輩、カスタードクリーム奉行である。
カスタードクリームには煩いのである。
小麦粉や増粘多糖類で増量したクリームは邪道とみなし猫跨ぎ、卵黄を使用した卵味溢れるタイプが理想なのである。
しかし生クリームを配合したものはコッテリ過ぎ、脆弱な胃が重くなるので長きに渡り敬遠している。
理想のカスタードクリームを、誰か吾輩に教えてはくれまいか。
さる退屈な午後の事である。
理想のカスタードクリームを脳裏に描いていたところ、ふと閃いたのである。
カントリーブランで、甘い系のパンを食べたことがなかったやもしれぬ！
バゲットやライ麦入りのハード系ばかりに目がいって、クリームパンといふものを食したことがないのではないか？
吾輩としたことが、盲点であった。
車を飛ばして急行せり！
…あった。あったぞ、クリームパンが。
久方ぶりにプレーン&リッチな食パンと、休日祝日限定のクイニーアマンなど手に入れた。ウヒヒヒヒ。
嬉しいのである。疲れなど吹き飛ぶのである。
体のために甘くない系のパンから食べるところ、禁を破ってクリームパンから食べてしまった。
…旨いっ！
ややや、なんたることだ、たっぷりと詰め込まれたクリィムの芳醇さ、完全に卵味溢れちゃってる完璧さは！　これが220円で食べられるのか。
甘さがどうとか、余分なことを考える暇もない。
引きの強いパン生地が香ばしい。とにかくやたらと美味いのである。
アッ、もうなくなった！　ぜんぶ食べてしまった。
思考力を奪う、衝撃のクリームパンであった。
我呆然と、コーヒーを啜りけり。
青い鳥は、こんな近くにいたのだな。ハハッ…☆
・中島牧場の濃厚牛乳を使用したモーモー食パン 一斤 540円
何もつけなくてもウマーいっ！
何だこれは？　何でこんなに何でも美味しいのだ？　神がかっている。
しっとりでよく伸びる生地は、香ばしさと小麦の甘さのハーモニーが心地よい。いくらでも食べられそうだ。
・百合根のサラダパン 220円
高級食材である百合根を贅沢にトッピングしている。芽室産百合根の上品な甘みと仄かな苦味が響き合う、大人のためのサラダパン。
かすかなワサビ風味は気配と化しており、辛くはない。心が大人である子供さんも食べられる（笑）。
美味いわ、上品だわ。淡い味付けが食材を十全に生かしている。
あまりにも美味しいので、翌日もクリームパンを買いに走ったのである。中毒性があるな（笑）。
ヒヒヒヒうまーいくりぃむぱん。そしてごぼうのピザ。ブルーベリージャムとカスタードクリームの入ったコロネ。
ピザの美味さよ。これ280円って嘘だろ？　厚切りのゴボウからビュッと染み出す、フレッシュな香気！　旨いゴボウってえのは、兎角に甘いのである。
ハーブ味も効かせてある。オリジナルトマトソースの豊かな風味が全体を統括し、見事なハーモニーを響かせる。
パリンパリンに焼けた、たっぷりチーズの香ばしさ！　全てが渾然一体となり、吾輩の胃袋を鷲掴みに押し寄せてくる。ヤラレター！
・クリームコロネ 230円
この手のパンは、普段買わないのである。クリームに絶大なる信頼を寄せての購入である。
手作りのジャムはプレザーブスタイルであり、大きなブルーベリーの形が残っていた。
フレッシュ！　穏やかな甘みに、爽やかな酸味と香りが素晴らしい。
齧るとジャムが溢れてくる。
こんなに贅沢に美味なるジャムを詰め込んでよいのですかと、小一時間お尋ねしたくなる。←ヤメロ
なんと贅沢なスイーツ！　極上のデザートとして食後を華麗に締めくくってくれた。
ショップカードを見て、定休日が増えたことに気づいた。もしかして、店主の体調がよろしくないのだろうか。心配である。
細々でもよいので、長く続けて欲しい名店である。

■塩バターパン
一見、普通のバターロール。
食べると、バターロール生地の甘さがない！
だが、そこがいい！
しーっとり、ふわっふわの生地がとにかく美味っしいの！！
小麦の香りと卵のまろやかさと、バターの味わいを純粋に堪能できるパンです。
同行者曰く、表面に乗せられたまばらな塩が、良い仕事をしているとのこと。
塩の結晶を塊で乗せられたパンは、見た目に大変麗しい。
しかし、味わいの点からいえば、まばらな乗せ方のほうに軍配が上がるそう。
卵を塗って焼かれた表面に散らされた塩が、絹状雲を思わせる生地の隙間から下降してくる時。
その塩味が内側に滲みているバターと交わり、舌の上で最高の美味しさ曲線を描くそうです。
ぐぬぅ、確かに得も言われぬ美味しさや！

■ぺったんこフランス
パリッと薄～いフランスパン生地の上に、たっぷりチーズとトマトソース。
このトマトソースは塩分が少なく、しかし香りと味わいが深い。手作りだと思われます。
同行者はこのソースをハーブの香りが心地よく、絶妙のバランスだと絶賛。
所どころにトマトソースが置かれているため、味わいに変化があるそうな。
生地とチーズが渾然一体となった、外れのない旨さでした！

■百合根と山わさびのパン
カイザーロール的な白い生地の中央に、塊で百合根が乗せられています。
1個200円はお高いのかしらん。でも、百合根は高級食材ですからね。
マヨネーズ味を予期しましたが、上品な薄味です。
そのため、ほっくりした食感と甘味の奥にある、ほのかなほろ苦さまで感じとることができます。
山わさびはわかりませんでした。
もちっと弾力のある生地は、手では千切りにくいほど。
やはり甘さの少ないストイックな味で、おかず系パンの邪魔をしません。
旨いな、むぐむぐ。
写真を撮り忘れ、無事完食！！

■食パンいろいろ！
ブラウンブレッドは、かなり茶色いです。
全粒粉30%とフスマの入ったハードな外見に反して、内はしーっとり、もちもち。
健康を気にしつつも、固いパンは苦手な方に最適解！
ライブレッドは特有の酸味がなく、しっとりして食べやすい。
そして、こんがりバケット。芳しさが鼻から抜ける、芳醇な味わいです。
ロイヤルブレッドは舌触りがなめらか絹タッチで、思わずうっとり。ミルクの奥深さが感じられます。
何もつけなくても美味しいわ！
翌日、冷凍保存したものを食べてみました。
味見後に即！ 大切に一枚ずつラップして、ジップロックには入れましたが。
えっ、ヤダァ！？
美味しさ、変わってないわっ！
香ばしさもしっとり感もキープよっ。
パンの保水力が凄い、と同行者の弁。
水のクラスターが細かくて、粉の隅々にまで浸透している感じ。
お口に入れた途端、元の粉に戻るのですね。
それが口中の水分を少しも奪うことなく、フワァッと溶けていくのです。
…結論。
この店のパンは、飲み物です！！

■…そして。
お一人で作られているご様子なのに、何種類パン生地を作っていらっしゃるんでしょうか！？
手間ひまを考えたら、とんでもないコトです。
ダッチコーヒーは、この日残念ながらありませんでした（夏だからかな？）。
しかし普通のホットコーヒーも、まろやかな口当たりでおいしかったです。
お水が良いからですね。
良質な素材の素晴らしさを舌で体感できる、すてきなお店です。
お庭もカワイイんですよ～。