素晴らしい焼魚ランチ。但し、欲張りランチ(刺身)は不要かと : たき下

6月1日は企業の採用選考活動の解禁日と言われていますが、新聞報道によれば、学生の7割以上が既に内定を持っているということのようです。
新型コロナ禍も5類移行で潮目が変わり、これに少子化という社会基盤が重なって就職戦線は完全な売り手市場になりつつありますね。
思えば、バブルの頃は、内定学生に対する過度な拘束活動が話題になり、ある企業ではハワイ旅行まで仕組んで拘束したなんて話も聞いた記憶があります。
私が、新卒採用に直接携わったのは平成4年～7年入社の人たちで、徐々にバブル期の名残りが消え始めていた頃なので、バブル全盛期の拘束の話はあくまで聞いた話しでしかありませんが・・
ただ、今年あたりの内定学生に対するフォローの動きを見るとそれを彷彿とさせるものがありますね。
今やバブル世代の人たちが経営幹部になる時代になっており、その人たちの就職戦線の話も一つの逸話＝歴史になりつつありますが、現在就職戦線の真っただ中にあるいわゆるZ世代と言われる人たちもいずれまた新たな歴史を作ることになるのかもしれませんね。

そんな6月頭のこの日は、当初湘南エリアまで遠征する予定だったのですが、台風＆前線の影響で横須賀線の運転見合わせがあり、東海道線まで波及する懸念もあったので、急遽予定を変更し、住まい周辺エリアでの活動に切り替えました。

そこで目指したのが麻布十番にあるこちらの和食店です。
当店は2001年にオープンした和食店ですが、今ではすっかり麻布十番のパティオ通りの名物的存在になっているお店です。
ランチの焼き魚が目玉のお店で、その存在を知ってすぐにBMしていたのですが、昼時はいつも行列が出来る人気店と聞いており、それに怯んでなかなか足が向かなかったお店でもあります。

この日は大雨の余波がまだ残っていたので多少空いているだろうとの期待もあり、チャレンジしてみることにしました。

往路の東京メトロ南北線の車内では、やはりスーツ姿の学生らしき人もちらほらと見かけました。
やはり休日でも採用活動は動いているのですね。

当店へのアクセスは、麻布十番の4番出口から出てパティオ通りに入り徒歩1分ほどです。
11時10分オープンのお店で11時ちょうどに訪れたところ既に店頭には6名が並んでいました。
最初の2名は座布団の敷かれた椅子で待っていますが、その後の人は店頭に置かれたビールケースの上に座っており(良いのか悪いのかは別にして)、5人目からは立って待つことになります。
その行列は、オープン時刻になると20名近くに増えていました。

当店のキャパは店舗情報ではキャパは24席となっていますが、若干間引きがあり、20席程度のキャパと思われます。
この日は結局、並んでいた人全員は一巡目で入れず、3名ほどが店内待ちとなっていました。

私はスムーズにカウンター席の一角に案内されました。
卓上には全てのランチに共通で付くと思われる小鉢2品と漬物、大根おろしがあらかじめセットされており、和食店にしてはなかなかシステマティックです。

ランチメニューは店頭に「本日の炭火焼き」として掲示されていますので、あらかじめ注文を決めておくことが出来ます。
店内メニューもありますが、同じものですので、並んでいるうちに注文を決めておくのが良いと思います。
この日の焼魚は5種類で、かます塩焼き＋黒むつ柚香焼き、縞ほっけ昆布塩焼き、黒むつ柚香焼き、あこう鯛西京味噌漬け、銀しゃけ信州味噌漬けのラインナップでした。
焼魚定食は、@1,540円均一ですが、これに欲張りランチと称して刺身を付けると＋660円、汁をあら汁に変えると＋330円です。
ランチの相場としてはやや高めの設定ですが、ここは麻布十番なので仕方ないかなとも。

注文は、黒むつの柚香焼きの刺身付きにしました。
〆て2,200円ですから、気軽に焼魚というわけにはいかないお値段ですね。

カウンター席の端の部分に焼き場があって、そこで炭火直焼きで魚を焼いているのが見えます。
待つこと3分ほどで刺身が、その後4分ほどで黒むつの柚香焼きが運ばれてきました。

刺身はかつおとタコのありふれた刺身です。
ツマでお化粧しており、刺身そのもののクオリティはまずまず高いのですが、これで＋660円は正直高いです。

黒むつは皮付きの状態でこんがりと焼かれています。
旬かどうかで味にはっきり味に差のあるニシンなどと異なり、黒むつの場合は旬の時期でもハズレがあり、逆に旬を多少外しても当たりに近いものと出会えるような印象がありますが、この日の黒むつは当たりでした。
やはり魚を見る目をしっかり持った人が仕込んでいるんだなということが分かりますね。
脂の乗りも文句ありませんし、身も適度に柔らかくて旨みがあり、とても美味しかったです。
食べる気になれぼ、これだけでご飯2杯はいけますね。
当店はご飯と大根おろしのお代わりが出来るのですが、そこは自重しておきました。

小鉢や漬物、味噌汁などの添え物もキチンと手作りで作られており、ご飯もふっくら炊かれてとても美味しかったです。
卓上におかかが置かれており、それをご飯にかけて食べてもなかなか美味しいです。

全体に料理のレベルは高く、素材の目利き力や炭火焼きの腕もしっかりしたものがあることは疑いありません。
問題はお値段ですが、少なくとも今回私が選んだ刺身は余計なので、それ無しの@1,540円なら素材の良さを考えれば納得できる範囲かなという気はします。
まして場所が麻布十番のパティオ通りですので、この日のような盛況ぶりも分かるような気がしますね。