【"近海（ちかくのうみ）">"南蠻渡來（なんばんわたり）"】、【"天然（てんねん）">"養殖（やうしよく）"】？ : おむすびcafe 空と糸

當日（このひ）の三菜（うけみいろ）は、
"炸竹筴魚（あぢフライ）"に、"土芋燉肉（にくじやが）"＋"荳沙律（まめサラド）"。
"土芋燉肉（にくじやが）"には黑毛和牛肉（くろげのやまとうしのにく）。
"未醤湯（みそしる）"は淮南（とうふ）に滑子（なめこ）。

"牛肉（うしのにく）"は適度（ほどよ）き火候（ひいれ）なれど、
"土芋（じやがたら）"と"胡蘿蔔（せりにんじん）"は過嫩（あまりにやはらか）。
とは云へ、綜合的（おしなめ）て佳味（よきあぢ）。
温和（やさし）き"甘味（あまみ）"は"あれ"由來（によるもの）歟（か）?

"荳沙律（まめサラド）"：
"大菽（まめ）"、"赤眉兒豆（あかいんげんまめ）"、"鷹嘴豆（ひよこまめ）"、
"豌豆（のらまめ）"を煮（に）て、"鮪鰹（しび・かつを）"を混（ま）ぜたもの。
火候（ひいれ）適切（よ）く、食感（はごたへ・したざはり）良好（なかなかによし）。

扨（さて）、"炸竹筴魚（あぢフライ）"：
「近海（ちかくのはまにあがり）たる上等品（よきしな）」との説明（こと）なれど、
"根附（ねつき）"と"囘遊（ねなし）"では天淵冰炭（くもとつちほどのたがひ）。
その上（うへ）、時季（とき）違（たが）はゞ魫（あぶら）を喪失（うしなふ）。

加旃（しかのみならず）、
魚（いを）への"手當（てあて）"も肝要（ゆめゆめおろそかにするべからず）。
名店（なのあるみせ）では、"鹽（しほ）"を打（う）ちて一晩（ひとや）置（お）く。
この一手間（ひとてま）で、無臭（くさみな）く、旨味（うまみ）も凝縮（つまる）。

倩（つらつら）"竹筴魚（あぢ）"の好醜（よしあし）を考察（うかゞ）ふに、
一握（ひとにぎり）の"名牌（なのあるもの）"ゝみ美味（あぢよ）く、
超級市塲（そこいらのいちば）にある廉價品（やすもの）とは大差（おほきなるへだゝり）。
その隔絶（へだゝり）とは、「"魫（うをのあぶら）"の有無（ありなし）」にあり。

超級市塲（そこいらのいちば）で沽（か）ふなら、
"近海物（ちかくのはまにあがりたるもの）"より、
寧（むし）ろ、"荷蘭鰺（ヲランダあぢ）"、"諾威鯖（ノルウヱイさば）"が吉（よい）。
かの若狹（わかさ）"燒鯖鮓（やきさばずし）"も過半（あらかた）"諾威鯖（これ）"。

■【"近海（ちかくのうみ）" > "南蠻渡來（なんばんわたり）"】
と云ふ序列（ならび）、不正確（かならずしもたゞしからず）。
"海鰻（はむ）"を舉（あ）ぐるなら、
華洛（みやこ）では韓國（からくに）のものが最貴（たふとく、ねもたかし）。

■【"天然（てんねん）" > "養殖（やうしよく）"】
なる圖式（ゑ）も亦（また）同樣（しかり）。
"鼈（すつぽん）"・"剝皮魚（かはゝぎ）"に限定（かぎ）るなら、、
上等（よき）"養殖物（やうしよくもの）"、"天然物（てんねんもの）"をも壓倒（しのぐ）。

當日（このひ）の"炸竹筴魚（あぢフライ）"：
無臭（くさみな）く、高鮮度（いきのよき）ものなれど、痩身（そのみはやせぎみ）。
"眞鰺（まあぢ）"は魫（あぶら）、"みな實"は手ブラ（てぶら）に家鴨口（あひるぐち）。
"斷面（きりくち）"からも、それを推察（うかゞ）ふこと容易（むつかしからず）。

睦（むつ）みて後（のち）の明烏（あけがらす）。
透視（み）えそで透視（み）えぬ磨玻瓈（すりがらす）。
袖（そで）捲（まく）り、尻（しり）も捲（まく）りて、"鹽（しほ）"を撒（ま）く。
勿惜（をしむな）、勿悋嗇（けちるな）、この手間（てま）を！

"眞央（まお）"滑走（すべる）、"すべり"が得意（とくい）はあの"岡田（をかだ）"。
"華佗元化（くわだげんくわ）"、藥碾（やげん）で挽（ひ）くは"麻沸散（まふつさん）"。
「ごほん」と云へば"龍角散（りゆうかくさん）"、
食事（ごはん）竟（をは）ればすぐ退散（たいさん）。

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　　　　　東蔡（Carl Zeiss Jena）紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8　※女主人（をんなあるじ）

粕壁宿（かすかべじゆく）順風兒路（4133Ave.、≒よいみゝおほどほり）、
空地（あきち）の先（さき）を左（ゆんで）に折（を）れ、またも『空と絲』に、、。
晝晌（ひるどき）の所爲（せゐ）歟（か）?
席（むしろ）は半（なか）ば埋（う）まり、廚前（くりやのまへ）に蟠踞（わだかまる）。

女主人（あるじ）は廚（くりや）、
管待（もてなし）に擔當（あ）たるは別（べつ）の方（かた）。
當日（このひ）の"菜譜（こんだて）"より、此度（こだみ）も"おむすびプレート"、
對價（あたひ）、八百圓也（はつぴやくゑんなり）。

三色（みいろ）"菜肴（めしのとも）"は、
"薑汁燒肉（ぶたのくれのはじかみやき）"に、"御田（おでん）"、"蕃茄（あかなす）"。
"未醤湯（みそしる）"は淮南（とうふ）に滑子（なめこ）。
"飯糰（にぎりめし）"として"甘藷（からいも）"を選擇（えらむ）。

前囘同樣（まへとおなじく）、温和（やさし）き調劑（あぢつけ）。
「"薑汁燒肉（はじかみやき）"の"甜（あまみ）"は"三河美淋酎（みかはみりん）"。
　他（ほか）のものにも、
　"餹霜（しろざたう）"を避（さ）け"黍糖（きびたう）"などを用（つか）ふ」とよし。

「これは"消泡劑（あはけしぐすり）"不使用（つかは）ぬ"菽乳（とうふ）"」
との説明（はなし）を耳（みゝ）にするや、俄頃（にはか）に色（いろ）めきたち、
かの幸手宿（さつてじゆく）『小林豆腐店』を想起（おもふ）も、
「そこいらの超級市塲（おほきなるいちば）の品（しな）」とのこと。

「"未醤（みそ）"の熟成期間（ねかしてうらす）は大畧（およそ）半年（はんとせ）」
"滑子（なめこ）"は煮沸（にたゝせ）ず、
都度（そのたび）に"汁（しる）"に合體（あはす）ぞ最歡喜（いとをかし）。
客（ひと）にも、未醤（みそ）にも、素材（もの）にも優（やさ）しき烹調法（やりかた）。

客層（のれんをくゞるひと）は種々雜多（まことにさまざま）。
老若男女（おひもわかきも、をのこもをんな）も、陸續（つぎつぎ）に來（き）たれり。
その容（さま）、夏蟲（なつむし）の光（ひかり）に集（すだ）き、
僊人（やまびと、よすてびと）の女脛（めはぎ）に群（むら）がるがごとし。

辭別（いとまごひ）する頃（ころ）には、畧々（ほゞ）滿席（あきなし）。
「春夏冬（はるなつふゆ）二升五合（≒2,700cc）」と云ふ次第（わけ）。
女主人（あるじ）言（い）ふやう：
「開業以來（あきなひをはじめてよりこのかた）、連日（つね）に如此（かくのごとし）」

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四海（あまねくよのすみずみ）にまで轟（とゞろ）く"和食（ひのもとのうけ）"：
華洛（みやこ）の"會席料理（くわいせきれうり）"や、東都（えど）の"鮓（すし）"など、
今（いま）や、贅（ぜい）を盡（つ）くし、奢侈（おごり）を窮（きは）め、
越來越貴（ひにひにねがあがり）、泡錢（あぶくぜに）が亂舞（みだれをどる）ばかり。

對照的（これにひきか）へ、
日常食（ひゞのかて）は越來越賤（ひにひにいやしくなり）、
その差（さ）たるや、「天淵冰炭（あめとつち、こほりとすみほどのひらき）」。
「簡素（かざるところなし）と云へど佳味（よきあぢ）」は稀有（まれ）。

それを探索（たづねある）くは、
宛然（あたかも）、「大海撈針（おほうなばらにはりをすくふがごとし）」
そんな折節（をりふし）、
當家（こちら）粕壁（かすかべ）『おむすびcafe 空と絲』と邂逅（たまさかめぐりあふ）。

倩（つらつら）その"菜譜（こんだて）を瞻（なが）むるに、
"おむすびプレート"なるものがあり、
"えんむすび"と喚做（よびな）す、黑紫舞（こくしまひ）"の飯糰（にぎりめし）に、
一汁三菜（いちじふさんさい）と云ふ構成（なかみ・くみたて）。

「"黑紫舞（こくしまひ）"とは石垣島（いしがきじま）の古代米（こだいまい）」とのよし。
當日（このひ）の"おむすびプレート"は"かく"のごとし。
"牛筋（うしのすぢにく）"は黒毛和牛（くろげうし）、
蔬菜（あをもの）ゝ等類（たぐひ）は粕壁（かすかべ）など地産（くにつもの）。

"未醤（みそ）"は自家製（てづからしこ）み、
溏油（だし）には、
"昆布（ひろめ）"、"乾鰹（かつをぶし）"、"鯷乾（にぼし）"を用（つか）ふ。
"飯糰（にぎりめし）"の"醃梅（うめぼし）"も自家製（みづからつけこみたるもの）。

この日（ひ）の"未醤湯（みそしる）"には、
"韭（こみら）"＋"雞蛋（にはとりのたまご）"＋"糵（もやし）"と云ふξ（ぐざい）。
調劑（あぢつけ）は如何（いか）にも"家常菜（いへめし）"。
なれど、それはそれで吉（よし）！

"牛筋（ぎうすぢ）と根菜（こんさい）の煮込（にこ）み"は、
壓力鍋（あつりよくなべ）にて小半晌（こはんとき、≒30m）燉（にこ）みたるもの。
"牛蒡（きたきす）"、"胡蘿蔔（せりにんじん）"、"蒟蒻餠（こんにやく）"などゝ、
能（よ）く牛筋（ぎうすぢ）に調和（なじむ）。

扨（さて）、"飯糰（にぎりめし）"：
粳（うるのこめ）の地産（くにつもの）なるは勿論（いふもさらなり） 。
半點（いさゝか）輭（やはらか）めと雖（いへど）も、なかなかに佳味（よきあぢ）。
"鹵（しほけ）"控（ひか）へめなれど、"醃梅（うめぼし）"右之（よくこれをたすく）。

女老板（をんなあるじ）はその經歴（へてきたみち）すがら、
割烹調理（きりさきにたき）を習得（おぼ）え、
今（いま）や"食育（たべものゝをしへ）"を生業（なりはひ）にするまでに、、。
この温和（やさ）しき味（あぢはひ）も、その技倆（うで）を證明（あかす）もの。

當日（このひ）は、
西洋時辰儀（せいやうどけい）十一字（じぶいちじ）の開店（くちあけ）に、
冢中枯骨（それがし）を含（ふく）め老寄（としより）三人（みたり）の客（きやく）。
小春日（こはるび）に、終日（ひねもす）のたり、老媼（うば）老翁（おきな）。

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