5回
2022/06 訪問
ご近所さんはみんな昼も夜も「吉祥軒」。大将の復調を感じた宵。
初の夜訪問です。一品料理の量や価格帯は独り飲みに適さないことはわかっていますが、それでも一度は飲みに来てみたかったのです。
やはり、メニュー表にまだ「炒飯」の文字はありません。このまま絶品に…いやそんな、また大将が中華鍋からご飯を放り上げる日が来ることを切に願い祈っています。
その厨房内の大将は、以前に比べるとかなり動きは軽快で、調子はかなり上向いてきたようにお見受けします。本当に良かったですね。おしゃべりも軽妙になってきました。
●「餃子」¥700
水餃子もありますがビールにはやはり焼き餃子が似合います。生姜が決めての餡ですがしかし隠し具材もあるように思われます。どちらかと言うと肉餃子のカテゴリーでしょう。美味しいですね。お値が張るのはご愛嬌。
●「レバーとニンニクの芽 四川風炒め」¥1,500
黒板メニューのおすすめ料理です。すごい量のレバーが盛られていますよ。複数人で来てシェアするボリュームなんです。でも頑張ります。
具材は、レバー、ニンニクの芽、タケノコ、パプリカ、長ネギ、しめじ。ぜいたくな具材に、繊細な味付けの炒め。それほど辛味はなく「四川風」の由来は目立ちません。シビレもありません。辣油を軽く使用したかもしれません。そういえば定番メニュー表に「当店の自家製辣油は辛く仕上がっています」と書かれていた記憶があります。辛くすることが目的ではなく味に甘みや旨味を感じさせるために辣油を使ったかもしれません。
レバーの中でも部位によって食感が違うのがよくわかります。これだけ入っていると笑。平らなレバーより塊になっている部分が美味しく思いました。
タケノコやパプリカでシャキっとした食感を演出します。
ニンニクの芽が美味しいですね。ニラより味も食感も存在感が強くて、エネルギーの源って感じがします。ビールとの相性バッチリな料理です。
ご常連も多く訪れてきます。皆さんあまりお酒は飲まれずサッと食べて帰ります。飲兵衛とは間が違いますね。私はゆっくり1時間近くかけて平らげました。カウンター席で大将の活気ある背中を見てるだけであともう一本は飲めそうでした。
ごちそうさまでした。まだまだいただいていない定番メニューもあるので、まだ夜に来たいです。大将、お身体に気をつけて。
2022/06/07 更新
2020/08 訪問
チャーハンが消えた夏の日。僕らの『吉祥軒』アドバンス型。
ご主人の体調が万全ではなく、またコロナの影響もあり、ずっと休業していた名飯店「吉祥軒」。ようやく再開したお店はコロナ対策万全。赤いのれんは風に揺れ、店内も元の活気そのままに復活です。厨房内のご主人もお元気そうです。とはいえ、ご主人の思惑以上にお客さんが大勢来てしまうとお体に影響を及ぼすので、まずは地元の方がそっと訪れることを願います。しばらくはランチ営業のみです。
しかし…。衝撃の事実が壁メニューから読み取れました。「チャーハン」の文字が消えています。イチ推しの絶品料理が…まさか。ご主人いわく「やめたわけじゃない。様子をみながら…」とのことです。それだけ、あのクオリティのチャーハンを作るには、体への負担が大きいということを物語っています。あせらないでください、ご無理をなさらないでください、とお声がけして、さて何をいただこうかと考え始めます。今までチャーハンしか食べてこなかったからなあ…。
「ワンタンメン」¥800
町中華の命、ラーメンスープをいただこうと思います。白飯を中華鍋て振り上げる負担は避けて、寸胴でスープをとる作業を選んだのですね、ご主人。その入魂のスープをいただきます。中華丼や天津丼などは健在でしたが、やはり中華鍋を大きく振る料理かと勘ぐりヤメておきました。初めて麺類をオーダーしました。
スープ。す、すごい美味い…。なんじゃこりゃ。レンゲの回転が止まりませんよ。動物と野菜のコクや出汁が絶妙のバランスで甘みと塩っ気を作り出しています。ワンタンをオーダーして正解、ワンタンにベストマッチのスープです。
チャーハンばかり持ち上げていましたが、ラーメンスープなんですね、吉祥軒は。大誤解をしていました。魂のスープとはこのことです。「魂の」とか、自分で言うことじゃありません。寸胴を見張るその背中を見た客がいうのです。
トッピングは、脂身半分の分厚いチャーシュー、さやいんげん、メンマ、ネギです。それぞれ、すべてスープに合います。意外にもネギがいいですね。普通と言えば普通なのですが、その普通さが期待通りのドストライク。うーん、美味い。麺は細めの多加水麺。いいコシです。メンマを持ち上げてきます。いろいろな味が舌で踊ります。チャーシューはちょっと部位の運が悪くてチャーシューの端っこの方でした。脂身が多すぎて目立ちましたが、舌はしっかりと味をとらえていました。よく味がしみていて赤身部分も柔らかくていい食感。美味しいですねえ。
ワンタンは皮同士がくっついていましたが、モチモチの皮で歯ごたえグッド。餡は少なめ。とても上品なワンタンです。数は、6〜7個ほどでしょうか。満足のボリュームです。
まだ残暑とは言いにくい猛暑日、赤いのれんを見ながら、ご主人の背中を見ながら、お客さんたちの笑顔を見ながら、美味しいワンタンを汗だくでいただきました。夏の最後の休日、復活の「吉祥軒」を堪能しました。体調のお話ししてくださるご主人は一見元気そうですが、話の中身は満身創痍です。中華鍋を強く振れる日が来ることを心より願いつつも、それ以上にお身体を大切になさって「永く」吉祥軒が繁栄することを切に願います。今日はごちそうさまでした。また折に触れておうかがいさせていただきます。
2020/08/30 更新
2018/11 訪問
オノマトペでは表現できない、手から伝わるシズル。「吉祥軒」のチャーハン。
今のところ大繁盛はNGです。しかし地元客が絶えず吸い込まれて行く「吉祥軒」。ご主人の体調が万全ではなく、適度な客入りを希望しているそうです。一時期、貼り紙で一時休業のお知らせが出た時は、地元の方はみなさん心配しました。ご主人の復帰後も、店の意向では混雑を希望していないとのことです。
私もしばらく遠慮していましたが我慢できず再開後の初訪問となりました。この日も、作業着を着た地元のご常連で満席です。休日ともなると、客が外に並んでいる風景もしょっちゅう目にします。ご主人や女将さんのお人柄と、美味しい中華に引き寄せられてしまうんでしょうね。
厨房ではまだお若そうなご主人が中華鍋を振り上げています。不調をまったく感じさせない迫力ある背中なんです。しかしそんな時に中華鍋を振り上げるような料理をオーダーしてしまい、申しわけありません…。
「チャーハン」¥700
見た瞬間に美味しいとわかるチャーハン、それがこれです。このチャーハンの一番の調味料は「空気」です。それは、その空間を支配する圧倒的存在感という意味もありますが、ご飯粒とご飯粒の間にしっかりと空気が含まれているんです。見てわかるんです。あの大きな背中で、痛みをおして、中華鍋を振り上げた渾身のチャーハンには、空気が多量に混ぜられていたんです。
シャクっとレンゲを差し込んですくいあげると、オノマトペでは表現できない、手から伝わるシズル。重くなく、軽くない。口に放り込むと…頭の中で白い鳩たちが飛び立ち、その背後には虹がかかります。なんというチャーハン。塩加減、胡椒加減、油加減、火加減、そして空気加減…。
チャーシューの塊が多く、興奮に拍車がかかります。しかし冷静に存在するは卵。フワフワ卵。出たり隠れたりはグリーンピース。私は森の中で妖精たちに見守られているようです。
ボリュームがあり、チャーシューも脂身が多めなので、男の昼メシ、といったチャーハンです。
ご常連とご主人の話に耳を傾けていると、ご主人は料理を研究していますね。スパイスや調味料にこだわっているのがわかります。だから、美味しくなっちゃうんです。だから、お客さんが来ちゃうんです。
うーん、相変わらずすごいチャーハンでした。参りました。しかしお店の意向を汲み取って、地元ではありますがこれからも控えめに訪問する次第です。ご常連の席を大切にされているお店ですから。
ご主人、お体を大切になさって下さい。ごちそうさまでした。
最寄駅 都営三田線「志村坂上」・東武東上線「ときわ台」(板橋区)
2018/11/11 更新
2014/05 訪問
秘境度高いが人気の中華店
ときわ台と赤羽を結ぶバスでしか行けない不便な立地だが、店は大繁盛。まさか並ぶとは。座敷を含めて20席程度。地元の会社員や作業員が続々入店。マスターが一品いっぴんていねいに調理する。チャーハンはご飯パラパラ系、チャーシューの量が多く、少し塩っけが強い、夏によくあう料理。ボリュームもかなりある。日替わりランチも魅力的だった。夜は本格的な中国・四川の料理が楽しめそう。
訪問時間 12:20
待ち時間 10分
好き度・リピート感 6
2014/06/01 更新
初夏の風を受けて坂を上がりきれば、僕らの聖域「吉祥軒」。揺れる赤のれんをくぐれば、ひとつ空いているカウンター席が輝いています。見上げた壁メニューは…新しく作成された純白のメニュー表。目を凝らしてメニュー確認を行うと…これは。幻か。大将、大丈夫でしょうかオーダーしてしまって。1日限定10食と書いてあります。
大将は一心不乱に中華鍋を振っています。その背中を久しぶりにじっと見つめていました。だいぶ調子は戻ってきたように見受けられます。アレが復活したということが復調の証でしょう。
しかし申しわけありません、知らなかったんです、私がオーダーしたことでそれを3回続けて作らなければならなくなったことを。身体に負担をかけてごめんなさい。
大将、汗だくで作ってくれました。
出来上がると、最後にラーメンスープをオタマに入れ、その上に中華鍋から放り上げられた黄色い米粒たちが舞い降りて、それを皿に返します。ラーメンスープが最後に全体を覆っているとは!
●「エビ炒飯」¥1,100
降誕。再臨。なんと表現しましょうか。復活。1日10食限定、ありがたくいただきます。
しっとりでもなく、パラパラに近い、ふわふわチャーハン。そりゃあ大将があれだけ中華鍋を振って空気を含ませ、皿にアッセンブルする時もチャーハンを振り上げてオタマにのせるわけですから。ふわふわです。
大将はちゃんと毎回味見をするので、塩気も甘みも整っています。また、卵をボウルに入れる際に殻が入ってしまったらしく、それを丁寧に時間をかけて取り除いていました。あの怒涛の捌きの最中に一瞬の静寂があったのはそのせいです。機械ではなく人間らしい職人なのです。
そして…美味しいに決まっています。海老が甘くてプリプリ。これが6ピースも入っています。ネギは輪切り。これはラーメン類と同じです。ご飯の量は、推定300g。充分です。
うーむ。大将、さすがです。美味すぎ。レンゲが止まりません。大将の作るチャーハンは…言葉が出ません。中華鍋そのものに、そして炎に、大将の気持ちが宿っているかのようです。
ごちそうさまでした。GW初日の昼、吉祥軒に集まった人々は大将の背中に舌鼓を打ちました。
ずっと厨房を眺めていて、美味しそうにみえた料理は…
・坦々麺
惜しげないそぼろ肉トッピング。
・広東麺
野菜の甘みがたっぷり出ていそうな餡
・上海焼きそば
ビールと合わせたら最強そう
などなど何を食べてもどこを切っても美味しい吉祥軒です。定期的に通わなければなりません。大将、ご無理なさらずに。今後ともよろしくお願いします。