野に在りて　なお皿の上　命めく❣️ : クレソン リバーサイド ストーリー 旧軽井沢

軽井沢の森が語り出す夏の味覚詩——苔庭を眺めるテラスで、風と野菜とクレソンの交響曲に耳を澄ます

軽井沢の森が、静かに呼吸するランチタイム。苔むす庭に木漏れ日が散りばめられ、小川が石を撫でる音が遠くから届く。テラスに座れば、風が野菜やクレソンの香りを運び、夏の食材たちがささやき合う。ここは森と共生する桃源郷、料理はただの食事ではなく、自然が語る物語の声。私は深呼吸をし、皿の上に降り注ぐ季節の光に耳を澄ませた。


✅実食レポ：
✨自家製シードル
「え、甘くないの？シードルなのに？」——そう、甘くない。長野りんごを使った大人の味は、まるで酸味と香りで奏でるバロック協奏曲。料理のじゃまを一切せず、むしろ食材をリードする味わい。

✨クレソンの愉しみ（アミューズ）
アミューズにして主役。苦味が旨みとなり、初恋の記憶を口中に蘇らせる。脳内で「クレソンはじめました」の旋律が奏でられる瞬間、料理が言葉にならない物語を始める。

✨冷製コーンスープ
「佐久のサニーショコラ使っています」と料理長自ら教えてくれた。ひと口で香りと甘味が広がり、純粋なトウモロコシの旨みが舌を満たす。今日から野菜よりスイーツに生きることも許されるかもしれない、と思わせるほどの完成度。

✨信州のエチュベ × クレソンラビオリ
ホーロー鍋界のロールス・ロイス、ル・クルーゼの鍋で登場。知る人ぞ知る重さが超合金級。きっとこれ、配膳スタッフの筋トレを兼ねている（諸説あり）。エチュベとは、素材の水分だけでじっくり蒸し煮にする調理法。紫カリフラワー、アスパラ、スナップえんどう…信州の旬野菜が、朝霧のような蒸気とともに香り立つ。野菜たちのほのかな苦味は、“自然”そのものを噛んでいる感覚。添えられた自家製クレソンラビオリは、青みの香りがふわりと広がり、滋味野菜に芯のあるリズムを加える。映えるだけじゃない。五感に残る、静かなエモを湛えた一皿。

メイン
✨信州サーモン × オゼイユソース
“海なし県”長野が放つ秘密兵器 “信州サーモン”。ニジマスとブラウントラウトのハイブリッドで、八ヶ岳の雪解け水（天然のエナジードリンク）をたっぷり飲んで育った川の王者だ。身はほどよく締まり、脂は上品。とろけず、あくまで“芯を残した柔らかさ”は、まるで清流が肉質に憑依したような透明感。添えられたのは、スイバ由来のオゼイユソース。レモンにも似た酸味で、浮かれ気味な脂にピリッと知性を授ける——信州の川魚がフランス留学して帰ってきたら、きっとこの味。

✨安曇野放牧豚 × アメーラトマト
放牧豚の肉質はしっとり柔らかく、脂には透明感の甘み。アメーラトマトが輪郭を引き締め、口内に信州の土と太陽が蘇る。自然の中で自由に生きた証が、噛むごとに味わえる。──ああ、私もここで放牧されたい。

✨イルフロタント～夏の浮き島　ココナッツと淡雪～
イルフロタント（Île flottante）はフランス語で "浮かぶ島"。空に浮かぶ雲のように白いメレンゲがクリームに漂い、高原の風のように爽やか。視覚も味覚も、すべてが軽やかに舞う。

✨コーヒー & ハーブティー
もう少し、森に抱かれたまま、夢うつつに揺れていたい——いや、今日は夏の青空が広がる最高の天気だ。軽井沢の木陰の空気は、どこまでも涼しい。寝てしまったら勿体無い。食後は雲場の池までサイクリングしてみよう。


✅総評
店名の由来は、軽井沢の豊かな自然と水辺の景色にちなんでいるのだろう。森と人と食材が共鳴する、この高原の桃源郷では、自然は背景ではなく、料理の共演者である。風の音、光の粒、葉の揺れまでが皿の上の一皿に反映され、香り・彩り・余韻が精緻に設計される。ここでは甘さに逃げず、素材と技術の構築美が皿に宿る。理念ではなく、五感で体感できる現実。それは、風に揺れる苔庭や小川のささやきに耳を澄ませるたび、また訪れたくなる理由となる。


✍️食後の一句
野に在りて　なお皿の上　命めく

自然の中にあった命が、料理という営みによって皿の上に姿を変え、それでもなお“生きている”ように感じられる瞬間を詠みました。素材はただの物質ではなく、大地の記憶や季節の息吹を宿しています。その命が、料理人の技と感性によって再構築されることで、食べ手の五感に語りかけてくるのです。食とは摂取ではなく、対話であり、共鳴でもあります。自然との共生をテーマにした料理は、まさに皿の上の小さな宇宙。そこには、命の哲学が静かに息づいています。


✍️攻略メモ
・立地：旧軽銀座の終点／苔庭と小川を望む隠れ家
・設計：木を伐らず森に溶け込む自然共存型建築
・提供：“筋トレ級”の芸術野菜／蒸気ごとテーブルへ
・予約：当日席あり／３連休も意外と予約取りやすい
・映え：苔庭と渓流のテラス席／地産地消の素材
・飲料：自家製シードルワイン ／炭酸ジュース30種超
・シェフ：パリ三ツ星歴＆世界的パティシエ／素材と風景を料理に翻訳
・余韻：ル・クルーゼの熱が冷めても感動は継続


☝️良い点
-森と共生する高原の隠れ家として非日常体験
-五感で楽しむ野菜とクレソンラビオリのエチュベ
-信州素材の肉・魚・野菜の調和と構築美


⚠️気になる点
-メインの種類が日替わりのため事前確認が必要
-天候によってテラス席の体感が変化


☺️タグ遊び
#軽井沢グルメ絵本紀行
#ル・クルーゼの中に信州が入ってた
#総料理長がスイーツ出身という異色の筆さばき
#クレソンに感謝して日曜は草むしりします
#俺も安曇野で放牧されたい
#摩天楼一郎味覚詩行