経験のつみ重ねがなごみをひらくステキな酒場 : 自由軒

この旅２日目は、滞在している岡山から岩国へ移動
念願の錦帯橋を見学して、お昼すぎ新幹線で福山まで足を運びました。

広島市内には何度となく来ているのに福山は初めて。いつも通り過ぎていてしまっていて。
イメージといえば、新幹線ホームから目の前の福山城が見えるってこと。

お城よりもお目当ては自由軒

ココに寄るためだけに福山に降り立ちましたから。
酒場放浪記で幾度となく見てきて予想どうり、福山を代表する素晴らしい酒場でした。

とにかく風も強く、寒くて速く屋内に入りたい！

営業時間は１１時半～夜の１０時まで常に通し営業なので安心
おじゃましたのは、午後３時の日曜日

「福山の人は昼酒をたしなむ文化なのかな？」
なんて、席は空いているのか不安と期待を胸に足早に向かいます。

駅からは歩いてすぐ

天満屋デパート南側の細い道に寄り添うようにひっそりした場所に
強風で暖簾が暴れるトビラ越しに中をのぞくと満席！

しょうがないので、その近辺を一周。その間に空いたらいいかなと。
酒場まで数メートル、戻ってくると今まさに２人のご夫婦が入店しようとしていました。

「あぁ～席が取られる～！」すいませんご夫婦さん、そんな心境で続いて入ります。
1席だけ空いていました！　ご夫婦とお隣りで。

まだ4時にもなっていないのに活気と和気あいあいの中間のぬる～い感じ、コレ好き！

お客さんの年齢層が幅広く、
人生の先輩方、結婚式帰りのいでたちの女性、ラッパー風な若者

よい酒場とは入った瞬間にわかります。この雰囲気に早く溶け込みたい

まずは瓶ビールを注文　アサヒと2銘柄扱っていました。
広島は工場もあるキリン圏なのはファンにはうれしい。布製のコースターがあたたかい

壁一面に、短冊お品書きがズラリと張られています。
定番からご当地名産まで。食べたいものばかり！

ポテトサラダを先に、調理に時間がかかりそうなツマミを待ちました。
まず学習してきましたから。必ず頼むべきものはキモテキ

レバーをケチャップと和えて炒めてあり珍しいですね。
店名もそうだし看板に「洋食」の文字があるので、ケチャップなのかな
珍しい味付けですが、違和感はありません。レバーが柔らかくて

そうそう～　自由軒で働いている人すべてが女性でした。
女将さん筆頭に白衣を着た人２人、私服の人１人

おでん鍋を常に目を向けながら、女将さんの対応はとても気持ちの良いものでした。
ネタの品書きはないので、おでんは鍋を見て注文するのがベスト

県外人、私のような特に関東の人は驚かれるのはご当地おでん

汁は飲まず、ネタに味噌をかけて食べるのは関東人には衝撃でした。
でも要は味噌おでんって事だから同じなんですけど

練り物の名前がわからないので「ピンクの串が刺さったやつ」って言っちゃいました。

おいしいのですが、玉子だけ味噌ではウ〜ン　

やはり玉子はおでんの汁で食べたいのが正直
ジャガイモと豆腐が大きかったな～　いい塩梅でトロ～ンと味噌のかけ加減はバツグン

飲みながら１００種類はあるだろうな短冊お品書きを見つめます。

小イワシの天ぷらなんて見ると広島に来たなって感じですね。
クワイの揚げたやつなんて高級食材じゃないですか！

お燗の酒は年季が入ったチロリごと出されます。

人によって言い方は複数　日本酒を熱く　お燗　燗酒

面白いのがお客さんがそう告げたとうり　↑　の名称で繰り返すおかみさんの言葉
ちゃんとお湯で燗したお酒はうまいです。おでん鍋の真横に燗する場所があります。

好物のシャコを注文すると、三角巾白衣のお姉さんが入り口にある冷蔵庫に小走り

なるほど！　気が付きませんでした。ポテサラもそうでしたけど、
小鉢ものはその冷蔵庫に入っているのです。
慣れたご常連はケースから勝手に出して後から申告のようです。でも初心者は禁物でしょう

しかしシャコは品切れ

慌てて〆サバを頼むとお姉さん往復で小走り・・・お手数かけてすいません

自由軒は飲める人だけを対象にはしていません。
フツーに食事だけする若者もいます。だから麺や定食　メシものもある。

真ん前のご夫婦が頼んでいた焼きメシ　これがめちゃくちゃウマそう！

これから岡山に戻り中華そばで締めるか？　それとも焼きメシをココで食べるか？
決断には迷いましたが、また今度来る理由の口実で

なんら関東と変わらない締め具合の〆サバ　
なんてくっきりとした縞模様のキレイさ、おかわりの燗酒を飲み干しそろそろ帰らねば

「シャコ終わっちゃててごめんね」　女将さんの優しい一言でお会計を済ませます

後ろ髪を惹かれ想いで福山を後に

初めて来てすぐに好印象になった酒場はめったに体験がないので、
ここは貴重、とても居心地よい酒場でした。

私が知る酒場も昼から営業「定食・酒」の同じような酒場があります。
もし私がそんな同業者の店主なら、
自分の店を連休にしてまで福山まで行脚し、参考にしたい手本のような酒場です。

おもてなし精神や肴のうまさ、温かい対応　程度がわかるイイご常連
ちょっとやそっとでは生まれない長い年月を歩んで来た重い財産

実は飲んでいる最中に他の常連さんにハプニングがありました。
そんな大袈裟な事ではありませんが、その時に言ったおかみさんの言葉は忘れません

「お客さんに育てられてここまできているから」

また福山に、自由軒に帰ってきたい。
もう寒くない　燗酒のせいかな　目頭も胸もなんだか暖かい