討ｺﾛ行　どこまで続くぬかるみぞ : 一平

どこまで続くぬかるみぞ
三日二夜を酒もなく
蔓延防止の口マスク
乾杯声も絶えはてて
贔屓の店の休業に
せめてランチと食べに来ぬ

一平さんは船橋の仲通りにある老舗店で、普段であれば早い時間から叔父様方は集まって大変な賑わいを見せる大衆酒場です。
船橋の飲食街はかなり面白くて、都心へのアクセスの良さから高所得の勤め人や若者を顧客にした洗練された店もある一方で、公営競技（ギャンブル場）や商売の地でもあることから、当店のような安価な大衆酒場が多く営業をしています。その中でも一平さんは65年以上の歴史を重ねてきており、現在の店主さんは3代目となっているそうです。

そんな当店も、コロナの自粛続きで大変な苦境にあります。
普段であれば14時（15時？）からお酒を楽しむ人で溢れる店内ですが、なんとランチの営業をしていました。特にメニューにある牛煮込みは当店の名物です。そういえば私も暫く居酒屋の料理も味わっていません。
たまらなくなって店内に吸い込まれておりました。

定食は刺身三品、小鉢、お新香、味噌汁に煮込みとご飯で700円（税別）の設定です。本当に頑張っていると思います。
歴戦の煮込みは辛くはないのですがとても濃密で、ご飯でも合いますが。。。やはりお酒が欲しくなります。熱燗とは言わないがせめてサワー飲ませてくれ…と思いましたが、このご時世ですからそうもいかないのです。

ところが、度々店には人が入ってきて
「酒出せないの？」
と聞いては立ち去っていきます。偶然ながら僅か20分の間に二組もおられました。
周りでは自粛無視で大儲けしている店は確かにあります。こんな悔しい思いをしている飲食店の店主さんは多いのだと思います。

帰りの際に無料サワー券をサービスで頂きました。
大切に財布に入れましたが使うことは無いと思います。
なぜなら、当店の250円サワーをタダで貰う気にはなれないからです。
通常営業に戻ったら、改めて夜に訪問させて頂ければと思います。

船橋駅および京成船橋駅は、船橋の市域としては南部地域にあり、東京湾に隣接する工業地帯への入口として機能するほか、東京（あるいは千葉市）へ通勤の交通接続点となっています。特に東京方面へは中心まで20キロ圏内にあることから、市域中部には広大な住宅街を抱えており、当地は未だに人口が増え続けているそうです。古くから商業も盛んな土地柄であり、朝夕は多くの通勤客が利用することもあって、街自体はかなり栄えていると言えるでしょう。

そんな中で呑兵衛が居つく場所は駅周辺には複数ありますが、京成船橋駅の南側には、特に歴史のある飲食店が連なる地域が存在します。
当店【一平】は、私も「いつか行こう」とは思っていたのですが、当然ながら人気店であることから満席で入れないことも多く、未訪のまま今日まで来てしまいました。

そんな中、夕方早くに知人と飲む機会が巡ってきました。１６時からのガッツリ飲みです。
そこで１軒目は、船橋地域でも良心的な居酒屋として有名な当店【一平】を覗いてみる事にしました。

京成駅改札を出て南に進み、１本だけ裏路地に入ります。
車一台が通り抜けるのがやっとの狭い道ですが、左右両側にはたくさんの大衆居酒屋が軒を連ねています。その中央辺りに当店【一平】の暖簾を見る事ができました。

店の中は…と、かなりの混雑具合です。ただ、奥の方には空き席があるようにも見えましたので、勇んで扉を開けてみます。いらっしゃいとの元気な声で迎えられました。

席は目の前に座るように指示されます。あれ？ここに詰めるの？！と一瞬戸惑いましたが、こういう店では店内ルールに従順であるべきです。カウンターの角を利用して、同行者と二人で斜向かいになって着席します。

奥の方はもしかしたら常連さんの席なのかな。
それとも、一見さんはまずは様子を見られるのかな。
・・・まぁ真相は分かりませんが、そういう事があっても不思議ではありませんね。

隣の先客が「この店は狭いんだよな（笑）」とニヤリとしながら、５センチほど詰めていただきました。客層を見るとひとり客が多いようで、隣席同士で気軽に話をする環境もあるようです。

そしてコートを足元にしまって席につくと、知人は壁に貼られたメニュー表を見て、目を丸くします。そして溜息をつきながら「安い」と、一言だけ呟きました。

そうなんです。当店ではすべてのメニューが大変お値打ちなのです。
まず生ビールが程々のジョッキではありますが300円です。サワーになるとレモンは250円、酎ハイだと230円だと記憶しております。
料理は当日のおすすめから掻い摘んで選びますが、季節の菜の花お浸しが300円です。まぐろの脳天も500円でした。牡蠣フライは420円。他にはハラス焼きを注文してますね。

夕方の５時にはいったん客が引いて、少しばかり静かな店内になりました。あと15分もすると、仕事帰りのお父さんたちで当店はとても込み合うはずです。ドリンクは確か４杯づつまで進みましたので、いったんお勘定にしようと思います。
料金は５千円にも届きません。一人当たり２千円と少し。

地域を代表するような大衆向け激安設定の老舗酒場です。
そう、酒場と表現するとぴったり来ますね。

ご馳走様でした。