追加　ビブグルマンとは言え　星の可能性を秘めた名店 : 鳥恵 上野広小路店

鳥恵が立派な店とは疑いもない事実。しかし「ミシュランを獲得」と。ミシュランの「星」を獲得では。雲泥の差がある。要はビブグルマンは某グルメ誌が。独自に掲載している。現在、ミシュランの星獲得。その焼鳥店は5店。調査員はこれでせいぜい。

ただ、この鳥恵はそれに匹敵する。しかも本店は予約困難。すでに黒門店と3号店が。魅力は、大山鶏や土佐ジロー。淡海地鶏などの鶏を。紀州備長炭で焼き上げ。さらに希少の高い部位も。スキルを持った焼き手が。1本1本丁寧に焼きあげていく。

店は分かりづらい。この辺り、上野2丁目と湯島3丁目が。微妙に入り組んでいる。要は上野広小路の交差点から。少しだけ湯島方面に歩き。右手に日高屋が見えたら。小さな道を左折する。すると大きな杉玉が見えてくる。これが目印。

メニューは5本、7本、10本の各セット。大山鶏は肝、ささみ、せせり、皮、手羽。なんこつ、だんご、はつという。オーソドックスなラインナップ。ほかに野菜串や稀少部位（はらみ、そりくちなど）が。一品料理も数種類用意されている。

焼きの技術はかなり素晴らしい。焼鳥はあくまでも「焼く」もの。レアにしたり、風味を入れたり。脂を落としたり。部位によって繊細さが問われる。最も大切なことは「焼き過ぎない」こと。この主人は十分な技量を有している。

●お通し、大山鶏ささみ、淡海鳥地鶏肝、京鴨、名古屋コーチン（せせり、皮）、淡海地鶏ハツ、スープ、デザート
○大信州 秋の純米吟醸 ひやおろし
○鍋島特別吟醸

地鶏に拘る焼鳥店として大変有名。このたびようやく訪問の機会を得た。上野の食を盛り上げるこの店は東京の貴重な焼鳥の担い手として輝くだろう

以下、詳しく

地鶏は和牛に負けないくらい日本各地にブランド鶏が展開する。比内鶏、会津地鶏、奥久慈しゃも、名古屋コーチン、大山鶏、土佐ジロー薩摩鶏などはすでに全国区。他にも60にも及ぶ地鶏が日本各地に存在していると言われる。この中で日本3大地鶏と呼ばれるのが薩摩鶏、名古屋コーチン、比内鶏。どれもかなり美味だが、残念ながらコスト面で焼鳥の材料としてはあまり使用されない。

あの伝説の鳥重（渋谷）は大山鶏を使用していた。比内鶏を使用している店もあるが、どの鶏を使用しているか。なかなか教えてくれない。1本100円～200円の材料は、やはり特別なルートで仕入れるのだろう。しかし、上野広小路近くのこの店はブランド地鶏に拘る。メニューを見ても大山鶏、土佐ジロー、名古屋コーチンと言った名前が目につく。

店は分かりづらい。この辺りは上野2丁目と湯島3丁目が微妙に入り組んでいる。地図ではなんとなく上野2丁目の交差点から向かうとなるが。実際には、上野広小路の交差点から少しだけ湯島方面に歩き、右手に日高屋が見えたら。小さな道を左折する。すると大きな杉玉が見えてくる。これが目印。重い引き戸を開けるとすっきりとした店内に。

この店はネットでの予約が可能。17時30分なら席があるとわかり早速予約して訪問した。カウンターとテーブル席。純和風でスタイリシュな雰囲気だが、照明など落ち着いている。カウンターの内側では主人が真剣に焼きに専念。１品料理もあるので若いスタッフが忙しげに働いている。メニューにはワインも数多く揃えているが、この日は日本酒にした。

メニューは5本、7本、10本の各セット。大山どりで、肝、ささみ、せせり、皮、手羽、なんこつ、だんご、はつというオーソドックスなラインナップ。地鶏と名古屋コーチンで、肝、せせり、ささみ、皮、手羽、砂肝など9種類。ほかに野菜串や稀少部位（はらみ、そりくちなど）がある。加えて一品料理も数種類用意されている。堂々たる焼鳥店と言える。人気のほどがうかがえる。

私はアラカルトで下記の6本の串とスープに皮ポン酢を。ただし、お通しとデザートは自動的に付いてくるようだ。この日は大山鶏、名古屋コーチンに加えて珍しい淡海地鶏。淡海とは古くからの琵琶湖の別称で滋賀県産。フランス原産の地鶏と日本在来鶏種であるロードアイランドレッドから生まれた。サッパリした旨い脂と肉の味の濃さが特徴。

すべて頂いた感想。焼きの技術はかなり素晴らしい。焼鳥は火入れではなく、あくまでも焼くもの。レアにしたり、風味を入れたり、脂を落としたり。部位によって繊細さが問われる。最も大切なことは「焼き過ぎない」こと。この主人はそのための十分な技量を有している。残念だった皮と、もし刺身でもあれば東京を代表する焼鳥店になるだろう。あの目黒の有名店を「焼き」では上回る思う。

○お通し
キャベツ、ブロッコリーすりみ、胡麻豆腐

○皮ポンズ
この皮ポン酢はかなり好みの逸品だ。皮を炙っているので他店のそれに比べてまるで風味豊か。
このひと工夫、ひと手間でこれだけになると感心した。

○大山鶏ささみ
大山鶏はふっくらジューシーな食感が特徴。 肉厚で弾力があり旨味豊かな鳥取 名産の地鶏。
そのささみはヘルシーでやや淡白だがレアに焼き、山葵で食べると旨み満点の幸せを感じる。

○淡海鳥地鶏肝
噂通り凄い逸品が登場した。他の名店の肝を凌駕する身質。柔らか過ぎず、プリンとして口の中で溶け出す。
あの赤坂の金舌の日本一のレバー刺しを思い出す。他の焼鳥の名店のレバーをはるかに凌駕していると思う。

○京鴨
京鴨は旨みのあるジューシーな味わいが特徴。登場したのはまさにその通りだが。
しかし地鶏肝の後では運が悪い。ただ焼きが上手なのでかなり満足出来る。

○名古屋コーチン
せせり、皮
日本3大地鶏の1つ。赤みを帯びた肉に適度に香りの良い脂肪で歯ごたえがよく、コクのある味が特徴。
せせりは首スジの小肉で希少部位。肉の内側がコリコリとしてジューシーな旨みと食感の双方を楽しんだ。
名古屋コーチンの皮は本来肉厚でもちもちしているが。登場したのは薄いややパリパリっとした皮だった。
もちろん脂身もあるが皮を焼き過ぎているので。私は焼鳥の「皮」はその内側の脂身とともに
一体で味わうのが美味しいと思うので惜しい。今回頂いた串の中で唯一、非情に残念だった。

○淡海地鶏ハツ
これは本物のハツ。あの鳥重の超ど級のハツよりは小粒だが味はひけをとらない。
プルプリで口の中で弾ける食感のその後の旨みで満足感は大。

○スープ
こってりと脂と旨みが引き立っていてかなり満足度の高いスープ。
○デザート
サツマイモの豆乳プリン

○大信州 秋の純米吟醸 ひやおろし
ややフルーティーな吟醸香が広がり、やわらかな口当たりまろやかな味わい。
上品でキメの細やかな味わい、後味はすっきり。

○鍋島特別吟醸
パールラベルの憎いやつ。本当に鍋島は美味しい。コクと旨みと芳醇なミネラルに圧倒される。
鍋島は日本酒のイメージを完全に塗り替えた。