ずしりと存在感を示しながら、上質な脂の旨さがスッと寄り添う「〆サバ 」  : 咲村

「確か、咲村の店主は、
   笹新の出身だったんじゃないかな？」


咲村さんに連れていってくれた先輩から、
先週、そんな事を聞きました。

そう言えば…
大衆酒場の伝統を静かに守る姿勢は、
相通じるものが有りますね！

しかし、咲村さんは笹新さんと違って
座敷も有りますから…

これからの季節は、
チェーン店とは違う、温もりに溢れた宴会を
愉しむ事ができますね♪


「開いた途端、今日のは違うと思いました！」

そう、若旦那が目を輝かせて語るので、
速攻で注文しました！
◆「〆サバ 」

うん！  これは、凄い♪

舌の上でずしりと存在感を示しながらも
すぐに舌に吸い付き、
上質な脂の旨さがスッと寄り添う。。。

生鯖の甘みや香りをちゃんと活かした
絶妙な〆加減が嬉しいですね。。。


「辛過ぎますか?」

◆「ナスの辛味噌炒め」は、
　若旦那が考案した、人気メニュー！

辛くはありませんよ！ 

柔らかな甘みがベースに有るから、
キリッとした辛みが
茄子の甘み、牛挽肉の上品な旨みを
程よく引き締めて痛快です！


「蟹入りなら、“蟹入り”って、
　メニューに書かなきゃ！」

そう女将さんに申し上げると…

「ウチのは、カニカマ！
    “もどき”だから省いてあります！」

大衆酒場らしい切り返しが、
愉しいですね♪

でも、 玉子のコクを活かす
ちょいと甘みを立たせ出汁の風味と…

カニカマの香りと充実した食感！
とっても良く合っていると思います♪


こちらは、お客さんの半数近くが注文している
大人気メニューです♪
◆「栃尾焼き」

外側はサッと焼きを入れて香ばしく、
中はふっくら、しっとり！

充分な厚みの中に、まろやかな大豆の旨みと甘み。

オヤジ心をがっしりと掴む優しさが有りますね。。。


こちらも毎回のように注文してしまいます！
◆「銀むつ煮」

キリッと
紫の香りと旨みを活かしながら
ほんのりとした甘さのタレが
何とも心を和ませ。。。

銀むつのトロッと濃厚な脂が
とろけながら、
強い香りが口中を覆い尽くす♪

煮魚の旨い店は、
本物ですね。。。


先代が培った大衆酒場の居心地の良さに、
若旦那が醸し出す新しい風！

今回も、
心地よく吹きわたっていました。。。


   

仕事帰りの“ちょい飲み”と言えば、
ついつい足が向いてしまう咲村さん。

まずは、夏バテしないように
馬力を付けたくて注文しました！
◆「馬刺し」

こういう綺麗な霜降りの馬刺しは、
久しぶりです。。。

舌にのせるだけで、
脂がとろけながら
スッ…と甘みを弾かせ。

しっかり脂がのっているのに
さらりと、
コクのある旨みが忍び込む！

このウマさ…
まさに馬刺しならではの醍醐味です♪


こちらには、
ちょいと油断していました！
◆「ハンペン焼き」

“単なるサッと焼き”
だけでの提供かと思いきや…

ふわっと解れて香しい香りが沸き立つ、
上質な焼き海苔を巻いて登場！

はんぺんの淡白な甘みと、サッと焼きの香ばしさ。
焼き海苔の心和ます磯の香り。。。

さりげないアプローチで有りながらも、
素材の相性の妙を存分に引き出した…
おだやかなる妙味を愉しみました。。。


ポピュラーな料理でありながらも、
丁寧な仕事が光ります！
◆「インゲンの胡麻和え」

サクサクと、
心地良い歯応えのインゲンと…
ギュッと濃縮した、
胡麻のコクと香り♪

インゲンの雄々しい蒼いチカラと
ゴマの輝くような旨みを
存分に引き出しているので…

夏の蒼いチカラが身体に沁みわたります。。。


いやあ…
ワンコイン以下でこれをいただけるのなら、
近隣の鰻屋さんは、震え上がるかも？
◆「うなぎも」

プルッと、ジュワッと♪

口の中で心地良く跳ね回りながら
濃厚な旨みとほろ苦さを弾かす、
うなぎも。

穏やかな甘さと
紫の粋な香りのタレ中で
うな肝の旨みや香りが解き放たれていて…

和の粋を集めたような、
そんな重層的な旨みに包み込まれる、
この歓び。。。


リーズナブルでありながらも
的確な調理を施されたお料理と
昭和の面影を残す、
心和む空間を愉しめる、実力店！

老舗が立ち並ぶ人形町界隈でも
この居心地の良さは…
特筆すべき存在ですね。。。

「下町の居酒屋のお手本みたいなお店です！」
私がそう申し上げると、

「そこまで言って下さるお客様、初めて♪」
…と女将さん。

常連さんは、こういう贅沢を享受し過ぎて
それが当たり前のように感じているのかも知れないけれど。

夜を彷徨う私のような人間の目で見れば、
咲村さんは…
真っ直ぐに丁寧な仕事を重ねて。

店主は、気取っては語らないけれど、
仕入れる物も確かです！

そう、
◆「まぐろぬた」に
トロを使うなんて、贅沢でしょう？

赤身だと思ってぬたを注文したら、
ドキッとしました。。。

その名の通りに
とろけるような脂のりの良いトロと、
キレのよい酢味噌の香り立ちの良さ♪

白味噌だけじゃ無い、合わせ味噌ゆえの
“下町仕立ての酢味噌”は
思わず唸りたくなるほど、美味しかったですね♪


咲村さんの煮物は、本当に心が解れる気がします！
◆「銀むつ煮」

脂のりが良く、旨みも有るから
西京漬でもよく見かけるお魚ですが…

西京漬でいただと、
時としてくどさを感じる脂のりの良さも。
咲村さんの“やんわりとした甘さ”で煮た方が
脂も旨みも熟れていて。

最強に…　いえ、最高に美味しい煮物です！


また、
◆「小松菜おひたし」は、
煮浸しのように、気取ってはいません！

香り豊かな削り節を、たっぷりとかけているから
シャキッと、ハリの良い茹で加減の中に
瑞々しい蒼さと、豊潤な節の香り、旨み♪

う～ん、粋ですねえ。。。


こちらもさりげないけれど、イカシテマス！
◆「イカ丸焼」

私は、アンチ“いきなり醤油派”！

まず、何もつけずに一口いただいて…
素材の風味と戯れたい方なんだけど。

こちらは“丸焼”って名前に反して…
フワッと柔らかく、香ばしく♪

イカの旨みと香りを凝縮させて
口の中が一気に豊かになる感じ。

ふふふ。。。
思わず笑みがこぼれてしまった所、
隣のオジサンに不思議そうに見られてしまいましたｗ


「これ、温めますか？　冷たいままが良いですか？」

店主に念を押された時、
最初は何の事か解りませんでした。。。

「イカ丸焼き」のすぐ後だったから
“焼きなすとピーマン”のつもりで注文したら
こんなに嫋やかなひと品でした！　
◆「ナスピーマン」

元は、「ナスとピーマンの味噌炒め」だった物を
キーンと冷やしたものでしょうか？

これは、温めなくて正解♪

味噌がしっかりと中まで沁み込んだナスは、
しなやかな食感を残しながらも
味噌のコクと旨みを活かして、
しとやかなパンチ！

ナスのコクと旨みと味噌の風味が
キリッと冷えた事によって
ジワッと舌に染み入るように響き渡るんです♪

「繊細なのに、香りもコクも奥深い！
白味噌と合わせ味噌ですか？」
「いいえ、普通の赤味噌です！」
…と女将さん。

“一人のお客”に徹するつもりが、事情徴収したくなるのは
私の悪い癖ですね。。。

まずは、存分に和の情趣にひたろう。。。

そして、食材が囁きかける言葉に
耳を傾けてみよう。。。

さりげないメニュー名で
さりげなく供してくれる、旨いものの数々！

居酒屋の王道を静かに守る
オアシスにどっぷりと浸るのも、いいですね。。。