立ち飲み焼鳥の渋い名店に燦然と輝くたたき生：江戸政 : 江戸政

とある友人に最近何か美味しいものを食べたかと
いつもの如く愚にもつかない事を聞いた時、
生のつくねを食べたのが美味かったと自慢されてしまった(被害妄想)。
一緒に行ったという共通の友人もあれは良かった等とのたまう始末で
私は居てもたっても居られなくなり、
その場でスケジュールを決めて訪問する事にした。

場所は両国橋西から隅田川沿いに少し南下した所にある。
最寄駅は東日本橋駅となるが浅草橋からでも歩ける距離。

一本斜めに入る道の入り口にあり、三角形の敷地をしている。
下町の名店と聞いていたのだが、
近頃リノベーションしたかのようなやや新しめの雰囲気。
ボロボロの老舗という感じではない。
そして表の看板には崇(?)御免　江戸政の文字。
崇(?)御免とはどういう意味だろうか。

この日、到着したのは土曜日の16時半。
17時開店なのでまだ誰も並んでいなかった。
結局、開店までにもう1人が並んだが、
当初の心配虚しくすんなり入る事が出来た。

さて、こちらは立ち飲み屋である。
白木の台車のようなカウンターがL字に配置されているのだが
全部で10名程が入れるくらいだろうか。
棚があって物を置けるようになっているのが良い。

厨房では焼き台が真ん中にあってご主人(二代目)が付きっきり、
配膳等はすべて奥様がご担当されている様子。
上の階がご自宅のようで小さなお子さん二人も
ちらっと厨房に顔を出したりしていた。

通された奥のカウンターの背中の壁には
沢山の力士の手形と鰻の絵が描かれた色紙。
両国が近いのと鰻を提供していた名残だろうか。
(今はわからないが少なくともこの日は鰻は無かった。)

早速、瓶ビール(スカイツリーバージョン)を頂く。
こちらは飲み物だけキャッシュオンデリバリーなのでその場で精算。
ビール、日本酒(白鶴だったかな？)、ウーロン茶、コーラ等。
最後に常温で日本酒も頂いた。

そして食べ物は何も言わずとも焼鳥串が3,4本が来るので待っていればいい。
最初に生か焼きかを聞かれるのでそれに答えるだけだ。
で、その生だとか焼きだとかというのはたたき(つくね)の事である。

こちとら生が目当てで来ているのだから当然生。
その注文を受けて奥様が冷蔵庫から取り出したるは本当につくねの元。
それをタレを張った小皿に載せて薬味の粉ワサビと共に供される。
見たまんま鶏団子という感じだ。

一人前で二つ。
一口頂いてみるとこれが大変美味。
新鮮な鶏肉は臭みがなくややねっとりとしている。
それに甘めのタレと山葵につけると絶品。
鶏肉自体あっさりしているのでまたスイスイ食べられる。
ビールがどんどん無くなる悪魔の取り合わせ。

一方、焼きはレバー、たたき、ハートスタミナ、焼鳥の4本がお目見え。
たたき以外は大振りに串打ちされていて迫力満点。

レバーは甘めのタレがよく絡み、ぶりぶりとした食感。
やや半生めに仕上げてあってこれだけでも来る価値はある。

それに比べて意外とたたきは普通。
悪くないのだがやはり生と比べると見劣りするか。

セットのラストはハートスタミナと焼鳥。
ハートスタミナはハツと正肉のサンド。
焼鳥はネギマである。
いずれも大振りだが実に悪くない。
むしろ好みなワイルド系焼鳥である。
ホフホフッと頬張ってビールで流しこむのが吉だ。

気を良くしてピーマン肉詰め、ふじ、たたき生を追加。
ピーマン肉詰めはたたきを詰めてある。
これはそんなに大きくないしほどほど。

ふじはハツの周りの肉だそうだが
如何にも鶏ホルモンといったクニクニ感。
言われてみるとハツっぽい感じもあるかな。

で、再度登場のたたき生。
最初よりさっぱりとした印象でマグロの中落ちをすいたよう。
チビチビ食べずに口いっぱいに頬張るのも良い。

横で友人が食べていたカワも非常に魅力的だったのだが
お腹も結構膨れてきていたのでここらで打ち止め。

結局、我々の他はお一人様が二人とカップルが一組で
土曜日はそこまで大賑わいという訳でもなさそうだ。
だが、ひっきりなしに電話がかかってきておみやげを作っていたのが印象的。
取りに来る方々も手慣れた様子だったし、
それほど地元に密着しているお店という事なのだろう。

そのおみやげのせいかは知らないが
開店30分の時点で既に売切れメニューも続出。
恐らく無駄な仕入をしてらっしゃらないのだと想像するが
これは開店と共に入らないと行けないという事に他ならない。
開店と共に入るに越したことはないだろう。


さてビールに日本酒、それなりに焼鳥も頂いて2,500円程。
CPも素晴らしいが、たたき生の他、焼鳥もしっかり美味しい名店である。
一人や気の置けない友人とじっくり楽しみたい。
帰り際に隅田川越しに見えるスカイツリーも格別だ。

また行きます。