美しき現代女性の微笑 : 芦屋アヴェニール

兵芸におけるコンサートの前に立ち寄りました。
阪神*打出駅から歩いて5分程度でしょうか。
一戸建てのお店であります。
グラシューズレゾナンスとは、優雅に心に響くひとときを意味し、それを理念系としているようだ。
店内はテ-ブル席のみ。
外観はアットホ-ムな感じでありますが、わりあいシックな店内であります。
流れている音楽は軽めのクラシック。ラベル*ドビッシ-*ショパンでありましたか。
個人的には、嬉しい限りでありましたが、関西のフレンチ店では、ジャズが多いのは事実。
その辺は関東圏と対照的であります。
これから、クラシックの演奏会に出かける前のひとときとしては、嬉しい限りでもあります。
今のところ、接客の中心は、マネ-ジャ-ひとりの体制。
一流店を渡り歩いてきただけに接客にいささかの問題はない。
ある程度の距離感をもって接する過不足ないサ-ビス。
ただ、真面目すぎるので、誠実さは伝わるのだが、接客の難しいところであるがもう少し遊び心がすなわちウイットに富んだ会話があると面白みもありより楽しめる部分もあるのだが。
ただ、いまのままでも十分対話はたのしめるのであるが。
唯、これで、満足して欲しくない部分もある。
シェフは、元ケザコのステファン*パンテル氏の下でス―シェフとして、8年間支えてきた木村　純氏。
料理を味わったスタイルとしては、主に指向性としては、現代的な女性を意識した現代風フレンチのスタイルにあるようだ。
当然のことながら、それにつきるわけではないのだが。
ランチタイムは、2800円　3800円　5000円の三種類あり、その内容は、月替わりで楽しめるようだ。
スタッフ全員でメニュ-の内容の検討*検証をするそうであります。
ランチは、サ-ビス料金はありませんが、外税であります。
真ん中のコ―ス選択。
その内容は，アミュ-ズ*前菜*スープ*メイン(魚かお肉の選択)*デザート*ドリンク*お菓子*7品ついて、4000円程度は、なかなかのコスパ。
厳選した素材の味を生かした軽い優しい味わいで、構成されている。
ステファン　パンテル氏のスタイルをベースないし意識してより純化し正統派としてのフランス料理をよりしなやかに、軽やかに現代的に構成している印象が総じて感じた次第であります。
ただし、起点としては、一種のモダン*クラシックの流れに在るようだ。
料理の内容を簡単に記載しましょう。

***玉葱のフラン*黒トリュフの香り(3.7)***

淡路産の玉葱をフランにして、うえにはバ-ミックス。フランのなかには、刻み玉葱*黒トリュフ。淡路の甘みというよりもむしろ酸味を生かした味覚に黒トリュフの土っぽい香りが軽やかに舞い踊る。牛乳*バタ-のコク感じる味わい。

***北海道産帆立貝と天使のえびのロ-スト　甘みを増した人参のヴァリェ―ション(3.6)***

某国の買占めにより天使のえびの入荷も難しくなり値段の高騰も避けられない状況であるそうだ。比較的安価で食べられるのは今の内らしい。天使のえびに人参を薄く巻いて軽くあげたもの。それに、さっと火入れした帆立貝。金時や黄色*紫人参のつけあわせでそのヴァリエ―ションを楽しむ。ソースはオレンジの酸味に人参の甘みを生かしたソ-ス。アクセントのビスタチオ

***形を変えたカリフラワ-のスープ(3.7)***

素材の味をひきたて軽く泡立てたカリフラワーのスープに具材的なロマネスコ*カリフラワ-を浮かべス-プとともにかみ締めながら飲む。
バタ-*牛乳のニュアンスあるものの、総じて軽やかな味覚の構成。

***鳥取産メスの鹿腿肉のロ-スト　マルメロのピュレとタスマニアペッパ-ベリ-のソース(4.3)***

低地網で捕獲した雌鹿を2-3週間熟成させたものを65度の低温でじっくりと時間をかけて調理したもの。うえにはタスマニア産黒コショウ。付け合せは、万願唐辛子に鹿のキモ+フォアグラ+豚のミンチを混ぜ込み詰めたもの。それに繊維質を生かしたごぼう。マルメロ-のピュレ*ミルクとジンのバ-ミックス*ジュドシェーブルを中心としたベリ-系のソースの組合わせ。柔らかく臭みのない味覚の肉質は、かみ締めるほど、自然の甘みが感じられる。柔らかく優しくも肌理の細かい繊細な肉質。アクセントとしての黒コショウのマイルドな苦味*軽やかなジンをきかせたミルク風味のバ-ミックス。ザラッとした触感の梨と林檎の混合したような甘みと酸味の感じるマルメロ-のジュレ。軽やかで甘みのある臭みの感じられない優しいミンチと、万巻唐辛子のうまみが、主役たる雌鹿の存在感を生かしながら、インパクトのある脇役のあり方を指し示す。

***二種の物語　ビタ-チョコレート　チェリ-とヴァニラ(3.8)***

ロミオとジュリエットのように。寄り添いながらも反目しあう相関関係。それは、男女関係のひとつのありかたでもある。バレンタインの恋人達をイメージして、創作されている。赤ワインで煮たアメリカンチェリ-のジャムとヴァニラのアイス。卵白と粉だけで、作られるチュイ-ﾙ。カカオ64パーセントの苦味の感じるチョコレ-トに生クリーム挟んだチョコケ-キ。甘い関係にもほろほろと苦味の感じるものである。

美しき現代女性が可憐に優美に微笑みかける。それは、なんともいえないひとときをうみだす。それは、美しき時間の新しき恋の予感のひとときかもしれない。