なんだかんだでオンリーワンなそば : 蕎麦処 おおくぼ

年越し代わりにいただくおそばは変人のお店で。
辞める辞めると言いながらもなんとか数年続いています。
相変わらず話が長く小麦嫌いのご主人。そしてお店の汚さは増している。本当に汚いです。
ほぼゴ…（自主規制）。
これがダメな方は本当にダメなお店です。潔癖とか、ハウスダスト的なのが苦手な方とか。
実はお店の汚さは結構気にしているみたい。「出来ないよ」って、お店少し休んでも良いからやんなさいよと。


北陸以外でもそばを食べる機会は増えましたし、江戸前のそば切りも食べたりしましたが、
なんだかんだでオンリーワン。多分このおそばは特殊なんでしょう。
「昔は白髪そばなんて言われて長寿に縁起の良いものなんだ」
と言われながら出されるしらゆきは本当に白髪のような細さ。素麺よりも細いんじゃ無いか。よくこんなに細く切れるもんだ。
わずか茹で時間10秒程で出されるおそばはやはりここでしか食べられないもの。
水気をあまり切らずにポンとざるに乗せて出されますが、確かにこちらのおそばはすぐに乾きそうなので
少し水気を残したままの方が良い気はします。
細くてエッジがピンと立ったおそばはほんのり甘く、また新そばなので香ります。
多分消費期限は短いです。すぐに食べるのが多分正解。ところが長話でそれを邪魔してくるのが他ならぬご主人という罠。
一緒にいなかもいただきました。こちらも細い。そしてこちらはよりそばの香り、味が濃い。
当然どちらも10割そばです。何割って話をし出すとまたご主人の話が長くなる罠。


お店の汚さ、長い薀蓄に愚痴とハードルは高いですが、気にならない方はどうぞ。時間はかかります。
多分ここは他のお店並に綺麗なお店にしてスタッフ雇って少しアクセス良いところに出したらそれだけで流行るお店。
色んな意味でいつまでやってるか分からないので注意。あと初訪のお客は記帳しなきゃいけないです。

2015年12月再訪。


福井県の蕎麦変人のお店に再訪。
相も変わらずのぐちゃぐちゃなお店へ。
清潔感は0ですよ。

ご主人の奇人ぶりは相変わらず。
「イタリアじゃパスタあんまり食べない」
「本当に十割の蕎麦屋なんて殆どいない」
「福井じゃ蕎麦屋は…（自己規制）」
「ラーメンなんて…（自己規制）」
「兄弟弟子…（自己規制）」
と、やはり自己規制する事だらけ。

と、ここでご主人。
「今シーズン一杯でお店を辞める」
的な事を。
えええっ！？
これは残念だなあ。
本当かどうかは分かりませんが、最後かもしれないのでじっくり噛みしめないと。

今回はしらゆきとせいろを。
新そばなので少し緑がかっているところを見せてくれました。
茹で時間は先に宣言した通りたった10秒程。
この姿の美しさは流石。
蕎麦の香りは今回より強く感じられました。
中々味わえない味で、完成度はとても高いです。
せいろもやはり10秒程の茹で時間。
鰹をしっかり効かせたキリッと濃い目のつゆ。
様々な種類の塩もあり、これでいただく事も出来ます。

長い講釈が入るため食べるのに困るかもしれませんが、
お話を聞きつつ強引にいただいても良いと思います。
一気に食べても怒られるけどすぐ食べなきゃそれはそれで怒られるし（笑）。


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2014年5月初訪。


9月までお休みに入ってしまっていますが書きます。


花堂(はなんどう)にある小さなお店です。
｢ベル(平和堂)があるあたり｣と書いた方がわかりやすいかも？
山に沿った住宅地の奥にあり、これを初見で見つけるのは結構至難。

雰囲気のある外観ですが、中はぐっちゃあぁ・・・。
雑然どころか物置です。
骨董品や書物で溢れかえっています。
カウンターの上も物が散乱しており、
お店を畳んで十数年経ったらこんな感じだろうな、という装いですが営業しています。
ご主人、なにも言ってくれないので何処に座ればいいのか困ること。
カウンターしかありえないのですが、それほどに汚いです。
こちらでは最初に名前を記載する仕組み。
小倉の天寿し京町店さん以来だなこのシステム。
あちらでは最後に記帳でしたけどね。

年輩のご主人は皆様が既に書かれているとおり、かなり濃いキャラ。
元アナウンサーだったそうで、物腰が柔らかく知性を感じさせる喋りをされています。
その方が理路整然と語られるのは日本における蕎麦の成り立ちから小麦の食文化の歴史、
そして福井の蕎麦を中心とした現状に対する愚痴。
このあたりも皆様が書かれているとおり。

｢福井のそれは蕎麦でなく饂飩｣
｢つゆも饂飩のつゆ、そしてそのつゆは・・・(自主規制)｣
｢越前おろしそばは十数年前に作られたもので昭和天皇が食べたものとは違う、そしてそれを作ったのは・・・(自主規制)｣
｢元々パンはギリシャでは・・・(自主規制)だから私は・・・(自主規制)｣
｢福井の料理は・・・(自主規制)｣
｢あのお店は・・・(自主規制)｣
｢北陸新・・・(自主規制)｣

と、自主規制しなきゃいけない内容だらけ。
また、こちらでは県内より県外のお客さんの方が多いんだそう。
このあたりも愚痴が入りましたが、このあたりも自主規制。
とまあ書けないことだらけです(笑)。

さて長くなりましたが料理です(体感的にもそれくらい長かったですが)、｢せいろ｣｢しらゆき｣｢いなか｣の3種類。
どれにするか決めかねていると、全種類少しずつ出してくれました。ありがたいです。
｢しらゆき｣｢いなか｣｢せいろ｣の順番だったかな？せいろといなかは逆かも。
どれもかなりの細切りで、ほんの十秒程釜のお湯にくぐらせただけで茹で上がりでした。
｢本来はこんなもので十分なんだ、福井では何処も饂飩だから時間がかかるけどね。｣
との愚痴も入ります。
出てきたしらいとは所謂更級。白く透き通り、本当に綺麗な色をした十割そば。
｢まずは何もつけずに食べて欲しい｣とのことで、そのままでいただきます。
見た目通りに表面はつるつるでピンとしていて、十割蕎麦独特の歯触りの良いくみくみとした食感の中、
蕎麦本来の香りと仄かな甘みが感じられます。
そこからは辛めのつゆをほんの少しだけつけていただきます。
鰹ベースのシンプルなだしですが、さわやかに蕎麦を引き立ててくれます。
｢饂飩のつゆと蕎麦のつゆは構成が違うんだよね～｣
とここでも講釈が入ります。
薬味は｢出したくないんだよね｣と愚痴りながらも刻みネギ(白)とわさびが出されました。
でも確かにこの蕎麦には必要ないかも。
私は使いました。だって勿体ないんですもん(笑)。
次来たときはいらないって言おうと思います。
ただ口直し程度に摘むのが良いかと。
ちなみに｢こいつ分かっているな｣と勘違いしてくれたのか、｢こいつに言っても無駄｣と思われたのか(笑)、
何故か全くといっていいほどダメ出しはされませんでした。
｢いなか｣は殻ごと挽いた所謂田舎そば。色黒で繊細なしらゆきに比べると野趣溢れる味ですが、香りはより強いです。
｢せいろ｣は甘皮ごと挽き込んだもの、で良いのかな？
こちらはしらゆきとせいろの中間の印象。しなやかでバランスは一番良いかも。
食感もそれぞれ微妙に違います。
このあたりはお店で体感してみてください。


間違いなく美味しかったですし福井で食べた中では一番好みでしたが、
色んな意味で時間が超かかるお店です。
2～3時間は覚悟しましょう。
デートには決して向きません。一人で行くのが最適かも。


蕎麦の季節でない6月～9月までは(早いときには5月下旬には)お休みになるそうなので要注意。