パンを買いに@京王三大パン屋 : Breadal one

2018.1.16　12:00
私は千歳烏山にある事務所にいた。
いつも独りでいるのだが、
このときは珍しく同僚やバイトさんがいて
賑やかだった。

そこでバイトさんがふと声をかけた。

...banetteってさー、いつも休憩中いなくなるじゃん？
どこで何を食べてるの？

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実は、知られたくなかった。

私は食べることが好きなのに
学生の頃から太ることを拒否し続けた結果、
食べすぎてはならない、
また食べた分は運動して消費せなばならないという
変な固定観念が定着してしまった。
だから毎日激しい運動して、
朝昼か朝夜か、一日2食ということにしている。

ずっと座っていることが我慢できない。
それは多くの人に当てはまることなのだろうけど
私の場合、太ってしまうという恐怖感に見舞われる。

だから休憩時間を使ってウォーキングしている。
何も食べずに。
夕飯食べないと決めた日は
ランチにいってるんだけど。

ここbreadal oneは
京王三大パン屋のうち一つ、
初回訪問時「パン野郎」と名付けて以来
パン野郎って呼んでいる。

週に2回、2時間×2回しかやっていないのだが、
事務所から歩くと徒歩20分、
ウォーキングには好都合だ。
お店がやっているかどうか関係なく、
ここまで来ては折り返すということを、
日々日々繰り返していた。

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私はバイトさんに、
...食べてない、ひたすら歩いてます
と言ってしまった。

それで何も宛もなく歩いているというと
変人だと思われるだろう。
だからパン屋巡りしてます、と適当に言っておいた。

するとバイトさん、
どこか美味しいの？と問うてきた。
私はまだ一回しか買ったことないのに
ブレッダルワンと答えてしまった。

すると
パン買ってきて
とお願いされた。

ふっ、それが狙いだったか。

まあ、嫌なことではない。
もし嫌だとしても、
向こうはお店の営業を知らないわけだから
やっていませんでした、と嘘をつけば
買わずに済む話だ。

営業しているかどうかは調べなかった。
滅多に開かないところだから、
開いてなくてもいいやと思っていた。

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ところが。
やっていた。
しかも行列はない。

まあ、ここで引き返せば
買わずに済むはずなのだが、
滅多にやってない店がやっていたことに、
とても嬉しくなってしまって、
つい店内に入ってしまった。

店内に入ってしまったらもう戻れない。

食パン300円←バイトさん用
メロンパン180円×2←バイトさん&同僚用
たまご食パン390円←自分の朝食用

事務所に戻り同僚とバイトさんに手渡すと、
彼らは満面の笑顔。
ずるいよ、
彼らは何もしていないのに、
それを見ると買ってよかったと思ってしまう。

バイトさんは30秒でメロンパンを完食し
レモンピールが香る、美味しい！
と満面の笑顔で言った。

残念なことに、
私にその味はわからない。

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翌朝のたまご食パン。
家族でシェアようと5等分すると
あれまあちっちゃく薄くなっちゃったよ。
この大きさならば2枚はいけちゃうくらい。
流石はウチらは貧乏家族だね。

断面はほんのりプリン色、
これこそ駄菓子の卵パン。
しかし甘さは卵パンよりずっと抑えられる。

カレーのナンを想像するといい。
あれぐらいの甘さかしら。

噛みつくとふかふかとしているが、
口の中でぎゅっと圧縮され、重みを増す。
ミミはしっとりと。
パリパリのクラストとは違って
いつまでも口の中に居続けては、
小麦の風味を充分にひろげてゆく。

端をちょっと切ってトーストすると、
水分が飛んだのか、
ずいぶんと軽くなってしまった。
口に含むとパリっとした瞬時にきえてしまう。
まるでairだ。

そうか、これは元々
カロリーゼロだったんだ。
殆どが水分だったんだ。

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今度は歩くついでに
沢山買って（それも自分用）重い袋持って、
足だけでなく腕のトレーニングをしよう、
ついでに食べて顎のトレーニングをしよう、
なんて考えた。

ご馳走さまでした。

京王線三大パン屋（非公認）とは「AOSAN」（仙川）、「Pain Tres Cher」（国領）、
そして「Breadal one」(千歳烏山)。

営業日は4日（火水木金）、営業時間は4時間（12：00～14：00、17：00～19：00）
しかし「Breadal four」ではなく「Breadal one」。

「Breadal」はbreadに形容詞の接尾語-alをつけた造語であり、「one」は「やつ」の意を持つ、
つまり和訳すると「パン野郎」になる。

...って、意訳しすぎ、絶対に違う。
そもそもここの「やつ」って人称じゃないし。

2018.10.30　11:00
私はチトカラの小さな事務所にこもり、
独りPC と向き合っていた。
電話が鳴ると、受話器をとる。
それが、1回ならいい...仕切りに続くから辛い。
声の主は、私の心情など分かる由もない。
私が他の課題に追われていようと、
私が分からない問題であろうと、
躊躇なく私に課題押し付ける。
私は独りだから、
その全てを背負わなければいけない。

11:30
この野郎。
パン野郎。
私はついに電話機の「留守電」ボタンを押した。

11：50
駅南口から西側へ、線路沿いに約10分程に進む。
OPEN10分前にして4名の列ができていた。

12：00
open。店内は狭く、3人が限度。
オーダーが入ってから食パンをスライスするため、
列の進行は遅い。

私は貧乏であるが故に、
食パン一斤と決めていた。
しかしほとんどの菓子パンは200円以下でアメリカンサイズ。
世田谷区にしては、
いやパン屋全般と考えても、極めて良心的である。

私は先客の注文に耳をすませていた…

「食パン2斤、クリームパン、あんパン、栗パン、チェダーチーズとほうれん草」
「食パン3斤、卵食パン、あんぱん2個、クリームパン2個」
「食パン2斤、ロールパン5個、ぶどうパン5個・・・」

どうしよう、みんなすんごい買う、
この流れに従って、大量買いしたいところだが、
そうすると財布が空っぽになる。

しかし「食パン1斤」といったら
「…それだけ？」
っていう流れになろうか、
周りから痛い目で見られることは分かっている。

いや、頑張るんだ、banette、
食パン1斤で突き通せ。
お前は人気No.1より裏メニューが好きで、
多数派がすることより少数派がすることを好む、
「誰もしたくないことをしたい主義」だろうが、
痛い視線には慣れているはずだ。

12：05
先客が、食パン2斤を持って行った。
優しそうな女性店員が「次どうぞ」と仰ると、
私は緊張しながら、1歩前進した。

「先ほどの方が持って行った食パンを１袋ください。以上です。」

「…それだけ？」と思われたろうか？
店員の顔を窺うと…笑っている。
客の目は…こちらを向いていない。

やった、KYにならずに済んだ！

12:20
私は、歩きながら食パンを取り出した。
どうしよう…
何も考えずに「5切れ」と言ってしまったが、
…厚い。
…カロリーが。

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食パン1斤　300円

これは、天使の羽根みたい。
手にもつと、とっても軽く、
ちょっとした圧力でペチャンコに潰れてしまいそう。

これだけ軽ければ、
ゼロカロリーだ。

とにかくふわっふわ。
噛むとぎゅっと縮こまり、
水分が多い故に、ぷにゅぷにゅとした食感。

ほんのり塩気を帯びるが「しょっぱい」とは表現しがたい。
小麦の甘みがあるが、「甘い」とは表現しがたい。
あえて表現するならば「小麦のうまみ」だろうか、
白米の風味に似ている気がする。

パンの耳。
苦手なチビッ子はここを綺麗にとって、
真っ白なクラムだけを食べている。
確かに、いつも食べている食パンの耳は、
硬くて、なかなか口の中で消えず、
モサモサとした感触を残すんだ。

そんな子に食べさせてあげたい。
むっちりとして、歯切れよく、
香ばしいと感じた間に消えてゆく。

半分切って、トースターで3分焼いてみる。

すると全面カリッカリ。
どこを噛みついてもカリッカリ。
その食感が強いために、
中身のふわふわは弱められる。

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とにかくふわっふわな食パン。
5切れなんて全く大した量じゃない、
寧ろもう一枚食べたい...と思った。

いつもこの繰り返しだ。
また、こんなレビュー書くんだろう。
パン野郎。

ご馳走さまでした。