同じ蒲田でもいっぺこっぺよりはるかに上のかつ丼クオリティです。 : とんかつ 大希 蒲田

今年のとんかつの食べ納めとなりました。
今年＝2023年に訪問したとんかつジャンルのお店の数はこれまで21店で当店を入れて22店目になります。
概ね月2店のペースということになりますので、こんなものかと思います。

22店について、食べログの評点順に分類すると、3.5点超えのお店は僅かに5店で、3.4点台が10店とボリュームゾーンとなっています。
以下、3.3点台3店、3.2点台以下4店です。

22店のうちとんかつ百名店2022の選出店は3店。
松戸の「とんかつ とみた」、つくばの「とんとこ豚」、そして西船橋の「とんかつ 栄ちゃん」が該当し、当然これらは食べログ評価も3.5点超えになっていますが、これらを抑えて最高の評価をしたのが、暮れに行った三田の「とんかつ 芝」でした。
とんかつ芝は、食べログ評価3.47点でしたが、もう1店、東武練馬にある「とんかつ ひなた」も食べログ評価は3.5点未満(3.49店)ながら、私の評価では2023年の第4位につけています。
そんなことで、食べログ評価で百名店を伺う地位につけているお店にはなかなかの優良店が多いということを改めて感じることになっています。

この日、4年振りの大井競馬・東京大賞典の観戦となり、験担ぎで訪問した当店も食べログ評価は3.59点ですから、百名店には選定されていないものの、それを狙える地位につけていると言ってもいいと思います。

2021年10月オープンですからまだ創業2年そこそこのお店ながら、この評価ですので有望株ですよね。
食べログの他、いくつかのグルメサイトの会員になっている点にやや引っ掛かる点はありましたが、場所が大井競馬場に行くのに通り道になる京急蒲田駅近くということもあり、この日チャレンジしてみることにしました。

当店を経営しているのは、有限会社M'sリビング。
代表者のMさんは、1968年、東京都生まれの実業家で、大学卒業後は証券会社に就職します。
証券営業マンとして4年半勤務した後、1995年に京急蒲田駅前に「Trattoria M's」という魚介系イタリアンのお店をオープンして飲食業界に参入しました。
2016年には姉妹店として「旬魚介×串揚げ Kushi‐Toria M’s 蒲田」をオープンしますが、同店は新型コロナ禍の影響もあって長続きせずに閉店となり、代わりにオープンしたのが当店ということになります。

当店の場所は、京急蒲田駅直結の商業施設「あすとウィズ」の2階になります。
当店のランチタイム営業は11時からですので、馬場入り前にちょっと早めのランチをとることにし、11時で予約を入れて伺うことにしました。

11時ちょうどのお店への到着で、店頭に並んでいた先客は1名のみ。
店内は、カウンター席6席とテーブル席ですが、私は確保されていたカウンター席の端に座りました。

卓上にはメニューがあり、トップメニューは白ヒレカツになっています。
どうやら低温で揚げた白い衣のカツが名物みたいですね。
本来ならこれを食べるのでしょうが、この日は競馬前ということもあり、何となく気分的にかつ丼にしました。
かつ丼は、雀荘で出前をとる時の定番食事の一つでもあり、やはり賭け事にはかつ丼というイメージがあるんですよね。

かつ丼には松@1,800円と梅@1,500円がありますが、せっかくなので松にしました。

待つこと5分ほどでキャベツが先出しされます。
特に先出しをお願いしたわけでは無かったのですが、これが当店の暗黙のルールのようです。
キャベツのドレッシングは卓上に3種類用意されています。
味噌、梅、黒酢の3種類で全て試しましたが、黒酢がダントツで美味しかったですね。

かつ丼の提供はキャベツから11分ほど要しました。
メインのかつ丼に漬物と味噌汁が添えられています。

かつ丼は、厚切りのロースかつが5切れ乗っており、ご飯に玉ねぎと卵を絡めた上にかつが乗っている感じで、そのため、かつは揚げたてのサクサク感が生きています。
そのかつの厚みは、一番厚いところで2cmくらいはありそうですので、5切れで120～130ｇくらいはあると思われます。
中心部にほのかにピンク色が残る揚げ具合で、とても柔らかくて筋切りがしっかり出来ています。
かつ丼にしているのでやや目立ちにくいのですが、衣はやはり白っぽく揚がっており低温揚げでじっくり揚げ、だから時間がかかったのだと思います。

玉ねぎと卵の絡み具合も、玉ねぎのしゃきしゃき感が生きており、卵は半熟でトロッと仕上がっていて、職人技を感じます。
厨房を見るときちんとした職人さん風の方が調理を担当しており、比較して申し訳ないのですが、同じ蒲田本拠ということで言うと、外国人のマニュアル調理に頼っているいっぺこっぺ（とんかつ檍系のかつカレー、かつ丼専門店）とはこの点で大きく異なります。

漬物も糠漬けで美味しく、味噌汁は豚汁ではありませんでしたが、豆腐とわかめの味噌汁できちんとダシの取られたものです。

厨房ではご飯を羽釜で炊いている様子も見え、本来ならヒレかつやロースかつの定食を食べると当店の実力が更にはっきりしたと思われますが、かつ丼でもそのクオリティの高さは十分に感じることが出来ました。
今回は予約して伺いましたが、年末の混雑時期に当たると思われるこの日でもそれほどの混雑は見られませんでしたので、穴場店としての魅力もあると思われます。
とんかつ檍がチェーン店化してあらぬ方向に進んでいる現状はありますが、やはり蒲田エリアのとんかつのポテンシャルは高いんだなということを改めて感じました。