良心的な一皿の量 : ルーチェ ダイニング＋

再訪
初訪問の齢では、プリモにペッシェとカルネを足しても平らげていましたが、加齢が進んでプリモとセコンドで満足するようになりました。いえこちら様は一品の量がなかなか多いのです。大は小を兼ねるということでしょうか。不足に終うよりは良いと思います。とは言えアンティパストミストのひとくちが訪ねる毎に小さくなってゆきます…

◇アンティパストミスト(抜粋)
・野菜のテリーヌ　オクラとヤングコーンの断面が目を引きます。夏らしく涼しげなのではありますが、やはりゼラチンが溶けて口に運びにくいのは指摘します。
・ミートローフ　細かく施された肉の食感はとても滑らかでした。これまでこちら様の前菜に見たことが無かったので挑戦だったのでしょうか。おいしかったので次もあると嬉しいです。

◇プリモ　魚介のスパゲッティトマトソース
たくさんの浅蜊と、ムール貝を一粒含んでいました。他の魚介は烏賊と海老を若干量含むのみでした。パスタはトマトソースと良く馴染んでいました。それほど熱くはありません。拠ってアルデンテを過ぎていても余熱でのびることはありません。

◇カンパチのポアレ柚子クリームソース
皮目は焦げる寸前でした。しかしながら苦くないのは流石です。苦いまでに焼かれていない皮にさくっとナイフが入る様を見てとても驚きました。あたかもナイフの重みで皮が切れて、厚みのある身さえも崩さずカットできたのは素晴らしい調理です。カンパチは量感がありました。脂に過ぎず少なからず良いバランスでした。柚子があまり香らなかったとはいえ、クリームソースが全体をまとめていたのはよいものでした。ガルニチュールのじゃがいもの素揚げもねっとりとして舌触りのよいものでした。

◇いちじくのタルト
ドルチェはこちら様の醍醐味なのです。10種ほどのケーキから一品選ばなければならないとは何と豊かで自由な国なのでしょう。しかしながらアベ君が早々に退かなければその自由が脅かされると考えると危険な気がしてなりません。いちじくの木は子供の頃からよく観察していました。幼稚園へ通う道すがらに植えられていたのです。子供ながらにも花を開かずに実をふくらませる様を不思議に見ていたものです。しかしその断面のビジュアルはまるで人体解剖図(現代風に言えばCTスキャン画像でしょうか)を想起させてグロテスクに感じてしまい喰わず嫌いになっていたのです。大人になってその誤解は解けました。長い年月を経たものです。戯言が過ぎましたね。そのような感慨に浸りながらのいちじく堪能タイムです。スライスされたいちじくは円錐を成すよう綺麗に飾られていました。いちじくの酸味や細かな種の歯触りが感じられなかったのは残念です。イマドキはこういう桃のようにとろけるいちじくが好まれるのでしょうか。いちじくは表面を覆うだけかと思いきや、食べ進むとタルト台とフィリングの間からドライいちじくのペーストが現れてまさにいちじくだと驚かされました。生よりもドライドのほうが印象が強く残りました。


総合☆２．７
前回まではこちら様の隠れた名物「フルーツベリードレッシングのサラダ」はプリモとセコンドの間に提供されたと記憶しています。今回はお給仕の方の不慣れもあったのかアンティパストとプリモの間に提供されて「あれ？」と感じました。今回はブルーベリーのようでしたし、季節によってストロベリーが用いられたりする、必ずベリードレッシングの赤が鮮やかな品にも目を向けていただきたいと思います。順序は不問に付します。


パティスリーの存在は以前から気づいていました。
その奥に洒落たリストランテ(と言っていいものか？)があったとは知りませんでした。
パティスリーの脇を抜けると奥にレストランホールがあり、スペースが広く落ち着いて食事できると思います。

せっかくなので、プリモに魚料理と肉料理の付く、イタリアンとしてはイレギュラーな欲張りコースをいただきました。

・前菜盛り合わせ
６種類あり、味も量も申し分ありません。盛り合わせがお勧めだと思います。画像中央のディップだけが解析できませんでした。

・プリモ
ワタリガニのスパゲッティでした。カニの味が行き渡って美味しかったです。
会席のしのぎなど較べものにならない量ですのでセコンドが一品のコースをお勧めします。

・セコンド(１)
スカンピでしょうか。ソテーしただけのような形態でした。及第点は差し上げられません。

・セコンド(２)
ローストビーフ。たたんで盛り付けてあるので量感に乏しいと思いきや、拡げてみたらしっかり２枚ありました。赤身の品だったので、一般的なそれに較べて胃に軽い感覚でした。美味しかったです。

・ドルチェ
さすがパティスリー併設のリストランテです。たくさんの種類をお盆に載せて見せてくれます。そこから選ぶ楽しさは幸せですね。生姜の利いたレモンのムースだったと思いますが、さっぱりとしてよい選択をしました。思わず帰りがけにパティスリーでもう一品買い求めてしまいました。

再訪させてやってください。ご馳走様でした。