無料会員登録/ログイン
閉じる
公式
お店の営業情報は店舗関係者によって公開されています。
気になるお店はこちらで保存ができます
ネット予約
閉じる
空席確認・ネット予約
閉じる
リクエスト予約希望条件をお店に申し込み、お店からの確定の連絡をもって、予約が成立します。
1 予約の申し込み
ご希望の条件を当サイトよりご入力ください。
2 お店からのメール
ご予約が承れるか、お店からの返信メールが届きます。
3 お店へ来店
予約が確定した場合、そのままお店へお越しください。
電話なら予約できることがあります
閉じる
050-5589-2377
最新の情報は直接店舗へお問い合わせください。
蕎麦と酒がゆっくりと楽しめる、私好みの隠れ家的蕎麦屋
土曜日の夕刻に訪れたのは、牛込に今年の2月に誕生したこちら。
脱サラのご主人が一人で営み、簡単な肴で酒を飲ませた後で手打ちの蕎麦で〆るという私の嗜好に合致するスタイルと聞いており、早く訪れたいと思っていた。
数日前に食べログから予約を入れ、ゆっくりしようと開店時刻の16時を指定して向かう。
場所は早稲田通りを神楽坂から西に向かった矢来町で、先日久々に訪れた「ちくま」からも近いため、今回も我が家の近所からの都バスを利用。
この日は東京で今年初めて気温が35℃を越え、この時間帯でもまだ日は高くめちゃくちゃ暑い。
場所が分かり難いとは聞いていたが、近くまで行って見ると果たしてここで良いのかなと思うくらいのビルの隙間の細い路地を入り、さらに突き当りのコンクリートのステップを数段上がった先。
この辺り特有の傾斜地に建つ一軒家の一階部分で、「宗柏寺」という名刹の裏手の墓地に面しており、高台のため風通しは良いがその分西日の差し込みも強い。
定刻に着くとまだ暖簾は出ていなかったが、チャイムを鳴らすと50歳前後と思しきご主人が迎え入れてくれた。
「ら すとらあだ」と同じような、一般家庭仕様の玄関で靴を脱いで上がる。
手前の8畳ほどのスペースに2人掛けのテーブル4卓、奥の厨房前のカウンター前に3つの椅子が置かれている。
何処でも良かったが、この暑さなので窓際では無くカウンターの端の席を選択。
まずは喉を潤すためビール(サッポロ赤星中瓶)をもらう。
お通しに出されたのは「茸の味噌汁」で、呑ませる店として最初にお腹を落ち着かせるには好ましい手法。
辛口の越後の麹味噌が使われており、ナメコやエノキの自然のとろみが心地よく、振り入れた七味のアクセントも効果的。
中瓶は瞬く間に空になり、追加にビールをもう一本。
こちらではこの近くの飲食店で時々見かける「神楽坂ビール」を出している。
販売はご当地だが製造元は宮城県のメーカーで、神楽坂の路地裏で良く見掛ける猫がネーミングされており、MIKE・DORA・KUROの3種の中から中庸の「DORA」をもらう。
小瓶一本1,000円とちょっと高めだが、苦み少な目の穏やかな味わいが好ましい。
こちらでは料理に肉魚などの食品は使わないことを言明しており、品書きを眺めても動物性のものは「だし巻き玉子」のみ。
並んでいるのは、野菜料理の漬物・豆・豆腐・きのこ・煮物などで、何れも一品200~500円の値付け。
その中から次のようなものを、時間を置いて注文。
いずれも調理して冷蔵庫にストックしたものを、盛り付けたり温めたりして供されるスタイルだが、丁寧な仕事が認められる。
「豆腐」は'大豆丸ごと'と付記されており、ご主人に訊けば「おから」が出ないように先に皮を取り除いた大豆を丸ごとすり潰した豆乳を仕入れて、お店で固めたものとのこと。
豆の甘味が濃く、塩も添えられているがそのままでも十分に美味い。
「4色大豆の酢漬け」は、茹でた4色の大豆が甘酢に浸されている。
適度な歯応えで、酢の加減も穏やかで食べやすい。
「トマトの出汁煮」は、丸のまま湯剥きされた程よい大きさのトマトが、出汁でサッと煮られそのまま冷やされており、これを4つ割りに包丁を入れて出された。
トマトの酸味が出汁で和らぎ、煮汁も余さず頂く。
「大根の味噌煮」は赤味噌でじっくり煮込まれた輪切りの大根が、これも十字に包丁が入れられて、皿ごと電子レンジで温めて出された。
八丁味噌と思われるが、独特の渋みとコクが大根に染み渡っている。
「ごま豆腐」は'甘いタイプ'と付記されており、訊いてみるとお菓子ほどの甘さは無く、あくまでも酒の肴とのこと。
胡麻豆腐にも色々な手法があり、摺り胡麻を葛粉で練って固めるスタイルが一般的だが、こちらでは粗く摺った白胡麻を片栗粉を使って寄せているそうだ。
粘りや弾力は無いがボソッとした食感が面白く、甘さも少量の砂糖を加えただけの優しい味わい。
日本酒の銘柄は少ないが、ご主人のこだわりは感じられる。
その中からまず「にいだしぜんしゅ」という珍しい銘柄をもらう。
福島の田村町の'仁井田本家'という歴史ある酒蔵で醸された純米吟醸で、柔らかい口当たりだが後にはしっかりした旨味が残る。
カウンター越しのご主人との会話から、経歴や蕎麦への思い入れなどを少し窺うことが出来た。
以前は江戸川区に住まわれていたそうで、紹介された物件が偶々こちらで結果的に隠れ家的な店舗となったとのこと。
借家だが、大家さんは自由に手を加えることを認めてくれているようだ。
蕎麦については水府村の「慈久庵」の小川さんに傾倒して、この道に入れらたそうだ。
慈久庵については、私は蕎麦一杯のためにあそこまで足を運ぶ気は無いので阿佐ヶ谷時代しか知らないが、今では多くの蕎麦職人の'慈久庵詣で'は有名。
収穫時には方々から信奉者が手伝いに行くが、その際に「菊谷」の主人とも知り合ったとのこと。
他にも私が懇意にしている多くの蕎麦屋の主と面識が有るようだ。
追加の酒には静岡の「喜久酔」をもらうが、すっきりした飲み口で食中酒にはもってこい。
後客は昔からご近所にお住いのご夫妻で、カウンターの横並びに座られたのでご主人を含めて話が弾み、和やかな時間が流れる。
私が巡り歩いている蕎麦屋についてなどで、話に花が咲いた。
そろそろ日が陰り始めた頃、蕎麦をお願いする。
種類は「せいろ」の一色で、ご一緒の二方の分も合わせて3人前が釜で茹で上げられる。
この日の蕎麦の出来には、ご主人は多少自信がない様子。
急に気温が上がり湿気も有るため普段とは勝手が違ったようで、それだけ蕎麦打ちは季節や気候に左右されやすいもの。
蕎麦粉は件の「慈久庵」の小川さんから分けてもらった常陸秋そばで、配合は'外一'とのこと。
果たして出された蕎麦は粗挽き感のある細打ちで、慎重に茹で上げられたにも関わらず切れ切れが目立つ。
香りは感じられ噛みしめると味も有るが、水切りも今一つのためやや残念な仕上がり。
慈久庵のレベルまでは到底及ばないが、目指そうとする心意気は感じられる。
一方つゆには個性が感じられる。
こちらもヴィーガン流が貫かれており、出汁には鰹節は使われておらず昆布のみ。
徳利で出されるため先に少し含んでみたが、甘さも極力控えめで味醂を多少加えている程度。
鰹節の奥行きのある味わいとは一線を画するため、好みは分かれると思うが、決して悪くはない。
薬味にはおろし立ての本山葵が付いた。
蕎麦湯は釜湯のままの自然体で、奇を衒わない手法は好感が持てる。
徳利に残ったつゆも余さず注いで割れば、ご主人のポリシーが素直に伝わって来るようだ。
結果的に居心地の良さから、3時間以上居座ってしまった。
肴の出来にも蕎麦の仕上がりにも素人っぽさが見られるが、妙に洗練されていない点は好ましい。
勘定は色々と欲張ったので9千円をちょっと超えたが、酒も結構飲んだので相当に思う。
自宅を改造して趣味の延長のような蕎麦屋が誕生するのは、やはり東京ならではの現象と言える。
東京には江戸の昔から蕎麦と酒は密接に結びついた食文化があり、こちらもその伝統に則っている店。
脱サラした後に夢を実現したご主人の志は、大いに評価すべきと思う。
未だに蕎麦屋は蕎麦の出来だけで評価すべきで、蕎麦前は一切不要と言う主義を貫く方も居るが、そういった皆さんには無縁の店。
また肴の種類は限られ手の込んだものも少ないため、和食割烹の〆に蕎麦を出す華やかな蕎麦懐石とは真逆のスタンス。
もちろん軽く蕎麦を1枚といった、食事目的での使い方にも不向きである。
ほとんど独学で始めたため、はっきり申し上げて蕎麦打ちの技術については発展途上であり、その点は長い目で見ていきたい。
客筋は極めて限られるが、少なくとも私のような嗜好の人間にとっては、歓迎すべき店である。
訪店時は、事前予約されることをお奨めする。
私は少し間をおいて再訪したいと思う。
口コミが参考になったらフォローしよう
蓼喰人
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。問題のある口コミを連絡する
蓼喰人さんの他のお店の口コミ
江古田 漁師のあぶり家(江古田、新桜台、新江古田 / 居酒屋、海鮮、日本酒バー)
福田屋(渋谷、神泉 / そば、居酒屋、天ぷら)
にっぽんの洋食 東中野 津つ井(東中野、落合、中野坂上 / 洋食)
打心蕎庵(下北沢、池ノ上、世田谷代田 / そば)
謙徳蕎麦家(田町、三田、芝公園 / そば、居酒屋、日本料理)
NK 蕎麦屋の二階(赤坂、溜池山王、国会議事堂前 / 居酒屋、そば、日本料理)
店名 |
酒・蕎麦 矢来山房
|
---|---|
ジャンル | そば、居酒屋、日本酒バー |
予約・ お問い合わせ |
050-5589-2377 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
東京メトロ東西線「神楽坂」駅(2番出口)より徒歩5分ほど 神楽坂駅から448m |
営業時間 |
|
予算 |
¥3,000~¥3,999 |
予算(口コミ集計) |
¥4,000~¥4,999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
サービス料・ チャージ |
お通し:400円(税込) |
席数 |
14席 (テーブル×10席、カウンター×4席) |
---|---|
最大予約可能人数 |
着席時 4人 |
個室 |
無 |
貸切 |
不可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙
店外のテラススペースで喫煙可能です。 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | 落ち着いた空間、カウンター席あり |
ドリンク | 日本酒あり |
---|---|
料理 | 野菜料理にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン、一軒家レストラン |
ホームページ | |
公式アカウント | |
オープン日 |
2022年2月8日 |
電話番号 |
03-6767-9157 |
初投稿者 |
このレストランは食べログ店舗会員等に登録しているため、ユーザーの皆様は編集することができません。
店舗情報に誤りを発見された場合には、ご連絡をお願いいたします。お問い合わせフォーム
閉じる
前回訪れたのは半年前の暑い最中。
少し間を置いてから再訪しようと思っていたところ、この近所の昔から懇意にしている蕎麦屋のご主人から'一緒に如何'というお誘いが有り、渡りに船と出掛けた次第。
こちらは平日でも早めから店を開けており、この時期でもまだ明るい16時を指定して予約を入れてくれた。
前回と同じように我が家の近所から出る都バスで向かい、2回目のため迷わずに定時に到着。
丁度ご主人が暖簾を出すところで寒いのですぐに中に通してもらったが、ほどなくお相手も現れ2人して厨房前のカウンターに並んで座る。
この寒さながらビール(赤星中瓶)で始める。(以前出していた「神楽坂ビール」は現在製造中止となっているとのこと)
お通しには前回同様「茸の味噌汁」が出された。
ナメコ・しめじ・舞茸などが入り、茸のとろみと七味が効いた味わいは身も心も温まり、この時期には殊更嬉しい。
肴の種類は限られており、前回と重複するものも多いが次のような品々を次々と注文。
「豆腐」:今しがた出来上がったまだ暖かい豆腐が土鍋から掬い上げられて出され、そのままで豆本来の甘味を堪能。
「らっきょう醤油漬け」:パリパリの食感が好ましく、色の割には鹹くなく微かに残る辛味も良い。
「大根煮」:前回も頼んだが、八丁味噌で柔らかく煮込まれており、見た目ほどの濃さの無いしみじみとした味わい。
「きのこ塩漬け」:白い色で統一されたマッシュルーム・白舞茸・エノキタケがあっさりと漬け込まれているが、ニンニクが効いており中々美味い。
「だし巻き玉子」:焼きたての熱々が登場。出汁巻きを謳っているがジトっとした関西風では無く、しっかり焦げ目を付けた関東風の仕事。甘みは無いがリーンな味と歯触りが好ましい。
「ポテトサラダ」:ポテトと少量の胡瓜・玉ねぎだけの素朴な味わい。振りかけられた黒胡椒がアクセント。
酒は燗酒に「白鷹」冷酒で「喜久酔」などを次々と注文。(写真は取り忘れたが結構な酒量)
簡潔ながら丁寧な仕事が感じられる肴と美味い酒で、和やかな時間が流れる。
蕎麦は「せいろ」の1種類だが、慈久庵の小川さんから仕入れた折り紙付きの「常陸秋そば」を打ち上げる。
前回訪れた折はご主人も自信が無かったようで、決して芳しい出来では無かったが、今回の蕎麦は格段に良くなっている。
粗目に挽いた細打ちなので切れやすく茹で上げには精妙な技術が求められるが、仕上がりは多少の切れ切れは有るものの香りも食感も上々で、結構そつなくこなしているように思う。
同行の蕎麦屋の主人からの助言で、少し茹で上げのタイミングをずらした蕎麦も出してもらったが、私はどちらも良かったと思う。
鰹節を使わず昆布で出汁を取った「つゆ」も良かった。
清廉な味わいだが、前回よりも円やかさが増したように思う。
蕎麦湯は衒いの無い釜湯のままの自然体。
徳利に残ったつゆも全て割って飲み干せば、しみじみとした味わいが五体に染み渡る。
この日の客は我々2人ともう1組。
旧知の某蕎麦屋店主とご主人の井上さん、さらにカウンター席を選ばれた若いご夫妻も交えて、大いに話が盛り上がってしまった。
16時に入店して延々と食べ続け、呑み続け、しゃべり続けて、何と5時間も居座る結果に。
話題は他の蕎麦屋についてや他愛のない世間話が中心だったが、ベテラン蕎麦職人からご主人に対しての適切なアドバイスも含まれていたことが印象に残る。
もうすぐ開店から1年だが、ご近所の皆さん以外にも遠方から足を運ぶ客も増え始めている様子。
前回はやや心許なかったご主人の応対ぶりにも、落ち着きと自信が感じられる。
ヴィーガン流を貫いているため派手さは無いが、実直なご主人の人柄が反映された肴と蕎麦で、快適な蕎麦屋酒が楽しめる佳店と言える。
ワンオペなので混んで来ると多少慌ただしくなりそうだが、空いた時間帯を狙って予約を入れて訪ねられることをお奨めする。