朝霞のハイコスパベーカリー : アーブル

食べログパン百名店は、TOKYOはコンプリートしました。
ところが、あまり意識はしていなかったEASTについて見ると、既に52店を訪問していることが判明しました。
EASTエリアは広範ですし、かなりのアクセス困難店もあるので、コンプリートは考えておりませんが、身近な神奈川県や埼玉県のお店は何とかしたいと考えており、折に触れて訪れる候補に上げるようにしています。
現在、神奈川県の未訪店は7店、埼玉県は10店あり、これらを利用するとEAST全体の概ね7割の制覇率ということになるので、当面の目標はそこですね。

そんなことで、この日は埼玉県の百名店攻略の一環で、朝霞市のこちらのお店を訪れることにしました。
朝霞市は東京のベッドタウン的な地位がしっかり確立したということもあってか、ベーカリーの良店が多い土地柄で、例えば地元の名店「アサカベーカリー」は県内に8店舗を展開するローカルチェーンにまで成長しています。
私も百名店にリストアップされている朝霞台のお店は利用、レビューしています(アサカベーカリー 朝霞台店)。

当店は、朝霞駅から徒歩3分ほどの場所に2009年(平成21年)にオープンしたベーカリーです。
と言うことは、既にオープンして丸13年は経過していますので、すっかり地域に根付いたお店も言ってもいいと思われます。

オーナーシェフの木田智也さんは、元々パン屋を営んでいた家に生まれた方ですので、ベーカリーを開業されたのは自然な流れだったのかもしれません。
東京製菓学校を2006年(平成18年)に卒業された後は、いくつかの有名ベーカリーで修業を積みますが、その中には、あのシニフィアン・シニフィエの志賀勝栄氏の名前も見られます。
志賀シェフと言えば、低温長時間発酵のパイオニアであると同時に国産小麦、特に北海道産、十勝産の小麦に非常に造詣の深い方で、私も2007年10月〜2010年3月の帯広勤務時にお目にかかったことのある方です。
十勝の小麦農家の間でもビッグネームとして知れ渡っており、国産小麦応援団を自認している私としても、志賀シェフのお弟子さんのお店というだけでも期待が膨らむところです。

当店へのアクセスは、朝霞駅東口から県道79号線（朝霞秋ヶ瀬通り）を進みます。
駅前の信号から200mほどの左手にお店はあります。

この日は、近くにある「御船」でなかなか上質の居酒屋ランチを楽しみました。
その御船から朝霞駅へ戻る道中すぐの右手にある当店に到着したのは、ランチを済ませた12時ちょっと前になりました。
百名店ですし、食べログ評価も3.67点とかなり高いので、小さなベーカリーの場合行列が出来るリスクも覚悟していたのですが、店頭には誰も並んでおらず、店内から出てきた客と入れ替わりで入店しました。
店内は、私1人です。

入って正面のショーケースがメインですが、その上部と右手と奥の棚にもパンが置かれています。
食パン、バゲットやカンパーニュなどのハード系のパン、一個単位の食事パン、菓子パンなどなかなか多彩な品揃えですが、例えば、食パンは北海道産のはるゆたか食パンなど、国産小麦への思い入れも伺えます。
その割にお値段は比較的良心的で、シニフィアン・シニフィエのお値段の高さを知っているだけに若干警戒はしていたのですが、それは杞憂に終わりました。

シェフはあまり愛想が良くないとの先行レビューも見られましたが、この日は売場にシェフの姿は見えずに奥さんらしき方と女性スタッフ1名でこれらの方々はなかなか丁寧な接客でした。

今回、購入したのは以下3点です。
・ナビンさんの焼きカレーパン@195円
・くるみパン(小)@180円
・大納言@180円
合計555円

平均単価@185円ですので、百名店にしてはリーズナブルだと思います。
持ち帰って、翌日の朝食に供しました。

ナビンさんの焼きカレーパンは、レンジで20秒チンした後、600Wのオーブンで4分間加熱していただきました。
ナビンさんと言うのは、大阪の肥後橋でインドカレーのお店をやっていた「ナビン」のことですが、同店はカレー店の営業は2017年12月で終了したものの、その後は、ベーカリーやカフェ・飲食店向けの卸販売に特化しており、カレーパンの共同開発なども行なっています。
例えば、パンWEST百名店の兵庫県三田市の「エス・ブーランジュリー」(残業問題で有名になってしまった「パティシエ エス コヤマ」のブーランジュリー部門)や新大阪の「デ トゥット パンデュース エキマルシェ新大阪店」などでもナビンのカレーパンということで販売されています。
最初は甘みも感じますが、食べていくと辛さがじわっと湧いてくるカレーフィリングを包んだパンで、なかなか美味しかったです。
ただ、パン生地は、ややパサつきも感じられ、これがベストとは思えなかっただけにもうひと工夫あった方がいいように思えました。

くるみぱん（小）は、レンジで15秒チンした後、600Ｗのオーブンで3分間加熱し、マーガリンをつけていただきました。
こちらはライ麦と全粒粉を自家配合でブレンドした生地にローストしたたっぷりのくるみを入れて焼き上げたパンです。
これは美味しいですね。
ブレンド小麦とくるみの相性が申し分無く、マーガリンの風味付けも効いて、なかなかの風味と旨みです。

大納言は、バゲットに北海道産大納言小豆を炊いたかのこ豆をたっぷり包んだパンです。
パン生地は思ったほど引きが強くなく、志賀シェフの低温長時間発酵の技術の伝承にはやや疑問も感じましたが、それでも、バゲットと小豆の相性の良さは、相応に引き出されていました。
まずまず美味しかったです。

全体にパンのクオリティの割にはお値段がリーズナブルで、コスパ的に満足度の高いお店だと思います。
ただ、技術的にはまだ向上の余地もあるように思いましたので、さらに上を目指して頑張ってもらいたいですね。