クラシックホテルのバーというだけで価値を感じるが、そのさらに上を行く。伝統と革新、独創性。 : 奈良ホテル ザ・バー

［奈良市］［来訪回数：3回］
2019/4/30（祝）
奈良町近く、奈良ホテル内のオーセンティックバー。

場所は… 奈良町の北東側、天理街道（国道169号）沿い。
正門前にバス停があるので、駅から奈良交通のバスを利用するのが便利だ。
JR・近鉄奈良駅から徒歩15分、バスで5分強。

1909（明治42）年創業、日本を代表するクラシックホテルのひとつ。
国賓・皇族の宿泊にも対応し “西の迎賓館” と称される存在。

バーは、1909年から100年を超えて使われ続ける本館の1階。
フロントからティーラウンジへ向かう途中に位置する。
昼はティーラウンジとして営業。また宿泊客でなくても利用できる。
予約必須ではないが、席のリザーブも可能。

客席はカウンター8席程度、2～4人掛けテーブル×10卓程度。
全席喫煙アリ、シガーの取扱あり。BGMはジャズ。

もともとあったバーを、バルコニー側へ拡張したような構造で、
壁の内側にあたるエリアと、部屋を取り巻く回廊のようなエリアに二分される。
3名以上のグループ、もしくはカウンターを希望する際は内側、
二人だけの世界を楽しみたいなら、回廊側の席を希望するのが良いだろう。

レトロな陶器のシャンデリア、和を感じさせる照明デザイン。
バックバーの上部には、五重塔の意匠があしらわれる。
窓の外には、奈良公園（の端っこ）を望むロケーション。
ちなみにお酒を楽しんでいる間、鹿さんがふらりと現れ、マイペースに散策してから去っていった。

建物は見事な木造建築だが、冬の場合は肌寒く感じることがあるかも（特に女性）。
バーテンダーさんに伝えれば、ブランケットを貸してもらえる。

印刷されたメニューがあるので、バー初心者でも安心。
記載の価格とは別に、サービス料・消費税トータル18％が掛かることに注意。
本記事の価格は税サ込。

その一方、奈良ホテルに宿泊する場合は、客室に「10～15％OFF」クーポンがあるので
これを活用しない手はない。
私は酔っ払って、さっぱりその存在を失念する、残念な人だったが…

もう一つ特筆すべきなのは、チャージ（お通し代）が掛からないこと。
食後、軽く一杯だけの利用でも割高にならないので、気軽に立ち寄れる。

混み合う時間帯は、シェイクを要するカクテルの提供に時間が掛かることを了解しておきたい。
特に話し相手がいない場合は、ちょっと間がもたないと感じるかも？
そのようなシチュエーションでは、ハイボールやジントニック、
ウイスキー等のストレートやロックを注文するのがスマートかな… と個人的には思う。

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■マントルピース（￥1782）
奈良ホテルを代表する一杯、名刺代わりの（シグネチャー）カクテル。
カクテル名は、洋館などに設置される、装飾を有する暖炉を意味する。
（この時はキャンペーン中でカクテル名が出ていたが、普段はメニューに載せていないとのこと）

ベースのお酒はブランデー。グレナデンシロップを使い、真っ赤に仕上げたショートカクテル。
バーテンダーのシェイクによって生まれる、きめ細やかな気泡が口の中を通り抜ける。
グレナデン＝ザクロの深い香りと甘酸っぱさ。
これは美味しい！　要素と要素が結合し、調和が生まれ、カクテルならではの醍醐味が感じられる。

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■みりんのマルガリータ（￥1663）
「みりん」と聞くと、私は興味を抑えることができない。
もち米を原料に、艶やかな甘味を醸し出す日本独特のリキュール・みりん。
その活用法は無限大なはず…　まず1杯目がマルガリータのアレンジ。

通常のレシピでは、テキーラにコアントローとライムを加えてシェイク、塩のスノースタイル。
こちらのアレンジでは、コアントローの代わりにみりんを使って、まろやかな甘味を演出。
さらにグラスの縁には、塩の代わりに、ご存知・紫蘇ふりかけ「ゆかり」が散らされている。
ゆかりの酸っぱさが、ライムの代わりというのだろうか。独創的すぎる…

飲んでみると、これが見事に調和するから愉快である。
ゆかりはグラニュー糖とブレンドされており、甘酸っぱい調味料（？）の扱いとなっていた。
バーテンダーさんの遊び心と探求心には驚かされるばかり。
きちんと美味しくまとまっているのも（当たり前だが）凄いこと。

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■大和茶のジントニック（￥1782）
緑茶の葉を漬け込んだジン「タンカレー」を使用。
定番のジントニックが、一風変わった、地産地消のリフレッシュドリンクに。
トニックウォーターの苦みと、お茶の苦みが融合。
ほどよくまろみのある甘さで、飲んだあとから、じわじわ美味しさが滲み出てくる。
オンザロックはもちろん、ロングカクテルの氷もとても綺麗！

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■ナラ・ミュール（￥1663）
モスコミュール（ウォッカ＆ジンジャーエール）の奈良県版？
柑橘のほか、生薬として用いられる「大和当帰」を使用。
セリ科の植物で、根っこが冷え性・婦人病に効くという。西洋医学的にはビタミンEが豊富。

陶器の器でいただくので、まるで和酒のような趣。
柑橘の酸味が効いており、さっぱりとしてキレが良い。そしてほんのりハーブ感。
バーテンダーさんいわく「柚子かりんのど飴」の味だという。
なるほど、言われてみれば(^-^)

ちなみにグラスが陶器なのは、大和 "トウキ" に掛けているんだとか。
さすが関西、酸味だけでなくシャレも効いている（笑）

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■みりんフレンチコネクション（￥1663）
ブランデーの王道「ヘネシーXO」をベースに、愛知県産本みりん「九重櫻」をブレンド。
それだけでも珍しいが、さらに驚かされるのは、アトマイザー（霧吹き）でビールを吹きかけること！
これにより、ビールの酸味のある香りやホップの風味がプラスされ、
他では決して味わえない、唯一無二のカクテルが完成する。

ブランデーにアマレットリキュールを加える「フレンチコネクション」の和風バージョンとも受け取れる。
リーデルの大吟醸用グラスで。
まるでクリスタルのような、八角形に削られた氷も見とれる美しさ。

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■あずきリキュールとみりんのカクテル（￥1663）
もう一杯、みりんを使ったカクテルをお願いし、提供いただいたのがこちら。
吉野杉のトレイに乗せて、吉野葛を使った干菓子とともに提供。
地域性を意識したプレゼンテーションが、実に洒落ている。

ベースは、ジャパニーズウイスキーの代表格「山崎」。
そこへ愛知県の本みりん「九重櫻」、あずきリキュール、生クリームを加えてシェイク。
ちょうど、カカオリキュールと生クリームを使う「アレキサンダー」に近い仕上がりとなる。
甘みのベースがみりんとあずきなので、非常にやわらかくて温かみのある甘さ。

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■ラズベリークローバークラブ（￥1663）
ジンをベースに、クランベリージュースとグレナデンを加えたカクテル。
ミントとチェリーの飾りがお洒落！
クランベリー特有の苦みが、味わいに奥行きを与えている。

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■にごりと桃（￥1663）
日本酒（にごり酒）ベースのフローズンカクテル。
さすがに桃の時期ではないので、高級缶詰の桃とリキュールだろうか？
桃の風味が思った以上に際立ち、カクテル「ベリーニ」を連想させる。
こちらも同行者がアルコール弱めでお願いしたので、さらりと飲めるデザートカクテルに仕上がっている。

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■トリプルベリー（￥1663）
ラムをベースに、いちご・ラズベリー・クランベリーを使用した甘酸っぱいカクテル。
表面にコンデンスミルクを浮かせ、ラテアートのようにハートを描いていただいた♪

見た目は、まるでトマトジュースのような濃厚さ。
ベリーの酸味と、コンデンスミルクの甘さがぴったりと調和。
ビタミンたっぷりな上、同行者が「アルコール弱め」でお願いしたので、
何だかとてもヘルシーな一杯に(^-^)

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■カフェサカパ・マルティネス（￥1663）
香り高い熟成ラム「ロンサカパ」に、イタリアンロースト（深煎り）の珈琲豆を短時間浸漬。
コーヒーの香りをまとったラムを、大振りな赤ワイングラスで。
一杯に満たされたアロマを、ちびちびと楽しむ贅沢な時間。

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■パイナップルテキーラ
テキーラ・パイナップルジュースを用いる、ピニャコラーダ風の一杯。
ココナッツオイルを用いることで、これにより南国の雰囲気が花開く。
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マスターは決して出しゃばらず、かといって距離が離れすぎない、
ホテルのバーテンダーならではの素敵な接客。

2人で6杯ほどいただいて、お会計￥6771。クレジットカード利用OK。
宿泊の場合は、もちろん部屋につけられるので、チェックアウト時に一括精算で構わない。
これだけのクオリティとロケーション、バーとしてはリーズナブルすぎる価格に、頭が下がる。

最高のホテルには、最高のバーこそ似合う。
気取りすぎず、初めてでも居心地が良く、唯一無二のカクテルを味わえる場所。
大満足を得て、真っ赤な顔で客室に戻った。
その後、ドアノブに鍵を差し込んだまま寝てしまったのは、秘密である…