二八の多様性と可能性　完全自家製粉二八そば : そば切り 石垣

香りの十割、喉越しの二八とはよく耳にすること。
　麺の硬さとコシは全く別物であって、喉越しの滑らかさは小麦粉に含まれるグルテンの働きによる所謂「コシ」のことを言います。
　グルテンを含まない十割蕎麦は水で蕎麦粉を繋ぐため、硬さはあってもグルテンのコシが無くザラザラした食感になります。
　一方、二八そばはグルテンを含む二割の小麦粉の力・粘りで蕎麦粉を繋ぐとともに、うどんやラーメンのようなモッチリした「コシ」が特徴です。
　十割粗挽き蕎麦に比べて香りが弱い二八微粉そばですが、香りが弱いからこそ風味や旨みの強い「つゆ」が生かされるということ、蕎麦の風味はつゆに消されても喉越しの滑らかさは依然十割蕎麦に勝ります。
　私は蕎麦好きです。在来種使用の十割蕎麦も好きですが五割の大衆そばも更科も、勿論二八そばも好んで手繰ります。
　当店の二八で最も蕎麦香るメニューは麺を一度も冷水で締めない釜湯ごと桶に盛った釜揚げそばではありますが、この日は麺の喉越しと温冷2種つゆ(甘汁)を味わうことにしました。
○香味野菜とホタルイカの冷やかけそば1650円
○梅とろろ昆布そば(温かけ)1400円
○鰊棒煮800円
○蕎麦の実なめこおろし(辛味大根)550円
○ 酒屋八兵衛 伊勢錦 純米生原酒(元坂酒造 三重県大台町)1合1200円
○ 田光 赤磐雄町 特別純米 おりがらみ生(早川酒造 三重県菰野町)1合1100円
　一般的に甘汁(かけつゆ)は、本鰹枯れ節を使用することはあっても本鰹荒節の香りや宗田鰹のうま味の強さを柱にする蕎麦専門店が多いように窺えます。
　一方当店の温冷かけつゆは、どちらも本鰹枯節を柱にして仕上げた甘汁であるところが特徴的と言えるでしょう。
　本鰹枯れ節は香り高く上品なうま味はあってもうま味の深みとパンチに欠けます。
　その為、荒節の燻香を足すか宗田鰹節でパンチを補うのが手っ取り早いところですが、そうすると本枯れ節の長所が影を潜めてしまいます。
　当店は本枯れ節の長所を最大限に生かすため、荒節や宗田鰹を使用せず鯖節と潤目鰯の調合で勝負。
　なにわ翁で培った3種節の黄金比、季節感溢れる温冷かけそばは斬新で美味、次は酢橘の冷かけかな？夏が待ち遠しいです。

2ヶ月ぶりの定期訪問も4ヶ月ぶりのレビューアップ、2回分の投稿。
2024.03.18訪問
○季節のざるそば
・ホタルイカの熱汁ざるそば
○鰊棒煮
○蕎麦の実なめこおろし(辛味大根)
○稲荷寿司2個
○クグロフ
⭐︎田光 純米吟醸 雄町(三重県菰野)
⭐︎玉川 純米吟醸 雄町 無濾過生原酒(京都府久美浜)
○釜揚げそば
・温辛汁、生卵
　蕎麦が香る時ベスト4
①蕎麦の実を石臼挽きする時
②蕎麦打ちで蕎麦粉に水を回す時
③蕎麦を茹でる時
④釜揚げそばを啜るとき
　冷のもり•ざる蕎麦は茹でた後に冷水で締め、温のかけ蕎麦も一旦冷水で締めてから再度温め直します。
　釜揚げ蕎麦は、茹でた蕎麦を冷水で締めず釜から釜湯ごと桶や丼に移す為、3種の中では最も蕎麦の香りが立ちます。

2024.01.22訪問
○季節のざるそば
・真牡蠣の熱汁つけざるそば
○平日限定ランチセット
・出汁巻き玉子
・身欠き鰊棒煮
・白銀板蒲鉾
・蕎麦の実なめこおろし
・クグロフ
⭐︎田光 無濾過中取り生 雄町2023BY（三重県菰野町）
⭐︎Riestyle山廃特別純米R4BY（三重県伊賀市）
○鴨と三つ葉の温かけそば
　昆布出汁強めに薄口醤油仕立ての温かい甘汁に合鴨の脂が溶け出し強いうま味と甘味。
　脂身に隠し包丁、埼玉県産合鴨チェリバレー種は柔らかいレア仕立て。

平日ランチタイム限定1650円の蕎麦前セット（二八ざるそば＋蕎麦前のあて4種＋デザート•クグロフ）に加えて、「かけそば」のセットが新登場。
　ざるそばの単品はありますが、かけそばは平日ランチタイムセットに限りの提供、全日通してかけそばの単品は現在ありません。

　蕎麦前にサクッと摘んで呑んでからメインの蕎麦切り啜り、サッと店を出る粋な蕎麦喰い。
　サクッとは、蕎麦を超えない程度の酒量と酒肴、蟹だ雲丹だフグだの喰いてえなんぞべらぼうめえ、鮨屋か料亭行って食いやがれ！と江戸っ子が言ったか言わなかったかは、いざ知らず(＾ｰ^)
　江戸時代から連綿と繋がれてきた日本の蕎麦食い、蕎麦前文化が大好きです。
　完全自家製粉の二八そばの温かけが平日ランチセット限定で初登場。
　温かけの甘汁は、宗田鰹節・鯖節・潤目鰯節と利尻昆布、干し椎茸戻し汁の合わせ出汁に淡口醤油合わせ。関西•大阪定番の和出汁ですが、なにわ翁直伝秘伝の配分によるうま味が抜群。
　甘汁（温かけつゆ）だけでも日本酒の最高のあてになります。
　一方蕎麦切りは、4種ブレンド玄蕎麦の内、北海道摩周産のキタワセ種が一足早く新蕎麦に替わりました。
　釜揚げとは違い、一度冷水で締めてから温め直すかけそばは、釜揚げより弾力あり冷のざるそば寄り。暖かくても歯応えしっかり弾力感じる蕎麦切り（麺）です。
○平日ランチセット1650円
・かけそば
・日替り酒肴3種盛（出汁巻玉子、白銀蒲鉾•自家製山葵田光酒粕漬け、鰊棒煮）
・小鉢（蕎麦の実なめこおろし）
・クグロフ（蕎麦粉使用の焼き菓子）
○季節のざるそば1650円
・ざるそば
・ホルモン＆ニラの熱汁
○田光 豊穣 槽搾り 田光（三重県菰野町）一合1100円
○羽根屋 純米吟醸冷おろし（富山県富山市）半合600円
○純米酒るみ子の酒伊勢錦秋上がり（三重県伊賀市）半合500円

クグロフは欧州オーストリア発祥、フランス•アルザス地方に根付いた小麦粉ベースの発酵焼き菓子。
　当店流にアレンジしたクグロフは、蕎麦粉ベースにココナッツとアーモンドの風味を加えたオリジナル•クグロフです。
　同じフランスでもボルドー地区の伝統焼き菓子「カヌレ」は無発酵ですが、そのカヌレ型を使用したミニサイズの石垣「クグロフ」は単品で1個250円、
　一口で終わってしまうミニサイズながら余韻はビッグサイズ。
　私が知る限り蕎麦専門店は勿論のこと、パティスリーでも見たことの無い「蕎麦粉のクグロフ」は一食の価値ありですよ♪

○釜揚げそば1000円
•熱辛汁、生卵
○季節のざるそば1650円
•伊勢赤鶏と夏野菜の熱汁
○身欠鰊棒煮800円
○蕎麦の実なめこおろし550円
（静岡県産、黒丸辛味大根使用）
・クグロフ250円×2
　蕎麦粉とココナッツ&アーモンド
○泉橋 夏ヤゴ•スパークリング •250ml（泉橋酒造 神奈川県海老名市）1600円

蕎麦小話《蕎麦三立ての大間違い》
　当店は新蕎麦収穫時季に仕入れた玄蕎麦（殻付き蕎麦の実）を専用保冷庫に保存し、その日手打ちする分だけ早朝に石臼で『挽き立て』の蕎麦粉にし、素早く手打ちする完全自家製粉、玄蕎麦『挽き立て』の蕎麦粉を使用した二八そばです。
　また当然『茹で立て』提供でもありますが、一流の蕎麦専門店が何処もそうであるように、決して『打ち立て』の麺を茹でることはありません。
　『打ち立て』、打って間もない蕎麦切りは麺全体に未だ十分に水が回っていないこと、また空気が抜け切れていないこともあり、釜茹でで麺が浮き茹でムラが生じます。
　蕎麦の《三立て》とは昔からよく耳にしますが、『打ち立て』が意味する《立て》だけは他の二立てとは大違い、数秒数分単位ではなく数時間あるいは数日単位が『打ち立て』の立て時間です。
　蕎麦切りの風味食感向上を求めて、打ち終わった麺を数時間寝かすことは当たり前のことです。
　蕎麦切りの種類にもよりますが、蕎麦切り（麺）を数日間低温熟成させることさえあります。
　ご自身蕎麦打ち経験ある方ならば分かることですが、『打ち立て』を机上論だけで鵜呑みに誤解して、数秒数分前に打ったばかりの麺を茹でるのは素人以下のど素人のすること、美味しい訳がありません。

今回も蕎麦前からはじめ、私は熱い辛汁に熱い「釜揚げそば」、家人は熱汁と冷たいざるそばの「季節のざるそば」で締めましたが、釜揚げそばを平日限定ランチセットにして頂きました。
　完全自家製粉二八そばのレビューが続いていたので今回は蕎麦後デザートの話題。
　暫く前から夜営業に合わせて始められた平日限定ランチ（セット）は、蕎麦前の酒肴と蕎麦後？食後のデザート「クグロフ」付き。
　クグロフとはフランス•アルザス地方のイースト菌使用した発酵焼菓子で、普通はホールケーキ大を切り分けて頂きますが、当店のクグロフは蕎麦粉使用してカヌレの型を利用した一口大サイズ。
　イースト菌使用しないボルドー発祥のもっちりしたカヌレよりも柔らかく、ふわっとした食感がクグロフですが、当店はココナッツ風味が特徴です。
　売り切れ御免、数量限定のクグロフは単品（250円）提供も可、酒肴不要の方は単品にてお試しください。
○平日限定ランチ1650円＋50円で釜揚げそばに変更
・ざるそば（丸抜き微粉60メッシュ）
・酒肴3種盛（白銀板わさ、身欠き鰊棒煮、出汁巻き玉子）
・小鉢（蕎麦の実なめこ辛味大根おろし）
・クグロフ（アルザス地方の発酵洋菓子ココナッツ風味）
○季節のざるそば1650円
（三重県産伊勢赤鶏と夏野菜の熱汁、ざるそば）
◇蕎麦前（日本酒各0.5合）
○大治郎 純米吟醸 火入れ（滋賀県東近江市）600円
○一博 純米 うすにごり（滋賀県東近江市）500円
○墨廼江 純米吟醸 中垂れ（宮城県石巻市）600円
○墨廼江 特別純米酒（宮城県石巻市）500円
　今回初めて頂いた蕎麦前の出汁巻玉子がすこぶる美味。
　一度は夜訪問して、砂糖不使用の本格的な関西風、蕎麦屋の出汁巻を一本丸ごと頂いてみたいです。

　日本海春の風物詩ホタルイカ漁、今年は記録的な不漁と聞いていた富山湾のホタルイカが例年よりも高値ではありますが、やっと当店にも入荷されるようになり、季節のざるそば熱汁で提供出来ると知り早速訪問しました。
○季節のざるそば1650円
・ざるそば（丸抜き微粉二八）
・ホタルイカと菊菜の熱汁
○釜揚げそば1000円
・水で締めない釜湯ごと温そば（丸抜き微粉二八）
・熱い辛汁
・生卵（三重県菰野町産）
・白葱刻み、静岡県有東木の生山葵
○鰊棒煮800円
○蕎麦の実なめこおろし（辛味大根）550円
○日本酒4種（各半合）計2250円
・「田光」純米酒 槽搾り 無濾過 瓶火入れ（三重県菰野町）
・「田光」特別純米おりがらみ生 赤磐雄町（三重県菰野町）
・「萩の鶴」純米吟醸 別仕込生原酒 さくら猫（宮城県栗原市）
・「秀鳳」純米大吟醸無濾過生原酒 山田錦47（山形県山形市）
　今日のそば切りは、前回より細めで切りべら20本以上の細切りでしたが何時も以上に麺線整い弾力強い麺。
　季節のざるそば、富山湾産のホタルイカは大ぶりで腹がパンパンに張り腹ワタたっぷり詰まり味濃厚、流石は富山湾産の雌ホタルイカでした。
〈本日使用の玄蕎麦〉
・北海道摩周、キタワセ種
・北海道清里、牡丹そば
・茨城県土浦、常陸秋そば種
・茨城県常陸大宮、常陸秋そば種
・福岡県朝倉、宮崎おおつぶ種

《ホタルイカの小話》
　今年は記録的な不漁と言われる富山湾産のホタルイカでありますが、例年他の産地に比べて価格が高くても引く手数多で重用されることには理由があります。
　他の産地に比べて格別美味しいからこそですが、それにも理由があります。
　同じ日本海でも山陰等、富山湾以外のホタルイカ漁は底曳網漁の為、オスや未だ太っていないメスも混じりますが、富山湾産は太ったメスのみを捕獲するように定置網を仕掛ける為、丸々太り特に腹ワタの美味さは他とは格段の違いがあります。
　湾内の浅瀬にてメスの産卵で役割を終えたホタルイカのオスは湾内で死んでしまいますが、産卵終えたメスは未だ十分に栄養を蓄えた状態で外洋へと戻って行きます。
　その戻り道に定置網を仕掛け捕獲したのが富山湾産のホタルイカ（太ったメス）です。

蕎麦前（酒と酒肴）はメインの蕎麦を引き立てるアミューズ。
　蕎麦が主役の蕎麦食い道、そんな食通にお勧めの石垣さんです。
　蕎麦職人や蕎麦通であれば知らない者はいない「翁達磨」の高橋邦弘氏。師の指導の下、「なにわ翁」で修行を積んだ石垣氏が打つ、完全自家製粉二八そば。
　十割には十割の良さ、粗挽きには粗挽きの良さがありますが、当店の丸抜き微粉二八冷そばは、十割では味わえない麺の弾力と粗挽きでは感じられない絹のように滑らかな喉越しが味わえます。
　外殻ごと粉にした玄挽きは力強い芳香を放つのに対して、丸抜きは力強さは無いものの代わりに蕎麦の実本来の繊細な香りが楽しめます。
　冷水で締めたざるの弾力も魅力ですが、当店の釜揚げそばは、これが二八か？と驚くほどの芳香を放ちます。
　ご自身で蕎麦打ちされた方なら分かると思いますが、挽いた直ぐの蕎麦粉をこね鉢にて水回しした時に立ち上る芳香に似ています。
　また、丸抜き微粉でしか味わえないサラリとした蕎麦粉の舌触りも魅力です。
　もう一つ、なにわ翁での修行そのままに、再現する身欠き鰊の「鰊棒煮」も絶品、釜揚げそばに次いでお勧めです。

○釜揚げそば1000円
○季節の笊そば1650円
・ホタルイカ＆菜花の熱汁
○蕎麦前（あて）
・身欠き鰊棒煮800円
・白銀板わさ650円
○蕎麦前（日本酒）全て1/2合
・墨廼江 特別純米 紺ラベル（宮城県石巻市）400円
・隆 純米吟醸 無濾過生酒 桜ラベル（神奈川県山北町）550円
・超王祿 純米無濾過直汲2022（島根県松江市）600円
・美田 辛醸 山廃純米大 辛口（福岡県大刀洗町）500円

《本日使用の玄蕎麦》
・北海道摩周、キタワセ種
・北海道清里、牡丹そば
・茨城県土浦、常陸秋そば種
・茨城県常陸大宮、常陸秋そば種
・福岡県朝倉、宮崎おおつぶ種

平日限定ランチ（セット）始まりました。
　平日の11時〜14時限定、ざるそばに蕎麦前酒肴3種盛りと小鉢、デザート（蕎麦粉のクグロフ）のセットになったランチを頂いてきました。
○平日限定そばランチ1650円＋50円（笊→釜揚げ変更）
•釜揚げそば
•蕎麦前酒肴3種盛り（出汁巻き玉子、鰊棒煮、白銀板わさ自家製山葵酒粕漬け添え）
•小鉢（蕎麦の実なめこ辛味大根おろし）
•デザート（蕎麦粉のクグロフ）
○季節のざるそば1650円
•北海道産真鱈白子熱汁つけざるそば
○ 蕎麦前（2023新酒）各半合
•羽前白梅 純米吟醸 俵雪 しぼりたて本生（山形県鶴岡市）
•一博 純米 生酒（滋賀県五個荘）
•すっぴん るみ子の酒 9号酵母
特別純米酒無濾過生原酒 4BY（三重県伊賀市）
•奥播磨 純米吟醸 芳醇超辛 おりがらみ（兵庫県姫路市）
　完全自家製粉の当店のように、専用冷蔵庫で保管された玄蕎麦は、一年を通して新蕎麦に近い品質が保持されるようになりました。
　収穫直後の秋新蕎麦の甘皮は美しい薄緑色が一番の特長ですが、ある程度乾燥されたとは言え暫くは水分が多く品種によっては甘味風味が十分とは言えません。
　蕎麦打ちプロが「玄蕎麦が落ち着く頃」と言うように収穫2〜3ヶ月後の今、秋新蕎麦が一番美味しい時季と謂れますが、今日は一段と弾力強くモッチリ低反発な食感、抜き微粉の二八なりに香りも甘味も抜群のざるそばと釜揚げそばでした。
《補足》
本日使用の玄蕎麦は、2022新蕎麦4種ブレンドでした。
・北海道摩周、キタワセ種
・茨城県土浦、常陸秋そば種
・茨城県常陸大宮、常陸秋そば種
・福岡県朝倉、宮崎おおつぶ種

今年も釜揚げそばと季節の熱汁つけ笊そばで「石垣」スタート
○釜揚げそば（熱汁二八温そば）
○追加そば（釜揚げ）
○季節のざるそば（牡蠣熱汁二八冷そば）
○鰊棒煮
○板わさ（山口県白銀）
○玉川 純米吟醸 福袋 無濾過生原酒（京都府久美浜）
○一博 純米 うすにごり 生酒 （京都市北白川）
　大阪西天満、なにわ翁にて高橋邦弘名人指導の元で修行され、独立開業後もその指導を忠実に実践、完全自家製粉による玄蕎麦製粉からの蕎麦手打ちに専念される石垣の御店主様。
　年明けこの1月で2020年7月オープンから2年半が経過、今でも試行錯誤の研鑽中だとお察ししますが、なにわ翁をベースに石垣スタイルが確立されつつあるように私の目には映ります。
　最近は切りべら23本に拘らず、少々太目でも麺線整え喉越し重視、更に玄蕎麦本来の食感と風味を優先した蕎麦切りに舵取りされているようにも感じられます。
　私は当店の釜揚げ蕎麦を桶から直接啜る際の香りが大好きですが、家人が注文する季節の笊そばの蕎麦切りも一筋二筋、毎回啜らせてもらっています。
　冷たい笊そばでは、同じ麺使用でも何故か温の釜揚げよりも麺が太く感じますが、以前より麺肌滑らかになり、蕎麦本来のモッチリした食感も増したように感じます。
　食の好みが百人百様であるならば、料理や飲食店の評価も百人百様。
　当店の二八冷ざるも温釜揚げも他店には無いオンリーワンで私好みの佳店、今年もお世話になります。

休日の楽しみ温泉湯治＆蕎麦コース、11月から先週までは道中伊吹山山麓の蕎麦畑が気になり、ずっと滋賀県長浜市の須賀谷温泉が続きましたが蕎麦の刈り取りが先週でほぼ終了。
　1ヶ月余りの間を空けてこの日の湯治場は三重県菰野町アクアイグニス片岡温泉、湯治前の午前10時頃にそば切り石垣さんを訪問しました。
○蕎麦の実なめこおろし
○鰊棒煮
○季節のざるそば（真牡蠣温汁）
○釜揚げそば
○孝の司 純米吟醸 初紅葉（愛知県岡崎市）1合
○ 睡龍 生もとのどぶ 純米酒（奈良県宇陀市）半合
　家人が毎回注文するのは季節のざるそば、四季折々地元三重県産の海幸山幸を使用した温つけ汁で頂く冷たいざるそば、12月は牡蠣汁。
　本来は地元三重県鳥羽浦村産の真牡蠣使用のところ、生憎ここ数日は入荷無く本日は岡山県産ですが丸々太ってプリプリ、ジューシーな真牡蠣でした。
　当店は玄蕎麦購入後店内保湿冷蔵、その日打つ分の玄蕎麦を店内にて磨き→石抜き→殻剥き→製粉（石臼）した蕎麦粉を使用した手打ち二八そば切りです。
　この日の丸抜き微粉は、牡丹そば、キタワセ、常陸秋そば、宮崎大つぶのブレンド（産地は写真参照）、普段は宮崎大つぶの風味が勝る当店のそば切りですが、この日は牡丹そば特有の甘味が際立ち前面で主張します。
　ご店主に「この強い甘味は牡丹そば由来だと思いますが、牡丹は新蕎麦ですか？」と尋ねると、厨房から作業部屋へ移動し確認後「牡丹そばは今年の新蕎麦で宮崎大つぶはひねです。来週中には全て新蕎麦に切り替わります。」との返答に納得しました。
　一昔前と違い専用保冷庫で湿度温度コンピュータ管理された玄蕎麦は、1年を通してほぼ新蕎麦に近い品質が保持され、新蕎麦とひね蕎麦との香りの区別は困難を極めるレベルです。
　しかし水分量と色、そして澱粉の質による弾力と甘味に少しだけ違いが見られます。
　どのような理由があったのかは分かりませんが、本日の加水率はこれ迄で一番低く更にこれ迄で最も太い切りべら一寸20本未満、当然弾力の強いそば切りでした。
　冷のざるならば弾力強いこの日の蕎麦切り、温の釜揚げなら蕩けるくらいに柔らかく蕎麦粉のザラザラを舌で感じる普段の加水率高い蕎麦切りを私は好みます。
　そのように感想申し上げ店を後にしました。

三重県菰野町産の菰錦豚と真菰筍の温つけざるそば＆釜揚げそば
○菰錦豚と真菰筍の温汁二八笊そば1650円
○釜揚げ二八そば1000円
○鰊棒煮800円
○板わさ（山口県産蒲鉾•白銀）650円
○羽前白梅 純米酒 穂の香（山形県）1合1000円
○一博 純米 うすにごり生（滋賀県）1合1100円
　三重県菰野町の養豚場「佐藤ピッグファーム」が生産する〈コモキントン=菰錦豚〉は、菰野町産の茶葉と酒粕をブレンドした飼料で育てられた柔らかくジューシー、かつ甘味が特徴のブランド豚です。
　マコモダケは漢字で真菰筍と表記しますが、タケノコの仲間では無くイネ科の植物で茎の根元を食用とする見た目も風味も玉蜀黍に似た野菜です。
　筍に似たコリコリ、シャキシャキした食感がありますが、筍よりも繊維が少なくコーンのような甘味が特徴でそろそろシーズン終了、初秋から中秋にかけてが旬の野菜です。
　菰錦豚と真菰筍、共に地元菰野町産の食材を使用し、和出汁と合わせた温つけ汁で頂く冷ざるそば。
　豚肉の強いイノシン酸に負けないように利尻昆布出汁を強化、その相乗効果で酸味に近い舌が痺れるような強く深いうま味が感じられる温つけ汁です。
　完全自家製粉石臼碾きの手打ち二八そばは、前回訪問時よりも弾力を強く感じます。また麺肌もツルツル感が増し香りも前回以上で新蕎麦の特長が感じられました。
　ここ最近の玄蕎麦は、北海道摩周産キタワセ、茨城県常陸大宮産と土浦産の常陸秋そば、福岡県産宮崎おおつぶの4種（3品種）のブレンド。
　夏蕎麦のキタワセは既に新蕎麦に替わっているでしょうが、今後続々新蕎麦に切り替わり更に瑞々しさが増していくことでしょう。
　当店も完全自家製粉の専門店、玄蕎麦を低温保湿保存する専用の大型冷蔵庫を備え1年を通して新蕎麦に近い風味の蕎麦が頂けますが、甘味うま味は別にして瑞々しさと香りは新蕎麦ならでは、そして何よりも増して秋の風物詩の響きが趣き深い秋新蕎麦です。

食べログレビュー拝見すると、蕎麦掻き好きな人は大方蕎麦の香りと風味をよく知る人のように思えますが、蕎麦掻き食べても意外と温かけや釜揚げを食され無い方が多いように感じます。
　完全自家製粉、大阪西天満「なにわ翁」のDNAそのままに引き継ぐ「そば切り石垣」、石垣の釜揚げそばは微粉二八でも粗挽き十割蕎麦粉使用の蕎麦掻きに匹敵する香りと風味が味わえます。
○釜揚げそば950円
温熱汁と生卵
○季節のざるそば1650円
菰錦豚と白舞茸の温汁
○鰊棒煮800円
○板わさ600円
山口県産蒲鉾「白銀」、徳川家康が門外不出とした静岡県有東木の山葵芋おろし、山葵漬け
○十旭日:純米ひやおろし(島根県)1合1100円
○ 孝の司:初紅葉純米吟醸ひやおろし(愛知県岡崎市)1合1100円

約1ヶ月ぶりのアクアイグニス片岡温泉、湯治前に朝食？ブランチ？午前10時オープン同時にそば切り石垣さんを訪問しました。
⭐️蕎麦前
○蕎麦の実なめこおろし
○鰊棒煮
○「竹雀」酵母無添加・生酛純米無濾過生原酒
⭐️蕎麦
○釜揚げそば（二八）
○季節のざるそば
・伊勢赤鶏と夏野菜の温汁
・ざるそば（二八）
　蕎麦前とは…蕎麦屋の真打である蕎麦切りを引き立てる酒やつまみ、落語に例えて前座や二ツ目。
　蕎麦前が贅沢たっぷりで真打の蕎麦がちょろっとでは真打蕎麦が引き立ちませんから、江戸の先人蕎麦通さんの蕎麦喰い蕎麦呑みは流石だと感心します。
　さて、蕎麦の実なめこおろしと自家製鰊棒煮のあてと岐阜県池田町の酵母無添加「竹雀」で蕎麦前楽しんだ後、麺量たっぷりの二八釜揚げを頂きました。
　蕎麦切り色々、外国産より国産だ、開発種より在来種だ、二八より十割だ、微粉より粗挽きだ、丸抜きより玄ごとだ、温より冷だ等々と仰る方おりますが、どれも単純比較なんて出来ません。
　当店の釜揚げは国産玄蕎麦4種の丸抜き微粉ミックスの二八蕎麦。
　丸抜き微粉の繊細な舌触りと二八ならではの滑らかな喉越しが魅力、季節を問わず蕎麦本来の風味が味わえます。

完全自家製粉の真骨頂発揮
○季節のざるそば1650円
・ざるそば（二八）
・温つけ汁（伊勢赤鶏、ミニトマト、オクラ）
○釜揚げそば（二八）950円
○鰊棒煮800円
○蕎麦実なめこおろし550円
○玉川「福袋」純米吟醸・無濾過生原酒（京都丹後久美浜）一合1200円
○るみ子の酒・夏・9号酵母、無濾過生 半合600円
　今日の二八蕎麦切りは、当店過去訪問中、香り・風味・歯応え・喉越し全て含めて最高の出来でした。
　丸抜き微粉にして玄蕎麦の香りいつも以上、蕎麦の風味もしっかり感じられ、二八の真骨頂である小麦繋ぎによるグルテンのコシが適度に感じられる歯応えと滑らかな喉越し。
　温の釜揚げも同じく普段以上の歯応えあり、本日の加水率がドンピシャであったこと確信しました。
　気温湿度が日によって激変する梅雨季前後は蕎麦職人泣かせと言われますが、逆に玄蕎麦保湿保冷庫備え空調設備整う独立した製粉製麺室にて、完全自家製粉出来る専門店にとっては、まさに実力・真骨頂発揮の独擅場とも言えます。
　店舗で保湿保冷された玄蕎麦を当日使用する分だけ自家製粉した蕎麦粉の水分は年中ほぼ一定、しかし空調整っているとは言え多少外気の影響は受けることでしょう。後は当日の気温と湿度を読み職人さんが当日の加水量を裁量加減するだけ。
　今日の加水率は多分、猛暑だった昨日と同程度の低加水だったのが功を奏したようで、麺がビシッと締まり、蕎麦本来の歯応え・香り・風味と同時に小麦繋ぎ由来のグルテンによるモッチリ、プリッとしたコシと喉越し滑らかな過去最高の二八そばでした。

水無月初夏の季節ざる蕎麦は、伊勢赤鶏と夏野菜の温汁つけ蕎麦に変わりました。
○季節のざるそば1650円
・ざるそば（二八）
・温つけ汁（伊勢赤鶏、ミニトマト、オクラ）
○釜揚げそば950円
　完全自家製粉の丸抜き微粉二八そば、前回と同じ写真の4種玄蕎麦ミックスですが、この日は北海道清里産・牡丹そばの特徴前面に出ていて、伊勢赤どり温つけ汁にも釜揚げそばの温辛汁どちらにも負けない甘味を感じました。
　平飼い地鶏の伊勢赤どりは親鶏・かしわ肉に似たうま味が強い反面、若鶏らしい柔らかさが特徴の地鶏です。
　その伊勢赤鶏のつけ汁は、ミニトマトの酸味とオクラのとろみ加わりうま味深く、汁だけ飲んでも十分美味しい割には蕎麦の甘味風味も生かすところ、当店歴代季節のつけ汁では過去最高に美味しいと家人が申しておりました。
　それには私も同感、ひょっとしたら鴨汁よりも当店の二八そばに合うのではないだろうか？
　飼育期間長めの平飼い若鶏、木酢酸を飼料に使用し鶏の獣臭さ除いた工夫実感する伊勢赤鶏を使用した初夏の温つけ汁ざるそばでした。

蕎麦の香り・風味が最も強く感じられる釜揚げ直後の熱い釜揚げ蕎麦、釜湯ごと啜れば塩も辛汁（温）も不要で美味。
　途中玉子の黄身に絡ませ蕎麦カルボ、最後は蕎麦エキスが溶け出した釜湯に使わなかった辛汁と有東木の生山葵、葱を足した蕎麦湯で締め。
○釜揚げそば・微粉二八950円
○季節のざるそば・微粉二八（ホタルイカ温つけ汁）1650円
○蕎麦の実なめこおろし550円
○鰊棒煮800円
○奥播磨・純米吟醸生「夏の芳醇超辛口」（兵庫県）半合600円
○羽前白梅・純米酒「穂の香」（山形県）半合500円

《山葵小話》
　当店使用の本山葵は静岡県静岡市葵区有東木の山葵芋です。
　写真のように新緑の柔らかい黄緑色で甘い香り、ピリッと舌を刺激する辛味を感じますが、ツンと鼻を突く刺激は無く甘味が後を引きます。
　有東木は伊豆ではなく静岡市北部、安倍川の上流にあり当地のワサビ山が山葵栽培の発祥地とご店主から伺い興味湧き、何時もの様に帰宅して調べ学習しました。
　江戸時代、徳川家康が将軍職を辞し駿府城に移った折、有東木の山葵を気に入りお声掛け、以来暫くは門外不出の御法度品とされたとのこと、また一つ勉強しました。

40日ぶりの石垣訪問、改めて当店の二八そば、特に二八釜揚げそばは美味しいですね♪
　レビュー書き足そうと石垣さんの食べログHP開いてみたら、前回の3.4P台から3.6Pの壁を一気に突破して3.65ポイント。
　投稿数16件と少ないし、5点満点評価勿論無し、4点台後半の高評価レビューも無いのに？には驚きましたが、私は正当な評価だと思います。
○釜揚げそば950円
熱汁（辛汁）・生卵
○季節のざるそば1650円
・ざるそば
・ホタルイカと菜花（熱汁）
○鰊棒煮800円
○すっぴんるみ子の酒「春のるみ子」特別純米無濾過生原酒（三重県伊賀市）1合1000円
○田光（三重県菰野町）純米吟醸・雄町・生薄濁り半合600円
　今日のそば切りは一寸20本程度で何時よりやや太めの細切りです。
　また、4種ブレンドの一種キタワセ種特有の高反発な弾力が影を潜め、モッチリしていて十割微粉に近い歯応えすら感じますが、麺肌ツルツルで喉越しは何時も通り滑らかなところ、やはり二八微粉の特徴表れています。
　さらに今日は福岡県産の宮崎大粒種の特徴であるナッツの香りと甘味が強めに感じられたので御店主に感想伝えたところ、ブレンドの4種は前回と変えず宮崎大粒種の割合を増やしたとのことに納得しました。
　冷たいざるそばでは、もうちょっと細い方が好まれるかもしれませんが、私は温冷不問で今日のブレンドと切り幅が好みです。
　むしろ釜揚げには切りべら23本に拘らず、今日くらい少々太めで宮崎大粒種メインの配合が最適であるような気がしました。

令和4年2月11日、建国記念の日に三重県菰野町アクアイグニス素粋居敷地内の「そば切り石垣」さんを家人と2人で訪問しました。
　訪問前日にインスタグラムで三連休限定、ざるそば2種メニューに限り1枚は十割蕎麦を提供されるとの情報得て翌日まっしぐら。
　これ迄二八一本勝負の「石垣」さんがオープン以来初めて提供する期間限定十割蕎麦を頂きました。
○ざるそば2種1600円
・微粉二八そば
・甘皮粗挽き入り微粉十割蕎麦
○季節のざるそば1650円
　広島県産大粒真牡蠣使用の温牡蠣汁と二八ざるそば

　二八そばは、前回と同じく丸抜き微粉使用の切りべら一寸20本程度に、まるで機械で切ったかのように寸分の狂いなく麺線整い長く繋がったそば切りです。
　一方、十割蕎麦は二八よりもやや黒っぽく灰色に見えますが、外殻含まず赤い甘皮茎付け根部分が幾つか見られるように、甘皮部分を含んでいることもあり二八以上に香ります。
　この日は二八と同じ3種玄蕎麦丸抜き微粉メイン、小麦粉の代わりに甘皮部分20メッシュ程度の粗挽き粉をミックス、小麦グルテン含む二八程の弾力が無いので切り辛いのでしょう、切りむら少々あり麺線の乱れ所々見られます。
　歯応えは二八の高反発に対して低反発も十割らしいモッチリした弾力あり、香りと共に風味も二八より上です。
　麺としての弾力と喉越し第一なら冷の二八ざる、蕎麦本来の香り風味第一優先なら温の二八釜揚げ、当店初となる十割蕎麦はその中間といったところが感想です。

　本日使用の玄蕎麦は以下3種のブレンドです。
・北海道摩周、キタワセ種
・茨城県常陸大宮、常陸秋そば種
・福岡県朝倉、宮崎おおつぶ種

名鉄甚目寺駅から一旦名古屋駅に戻り、今度は近鉄に乗車し四日市へ、更に湯の山線に乗り換え終点湯の山温泉駅へ到着。
　徒歩にて「そば切り石垣」さんへ伺いました。
○釜揚げ二八そば単品＆鴨抜き（合鴨汁）1750円
・埼玉県産チェリバレー種合鴨使用
○身欠き鰊棒煮800円
○玉川福袋新酒一合（京都）1200円
○いづみ橋粉雪新酒半合（神奈川）550円
○蕎麦焼酎「峠」40度(長野佐久)蕎麦湯割り600円
　近鉄利用で訪問したのはこの日で3回目ですが、独りで訪問したのは初めてです。
　当店で頂く蕎麦は、真夏含めてかれこれ10回程度連続で釜揚げばかり頂いています。
　理由は単純明快、釜揚げが一番美味しいからです。
　麺としての歯応えに重きを置けば冷たいざる・盛りでしょうが、蕎麦本来の香りと風味、味なら温の釜揚げが断然美味しいからに他なりません。
　今日の蕎麦切りは寸分の狂いなく延しも切りも均等で美しい蕎麦切り。
　しかもこれ迄で一番の香りと甘味強く感じました。
　収穫2ヶ月後、秋新蕎麦が一番美味しい時季と謂れますが、正しく香りも甘味も抜群の釜揚げそばでした。

《補足》
本日使用の玄蕎麦は、2021秋蕎麦4種ブレンドでした。
・北海道清里、牡丹そば種
・北海道摩周、キタワセ種
・茨城県土浦、常陸秋そば種
・福岡県朝倉、宮崎おおつぶ種

今週の湯治場は、御在所岳麓の三重県菰野町アクアイグニス片岡温泉、湯治後午前10時過ぎブランチ利用でそば切り「石垣」に伺いました。
　一昨日の降雪で所々積雪残る菰野町、石垣さんの中庭も俄の銀世界、雪見酒＆雪見蕎麦と洒落込みました。
○釜揚げそば（二八温）950円
熱汁（辛汁）・生卵
○季節のざるそば1650円
・ざるそば（二八冷）
・鳥羽産真牡蠣汁（熱汁）
○鰊棒煮800円
○蕎麦の実なめこおろし550円
○「秋鹿」純米樽搾直汲2019（大阪豊能郡能勢町）1合1200円
○「玉川 福袋」純米吟醸無濾過生原酒2020（京都丹後久美浜）半合600円
　麺を冷水で締めず茹で釜から直接釜湯ごと桶に盛った釜揚げそばは、微粉二八でも十割蕎麦に迫る蕎麦の香りと風味が魅力、桶ごと釜湯ごとそのまま啜るのが一番香り立ちます。
　続いて鶏卵の黄身だけ取り分け卵黄に熱々蕎麦を絡めてカルボナーラ、そして本鰹の香り立つ熱い辛汁で啜って〆、3通りの食し方で堪能しました。
　家人は今回も季節のざるそばを注文、今回は牡蠣汁そば、冷水で締めた二八ざるそばを熱い牡蠣汁で頂きます。
　本日使用の真牡蠣は三重県鳥羽産、今年は不漁との噂はどこ吹く風、大粒のミルキーで濃厚な真牡蠣が4個入り、鰹出汁に勝る牡蠣の風味強い熱汁でした。

○釜揚げそば （二八）950円
○季節のざるそば（温汁） 1650円
・二八ざるそば
・菰錦豚とハナビラダケの温汁
○身欠き鰊棒煮 800円
○いたわさ（山口県産白銀） 600円
　国産の在来種や開発種の玄蕎麦を磨き・石抜き・製粉まで全て店内で行う完全自家製粉。
　十割蕎麦にしても十分な設備環境整いながら、修行先「なにわ翁」の拘りそのまま受け継ぐ二八そば切り。
　冷水で締めた「ざるそば」は流石に十割に及ばないものの一般的な二八に比べて挽き立てだけに香りも風味も格上。
　釜茹でされたそば切りを一度冷水で締めてから温め直す「かけそば」とは違い、釜で茹で立てそのままに釜湯ごと桶に盛った「釜揚げそば」は、十割ざる蕎麦にも劣らない香りと風味が味わえます。
　まずは桶からそのまま啜って蕎麦の香り・風味を堪能し、続いて白身除いた黄身を絡めてカルボナーラ・コラボレーション、最後は熱い辛汁で喉越しを楽しみました。
　そばを食べ切った後、辛汁に桶の白濁した釜湯を注ぎ、卸し立て生山葵と葱を加えた蕎麦湯は、本鰹の風味以上に利尻昆布の香り強く立ち、蕎麦の〆に相応しい幕引き。
　また、当店の二八釜揚げそば同様に「鰊棒煮」も絶品、釜揚げそばと鰊棒煮だけは毎回外せません。

今週の湯治場は三重県菰野町アクアイグニス
　湯治後、西へ約500mアクアイグニス素粋居のそば切り石垣さんを訪問しました。
○釜揚げそば950円
○鴨（汁）ざるそば1750円
○鰊棒煮800円
○蕎麦の実なめこおろし550円
　今日の二八そば切りは、包丁切りのエッジ鋭く立ち、麺線ウエーブ少なく箸で手繰り摘んで垂らせばほぼ一直線。
　気温湿度で加水率変える蕎麦打ちですが、季節の変わり目昼夜寒暖差激しい今の時季は蕎麦打ちが難しいと言われます。
　今日は夏の暑い時季に近い加水率低めで打たれたのでしょう、過去訪問中ベストな出来で歯応え喉越しも当然抜群でした。
　例えて微粉打ち十割ですが、名古屋に蕎麦通のみならず有名蕎麦職人の多くが認める加水・水回しの達人がおられ、当店今日のウエーブ無く麺線整いピンと一直線に伸びた蕎麦切りは、二八ながらその振甫町の達人が打つ十割蕎麦切りを彷彿とさせます。
　また、身欠き鰊の棒煮と釜揚げそばは、毎度言うことなしの絶品です。
　身欠き鰊は、本場京都の味に慣れ親しんだ方はじめ魚嫌いで無ければ全ての方にお勧めできます。
　釜揚げそばは、水で締めず釜から釜湯ごと桶に盛る為、一度冷水で締める十割のかけ蕎麦よりも伸びやすいので短時間勝負のリスクはあります。
　しかし、当店扱う玄蕎麦の香り風味を一番堪能できるのが釜揚げ、蕎麦を知る蕎麦通の方にこそ是非お試し頂きたい逸品です。

本日使用の玄蕎麦は前回と同じく以下の4種ブレンドでした。
・キタワセ（北海道摩周）
・牡丹そば（北海道清里）
・常陸秋そば（茨城県土浦）
・みやざきおおつぶ（福岡県朝倉）四倍体

今週の湯治場は三重県菰野町アクアイグニス片岡温泉。入浴後素粋居へ移動し、開店時刻丁度の午前10時に伺いました。
〈二八そば〉
○季節のざるそば1650円
菰錦豚と真菰筍の熱汁、柚と三つ葉
○釜揚げそば950円
熱汁（辛汁）、生卵
〈蕎麦前〉
○焼き蕎麦味噌400円
○鰊棒煮800円
○十（字）旭日ひやおろし純米酒（島根県出雲市）五百万石 一合1000円
○るみ子の酒秋上がり純米酒（三重県伊賀市）半合500円
　
　緊急事態宣言解除で1ヶ月ぶりに外呑み再開。
　当店自慢の鰊棒煮と焼き蕎麦味噌をあてにして、島根県出雲のひやおろしと三重県伊賀の秋上がりを静かにちびちび・・・
　蕎麦前楽しんだ後、私はいつも通りの釜揚げそば、家人も前回と同じ季節のざるそば（菰錦豚と真菰筍の熱汁）を頂きました。

　釜揚げそばは、二八とは言え冷水で締めず釜湯ごとそのまま桶に盛る為、短時間で蕎麦切りの歯応えは変わります。
　しかし蕎麦の香りは微粉十割に負けず、後半歯応え柔らかくなると蕎麦本来の風味が増してくるのも釜揚げならではの醍醐味です。
　そのまま桶から蕎麦湯（釜湯）ごと啜る、熱い辛汁に浸して、更に生卵を溶いた辛汁に浸してと3種の食べ方楽しめます。
　蕎麦切りが釜湯に溶けだし白濁した蕎麦湯のようになった終盤、辛汁につけず釜湯ごと啜るのが一番美味しく感じます。
　
　本日使用の玄蕎麦は前回と同じく以下の4種ブレンドでした。
・キタワセ（北海道摩周）
・牡丹そば（北海道清里）
・常陸秋そば（茨城県土浦）
・みやざきおおつぶ（福岡県朝倉）四倍体

秋の熱汁蕎麦に変わりました。旬のマコモダケと地産ブランド菰錦豚を使用した熱汁と二八ざるそば
○身欠き鰊棒煮800円
○オールフリー450円
○釜揚げそば950円
○季節のざるそば1650円
（菰錦豚とマコモダケの熱汁）
　三重県菰野町の佐藤ピッグファームのブランド豚「菰錦豚」こもきんとんは、生まれて直ぐのメス美形5%だけのエリートが選抜され、酒粕やおからを配合したオリジナル飼料で飼育されます。
　他の豚よりも日数長く飼育する為、肉質締まっているとのこと、熱汁の豚肉は獣臭一切無く、確かに歯応えしっかりしていてうま味濃く感じました。
　
　身欠き鰊棒煮の皮と腹身はトロトロ、日本酒欲しいところをグッと堪えオールフリーで我慢。
　
　釜揚げそばは、二八とは思えないほどに蕎麦の香りが高く、このところ毎回注文しています。
　桶の釜湯に浸されたそばをそのまま啜ると蕎麦の香りが立ち上ります。
　そのまま→辛汁（熱汁）→辛汁＋生卵黄と3種、それぞれ違った味わいありますが、やはり何も付けず釜湯ごとかけそばのように啜るのが一番美味しいです。

　当店の二八そば切りは、北海道から九州まで全国各地から御店主選り抜きの玄蕎麦を取り寄せ、玄蕎麦を殻剥きから店内で完全自家製粉した二八の手打ちそばです。
　本日使用の玄蕎麦は以下の4種ブレンドでした。
キタワセ・北海道摩周
牡丹そば・北海道清里
常陸秋そば・茨城県土浦
みやざきおおつぶ・福岡県朝倉（四倍体）

アクアイグニス温泉湯治の帰り、昼食でアクアイグニス素粋居の「そば切り石垣」で二八そばを頂きました。
○季節のそば（冷）1650円
✳︎仙鳳趾（北海道厚岸湾西岸）の真牡蠣と鰹と酢橘の土佐酢ジュレぶっかけそば
○釜揚げそば（温）950円
○鰊棒煮800円
○蕎麦の実なめこおろし550円
○秋鹿（大阪）半合500円
○睡龍（奈良）半合550円
　
　季節のそば春夏秋冬、毎回頂いてきましたが今回の季節のそばは、当店二八そばの相性からして、これまでで一番マッチしているように感じました。
　
　海水温が低いことから年中食べられる北海道の真牡蠣では厚岸が有名ですが、厚岸湾は厚岸の反対西岸の仙鳳趾の真牡蠣も有名、厚岸とは双璧ながら最近の仙鳳趾牡蠣はサイズが大きいところが特徴です。
　その仙鳳趾の真牡蠣を3個使用した贅沢な季節のそば、芽ネギ・ラディッシュに土佐酢のジュレが乗ったそばに、別添酢橘を搾り好みで大根おろしを足し、ざるそば用の辛汁をぶっかけ混ぜて頂きます。
　土佐酢ジュレと搾った酢橘の爽やかな酸味が冷そばをギュッと締めたような食感あり、これ迄頂いた冷そば系では一番美味しく感じました。

　釜揚げそばは、何時もながら玄蕎麦の風味が十割蕎麦に似てダイレクトに伝わり、冷そばとは比較にならない程風味・香り強く感じられます。
　蕎麦通さんならきっと満足されると、蕎麦好きSG一推しメニューです。

　前回知った身欠き鰊の棒煮は蕎麦前通、和食通さんもきっと納得満足される品、日本酒のあてには最高、塩味甘味ともに控えめで柔らかく舌の上で蕩ける食感が美味ですぞ〜

　７月下旬の日曜日、アクアイグニス片岡温泉で湯治後、アクアイグニスから湯の山温泉駅方面へ約500メートル、宿泊施設アクアイグニス素粋居の敷地内に店を構える「そば切り石垣」さんへ伺いました。
○季節のざるそば 1650円
　丸抜き微粉二八ざるそば、名古屋コーチンと夏野菜の熱汁
○釜揚げそば 950円
　丸抜き微粉二八温そば、熱汁（辛汁）、生玉子
○鰊棒煮 800円
○日本酒「篠峯」奈良県 1100円（１合）
　夏色無濾過生原酒

　大阪なにわ翁で修業後に独立された若きご店主が打つ蕎麦は、なにわ翁の流れを汲む二八そばです。（なにわ翁には数量限定で十割蕎麦もあります）
　国内産の玄蕎麦を使用した自家製粉の手打ち、冷の盛りにして喉越し良し、温の釜揚げにして風味際立つ二八そばです。

　北海道産の牡丹そばとキタワセ、本州は関東の常陸秋そば中心に常陸秋そばの原種である金砂郷在来種、九州は福岡県産の宮崎おおつぶなど国産開発種と在来種を季節や天候に合わせて３～４種ブレンドし、外殻剥いた抜き実（丸抜き）のそば切りと外殻加えた全粒粉使用で挽ぐるみ風そば切りの２種類が選べます。

　初回訪問で２種食べ比べ、使用する玄蕎麦と繋ぎ具合から、当店２種比較どちらかと言えば上品な穀物と仄かな甘味が特徴の白い丸抜き微粉の方が好みで以来訪問する度丸抜き微粉を頂いています。

　２度目の訪問から毎回注文しているのが「釜揚げそば」
　釜揚げそばで有名な出雲が二八主流であるように当店も丸抜きの二八を使用、辛汁も熱汁仕立ての熱熱です。
　まずは桶から直接そばを手繰り一啜り、香りと言うよりは穀物寄り蕎麦のうま味・風味が、冷そばと比較して格段に強く速く伝わってきます。
　次に熱い辛汁に浸して啜った後、別の蕎麦猪口に辛汁少々と卵黄を落とし釜揚げカルボナーラ？出石風？これがまた癖になる美味しさ、卵黄が絡んだそば切りは冷そばに負けない喉越しを楽しめます。

　当店は、かけそばがメニューに無く鰊棒煮が乗ったかけそば＝「にしんそば」もメニューにありません。
　しかし、修行先で学んだ技を忠実に再現、身欠き鰊を水で戻して醤油・酒・味醂などで焚いた鰊棒煮は単品として提供されています。
　今回初めて注文した「鰊棒煮」は想像以上に柔らかく、色は濃くても醤油辛さ感じず、甘すぎず塩から過ぎず丁度の塩梅、特に皮と身の間が舌の上で蕩ける食感は、京都のとある日本料理店を彷彿とさせてくれました。

蛇足（蕎麦小話）
　宮崎県の椎葉在来種や長野県の奈川在来種をはじめとする日本在来種蕎麦の外殻は、その蕎麦の実同様大変香りが強く、外殻を挽き込んだ十割粗挽きは強烈な香りと荒々しい風味に特徴があります。
　私は在来種使用なら外殻含む玄挽きぐるみの粗挽き十割蕎麦が一番の好みです。
　しかし、外殻は米に例えるなら籾殻と糠、一つ間違えば蕎麦本来の穀物香を殺してしまうこともあります。そのため、私は自家製粉十割粗挽き専門店以外では、全体的な風味は弱くても上品な穀物香と甘味が生かされた丸抜き粗挽き、または喉越し重視の丸抜き微粉で打った蕎麦を積極的に頂いています。

　私ごと蕎麦専門店で一番多く訪問するのは、日本全国の希少な在来種玄蕎麦を外殻ごと粗く挽いた十割粗挽き蕎麦専門店です。
　さらにその玄挽きかつ粗挽きを達人が細く長く繋いだ極細蕎麦切りが一番の好みでありますが、蕎麦粉五割の微粉機械打ち大衆そばまで幅広く美味しい蕎麦（そば）なら何でも頂く蕎麦好きであります。
　暫く前に知った湯の山温泉駅近くのアクアイグニス素粋居敷地内にある「そば切り石垣」さんは丸抜き微粉二八が主力のそば専門店、二回目訪問で頂いた「釜揚げそば」の美味しさに魅了され今回で４回目の訪問となりました。（挽ぐるみ風の玄入り二八もあります）

○釜揚げそば　950円税込
・熱汁（辛汁）、生玉子
○季節のざるそば　1650円
・名古屋コーチン＆夏野菜の熱汁、冷そば
○板わさ（山口県産「白銀」）　600円
○オールフリー　450円×2

　自家製粉手打ち二八そば、本日の玄蕎麦ブレンドは前回と同じく①宮崎おおつぶ種（福岡県）②牡丹そば（北海道清里）③キタワセ（北海道摩周）の3種です。
　ナッツの香り宮崎おおつぶ、甘味と穀物香の牡丹そば、粘りと甘皮緑色際立つ摩周キタワセ早刈りの色、3種それぞれの特長生かされたブレンド二八そばです。
　
　冷そばは摩周キタワセ甘皮の緑色生かされ、宮崎のナッツ香と牡丹の甘味が前面で、釜揚げ温そばは牡丹の穀物香と風味が強く主張します。
　
　釜揚げは、冷水で締めた冷そば特有の低反発な歯応えもうどんグルテンのような高反発のコシもありませんが、蕎麦本来の香りと風味は抜群で十割蕎麦の風味に匹敵、桶のままかけそば同様に啜れば香りも風味もダイレクトに感じることができます。

　オープン間もないことと温泉地の立地から、未だ空いている穴場の蕎麦専門店、二八微粉ではありますが、十割に拘る蕎麦通さんなら釜揚げそばをお勧めします。

　週一回の温泉湯治、今週は三重県四日市方面、菰野町のアクアイグニス片岡温泉。
　入浴後隣接のブーランジェリー「マリアージュ･ドゥ･ファリーヌ」さんで朝食用のパンを購入した後、湯の山･素粋居へ移動し「そば切り石垣」さんへ伺いました。

⭐️自家製粉･丸抜き微粉二八そば
○釜揚げ蕎麦(生卵付き)
○季節の蕎麦 冷盛＋温つけ汁（蛍烏賊・菜花）

　季節の盛りそばは前回（2回目）訪問時よりも緑がかった色合い、見た目初回訪問時とよく似たそば切りです。
　一筋そのまま頂くと栗のようなナッツのような香り、初回と同じく福岡県産宮崎おおつぶ種も使用と直ぐにわかりました。
　気のせいかもしれませんが初回よりはやや太目に感じました。しかし、宮崎おおつぶ種の風味とキタワセの粘りからして今回の切りべら20本程度が一番美味しく頂ける様な気がしました。
　本日使用の玄蕎麦は、福岡県産宮崎おおつぶ種・北海道摩周キタワセ種・北海道清里牡丹種のミックスで初回訪問時と同じブレンドと伺いました。

　今回訪問した一番の理由は、前回訪問で気に入った「釜揚げそば」をもう一度頂き、当店二八釜揚げそばのポテンシャルを再度確かめたいことでした。
　前回は写真撮影10秒、啜り50秒の合わせ１分でした。しかし、今回は敢えて３倍の３分にしてみたところ、確かに麺は後半柔らかくなりますが舌に絡みつく蕎麦粉の粘りで風味向上、翻って玄蕎麦の風味を前回以上に味わうことが出来ました。

　太くても、短くても蕎麦本来の風味がお好きな十割蕎麦通さんにもお勧めできる自家製粉二八「釜揚げそば」です。

先月の初訪問から約１カ月の間隔空けて伺いました。
二八の釜揚げそばが絶品でした(^^♪

○釜揚げそば（丸抜き微粉二八）950円（税込以下同）
○ざるそば2種 1600円
・丸抜き微粉二八
・丸抜き微粉＋鬼殻ミックスの二八（挽ぐるみ風）
○合鴨うま煮（柔らか煮）900円
○蕎麦の実なめこおろし 550円
○英（はなぶさ）特別純米酒・無農薬山田錦・三重県伊賀市 １合1000円
○睡龍（すいりゅう）生酛どぶ辛口・2019・奈良県大宇陀 5勺550円
　
　本日のそばは2種類、丸抜き微粉並粉打ちと同じく丸抜きもやや甘皮部分多めの微粉に鬼殻（外殻）をミックスした挽きぐるみ風の黒っぽいそば、どちらも小麦繋ぎ2割の二八そばです。

　先ずは丸抜き、薄い緑っぽいそば切りは前回の宮崎大粒そば使用ではないような？ナッツの香りはしません。
　二八微粉ゆえ、香りが弱めも常陸秋そばのような香りを感じ、表面ツルツル喉越し滑らかで小麦の弾力以上にキタワセっぽい強い粘りも感じます。

　挽きぐるみ風の鬼殻ミックス、正確には挽きぐるみではありませんが、業界では全ての粉を使用すれば「挽きぐるみ」と呼んでいるそうです。
　鬼殻少々ミックスされている為、並粉そばほどの滑らかさはありませんが、ワシワシした歯応え楽しめます。

　最後に注文した釜揚げそばは笊1枚目と同じ並粉打ち使用、小麦繋ぎを感じさせない十割蕎麦に近い粘りを感じます。また風味も然り、常陸秋そば特有の上品な香りが鼻腔を刺激します。
　温のかけそばは、茹で揚げ後一旦冷水で締めてから温め直しますが、釜揚げは茹でたら冷水で締めずそのまま釜湯ごと提供されます。
　二八とは言えども美味しく頂くには写真撮影10秒、啜り50秒の合わせ1分以内が時間勝負の釜揚げそば、これまで頂いた釜揚げ二八では一番の出来栄えで十割蕎麦好きさんは勿論、特に蕎麦通さんにお勧めです。

　帰りがけオーナーシェフのご店主様がテーブル迄お越しくださり、本日使用の玄蕎麦を伺うことができました。
　茨城県久慈市金砂郷の金砂郷在来種をメインとして、常陸秋そば、北海道のキタワセの3種ブレンドとのこと、金砂郷在来種は常陸秋そばの原種ですね♪

アクアイグニス片岡温泉から近鉄湯の山温泉駅方面へ進み三叉路信号交差点直進直ぐ右手に12棟のコテージが建つ「アクアイグニス素粋居」が見えます。
　その敷地内駐車場前、横長の木造平家建にテナントとして店を構える「そば切り石垣」さんへ初訪問しました。

○ざるそば2種 1600円税込
○季節のざるそば 1650円税込
〈牡蠣汁つけそば〉

　直前の修行先は大阪の「なにわ翁」さんと聞く若きご店主が打つ二八そばを2種頂きました。
　一枚目は甘皮の緑がかった一本1.3mm程度の細切り、一寸3cmが23本程度で切り幅よりも厚みの方が長い所謂、切りべら23本の江戸二八風。
　丸抜きの甘皮迄挽き込んだ微粉らしく、所々蕎麦の実付け根部分の赤みを帯びた薄茶色い細かな星も見られます。
　先ずはそのまま啜るとナッツの香り、二八にしてはかなり香ります。
　歯応えも繋ぎ小麦粉グルテンのコシは感じられず、蕎麦粉由来の歯応えあり喉越しも二八らしく滑らかです。

　伺うところ、玄蕎麦は3種の合わせとのこと。北海道摩周湖のキタワセ種、同じく道東は清里の牡丹そば種、福岡県産の宮崎大粒種を玄蕎麦から完全自家製粉にてブレンドしたとのことでした。
　自身経験からキタワセとも牡丹そばとも明らかに異なるナッツの香りは宮崎大粒由来かと思われました。
　辛汁は本鰹枯節の香り強く返しは甘味も塩分も控え目、その割にはうま味出ていたので昆布使用、蕎麦湯で割った風味は利尻昆布使用で関西風でした。
　
　二枚目は黒っぽい田舎風、使用する玄蕎麦は同じとのことですがこちらは牡丹蕎麦の香りかな？外殻の香りが勝っていました。
　玄蕎麦3種の割合が違うのかもしれませんが、一枚目と同じ抜実の微粉をベースにして外殻だけを中挽き程度にしてミックスかな、はっきり言えるのは決して玄蕎麦の挽きぐるみでは無いことです。
　遠目には粗挽きか中挽きに見えますが、間近に見れば丸抜き微粉に鬼皮混入、外殻の風味はするものの荒々しさは余り感じられません。
　丸抜きのみの一枚目とさほど変わらない歯応え食感からして、甘皮の風味を生かした一枚目の方がよく出来ていると思いました。

　オープンして半年足らずと伺います。玄蕎麦目利きから茹で、切りなどなど、まだまだ伸び代多く感じられ、今後に期待したいそば店でした。