伝統食「おしぼりうどん」（大根おろし汁＋味噌） : さかき地場産直売所 あいさい亭

長野県の坂城（さかき）町では醤油のつゆではなく、ねずみ大根（辛味大根）の汁でうどんを食べる伝統食があるということで、こちらへやって来ました。

メニューはうどん・そばとあり、「醤油ダレ、肉、カレー、原木しいたけ」とありました。他にはねずみ大根で作った焼酎というのも販売してます。（店内でグラス売りしてます）ただ、見た限りでご飯類は見当たりませんでした。（物産のレジでおやきが売っていたけどね）
食券。水はセルフサービスです。


おしぼりうどん(大盛)　820円（普通サイズ720円）

　手打ちうどん、つけ汁（真っ白。大根のしぼり汁）、別皿に「味噌・鰹節・ネギ」、漬物付き。
味噌は足りなければ声をかけてくださいとのこと。（醤油つゆは別途50円で追加可）


うどんはうっすら茶色がかった手打ちの太いうどん。湯切りした温かい麺が丼に。
うどんだけを食べてみる。（順番としては汁を舐める前にうどんだけ先に食べた）
表面は見た目より滑らか。どっしりむっちり。1本にギュッと押し固めたような、田舎の家庭的な手打ちうどんを思わせる。うどんの風味もいい。精製しすぎてない小麦のうどん。風味がいい。
讃岐うどんや稲庭うどんとはかけ離れてるタイプ。わりとごっつい感じかな。
ちなみに長野の手打ちうどんは、この手のうどんが多いと思う。


ここから先は、壁に貼ってある「おしぼりうどんの食べ方」に沿って食べすすめることに。

１、辛味汁にうどんを1，2本浸して辛味の状態をみる
　汁をそのまま舐めてみた。最初だけ大根の甘みも感じるも、すぐに刺激的な辛さが口の中を襲い、唇が激しくヒリヒリする。飲んだら確実に咽るだろう。
ちなみにこの汁は、本当に大根のしぼり汁だけのようだ。大根の滓も、出汁も塩も入ってないようだ（汁は大根おろしてガーゼで漉して作るそうです）
次にうどんを1本を汁につけて食べてみる。うどん自体の味も強いのだが、やはり辛味の方が断然勝ってる。この時点では、完成形の味がピンとこない。

2、辛味汁に味噌1/2とかつお節を入れます。
最初、味噌を少しづつ加えながら汁の変化を見ていきますが、味噌1/3程度だと、逆に辛さがＵＰで辛い。でも味噌を半分投入で、辛味が弱まってきました。口のヒリヒリも感じなくなってきてます。味噌が膜を作ってる感じなのかな。しかしこの時点では美味しいとは感じません。
そこで鰹節を投入。ここで味が大きく変わりました。
辛味が大きく抑えられ、出汁を加えたことにより旨味がUPです。鰹節は全部入れましたが、欲を言えばもう少しあってもいいかな（別料金で追加でいいから）

3、お好みで味噌、ネギを入れてお召し上がり下さい。
結局味噌は2/3ほど入れました。ネギも全投入で落ち着きました。
好みのつゆを完成させ、うどんを汁につける。おお、これもなかなかいけるじゃないですか。
単なる大根おろしの汁を絞っても、この味にはならないね。辛味大根の辛味が、味の旨味を引き出しています。小麦の力強いぎゅっとしまったうどんが汁と絡み、麺の味もしっかり味わえます。
これは滑らかな舌触りのうどんだと合わないかも。田舎風のごっつい系うどんならではの組み合わせに感じます。
味噌といえば味噌煮込みうどんや、ゴマ味噌ダレうどんなんかもありますが、それらとは別物のさっぱりうどんをいただきました。


しかしこれは大変手間のかかるうどんですよね。特に汁が。だって大根のしぼり汁だけでも200ML、いや、もう少し多かったかも。
そもそも普通の大根おろしでも、それだけの汁だけを取るのに、大根1／3～半分位はおろすと思う。それですら大変。ましてねずみ大根は、小さくて固い大根と記憶してます。水分もそんなに多い品種でなかったかと。
多分、機械で吸ってるのでしょうが、それでも贅沢な汁の使い方だと思いました。


ところで…。
汁を絞ったおろしはどうしてるのでしょうか。メニューを見る限り、大根おろしを使ったメニューはなさそうです。
折角なら大根おろしを使ったメニュー（大根餅とか）なんかがあれば、絶対に頼んでたな、自分。


正直な話、味噌より醤油のつけ汁の方が好きかな。元々味噌より醤油の味付けをよく好むので。
でも、この食べ方もアリですよ。それにこのねずみ大根の汁、気に入りました。
これ、高遠蕎麦みたいに焼いた味噌も合いそうだなと。あと醤油つゆと割るとか。自宅でもねずみ大根の汁で試してみたいと思います。

貴重な食文化と新しい味に出会えたことに感謝です(*‘∀‘)